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ゴマシジミ
チョウ目シジミチョウ科
Maculinea teleius ogumae (Matsumura)
岩手県:Aランク        環境省:準絶滅危惧

形態 開張40mm位。雄の翅表は灰青色で外縁は黒褐色で光沢は少ない。前翅の中室端に細い黒線がある、その外側に黒点列がある。雌の翅表は黒褐色。裏面は雄淡灰褐色、雌濃い褐色。前翅に2列の黒紋列、後翅に3列の黒小紋列の他に黒紋が散在する。個体変異が多い。
分布の概要 盛岡市、滝沢市、雫石町、洋野町、久慈市、野田村から記録がある。国内では北海道、本州の青森県と岩手県に産す。別亜種が本州の中部地方と中国地方山地、九州の山地に分布する。
生育状況 7月下旬から8月に出現した成虫はナガボノシロワレモコウの花穂に産卵する。幼虫は花穂を食べて育ち3、4令で地上を這いまわり、シワクシケアリと出会うと運ばれてその巣に入りアリの幼虫を食べて越冬し巣の入り口近くで蛹化する。幼虫の腹部の蜜腺からの蜜をアリがすっていると考えられる。
生存に対する脅威 食草のナガボノシロワレモコウは湿地を好むが、あまり水分が多いとシワクシケアリの行動を阻害する。両方の生存条件を満たす環境は耕地や、宅地に利用されやすい。さらに柳等の灌木が入り込み藪化して食草が生育できなくなる等で既知産地における絶滅が起こりつつある。
特記事項 地域的変異が多く、国内では4亜種にまとめられている。北海道と青森県、岩手県産は同一の亜種にされているが、さらに三陸沿岸北部と県中央部とが隔離していることを含めて変異の検討が必要である。岩手県希少野生動植物指定種。
文献 吉田勝一(2006)岩手県産ゴマシジミ(チョウ目シジミチョウ科)の保全に関する生態的知見,アルテスリベラレス(岩手大学人文科学部紀要).78:171-181
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