岩手県工業技術センター技術情報 1997.6(No.11)


目  次

  1. 就任あいさつ
  2. 平成9年度岩手県工業技術センター業務計画
    [工業技術センタ−業務体系]   [試験研究業務]   [技術指導業務] [依頼業務]
  3. 大学院博士課程特集
  4. 主要設備機器紹介
  5. 使用料・手数料単価改定のお知らせ
  6. お知らせ
    1. 工業技術センター職員名簿及び人事異動
    2. 発明協会からのお知らせ

就任のあいさつ


商工労働観光部技監兼
岩手県工業技術センター所長

理学博士 甲田壽男
 平成9年4月1日付けで、工業技術センター所長に就任いたしました。盛岡には10年ほど前に数時間滞在したことがあるだけで、まして岩手県の工業技術に対する知識は南部鉄器を除いてはほとんど持っていませんでした。岩手県にという打診があってから、新聞やインターネットで関連する各種情報を得ることに努めました。今年3月はじめには二戸市役所を訪問し、浅い地層の熱を利用した道路融雪システムの見学をし、盛岡で開催されていた南部鉄瓶の展示を見る機会を捉え、出展者のお話を聞かしていただいたこともあります。また、地熱染めも地熱利用暖房システムの普及に努めているチューリッヒ工科大学へのお土産に購入したものです。岩手県は地熱や風力など再生可能エネルギーにも恵まれるとともにこのような新しいシステムに対してもチャレンジ精神旺盛なことに意を強くし、また地場産業の維持育成にも熱心で、翻って工業技術センターの果たす役割も責任も大きなものがあると身の引き締まる思いをいたしました。私はこれまでレーザーやレーザー応用技術、超音波映像技術、水中超音波技術、イオン注入表層処理技術、心地よい機械、生理指標を利用した福祉機械技術など自ら手がけてきました。超音波顕微技術やSTMあるいはマイクロマシン等は興味の対象として時には共同研究者として時には扇動者として貢献し、またエネルギー関連技術も研究管理者として関心を持って見てきました。これらの25年を越える研究者生活から、私は研究成果を挙げるためには研究を楽しんでやることが大切であり、楽しんで研究を進めるためには研究の位置づけが一番大切であることを実感しております。その意味において、最近では、研究目標は大きくいえば、来るべき社会への対応あるいは理想とする社会の実現への貢献にあると思っています。たとえば、21世紀はじめには4人に一人が65歳以上という高齢化社会を迎えることが確実視されております。このような社会において、あなたの研究はどのような役割を果たしますか。また、理想とする社会がゆとりと豊かさを旗印にするなら、あなたの研究はその実現に対してどのような貢献をしますか。このような素人っぽい質問に対して研究者が胸を張ってすらすらと答えることができる研究を私は大切にしたい。@em科学技術基本法の制定以来、科学技術に対する社会の期待は大きい。応え方の一つとして科学技術工業技術の実用化研究を積極的に進めることであると考える。実用化のためにはいわゆる文科系と理工系との融合が必要と思われ、昨年10月に文理シナジー学会が設立されたのもこのような世の中の流れと無縁ではあるまい。工業技術センターはデザインセンターも併設しているなど先取り思想に富んでおり、その意味で研究機関の最先端に位置づけられよう。我々は自らのポテンシャルを一段と高めつつ、企業との共同研究、技術指導や技術相談を通じて文理シナジーに則った技術トランスファーをすすめ、また新しい工業技術・産業技術の創造に知恵を絞る事によって知事の提唱されるドリームランド岩手の実現に貢献したい。

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平成9年度岩手県工業技術センター業務計画


1.工業技術センタ−業務体系


  1. 試験研究基礎研究基盤的・先導的技術研究推進事業実用化研究県単独研究食品バイオテクノロジー研究開発事業受託研究国受託新食品素材活用研究事業団体受託地域重要新技術開発促進事業地域産学官共同研究推進事業地域先導研究中小企業創造基盤技術研究事業岩手県産酒米育種推進事業
  2. 共同研究・技術交流共同研究国との共同研究国立試験研究機関共同研究推進事業広域共同研究推進事業国際技術創造研究推進事業戦略的地域技術形成事業地域先端技術共同研究開発促進事業県内機関との共同研究試験研究機関共同研究推進事業※団体との共同研究高温超電導体試作開発事業技術交流地域研究交流促進事業
  3. 技術指導移動工業技術相談事業※技術アドバイザー事業
  4. 情報収集・提供工業技術情報ネットワーク形成事業
  5. 工業技術者育成技術パイオニア養成事業
  6. 依頼試験・分析等依頼試験・分析
  7. その他工業技術に関する業務工業試験研究特別強化事業施設整備施設設備貸出知的所有権センター設置運営事業技術普及講習会、生活用品センター講習会研究員の資質向上中小企業大学校派遣大学院派遣海外派遣学会・会議研究会支援等
注)※印は平成9年度新規事業。工業試験研究特別強化事業

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2.試験研究業務

平成9年度研究テーマ一覧は こちら です。

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3.技術指導業務

注)※印は国庫補助事業。

1 技術普及講習会※(開催期日未定)

指定テーマ 自由テーマ
番号 講習会名 定員 担当部 番号 講習会名 定員 担当部
1 精密形状測定 20 電子機械 4 ホームスパン技術 20 木工特産
2 県産資源高度利用 20 木工特産 5 デザイン技術 20 木工特産
3 鋳造品の高品質化 20 金属材料 6 鋳造技術 20 金属材料
4 地場食品の高品質化安定化 20 醸造技術 7 溶射加工技術 20 金属材料
自由テーマ 8 材料加工技術 20 金属材料
番号 講習会名 定員 担当部 9 表面処理技術 20 化学
1 電子応用技術 20 電子機械 10 パン製造技術 20 応用生物
2 メカトロ応用技術 20 電子機械 11 味噌・醤油製造技術 20 醸造技術
3 縫製技術 20 木工特産 12 麺類製造技術 20 食品開発


2 新技術者研修事業※(中小企業振興公社主催)

番号 講習会テーマ 期日 担当部
1 プリント基板の実装及び洗浄セミナー H9.11 電子機械
2 縫製工場のための生産管理技術者研修 H9.9 木工特産
3 材料検査技術者育成研修 H9.10 金属材料
4 プラスチック成形技術セミナー H9.11 化学
5 清酒酵母技術セミナー H9.11 醸造技術


3 生活用品振興センター関係

番号 講習会テーマ 期日 担当部
1 鋳造技術講習会 H9.12 金属材料
2 商品開発講習会 H9.6 木工特産
3 グラフィックデザイン講習会 H9.6 木工特産

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4 依頼業務


 工業技術センターでは、あらゆる製造業を中心に、サービス業をも含めた各種産業、各業界等の試験・分析・検査設備を持たない事業所を対象に原材料、製品評価、副産物、廃棄物等の試験・分析、検査、計測を行っていますので、どうぞご利用ください。
なお、平成8年度の実績は以下のとおりです。(化学部での試験・分析総数1,685項目)

番号 項目 試験・分析対象物 割合(%)
1 鉱産物 岩石、石灰石、けい石、金属鉱物、粘土鉱物等 5
2 金属類 鋳鉄、鋼材、銅、ハンダ、アルミ等非鉄、鋼管、各種金属製品等 26
3 水質試験 工業用水・工場排水、冷却水、その他水溶液等 12
4 燃料関係 重油、軽油、灯油、石炭、木質燃料、潤滑油等 12
5 窯業原料製品 生石灰、消石灰、セメント、レンガ、瓦等 17
6 高分子関連 プラスチック、ゴム、塗膜等 4
7 その他無機物 無機系産業廃棄物、めっきスラッジ等 10
8 有機質汚泥 有機質肥料、汚泥堆肥等 9
9 その他有機物 飼料、衣料品等 3
10 その他 電子・電機・機械部品等の微少部分解析、不良解明調査・鑑定等 2

これらの試験・分析、検査には、条例で定められた手数料が、また、結果報告書発行までには、ある程度の日数が必要です。あらかじめご了承ください。

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4 大学院博士課程特集


1 在職県職員で初の課程博士誕生

 在職県職員で初の課程博士誕生4月に、「ふくらむ研究パワー」というタイトルで、当センターがテレビに紹介されました。その中で、岩手大学大学院博士課程に在学中の研究員と、本年3月に農学博士号を取得した研究員が紹介されました。8年度の取得者は、企画情報部の斉藤博之上席専門研究員(前醸造技術部)です。岩手県職員の身分で大学院の博士課程に入学、3年間指導を受けて学位取得した初めてのケースとして番組に取り上げられました。その研究の一端をご紹介いたします。


2 斉藤上席専門研究員の研究内容紹介

 学位論文のタイトルは「新品種酒造米の酒造適性評価方法とその実用的応用」です。内容は、どの様な米がお酒造りに適しているかについて、醸造学会誌に掲載された論文を主体にまとめたものです。特に酒造好適米の育種に役立つ事を目的としました。ここでいう酒造好適米とは、農水省が「醸造用玄米」として指定した酒造り専用の米です(写真1)。酒造好適米の外見的な特徴は「大粒・心白(だいりゅう・しんぱく)」です。写真の様に、心白とは玄米の中に見える白い部分を指します。他にも低蛋白が良い等、多くの酒造適性項目があります。しかし、それらがどれだけの数値を示せば良いのか、どの位の数値範囲が適当であるのか、育種に利用しやすいようにまとめたものはありませんでした。例えば、酒造好適米の粒の大きさの下限値についても、教科書や文献によって異なる数値があり、判定が困難でした。そこで、本論文では、約4,800サンプルの非常に多くのデータから、酒造好適米の大きさの下限値を統計的に導きました。また、粒が大きすぎると精米に適さなくなることが多いことから、上限値の考え方も導入しました。更に、きき酒を定量化するために人工脂質膜による「味覚認識装置(きき酒ロボット)」の研究も進めてきました(写真2)。当センターでは、できるだけ早い時期に、岩手県で新品種酒造好適米を育種して、更に美味しいお酒が造れるよう、県酒造組合の支援も受けながら、農業研究センターとともに急ピッチで研究を進めております。

写真1酒造好適米と一般米 写真2味覚認識装置(きき酒ロボット)


3 大学院後期博士課程派遣研究事業について

 県では平成9年度から試験研究機関の研究職員が大学院の後期博士課程に入学する際に学費を補助する派遣研究事業をスタートさせ、当センターからは3名の研究員が対象となりました。


漆液の精製装置が第56回注目発明を受賞しました


 当センターと東森電子鰍ェ共同で開発し、特許を取得した漆液の精製装置が第56回注目発明に認定され、科学技術庁長官より表彰を受けました。注目発明は、先駆的な役割を果たすことが期待される画期的な技術的着想を有する発明に対して贈られるものです。

発明の名称 漆液の精製装置
特許番号 特許 2047435号
発明者 木工特産部 町田俊一上席専門研究員、高橋勇介氏(現盛岡商工会連合会)安永繁氏、大森栄一氏、(東森電子梶j
発明の内容 漆液の精製装置は、従来、熟練した技術が必要で、自動化が困難であった漆液の精製工程を制御して、だれでも加工ができるように開発されたものです。

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5 主要設備機器紹介 平成8年度日本自転車振興会補助事業

設備名 三次元表面解析顕微鏡 設備名 ノイズ解析装置
形 式 NEW VIEW 100 形 式 8753D,1663CS,PC-9821a16
メーカー ZYGO メーカー HP,NEC
設備の概要 設備の概要
 基本的には非接触の表面粗さ測定機です。金型、ウエハ、弱電部品などの微小表面状態を三次元的(特に深さ方向)に長さを測定し、非接触の特徴を生かして測定物に傷をつけない、柔らかいものでも測定出来る、面状態を高速に測定できる、ナノメートルの高精度な測定ができるなどの利点があります。  電子機器のノイズ解析やノイズ対策に使用する設備です。ノイズの伝搬経路解析にネットワークアナライザー、タイミング解析にロジックアナライザーを使用し、データの収集、解析にパソコンを使用しています。

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5 使用料・手数料単価改定のお知らせ

4月1日から、工業技術センターの施設使用料、手数料及び機械器具貸付料金が改定になりました。主なものはこちらです。詳しくは、工業技術センターまでお問い合わせください。

問い合わせは
岩手県工業技術センターまで  (019)635ー1115

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お知らせ



岩手県工業技術センター職員名簿

職員数68名(平成9年4月1日現在)
職名 氏名 職名 氏名 職名 氏名 職名 氏名
所長 甲田 壽男 電子機械部 金属材料部 専門研究員 酒井晃二
副所長 齊藤 静夫 首席専門研究員兼電子機械部長 多田 三郎 首席専門研究員兼金属材料部長 川原 正弘 応用生物部
副所長 河野 隆年 主任専門研究員 若槻 正明 上席専門研究員 高橋幾久雄 応用生物部長 大澤 純也
副所長 小林 晴己 主任専門研究員 藤澤 充 上席専門研究員 米倉 勇雄 上席専門研究員 山本 忠
総務部 専門研究員 熊谷 隆美 上席専門研究員 勝負澤善行 主任専門研究員 小浜 恵子
総務部長 阿部 政一 専門研究員 大坊 真洋 主任専門研究員 瀬川 晃児 専門研究員 米倉 裕一
主任 谷藤 和子 専門研究員 和合 健 主任専門研究員 鎌田 公一 専門研究員 岸 敦
主任 菊地 健治 専門研究員 長谷川辰雄 主任専門研究員 茨島 明 醸造技術部
主事 平澤 清峰 専門研究員 堀田 昌宏 専門研究員 齋藤 貴 醸造技術部長 櫻井 廣
主事 菅原 久美 専門研究員 飯村 崇 専門研究員 池 浩之 主任専門研究員 中山 繁喜
主事 阿部 洋 木工特産部 技師 高川 貫仁 専門研究員 畑山 誠
運転技士兼ボイラー技士 中鉢 武志 首席専門研究員兼木工特産部長 大内 康弘 化学部 専門研究員 小澤麻由美
ボイラー技士兼技能員 布台 泰 上席専門研究員 大和 進 化学部長 橘 秀一 専門研究員 高橋 享
企画情報部 上席専門研究員 高橋 民雄 上席専門研究員 根守 章 食品開発部
企画情報部長 南幅 留男 上席専門研究員 佐々木 陽 上席専門研究員 小向 隆志 首席専門研究員兼食品開発部長 荒川 善行
上席専門研究員 斎藤 博之 上席専門研究員 町田 俊一 主任専門研究員 佐々木英幸 上席専門研究員 遠山 良
上席専門研究員 藤原 裕雅 主任専門研究員 浪崎 安治 主任専門研究員 穴沢 靖 主任専門研究員 関村 照吉
主任 高橋 政江 主任専門研究員 有賀 康弘 主任専門研究員 佐々木秀幸 専門研究員 武山 進一
専門研究員 桑嶋 孝幸 専門研究員 小林 正信 専門研究員 鈴木 一孝
主任技能員 久慈省一郎 専門研究員 吉田 敏裕


人事異動


転出
所属 氏名 転出先
所   長 紺谷 和夫 ( 工業技術院機械技術研究所 エネルギ−部長)
副所長 岩淵 仁一 (大船渡職業能力開発センター所長)
木工特産部長 湯口 靖彦 (岩手県立産業技術短期大学校助教授)
総務部 主事 関口 等 (経営金融課主事)
総務部 主事 大澤 純子 (出納局出納課主事)
転入
所属 氏名 前任
所   長 甲田 壽男 (工業技術院機械技術研究所 エネルギ−部長)
副所長 斉藤 静夫 (商工労働部参事心得)
総務部長 阿部 政一 (岩手県消防学校教頭)
総務部 主事 菅原 久美 (遠野地方振興局総務福祉部主事)
総務部 主事 阿部 洋 (千厩地域農業改良普及センター主事)
電子機械部 専門研究員 飯村 崇 新採用(H.9.1.1付)
退職
所属 氏名 前任
所   長 紺谷 和夫 ( 工業技術院機械技術研究所 エネルギ−部長)
木工特産部 技師 井戸 真伸
総務部主幹兼総務部長 鎌田 進
所 付 板垣 清彦
金属材料部 主任技能員 北条 久

発明相談日の開設


  社団法人発明協会 では、出願適正化等事業の一環として、昭和59年度から特許庁の委託を受 けて、中小企業等(個人の方も含む)を対象とした工業所有権(特許・実用新案 ・意匠・商標)の個別相談会を開催しています。

 当岩手県支部では、随時無量相談会を開催しておりますが、弁理士先生によ る無料相談会を下記により開催しますので相談なさりたい方は、当支部までご来 所下さい。

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