岩手県工業技術センター技術情報1998.7(NO13)


目次

  1. 寄稿
     産学連携と工業振興 岩手県工業技術センターに期待すること

  2. 平成10年度業務計画
    1. 工業技術センター業務体系
    2. 試験研究業務
    3. 技術指導業務
  3. 平成9年度日本自転車振興会補助事業
  4. 地域産業集積活性化対策事業主要設備機器紹介
  5. 日本化学会技術賞受賞
  6. 「電解重合によるメンテナンスフリー金型の開発」
  7. 注目発明受賞「冷麺の製造方法」
  8. お知らせ
    1. 工業技術センター職員名簿
    2. 人事異動
  9. 発明無料相談
  10. 知的所有権アドバイザー相談

産学官連携と工業振興


岩手県工業技術センターに期待すること
岩手大学工学部教授
岩手大学地域共同研究センター長
工学博士 岩淵 明 氏
 手前味噌にはなるが、岩手ネットワークシステム(INS)を中心とした、岩手県の産学官連携は今や日本のモデルになっている、と言う表現はちょっと言い過ぎかもしれないが、上手くいっていることには間違いないと感じている。その中で工業技術センターが十分に活躍してきたのかどうか多少のもどかしさを感じながら、センターという組織あるいは研究員個々への期待を、斜に構えて述べてみたい。
 さて、昨年度岩手県は北上川地域産業集積活性化の指定を受け、益々産学官連携の緊密性が求められている。特にも研究開発の一つの中心機関である工業技術センターには様々な役割が期待されている。工業技術センターをはじめとして、県南技術研究センター(一関市)や花巻市起業化支援センター、釜石・大槌地域産業育成センターなど県内には多くの研究開発支援機関が設立され、また基盤技術支援センター(北上市)や鋳物技術交流センター(水沢市)が今後設立される予定である。県内のそれぞれの地域にハード(施設)を作ることは先ず必要である。しかし、今後は我々の地域共同研究センターやテクノ財団を含めたこれらのセンター同士で、役割分担を明確にし、連携に関するソフトを作り上げることが重要であり、工業技術センターがその中心となるべきだと考えている。特に、産学官連携の目的はコーディネイト機能の強化であり、岩手県として有為な人材を確保し、コーディネーターとして活躍してもらうことが必須不可欠となる。工業技術センターは他の行政機関とは異なり、長期間そのプロパーとしての活躍が可能であろう。
 工業技術センターの役割のなかで、県内の中小企業に対する技術相談や指導が大きなウエイトを占めており、これを一層推進することは必要であり、最近のセンターの活動は大いに評価されるものである。しかしセンターという組織の中に隠れて、まだまだ研究員の顔が見えてこないような気がする。さらに望めば、岩手県全体の工業振興の視点から「新産業創造」に貢献できるプロジェクトの提案が、工業技術センター自身から積極的に企画されるべきである。個人的な印象としてはやや受身的であると思える。
 最後に大学との連携について一つの提案をしたい。岩手大学と工業技術センターとの関わりとして特筆すべきことは、センターから工学部・農学部の博士課程への研究員派遺であり、研究テーマを持ち込みながら大学を積極的に活用していることである。今後、センターの研究レベルを一層向上させるためには、研究員が世界的視野に立って、積極的に学会等で活躍することが望まれる。そのためには大学との共同研究を一層推進されることが一つの方法であり、工業技術センターに客員研究員制度をもうけ、大学の先生を積極的に取り込むことで実現できるのではないだろうか。
 工業技術センターへ期待することとして個人的な感想を述べたが、日本のモデルとなるような産学官連携を実現させるために、ともに努力していきたいと考えている。

平成10年度岩手県工業技術センター業務計画

1 工業技術センター業務体系

試験研究 基礎研究 基盤的・先導的技術研究推進事業☆
実用化研究 県単独研究 食品バイオテクノロジー研究開発事業
国庫補助研究 特定産業集積活性化関連機関支援強化事業
フードシステム高度化対策事業※
受託研究 国受託 新食品素材活用研究事業☆
団体受託 地域重要新技術開発促進事業
地域先導研究事業
中小企業創造基盤技術研究事業
岩手県産酒米育種推進事業
  共同研究 国との共同研究 国立試験研究機関共同研究推進事業
広域共同研究推進事業
戦略的技術形成事業
地域先端技術共同研究開発促進事業
公設試共同研究推進事業※
県内機関との共同研究 研究機関共同研究推進事業
団体との共同研究 高温超電導体試作開発事業
技術交流 地域研究交流促進事業
技術指導 移動工業技術相談
技術アドバイザー事業
情報収集・提供 工業技術情報提供
工業技術者育成 技術パイオニア養成事業☆
特定産業集積活性化関連機関支援強化事業
依頼試験・分析等 依頼試験・分析
その他工業技術に関する業務 特定産業集積活性化研究開発機能強化事業
施設整備
施設設備貸出
知的所有権センター管理運営事業
技術普及講習会、生活用品センター講習会
研究員の資質向上 中小企業大学校派遺
大学院派遺
海外派遺
学会・会議
研究会支援等

※印は平成10年度新規事業
☆印は一部新規テーマ追加


2 試験研究業務

平成10年度研究テーマはこちらです。


3 技術指導業務

(1)技術普及講習会(開催期日未定)

  番号 講習会名 定員 担当部   番号 講習会名 定員 担当部
指定テーマ 1 地場食品の高品質化・安定化 20 鋳造技術 自由テーマ 7 デザイン技術 20 木工特産
2 県産資源高度利用 木工特産 8 鋳造技術 金属材料
3 地域食材利用製品の高度化 応用生物 9 溶射加工技術 金属材料
自由テーマ 1 電子応用技術 電子機械 10 材料加工技術 金属材料
2 メカトロ応用技術 電子機械 11 表面処理技術 化学
3 精密計測技術 電子機械 12 パン製造技術 応用生物
4 機械加工技術 電子機械 13 味噌醤油製造技術 醸造技術
5 繊維技術 木工特産 14 食品保存技術 食品開発
6 木材加工技術 木工特産     

 

   (2)新技術者研修  (3)生活用品振興センター   
番号 講習会名 期日 担当部   番号 講習会テーマ  期日  担当部 
1 超精密加工技術研修 H10.6 電子機械 1 鉄器と電磁誘導加熱 H10.12 金属材料
2 塗装技術セミナー H10.6 化学     

4 主要設備機器紹介

平成9年度自転車振興会補助事業

 平成9年度日本自転車振興会の補助により、放射電磁界イミュニティ試験設備を導入しました。現状の電波暗室にあるEMI試験設備が、電子機器から発生する電波ノイズを測定する設備に対して、本設備は電子機器に外部から電波ノイズを放射し、どのレベルの電波ノイズ強度まで誤動作を起こさないかを調べるものです。主な仕様は以下のようになっています。

設備名: 放射電磁界イミュニティ試験設備
対応規格: lEClOOO−4−3,ENV50140,ClSPR
試験電界値: 1,3,10[V/m]
周波数範囲: 80〜1000[MHz]

5 地域産業集積活性化対策事業主要設備機器紹介

 工業技術センターでは、地域産業集積活性化対策事業において、研究開発、解放設備の機能をさらに充実強化するため、平成9年度に下記の設備機器を導入しました。皆様の積極的なご利用をお待ちしております。

設備名 ケミルミネッセンスアナライザー

●型式 CLD-100

●メーカー 東北電子産業

●設備の概要

 塗膜が劣化して構造が破壊される際の塗膜の変化を測定する装置。塗装製品の塗膜劣化状態を非破壊で測定することが可能。

設備名 熱衝撃試験器

●型式 NT2010

●メーカー 楠本化成 エタック事業部

●設備の概要

 電子部品、電子機器などに急激な温度変化を与えることができる装置。この試験により、これらの設備の温度の急変に対する耐久性を短時間で評価できる。

設備名 レーザ顕微鏡

●型式 OLS-1000

●メーカー オリンパス光学工業

●設備の概要

レーザー光を光源に製品の表面形態などの観察ができる。実体顕微鏡や光学顕微鏡とは異なり、凹凸の激しい表面(最大2mm)の観察も可能。(加熱装置付き 室温〜1500度)

設備名 フレームレス原子吸光分光光度計

●型式 AA-880Z

●メーカー バリアンジャパン

●設備の概要

 工場排水や、各種材料に含まれる超極微量成分の分析を行う装置。鉛、ヒ素、セレン、カドミウム、水銀などの有害重金属成分の分析が容易にできる。


産学官連携の成果 日本化学会化学技術賞受賞

 

電解重合法によるメンテナンスフリー離型金型の開発

 平成10年3月27日から日本化学会第74春季年会が京都府の同志社大学を中心に開催され、その席上で、岩手県工業技術センター化学部小向隆志上席専門研究員が、岩手大学工学部教授森邦夫氏、岩手大学工学部助手平原英俊氏、株式会社東亜電化代表取締役三浦学氏、リコー光学株式会社開発技術部長那須川利道氏と共に「電解重合法によるメンテナンスフリー離型金型の開発」のテーマで、化学技術賞を受賞しました。化学技術賞の受賞対象は、我が国の化学工業の技術に関して特に顕著な業績のあった者で、主として個人を対象としていますが、同一業績について5名以内の連名で受賞することができるとされています。
 当センター(旧工業試験場も合む)では、岩手大学が持っているシーズ(トリアジンチオール関連)を基に、地域の産学官が協力して、平成2・3年に「技術おこし事業」、平成5年〜7年に生活・地域流動研究「トリアジンチオールのスーパーファイン化に関する総合的研究」を行ってきました。それらの事業をとおし、色々な機能を持ったトリアジンチオールが合成されてきました。今回の受賞の対象になった技術は、新らしく大学で合成したフッ素の含まれているトリアジンチオールを超精密プラスチック成形用金型に電解重合処理することによって、成型する時にプラスチックと金型がくっつかないようにした技術です。
 トリアジンチオールの構造を左に示します。
 Rの位置にフッ素化機能団、シリコン機能団などの機能団を結合させることによって、潤滑性、汚染防止性などの機能が発現します。トリアジンチオールには色々な機能があります。興味のある方は化学部までご達絡ください。

冷麺の製造方法が第57回注目発明を受賞しました。

 当センターと岩手県乾麺工業協同組合及び岩手大学が共同で開発し、特許を取得した冷麺の製造装置が第57回注目発明に認定され、科学技術庁長官より表彰を受けました。注目発明は、先駆的な役割を果たすことが期待される画期的な技術的着想を有する発明に対して贈られるものです。
発明の名称 冷麺の製造方法
特許番号 特許第2611911号
発明者 岩手県工業技術センター食品開発部遠山良上席専門研究員
岩手県乾麺工業協同組合理事長碁石芳男(申請時、現在故人)
岩手大学教授櫻井米吉(申請時、現在退職)
発明の内容 食堂では一般にピストンを油圧で押し出す方式で製麺されるのに対し、単軸エクストルーダを使用してスクリュで達続的に押し出す方式を採用し、茹時間が短く、保存性の良好な麺を大量に製麺する方法を開発したものです。

お知らせ

岩手県工業技術センター職員名簿

職名 氏名 職名 氏名 職名 氏名 職名 氏名
所長 甲田壽男 電子機械部 主任技能員 久慈省一郎 専門研究員 酒井晃二
副所長 齊藤静夫 首席専門研究員兼部長 多田三郎 金属材料部 応用生物部
副所長 河野隆年 主任専門研究員 若槻正明 首席専門研究員兼金属材料部長 川原正弘 首席専門研究員兼応用生物部長 大澤純也
総務部 主任専門研究員 藤澤充 上席専門研究員 高橋幾久雄 上席専門研究員 山本忠
総務部長 阿部政一 主任専門研究員 熊谷隆美 上席専門研究員 米倉勇灘 主任専門研究員 小浜恵子
主任 吉田幸子 専門研究員 大坊真洋 上席専門研究員 勝負澤菩行 専門研究員 岸 敦
主任 菊地健治 専門研究員 和合健 主任専門研究員 鎌田公一 専門研究員 伊藤良仁
主事 平澤清峰 専門研究員 長谷川辰灘 主任専門研究員 茨島明 醸造技術部
主事 菅原久美 専門研究員 堀田昌宏 専門研究員 齋藤貴 醸造技術部長 櫻井廣
主事 阿部洋 専門研究員 飯村崇 専門研究員 池浩之 主任専門研究員 中山繁喜
運転技士兼ボイラー技士 中鉢武志 木工特産部 技師 高川貫仁 専門研究員 畑山誠
ボイラー技士兼技能員 布台泰 首席専門研究員兼木工特産部長 大内康弘 化学部 専門研究員 高橋亨
企画情報部 上席専門研究員 大和進 化学部長 根守章 食品開発部
企画情報部長 南幅留男 上席専門研究員 高橋民雄 上席専門研究員 小向隆志 首席専門研究員兼食品開発部長 荒川菩行
上席専門研究員 斎藤博之 上席専門研究員 佐々木陽 主任専門研究員 瀬川晃児 上席専門研究員 遠山良
主任 高橋政江 上席専門研究員 町田俊一 主任専門研究員 佐々木英幸 主任専門研究員 関村照吉
専門研究員 冨手壮一 上席専門研究員 浪崎安治 主任専門研究員 穴沢靖 主任専門研究員 笹島正彦
専門研究員 桑嶋孝幸 主任専門研究員 有賀康弘 主任専門研究員 佐々木秀幸 主任専門研究員 武山進一
専門研究員 米倉裕一 専門研究員 小林正信 専門研究員 鈴木一孝  

人事異動

[転出]

H10.4.1
企画情報部上席専門研究員藤原裕雅(県下水道公社菜務課)
化学部専門研究員吉田敏裕(一関地方振興局保健福祉環境部)
H9.12.31

[退職]

醸造技術部専門研究員小澤麻由美
H10.3.31
副所長小林晴己(通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所生物反応工学部主任研究官)
総務部主任谷藤和子
化学部長橘秀一

[転入]

H10.4.1
総務部主任吉田幸子(統計調査課主任)
企画情報部専門研究員冨手壮一(県下水道公社胆沢支所技師)
食品開発部主任専門研究員笹島正彦(環境保全課主任)


発明無料相談

社団法人発明協会岩手県支部主催の弁理士先生による無料相談を下記のとおり開催しますので、お気軽にご利用ください。
○相談時間午前9時〜12時但し、赤字は午後13時30分〜午後16時

7月 8日、15日、22日 12月 9日、16日、24日
8月 5日、19日、26日 1月 13日、20日、27日
9月 9日、16日、24日 2月 3日、17日、24日
10月 7日、14日、24日 3月 3日、10日
11月 11日、18日、25日

知的所有権アドバイザー相談日

工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)に関する専門知識や検索ノウハウを有する知的所有権アドバイザーが、工業所有権の出願や技術調査等について、次により相談・指導を行いますので、どうぞご利用ください。

  1. 知的所有権センターにおける相談
    7月1日、8月10日、9月2日、10月28日、11月4日12月2日、1月6日、2月10日、3月17日
  2. 県内巡回相談
    7月15日 北上市技術交流センター 12月16日 (財)岩手県南技術硯究センター
    8月19日 久慈地方振興局 1月20日 北上市技術交流センター
    9月16日 大船渡地方振興局 2月17日 水沢地方振興局
    10月14日 宮古地方振興局 3月24日 {財)釜石・大槌地域産業育成センター
    11月18日 花巻市起業化支援センター