岩手県工業技術センター技術情報 1995.11(No.8)


目  次

  1. これからの工業振興
  2. 製造物責任(PL法)講座
    [製造物責任法とは]  [PL法ケーススタディ]  [PL保険制度について]  [中小企業PL保険制度]
  3. 平成8年度中小企業技術開発事業補助金制度利用企業の募集について
  4. 設備紹介

これからの工業振興


岩手県商工労働部工業課

課長補佐 相 沢  徹
 円高を背景とした生産機能の海外移転や国内経済の成熟化のもとで、我が国 産業全体が構造的な転換点を迎えているところ であるが、本県工業についても 、工業出荷額の伸び悩みや企業立地件数の減少など、厳しい状況変化に遭遇して いる。
 一方、我が国全体が、海外との分業構造を所与のものとしつつ高付加価値型 産業へと大きくシフトしていく中で、本県工業の 振興のためには、従来の企業 誘致と地場産業育成を柱とした工業振興策に加えて、独自性のある研究開発の推 進や技術力・ 研究開発力をもったベンチャー企業の育成・集積を重視していく ことが必要になっている。
 研究開発の推進  我が国産業の空洞化の懸念が増大している今日、特にも 、繰り返し量産型の生産に依存してきた地方圏工業の今後の発展可 能性を見い だしていくためには、市場競争力のある地域独自の技術を数多く生み出し、企業 の技術基盤をつくりあげていくこと が求められている。
 このため、工業技術センターを中心にして、産業化を展望できる大学等の技 術シーズを実用化できるレベルまで磨き上げてい くこと、鋳物などの素材系や 機械加工系、酒・ワイン・地ビールなどの地場産業系等を視野に入れた工業技術 センターの研究開 発を充実強化していくことが大きな柱となる。
 さらに、これから最も重視したいのが、これまでの工業技術センターの多く の研究成果を中小企業との共同研究を通じて技術 移転していくことである。県 内企業の方々が、センターとの共同研究に大いに挑戦していただきたい。
ベンチャー企業の育成
 アジア圏との厳しいコスト競争や価格破壊などの流通構造の変化に直面して いる県内企業においては、技術・商品開発とその 事業化への意欲が高まってい る。また、大企業からのスピンアウトなどの独立創業に挑む人々も増加しつつあ る。
 中小企業では、担保力などから資金調達に困難をきたすケースが少なからず あることから、企業リスクの高い技術開発とその後 の設備投資などの事業化に 必要な資金支援などを充実強化していく方針である。

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PL法講座 PART1

 製品を製造するにあたり製造者には、2つの法的責任がありました。 この 2つの法的責任に1995年7月1日「製造物責任」が加わり製造者には、3つ の法的責任が課せられることとなりました。この3つめの「製造 物責任」を法 律上明確化したものが、「製造物責任法(PL法)」です。

  1. 契約上の責任
  2. 過失責任
  1. 契約上の責任
  2. 過失責任
  3. 製造物責任

製造物責任法とは


 この法律は、1製造物の2欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が 生じた場合における製造業者等の3損害賠償の責任について、 定めることによ り、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に 寄与することを目的として設立されました。

1.製造物とは

   製造又は加工された動産
[対象製品の例] 大型コンピューター、パソコン、周辺機器、家電製品、電子 部品、航空機部品 ほか  
[対象外] 不動産、電気、ソフトウエアそのものなどの無体物、サービス

2.欠陥製品か否かを判断する際の考慮事項

製造物の特性
事故防止のための表示、効用・有用性と危険、価格対効果
通常予見される使用形態
合理的に予期される使用、製造物使用者による損害発生防止の可能性
製造物を引き渡した時期
引き渡された時に社会が求めた安全性の程度、安全の技術的実現性
その他
危険の明白さ、製品の避けがたいばらつき、天災等の不可抗力の存在

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3.損害賠償の責任

損害賠償の期間は、次のとおりです。

1.被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から3年間行わ ないとき

製品引渡 事故発生 賠償義務者判明 時効
|→
(損害)
  → |→(3年)→|
−−−−−−時の流れ−−−−−−−→

2.製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年を経過したとき

製品引渡 時効
|←−−10年−−−→|
−−−−−−時の流れ−−−−−−−→

 次に、実際に欠陥製品事故が起こった場合の「PL法」における責任の主体 は、下記のようになります。赤字部分責任の主体です。なお、 プライベートブランドの場合は、「受託製造者」「 表示製造者」の両者に責任があります。

[国産品の場合] [輸入品の場合]
製 造 者
外国製造者
│製品
↓  
│製品
↓  
卸売業者
輸 入 者
│製品
↓  
│製品
↓  
小売り業者
卸売り業者
│製品
↓  
小売り業者
[プライベートブランド] [部品メーカーと完成品メーカー]
受託製造者
部品・原材料メーカー
(過失がある場合)
|
(受託製造・加工又は輸入者)
│製品
↓  
  │製品
  ↓  
完成品メーカー
表示製造者
│製品
↓  

(製造・加工又は輸入者と表示するか誤解させる表示)
卸売り業者
  │製品
  ↓  
│製品
↓  
卸売り業者
小売り業者
  │製品
  ↓  
小売り業者

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PL法ケーススタディ

Q1  製造元が倒産して、PL責任の追求が困難な場合、販売業者の責任は どうなりますか。
A1  消費者の請求、販売業者の求償権は事実上困難になります。しかし、 販売業者の契約上の責任があります。

Q2  OEM商品に欠陥があった場合、製造者とブランド表示者のPL責任 はどうなりますか。
A2  商品に欠陥があった場合、連帯して責任を負うことになります。この 場合、消費者に損害賠償を行った者は、原因者に求償できます。

Q3  消費者に取扱説明書の内容と違うアドバイスをした販売店は、製造物 責任がありますか。
A3  アドバイスが間違っていたからといって、流通業者が責任を問われる ことは、ありません。しかし、消費 者から契約上の責任や不法行為責任を問わ れることがあります。

Q4  使用者に取扱説明書を渡さなかった流通業者は、製造物責任がありま すか。
A4  取扱説明書がないため危険が生じている製品では、「警告表示上の欠 陥」があると考えられます。もともと販売業者は原則としてPL法の責任主体で はありませんが、契約上の責任や不法行為責任を 負う可能性があります。

Q5  システム商品については現場での設置・組立作業が一種の製造である として、設置・組立業者が製造 物責任を問われることがありますか。
A5  認定・組立作業が「製造」と認められる場合は製造物責任を問われる ことがあります。

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PL保険制度

PL法に対しての企業側の対策としては,総合的な安全対策などがあげられま すが、ここでは、PL保険制度について紹介します。
 製造者保険の保険料は決して安いものではありません。そこで契約者をまと めて大口契約化することによって、保険料の値下げを図る動きが本格化してきま した。

大企業
             大  企  業  以  外            
個別にPL保険に加入
工業会でまとめられる
工業会でまとめられない
工業会で団体PL保険を組む。
共済とセットにすることもできる。
中堅企業
中小企業
中堅企業PL保険制度を利用する。
中小企業PL保険制度を利用する。

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中小企業および中小企業PL保険制度

項目 中小企業製造物責任制度対策協議会
中小企業PL保険制度
日本商工会議所製品安全対策協議会
PL団体保険制度
1、保険契約書 中小企業製造物責任制度対策協議会(以下「協議会」という。)を構成する 団体(日本商工会議所、全国商工会 連合会および全国中小企業団体中 央会)( 以下「商工3団体」という)。 日本商工会議所製品安全対策協議会日本商工会議所製品安全対策協議会
2、被保険者 協議会を構成する団体又は当該団体 の下部団体の会員である中小企者の定義 は、中小企業基本法第2条の規定に従います。 (1)基本対象
全国の商工会議所の会員のうち、中小企業基本法第2条に該当しない、いわゆ る中堅企業
(2)特例対象
「中小企業PL保険制度」の被保険者・・・ 補償の上乗せ
3、約数構成 賠償責任保険約数+生産物特別約款
<付帯特約>
中小企業製造物責任制度対策協議 会生産物特約条項
○損害賠償請求ベース
○対人対物共通てん補限度額の設定
○保険証券総てん補限度額の設定
○保険料の不精算
賠償責任保険普通約款+生産物特別約款
<付帯特約>
○対人対物共通てん補限度額特約条項
○保険証券総てん補限度額特約条項
○損害賠償請求ベース
4、保険料 (1)基本保険料
現行の生産物賠償責任保険の基本 保険料×53%
(2)保険成績による制度全体に対す る保険料調整(制度発足3年目から適 用 )
(3)事故の発生した個々の被保険者 に対する保険料の割増(2年目以降)
(1)基本保険料
現行の生産物賠償責任保険の基本保険 料×72%
(2)優良払戻し
1保険契約で確定保険料が1,000万以上の場合、保険期間中の成績により、保 険料の返還ができる。
5、てん補限度額 (1)被保険者ごとのてん補限度額
(2)保険証券総てん補限度額の設定
(1)被保険者ごとのてん補限度額
(2)保険証券総てん補限度額の設定
6、免責金額 5万円(1事故あたり) 5万円(1事故あたり)
7、募集形態 (1)全ての代理店・損害保険会社が 参加できるオープン・システム
(2)「事故管理代理店」と「取扱い代 理店」は、10:90の代理店分担
(3)「事故管理代理店」の扱う10%部 分は、共同保険となる。
(4)「取扱い代理店」の扱う90%部分 は、1加入者あたり「1代理店・1損 保」
(1)全ての代理店・損害保険会社が参加 できるオープン・システム
(2)「幹事代理店」と「募集代理店」は、2 0:80の代理店分担
8、代理店手数料 10%以内 15%以内
9、集金事務費 5%以内 5%以内

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中小企業製造物責任制度対策協議会中小企業PL保険制度被保険者の定義

業種 条件
小売り・サービス業 資本金1千万円以下又は従業員50人以下
卸売業 資本金3千万円以下又は従業員100人以下
その他(工業・運送業等) 資本金1億円以下又は従業員300人以下

中小企業製造物責任制度対策協議会中小企業PL保険制度のてん補限度額

タイプ てん補限度額
A型 1億円(対人対物共通・1事故・期間中)
B型 2億円(      〃       )
C型 3億円(      〃       )

日本商工会議所製品安全対策協議会PL団体保険制度の被保険者の定義

業種 条件
小売り・サービス業 資本金1千万円超かつ従業員50人超
卸売業 資本金3千万円超かつ従業員100人超
その他(工業・運送業等) 資本金1億円超かつ従業員300人超

日本商工会議所製品安全対策協議会PL団体保険制度の優良払い戻し

無事故の場合 確定保険料の20%以内の返還
損害率10%未満の場合 確定保険料の10%以内の返還
損害率20%未満の場合 確定保険料の5%以内の返還

日本商工会議所製品安全対策協議会PL団体保険制度のてん補限度額

タイプ てん補限度額
A型 2億円(対人対物共通・1事故・期間中)
B型 3億円(      〃       )
C型 5億円(      〃       )

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平成8年度中小企業技術開発事業補助金制度利用企業の募集について

 県では、県内中小企業の技術開発を促進し、その技術の向上を図ることを目 的として、 中小企業が自ら行う新製品及び新技術等に関する研究開発に対して 、その開発に要す る経費の一部を補助する制度を設けておりますので、積極的 にご活用ください。

1.補助対象者

 県内に工場又は事業所を有している中小企業及び中小企業団体

2.補助対象事業

 新製品・新技術等に関する研究開発事業

3.補助対象経費

 原材料、構造物費、機械装置費、工具器具費、外注加工費、技術指導受入費 、直接人 件費(ただし、直接人件費は、一般技術開発と省力化技術開発につい ては対象となりません。)

4.補助率及び補助限度額

開発区分 補助率 補助限度額 補助期間
一般技術開発及び省力化技術開発 2/3以内 100万円以上500万円以下 1年間
研究開発型中小企業育成関連技術開発 100万円以上700万円以下
小規模企業育成関連技術開発 100万円以上200万円以下
創造的事業活動支援関連技術開発 500万円以上3000万円以下 3年間まで継続

5.申込期限

 平成7年12月27日(水)まで

6.問い合わせ先・申込み先

岩手県商工労働部工業課工業技術主査
  〒020 岩手県盛岡市内丸10ー1
 TEL 0196ー51ー3111(内線2931〜2)
 FAX 0196ー26ー4779

7.申し込み手続き



(1)一般技術、省力化技術、研究開発型中小企業育成関連技術及び小規模企業 育成関連技術開発の場合

申込者

@補助金申し込み
工業課
←A審査→
補助金審査委員会

B交付決定

(2)創造的事業活動支援関連技術開発の場合

申込者

@認定申請
工業課
←A審査→
中小創造法事業計画認定委員会

B認  定

@補助金申込
←A審査→
補助金審査委員会

B交付決定

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設備紹介

フーリエ変換核磁気共鳴装置(NMR)

メーカー・型式

日本電子株式会社  JNM-LA-400

設備の概要

 化合物の多くが磁場を持っている。これに強い磁気を与えることによってNMR スペクトルが得られる。そのスペクトルの位置と分裂状態から観 測元素の結 合状態が分かり、化合物の分子レベルでの構造が決定できる。
 測定は超伝導磁石によって作り出された強磁場中に5mmのガラス管に 入 った試料を入れることにより得られる信号を、分光器とコンピューター によっ てNMRスペクトルに変換される。

この設備は平成6年度自転車振興会の補助金を受けて購入したものです。

仕様・性能

測定核種 C,H,P,N,Fその他多数
測定モード 液体(多核,CHF、フィールドグラジエントモード)、個体
観測周波数 H400MHz、C100MHz
プローブ オートチェーン5mmチューナブルプローブ(標準)
感度 C≧115(10%エチルベンゼン)、H≧220(0.1%エチルベンゼン)
分解能 H≦0.2Hz
温度可変範囲 ≧-100〜150℃
オプション付属品 CHF3核プローブ
個体分析用CP/MAS装置
フィールドグラジエントユニット

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