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マツカサガイ
イシガイ目イシガイ科
Pronodularia japanensis (Lea)
岩手県:Bランク        環境省:準絶滅危惧

形態 殻は中型卵円形で、殻頂から後縁にかけての表面に、大粒の顆粒が逆V字状に並ぶ放射肋があるのが特徴である。ただし、この模様は大形個体では不明瞭になる傾向がある。殻長は4〜6cmほどで、最大でも9cmを超えない。右殻の擬主歯は、付け根は厚みがあり、先が尖ったスプーン形をしており、この形状によって識別が可能である。
分布の概要 矢巾町から一関市にかけての内陸部と旧沢内村で生息が確認されている。
生育状況 水のきれいな河川や水路、まれに溜池などの砂底および砂礫底の場所に生息する。流水を好み、溜池内部でも流れのある部分に集中して生息する傾向がある。場所によって個体数にばらつきがあり、金ヶ崎町の溜池や旧沢内村の水路ではほとんど再生産が見られない状況である。ヨコハマシジラガイやタガイなどと共存している場所もある。
生存に対する脅威 水質悪化などの環境の変化には敏感である。また、個体数が少ないため、人による採集圧が個体群に与える影響は大きい。さらに、グロキディウム幼生の寄主となるコイ科魚類の存在が再生産には欠かせないため、魚食性魚類の存在は脅威となる。
特記事項 本種は全国的に減少が危惧される日本固有種である。竹内ら(2007)の調査によって、本県で初めてその存在が確認された。ヨコハマシジラガイの項でも触れたが、真のマツカサガイのリストアップは今回が初となる。東北地方太平洋側にある縄文遺跡数カ所からは本種の出土例が知られており、このことからも現存する個体群の詳細な分布や系統地理的な究明がまたれる。
文献 近藤高貴(2007)日本産イシガイ目貝類図譜. 日本貝類学会特別出版物3号
竹内 基・佐竹邦彦・中村 学・菊池憲明(2007)岩手県における淡水二枚貝類の分布と現状. 岩手県立博物館研究報告24:15-32.
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