岩手県立博物館

岩手山を望める丘のミュージアム

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いわての夜明け[考古分野]
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盛岡市萪内遺跡出土土偶

大型土偶(どぐう)・頭部


大型土偶・頭部(重要文化財)
盛岡市 萪内(しだない)遺跡出土

縄文 時代 後期
高さ23cm/文化庁蔵

性別 *男性と見られる
*毛髪は縄文(ナワ目)で表している
*閉じているようだおそらくは死者の表情では・・・
円い孔(あな) *羽根でもさして飾りつけたのだろうか
*この部分は張り出している。掘りが深かったのだろうか?
*広い
*写実的で豊かである
*イレズミ?
*やはり写実的大きく、高い
唇(くちびる) *厚く、受け口と見られる
あご *張っている。これは縄文人の特徴(とくちょう)といえる
段差(だんさ) *「組み合わせ仮面」をつけていると見られる
※)組み合わせ仮面=土製の耳・鼻・口を皮や布に閉じて使用する
19個の円孔(えんこう) 羽根あるいは繊維(せんい)を植えこんでひげのようにしたのか。

「縄文人って、どんな風貌(ふうぼう)だったの?」


縄文人の顔つきについて

 皆さんのそんな素朴な質問に答えるのは、なかなか容易なことではありません。なぜなら生き証人がいるわけでも、写真が残っているわけでもないからです。そこで出土した遺物《人骨・土偶・装飾品(そうしょくひん)など》から推定するわけです。

 今回は、そんな中からとびきり顔の大きい土偶に登場してもらい、その顔つきについて皆さんと一緒にさぐっていきたいと思います。

 大型土偶は、全身像であったと見られ、少し離れた地点から脚の一部分もみつかっています。身長は120cm位と推定され、一般の土偶は大きなものでも30cm位ですので、もし全身があったなら全国でも類を見ない大きさとなります。

 上の図は、出土した人骨や土偶などから、縄文人の男性を想像したものです。
 大型土偶に刻まれていたイレズミと同じ文様(もんよう)を顔に入れ、歯を抜いたり、削ったり、大丈夫かと思うほど手を加えています。そして、縄文人の特徴といえる張り出した眉間(みけん)、あご、大きな鼻をしています。
 今の私たちから見ると、怖いぐらいの感じですが、当時は自然で魅力的でさえあったのかもしれません。

【仮面について】

 顔をおおうのにふさわしい大きさの仮面は、後期に東北地方を中心に出現しています。それらの仮面には喜怒哀楽(きどあいらく)などの表現が見られます。例えば人の死に際して儀式が行われる時、仮面を顔につけたのではないでしょうか。そうして、精霊(せいれい)などに身も心も変身し、死者の魂(たましい)を送ったのかもしれません。

 このように、もの言わぬこれらの遺物ですが、たくさんのメッセージを現代に生きる私たちに伝えてくれます。

 そして、現在萪内遺跡のこの地は、当時の人々の喧噪(けんそう)と共に、御所湖(ごしょこ)の下で静かに眠っているのです。


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