形態 |
海浜性の小型のゾウムシで、体長4o内外。ずんぐりした体形。体色は淡褐色から暗褐色。ときに背面に黒色部をもつ。頭部、前胸背は点刻を密布。上翅間室はブロック状に刻まれる。前脚脛節端外角は細長く張出し、後脚脛節端には三日月形の外室をもつ。 |
分布の概要 |
宮古市、山田町、陸前高田市から記録されている。国内では北海道、本州、四国、九州。 |
生育状況 |
県内では、3月〜11月に見られる。湾奥の波静かな海岸で、前面の海中にアマモの生育する砂浜に生息する。主に夜間地表に現れ活動し、日中は漂着したアマモの下や浅い砂中に潜んでいる。他のハマベゾウムシ類に比べ砂浜により広く生息し、個体数は最も多い。ほぼ周年みられるが、夏季に個体数を減じ秋季に再び個体数を増す。砂浜海岸の発達しにくい本県の沿岸部においては、産地は極めて局限される。浅海から砂浜にかけての環境指標種である。 |
生存に対する脅威 |
防波堤の構築など海浜の環境改変。 |
特記事項 |
新産地も確認されたが、環境改変が著しく進んでいる砂浜海岸に生息していることから、情報不足からBランクへ変更した。東日本大震災の影響により2012年現在、陸前高田市の産地は全て消滅。生息が確認できたのは山田町のみ。3月になるとハマベゾウムシ類は全種活動を開始している。津波の影響により浅い砂中や漂着物下に生息する種が大打撃を受けたが、砂浜により広く深く生息している本種は残存することができたと考えられる。今後の震災復興事業(防潮堤の復旧、嵩上げ等)によっては、残った生息地の消滅も懸念される。 |
文献 |
中村裕之(1995)今月のむし, 月刊むし(296):1
熊谷 賢・砂田比左男(2009)岩手県沿岸南部におけるハマベゾウムシ類について,岩手蟲乃會會報 36:15-1 |
写真 |
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