岩手県立農業試験場研究報告第27号 摘要

寒冷地における畑地かんがい栽培技術
 第 II 報 黒ボク土における畑地かんがい効果
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宮下慶一郎・千葉 行雄・岩舘 信三・小野寺秀夫・茂市 修平
1.傾斜度60°に均平修正した露地圃場において、昭和55年から59年の5カ年にわたり延べ38作目を供試し、寒冷地における畑地かんがい効果の実証試験を行った。

2.露地圃場においても生育初期かん水「播種・定植前かん水+出芽・活着まで3日間断1回5mmかん水」の適用が可能であることを実証した。

3.生育中期以降のかん水管理に、蒸発計蒸発量を基準とするかん水管理が簡便法として適用できることを明らかにした。

4.生育初期かん水は、出芽の促進・確保、活着の促進により初期生育量の確保が確実になされる。しかし、この効果は生育中・後期の天候によっては消去されることが多い。

5.生育初期かん水や追肥直後かん水等一時的なかん水の効果は、生産の安定化への寄与が高く、このような効果の評価は収量性で計られるものではない。

6.昭和59年程度の高温乾燥時のかん水効果は、10〜50%である。かん水効果の出方は、作物の種類や干ばつに遭遇した時期によって異なるが、生育初期または生育盛期から収穫期にかけて干ばつに遭遇した場合にかん水効果が顕著に見られた。

7.連続干天が続く場合でも、昭和57年の場合のように低温条件下では。かん水がマイナスに作用することがあるので注意を要する。

8.エダマメ、ニンニク等の例のように、かん水効果が収穫部位に現われないケースがある。これらについては。かんがいを前提とした栽培管理の方法を検討する必要がある。
堆厩肥等有機分析値の評価と利用法 → 全文はこちら(216KB)
斉藤 博之・宮下慶一郎・村上 芳子
 多数ある有機物、堆肥の分析値の基本統計量を算出したところ、分析値の分布が正規分布から外れるものがほとんどであった。そのため従来出されている有機物分析値の平均値・標準偏差・変動係数など、正規分布に基づく統計量が実態に合わないことがわかった。そこで分析値のメジアンと、ばらつきを評価するための5段階評価基準値を策定した。5段階評価基準値は累積度数から求める100q分位法によった。その結果、有機物の分析値の評価を、簡単でわかりやすい表現でできるようになった。またそれにより、施用量を加減する示唆が得られるようになった。
水稲新品種「いわて21」 −放射線育種による− → 全文はこちら(382KB)
石川 洋・佐藤 忠士・上野 剛・新田 政司・木内 豊・佐々木 力
1.ササニシキの放射線突然変異より、新品種“いわて21”が育成された。この品種は昭年62年より岩手県の奨励品種として本県北部に普及された。

2.この品種は早生であり倒伏低抗性・耐冷性・良質などすぐれた形質を有している。

3.この品種を普及することによって、本県の北部、冷害常襲地帯における、良質米の安定生産を図ることができる。

4.“いわて21”は放射線突然変異育種法により育成されたが、この育成を通じてこの育種法の難しさが認識された。今後放射線突然変異育種は、交雑育種の補助的手段として利用して行きたい。
ダイズ紫斑病に対する薬剤散布方法 → 全文はこちら(528KB)
築地 邦晃・小澤 龍生
 ダイズ紫斑病の子実発病を防止するため、チオファネートメチル剤を供試し、散布方法と莢への薬剤付着性、および付着濃度と防除効果について試験した。

1.防除効果の向上には、薬剤が莢によく付着するような散布方法が必要である。供試した散布方法の中で最も付着量が多かったのは、改良型ブームスプレヤー(試作品)であった。しかし本機による散布法は、条間に噴口を挿入する方式のため、作物が繁茂している場合の作業性は劣った。

2.作業性を含め実用性の高い散布法としては、水和剤の場合、スワースプレヤーによる散布法が最適であった。しかし有効散布幅が薬液到達距離の約6割である点と、散布むらに注意する必要がある。

3.粉剤では、パイプダスターによる散布が作業性と付着薬量の均一性の点で優れていた。特に長さ10mのホースを用い、吐出圧を高くするとともに、ホースの浮き上がりを防止して4kg以上/10aを散布するのが付着性の向上につながり、最も良い散布方法であった。

4.試作の扇型およびT字型噴頭は、簡便ではあるが付着むらの点で改善の余地がある。

5.莢におけるチオファネートメチル付着量と紫斑病粒率との関係では、適期散布条件下であれば約1ppmの付着で効果が期待できる。

6.水和剤(1,500倍液)を散布する場合、付着むらがなければ70−80リットル/10aの薬量でも、必要な付着量をみたすことが可能である。

7.莢に付着したチオファネートメチルの半減期は粉剤が2.5日、水和剤が1.7日と比較的速く減少した。
ベノミル耐性イネばか苗病菌の出現と防除法 → 全文はこちら(520KB)
小川 勝美・武田 眞一
 この報告は、岩手県におけるイネばか由病の発生経過、ベノミル耐性ばか苗病菌の出現と発生実態、および、その防除対策について研究した結果をまとめたものである。

1.ばか苗病の発生は、1973年以降のベンズイミダゾール系殺菌剤の使用によって、1978年までほとんどみられなかったが、1980年には局地的に発生し、以後急激に増加した。

2.1980年の多発圃から採集したイネばか苗病菌の中に、ベノミルおよびカーベンダジン(MBC)に対し、感受性の極めて低い、MIC値(最小生育阻止濃度)1,000ppm以上の菌株を認めた。

3.1,000ppm以上のMIC値菌株を接種し、採種した種子へのべノミル水和剤、および、チウラム・ベノミル水和剤の湿粉衣による防除効果は著しく低く、MIC値1,000ppm以上の菌株をベノミル耐性菌とした。

4.耐性菌の出現には種子消毒方法が関係しており、低濃度長時間浸漬法は湿粉衣法または高濃度短時間浸漬法に比較して効果がやや低く、耐性菌の出現を助長したと考えた。

5.発病殊に形成されたばか苗病菌の分生胞子には耐性菌と感受性菌が混在していた。多発圃場から採種した種子から分離した菌株にも同様な混在を認めた。

6.耐性菌は、ベノミル希釈培地上で菌糸がやや膨化、歪曲、ねん転し、分岐が多くなるなどの形態的変化を生じながらも、極めて緩慢な菌糸伸長を示した。

7.耐性菌を接種し、採種した種子に対して、ベノミル剤とチオファネートメチル剤は、消毒効果が低かったのに対して、トリフルミゾール剤、プロクロラズ剤では高い消毒効果が認められた。

8.トリフルミゾール水和剤の30倍液10分間浸漬、7.5倍液3%吹付け、および0.5%湿粉衣は、300倍液48時間浸漬に比較して高い効果が認められた。
[資料]準奨励品種編入に関する資料
 水稲(うるち)「いわて21(岩手21号)」 (昭和62年1月)
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(摘要無し)
[資料]準奨励品種編入に関する資料
 大豆「コスズ(東北85号)」 (昭和62年1月)
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(摘要無し)
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