いざ発掘!
どうやって掘るの?




斉木君のつぶやき

 さあ、いよいよ発掘本番っす。柳之御所遺跡の野外の調査は、5月〜11月ころまで、その間、雨ニモマケズ、風ニモマケズ、ほとんど毎日外で土方してるっす。ところで、どうして冬はないかって?それは雪がふるからっす。春から秋にかけて外でめいいっぱい発掘して、冬は事務所の中で、掘ってきたものを整理する。それが柳之御所遺跡の1年のサイクルっす。(平泉町の他の遺跡では真冬でも野外調査するところもありますが・・・・ごくろうさまっす。)ここでは、おもに外での調査の仕方を順を追ってかんたんに紹介するっす。




その1  表土をはがす




上の写真は、パワーショベルを使って土をはがしているところです。
目覚めよ!柳之御所遺跡
 発掘現場で最初にすること。それは、みなさんのお母さんが朝、「早くおきなさーい!」といってふとんをはがすように、遺跡の上にのっているよけいな土をはがして、遺跡を長ーい眠りからおこしてあげるところからはじまります。この作業、広ーい発掘現場の土をはがすから、とうてい人の力では全部できません。そこで登場するのがパワーショベル。機械の力でいっきに表土をはがしてしまいます。ふとんの下から顔を出したのはいったい・・・つぎにどうぞ!

川本先生


その2  地面をけずる

 

柱の穴の写真

上の写真は柱の穴。二重丸の外側が柱を埋めた土。内側が腐って土になった柱です。
しみを探せ!
 こんどはいよいよ人の出番。機械がはいでくれた地面を、人の手できれいにおそうじしていきます。つかう道具はお百姓さんが畑で草を取る鎌とおなじものです。これで地面をスパッスパッとけずると、ほら、黄土色の地面の上に黒やまだらのしみがみえてきます。このしみはここに住んでいた人たちが、掘った穴が埋まったあとです。ふとんをはいで、顔をだしたのは、長い年月あいだに埋まってしまった柱の穴、井戸、溝・・・などだったのです。この人々の暮らしの跡を全部まとめて遺構(いこう)と発掘では呼んでます。

つねぞうさん

・黄色いチリトリみたいなのが土を入れる道具(正式名称:「み」
・左側の道具がカッチャ(正式名称:「両刃がま」
・右側の道具がイショク(正式名称:「移植ごて」




その3  穴を掘る

柱の穴の写真

半分だけ掘るのは、断面で穴の埋まり方を知るため。
壁にぶちあたれば・・・
 やっと遺構を掘るところまできました。発掘=掘るというイメージが強いとおもいますが、ここまでくるのにけっこう時間がかかりましたね。おまたせしました!さっそく上の写真の柱の穴を掘ってみましょう。色の違う土を掘っていくと・・ほら、だいたい直径1m、深さ50cmくらいの穴になりました。ところで、どうしてどこまで掘ったらいいのか、わかるかというと・・・やっぱり埋めてある土というのは、まわりの地面よりやわらかいものなんですよ。色の違いや、やわらかさを頼りに手探りで追っていくと・・・バーン!かたい壁にぶちあたるのです。壁にぶちあったて初めて、ああ、ここまでしか掘れないんだな、とわかるのです。



トクさん



〜ちょっと参考にしてね〜
柱の穴の一生


柱の穴の一生



その4  すべてを記録する


実測風景

井戸から出た古い珍しい土器をはかっているところ。
発掘現場のアーティスト
 発掘は土方ばかりではありません。学術調査なので、ひとつひとつこと細かに記録していくのです。そこで出てくるのが、現場の絵描きさん。穴を掘ったら「おーい穴の絵を描いてくれ!」、土器がでたら「おーい、土器の絵を描いてくれ!」とひっぱりだこで呼ばれるのです。とは言ってもこのお絵かき、ふつうのデッサンやスケッチとはちがいます。メジャーではかって方眼紙に正確にかたちを描いていくのです。つまり測量ですね。写真では井戸からでた土器を左のおじさんが測って、右のお姉さんが絵に描いてます。より速く、より美しく、より正確に、をモットーに現場のアーティストたちは今日もがんばっております。ところで、記録の仕方は図面ばかりではありません。この他にカメラマンもいてバシャバシャ証拠写真を撮っていくのです。

百合さん


番外編  雨の日には・・・

土器洗い

流れ作業で土器洗いをしていきます。
土器洗ってまーす!
 多少の雨ならものともしないけど、さすがに一日中ふる日は小屋の中で掘ってきた土器を洗います。こんな日にはおしゃべりにも華が咲きます。外はじとじとした雨ですが、小屋の中は明るくにぎやかなんですよ。





  * おわりに *

ざっと春から秋までの野外調査のあらましを説明しました。
柳之御所遺跡の発掘現場は調査が終わったら、また土で埋め戻します。
やっぱりふとんをかぶっているのが、遺跡にとっても一番保存状態がいいんですよ。
みなさんの文化遺産として大切にのこすために・・・おやすみなさい、柳之御所遺跡。