形態 |
体の背面は赤褐色から茶褐色、左右の眼から後ろに伸びる背側線はまっすぐで折れ曲がらない。背面体側には黒っぽい模様が出るが、腹面は白色または淡黄白色である。体長は3.5~7.5cm。近縁のヤマアカガエルは、背側線が鼓膜の後ろで外側に折れ曲がっていること、多くは下顎の縁や腹面に黒班が見られることで区別できる。本種の幼生は3~4cmで背面中央部に1対2個の黒色斑紋が見られる。混在するヤマアカガエルの幼生とは斑紋の有無で区別できる。 |
分布の概要 |
一関市、陸前高田市、平泉町、奥州市(前沢区)。盛岡市での坂本氏による生息確認があるが、現在は前沢区以北での生息確認はない。岩手県は太平洋側における分布の北限である。 |
生育状況 |
本種は主に平地や丘陵地の水田や湿地に生息し、早春に水田や湿地の水溜りに産卵する。産卵期に水の溜まっている湿地や湛水水田は非常に重要な産卵場所になっている。平泉以北での生息数は非常に少なく減少傾向が目立つ。 |
生存に対する脅威 |
冬から早春期間の水田の乾燥化による産卵場所の激減が生息数の減少に影響している。開発による成体のすむ草むらと産卵に適する水溜りの減少。圃場整備の影響による減少。 |
特記事項 |
日本固有の亜種。本県が北限地としての存在価値。住田等の研究によると、わが国のニホンアカガエルは東部(一関)と西部(広島)の2種族に分けられているが、酵素、血液蛋白による分析により、秋田県の個体群は、この2種族とも異なることが判明している。これらのことから、種の分化の起源をさぐる面からも貴重な種でもある。 |
文献 |
坂本義彦(1977)盛岡市域の自然環境調査報告書 総集編」:盛岡市、盛岡市自然環境総合調査団 P33-42
本郷敏夫(2002)「秋田県の絶滅の恐れのある野生生物・秋田県版レッドデータブック動物」:秋田県生活環境文化部自然保護課 P97
松井正文・前田憲男(2002)日本のカエル図鑑:文一総合出版 P46 |
写真 |
|