岩手県立博物館

岩手山を望める丘のミュージアム

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岩手県立博物館の中期計画(令和5年度~令和9年度)

令和5年5月制定

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1. 目指す姿

  1. 社会から託された博物館の役割を実現するための基盤整備を進め、いわての自然史・文化史の拠点となることを目指します。
    【自然史・文化史の拠点の役割】
  2. 岩手の自然や人間の営みの証拠となる資料の収集・保存並びに被災文化財等の修復・保存に努め、県民共有の知的財産として次世代に確実に継承していきます。
    【博物館資料の収集及び被災文化財の修復保存と継承】
  3. さまざまな機関との連携を強化し、自然環境や文化遺産の保全を支援して県民の  知的活動に寄与することにより、岩手の教育・学術・文化の振興・発展、地域づくりに貢献します。
    【県民の知的活動への寄与】
  4. 開かれた博物館として、県民との積極的な交流を進め、自主的な学習の場を提供することにより、県民の生涯学習活動と次世代の育成のための学校教育活動を積極的に支援します。
    【博学連携と生涯学習活動への支援の強化】

2. 博物館活動の目標 

 博物館活動を進めていくに当たっての成果指標を次のとおりとする。

(1)総利用者数(入館者数・参加者数)→ 55,000人以上(令和5年度55,000人、以降毎年度1,000人ずつ増加)
項目 前期実績 次期計画
目標値 H30 R元 R2 R3 R4 目標値
総利用者数(人) 55,000 67,559 67,118 30,933 36,951 43,368 55,000人~
【内訳】
(ア)入館者数 → 40,000人以上(令和5年度40,000人、以降毎年度500人ずつ増加)
項目 前期実績 次期計画
目標値 H30 R元 R2 R3 R4 目標値
入館者数(人) 40,000 47,883 47,239 22,499 28,292 31,617 40,000人~
(イ)教育普及活動等参加者 → 15,000人以上(15,000人、以降毎年度500人ずつ増加)
項目 前期実績 次期計画
目標値 H30 R元 R2 R3 R4 目標値
参加者数(人) 10,000 19,676 19,879 8,434 8,659 11,751 15,000人~
(2)ホームページアクセス件数 → トップページアクセス件数(80,000件以上)
項目 前期実績 次期計画
目標値 H30 R元 R2 R3 R4 目標値
総アクセス件数(件) 500,000 656,808 725,880 - - - 80,000件
(3)資料のインターネット公開点数 → 年間100点以上追加
項目 前期実績 次期計画
目標値 H30 R元 R2 R3 R4 目標値
公開点数(点) - - - - - - 100点
(4)満足度割合 → 各項目について95%以上(これまでの実績をベースにした高い水準の目標値)
項目 前期実績 次期計画
目標値 H30 R元 R2 R3 R4 目標値
入館者満足度 95% 92.6% 96.3% 95.8% 92.1% 94.4% 95%
職員対応満足度 95% 93.2% 96.8% 98.3% 93.9% 99.1% 95%
特別展示入館者満足度 95% 94.8% 92.2% 93.5% 92.3% 96.0% 95%
講座参加者満足度 95% 97.8% 96.8% 98.0% 95.9% 98.3% 95%
現地見学会参加者満足度 95% 96.8% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 95%
子ども向け事業参加者 95% 99.1% 99.1% 99.3% 99.6% 99.4% 95%
  • ※1. 入館者満足度は、入館者に対する総括的な満足度の調査結果であること。
  • ※2. 満足度の実績は、利用者アンケート調査を実施した事業の調査結果による。
〈目標値設定の考え方〉
(1) 総利用者数(内訳:入館者数・教育普及活動等の参加者数)
  • ① 博物館の総利用者数の増加を目標とする。
    総利用者数 = 入館者数 + 教育普及活動等参加者数(移動展参加者も含む)
  • ② 入館者数の初年度(令和5年度)目標を40,000人とし、6年度以降、毎年500人ずつ増加。同様に教育普及活動の初年度目標を15,000人とし、毎年500人ずつ増加する目標を設定し、入館者数の確保を図りながら、博学連携を中心とした館外での活動、展示等にもさらに力を入れていく。
  • (2) ホームページアクセス件数
  • ① ホームページについては、広報宣伝ツールの主体であり、リニューアルを行いながら、よりタイムリーで豊富な情報量と見やすさの向上を図ってきている。
  • ② また、ツイッター・フェイスブックなどその他のSNSからの情報発信にも努めている。
  • ③ ホームページへのアクセスは、カウント対象を見直し、トップページアクセス件数の増を目標とすること。
  • ④ 令和5年1月、2月のアクセス状況及びこれまでの実績等を考慮し、年間80,000件以上を目標値として設定する。
  • (3) インターネットでの資料公開点数(解説付き) 年間 100 点以上を目標値として設定する。
    (4) 入館者・事業参加者の満足度割合

       これまでの満足度の実績値をベースに、高い水準を目標値とすること。

    3. 岩手県立博物館の活動方針(重点的に取り組む事項)

     岩手県立博物館の「使命書」、「目指す姿」の実現に向けた活動を行っていくため、前期中期計画の評価結果を踏まえ、当博物館が有する機能や主な取組分野ごとに、下記のとおり活動方針を定める。

    (1)当博物館の事業の活動方針(重点的に取り組む事項)
    ア 資料の効果的な管理と県民への公表の推進
    1. 本県の自然や人間の営みの証拠とするために欠くことのできない資料を収集する。
    2. 年々増加する資料を効率的に整理するため、資料収集から登録作業までの効率的な事務処理システムを構築する。
    3. 計画的に資料のデジタル化を推し進め、インターネットでの公開を積極的に進める。
    4. 良好な資料保存環境の維持向上を目指す。
    5. 災害時における的確な資料保管方法を確立する。
    イ 充実した調査研究活動の推進と調査結果の県民への還元
    1. 本県の自然史・文化史の拠点として、調査研究の質の向上を目指す。
    2. 高い専門性を有する研究協力員等の更なる拡大及び活用を図り、調査研究活動の充実を図る。
    3. 博物館全体の財源が縮減傾向にあることから、調査研究に当たっては、外部助成事業の導入や企業との連携による賛助金の確保など外部資金の効果的な導入に努める。
    4. 県内の大学、研究機関、各分野の研究者との調査研究の連携を図るための体制づくりについて検討する。
    5. 館活動の根幹である調査研究の成果を幅広く公表する。
    ウ 魅力的な特別展示の開催
    1. 調査研究の反映や収蔵資料の活用によって、魅力ある企画展やテーマ展等を開催し、入館者の拡充を図る。
    2. 入館者の関心を反映した企画展示に努める。特に、令和5年度は全国的に注目される企画展を実施するなど、入館促進を意識した展示の工夫を行う。
    3. 魅力のある展示内容とともに、県民を惹き付けるようなネーミングを行う。
    4. 特別展示の開催が入館者数の誘客に繋がっていることから、特別展示は、現状の開催回数を維持して開催する。
    5. 限られた予算の中で、魅力的な企画を行うため、外部助成事業の導入や企業の協賛を図るなど、新たな財源確保に努める。
    エ 利用者に親しまれる常設展示の充実
    1. 入館者の利用増加のためにはリピーターの確保が不可欠であり、そのためにも、季節や年中行事に合わせた展示替えを春夏秋冬(年4回)に行うなど、利用者の視点での魅力的な展示に努める。
    2. ホームページやSNSでの展示内容の詳細周知とともに展示替えの情報を幅広く公表し、利用者の関心を高め、リピーターの誘客を図る。
    3. 資料に実際に触れることができる参加型の展示や体験型展示の工夫を行う。
    4. 地域の年中行事に合わせた展示替えを行うなど、地域住民に親しまれる常設展示の工夫を検討する。
    5. 東日本大震災を受けて防災教育に関わる展示を常設化する。
    6. 常に入館者の立場に立って誰にでも分かりやすく、親しみやすい内容となるような説明解説等、一層の工夫を行う。
    オ 教育普及活動の充実
    1. 県民の知識・教養を高め、県民が豊かな社会生活を営むための機会や情報を提供する。
    2. 生涯学習の普及啓発のために、引き続き、利用者の満足度及びニーズを把握し、多彩で的確な事業の充実化に努め、参加者の拡充を図る。
    3. 指定管理者との連携による「博物館まつり」をはじめ、三世代で楽しめるイベントを実施することにより来館を促し、学びの場としての利用提供を進める。
    4. 生涯教育に関係する館内及び館外活動の充実を図る。
    カ 学校教育との連携(学習支援)の強化
    1. 学習指導要領の教科書に対応した常設展示目録対照表を作成するなど、博学連携に努め、学校教育に一層活用される博物館を目指す。
    2. 児童生徒の学習利用の受け入れに当たっては、展示解説、講義、体験学習など、学校側のニーズに応えられるよう、学芸職員、解説員が連携し、柔軟に対応するなど、受け入れ態勢の強化に努める。
    3. 「教員のための博物館の日」の設定等、広く学校職員に博物館に親しみ、楽しむ機会を提供することにより、博物館利用の理解を促し、博物館と学校との連携強化に繋げる。
    4. 博物館と学校を結ぶ教育普及活動の広報宣伝を定期的に行い、博物館と学校との連携を一層強化する。
    5. 学校教育に関係する館内及び館外活動の充実を図る。
    キ 被災文化財等救援活動の実施と被災機関への復興支援
    1. 外部の専門機関と連携して、被災資料の安定化処理及び本格修理を行い、被災資料の再生を図る。
    2. 被災文化財再生(安定化処理及び本格修理の過程)の状況を公開し、活動に対する理解を深める。
    3. 再生の過程で明らかとなった被災資料の学術情報を整理し、データベース化を進め、被災機関に提供するなど、被災した機関の復興を支援する。
    4. 東日本大震災津波の経験を東北六県が真に共有し、ブロックレベルでの博物館・文化財等防災力の底上げを図る(東北発 博物館・文化財等防災力向上プロジェクトの推進)。
      ア)指定文化財や博物館等文化施設の位置とハザードマップをリンクさせ、災害リスクを可視化する文化遺産マップを作成する。
      イ)再生を果たした岩手・宮城・福島の3つの文化施設の見学を疑似的に体験できる映像コンテンツを作成・公開し、情報発信するとともに被災地への人流を促す。
    ク 施設の利活用の促進
    1. 県民への利用開放を一層促進し、「身近で活力のある博物館」となるように目指す。
    2. 講堂や芝生広場、民家等の活用については、地域住民や各種団体(高校文化部・大学サークル・老人クラブ等)等に利用開放するなどし、積極的な利用促進を行う。
    ケ 博物館関係団体及び地域との連携強化
    1. 岩手県博物館等連絡協議会との連携の強化
      「東北発 博物館・文化財等防災力向上プロジェクト事業等」により、岩手県博物館等連絡協議会の加盟館・園の連携強化及び活動の活性化を図る。
    2. ミュージアムショップの経営改善等
      ミュージアムショップの収支改善に向け、運営体制等について見直しの検討を行う。
    3. 指定管理者との連携による家族や子ども向けイベントの推進
      ア)博物館まつりの開催
      イ)幅広い世代に楽しんでもらえるイベントの実施
    4. 博物館友の会との連携の強化
      博物館と博物館友の会との連携を一層推し進め、友の会及び博物館の双方の事業が充実されることを目的に、博物館の教育普及事業等への友の会会員の参画を図る。
    5. 地域住民との連携の強化
      教育普及事業等への地域住民の参画を図り、博物館と地域との連携を深める。
    6. 「三陸ジオパーク推進協議会」と連携・協力し、地質・地形をはじめとする大地の恵みを保全しつつ活用するというジオパークの趣旨に沿って、三陸地域の社会的・経済的・文化的な地域の持続可能な発展を支援する。
    コ 広報宣伝活動の強化
    1. 広報宣伝については、全職員が常に広報宣伝担当者としての意識を持ち、あらゆる機会を活用して広報宣伝活動を行う。
    2. ホームページの充実やSNSの活用を図り、タイムリーできめ細かな情報発信を行う。
    3. ポケット学芸員等のコンテンツの充実のほかホームページ上で、館内のバーチャルツアーができる仕組の導入や講座等の動画の配信などを行う。
    4. 入館者が快適にスマートフォン等を使用できるよう、無料公衆無線LAN(Wi-Fi)機器の更新等整備を進める。
    5. 効果的で有益な宣伝広報として、県が行う広報を利用した宣伝活動を積極的に行う。
    6. パブリシティ効果を念頭に、マスコミに対しては事業の魅力が伝わる情報提供の仕方を工夫する。
    7. 企画展、テーマ展については、報道関係機関以外にも、地域振興、観光関係機関と連携した宣伝活動を強化し、地域づくり、観光面からの誘客を図る。
    サ 事業の円滑な推進
    1. 岩手県立博物館の使命書、経営計画書を全職員で共有し、活動目標を意識しながら博物館事業を円滑に推進する。
    2. 事業執行に当たっては、常に、予算執行及び事務処理の効率化に努める。
    3. 来館者へのサービスの向上に努めるとともに、来館者の意見・要望に対しては情報共有とホームぺージによる対応状況の公表を行う。
    4. 来館者の安全に留意するとともに、館内の危機管理体制の充実を図る。
    シ 社会的責任と地域社会への貢献
    1. 学芸員を目指す学生の博物館実習施設として、継続して希望者を受入れ、博物館独自のプログラムを用意し、職員総出による指導を行う。
    2. 県内の博物館党職員及び市町村教育委員会文化財担当者等を対象とした「文化財等取扱講習会」を開催し、資料収集保管の基本的な取扱い、資料を活用した展示及び教育普及活動等の指導など文化財に関する人材育成に継続して取り組む。
    ス 施設の維持管理と計画的な整備
    1. 国や地方の財政状況は厳しさが増しており、多額を要する大規模な補修は困難な状況であるが、入館者の安全管理を第一に、SDGs(環境への配慮)やインクルーシブ施設を意識しながら、施設の維持管理に努める。
    2. 貴重な文化財等を保管する収蔵施設の劣化箇所の早急な整備に努める。
    3. 経年劣化した施設設備の改修は、優先順位に配慮しつつ、計画的な整備に努める。
    4. 消防法等関係法令の改正等に対応した施設設備の整備に努める。
    5. 来館者のニーズを踏まえ、サービス向上のための施設・設備整備について検討するとともに、文化庁の重要文化財等公開承認施設を維持するための環境整備に努める。
    セ 大規模災害発生時の危機管理体制の強化
    1. リスクマネージメントの確立(事前準備)
      ア)リスクの把握と評価
      イ)リスクへの対応(訓練、予防措置、保険、地域や他館との連携、各種情報発信、対応マニュアルの整備等)
    2. 危機管理体制の強化(災害発生時の対応)
      ア)安全の確保対策
      イ)初動体制
      ウ)被災状況の確認、関係者への通報
      エ)復旧対策
    ソ 業務の執行体制の強化
    1. コンプライアンスの遵守を意識しながら職員の満足度が高まる職場環境の醸成に努める。
    2. 市町村支援や社会貢献を果たすための組織体制について検討する。
    3. 各課及び担当分野ごとの会議・打ち合わせを定期的に行い、情報の共有を図る。
    4. 人材の育成に努める。
    (2)事業活動方針に基づいた取り組みの実施計画

    (PDCAサイクルによるマネジメントの徹底)

    1. 各年度の具体的な取り組みについては、それぞれの年度(予算を伴うものは前年度)において検討し決定する。
    2. それぞれの事業については、各事業年度において、自己評価及び職員全員による全体評価結果を踏まえ、必要に応じて見直しを行う。
      ア)事業の効果
      イ)費用対効果
      ウ)事業の進め方
      エ)その他