形態 |
成魚の全長は20cmほどになり、筋節数は64〜73とカワヤツメよりやや少ない。尾部は暗色で、吸盤上の歯が丸みをおびる以外はカワヤツメ、とりわけ河川型に酷似するため、外部形態のみでの判別は困難である。また、本県産の個体は、北海道産のものに比べると外部形態の計測値がやや小さい傾向にあった。 |
分布の概要 |
久慈市に採集記録(1965年)があるのみである。 |
生育状況 |
アンモシーテス幼生は、流れの緩やかな河床の砂泥中で、デトリタスなどの有機物を摂食して2〜4年かけて成長・変態する。基本的な生態はスナヤツメ北方種やカワヤツメ河川型と同じと推察されるが、本県個体群の詳しい生態は不明である。 |
生存に対する脅威 |
水質や生息環境の劣化など環境悪化が考えられる。 |
特記事項 |
本県のシベリアヤツメは、分布が局限されるばかりか、本州で唯一の集団であった。本種はカワヤツメに最も近縁で、地史的にはごく近い過去(約1万年前の完新世)に種分化したものと考えられている。より古くに分化したスナヤツメ北方種とともにカワヤツメ種群(単系統)にまとめられる種である。さらに、近年カワヤツメ河川型の存在が確認され、母種である遡河回遊型カワヤツメから、このような矮小・非寄生性の河川性集団がこれまでに何度か派生してきたことが推察される。 |
文献 |
山崎裕治・岩田明久(1997)シベリアヤツメの本州における初記録. 魚類学雑誌.44;51-55. |
写真 |
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