令和元年7月6日 情報提供(文、写真) 小原 昭彦
|
須川高原から登頂できる3つのコースの中で、最短で多くの人が歩くメインルートでもあった
「須川コース」が高濃度の火山性ガス噴出のため今年から立ち入り禁止になっています。
このため須川高原から登頂するには必然的に「秣岳(まぐさだけ)コース」か「産沼(うぶぬま)コース[自然観察路]」の2択になります。
秋田県側にある秣岳(天馬尾根)コースの登山口は、標高1,120mの須川高原よりも約90m低い
標高1,030mに位置し、山頂までの距離が比較的長いので健脚者が多いようです。
|
|
産沼コースは、「須川コース」と同様に須川高原温泉の登山口から入りますが、
サワランやイワイチョウ、ワタスゲが揺れる高層湿原の「名残ヶ原(なごりがはら)」を経て、
「苔花台(たいかだい)」分岐から左の谷に降り、ゼッタ沢を渡渉します。
ゼッタ沢には昭和湖や地獄谷の水が流れ込んでいるので、火山性ガスの匂いがする場合があるのと、
降雨時には増水するので要注意です。
小湿原(谷原)からは、涼しい樹林帯の中を歩くことになりますが、
枝が張り出したり笹薮が生い茂っているところが多いことから、
地元のNPOさんたちのご尽力により伐採や刈り払いが施されています。
雪渓の残る産沼からは、「笊森(ざるもり)コース」として使われていましたが、
H20岩手宮城内陸地震の影響もあり、現在は笊森避難小屋から先は通行止めとなっています。
途中、大雪渓と沢部に小雪渓が残っているので、滑落しないようスプーンカットのフラット面を慎重に踏みつけて歩きました。
また、藪や泥濘、水溜りも多いので、防水の登山靴などで足元の汚れを気にせず、転倒しないよう歩きたいものです。
笊森避難小屋は綺麗に使われていましたが、東側の板壁の腐食が進んでいて蟻たちが大行進していたので、
食料やゴミなどは残さないようにご注意を。
|
|
|
|
|
磐井川源流には未だに壁のような高い雪渓が残っているので、
特に下りは滑落しないようアイゼンなどの使用をお勧めします。
雪解けの後には、ヒナザクラやハクサンチドリ、オノエランが多く咲いていました。
磐井川源流からトキソウの咲く裏掛コースに出て右に進むと、宮城県側の東栗駒コースに合流します。
風の強い山頂から秋田県側の御駒岳の展望岩頭までの稜線は、360度のパノラマ展望が楽しめます。
オホーツク海高気圧とヤマセの影響か、曇り空で冷たい霧が風に乗り雨のように吹き付けてきたので
人は疎らでしたが、雨具や防水装備は必携です。
雪解けがもう少し進んだら、宮城県側の御沢(表掛)・裏掛コースを歩いてみたいと思います。