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ツヤケシマグソコガネ
コウチュウ目コガネムシ科
Aphodius gotoi Nakane & Nomura
岩手県:Aランク        環境省:絶滅危惧U類

形態 体長4.5o〜5.5o。体型はやや細長く、強く膨隆する。暗褐色で背面は光沢を欠き、頭部を除き微細な短毛を密に有する。頭部は前縁が湾入し、小点刻を密布する。頭楯に3つのコブ状突起をもつが中央のみ明瞭で両側は不明瞭。前胸背板は短毛を有する点刻を密布する。上翅条溝内点刻は間室にはみ出し、間室は短毛を有する微小点刻を非常に密に散布する。
分布の概要 大船渡市三陸町から記録されている。国内では北海道、本州に分布。日本固有種。
生育状況 本種はダイコクコガネに労働寄生することが知られ、ダイコクコガネ育児巣内の糞球に産卵する。分布は極めて局地的。全国的なダイコクコガネの減少に伴い、国内ではここ30数年まったく採集されていない。本県では近年上記の場所で採集され、現在のところ国内で唯一の産地となっている。主に7月〜8月、ダイコクコガネの生息する牛の放牧地で行ったライトトラップで採集された。1例のみであるが、地上のシカ糞からも採集されている。生息地は極めて狭小で、生息密度も低い。
生存に対する脅威 牛の飼養形態の変化と放牧地の質的変化に伴うダイコクコガネの激減。ダイコクコガネが生息できるシバ型放牧地の維持が必要である。
特記事項 東日本大震災に伴う放射能汚染による放牧の中断が種の存続に影響することが懸念される。
文献 砂田比左男(2010a)大船渡市三陸町で確認した糞虫類, 岩手蟲乃會會報,37:30-33
砂田比左男(2011a)大船渡市三陸町で確認した糞虫類 その2, 岩手蟲乃會會報,38:17-18
岡島秀張治・荒谷邦雄(2012)日本産コガネムシ上科標準図鑑.学習研究社
川井信矢・堀 繁久・河原正和・稲垣正志(2005)日本産コガネムシ上科図説 第一巻食糞群.昆虫文献六本脚
塚本桂一・稲垣正志・河原正和・森 正人(2009)ふんコロ昆虫記−食糞性コガネムシを探そうー.トンボ出版
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