令和2年2月定例会 請願・陳情
(採択されたものは、内容をご覧いただけます。)

◎ 今期受理分
 総務委員会
受理番号 受理年月日 請願陳情の件名 議決結果 採択請願の処置
令和2年2月28日 性暴力の実態に即した刑法の見直し実現に向けた請願 意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択  送付


受理番号:9
受理年月日:令和2年2月28日

性暴力の実態に即した刑法の見直し実現に向けた請願

(請願趣旨)
 2017年の刑法改正において、事前の検討会で議論された9つのうち4つは改正を見送られた。改正後3年が経過しようとする中、昨年には、被害者の抵抗が困難な状況で同意のない性交等を強いられた複数の性暴力事件について相次いで無罪判決が下された。このことからも、2017年の改正では不十分であり、実態を基にした罪の行為と類型を形成していく必要性があると強く感じる。
2017年6月の改正に係る「刑法の一部を改正する法律(平成29年法律第72号)」の附則第9条では、3年を目途として施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講ずると定められている。
ついては、被害実態や実態調査データに基づいて刑法の見直しが行われるよう、国会及び法務省へ意見書を提出するよう請願する。
(請願項目)
以下の項目が実施されるよう、国会へ意見書を提出すること。
1 「刑法の一部を改正する法律(平成29年法律第72号)」の附則第9条に基づき、刑法の再改正に向けた見直し検討会及び法制審議会を早急に開催すること。
2 見直し検討会や法制審議会に、性被害当事者や支援団体の代表、さらに被害者の実態を熟知した研究者、専門家を委員に半数程度入れるよう配慮すること。
 3 2017年6月の刑法改正に係る衆議院附帯決議の4に基づき、性暴力被害者と性暴力加害者の実態調査結果による両者の精神及び心理医学的知見の観点を踏まえて、検討項目に以下を反映すること。
(ア) 公訴時効の撤廃
(イ) 不同意性交等罪の創設
(ウ) 地位関係性を利用した性犯罪の加重規定の創設と法定刑の見直し
(エ) 性交同意年齢の引上げ
(オ) 配偶者間における性犯罪の成立の明文化
(カ) 条文の位置を社会的法益から個人法益とする
 環境福祉委員会
受理番号 受理年月日 請願陳情の件名 議決結果 採択請願の処置
令和2年2月25日 岩手県全域における「ダブルケア」支援を求めるための請願 採択  送付
令和2年2月25日 岩手県全域における「ダブルケア」支援を求めるための請願 採択  送付
10 令和2年2月28日  「気候非常事態宣言」を求める請願 意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択  送付
 11  令和2年3月6日 岩手県として気候変動非常事態の宣言を行うことを求める請願  採択  送付
 12 令和2年3月13日  妊産婦医療費助成制度の拡充を求める請願 意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択  送付


受理番号:7
受理年月日:令和2年2月25日

岩手県全域における「ダブルケア」支援を求めるための請願


(請願趣旨)

 ダブルケアとは、子育てと介護を同時に担うことで、晩婚化、少子高齢化、核家族化等の問題が顕在化したもので、2016年4月の内閣府の調査によると、全国で少なくとも25万3千人に上ることが分かった。岩手県でもそれに直面する人が増えてきている現状で、深刻な社会問題として捉えられている。
 育児・介護とも、当事者たちが抱える課題は多岐に渡る中で、その両方を抱えた当事者の精神的・肉体的負担は大きいものがある。
【ダブルケア支援の実情】
 私たちが、ダブルケア当事者同士のおしゃべり会ダブルケアカフェを開催するようになって約4年がたとうとしている。その集いの中で、各種相談窓口において、ダブルケアについての理解が乏しく、思うような支援が受けられないと語る当事者がいる。介護や子育てなどの専門職ですら、ダブルケアという言葉も、その問題点、抱えている課題、どういった支援が求められているのかといったことを理解していない場合が多い。
 また、現在の社会政策は子育ては子育て、高齢者は高齢者、障がいは障がいと分けられた支援体制となっているため、当事者があちこちの相談窓口に足を運び、それでもなお、上記のとおり、ダブルケアに対する理解が薄いため、適切な支援に結び付けられていないことが多い。また、ダブルケアカフェ参加者の話から、ダブルケア当事者がダブルケアの悩みを相談する窓口というのは、介護分野から子育て分野まで多岐に渡っていることが分かる。
 当岩手奥州ダブルケアの会では、周知活動の一環として、主に支援者向けに2017年11月にダブルケアシンポジウム、2019年2月と6月にダブルケア勉強会を、横浜より研究・支援の第一線の講師(横浜国立大学 相馬直子教授並びに横浜を拠点として活動する一般社団法人ダブルケアサポート)を招いて開催してきた。ダブルケアに特化した勉強会は全国的にも少なく、特に、いわて県民計画(2019~2028)にダブルケアを記載した岩手県にとっては、貴重な学びの機会であったと思うが、一任意団体の開催する勉強会では、参加者数が伸びず(2017年11月開催シンポジウム約60人、2019年2月開催勉強会26人、同6月開催勉強会25人)、周知活動に限界を感じている。
 このような状況の中、ダブルケアで孤独に抱え込んでいる当事者は相当数いると予想されることから、県として、県全域において、ダブルケアを担う人々への充実した具体的支援を着実に実行するよう、次の事項について請願する。
(請願項目)
1 介護や障がい福祉、子育て支援などの関係機関が連携し、ダブルケアについて、ワンストップで相談や支援が受けられるよう、市町村の体制整備を働きかけること。
2 ダブルケアに関する勉強会及びダブルケアサポーター養成講座を実施し、子育て、介護、障がい福祉、男女共同参画などの相談や支援にあたる職業の人への知識と理解を深めてもらうよう努めること。
3 想いや悩みを共有できる場であるダブルケアカフェ等を設置し、当事者が孤立せずに、身近な場所で相談できる支援体制を整備すること。
4 女性だけに負担が集中しないよう、企業等における男女共同参画への理解を促進し、社会全体で男性の家庭進出を推進すること。
5 保育所利用に係る審査において、要介護者、障がい者への介護中や看護中であること、また高齢者施設の利用に係る審査において、子育て中や妊娠中であることを配慮するよう見直しを行うこと。

※ 項目1,2,3及び5は保健福祉部所管
 
受理番号:8
受理年月日:令和2年2月25日

岩手県全域における「ダブルケア」支援を求めるための請願

(請願趣旨)

 ダブルケアとは、子育てと介護を同時に担うことで、晩婚化、少子高齢化、核家族化等の問題が顕在化したもので、2016年4月の内閣府の調査によると、全国で少なくとも25万3千人に上ることが分かった。岩手県でもそれに直面する人が増えてきている現状で、深刻な社会問題として捉えられている。
 育児・介護とも、当事者たちが抱える課題は多岐に渡る中で、その両方を抱えた当事者の精神的・肉体的負担は大きいものがある。
【ダブルケア支援の実情】
 私たちが、ダブルケア当事者同士のおしゃべり会ダブルケアカフェを開催するようになって約4年がたとうとしている。その集いの中で、各種相談窓口において、ダブルケアについての理解が乏しく、思うような支援が受けられないと語る当事者がいる。介護や子育てなどの専門職ですら、ダブルケアという言葉も、その問題点、抱えている課題、どういった支援が求められているのかといったことを理解していない場合が多い。
 また、現在の社会政策は子育ては子育て、高齢者は高齢者、障がいは障がいと分けられた支援体制となっているため、当事者があちこちの相談窓口に足を運び、それでもなお、上記のとおり、ダブルケアに対する理解が薄いため、適切な支援に結び付けられていないことが多い。また、ダブルケアカフェ参加者の話から、ダブルケア当事者がダブルケアの悩みを相談する窓口というのは、介護分野から子育て分野まで多岐に渡っていることが分かる。
 当岩手奥州ダブルケアの会では、周知活動の一環として、主に支援者向けに2017年11月にダブルケアシンポジウム、2019年2月と6月にダブルケア勉強会を、横浜より研究・支援の第一線の講師(横浜国立大学 相馬直子教授並びに横浜を拠点として活動する一般社団法人ダブルケアサポート)を招いて開催してきた。ダブルケアに特化した勉強会は全国的にも少なく、特に、いわて県民計画(2019~2028)にダブルケアを記載した岩手県にとっては、貴重な学びの機会であったと思うが、一任意団体の開催する勉強会では、参加者数が伸びず(2017年11月開催シンポジウム約60人、2019年2月開催勉強会26人、同6月開催勉強会25人)、周知活動に限界を感じている。
 このような状況の中、ダブルケアで孤独に抱え込んでいる当事者は相当数いると予想されることから、県として、県全域において、ダブルケアを担う人々への充実した具体的支援を着実に実行するよう、次の事項について請願する。
(請願項目)
1 介護や障がい福祉、子育て支援などの関係機関が連携し、ダブルケアについて、ワンストップで相談や支援が受けられるよう、市町村の体制整備を働きかけること。
2 ダブルケアに関する勉強会及びダブルケアサポーター養成講座を実施し、子育て、介護、障がい福祉、男女共同参画などの相談や支援にあたる職業の人への知識と理解を深めてもらうよう努めること。
3 想いや悩みを共有できる場であるダブルケアカフェ等を設置し、当事者が孤立せずに、身近な場所で相談できる支援体制を整備すること。
4 女性だけに負担が集中しないよう、企業等における男女共同参画への理解を促進し、社会全体で男性の家庭進出を推進すること。
5 保育所利用に係る審査において、要介護者、障がい者への介護中や看護中であること、また高齢者施設の利用に係る審査において、子育て中や妊娠中であることを配慮するよう見直しを行うこと。

※ 項目4は環境生活部所管
 
受理番号:10
受理年月日:令和2年2月28日

「気候非常事態宣言」を求める請願 

(請願趣旨)

 現在、世界各地で記録的な高温、集中豪雨、大規模な干ばつ、森林火災などの異常気象が増加している。WMO(世界気象機関)は、これら異常気象の増加傾向が長期的な地球温暖化の傾向と関係しているとの見解を示している。近年、日本においても、猛暑や巨大台風などの気象災害が頻発しており、昨年の台風第19号では岩手県でも犠牲者を出すなど甚大な被害を及ぼした。気候変動は気象災害の激甚化、自然環境や生態系の劣化、農業や漁業の一次産業への悪影響などをもたらし、私たち人類、そして地球上のすべての生物、自然は存続の危機にさらされている。
 気候変動の脅威に全世界で対応するための国際的な枠組みであるパリ協定は、世界の平均気温の上昇を2℃より十分低く抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求することを目的としている。2018年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)1.5℃特別報告書においては、世界の気温上昇は既に約1.0℃に達していること、地球温暖化を1.5℃に抑えるためには人為的な二酸化炭素排出量を2050年頃までに実質ゼロパーセントにする必要があること等が示された。
 パリ協定の目的を達成するためには、世界全体で直ちに抜本的な対策に取り組み、それを継続的に進めていくことが非常に重要である。また、再エネ・省エネの推進は地域経済の好循環を生み出すなど、適切に設計された気候変動対策が経済・社会面における課題の解決にもつながり、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献するものとなる。
 このような状況の中、世界中で「気候非常事態宣言」を出した自治体数は1,328にまで増え(2020年1月26日現在)、再生可能エネルギーへの早期転換が大きく叫ばれている。岩手県は「いわて環境王国宣言」にもあるように緑豊かな奥羽山脈や北上高地、北上川や雄大な三陸の海など大自然の中でその恵みを受けている。私たちには古くから受け継がれてきた自然との共生という価値観を大切にし、次世代にもこの豊かな環境を引き継いでいく使命がある。まずは県内の各自治体の足並みをそろえ、同じ方向の未来を見据えて、全国に先駆け気候非常事態を宣言することで、他県各自治体、そして今年の11月に開催されるCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)へ向かう日本政府の後押しをし、未来の世代への責任を果たすべきである。
 以上のことから、下記の事項について請願する。
(請願項目)
1 岩手県として、下記内容を含む「気候非常事態」を宣言することを求める。
(1) 「いわて環境王国宣言」の意思に基づき、子供から大人まで全県民に向け、今地球規模で起こっている気候変動の非常事態について全力で周知徹底をすること。
(2) 県として表明した「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」を踏まえ、具体的な計画を盛り込んだ次期岩手県環境基本計画を打ち出し、民間企業などと連携した取組を加速させること。
2 政府に対して、地方自治法第99条に基づき、下記内容を含む「気候非常事態」を宣言することを求める意見書を提出すること。
(1) 子供から大人まで全国民に向け、今地球規模で起こっている気候変動の非常事態について全力で周知徹底をすること。
(2) 2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロパーセントを掲げ、全国で利用するエネルギーを化石燃料由来のものから再生可能エネルギーに完全移行できるよう、民間企業などと連携し抜本的な改革を早急に行うこと。
 
受理番号:11
受理年月日:令和2年3月6日

岩手県として気候変動非常事態の宣言を行うことを求める請願  

(請願趣旨)

 近年頻発している大型台風や豪雨被害の原因は、二酸化炭素排出量の増加が原因による地球温暖化であると言われている。このことは、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)をはじめとする多くの科学的知見によって立証されている。
 IPCCによると、地球の平均気温は産業革命前からすでに1℃以上上昇しており、2018年発表の「1.5℃特別報告書」の中では、世界への気候変動による影響の甚大さと対策の緊急性を改めて強調している。
 気候変動による影響は世界各国でもハリケーン、森林火災、干ばつといった災害として発生しており、日本でも様々な被害が出ている。これは、県内でも同様である。
 「パリ協定」では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求するという目標が掲げられた。
 このまま地球温暖化が進むことで、気象災害の激甚化、自然環境や生態系の劣化、健康リスクの増大、農作物・生態系への変化など、さらに被害が拡大していくことが予想される。この状況は、次世代を生きる子供たちの未来を奪うこと、自然豊かな環境を破壊してしまうことにつながってしまう。
 現在、世界では1,200以上の自治体が「気候非常事態宣言」を行い、日本でも長野県をはじめとして、宣言をしている自治体が広まっている。
 岩手県は、「2050年温室効果ガス排出量の実質ゼロ」を掲げる目標を発表しているが、気候危機が迫っていることを県民に周知徹底し、全県民が家庭生活、社会生活、産業活動において省エネルギーの推進と併せて、Reduce(ごみの排出抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)をしていくとともに、消費活動におけるRefuse(ごみの発生回避)へも積極的に取り組むよう働きかけていくことが大切である。
 以上の趣旨から、次のことを請願する。
(請願項目)
1 岩手県として気候変動非常事態の宣言を行うことを求める。
2 気候危機が迫っていることを全力で全県民に周知するとともに、岩手県各自治体、家庭、企業への4Rを推進することを求める。
 
受理番号:12
受理年月日:令和2年3月13日

妊産婦医療費助成制度の拡充を求める請願  

(請願趣旨)

 2018年12月14日「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(成育基本法)が公布された。
 成育基本法は、「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策を総合的に推進する」ことを目的に掲げ、「社会的経済的状況にかかわらず安心して次代の社会を担う子どもを生み、育てることができる環境が整備されるように推進」することを基本理念とし、国は「成育医療等の提供に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」とし、自治体は「国との連携を図りつつ、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」としている。
 成育基本法を実現するためには、①妊産婦に対して疾患や受診科目による制限のない「妊産婦医療費助成制度」を国が創設する。②国による妊産婦医療費助成制度創設を実現するためにも、自治体として妊産婦医療費助成制度を実施・拡充することが重要と考える。
 本県は妊産婦に対する助成を実施しているが、対象は妊娠5カ月目からで、所得制限もあり、制度はあっても対象者が限られている。県内市町村でも助成内容に違いがある。
 少子高齢化が進む中、第2子以降の児を望む夫婦世帯にとって、第1子の妊娠時に入院生活に多額の負担を要した印象が、次の出産に対する意欲を抑制することは容易に想像できる。また、近年、出産年齢が上昇しているが、それに伴い、糖尿病や甲状腺疾患等の妊娠に関係しない偶発合併症も増加傾向にある。妊産婦家庭の負担を軽減することと、県内どの地域で出産・子育てをしようと、一律の条件で医療費助成を受けられる実質的な施策が求められている。
 ついては、妊産婦が費用の心配なく安心して受診できるよう、県においては下記事項について拡充し、また、国に要望するようお願いする。
(請願事項)
1 母子保健法第6条等で定める妊産婦の定義を踏まえ、助成期間を母子健康手帳交付月の初日から産後1年までとしてください。
2 所得制限を撤廃してください。
3 成育基本法の基本理念にのっとり、窓口一部負担金を廃止してください。
4 国に対し、疾患や受診科目による制限のない妊産婦に対する医療費助成制度を国の制度として早期に実現するよう意見書を提出してください。
5 国に対し、福祉医療費助成を現物給付としている市町村に対する国民健康保険国庫補助金の削減措置は廃止するよう意見書を提出してください。
 
 商工建設委員会
受理番号 受理年月日 請願陳情の件名 議決結果 採択請願の処置
13 令和2年3月13日 令和2年度岩手地方最低賃金改正についての請願 意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択  送付
14 令和2年3月13日 2020年度最低賃金引き上げに関する請願 意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択 送付 


受理番号:13
受理年月日:令和2年3月13日

令和2年度岩手地方最低賃金改正についての請願


 令和2年度の岩手県最低賃金の改正に関して、岩手労働局、岩手地方最低賃金審議会及び政府に対して意見書を提出するよう請願する。
(請願趣旨)
労働基準法第2条(労働条件の決定)は、労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものであると定めている。しかし、地域別最低賃金の影響を受けるパートタイム、有期及び派遣労働者の多くは集団的労使関係になく、労働条件決定に関与することが難しい状況にある。
最低賃金を巡っては、平成22年の雇用戦略対話における合意、平成28年のニッポン一億総活躍プラン、平成29年の働き方改革実行計画、令和元年の経済財政運営と改革の基本方針、成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ・令和元年度革新的事業活動に関する実行計画のいずれにおいても(より早期に)全国加重平均が1,000円以上になることを目指すとされ、近年関係者の努力により引上げが続いているが、本県の地域別最低賃金は現在790円と全国最下位におかれている。
このような全国、都市部との賃金格差は、若者の人口流出にも大きく影響しており、人手不足が深刻化する中にあって県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因となっている。さらに平成30年度に県が実施した岩手県子どもの生活実態調査において、母子世帯の収入が低い実態などに見られるように、子供の貧困問題にも関わって、有効なセーフティネットとして十分機能しているとは言えない。
また、中小企業が経営基盤を強化し、賃上げ原資を確保するためには、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分とともに、国による各種助成金制度の拡充が重要である。
以上の観点から、次の事項について関係機関に対する意見書を提出するよう請願する。
(請願事項)
1 岩手労働局及び岩手地方最低賃金審議会への要請事項
(1) 令和2年度の岩手県最低賃金の改正に当たっては、深刻化する本県の人材確保、全国との格差解消、国の度重なる全国加重平均1,000円以上を目指すとの方向性に鑑み、早期に1,000円以上を目指した引上げを行うこと。
(2) 特定最低賃金の改正に当たっては、特定最低賃金の目的である労働条件の向上、事業の公正競争を確保する観点から最低賃金より高い水準を確保する必要性やこれまでの経緯等を十分勘案して検討すること。
(3) 県内で最低賃金を下回る賃金の労働者をなくすため、事業所に対する指導監督を強化し、最低賃金制度の履行確保を図ること。
2 政府への要請事項
  最低賃金の引上げと同時に、中小企業に対する支援の充実と周知を図り、安定した経営を可能とする対策を行うこと。

 
受理番号:14
受理年月日:令和2年3月13日

2020年度最低賃金引き上げに関する請願


(請願趣旨)

 日本の最低賃金は、都道府県ごとに4つのランクに分けられ、地域別最低賃金の2019年度の改定では、最も高い東京都は時給1,013円、岩手県を含む最低額の15県は790円である。これでは毎日フルタイムで働いても月11万円から14万円までの手取りにしかならず、憲法が保障する健康で文化的な最低限度の生活はできない。
しかも、時間額で223円にまで広がった地域間格差によって地方から労働力が都市部へ流出し、地方の人口減少を加速させ、高齢化と地域経済の疲弊を招いている。今、全国の多くの自治体が、人口減少に苦しんでいる。地域経済を再生させる上で、最低賃金を全国一律に是正することと抜本的に引き上げることは、必要不可欠な経済対策である。
全国労働組合総連合が行っている最低生計費試算調査によれば、健康で文化的な生活をする上で必要な生計費に、地域による大きな格差は認められない。また、若者が自立した生活に必要な生計費は、月に22万円から24万円まで(税込み)の収入が必要との結果である。月150時間の労働時間で換算すると時給1,500円前後が必要となる。世界各国の制度と比較すると、日本の最低賃金は、OECD諸国で最低水準である。また、そのほとんどの国で、地域別ではなく全国一律制となっている。最低賃金を引き上げるためには、中小・零細企業への助成や融資、仕事起こしや単価改善につながる施策の拡充が必要である。公正取引の観点からも、下請け企業への単価削減・賃下げが押しつけられないように指導し、適正な契約で労働者が生活できる賃金水準を保障することが必要である。最低賃金を引き上げることで中小企業に働く労働者の約4割の賃金を引き上げることができる。労働者・国民の生活を底上げし購買力を上げることで、地域の中小・零細企業の営業も改善させる地域循環型経済の確立が求められている。
労働基準法は、第1条で、労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならないとしており、最低賃金法第9条は、労働者の健康で文化的な生活を営むことができるようにするとしている。最低賃金を大幅に引き上げつつ地域間格差をなくして、中小企業支援策の拡充を実現するため、2020年の最低賃金改定に当たり、次の事項について請願する。
(請願事項)
1 次の事項を実現するために政府及び中央最低賃金審議会など関係機関に意見書を提出すること。
(1) 最低賃金について、以下のように改善すること。
ア 最低賃金は最低生計費を満たす金額とし、2010年の雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意に基づき、できる限り早期に全国最低800円を確保し、2020年までに全国平均1,000円を目指すことを実現すること。
イ 全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
ウ 審議会や専門部会の公開性を高めること。非正規労働者が意見陳述する機会を必ず設けること。
(2) 以下の制度改正を行うこと。
ア 最低賃金の日額、月額設定を復活させること。
イ 最低賃金を年金支給額、下請単価、業者や農民の自家労賃などに連動させ、ナショナル・ミニマム(国民生活の最低保障)の基軸とすること。
ウ 中小企業に対する大企業による優越的地位の濫用、代金の買い叩きや支払い遅延等をなくすため、中小企業憲章を踏まえて、中小企業基本法、下請二法、独占禁止法を抜本改正すること。
エ 最低賃金を引き上げるための中小企業支援策を抜本的に拡充すること。中小企業負担を軽減するための直接支援として、賃金助成制度や中小企業の社会保険料負担や税の減免制度等を実現すること。
(3) 最低賃金違反を根絶するため、労働基準監督官を大幅に増員し、監督行政の強化を図ること。
2 県として、最低賃金引上げのための中小企業支援策をさらに拡充すること。


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