(平成20年12月15日掲載)

「いわて型小型蒸気ボイラー」
現地説明会を開催!

いわて型小型蒸気ボイラー写真
""「いわて型小型蒸気ボイラー」
 含水率の高い木質チップや樹皮を効率よく燃焼

 岩手県林業技術センターでは、林業・木材産業の振興と環境対策としての新エネルギー利用の推進を図るため、農林水産省事業「新たな農林水産施策を推進する実用技術開発事業(H18-H20)」の採択を受け、オヤマダエンジニアリング株式会社、北進産業機械株式会社、岩手大学と共同で、未利用資源である針葉樹のスギ樹皮や高含水率木質チップを燃料とする、木材乾燥用小型蒸気ボイラーと樹皮粉砕機の開発に取り組んできました。

 この度、重油等化石燃料と比べて低コストで、環境への負荷を低減する燃料利用が可能な木材乾燥システムの試作機が完成し、11月10日(月)、県内製材企業や市町村職員を対象とした現地説明会を開催しました。

 当日は、県農林水産部林業振興課担当から「岩手県の木質バイオマスエネルギー利用拡大の取組み」、当センターの多田野主任専門研究員から「いわて型小型蒸気ボイラーの開発について」の説明を行い、さらに試作機の稼動運転の見学を行いました。
 県内外の製材企業や市町村からの参加者60名は、担当者の説明に興味深く熱心に聞き入っていました。

 当センターでは、来年度、県内の製材施設で実証試験を行った後に必要な機器改良等を行い、製品化したうえで導入促進を図る予定としています。

 

""なぜ小型ボイラー・・・?

 県内の木材産業は、木材の乾燥用燃料である灯油・重油の急激な価格高騰のため厳しい経営状況が続いている一方、排出される端材や樹皮など木屑の処理に困っていました。

 一部の大型木材加工工場では、この木屑を燃料として木材乾燥を行う木屑炊き蒸気ボイラーを導入していますが、現在の市販ボイラーは中小工場には規模が大きすぎ、大多数の企業は利用できないでいました。

 小型のボイラーでは含水率の高い端材を効率よく燃やすことができないこと、また繊維の長い樹皮は、適正な長さや形状に粉砕しなければボイラーに自動供給することができないなど、高性能の小型蒸気ボイラー開発にはいくつかの技術的ネックがありました。

現地説明会写真
""平成20年11月10日開催の現地説明会

 

""いわて型小型蒸気ボイラーについての研究成果資料

岩手県林業技術センター