研究テーマ
岩手県における淡水魚の多様性調査について
ここでは平成18年度から実施している調査研究についてご紹介します。
○目的
岩手県の河川、湖沼、ため池等の淡水魚について希少種や外来種の分布域や生息環境の調査は特定の地域以外は最近の調査件数が少ないうえに、自然環境の破壊や撹乱などの現状についてもアセスの事前調査が一般的でその後の環境や生物の回復状況を示す資料は少ない。そこで、岩手県全域で捕獲調査を行い希少種や外来種以外の種類も含めて生息状況、環境等の基礎的調査を行い、岩手県の自然環境保全、生物多様性の維持と希少種の保護並びに外来種の拡散防止の基礎としたい。
○方法
調査方法はタモ網、モンドリ、投網等を使用しての採捕調査と関係団体等からの聞き取り調査による。調査項目は魚種の同定、気温・水温・体長の計測、採捕個体や環境の写真撮影などを行う。魚種の同定方法は日本産魚類検索−全種の同定(東海大学出版会)、日本の淡水魚(山と渓谷社)、岩手県野生生物目録により行う。
○結果
平成18年度は県内のため池42地点について調査を実施した。盛岡市郊外ではコイ、モツゴ、ヨシノボリ、アブラハヤが確認され、外来種ではオオクチバスが生息しているため池もあった。花巻市では岩手県RDBでAランクのゼニタナゴ、シナイモツゴを始め、Bランクのメダカ、キンブナ、その他にコイ、ゲンゴロウブナ、モツゴ、ヨシノボリ、ウキゴリ、ヌマチチブ、ワカサギ、ホンモロコ、外来種のオオクチバス、カムルチーが確認された。金ヶ崎町ではコイ、ゲンゴロウブナ、モツゴ、ヨシノボリ、外来種のオオクチバスが確認された。一関市ではBランクのメダカ、キンブナの他にコイ、ゲンゴロウブナ、モツゴ、ギバチ等が確認され、外来種の確認はなかった。
いくつかのため池は昔ながらの環境が維持されており、地域住民の皆さんにより池干しや草刈が行われているため池もあった。
○今後の展望
継続して調査を実施し多くの事例について情報を収集するとともに、淡水魚の生息状況と開発や保全との関係について検討していきたい。