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ハコネサンショウウオ
サンショウウオ目サンショウウオ科
Onychodactylus japonicus (Houttuyn)
岩手県:Dランク        環境省:なし

形態 体色は暗赤褐色か暗褐色で、背面中央部の全長にわたって桃黄色の幅広い帯状の模様がある。全長13〜19cmで、体が細長く全体の半分以上が尾である。他のサンショウウオとは、長方形状の細い頭、飛び出た眼、長い胴と尾などの特徴があることで区別できる。卵は半透明でヤマブドウ状をしている。幼生は足の指に黒い爪があることで区別できる。
分布の概要 本州と四国に分布。県内では奥羽山脈、北上高地を中心に渓流周辺の広葉樹林帯に分布。沿岸部にも高地の渓流周辺の広葉樹林帯に点在的に分布。
生育状況 産卵は渓流の伏流水の出る大きな岩の下面に卵のうを1対付着させる。幼生は渓流の源流域で3年近く生活したあと変態し、陸上生活にはいる。この種の成体は肺がなく、皮膚呼吸のみで生活するため乾燥には特に弱い。また、幼生は水中でえら呼吸するが、そのえらが不完全なため、皮膚呼吸が併用されているので、水中の溶存酸素の豊富な環境が必要である。森林と渓流の環境の悪化による減少が懸念される。
生存に対する脅威 森林伐採による林床下の乾燥と渓流の水温上昇。山岳地帯の林道・観光道路・砂防ダム建設による渓流への土砂の流入。道路設置による生息場所と産卵場所との移動路の遮断。高地の放牧地や開墾地からの渓流への土砂やし尿の流入。
特記事項 森林と渓流保全の指標種としても重要である。ここでは従来の標準和名と学名を用いているが、ごく最近東北地方北部(青森・秋田・岩手・宮城)に分布する個体群は、遺伝学的・形態学的な精査により キタオウシュウサンショウウオ O. nipponoborealis Kuro-o, Poyarkov & Vieites, 2012 として新種記載された。
文献 大野正男・柴田康彦(1979)第2回自然環境保全調査 動物分布調査報告書(両生類・は虫類)全国版:財団法人 日本自然保護協会 P104-107
Poyarkov, N. A., Che, J., Min, M. S., Kuro-o, M., Yan, F., Li, C., Iizuka, K., and Vieites, D. R. (2012) Review of the systematics, morphology and distribution of Asian clawed salamanders, genus Onychodactylus (Amphibia,Caudata: Hynobiidae), with the description of four new species. Zootaxa 3465: 1-106.
写真
幼生