岩手県内のイヌワシ繁殖結果 (2002年〜2023年)

  岩手県内で確認されている約30つがいのうち、ヒナを巣立たせることができたつがいは、多い年で7つがい、少ない年で1つがいで(推定含む)、2002〜23年の22年間に巣立ったヒナは合計82羽(1年あたり3.7羽)でした。
 2023年は2羽のヒナが巣立ちし、繁殖成功率は8.3%でした(消失・合併つがいを含めた場合は5.7%)。

   最終繁殖段階別イヌワシつがい数

最終の繁殖段階 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
ヒナ巣立ち 確認 4 3 3 2 3 2 4 4 5 3 6 5 1 4 4 4 2 2 2 2 1 2
推定 3 1 3 1 0 0 1 0 0 0 1 1 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0
ヒナ孵化 確認 3 2 6 6 2 3 3 2 4 5 2 3 3 5 4 6 5 7 7 4 4 3
推定 1 0 2 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
抱卵 確認 2 5 3 3 4 2 4 5 1 3 1 2 7 5 2 4 5 3 3 2 2 2
推定 1 2 0 0 3 0 1 0 1 0 3 3 1 1 0 1 1 1 0 0 0 0
造巣 確認 7 10 5 10 11 12 8 9 9 6 5 5 7 4 9 4 5 6 4 5 5 5
推定 2 1 1 0 0 1 0 0 1 1 0 0 1 1 2 1 0 0 1 0 0 1
繁殖活動なし 推定 4 2 6 6 6 9 8 9 8 8 9 7 5 5 4 4 5 5 7 11 12 11
消失   2 2 3 3 3 3 3 3 3 5 6 6 7 7 8 9 9 10 10 10 10 10
合併   0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1
不明 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
29 29 32 32 32 32 32 32 32 33 34 34 34 34 34 35 35 35 35 35 35 35


注1: 繁殖段階の判定基準

 ヒナ巣立ち(確認): 巣立ちしたヒナの生存を目視、声で確認したもの。
 ヒナ巣立ち(推定): 巣立ちに近い日齢のヒナの消息が不明になったが、巣立ちしたと推定されるもの。
 ヒナ孵化(確認): 巣内のヒナを目視、声、親鳥の給餌行動などで確認したもの。
繁殖後にヒナの痕跡(死体、羽毛、糞跡など)が見られたもの。
 ヒナ孵化(推定): 親鳥の餌運びなどから、ヒナが孵ったと推測されるもの。
 抱卵(確認): 巣内に卵を確認、または親鳥の抱卵姿勢、転卵行動、つがいの抱卵交代などが見られたもの。
 抱卵(推定): 抱卵期に親鳥が長時間巣に入るなど、抱卵していると推定されるもの。
 造巣(確認): 巣材運びが見られたものや、巣内に新しい巣材が見られたもの。
 造巣(推定): 巣付近での出現状況や巣の状態から、造巣したと推定されるもの。
 繁殖活動なし(推定): つがいは生息しているが、造巣(推定)以上の繁殖行動が見られなかったもの
(未確認の巣で繁殖活動をしていた可能性がないとは言えない)。
 消失: 個体の生息がほとんど確認されなくなったもの(約5年間の出現頻度がきわめて低いことにより判定)。
 合併: 2つのつがいがそれぞれ占有していた営巣地を、1つのつがいだけが占有する状態になったもの。


注2: 新たな情報により、年度を遡って繁殖結果が変更されることもあります。


 各繁殖段階に達したつがい数の割合の年変化(消失・合併つがい含む)


  岩手県内で確認されたつがいのうち、近年造巣活動がみられるのは約13つがい(3分の1程度)で、残りは繁殖に関する活動が確認されません。卵を産んで抱卵に入るつがいは平均して8つがいで、全体の約2割しかいません。さらに、ヒナが誕生するつがいは6つがい程で、全体の約17%と少なくなります。ヒナがかえっても無事に巣立てない場合も多く、最終的に繁殖に成功するつがいは平均すると5%程度という状況です。