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トウホクサンショウウオ
サンショウウオ目サンショウウオ科
Hynobius lichenatus (Boulenger)
岩手県:Cランク        環境省:準絶滅危惧種

形態 体の背面は黒褐色または暗褐色で、体側には淡色の斑点が見られる。腹側は灰白色で微小な褐色の斑点がある。全長9〜14cm。卵のうは透明で、長さ10cm前後のバナナ状をしている。近縁のクロサンショウウオとは混生する場所もあるが、本種は比較的体が小さく華しゃな感じがするのに対し、クロサンショウウオは体が太った感じで、全身黒の単色に見える。卵のうは明らかに異なるので区別できる。
分布の概要 県内では山麓の平地から標高 数100mの山地の林床部、沢沿いや湿地帯等全域に広く分布している。北上高地では1200m付近でも生息が確認されている。特にも、平地での生息環境の悪化による生息数の減少が目立つ。新潟県、群馬・栃木両県の北部と東北地方に広く分布する。
生育状況 成体は山地の林床部の落葉や石の下などで生息し、ミミズや節足動物を捕食している。産卵は細い渓流のよどみ、湧水の流入している浅いため池や沼、湿地の池塘、側溝、山地の水溜りなどで行われ、水中の枯れ枝等に1対ずつ産み付けられる。孵化した幼生は鰓を持ち水中生活をする。餌は水生昆虫などを食するが、共食いもする。生息環境としては産卵場所となる水溜りと周囲に成体の生息する広葉樹林が必要である。
生存に対する脅威 産卵場所周辺の広葉樹林の伐採による成体の生息環境の破壊と湧水の枯渇。土地の開発整備による池・沼等の埋め立て。山裾や林道沿いの土側溝のコンクリートU字溝化。
特記事項 山麓の民家の沢から水を引く水路や池、湧水を溜めた枡などに春先に産卵に集まりよく目撃されサンショカジカと呼ばれ親しまれている。
文献
写真