岩手県立博物館の中期計画(平成30年度~平成34年度)
平成30年9月制定
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1. 目指す姿
- 社会から託された博物館の役割を実現するための基盤整備を進め、いわての自然史・文化史の拠点となることを目指します。
【自然史・文化史の拠点の役割】
- 岩手の自然や人間の営みの証拠となる資料の収集・保存並びに被災文化財等の修復・保存に努め、県民共有の知的財産として次世代に確実に継承していきます。
【博物館資料の収集及び被災文化財の修復保存と継承】
- さまざまな機関との連携を強化し、自然環境や文化遺産の保全を支援して県民の 知的活動に寄与することにより、岩手の教育・学術・文化の振興・発展、地域づくりに貢献します。
【県民の知的活動への寄与】
- 開かれた博物館として、県民との積極的な交流を進め、自主的な学習の場を提供することにより、県民の生涯学習活動と次世代の育成のための学校教育活動を積極的に支援します。
【博学連携と生涯学習活動への支援の強化】
2. 博物館活動の目標
博物館活動を進めていくに当たっての成果指標を次のとおりとする。
(1)総利用者数 → 55,000人以上(入館者数・参加者数)
項目 |
前期計画 |
次期計画 |
目標値 |
H25 |
H26 |
H27 |
H28 |
H29 |
目標値 |
総利用者数(人) |
- |
68,580 |
46,612 |
54,880 |
68,491 |
74,637 |
55,000人 |
【内訳】
(ア)入館者数 → 40,000人以上(一定目標とする入館者数の確保)
項目 |
前期計画 |
次期計画 |
目標値 |
H25 |
H26 |
H27 |
H28 |
H29 |
目標値 |
入館者数(人) |
40,000 |
44,210 |
32,846 |
40,258 |
44,968 |
50,319 |
40,000人 |
(イ)教育普及活動等参加者 → 15,000人以上(これまでの目標値を上回る参加者数)
項目 |
前期計画 |
次期計画 |
目標値 |
H25 |
H26 |
H27 |
H28 |
H29 |
目標値 |
参加者数(人) |
10,000 |
24,370 |
13,766 |
14,622 |
23,523 |
24,318 |
15,000人 |
(2)ホームページアクセス件数 → 500,000件以上/トップページアクセス件数から、総アクセス件数に変更。
項目 |
前期計画 |
次期計画 |
目標値 |
H25 |
H26 |
H27 |
H28 |
H29 |
目標値 |
総アクセス件数(件) |
- |
- |
- |
- |
- |
599,571 |
500,000件 |
※トップページアクセス件数(件) |
90,000 |
79,311 |
53,657 |
69,816 |
75,827 |
87,708 |
- |
(3)満足度割合 → 各項目について95%以上(これまでの実績をベースにした高い水準の目標値)
項目 |
前期計画 |
次期計画 |
目標値 |
H25 |
H26 |
H27 |
H28 |
H29 |
目標値 |
入館者満足度 |
97% |
88% |
95% |
96% |
97% |
96% |
95% |
職員対応満足度 |
99% |
89% |
98% |
97% |
97% |
98% |
95% |
特別展示入館者満足度 |
93% |
96% |
99% |
96% |
96% |
95% |
95% |
講座参加者満足度 |
95% |
97% |
97% |
96% |
98% |
96% |
95% |
現地見学会参加者満足度 |
97% |
97% |
99% |
100% |
99% |
97% |
95% |
子ども向け事業参加者 |
99% |
99% |
99% |
99% |
99% |
99% |
95% |
- ※1. 入館者満足度は、入館者に対する総括的な満足度の調査結果であること。
- ※2. 満足度の実績は、利用者アンケート調査を実施した事業の調査結果による。
3. 岩手県立博物館の活動方針(重点的に取り組む事項)
岩手県立博物館の「使命書」、「目指す姿」の実現に向けた活動を行っていくため、前期中期計画(H25~H29年度)の評価結果を踏まえ、当博物館が有する機能や主な取組分野ごとに、下記のとおり活動方針を定める。
(1)当博物館の事業の活動方針(重点的に取り組む事項)
ア 資料の効果的な管理と県民への公表の推進
- 本県の自然や人間の営みの証拠とするために欠くことのできない資料を収集する。
- 年々増加する資料を効率的に整理するため、資料収集から登録作業までの効率的な事務処理システムを構築する。
- 計画的に資料のデジタル化を進め、インターネットでの公開を積極的に進める。
- 良好な資料保存環境の維持向上を目指す。
- 災害時における的確な資料保管方法を確立する。
イ 充実した調査研究活動の推進と調査結果の県民への還元
- 本県の自然史・文化史の拠点として、調査研究の質の向上を目指す。
- 高い専門性を有する研究協力員等の更なる拡大及び活用を図り、調査研究活動の充実を図る。
- 博物館全体の財源が縮減傾向にあることから、調査研究に当たっては、外部助成事業の導入や企業との連携による賛助金の確保など外部資金の効果的な導入に努める。
- 県内の大学、研究機関、各分野の研究者との調査研究の連携を図るための体制づくりについて検討する。
- 館活動の根幹である調査研究の成果を幅広く公表する。
ウ 魅力的な特別展示の開催
- 調査研究の反映や収蔵資料の活用によって、魅力ある企画展やテーマ展等を開催し、入館者の拡充を図る。
- 集客を意識し、入館者の関心を反映した企画展示に努める。特に、開館40周年を迎えるH32年度においては、県民にアピールできるような特別展示を実施する。
- 魅力のある展示内容とともに、県民を惹き付けるようなネーミングを行う。
- 特別展示の開催が入館者数の誘客に繋がっていることから、特別展示は、現状の開催回数を維持して開催する。
- 限られた予算の中で、魅力的な企画を行うため、外部助成事業の導入や企業の協賛を図るなど、新たな財源確保に努める。
エ 利用者に親しまれる常設展示の充実
- 入館者の利用増加のためにはリピーターの確保が不可欠であり、そのためにも、季節や年中行事に合わせた展示替えを春夏秋冬(年4回)に行うなど、利用者の視点での魅力的な展示に努める。
- ホームページやSNSで展示内容の詳細周知とともに展示替えの情報を幅広く公表し、利用者の関心を高め、リピーターの誘客を図る。
- 資料に実際に触れることができる参加型の展示や体験型展示の工夫を行う。
- 地域の年中行事に合わせた展示替えを行うなど、地域住民に親しまれる常設展示の工夫を検討する。
- 東日本大震災を受けて防災教育に関わる展示を常設化する。
- 常に入館者の立場に立って誰にでも分かりやすく、親しみやすい内容となるような説明解説等、一層の工夫を行う。
オ 教育普及活動の充実
- 県民の知識・教養を高め、県民が豊かな社会生活を営むための機会や情報を提供する。
- 生涯学習の普及啓発のために、引き続き、利用者の満足度及びニーズを把握し、多彩で的確な事業の充実化に努め、参加者の拡充を図る。
- 博物館全体の財源が縮減傾向にあることから、調査研究に当たっては、外部助成事業の導入や企業との連携による賛助金の確保など外部資金の効果的な導入に努める。
- 指定管理者との連携による「博物館まつり」をはじめ、三世代で楽しめるイベントを実施することにより来館を促し、学びの場としての利用提供を進める。
- 生涯教育に関係する館内及び館外活動の充実を図る。
カ 学校教育との連携(学習支援)の強化
- 学習指導要領の教科書に対応した常設展示目録対照表を作成するなど、博学連携に努め、学校教育に一層活用される博物館を目指す。
- 児童生徒の学習利用の受け入れに当たっては、展示解説、講義、体験学習など、学校側のニーズに応えられるよう、学芸職員、解説員が連携し、柔軟に対応するなど、受け入れ態勢の強化に努める。
- 「教員のための博物館の日」の設定等、広く学校職員に博物館に親しみ、楽しむ機会を提供することにより、博物館利用の理解を促し、博物館と学校との連携強化に繋げる。
- 博物館と学校を結ぶ教育普及活動の広報宣伝を定期的に行い、博物館と学校との連携を一層強化する。
- 学校教育に関係する館内及び館外活動の充実を図る。
キ 被災文化財等救援活動の実施と被災機関への復興支援
- 外部の専門機関と連携して、被災資料の安定化処理及び本格修理を行い、被災資料の再生を図る。
- 被災文化財再生(安定化処理及び本格修理の過程)の状況を公開し、活動に対する理解を深める。
- 被災文化財等救援活動のためのネットワークの構築を図り、今後発生が予想される類似の大規模自然災害に備える。
- 再生の過程で明らかとなった被災資料の学術情報を整理し、データベース化を進め、被災機関に提供するなど、被災した機関の復興を支援する。
ク 施設の利活用の促進
- 県民への利用開放を一層促進し、「身近で活力のある博物館」となるように目指す。
- 講堂や芝生広場、民家などの活用については、地域住民や各種団体(高校文化部・大学サークル・老人クラブ等)等に利用開放するなどし、積極的な利用促進を行う。
ケ 博物館関係団体及び周辺地域との連携強化
- 岩手県博物館等連絡協議会との連携の強化
被災文化財等救援活動のための広域的ネットワークにより、岩手県博物館等連絡協議会の加盟館・園の連携強化及び活動の活性化を図る。
- 指定管理者との連携による魅力的なミュージアムショップの運営
- (1) 魅力ある商品の開発及び販売を行う。
- (2) ホームページを利用したオリジナル商品等の周知を行う。
- 指定管理者との連携による家族や子ども向けイベントの推進
- (1) 博物館まつりの開催
- (2) 幅広い世代に楽しんでもらえるイベントの実施
- 博物館友の会との連携の強化
博物館と博物館友の会との連携を一層推し進め、友の会及び博物館の双方の事業が充実されることを目的に、博物館の教育普及事業等への友の会会員の参画を図る。
- 地域住民との連携の強化
教育普及事業等への地域住民の参画を図り、博物館と地域との連携を深める。
- 四十四田公園の活用については、博物館事業でのさらなる活用のための整備や案内等のボランティアの導入など、関係機関との連携を図りながら対応する。
コ 広報宣伝活動の強化
- 広報宣伝については、全職員が常に広報宣伝担当者としての意識を持ち、あらゆる
機会を活用して広報宣伝活動を行う。
- ホームページの充実やSNSの活用を図り、タイムリーできめ細かな情報発信を行う。
- 効果的で有益な宣伝広報として、県が行う広報を利用した宣伝活動を積極的に行う。
- パブリシティ効果を念頭に、マスコミに対しては事業の魅力が伝わる情報提供の仕方を工夫する。
- 企画展、テーマ展については、報道関係機関以外にも、地域振興、観光関係機関と連携した宣伝活動を強化し、地域づくり、観光面からの誘客を図る。
サ 事業の円滑な推進
- 岩手県立博物館の使命書、経営計画書を全職員で共有し、活動目標を意識しながら博物館事業を円滑に推進する。
- 事業執行に当たっては、常に、予算執行及び事務処理の効率化に努める。
- 来館者へのサービスの向上に努めるとともに、来館者の意見・要望に対しては情報共有とホームぺージによる対応状況の公表を行う。
- 来館者の安全に留意するとともに、館内の危機管理体制の充実を図る。
シ 施設の維持管理と計画的な整備
- 国や地方の財政状況は厳しさが増しており、多額を要する大規模な補修は困難な状況であるが、入館者の安全管理を第一に、可能な限り、施設の維持管理に努める。
- 貴重な文化財等を保管する収蔵施設の劣化箇所の早急な整備に努める。
- 経年劣化した施設設備の改修は、優先順位に配慮しつつ、計画的な整備に努める。
- 消防法等関係法令の改正等に対応した施設設備の整備に努める。
- 来館者のニーズを踏まえ、サービス向上のための施設整備について検討する。
- 大規模展示に対応可能な展示スペースの確保について検討を進める。
ス 大規模災害発生時の危機管理体制の強化
- リスクマネージメントの確立(事前準備)
- (1) リスクの把握と評価
- (2) リスクへの対応(訓練、予防措置、備蓄、保険、地域や他館との連携、各種情報発信、対応マニュアルの整備等)
- 危機管理体制の強化(災害発生時の対応)
- (1) 安全の確保対策
- (2) 初動体制
- (3) 被災状況の確認、関係者への通報
- (4) 復旧対策
セ 業務の執行体制の強化
- 職員の満足度が高まる職場環境の醸成に努める。
- 効率的な組織体制について検討する。
- 各課及び担当分野ごとの会議・打ち合わせを定期的に行い、情報の共有を図る。
- 人材の育成に努める。
(2)事業活動方針に基づいた取り組みの実施計画
(PDCAサイクルによるマネジメントの徹底)
- 項目(分野)ごとに、今後5カ年の実施計画を策定する。(別表様式)
- 各年度の具体的な取り組みについては、それぞれの年度(予算を伴うものは前年度)において検討し決定する。
- それぞれの事業については、各事業年度において、自己評価及び職員全員による全体評価結果を踏まえ、必要に応じて見直しを行う。
- ア)事業の効果
- イ)費用対効果
- ウ)事業の進め方
- エ)その他