岩手県立博物館

岩手山を望める丘のミュージアム

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2階

総合展示室

県土の誕生[地質分野]
展示品のご案内

花崗閃緑岩[かこうせんりょくがん]

 このごま塩のかたまりのような石は花崗岩(かこうがん)です。「みかげ石」、「ごま石」などの別名もあるこの岩石は、北上山地(きたかみさんち)を中心に、県内いたるところに分布しています。盛岡市内の観光名所でも、この岩石はよく見られます。
 まず、岩手公園。ここは、みなさんもよく知っているように、江戸時代に南部氏の築いた盛岡城(またの名を不来方城=こずかたじょう)の跡です。このお城は、花崗岩の丘陵地帯に建てられ、今でも、公園内には、花崗岩の大きな自然石が露出(ろしゅつ)しているのを見ることができます。みごとな石垣も、もちろん花崗岩です。


盛岡地方裁判所前の石割桜

 つぎに、盛岡地方裁判所前の石割桜と、鬼が手形を押して「岩手」の名の由来となったといわれる名須川町(なすかわちょう)東顕寺(とうげんじ)の「三ツ石様」。大きな岩のかたまりは、どちらも花崗岩です。中の橋や上の橋から見る中津川の川底に露出する大きな石は花崗岩ですし、市内を一望できる岩山も、ほとんど花崗岩からできています。
 花崗岩はじょうぶで、わりあい加工しやすく、磨いても美しいので、石碑(せきひ)や墓石、神社の鳥居や階段など、石材としても広く利用されています。

 ちょっと花崗岩に目を近づけてよく観察してみましょう。黒や白や透明のつぶつぶがわかるでしょう。このつぶは鉱物といって、ふつう岩石はこのような鉱物が何種類かあつまってできています。黒い鉱物は黒雲母(くろうんも)や角閃石(かくもんせき)、白は長石(ちょうせき)、ガラスのようにすきとおっているのは石英(せきえい)です。全体的には灰色ですが、これだけが花崗岩の色と言うわけではありません。みなさんがこの展示に入ってくるまでに歩いてきた階段や床に使われている赤茶色の石材も実は花崗岩なのです。

 さて、館内では地質の展示室以外でも花崗岩の資料を見ることができます。総合展示室「いわての歩み」の産金(さんきん)と製鉄(せいてつ)のところに展示してあるひき臼(うす)がそうです。平泉の黄金文化にもあらわされるように、その昔、岩手は産金地としてよく知られていました。この石臼はそのころ金鉱石を砕くために使われたものです。このように、花崗岩は今も昔も、私たちの生活に深いかかわりを持っているのです。


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