岩手県立博物館

岩手山を望める丘のミュージアム

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県土の誕生[地質分野]
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リンボク(鱗木)レプトフリーアムLeptophloeum rhombicum


  • リンボク(レプトフリーアム)
    大東町蓬莱山(ほうらいさん)/後期デボン紀・鳶ヶ森層

  • リンボク(レプトフリーアム) 
    釜石市砂子畑/デボン紀・千丈ヶ滝層
    ※それまでないとされてきた地層の発見のきっかけとなった化石(部分・拡大)

  • リンボク(レプトフリーアム)
    大東町蓬莱山/デボン紀・鳶ヶ森層

(リンボクのつぶやき)

 …おや、ガラスのむこう側から声がするぞ。なんていっているのかな?ちょっと聞いてみよう…。

ねぇ、この茶色っぽいところ、よく見ると小さなひし形がきれいに並んでいるよ。
ほんとね。なんだか"うろこ"みたい。ということは、これは魚の化石かな?
魚かぁ。あっ、こうやって横からみるとヘビみたいにも見えるよ。もしかしたらヘビの化石かもしれない。
大きなヘビだったらちょっと怖(こわ)いな。でもこの茶色いところ、Vっていう字みたいに二つに分かれているわ。魚とかヘビにこうなっているところってあったかしら?
そうだね。そういわれてみると木の枝みたいにも見えるなぁ。でも木にはうろこってないよね。
うーん、どうなのかしら…。

(リンボク)

…おっ、かんがえこんでしまったね。じゃぼくの話をちょっと聞いてくれるかな?
それではまず、自己紹介(じこしょうかい)から…。

 ぼくの名前は『リンボク』。漢字で書くと『鱗木』で、(鱗=魚のうろこのこと)さっき話していたとおり、ぼくのからだの表面がうろこみたいに見えるところからこの名前がついています。

 「魚かな?ヘビかな?」とも言っていたけど、最後に話していた「木かな?」というのが正解近くて、シダ植物のヒカゲノカズラ類という仲間です。今から4億年くらい前の、生物がやっと陸上に進出し始めたころに生きていました。初めのうちは1mくらいの高さしか なかったけど、次の石炭紀には高さ40~50m、幹の直径は根元のところで2mくらいまで成長して大森林をつくり、世界中の石炭のもとになりました。

 今、みなさんの身の回りにある木々の多くは、太い幹があって、そこから細い枝が四方にのびてたくさんの葉っぱをつけて…というふうにして成長していきますが、原始的なシダ類の仲間のぼくたちは一本の幹が2つに分かれ、さらにそこからまた2つに分かれ…という叉状分枝(さじょうぶんし/Y字型分枝・二叉分枝=にさぶんしともいう)をして大きく成長します。ぼくのようにはっきりと分かれている様子を見ることができる化石は日本で初めてではないかといわれています。
 そしてY字に分かれた枝の先に、胞子をつけた小さい葉っぱをたくさんつけています。この葉っぱが落ちた後「葉枕(ようちん)」がうろこのように見えるのです。

 ぼくの仲間たちが同じガラスケースの中にもいます。ほんの一部分しか見えないので、魚やヘビの化石のようにも見えるけど、ちゃんと植物の仲間です。ぼくよりももっとはっきり"うろこ模様"がみえる仲間もいるからぜひ会っていってね。


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