地球温暖化対策特別委員会会議記録

地球温暖化対策特別委員会委員長 亀卦川 富夫

1 日時     
  平成21年9月2日(水曜日)     
  午前10時4分開会、午前11時38分散会
2 場所     
  第3委員会室
3 出席委員   
  亀卦川富夫委員長、喜多正敏副委員長、佐々木順一委員、新居田弘文委員、
 大宮惇幸委員、岩渕誠委員、佐々木大和委員、樋下正信委員、高橋雪文委員、
 田村誠委員、小野寺好委員
4 欠席委員   
  なし
5 事務局職員  
  武蔵担当書記、高杉担当書記
6 説明のため出席した者
  東北大学東北アジア研究センター 教授 明日香壽川氏
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
 (1) 地球温暖化を巡る最近の動向と今後の課題について
 (2) 次回の委員会運営について
 (3) 委員会調査について
9 議事の内容
○亀卦川富夫委員長 おはようございます。ただいまから地球温暖化対策特別委員会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。本日はお手元に配付いたしております日程により会議を行います。これより「地球温暖化対策を巡る最近の動向と今後の課題」について調査を行います。
 本日は、講師として東北大学東北アジア研究センター、明日香壽川先生をお招きしておりますので、ご紹介申し上げます。
 明日香先生の御経歴につきましては、お手元に配付いたしておりますとおりでございます。なお、明日香先生におかれましては、昨年度の岩手県環境生活部が設置いたしました環境と共生する地域社会を考える懇談会の委員を務めていただいております。なお、懇談会の提言につきましては、お手元に参考資料として配付いたしております。
 本日は、「地球温暖化対策を巡る最近の動向と今後の課題」と題しまして、明日香先生より御講演をいただくこととしておりますが、明日香先生には御多忙のところ御講演をお引き受けいただきまして、改めて感謝申し上げたいと思います。
 これから御講演をいただくわけでありますが、後ほど明日香先生を交えての質疑、意見交換の時間を設けておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、明日香先生よろしくお願いいたします。
○明日香壽川講師 よろしくお願いいたします。東北大学の明日香と申します。先週の金曜日の「朝まで生テレビ」をごらんになった方いらっしゃいますでしょうか。私出まして、実は温暖化問題に対して議論がありました。この時期になぜ「朝まで生テレビ」が温暖化を取り上げたかよくわからないのですけれども、聞くところによると余り政争点になっていそうでなっていないから扱っても大丈夫だろうということで「朝まで生テレビ」でやるということに。あと田原総一朗さんがどちらかというと温暖化は起きてないというのでしょうか、温暖化対策にはどちらかというと否定的な方でして、彼の個人的な興味もあって朝生で取り上げたようです。
 彼は「フライデー」という雑誌でも環境省のことをちょっと批判的に書いていらっしゃったりしていて、普通は5対5なのですけれども、司会があっち側だったので4対6でやっていました。なので、きょうはちょっとその懐疑派のことについてもお話しさせていただきながら、かつ、皆さんが何となく薄々お感じというか、わかっていらっしゃるかと思いますけれども、キャップ・アンド・トレードというのが民主党政権に入ることになりますので、そもそもキャップ・アンド・トレードというのは何なのか、炭素税と比べてどう違うのかとか、世界はどういうふうに動いているのか、岩手県ではどういうような取り組みをやらなければいけないのか、東京都はどういうことをやっているのかについてお話しさせていただければと思います。私の話はなるべく短くしまして、皆さんの御質問を受けたいと思いますので、適当に聞いていただければと思います。
 最初に、ビデオを見るというか、簡単なアニメなのですが。
 これは温度がどういうふうに上昇するかというシミュレーションです。100年後の話なので、こうなることは100年後にならないとわからないのですが、こんな感じで地球全体の温度が上がっていくと。
 ですが、このときのポイントは、御理解いただけるかと思うのですけれども、よく2度上がるとありますよね。2度上がるというのは平均で2度上がるのです。なので、温度が高いところは4度上がる可能性もありますし、5度上がる可能性もある。上がらない可能性もある。だから、地域差があります。申し上げたいのは1度、2度ぐらい上がってもいいのではないかというふうに岩手県の人の感覚で考えてはいけない。岩手県は1度とか2度しか上がらないかもしれないですけれども、世界では4度、5度上がるところもあるということです。なので、温暖化問題というのはまさにグローバルの問題でありまして、日本だけ、岩手県だけ、仙台だけ考えてはいけないということです。
 地域差が非常に大きいですし、温度というのは上がったり、下がったりする。上がったり、下がったりするというのはどういうことかというと短期変動というがあります。御存じのようにことしの夏は冷夏だったのですけれども、それはいわゆるエルニーニョというものが原因しているといいます。エルニーニョなりラニーニャというのは数年、5年とか6年とか7年とかそういうレベルで、周期で起きます。そのときに上がったり下がったりします。ですが、長期変動というのはこの過去50年ずっと上がっていると。だから、ことし寒かったから来年も寒いだろうということにはならなくて、日本でエルニーニョのときには比較的冷夏なのですけれども、南米では今は非常に暑いですし、7月の平均の海水温というのは史上最高を記録しています。だから、日本は涼しいのですけれども、暑いところがたくさんあるというのを理解していただければと思います。
 よく寒冷化しているのではないかという議論が日本ではあるし、世界じゅうでそういうことを言う懐疑派の方はいらっしゃるのですけれども、その原因というのは、いつからはかるかなのです。98年というのは、実はエルニーニョで非常に暑い年でした。だから、そこを始点に数えると、2000年というのは1998年に比べるとそんなに上がっていないのは確かです。98年と比べるのではなくて、1995年でもいいです、90年、75年でもいいのですけれども、それから比べるとこういうふうに長期的には上がっているというのを理解していただければと思います。どこから考えるかというのも非常に重要な問題でして、98年はたまたま暑かった、異常に暑かった。エルニーニョの影響で異常に暑かった年から考えると2000年というのはそれほど上がっていないのですけれども、その前から考えるとこういうふうに上がっているということです。先ほど申し上げたように、ことしの7月は平均の海水温は最高なので、多分これからどんどん上がっていくだろうというふうに言われています。
 私がきょうお配りしたペーパーは「地球温暖化問題懐疑論へのコメント」という非常に長い、細かいですけれども、御参考までに配らせていただきました。これを御覧になればいろんな質問なり疑問に対する我々科学者のほうからの回答は書いてあります。例えば今申し上げた温暖化していないということに関しては反論していますし、CO2は関係ないということに関しても議論はしております。地球温暖化してもいいのではないかということに対しても、あなたはいいかもしれないけれども、ほかの人は困りますよという話ですし、京都議定書はどうなのですかとか、そういうお話まで書いてありますので、時間のあるときに御覧になっていただければと思います。
 懐疑論に関しては世界じゅう似たようなパターンであるのです。よく私が申し上げるのは、世の中が右を向いたときに必ず左を向く人はいると。それはそれで悪くないですし、多分そういう人は3パターンあると思うのです。1人は多分、一番極端はガリレオだと思います。本当に自分は信念があって、理論があって、いわゆる正しいかもしれません。そういう人たちは多分いると思います。でも、2番目の人たちというのは、単純にあまのじゃくというか、つむじ曲がりというか、そういう人たちもいると思います。3番目の人たちというのは、やはりこっちを向くことによって利益を得る人たちなのです。だれがその三つのうちのどれかとは言いませんけれども、少なくともガリレオだけではないですし、2番目、3番目の人が懐疑派の大部分だと思います。
 もうちょっと細かく言うと、やはり一番困る業界の人たちというのはエネルギーを、かなりCO2をたくさん出してきた人たちですし、石油、石炭、天然ガス、天然ガスはわかりませんけれども、そういうのを売って商売している人たちですので、そういう人たちがいろんな人を動員して、いくらぐらいお金かけて、懐疑論を流しているというのが、少なくとも関係者では常識です。そういう団体がどこのシンクタンクにどのくらいお金を出して、どういうコンサルタントを雇ってどういうキャンペーンをやったというのは、もう既に全部わかっています。
 よく同じだと言われているのはタバコです。タバコも基本的に害でないというキャンペーンをタバコ会社が30年前、40年前からずっとやってきまして、今タバコを吸っていらっしゃる方にはあれなのですけれども、同じようなパターンで社会に何となくタバコは関係ないのだよというようなイメージを植えつけるキャンペーンをやっていたと。それと全く同じ手法を化石燃料業界はやっていて、いろいろデータを出す。それに対して、ほかの国の人たちも全く同じようにインターネットで得た情報をもとに議論しているというパターンが多いかなと個人的には思います。懐疑論の話はこの辺でやめますけれども、そのペーパーを読んでいただければと思いますし、より理解していただければと思います。
 2番目は、最近の国際情勢について簡単にお話しさせていただきたいと思います。日本も変わりましたし、アメリカも変わっています。ブッシュ大統領は、先ほどのいわゆる懐疑派の一人でした。本当に単純なのですけれども、基本的に彼のバックは燃料業界ですし、彼の閣僚はすべてではないのですけれども、やはり石油関係の方が多かったので、当然意見というのがあったと思います。ブッシュ政権がアメリカにおいて非常に消極的で、アメリカ政府も当然それで動いたというのは確かですので、オバマになって非常に変わりました。
 もともと温暖化問題をリードしていたのはEUなのです。何でEUかと、きのうもそういう話をほかの方としたのですけれども、幾つかの理由があると思います。緑の活用とかいろいろあるのですけれども、一つ日本で認識されていないのはアフリカだと思います。というのは、今EUで一番困っているのは、一番かどうかわからないのですけれども、かなり困っているのがアフリカからの難民なのです。1日何百人、何千人という人が船なり陸路でやってくる。かつそれでやってこれない人は、サハラ砂漠でまさにのたれ死にしている人も何千人、何万人いるというふうに言われています。もちろん難民というのが環境だけの理由ではなくて、政治的な理由もあると思うのですけれども、少なくとも干ばつが深刻になっていますし、その影響で難民の方というのは非常に多いかと思います。温暖化問題、先ほど申し上げたように地域によって全然変わります。一言でいえば南北問題と言えなくもないです。基本的にアフリカなり、アジアの貧しい人たちは温暖化による自然災害の頻発によって、自然災害というのは言葉が矛盾していますけれども、より頻発する災害によって苦しむということだと思います。だから、そういう人たちに対して、ヨーロッパの人たちというのはより身近に感じるところもあると思いますし、それ以上に例えばギリシャでは3年か4年前ですか、山火事で3分の1の山が焼けていますし、スペイン、イタリアでも結構山火事は大変です。
 山火事というのは、実は日本は余りないのですけれども、世界じゅうで起きていまして、今でもカリフォルニアはかなり深刻になっていますし、オーストラリアは干ばつで非常に困っている。自分たちの国も困っているし、困っている国からの難民が非常に身近にいるというのがEUでありますし、アメリカはみずから自分たちも困っているということだと思います。なので、こういうことを言うと多分日本は世界で一番恵まれている先進国なのかもしれません。だから、政治的な争点に実はなりそうでなっていないというのが現実ではあると思うのですけれども、それはそれでハッピーなことかもしれませんけれども、世界はそういう理由で温暖化というのを非常に重要な問題だと位置づけているということを認識していただければと思います。
 あと中国、インド、いわゆる途上国に関してひとこと申し上げますと、特に中国、インドはずるいと、温暖化対策していない、京都議定書に入っていない、参加していないという言い方があるのですけれども、京都議定書に参加していないということは間違いです。参加はしているのですけれども、排出削減の数値目標を負っていないというのが正確な言い方です。では、なぜ負ってないかというと、基本的には1人当たりの排出量が極端に違うので、公平性の理由から、途上国はとりあえず最初の段階では義務を免除してあげようということです。実はここが一番温暖化問題で難しい問題なのですけれども、基本的に産業革命以降の温度上昇を2℃にとめるということは、例えば将来3,000年とか4,000年とかこれからにわたって2,500億トンしかCO2を出してはいけないということを意味するのです。というのはどういうことかというと、その2,500億トンを今の世代とかつ将来2050年までに生きていく我々の子供なり孫なりの世代で分けるという話になります。だから、それを分けるというのは水なり食料を分けるのと全く同じ話で、いわゆる経済の分配問題と言われるものです。当然公平性というのが問題になってきて、1人当たり同じように分けるという分け方もありますし、今持っている人たちはたくさんあげる。新しく出てくる人たちには何もあげないというような分け方もあります。まさにそういうところの議論をしているので、そういう根本的な問題があるので、当然途上国は1人当たりの排出量が今少ないですからもっと欲しいと、エネルギーをたくさん使うでしょうし、エネルギーを使えば今のシステムだとCO2はどうしても出てしまうのです。なので、単純にエネルギーなり食料なり水の分配問題と全く同じなので、温暖化問題というのは非常に解決が難しいというか、防御するのが難しいという現状です。
 COPというのが12月にあって、毎年やっているのですけれども、皆さん何となくうまくコンセンサスに向かっているというイメージはあるかもしれませんけれども、実際はかなり難しいというか、COPはことしもコペンハーゲンであるのですけれども、楽観的な人というのは、交渉担当者の中では少数派であるのが現実です。もちろん民主党になったということは非常に大きな話かもしれないのですけれども、どの国も基本的には自分たちは余り削減したくない、ほかの国はたくさん削減しろというようなスタンスですので、だれが悪いとか、どの国が悪いとは余り言いませんけれども、例えば我々も家族の中でおまんじゅうを分けるときに上の兄弟と下のを同じように分けるか、それとも上の兄弟のほうが体が大きいからたくさん食べたいと言うからたくさん上げるか、親はどう判断するかというのと全く同じような構図になっているという状況です。
 ですが、やはり忘れてはいけないのは、被害者というのは途上国の人のほうが多いのです。例えば基本的に温暖化の影響で起こるのは、温度が上がるのは海面上昇というのもあるのですけれども、やはり国際社会に対して一番インパクトが大きいのは洪水とか干ばつです。洪水なり干ばつで亡くなる方の9割5分は途上国の方ですし、洪水で亡くなる方の7割はたしかバングラディシュ、インド、中国のその3カ国に集中しています。基本的に、そういうところにはインフラがないですから、毎年そういうので洪水で何万人と死んでいるのですけれども、それがより数がふえる、何万人、何十万人というレベルで数がふえるということです。
 そういうファクターもあるし、中国も自分たちが被害者だということは認識しているので何とかしなければいけないのですけれども、やはり先ほどの公平性という問題があって、自分は得るものは得たい、それは当然開発する権利であるのだというまさにジレンマですし、そのジレンマというのを先進国はある程度理解しないとなかなか難しいだろうねということです。ですが、そこに国益というのが入ってきまして、ややこしくなってきてなかなか前に進まないというのが現状でありますし、その懐疑派という人たちも入ってきまして、温暖化していないというそもそも論から始められると、全然話が前に進まないというのが現状であります。そんな感じの話が「朝まで生テレビ」の話でした。
 では、時間も少ないので、排出量取引制度に関してお話しさせていただきたいと思います。民主党はキャップ・アンド・トレードを入れるというのを公約にしていて、多分入れるでしょう。キャップ・アンド・トレードというのはどういうものかというところからお話しさせていただきたいと思います。温暖化対策、CO2の排出を削減する制度というのはそんなに多くないのです。単純にいえば四つありまして、一つは規制です。あしたからもうプリウスしか乗ってはいけない、あしたから電気は夜中は使ってはいけないとか、そういうようなのが規制です。それはそれである程度は必要かもしれませんけれども、重要性なり効率性なり、政府がそもそもそういう権利があるかというような話はあるかと思います。例えばタバコを吸ってはいけないというのは規制ですので、将来的にそういうのはどんどん入る可能性はあります。実際EUでは白熱電球使ってはいけないということになっていますので、日本でも早晩だんだんそういうものが入ってくるかと思います。
 2番目は補助金です。エコカー、エコポイントもそうですし、そういう補助金があります。ですが、結局補助金も財源はどこから出すのですかという話になりますので、たくさんは頼ることはできないと。
 3番目、4番目が経済的手法と言われるものです。CO2に関しては、3番目は炭素税、そして4番目はキャップ・アンド・トレードというふうに分類できるかと思います。炭素税と排出量取引制度というのは、基本的には同じような制度です。どういうことかというと、CO2をたくさん出すような商品に対して価格をつけると。言い方をかえればCO2を出した人はその出した量に見合った何らかの負担をする、経済的な負担をするという仕組みです。ある目標、例えば10%の排出量を国全体で減らそうとするときに一番経済的に効率的なのは炭素税あるいは排出量取引制度というふうに言われています。経済的に効率的というのは、その目標を一番安いコストで達成できるという意味です。それで、例えば政府がすべて規制でやるというのは、政府はそれほどかしこいわけではありませんし、うまくいくかわかりません。補助金というのも例えば研究開発の補助金というのはいっぱい政府は出しているのですけれども、研究開発がものになるのは1割とか2割というのが通常です。そういうのではなくて、市場のメカニズムを使ってカーボンに価格をつけてやりとりをするということですね。当然あるものはエネルギーをたくさん使ってつくるものに対しては高くなりますので、消費者はそういうのを買わなくなる。そのかわりエネルギーをたくさん使わないで、CO2をたくさん使わない、出さないでできたものは総体的に安くなりますので、消費者はそっちを選考する、選ぶという仕組みです。それで、基本的によりCO2の少ないものをつくるように、CO2が少ないものを使うように社会全体を導くというのがいわゆる経済的手法と言われています。
 炭素税とキャップ・アンド・トレード、排出量取引制度の違いなのですが、炭素税というのは、価格は決まるのですけれども、価格を決めることによってどれだけ減るかというのは決まらないのです。量は決められないのです。ですが、キャップ・アンド・トレードというのは、価格は決まらないのですけれども、量は決まります。というのは、例えば10%しか枠を与えないというふうにすれば、その10%の量に決まります。なので、価格を優先するのか、量を優先するのかという選択の問題でもあります。
 いろんな条件が一緒だったら、排出量取引制度も炭素税も価格は同じになるというのは経済学の教科書に載っていることなのですけれども、実際はそうではなくて、炭素税の場合も試行錯誤しながら上げたり下げたりしなければいけないですし、排出量取引制度ももしかしたら値段が非常に高くなるかもしれないので、その場合は何らかのそういう措置をとる、市場を管理するような制度をつくる必要があります。どうして排出量取引制度が今世界じゅうに広まりつつあるかというのは歴史的経緯があります。排出量取引制度自体も、CO2はここ最近なのですけれども、昔からあります。ちょっと名前は違うのですけれども、漁業権というのも結局権利の取引なのです。鉛も大気汚染物質ですけれども、排出権というもので取り引きされています。世界じゅうに10とか20のレベルで過去に歴史はあります。大気汚染物質の一つであるSO2に関しては、アメリカでもう十何年前から動いています。電力会社がSO2の、SOXの排出権を取り引きする市場があります。ですので、制度自体はそれほど新しいものではないのですけれども、CO2に関しては比較的最近です。
 もともとどうして入ったかという話なのですけれども、温暖化対策に関して一番積極的なのはEUでした。EUは、最初に炭素税を入れようとしたのです。今各国それぞれ入っているところもありますけれども、EU全体で入れようとしたと。ですが、EUの場合は税金を入れるときには各国すべての合意が必要なのです。それで何回も導入はできませんでした。なので、そのかわりといってはなんですけれども、排出量取引制度の導入が進んだ。排出量規制の場合、どちらかというとEU委員会が、中央がイニシアチブをとれば通る状況だったので、炭素税というのは無理だったたけれども、ちょうどうまくタイミングよく排出量取引制度が入ったという経緯があります。それがまず一つの理由です。
 もう一つは、京都議定書の枠組みというか仕組み自体が排出量取引制度に親和性があったということがあります。どういうことかというと、京都議定書の数値目標というのは何%減らすというのは、まさに量ですので、量が確定している場合は量を確定しやすい排出量取引制度というのが非常にやりやすいということだったと思います。なので、そういうタイミング、歴史的な話と実際そっちのほうがよりちゃんと量を減らすためには好まれたということだと思います。
 では、世界的に排出量取引制度が入っていく中で、日本はどっちを選ぶべきかという議論があります。日本一国であれば、経済学の教科書ではどっちでも同じというのはありますし、どうして排出量取引制度ということになるかですけれども、日本だけではなくてオーストラリアもニュージーランドも今排出量取引制度を入れようとしています。そういう後から入ろう、制度をつくろうとしている国がどうしてそれを選ぶかというと、世界の共通炭素税が存在しない、入らないという状況においては、やはり後発の国も排出量取引制度を入れたほうが効率的なのです。効率的というのは、国全体でコストが安くなるということで、単純にいえば外から安く買えるということです。なので、後発している国も排出量取引制度を入れようとしている状況です。よく排出権取引というのが汚染する権利を取り引きしていいのかとか、そういう議論があるのですけれども、ちょっと見方を変えれば原材料を買うのと同じなのです。物をつくるときに当然エネルギーが必要になります。CO2も出してしまう。CO2のコストも払わなければいけない。それはまさに原材料の一部なので、原材料の一部のコストが上がると、CO2という原材料を買わなければいけないというのが現実の見方というのでしょうか、そういう見方で実際動いています。よく企業の方が、それは規制だと、戦前の規制と同じような企業活動をストップさせるような、制限を与えるようなものなのではないかと批判するのですが、それはちょっと語弊というか、間違いでして、それだけ、例えば90%削減しなさいというときには90%しか出してはいけないということではなくて、それを超えて出したのだったら、もうちょっと高くコストを払ってくださいというようなことを言っているわけなので、別に生産制限とかそういうことではないです。基本的に企業にとってはコストが上がるのは困るので、そういう批判もわからなくはないのですが、少なくてもそういう生産規制ではないですということは理解していただければと思います。
 というのが、ちょっと長くなりましたけれども、私のレジュメのメリットとデメリットあたりですね。せっかくですので、これからちょっと細かい話をさせていただければと思います。細かい話というのは何かというと、環境省、私もかかわってはいるのですけれども、大体予想はされたのですけれども、民主党になったということで、排出量取引制度が本当に入ることになったと。前から枠組みはつくっているのですけれども、一生懸命法案づくりを始めています。今排出量取引制度の試行制度という事務方ではないものが存在はしているのですけれども、それはほとんど余り役に立たないので、ちゃんとした事務方の排出量取引制度案、法案をつくろうとしているところです。
 その中で、どういう具体的な論点があるかというので、ここで書き出したのが環境省の中でも実は議論されている論点です。余り細かくは申し上げられないところはあるのですけれども、軽くその中でこんな感じの議論があって、こんな感じで悩んでいますよというお話をさせていただければと思います。
 まず、制度期間、これはどういうことかというと、今2020年の中期目標というのがあります。2050年の長期目標というのも議論されています。2050年で8%という数字がありますし、2020年だと、これまでの政府の案ですと、2005年マイナス何%とかあったと思います。なので、今回排出量取引制度の法案をつくるときにいつまでの、どういう制度にするかというのは実は結構大きな問題です。一番主の議論になったのは2020年に何%というのはいいでしょう、2050年というのを入れるかどうかというのと、もう一つ、それの間、2020年から2050年の間のパスを、そこまで細かく書くかどうかというところで議論になっています。実はアメリカの場合は2050年までのパスをすべて法案で書いています。法案というのは、下院を通ったワックスマン・マーキー議員が出した法案なのですけれども、単純に斜めで毎年マイナス2.何%下がるというような図なのですけれども、そういうのをちゃんと書いていまして、それを法案に入れています。当然2050年だけではなくて2035年、2040年、2045年、そういう細かく全部入ると入らないとでは市場の受けとめ方は違うのです。なので入れたほうがいい、そこまでちゃんと法案に入れたほうがいいという議論もありますし、そこまで細かく入れられるかどうかわからないし、当然反対もあるだろうと。というのは、当然最初のほうは削減しなくて、後のほうで削減したほうがいいというような議論がありますので、そういう人たちは反対するだろう。ですが、社会にとっては何年ぐらいに何%削減しなければいけないというシグナルをもらったほうがより低炭素の社会にスムーズに移行するのではないかというような議論があって、そこら辺がまだ結論が出ていないところです。
 割り当て総量というのは、単純に言うと業務部門、産業部門、家庭、発電、こんなふうに分かれます。一番ややこしいのは発電部門です。この中にも電力に詳しい方がいらっしゃるかもしれませんけれども、御存じのように日本の場合は電力会社の排出というのは消費者、電力を使う人の排出の消費にカウントされています。そういうカウントの仕方をしているのは実は日本だけでして、アメリカでもEUでも電力会社の排出、電力会社が電気をつくったら、その電力会社が排出したというふうにカウントされます。何がどう違うかというと、割り当てするときに電力会社に割り当てるか、割り当てないかという話になります。今の日本のシステム、間接方式をそのまま使うとすると、電力会社には割り当てしなくていいということになります。そうすると、電力会社が値段の番号、コストを負担することにはならないので、電力の価格も上がる必要はない。なので、それでいいのですかということです。電力の価格を上げるというと、皆さんちょっと余りよくないというイメージがあるかもしれませんけれども、エネルギー価格は排出量取引制度を入れると上がります。それは炭素税も上がりますし、規制を入れても上がります。だから、上がるのはある意味では悪いことではなくて、あるものが上がるということは、あるものは総体的に安くなるということですので、かつあるものが上がったときに上げ方というのはいろいろあるのです。どういうことかというと、太陽光発電を日本で普及させていると。今政府の一番厳しいマイナス25%削減するときには太陽光発電をこれだけ電力会社が買わなければいけないようにするとか、そのときにどれだけ国民の負担が大きいかという話がよく出てくるのですけれども、今大体負担しているのは1家庭で月50円とか60円ぐらいなのです。それを例えば太陽光発電を普及させるためにはもうちょっと負担がかかると。もうちょっとというのはどのぐらいかというとマイナス25%、これは国立環境研究所の試算なので必ずそうだとは言えないのですけれども、1家庭で月に500円ぐらいの負担になります。だから、50円から500円の負担というのは10倍になるので、大きいのではないかという人もいますし、そこは議論があるところだと思います。9,000円の中での500円というのは結構大きいのではないかという議論があります。なので、大きいからそこまで国民が負担するのはよくないというので25%は絶対無理だというような議論になるのですけれども、では本当に500円というのはみんなにとって大きいのかというのも、よく考えるとなかなか微妙なところだと思うのです。コーヒー1杯で500円というところもありますし。
 あともう一つよく忘れられて議論されないのは、では本当に困る人がいる。では、困る人は250円でいいですよと、困らない人もたくさんいるはずだから困らない人はもうちょっと700円とか800円にしましょうというふうにはできるのです。だから、一律500円で云々というふうに議論してしまうとみんな嫌だとなるのですけれども、少なくとも低所得者に対してはより少なくして、もうちょっと困らない人に対してはより高くするような制度設計というのはできます。実はアメリカでも、オーストラリアでもまさにそういうような低所得者に対していかに温暖化のコストを負担させないかという制度設計に腐心しています。値段上がること自体は悪いことではないのですけれども、それで困る人に対しては何らかの措置をしなければいけないというのは、現実的に私もそうだと思います。どういうような制度にすればいいか、だれをどういうふうに保護すれば、保護する場合は、低所得者の場合もありますし、後から話をする国際的な国際競争にさらされている企業の場合もありますし、そういう人たちをどのようにサポートするか、保護するかというのは今どの国も制度設計で一番大きな問題であります。
 ですが、基本を申し上げますと値段が上がることはしようがないですし、値段を上げることが温暖化対策のある意味では一番重要なところだというのは認識して、そこは政治の世界で国民に対して理解を求める必要はあると思いますし、でも当然制度設計は慎重にやる必要があるということです。
 ちょっと話がまた後で戻るかもしれませんが、対象ガスというのはCO2以外のフロンなり、いろんな温室効果ガスというのはあります。今京都議定書の中には6つ入っているのですけれども、6つ以外にも実はありまして、そこをどうやるかというのは世界的にも問題でありますし、今実際に、試行で入っている排出量取引制度というのはCO2しか入っていませんので、それをどうふやすか、どこまで広げるかというのも一つの争点です。
 割り当て対象、これは先ほど申し上げたところにも関係するのですけれども、企業にかけるか、事業所にかけるかという大きな問題があります。事業所というのは一つの工場と考えていただければいいのですけれども、企業は工場を幾つか持っている。そのときに企業のほうがより大きな単位になるのですけれども、より細かい単位に掛けたほうがよりダイレクトにコントロールできるという話はあります。実はEUでも事業所単位です。ですが、それだと行政コストが非常に大きいので、どうするかということは迷っているところです。カバレッジというのは、まさに電力をどうするのか、電力にはかけるかかけないか。正直な話、政治的にかなり難しいというのが現状でもありますので、ここは今悩んでいるところであります。
 4番目の割り当て方法、これも非常に重要です。どういうことかというと、企業に対して無償で割り当てるか、有償で割り当てるかです。無償で割り当てるというのは、例えば去年100トン出していたので、ことしは95トンしか出してはいけないけれども、95トンの分の枠はただであげますよというやり方です。有償というのはそうではなくて、あなたは95トンしか出してはいけませんけれども、その分は市場から買ってくださいと、だから当然企業としては新たなコストが入りますので、無償のほうがいいのですけれども、有償のほうが経済的には効率だというふうに言われています。効率的というのは、全体でのコストが下がるということです。
 基本的に何をやるにもそうですけれども、排出量取引制度でも重要なのは、結局だれがより大きく負担するかということなのです。企業が非常に楽な負担になれば国民全体が大きな負担になります。そこは実はトレードオフで、国全体として負担をしなければいけないときに、まさにさっきの分配の問題と同じなのですけれども、企業に甘い、企業が楽な緩い制度になればほかがどこか厳しくなるということは理解する必要があると思います。EUの場合も最初は当然企業の反対がたくさんありますので、無償で配りました。無償で配ってどういうことが起きたかというと、無償で配ったのですけれども、それを製品価格に転嫁したのです。無償でもらったのに何で価格に転嫁するのだというふうなのがあるのですけれども、よく比喩で言われるのは、皆さんが例えばサッカーの切符を道で拾ったとします。それをだれかに売ろうというときに幾らで売ろうかといったときに、例えばマーケットでヤフーのオークションで1,500円ぐらいで売っていたときに、多分その値段ぐらいで売りますよね。ただでは多分売らないですね。たとえただで手に入れたとしても、市場である程度売れる価値を持ったときには、それは市場の価格で売るというのは企業としての当然の行為なのです。なので、無償で排出権を割り当てられた場合も企業は価格に転嫁するというのがある程度企業の当然の構造として言われております。実際にEUの場合は、ほぼすべての企業が価格に転嫁しました。
 何が起こったかというと、基本的にすべての企業はもうかっています。特に電力会社が無償で割り当てられたのですけれども、それを電力価格に転嫁したので、電力価格が上がって、例えばドイツの電力会社は数兆円レベルでもうけています。いわゆる棚ぼた利益と言われるものなのです。それは当然批判がたくさん出まして、2007年までの第1期は無償だったのですけれども、第2期の2008年から2012年まではオークションの割合がふえて、有償の割合がふえて、2013年以降は基本的に電力会社はすべてオプション、有償で買ってこいということになりました。
 実はアメリカの場合も最初からオークション、有償で企業に割り当てることになっています。それはやはり棚ぼた利益を企業が得るのはけしからぬということもありますし、もう一つポイントは、有償の場合は政府にお金が入ってくるのです。なので、アメリカの場合はそのお金を使って、例えば企業の社会保険料を少なくしたり、低所得者に対して援助をしたり、温室効果ガス排出削減プロジェクトに対して補助金を出したり、言葉悪いですけれども、ばらまきのところもあるのですけれども、そういうふうに使っています。そういう財源を政府が得ることができるというのが有償での割り当てです。日本の場合も無償にするか、有償にするか、どの企業に対しては有償で、どの企業は無償にするかというのは非常に悩ましいところです。
 無償と有償というのがあって、無償の中にグランド・ファザリングとベンチマークという二つに分かれます。グランド・ファザリングというのは過去、去年100トン出したからことしも100トンマイナスアルファぐらいでいいですよという、そのまま与えるものでして、ベンチマークというのはその産業の平均の製品をつくる当たりのエネルギー消費量というのは大体何トンだと、それに生産量を掛けた計算をして、あなたはこれだけしか出してはいけませんよというようなものです。なので、グランド・ファザリングとベンチマークどっちが企業にとって楽かというのは難しいのですけれども、少なくとも両方ともお金を払わなければいけない。ベンチマークとグランド・ファザリングとどう違うかというと、グランド・ファザリングは、ある意味では出せば出すほど有利になるのです。というのは、ことしいっぱい出せば来年もその分たくさんもらえるというようなインセンティブが働くのですが、ベンチマークの場合は、例えば業界でのかなり効率の高い企業の製造効率のベンチマークにしますので、効率の悪い企業にとっては困るのです。効率のいい企業にとってはハッピーなのですけれども。なので、経済学的にはいろんな意味ではベンチマークのほうがよりよいというふうにされているのですけれども、ではその計算式をどういうふうに出すのかとか、なかなか難しいというのがまた頭が痛いところではあります。
 一番ややこしいというか、難しいのが国際競争力対応です。いわゆる国際貿易をしている企業は、自分たちがたくさんお金を払って、例えば中国なりインドの企業が全然温暖化対策をしなかったら当然国際競争力で不利になると。日本の企業は全部中国に行ってしまうのではないかというような議論ですね。ここはもうちょっと緻密な議論をしなくてはいけなくて、私も含めて研究者がどれだけ日本で排出量取引制度をどういう厳しさのものを入れたならどの産業がどういうインパクトを受けて、その産業はどれだけ貿易をしているので、その製品はどういうふうになるというのを今計算をいろいろやっているところです。世界じゅうで研究者が今こういうことをやっていまして、よりもうちょっと落ちついた、冷静緻密な議論をし始めているところです。
 結論から申し上げますと、CO2をトン3,000円とか4,000円というレベルでは、影響を受ける産業というのは限られています。どこの国でもそうなのですけれども、影響を受ける国際競争産業とか、炭素集約産業と言うのですけれども、そういう産業というのは鉄、アルミ、セメント、無機化学、ガラスとか入りますけれども、大体六つか七つぐらいの産業です。日本で、やはり一番困るのが鉄、セメントなのです。ちょっと私のレジュメを見ていただければと思うのですが、図の2というのがあるかと思います。これは産業連関表で401部門に日本の産業は分けられるのですけれども、分けたときにどの産業がどれだけCO2のコストが大きいかというのを比べたものです。縦軸は、そのビジネスの大きさに対するCO2コストの負担の大きさというふうに考えていただければと思います。
 もうちょっと細かく言うと、粗付加価値という企業の売上高、生産高から原材料等を引いたものが分母で、分子というものは、例えばその製品をつくるのに10トンCO2を排出すると、その10トンを全部市場から買わなければいけない。市場の価格が3,000円だとすると3万円払うことになるので、それを分子にしたものです。横軸は、その産業が日本のGDPに占める割合です。見ていただければわかるのですけれども、これは銑鉄、セメントです。フェロアロイ、石油化学、石炭製品、ソーダ工業製品、粗鋼とかいろいろ出てきます。いろんな見方ができるのですが、例えば5%というので切ったときに5%以上のコスト負担になるという産業はそんなに多くはないのです。かつこの産業というのは日本全体のGDPで数%です。このグラフを使って何をみんなやっているかというと、保護産業を決めるときの基準にしています。例えばEUは5%というところで切って、このように上の産業というのは保護します。ですが、このように下の産業というのはオークションで有償で買ってくださいと。買ったにしても、あなたの製品、あなたの財布にとってはそれほど大きな負担にならないはずですよというようなことでやっています。
 あと実はこれプラス貿易をどれだけしているかというのも一つの基準に入れています。というのは、例えばセメントは日本の場合はそれほど貿易はしていないのです。当然貿易している国、貿易している製品というのはより国際競争力を考慮しなければいけない。
 こっちは炭素集約度というもので、一番大きいのは銑鉄、セメントです。貿易集約度というのは貿易の大きさです。例えばセメントというのは3.93%ということで、銑鉄も実は余り貿易してないのですけれども、フェロアロイというのは非常に貿易しています。どういうことかというと、フェロアロイはちょっとぐらい値段上がると、国内市場が中国製品とか海外の製品でとってかわられる可能性があるということです。ですが、もともと貿易していない製品に対しては、コストは高くなるけれども、それほど困らない。困らないイコール価格転嫁しても大丈夫だと。フェロアロイの場合は価格転嫁できないから、これをつくっている企業の収益性は下がる、市場のシェアも下がるかもしれない。というように、個別に各製品、各産業でどれだけ困るのかということをチェックして、どの産業を保護しますというプロセスを実はどの国でもやっていまして、日本でも今ちょうど私がこれを研究しているので、結構活用していただいてやっているところです。もちろんこれですべて決まるわけではないですし、その企業にも特別の理由があると思いますので、そういう理由をなるべく聞きながら、最終的には政策的な判断があるのだとは思いますけれども、少なくても客観的な基準を各国一生懸命に制度設計のときにはつくっております。
 これは先ほど5%以上のコスト負担というふうになっていたのですけれども、これを5%から3%のときの負担になる各製品なり部門ですね。貿易しているところもあるし、貿易していないところもあると。なので、個別に1個1個、こういうところの産業はどうだこうだという議論をして割り当てをしなければいけないというのが難しいところではあるのですけれども、一生懸命私が今やろうとしているところではあります。
 ちょっと先に進みます。MRVというのはどういうことかというと、実際どの企業が何トン出しているというのをだれがお墨つきをするのか、どうやってはかって、だれがちゃんとそれを証明するのか、検証するのかという話です。実はこのCO2のビジネスというのはいろんな形があるのですけれども、検証というのもかなり大きなビジネスになっています。今このビジネスに入ろうとしている業界の人たちというのはISOをやっていた人たちと公認会計士の人たちです。その業界の人たちが今CO2をビジネスとして頑張っていますし、その一つがあなたの企業はことしはこれだけ減らしましたと、言っていることをちゃんと証明するような仕事です。
 何で証明が必要かというと、これは制度設計にもよりますし、これからどうつくるかにもよるのですけれども、企業が虚偽の報告をする可能性はあるのです。100トン去年出しましたといったときに、実は120トン出していた。そのときに企業に刑事罰を与えるのか、どういうふうな罰金になるのか、実はそこも決めなければいけないです。罰金はどれだけ払わせるのかという話もありますし、どういう法律で裁くのかという問題もあります。そのときにどうしても第三者の検証というのが必要ですし、企業としては第三者がちゃんと検証しているから自分たちは責任ありませんというふうに言えます。なので第三者の人たちというのはすごく責任を持つのですけれども、その分のお金をもらう。まさに会計監査と同じような世界であります。世界は基本的にISOのルールで統一しようという方向になってはいるのですけれども、日本でもそういう方向でルールをつくっているところです。
 その次に遵守ルール、今まさに申し上げたように罰金とか権限ということをどうするかという話です。費用緩和措置というのは2012年までの制度というときに、2012年で余ったクレジットを2013年まで持ち越せるかどうかというような話です。足りなかったときに2013年以降の排出量を前借りできるかどうかという話です。前借りとか持ち越しができればできるほどより柔軟になるのですが、問題もあるというので、そこも結構ややこしい話ですし、外国ですと海外から買ってくるクレジットどれだけ使っているかというのも大きな問題です。基本的には海外から買ってくるというのは悪いことではないのですけれども、国庫流出みたいに思われるところもありますし、国内で削減を進めるためには国内でたくさんやったほうがいいという議論もあるのです。なので、国によっては国外から買ってくる量を制限している国もあります。
 制度の会計処理、税務処理、登録簿、これは非常に難しいところでして、CO2は商品なのでしょうけれども、それがどういうふうに会計的に処理されているかとか、実はまだいろいろ議論はあるところです。棚卸資産には分類したのですけれども、棚卸資産もまたどういう種類なのかとか、登録簿、取引所をどういうふうにするかとか、いろんなややこしい話があります。
 紛争処理手続というのは、ここも実は先ほど申し上げたように紛争はたくさん起きています。よくある紛争というのは、自分の割り当ては非常に少な過ぎる、だからおかしいというので、訴えるというのがEUの場合は何百件、何千件というレベルで起きています。日本の場合も多分そういうことが起きると思いますし、日本でそういうことが起きたときにだれが監督するのか、監督署みたいなのをつくるのかとか、そういうような話になります。ここがまさに監督機関をどういうふうにつくるか、よくFRBみたいなものをつくったほうがいいという人もいますし、そこまでやらなくてもいいのではないかという人がいますし、まだよくわからないところです。
 価格の形成というのは、インフレターゲットと同じような形で、日本の場合はこのくらいが、トン当たり3,000円、4,000円が望ましいというふうに言ったほうがいいのか、言わないほうがいいのかというのも実は難しい問題ではあります。
 いろいろ制度設計は難しいのですけれども、まさにこういう形で動いておりまして、早ければ今年度中に枠組みを関係者としてはつくらなくてはいけないということで、今一生懸命タコ部屋をつくって皆さん寝ないで頑張っているところではあります。ですが、国民の方々と企業も含めてキャッチボールをしなければいけないので、早く入るとしても2011年、12年は無理かなというのが現実です。いずれにしろ多分入る方向でいくと思いますし、最終的には、具体的に名前を言ってしまいますと、鉄鋼業界と電力業界がどう判断するかというところもありますので、電力業界の方に対しては、間接排出という今の制度でやるから、だからあなたたちは別に負担はふえないですからという形で納得させるかもしれませんし、鉄鋼業界に対しては、あなたたちが国際競争しているのも確かですし、その場合はなるべく無償の割合をふやしますという形で多分説得することになると思います。ほかの産業に対しては、こういう理由でそれほど負担にはならないのでオークションにしてくださいというふうに言うのか、無償にするか、それは微妙なところなのですけれども、少なくともその二つの業界をどう説得させるかというのが今一番悩ましいところではあります。ですが、こういう作業、プロセスをどこの国でも経てやっていますので、日本もおくればせながらほかの国のシステムを、制度を勉強しながら今進めているところだとは思います。
 最後、トレードというのは、ベストではないのですけれどもセカンドベストで、ではほかにどういう制度があるのですか、どういういい制度があるのですかというときにはない。そういう意味では、現時点では一番ベストの制度だというのは認識をしてもいいのかなと思います。よく議論は出るのですが、ではどうやって減らすのですかという代替案がない議論が非常に多いですので、もちろんキャップ・アンド・トレードもたくさん問題はあるのですけれども、それ以外にどうするのかというと、案がないというのが現状かと思います。
 以上です。質問なんでもいいので、よろしくお願いいたします。
○亀卦川富夫委員長 どうもありがとうございました。
 これより質疑、意見交換を行います。ただいま御講演をいただきましたことに関し、あるいはまた今のお話のとおり地球温暖化に関する別な部分でも結構だと思いますが、皆さんから挙手の上、御発言願います。
○高橋雪文委員 どうもありがとうございました。温暖化対策でこういうキャップ・アンド・トレードをめぐってかなり議論が進んでいるなということをきょう実感しまして、非常におもしろく聞かせていただきました。
 私は3点なのですが、まず1点目は感じたことなのですけれども、図2の表の見方、NVASとMVAS、用語がちょっとわからないので、その辺を少し教えていただきたいということでございます。
 2点目は、こういうキャップ・アンド・トレードの制度をこういうふうにやっていますけれども、CO2を物理的に炭素と酸素に分けるような技術開発なんかもしているようなのですけれども、そういう先進的な技術開発が進んでいけば、当然こういう制度というものも最初の部分では必要だと思うのですけれども、徐々に必要なくなってくる可能性もあるのではないかなと思うのですけれども、その点は今の準備の進捗度というのはどんなものなのか、この辺も教えていただきたいというふうに思います。
 あと温暖化というものが、人類にとっての危機なのだという共同の認識、コンセンサスというのが前提にならなければならないというふうに思うのですが、日本国内においてもCO2削減、排出が温暖化につながっているという基本的な認識がある人が多いのですが、ではそれが切迫感あるかというと、なかなかそこまで至っていない。政治の場合は、そういう合意形成というのはどうしても必要で、特に企業の場合は、それこそ国際競争などあるところ、常に反発もあるところだと思うのですけれども、そういう合意の部分でどれぐらいのレベルであるのか、例えば日本と世界の位置づけとか、日本国内の位置づけとか、そういうものをどういうふうに認識されているのか、その辺を聞かせていただきたいと思います。
○明日香壽川講師 どうもありがとうございます。このMVAS、NVASとややこしくて恐縮なのですが、MVASというのは「MAX VALUE ADDED AT STAKE」という略なのです。「VALUE ADDED」というのは、粗利益という経済学の用語でいいます。
 先ほどちらっと申し上げましたように、生産量から原材料費を引いたようなものです。このNVASというのは「NET VALUE ADDED AT STAKE」の略なのですけれども、この赤が実は電気代が上がることによる負担増大というふう考えてください。こっちがそれプラスオプションで有償で市場からクレジットを買わなければいけないときの負担金です。企業にとっては電気代が上がってプラスクレジットを買ってこなければいけないという二つの負担がありますので、それを足すとここまでになるということです。無償で割り当てられますと、市場で有償で買ってこなくていいのでこれだけの負担になる、電気代だけの負担。これは電力会社が基本的にはオークションで電気代に転嫁するという前提で計算しています。なので、そういうものだというふうに見ていただければと思います。もちろん分子、分母が先ほど申し上げたようにそれでいいのか、粗利益ではなくてもうちょっと単純な利益とか営業費用みたいなものではないかとか、単純な売上高で何で割れるのか、実はいろんな分子に関しても、分母に関しても議論はあります。ですが、データのあるかないかとか、そういうのでどの国も粗利益、粗付加価値というのですか、粗付加価値を使っているのが現状です。
 2番目は、CO2を物理的に分ける、いろんな技術は今開発されています。ちょっと誤解があると思うのですけれども、そういう技術が開発されれば制度は要らないというのはちょっと違うのです。制度も技術も一つのツールでしかないと思います。まず何%減らさなければいけないというのは大もとにやって、マイナス20%減らさなければいけない。そのときに制度があるのですけれども、キャップ・アンド・トレードを例えば入れるとしますね。キャップ・アンド・トレードが入るから技術を使う企業が出てくるのだと思います。技術を使うことによって減らす。キャップ・アンド・トレードというのは、一つの企業においては技術を使うインセンティブになる制度でありますし、その技術を開発して、それは売ってもいいし、買ってもいいとは思います。ですが、それと社会全体の制度が必要ないかというのはちょっと違う話かと思います。その企業だけではなくて、例えばその企業がそれで減らしたとしても国民全体で全然減らさなかったら問題になりますし、あと基本的に技術は大事なのですけれども、減らすためには一番大事なのは既にある技術をどれだけ普及させるかということなのです。単純にいえば技術をどれだけふやすかと、みんな乗るかと、太陽光パネルをどれだけみんなに屋根の上につけてもらうかという、家を建てるときにどれだけ断熱材をちゃんと入れていただけるか。もちろん50年後、100年後というのはなかなか難しいですけれども、この10年間、20年間でやるべきこと、やらなければいけないことというのは、既にある技術をどれだけ普及するかということで、だから革新技術はもう要らなくて、既にある技術ですべてできるはずではあります。なので、逆にそのための制度が必要だということです。
 あと、またちょっとそもそも論なのですけれども、CO2を地中に埋めるというのもあります。それが今実は近い技術、似たような技術になるかもしれないのですけれども、CO2を回収して地中に埋めるという技術もあります。ですが、それこそ本当にCO2が温暖化と関係なかったら非常に無駄なことをやっていることになるのです。
 今、それ以外の断熱材もそうですし、太陽光発電もそうですけれども、温暖化対策以外の効果があります。私はよく言うのですけれども、温暖化対策のために温暖化対策をしている国なんて実はないのです。皆さんエネルギー、安全保障のため、省エネのためにやっているのが現状です。よく日本で1兆3,000億円ぐらいですか、地球温暖化予算があると。それを全部無駄だというような人はいるのですけれども、その1兆3,000億円の中身というのは経産省の原子力関係が3割とか4割ぐらいでして、国土交通省が2割か3割で、林野庁が1割か2割です。何を言いたいかというと、温暖化という問題がなくてもやっていた省エネ、再生可能エネルギー、森林整備なのです。どこの国もそうです。アメリカがやろうとしているのもまさにそうですし、途上国もそうです。ある意味ではCO2の回収の潮流だけが違います。それだけが温暖化が起きてなくても、CO2が関係なかったら物すごい損をする、ばかみたいな投資をすることになります。なので、そういう投資をするよりも今できて、かつほかのエネルギー安全保障、エネルギーコストの削減に役立つような、そういう副次的な効果もあるような政策をどういうふうに進めるか、そういうものをどう普及させるかのほうが真っ当な考え方、やり方なのではないかなとは思います。
 3番目に、危機感の共有なのですけれども、はっきり言って日本は危機感はそれほどないというのが現状ですし、実際は僕もエコとかなんか浮ついた感じの、自分のことも言えないのかもしれないですけれども、そういう浮ついた雰囲気は嫌だなと思うときはあります。何となく地球に優しいという言葉も好きではないですし、そういう違和感はあります。それは、どこの国もある程度あると思いますけれども、やっぱり冒頭に申し上げたように、その国によってちょっと違ってくると思います。山火事で山が焼けている先進国もありますし、干ばつで苦しんでいる先進国もあります。オーストラリアで政権がかわったのですけれども、より温暖化対策が厳しくなったのですが、それの原因はオーストラリアの干ばつが非常に大きかったと思います。
 オーストラリアの場合は、おもしろいのはもともと保守党があって、そこが余り温暖化対策をしなかったのです。今はどちらかというと革新的な野党が党首になったのですけれども、保守党のときに京都議定書から脱退していたのです。野党が政権を握って京都議定書に戻った。温暖化対策を進める方向なのですけれども、今回温暖化対策を進めるための法案を提出したのですけれども、それは議会では否決されつつあります。それはなぜかというと、それでは甘過ぎる、温暖化対策になっていないというので、前は温暖化対策自体を否定してきた保守党が、それでは甘過ぎるというふうに言って、今は議会で通らない状況です。なので、そういう国も、そういう先進国もあることは事実ではありますし、日本はそこが弱いのは、やっぱり日本は恵まれているからということだと思います。まさにそこは政治がどう動くかだと思いますし、先ほども申し上げたように、温暖化問題はエネルギー問題です、完全に。まさにグリーンニューディール問題でもありますし、この岩手県なりに関していえば森林保全をどう進めるかという問題ともつながりますので、そういう視点から考えていただかなければと思いますし、きょうはお話余りできなかったのですけれども、去年の懇談会もそういう制度をどうつくるかだったと思います。
 ちょっと話は飛ぶかもしれませんけれども、東京都は排出量取引制度を入れていて、東京都は完全に買うほうです。なので、売るほうとしてほかの地方自治体がどうかかわるかということだと思います。兵庫県はカーボンオフセットという形で森林の伐採でそれをエネルギーとして発電するというプロジェクトでクレジットを東京の人に売る最初の仕組みをつくったところなのですけれども、そこの人は今環境省に出向して、中でいろいろやっています。なので、いろんなアイデアをもってやれることはたくさんあるのかなとは思います。
 お答えになっているかどうかわかりませんけれども。
○高橋雪文委員 最後に感想で終わりにしたいと思います。本当にありがとうございました。
 キャップ・アンド・トレードについては、僕少し懐疑的な部分を非常に思っておったのですけれども、やっぱり今安全保障、いわゆる日本のエネルギー問題に非常に密接していくとお聞きしまして、その点であれば非常に納得がいく制度なのかなというふうに思いました。
○明日香壽川講師 制度の一つであって、完璧では全然ないのですけれども、ではほかのどういう制度がCO2を効率的に減らせるのですかということに尽きるかと思います。
○高橋雪文委員 そういう点で非常におもしろいなと思ったのですが、改めて排出量の部分についてもまた勉強させていただきたいなと思いました。非常にいい機会だったなと思います。ありがとうございました。
○新居田弘文委員 どうもありがとうございました。高橋委員の最後のほうの話でありますが、東京都の山の関係ですね。私も概念的にはわかるのですけれども、排出権取引の中で森林の取引、国と国とか、あるいは今言った都道府県とか、そういうことも概念的にはわかるのですが、具体的に所有者との関係とか、あるいはこれから森林をさらに造成しようという関係の末端のその辺の関係ですね、金銭的な部分含めてどのような流れに進むのだろうということをお聞きしたいと思います。
○明日香壽川講師 ケース・バイ・ケースですし、日本の場合は、例えばインドネシアの森林とはちょっと違うと思うのですが、日本での最初の例で兵庫県の例は何を使ったかというと森林を伐採したときの間伐材がありますよね、そういうものをエネルギーとして発電すると。普通の発電だったら石炭とかそういうのを使っているけれども、バイオマスを使ったようにCO2をより出さないということで、その分を、例えば石炭火力を使って発電した場合に比べて、バイオマスを使った場合はこれだけCO2を何トン出さないので、その何トンというのが、いわゆるクレジットとして発生します。それをたしかルミネさんだったと思うのですけれども、ルミネさんは自社のビルがあるのですけれども、それでことしは10トン減らすとか、20トン減らすというふうな約束をしているのです。省エネとかやっているのですけれども、それでも足りないので、足りない分を買ってくるということです。
 なので、日本全体としては減っているとか、減らないとかいろいろややこしい問題はあるのですけれども、少なくとも取引がある人は、兵庫県にとってみれば今までそういうお金がなければ、やっぱり間伐材とか使われなかったと思うのです。それを放っておいてCO2が出てしまっていたというのもありますし、化石燃料を使っていたと。それが、そういう状況を変えられたというのはとてもハッピーだし、ルミネさんにとっても自分の会社のPRにもなりますし、将来義務的に自分のビルはこれだけしか出してはいけないというふうになったときに、それを使うことによって、自分の目標を達成できるというメリットはあります。日本の場合は大体1トン2,000円とか3,000円ぐらいで取り引きされているのです。よくプロジェクトというのは、例えば投資回収年数が何年だというような計算の仕方があると思うのですけれども、よくあるのは例えば今申し上げたような、間伐材を使って発電するときに投資回収年数が5年ぐらいだったとします。5年だと投資する人はちょっと二の足を踏む、考えてしまうのですけれども、クレジットの分を計算すると、それが3.5年になる、1年ぐらい短くなるので、そのくらいだったらお金を出してもいいな、お金を貸してもいいなという投資家なり銀行家があらわれるという、大体そんなものです。それに対して地方政府、地方自治体は何らかの補助金をプラスアルファする場合もありますし、それは本当にいろいろケース・バイ・ケースです。ですが、そういうケースが今兵庫県に限らず、いろんなところで起きています。実際に日本においては、森林管理をどうするかという非常に大きな問題ですし、人もいないし、お金もない、このままでは日本は荒れ果ててしまう、いいのかというのは非常に皆さん共通の問題として持っていますので、カーボンオフセットはそれをすべて解決するというわけではありませんけれども、一つの手段になるという期待は今大きいのが確かだと思います。
○新居田弘文委員 今の関連なのですけれども、間伐材をエネルギー、代替エネルギーとして使うということで発生するわけですけれども、例えば既存の岩手の山、森林、そういうものは、例えば排出権取引の対象になるとかならないとか、そういうことについてはどのような。
○明日香壽川講師 それはもちろんそういう間伐なりは、どこでもなります。今は間伐材は発電だったのですけれども、例えばそのまま朽ち果てたらメタンがどんどん出てしまうのです。なので、メタンが出ないような対策をすることもクレジットの対象にはなります。森林の場合はそういう二つのパターンがありまして、バイオマスで発電する、石炭に比べると少なくなっているというので、クレジットを出す場合もありますし、そのまま何もしなかったらメタンなりがどんどん出てしまって、腐ってしまって、メタンが出てしまう。それをとめる対策することによってCO2のクレジットをもらう。メタンは温室効果ガスですので、今そういうプロジェクトというのはあります。
 バイオマス関係はどちらかというとその二つのパターンが多いのですけれども、ほかにもそれこそ今よくあるのは食用油を集めて、それで何か新しい燃料をつくったときにそういうようなプロジェクトもありますし、そこは本当にアイデア次第ではあります。O2プロジェクトもあります。これもどうなるかわからないですけれども、計算の仕方は難しいのですけれども、このまちは全部自転車にしました、自転車にしなかった場合、コストはかかるけれども、CO2はどれぐらい減らしましたと、なので、東京の人はこのクレジットを買ってくださいというふうなプロジェクトも可能ではあります。実際、国と国のプロジェクトで、まさにメキシコシティでのO2プロジェクトは、信号を入れることによってこれだけCO2が減りました、それでクレジットを買ってくださいと言って、海外の国が買っています。それをまた日本でやると同じようなことだと思います。燃費改善もそうですし、蛍光灯をかえるというプロジェクトもありますし、やっぱりボイラーが大きいのです。だから、よくある日本国内で行われるプロジェクトの七、八割は原油だきのボイラーを天然ガスなりバイオマスにかえるというプロジェクトは非常に大きいと思います。
○小野寺好委員 ちょっと的外れだったら申しわけないのですけれども、二つあります。
 懐疑論へコメント、63ページに反論のところで地球のエネルギー収支は常につり合っていると、そういう記述があるのですが、63ページの真ん中ら辺。これ4回、5回経験してきた氷河期とか間氷期、そういったときでもずっと同じだったのか、また今後仮に温暖化が急激に進んだ場合でもその収支はずっと一定なのでしょうか。
 もう一つ、物質の質量をすべてエネルギーに変えれば莫大なエネルギーを得られると、そんなことを前に聞いたことがあるのですが、逆にエネルギーを質量に閉じこめてしまうということは、さっきのCO2を地中にとかではなくて、熱エネルギーを何かの物質にかえるということはあり得るのでしょうか
○明日香壽川講師 なかなか難しい問題かな。まず、最初のエネルギー収支の定義にもよるかと思うのですけれども、ここに書いてある意味合いというのは非常に長い時間スケールで見れば、もちろん地球の温度は何度も5度、6度上がったり下がったり、この何万年スケールで考えるとなっていますので、そういう変化はあるのですけれども、少なくとも暴走してしまって何百度、何千度にはなっていないという意味で、長期的にはエネルギー収支、基本的には太陽光エネルギーがあって、それでつり合っているという意味合いだと思います。ですが、おっしゃるように過去においては氷期、間氷期があって、地球の温度というのは5度とか6度、7度、8度というのは上がったり下がったりしているのは確かではあります。ですが、この問題で非常に重要なのは何年、どういうタイムスケールで考えているかということなのです。実際縄文時代はここも多分水の下でしたし、そういうことはあります。なのですけれども、少なくとも今の温暖化の議論というのは過去50年、100年、将来100年、200年の話なのです。今間氷期ですので、氷期に向かっています。次の氷期というのは来るのですけれども、数万年後になると言われています。なので数万年後の話とこの100年、200年での温度上昇という違いですし、別にそんなのどうでもいいという人もいますし、それで100年、200年で困る人もいるという話だと思います。なので、その質問は答えになっていないかもしれませんけれども、収支というのは、ここに書いているのはそういう長いタイムスケールで考えるとつり合っているというふうに考えられるということだと思います。
 2番目のエネルギーを質量に変換するというのは、ちょっとそこはわからないです。物理的にというか、どういう感じでの押し込めるということなのでしょうか。
○小野寺好委員 学校で習ったわけではないのですけれども、プルトニウムでも何でもいいのですけれども、それをすべてエネルギーにかえてしまうことができる。わずかな量でもものすごいエネルギーに。
○明日香壽川講師 原子力爆弾なり、そういう核エネルギーの話かと思いますけれども。
○小野寺好委員 それの似たようなことで、逆にエネルギーを物質にかえるといった技術はあるのでしょうか。
○明日香壽川講師 ちょっとまだわかりません。そこら辺は余り詳しくないので、ごめんなさい、わからないです。
○亀卦川富夫委員長 よろしいですね。ほかにございませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
○亀卦川富夫委員長 ちょっと関連して、新居田委員のさっきの話ですが、岩手県は森林県なのです。さっきの話は発電にかえたときとかというのが一つの材料だと思うのですが、森林の面積とか、森林そのものがそういう意味の取引材料ということにはならないのでしょうか。
○明日香壽川講師 例えば森林を放っておいたら、どんどん朽ちてしまって、対策をした場合としない場合に比較すると対策をしたほうがCO2の吸収量が上がるということがちゃんと証明されればそのクレジットになります。ですが、森林管理というのですけれども、では本当にやらなかったらという証明が難しいのです。やらなかった場合とやった場合でどれだけ差があるというのをある程度証明しなければいけないので、単純に囲いをつけただけで森林管理していますというのでクレジットをあげてしまうのもちょっと問題なので、そこは実は今ちゃんとした、結構悩ましいところです。
 国連の温暖化の枠組みの中では、森林の管理のプロジェクトというのはあるのですが、森林の場合は計量的な議論は難しいので、登録して合格、不合格というのがあるのです。不合格になるプロジェクトの割合も結構大きいのです。そこは、ちゃんと本当にどうやって減らしたのか計算、証明しなければいけないのですけれども、この証明が不十分ということで、ですが、基本的にはやはりそのままにしていたらどんどん朽ち果ててしまって、それは温暖化対策、CO2という意味ではマイナスになるのは確かなのです。なので、今一生懸命方法論を日本政府もつくっているところでして、そういう森林管理のプロジェクトが日本にもこれから出てくるとは思います。
○亀卦川富夫委員長 ありがとうございます。
 ほかになければ本日の調査はこれをもって終了いたしたいと思います。先生どうもありがとうございました。これをもって終了させていただきます。明日香先生、本当にきょうはお忙しいところありがとうございました。
 委員の皆様には、次回の特別委員会の運営等がございますので、しばしお残り願いたいと思います。
 それでは、次に1月に予定されております次回の当委員会の調査事項についてでありますが、御意見等ありませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
○亀卦川富夫委員長 特に御意見等がなければ当職に御一任願いたいと思います。これに御異議ありませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
○亀卦川富夫委員長 御異議なしと認め、さよう決定しました。
 次に、委員会調査についてお諮りします。お手元に配付しております平成21年度地球温暖化対策特別委員会調査計画(案)を御覧願います。県内調査については、お手元に配付している委員会調査計画(案)の1により、盛岡市等において調査を実施したいと考えておりますが、御異議ありますか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○亀卦川富夫委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。なお、詳細については当職に御一任願います。
 次に、県外調査についてお諮りいたします。委員会調査計画(案)に県外調査を御覧願います。県外調査につきましては、この時期に実施することとし、内容については当職に御一任願いたいと思いますが、これに御異議はございませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○亀卦川富夫委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。なお、詳細については当職に御一任願います。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。


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