地域医療等対策特別委員会会議記録

地域医療等対策特別委員会委員長 三浦 陽子

1 日時
  平成21年8月5日(水曜日)
  午前10時2分開会、午前12時散会
2 場所
  第2特別委員会室
3 出席委員
  三浦陽子委員長、小野寺有一副委員長、及川幸子委員、小田島峰雄委員、
  関根敏伸委員、高橋 元委員、千葉 伝委員、熊谷 泉委員、工藤勝博委員、
  木村幸弘委員、斉藤 信委員
4 欠席委員
  なし
5 事務局職員
  小原担当書記、佐々木担当書記
6 説明のために出席した者
  岩手医科大学神経精神科学講座 教授 酒井明夫氏
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
  (1) 「地域における自殺予防 自殺企図者へのケア 自死遺族ケアと心理学的剖検」について
  (2) その他(次回の委員会運営について)
9 議事の内容
○三浦陽子委員長 おはようございます。ただいまから、地域医療等対策特別委員会を開会いたします。
 これより、本日の会議を開きます。本日は、お手元に配付いたしております日程により会議を行います。
 これより、「地域における自殺予防自殺企図者へのケア 自死遺族ケアと心理学的剖検」について調査を行います。本日は、講師として、岩手医科大学神経精神科学講座 教授 酒井明夫氏をお招きしておりますので、御紹介申し上げます。
○酒井明夫参考人 岩手医大精神科の酒井と申します。本日は、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。今三浦委員長がおっしゃったテーマでつたない話をさせていただきます。先生方の御意見、お知恵を拝借したいと思います。よろしくお願いいたします。
○三浦陽子委員長 ありがとうございました。
 酒井様の御経歴につきましては、お手元に配付いたしておりますとおりでございます。
 本日は、「地域における自殺予防 自殺企図者へのケア 自死遺族ケアと心理学的剖検」と題しまして、酒井様より御講演をいただくこととしております。酒井様には、御多忙のところ御講演をお引き受けいただきまして、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
 これから御講演をいただくわけでありますが、後ほど酒井様を交えての質疑、意見交換の時間を設けておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、酒井様、よろしくお願いいたします。
 皆様も、どうぞ上着をお脱ぎいただきまして、フリースタイルでよろしくお願いします。
○酒井明夫参考人 それでは、先ほど三浦委員長から御紹介いただきましたテーマに沿いまして、お話をさせていただきたいと思います。後ほどいろんなお考えをお聞きしたいと思います。
 まずは、地域における自殺予防についてちょっとお話をいたします。医療圏別の自殺率というところからまず御覧いただきたいと思いますが、先生方もう御存じのことばかりかもしれません。
 ここに自殺のSMRと申しますのは、年代を統一して補正した自殺率ということになりますが、この青信号が全国平均、黄色が少し多いと、オレンジ信号というのが、かなり自殺率が高いと。赤信号は、もはや自殺多発地域というふうに言ってもいい、そんな色分けで御覧いただければと思います。
 それで、ちょっと南青森も入っておりますが、男性と女性の自殺率ということになっております。これは一見して御理解いただけるかと思うのですけれども、全国平均という青信号が一つもないということにまず御注目いただければと思います。
 とにかく岩手県は自殺率が非常に高い県ということは先生方御存じのとおりで、平成18年に全国で2位です。平成19年は4位、平成20年は3位ということで、いずれにしても非常に自殺率の高い県ということになりますが、特に高いのは御覧いただいた県北地域です。久慈、二戸、三戸、そのあたりが一番高いということになっています。
 それで、この地域の方々をスクリーニングいたしますと、このSDSというのは自分で書いていただく、うつのスコアなのですが、50点以上だと中等度以上のうつ状態ということになりますが、そういう方々は一般の住民の約1割いらっしゃるということで、これも御存じのようにうつというのは自殺の最も高いリスクファクターということになっておりまして、ここからもこの地域の自殺率の高さというのが推しはかれるということになります。
 こういう状況でしたので、私は岩手医大で精神科医をしておりますが、何とか岩手県の自殺率を下げられないものかと思いまして、厚生労働省の心の健康科学研究事業によりまして、平成14年から16年まで3年間、こちらの久慈地域に介入をいたしました。
 この研究の特徴なのですが、下のほうの宮古地区を対照地域、コントロール地域といたしまして、こちらには行政の介入だけをやっていただくことにしました。久慈地域のほうは、行政の介入にプラスして我々の介入をさせていただくという、そういう方法で、どういう介入方法をすると自殺率が下がるのか、もしくは住民の方々の意識が変わるのかということを調べてみました。
 どんなことをしたかと申しますと、大体こんな感じです。ネットワークをつくりまして、いろいろ住民の方々を対象とした会を開いたところです。あと医療機関にもいろんな介入をいたしました。平成14年にまずアンケート調査を住民の方々にしまして、こういうことをやった後、二、三年後にもう一回同じ方々にアンケート調査をして、介入の効果がどのぐらいあったのかということを見ようということでございます。
 具体的にどういうことをやったかと申しますと、啓発活動とネットワークの形成、医療機関への介入というような三本柱になりますが、この北リアス健康塾というのは、大体公民館レベルの集会をその地域、地域でやっていきました。60回ぐらいやりました。自殺とうつだけではありませんで、高血圧とか糖尿病とか、そういうふうな住民の方々に興味を持っていただけるような、そういうテーマも取り上げました。。
 研修を開始する前にアンケートをとって、やった後にもアンケートをとりました。これは気分が落ち込んだら精神科を受診してみようと思うというふうなことで、「はい」と答えていただいた方の数は、前より後のほうが多いということです。大体全部で2,400人ぐらいの方々に参加していただきました。
 今度は、医療従事者の方々に対するアンケートです。県立久慈病院と町立種市病院でアンケートをやらせていただきました。うつ病は薬で治るということに対して、「はい」が後のほうが高くなっています。
 県立久慈病院がこの久慈地域のもちろん基幹病院ということになっていまして、実はそれまで県立久慈病院というのは精神科がなかったのですけれども、平成14年からこの研究もありまして、1人派遣しました。病床はなく、外来だけやってもらっていました。
 一番よかったのはリエゾンナースという職種をつくったことです。精神科の外来をベースにして、いろんなところにフットワークを軽く行ったり来たりする経験豊かな看護師さんという方を想像していただければと思うのです。そうすると、精神科というのはやっぱり敷居が高い、そんな中で、その優しそうな看護師さんがいらっしゃって、そういう方には相談できるということがわかりました。
 それで、直接本人から、患者さんから、あるいは内科のお医者さんから、保健師さんから、看護師さんから、家族の方から、友人の方々とか、いろんな人から相談が看護師さんにいって、ほとんど100%いい方向へ持っていくことができました。21.3%無治療と書いてありますが、これは別にほうっておいたわけではありませんで、もうリエゾンナースの方に相談して、それで解決してしまったというのが大分あったということです。ですから、こういうフットワークの軽い方が、敷居が今でもちょっと高い精神科といろんなところをつなぐという役割を持っていただくと、なかなかすばらしい医療ができるのではないかなというふうに思いました。
 先ほど申し上げましたように、平成14年に1回やりまして、再調査を3年後にやったわけですが、回収率は9割を超えていますので、大体信頼性があるデータかと思います。その結果、この宮古地域は先ほど申し上げましたように行政だけの介入、久慈地域は行政の介入プラス我々も介入したということで、住民の意識がどう変化したかというのを見ますと、やっぱり介入する前は有意差はありませんでしたが、介入後は久慈のほうが統計学的に有意差を持って、うつは薬で治すことができると答えた割合がふえています。おかげさまで何とかこういう結果が出ました。これは、自殺は地域の取り組みで予防できるというふうに答えていただいた割合も、宮古を久慈がかなり有意差を持って上回ったということがあります。
 県や市町村が自殺の予防について取り組むのはいいことだというふうに答えていただいた割合も、御覧のように久慈のほうが高くなっております。これは、地域が自殺予防を地域ぐるみで行うということへの住民の方々の期待が高いということかもしれません。
 今度は、看護師さんへのアンケートです。うつ状態は薬で治すことができると答えた割合は、これも介入後は久慈が上回っています。ところが、まだこのぐらいに医療者の方がとどまっているというのは、今後またいろいろやっていかないといけないなというふうに思っています。
 具体的な成果としましては、御覧いただいたようなことがあるかと思います。包括的に自殺予防をこつこつ地道に3年間やっていったということになります。
 今後の課題としましては、先ほど申し上げましたけれども、まだまだ住民の意識は改善される余地があるということで、こういうことは続けていかないといけないのではないかと思います。あとは、ハイリスクの方々を何とか早期に医療に結びつける、そういう方策を組み合わせてやるということとか、家族への支援体制、自殺された方の家族の方々に対する支援があります。
 先ほど申し上げましたリエゾンナース、普通のかかりつけの先生方へのうつ病治療教育をしていかなければいけないといったことが課題として上がっております。
 先生方も、どうして岩手県、中でも県北は自殺率が高いのかと思っていらっしゃると思うのですが、いろいろ公衆衛生と精神科で何十年間にわたって調べてみた結果、どうもやっぱり男性の場合は完全失業率、それから過疎化、医療資源が乏しい、こういうことがどうも高い自殺率と関係しているというふうな結果です。御高齢になって家族の方と同居していらっしゃる、でも健康や就労の問題を抱えている方、女性では総病床数、これもやっぱり医療資源の少なさ、あとは女性の場合は、第三次産業の就業率が低いということが関係しているということです。配偶者と死別された単身生活の方についても同様です。まとめて見ますと、どうもやっぱり医療資源が少ない、病気になっても、なかなかお医者さんに診てもらうのが難しい、遠くて、息子や娘に送っていってもらわないと行けないし、大体にして医者の数や病院の数も少ないということでしょう。あとは最近どうも1日だれとも話をしない日があることなどです。
 厚生労働省の研究は3年で終わったのですが、その後もいろいろやっていかなければいけないということで、続けています。
 講演会もやりました。回想法と申しますのは、こうやって高齢の方々が輪になって座りまして、自分の歴史をそれぞれ順番に語っていただくもので、軽い認知症の方々の治療によく使う方法なのですけれども、これを自殺予防に役立てられないかということで、こういう集っていただく場を設けました。あとは医療従事者の方々向けの講演会とか、いろいろな方法論を吟味するためのワークショップや研修などです。
 ネットワークの中で小グループに分かれていただいて、それぞれのグループが紙芝居をつくっていただきました。ネットワークもいろいろあるのですが、一番大きなものが知事が会長をしていただいている推進協議会です。弁護士さん、それから臨床心理士さん、精神保健福祉士さん、それから行政の方々とか、いろんな職種の方が集まっていただいて、それぞれユニークな取り組みをしていただいているというのが一番大きな取り組みです。
 あとは、小さいものから中ぐらいのものまでいろいろあります。ネットワークというのは非常に大事だということがわかりまして、ネットワークをつくるというのは非常に難しくて、いろんな困難もありますが、一たんできてしまうと、これほど役に立つものはないという、そういう感じです。
 「たぐきり」というのは、久慈の方言でおしゃべりということだそうで、ここに傾聴ボランティアの方にいていただいて、いろいろなことをお話しいただくという場を設けたりしております。
 これは、ロールプレーによる研修会でスクリーニングを学び、早目にハイリスクの患者さんをケアにつなげるという方策も検討しています。
 次に、2番目なのですが、精神科救急において自殺未遂で運ばれた方のケアの話をちょっとさせていただきます。御覧いただいていますように、岩手県の精神科救急というのは4医療圏に分かれております。横の線で四つに分かれていて、基幹病院がそれぞれの医療圏にございます。これは、輪番はとっておりませんで、基幹病院が一括して患者さんを診るということになっていまして、もちろん盛岡医療圏の場合は岩手医科大学、それから併設されています県の高度救命救急センターが担っております。それで、ここを御注目いただきたいのですが、三次救急、一番重度の救急を救命センターが行っておりますが、実はここに精神科医が2名常駐しております。救急センターに精神科医がいるというのは、自分の知る範囲では、あまり例がないと思います。
 一次、二次は附属病院のほうで診ておりまして、精神科の当直医と救急に常駐している精神科医、それから指定医のオンコールの連携で救急の患者さんたちを診させていただいているということになります。
 既遂がどうしても発生いたしますので、こういう場合は警察の方、検案医の方と共にケアをいたします。これについては、また後で申し上げます。
 これは、平成18年のデータなのですけれども、今も大体同じぐらいの数です。一次、二次救急は年間1,400件、三次救急は400件。この400件のうち、つまり精神科関係の救急の患者さんは400件なのですが、そのうち自殺企図は200件、つまり半分が自殺企図ということになります。
 したがって、精神科救急の患者さんの数は、合わせると1,800件ぐらいになるのですけれども、これは全国調査のデータの中でトップです。つまり岩手県、特に盛岡医療圏の高度救命救急センターと岩手医大の附属病院というのは、全国で一番時間外の精神科の患者さんを診ているということになります。しかも、入院率は非常に低いということがありまして、つまりは軽い精神科の病気でかかっていらっしゃる患者さんをどんどん診ているということが言えます。その中でも重症の自殺企図の患者さんも200件いらっしゃるということで、どういう患者さんがいらっしゃるのかというと、これはやっぱり男性の場合はうつが一番多いです。女性の場合はノイローゼが一番多いのですが、うつも大体4分の1ぐらいはいらっしゃいます。
 それで、どうして精神科医を救急センターという現場に配置したいと思ったかということなのですけれども、大体普通だと救急センターには精神科医はいません。そういう場合は、まず救急隊から連絡が入って、いろんな体の処置をどんどんして、特に自殺企図の場合は傷を負っていたり、薬を大量に飲んでいたりしますので、体のほうをずっと診ていきます。命に別状がないということを確かめて、でも自殺企図だから、精神科医に診てもらったほうがいいのではないかなということで、ここで精神科医が呼ばれるのがまず普通だと思います。それが精神科医が救急にいると、救急隊からの連絡がセンター事務に入りますと、それが精神科医のピッチに転送されます。そうしますと、だれが、いつ、どこで、どのように、なぜ自殺企図をしたのかというのが最初から明らかになります。酸素を使っているかどうかというのもわかります。つまり自殺企図に至った事情と、そのときの状況と、今どうなのか、だれと一緒に来るのかというのがすべてわかります。そうすると、彼は救急車が着くまでの間にいろんなことを準備できるというのがあります。精神科医も最初からかかわります。体の蘇生を必要とする場合は蘇生もやりますし、救急の最初のイロハも一緒にやります。
 精神科医に心臓マッサージをやってほしいという患者さんは余りいないかもしれませんので、それはやっぱり身体科の先生方が中心にやっていただきますけれども、一応全部手伝います。そうしますと、彼はずっとこの患者さん、どういうことなのかというのを全部把握しながら心身の状態を検査したり処置したりできることになります。
 トライエージで、どういう薬を飲んだのかというのを尿の検査で明らかにします。血液検査を準備したり、身体評価も自分でやります。体のほうがどうなっているのかというのが全部わかって患者さんと対するというのは非常に大事で、それがないと薬を多目にあるいは少な目に出してしまうということが起こり得るのです。
 かつ、目をあけたときに、そこに精神科医がいるかいないかというのはかなり大きな違いではないかなというふうに思います。センター常駐の精神科医は一生懸命所やりますが、その後ろから上級医が指導しているさまです。
 こういうことをやってきまして、幸いにして岩手医大の附属病院はケースワーカーの方が9人いらっしゃって、その中には精神保健福祉士もいらっしゃって、すぐに多重債務の相談とかを現場で即やるという、そういう体制になっていますので、悩んでこられた患者さんもすぐにこういう社会的な問題を相談できます。
 最終判断で、帰すべきでないと我々が考えて治療している方々がいます。身体と精神の症状が重い方は、これはもう全くもちろん帰せない方々で、あとはやっぱり死にたいという気持ちが残っている、そういう方は絶対帰せないし、独居の方で危険な方もやっぱり帰せません。頻回搬送者、つまりリピーターもそうです。何回も何回も救急に来られる患者さんは、やっぱり何でリピートするのかという原因を究明しない限りは帰すべきではないと考えています。
 上級医が下の医者に言っているのは、とにかく迷ったら帰すなということです。それは、帰すべきではない患者さんを帰したときの後悔というのは、帰してもいい患者さんを入院させるときの後悔よりもずっとずっと大きいという、そういう理由です。入院の場合はセンターの2階の病棟か、もしくは精神科病棟に入院するというのを決めます。ほかの病院に移す場合もあります。
 これは、やっぱり最初からずっと診ていけるということが大きいと思います。詳細がわかりますし、センターと精神科病棟の連携が密になって、治療過程が円滑に進みます。最初は、精神科の病棟スタッフも救急から直接来るということで戸惑っていたと思いますが、やっているうちに、もう全然何か気にしなくなっていって、体のほうを診るスキルが看護師さんたちがどんどん上がっていくということがありました。平均在院日数も短くなりますし、すごく回転がよくなります。
 また、経過を長く追うということで一貫した治療が可能になります。さっき救急に2人出ていると言いましたけれども、彼らは精神科病棟に患者さんが移ってくると、主治医になります。私が回診なんかすると、説明してくれるわけです。退院すると、今度は外来で主治医になって、ずっと経過を見続けるということで、もう搬送されたときからよくなるまでずっと診るということになります。
 あと、やっぱり目をあけていただいたときに精神科医がいて、そこから精神医療を同時に身体治療と一緒にやるということが非常に信頼関係につながるということがあります。これは先ほど申し上げましたとおりです。
 もう一つ重要なのは救急の先生方の仲間になるということです。救急というのは、チーム医療の最たるもので、患者さんがいらっしゃった途端に医者と看護師がわっと群がって全員で対処するわけですけれども、その一人として円滑な協力関係が築けるのが大きいと思います。
 課題は、やっぱりマンパワーの不足です。過重労働、不規則勤務の代表みたいなものですので、もっと精神科医がいればいいなというふうにいつも思っています。
 あと、2人だけではなくて、先生方も御想像はいただけるかと思うのですが、医者というのは遅くまで医局に残っていまして、一緒に治療に協力します。彼らは若いのですけれども、手前みそですけれども、本当に一生懸命やります。別に余り、経済的に良いとかいうこともないのに、やらなければと言ってやっています。
 皆で知恵を出し合って再発予防ということで、今いろいろ方法論を検討しております。
 今度は、自死遺族ケアという3番目のテーマに移らせていただきます。これは、平成18年度からおかげさまで県から委託を受けまして、モデル事業としてやらせていただきました。平成21年の3月まででしたが、その後も続けさせていただいております。これは、先ほどちょっとこの会が始まる前に三浦委員長ともお話ししていたのですけれども、自殺された方がいらっしゃる家族の方の苦しみというのは非常に大きなものがあるわけです。これは、御想像いただけると思うのですけれども、あのとき自分が何かしてやれることがあったのにしてやれなかったのではないかという、それとは全く逆にあのとき自分がああしなかったらあの子は自殺していなかったのではないかと、そういう二重の苦しみにさいなまれるということがあります。
 あとは、遺書が残されていないという状況で、その前に何らそういう様子もなかったのに亡くなられてしまったという場合もあります。何でだろう、これを何回も何回も考えるという生活が続くのだと思います。でも、自殺という言葉を普通の会話で出すということはタブーです。そうすると、ストレス、家族の問題、四十九日までいろんな苦しみがつきまとうということになります。PTSDと御覧いただいていますのは、外傷後ストレス障害と申しまして、これは非常に大きな悲しい出来事があったとき、あるいは大災害とか、そういうことに直面したとき、あるいは身体的に暴力を受けたとか、そういうことの後にしばらくたってから出てくる精神的な病気のことを申します。そういうことが家族の自殺ということを契機に出てきたりします。
 この自死遺族ケア事業の目的は二つあります。一つは、今申し上げました家族の方に対して、どういうふうなケアをさせていただくのが一番効率的に家族の方の苦しみを取るのかということを見つけたいということ、もう一つは心理学的剖検法ということです。これは、耳なれない先生方もいらっしゃるかもしれませんけれども、剖検というのは御存じのように体の病気で亡くなられた方を解剖して病気の原因を探ることです。この心理学的剖検というのは、残された方々に聞き取り調査を綿密に行いまして、その方はどうして亡くなったのか、どうして自殺されたのかという具体的な理由を突きとめるという、そういう方法です。これが実は日本ではまだほとんどやられておりません。私の知る限りでは、帝京大学の張先生という方がいらっしゃるのですけれども、張先生のまとまった研究が一つあるだけなのです。
 例えば警察統計とか、あるいは精神科の統計などで自殺に至る原因とされるのは、例えば貧困とか失業、あるいはうつ病やノイローゼなど精神的な病気などです。しかしそれは統計上の分類でして、では本当はどういう原因だったのかというものをもっと突き詰めて細かいところまで突きとめるということは、今までほとんどされていないということなのです。ですから、この心理学的剖検というのを地道に積み上げていけば、人はどういうときに自殺するのかという最もデリケートなところがわかるのではないかということで、これはぜひとも継続していきたいと思っています。
 現状のシステムでは、ケアもこの剖検法もなかなか実施困難です。それで、このモデル事業を、そのために展開するということで、救命救急センターに搬送されて、残念ながらそこで亡くなられた方、そこでいろんなことを調べていって、死体検案も一緒にさせていただいて、パンフレットを配るという方法を用いました。
 事務局は精神科医と保健師と心理士で構成されています。後で連絡を差し上げることへの同意をいただき、その上でまた聞き取り調査に応じていただくことへの同意をとるということにしました。
 家族の方々も悩みを抱えています。多重債務で亡くなられた方というのは、亡くなられた方だけの問題ではなくて、家族の方の問題でもあるわけですので、そういうときに信用生協ですとか、いろんなネットワークの方々に協力していただきました。これ何と警察の方がリーフレットを配っていただきましたが、これはすばらしいことです。警察官の方々には本当に感謝しております。ほかの県に行ったりしても、そういうことは前代未聞だとまた言われていまして、本当にありがたかったです。
 これが、我々がやったことのすべてです。警察官の方が269件でリーフレットを配布してくださいました。加えて、市内の三つの総合病院に連絡しておきまして、そこに運ばれて心肺停止で亡くなられた方が出たときに、事務局からすぐ行きましてタイミングを見てリーフレットをお渡しし、後ほど御連絡を差し上げることへの同意をいただきました。先生方も御想像いただけるかと思うのですけれども、これは本当に大変なことで、息子さんが自殺されてしまい、悲嘆にしずんでいるところに、じっとそれを見守りつつ、寄り添うというか事務局スタッフの姿があったのです。その中で30件リーフレットを受け取っていただいたということです。検案医の先生にお願いして事務局の者が一緒に行きましてお渡ししたのが26件です。後日連絡の同意は、前者が30件中26件、後者で26件中23件ということになります。もうほとんど市内で発生した自殺、ほぼ全例に配布したと言えるかなと思います。これは我々も想像していなかったのですけれども、同意取得率は何と9割近い数字でした。先ほど申し上げたような状況の中で、とても受け付けていただけないというか、うるさがられるというか、しかられることこそあれ、ここまで協力していただけるというふうには思っていませんでしたので、これは非常にびっくりいたしました。
 こちらは、平成18年度、19年度、20年度の活動状況です。手紙、電話、面接がやっぱり一番中心です。構造化された質問票がありまして、それにのっとって質問させていただきました。心理学的剖検の実際の数は余り多くありません。聞き取り調査への同意をいただくのは、やっぱり大変難しかったです。しかも、我々の不手際というか、最初はノウハウがありませんので、全く経験がないことをやろうとしたために、なかなかどれもうまくいっていない状況でありました。ただ、いろんな反省会とか、あるいは外部の方々を交えてどうしたらいいのかという会議をどんどん開いてやっていくうちに、だんだん方法論がわかってきたかなという感じです。
 支援のチームと調査のチームと一応分けまして、こちらは聞き取り調査をやる、こちらは遺族ケアをやっていくという、スタッフ間ではもちろんどちらも共有されているということなのですけれども、それがあって、初めて本当にきめ細かい自殺対策が可能になるのかなというふうに思ったりしています。
 そろそろまとめに入らせていただきたいと思いますが、9割近い同意取得率というのは実際驚くべきことで、これはもしかすると遺族の方々に遺族ケア、そして聞き取りのほうもニードが実際にあるのではないかなということを考えました。
 家族機能が回復するということもあります。これはやっぱり遺族の方々のいろんな苦しみというのは、先ほど申し上げたような心理的な問題だけではなくて、実際にだんなさんが自殺されて亡くなられてしまったという場合、お嫁さんが嫁ぎ先から責められるということもあります。そういうものも含めて、非常に大きなニーズがあるような気がします。
 家族内緊張、つまり先ほど申し上げましたいろんな葛藤、いろんな思いがあるという中で、そういう人間関係の悪化みたいなことがありますし、やっぱり亡くなられた後に定期的に相談したいというふうにおっしゃる方、あるいは精神科医に紹介したほうがいいという段階になっていらっしゃる方とか、そういう方々に継続してケアをしていくと、後追い自殺を防止することにもつながるのかなという気がいたしました。
 あとは、お子さんの問題です。これは、先生方御存じのように大きな社会問題になっています。亡くなられた方々のお子さんたち、これは大きな問題です。自殺で亡くなったということを、とりあえず学校とか、そういうところには余り言わないようにする、どういう原因で亡くなられたのかということは余り明らかにしないという例もまれではありませんし、明らかになると理不尽ないじめに遭ったりとか、そういうことも起こり得ます。そういうわけで、もちろんこれは御遺族の方々から要望があった場合にのみですけれども、学校と連絡をとって、お子さんたちがなるべく学校に行きやすいように、そういうことを相談するということも非常に大事なことだということがわかりました。これも支援です。
 今度は、この最中にシルバー先生授業というのを始めまして、これは退職された元校長先生の方々とかそういう方々にお願いして、中学校で自殺についての授業をしていただいたりして、どういうふうにして参加者に自殺のこと、あるいはうつのことを知っていただくかということを教育委員会といろいろ協力してやったりしております。
 あとは、さっき申し上げましたけれども、いろんな問題、それはネットワークがやっぱり一番役に立ちます。先ほど御覧いただきました自殺対策推進協議会のネットワークとか、ああいうことで、もうお互い顔見知りになっていますから、いろいろすぐにお願いできますし、非常に頼りになる人ばかりです。
 これが最後になりますが、先ほどの精神科医と臨床心理士と保健師のチームは、ポストベンションにも出かけていくようになりました。つまりある職場で自殺された方が出た場合に、その後、その部署の同僚の方々や上司の方がどうしていいかわからないということで相談を受けたりするのです。そのときに、遺族ケアのチームがあちこち出かけていくようになりました。これもなかなかいろんな有効な機能を果たしてきたような気はします。
 ということで、どうも長時間御清聴ありがとうございました。
○三浦陽子委員長 ありがとうございました。電気をつけますので、お待ちください。
 酒井先生、どうも大変ありがとうございました。
 これより質疑、意見交換を行います。ただいま大変貴重な御講演をいただきましたことに関し、ありがとうございます。質疑、御意見などがございましたら、お願いいたします。
○及川幸子委員 先生、ありがとうございます。
 ちょっとこの自殺遺族者というところですが、自殺企図者に対する自死遺族者という、家族ということですよね。先生のお話の中で、自殺をする人、大変お気の毒ですけれども、家族の方が後を追って、やっぱり命を絶たれるという例が結構あると思うのですが、その前にこういう相談の窓口とおっしゃいましたけれども、なかなかそういうのを地域の中で相談するところがない例が多いのではないかと思うのです。私の身近な人も、最初に奥さんが亡くなって、自殺をなさって、その後お父さんが自殺、そしてその後に息子さん、長男さんが亡くなって、私その娘さんと知り合いなのですけれども、とても明るい娘さんで、そういうふうにお父さんが悩んでいるとか、お兄ちゃんがどうしているということを全然聞かなかったものですから、全然手も打たなかったのですけれども、そういうふうに相談する窓口というのは精神科にかからないで過ごされる方々もいっぱいいらっしゃるのではないかと思うのです。精神科にかかって、今のようなケアをしていただくのはとてもまれではないかと思うのですが、その辺の状況はどうなのでしょう。県内全域を見た場合。
○酒井明夫参考人 もうそれは先生おっしゃるとおり、なかなかその窓口というのは、今まではずっとないまま来たということはあるかと思います。それで、先生おっしゃったように、自分の家族が自殺してしまった後で、挙げていただいた例もありますし、その後家族の方がやっぱり後追い自殺したりする。そういうことが起こらないようにするためには一体どうしたらいいかということを周りが考えたとします。でも一体どこに相談したら、どこに行ったらいいのかということが全然わかりませんし、実際その窓口もないという状況が続いてきました。それで、今は、先生御存じかと思うのですけれども、自死遺族の会というのが全国的にできてきていまして、定期的に集まって、お互いの胸の内を話し合うということができてきています。全国的にそういう会ができてきているのですけれども、それがいわばボランティアの会で、自然にだれかを核としてということはあると思うのですけれども、自死遺族の方々が集まって、そういえばあの方も何か家族の方が自殺されて元気がなくなっているから、ちょっと一緒に来てもらおうというふうにして集まってきていますけれども。岩手県の場合は、精神保健福祉センターが福祉総合相談センターの中にあるのですが、そこが主導してりんどうの会という自死遺族の会を今持っています。そこは、割と大きく活動中で、ですから公的な機関が自死遺族の会にかかわっているというのは、非常に全国でも珍しい例なのです。そういう意味では、岩手県は進んでいると思います。
 まず、そういう遺族の会がありますし、あとは今先生に聞いていただいたような自死遺族ケアのためのこういう窓口をできるだけ皆さんに知っていただいて利用していただくということがあります。あとソーシャルサポートセンターというNPO法人などがありまして、そこもいろんな電話相談をしていますし、別の行政の窓口も先生方のお力でいろいろつくっていただければ、我々としては非常にうれしいです。
○及川幸子委員 先生、私ども普通の人間が介入すると、プライバシーの問題で大変嫌がられる面もあると思うのです。そういうときは、やっぱり民生委員の方々などがいろいろ把握しながら家庭に参入できますので、そういう方々とも連携なさっているのですか、あの会は。
○酒井明夫参考人 先ほど北リアス健康塾という公民館レベルの自殺対策集会を御覧いただいたのですけれども、リーダー集会というのもありまして、それは先生がおっしゃった民生委員の方々とか、その地域地域のリーダーの方々に集まっていただいて、うつと自殺とか、そういうことを研修していただいてというのもやっています。そうすると、そういう方々は本当に地域のリーダーとして、先生おっしゃったようないろんな住民の方々の悩みとか、家族が自殺された方のいろんなケアをもっともっと効率的にやっていただけるように思います。
○及川幸子委員 もう一点お聞きします。原因的にうつ病ということですが、私もちょっと近所の方から急に飛び込みで来られて、奥さんから来られて、いつもの状況と違うということでずっとずっと付き添っていたのですが、精神科にやっぱり連れていかなければだめだという判断で、もう一人の近所の奥さんと、そうしたらだんなさんから被害を受けているので、だんなさんとは行きたくないというので、私みずから水沢病院の精神科に行ったのですが、残念ながら精神科は一般の人、近所の人が連れてきたのでは入院とか診察もされないと言われたのです。そういうときに、やっぱり急を要するものですから、だれかがついていないととてもひどい状況だったので、半日私も一緒にいたのですが、とてもたまりかねて病院、精神科に行ったのですが、かなり精神科のガードというのはかたいなと。事情を言ったのです。だんなさんと一緒に来られない事情があるので、私近所なので連れてきましたと言ったのですが、なかなか難しくて、その後時間をかなり要して、おうちの方と連絡を何とかとって来ていただきましたけれども、それが本人にだんなの姿を見せないようにしてやったという経緯があるのですけれども、やっぱり精神科にかかる場合はかなりそういうふうにガードがきついのでしょうか。
○酒井明夫参考人 ありがとうございます。先生おっしゃった水沢病院は、恐らく新患の受け付けを今やっていないということもあったのかと思うのですけれども、通常はそういう先生おっしゃったような事案は受けます。
○及川幸子委員 そうですか。
○酒井明夫参考人 はい。特にDVとか、今ありましたような、その配偶者の方と一緒に来られない場合にどなたかと一緒に来られた場合でも、少なくとも自分たちは受けます。今は、新患は予約制になりましたが、緊急の場合はその限りではありません。
○及川幸子委員 やっぱりうつ病の予防というのが一番大切だと思うのです。このうつ病の把握というのがなかなかとられないのでないかと思うのですが、その辺のところ、どうなのでしょう。
○酒井明夫参考人 そうですね、おっしゃるとおりです。うつ病は、先ほど先生方に御覧いただきましたように、薬で治る時代になったのですが、初めてうつになった方というのは、自分に一体何が起こっているのかというのが自分でもよくわからないということもあると思うのです。一番多いのは、自分は怠け者になってしまったとか、あるいは年をとって楽しめなくなってしまったとか、眠れないけれども、これも年のせいなのかなと、そういうふうに考えてしまって、性格が変わったのかもしれないと思ってしまいます。けれども、それと同時に周りの方もその方に何が起こっているのかわからないで、励ましたりとかするのですけれども、それは恐らく先生がおっしゃった意味からすれば、啓発をどんどんやっていくしかないと思うのです。うつというのはこういうもので、大体男性の25人に1人、女性の12人に1人ぐらいは一生のうちになる病気なのですということで、これは本当にもう今はありふれた病気で、しかも薬で治るのです。症状はこういうものがありますと、それをどんどん知っていただくしかないと思います。そのためには、今は薬屋さんもいろいろPRの方法も変わって、テレビでうつに関する啓発が流れている時代なのですけれども、とにかくそういうふうに知っていただいて、こういう場合はかかりつけ医師の先生でもいいですから、すぐ行って、必要があれば精神科を紹介いただく、そういうふうにしてくださいということを知っていただくしかないかもしれません。
○及川幸子委員 このうつ病と更年期の症状というのはすごく似ていますよね。
○酒井明夫参考人 似ていますね。確かに。
○及川幸子委員 ちょっと更年期の症状とうつが余りにも近いものですから、これ更年期だね、大丈夫だよと言って過ごす例でうつ病になっている身近な人がいますが、やっぱりありますか。
○酒井明夫参考人 はい。おっしゃるように、非常によく似ています。うつ病は、精神症状が中心なのですけれども、つまり気分が憂うつになったり、何か家事がおっくうになったり、余りやりたくなくなります。今までは、釣りがすごい楽しみで、毎週週末になると必ず釣りに行っていたのだけれども、最近は全然行く気がしないと、そういう精神症状が主なのですけれども、必ずと言っていいほど身体症状があります。一番多いのは眠れない、寝つきが悪い、何か寝た気がしない、一遍寝ても何回も目が覚める。あとは、食欲があり過ぎたり、なくなったりします。頭が重い、肩が凝りやすい。吐き気がしたり、胃がむかむかしたり、便秘がちになったり、そういう体の症状が出ます。だるいというふうなことがありますので、ちょうど更年期もそういう自律神経症状はたくさん出ますので、非常に似ています。ですから、婦人科でうつの治療をしている方というのも結構多いのではないでしょうか。婦人科の先生から紹介されたりする場合もあります。
○及川幸子委員 ありがとうございます。
○小田島峰雄委員 一つだけお尋ねいたします。リエゾンナースについてのお話がございました。初めてこのリエゾンナースについてのお話をお伺いしたのですけれども、私花巻なのですけれども、花巻にも精神科の専門病院があるのですけれども、なかなか敷居が高くて、そこへ行って相談するという話にはならぬのであります。そういうときに、身近にこのリエゾンナースがいらっしゃれば、それがいろいろ周知されていれば非常に助かるのだと思います。そのリエゾンナースについての増員の話もございますけれども、まずその実態はどうなっているか。県内の公立、私立の病院問わず、配置はどうなっているのか、その辺のところを教えていただきたいのと、そもそもリエゾンナースのリエゾンとは何かから教えていただきたいと思います。
 そしてまた、将来的にはどういう形をイメージして、今先生はおられるのか、その辺のところまで教えていただければ、大変ありがたいと思います。
○酒井明夫参考人 ありがとうございます。先生おっしゃったように、まずはリエゾンナースのリエゾンと申しますのは、連結という意味で、患者さん、家族の方、それから内科や外科のお医者さん、保健師さん、精神科の間を御自分の足で行ったり来たりしながら、ネットワークをつくって患者さんを最善の方向へ導いていただくという、そういうことなのです。実はリエゾンナースというのは日本看護協会の認定の資格がもうありまして、さっき先生に御覧いただいたのは、その資格認定のナースではなくて、今度はネットワークナースというふうに名前を変えようかなと思ったところです。
 先ほど御覧いただきましたように、非常に有効だったわけですが、先生御質問いただきました配置という点では、今例えば岩手県内では久慈にいらっしゃるだけです。でも、先生おっしゃっていただいたように、もしこのリエゾンナースもしくはネットワークナースが、例えばいろんな医療機関に1人ずついていただければ、敷居の高さというものを下げる働きがありますので、本当に利用しがいのある、そういうふうな職種になると思います。ですから、これはぜひとも各医療機関でその配置を考えていただきたいというふうに、我々経験上思っております。
○小田島峰雄委員 久慈に配置されておりますリエゾンナース、何か1回引退されて、ある一定の年配の方が担当されているという話ございました。今お話を聞きましたら、特に資格は有しておらないけれども、経験豊富な年配の方をというお話でした。
○酒井明夫参考人 看護師さんの資格は、もちろん持っていらっしゃる方です。
○小田島峰雄委員 はい。それで、さっき資格の話がございましたが、本当はちゃんとした資格が、国家資格か何かあるのですか。
○酒井明夫参考人 そうです。日本看護協会の認定資格だと思いますけれども。
○小田島峰雄委員 久慈でおられる方は、そうではないと。
○酒井明夫参考人 その資格ではありません。その資格は持っていないですけれども、その日本看護協会のリエゾンナースとは、またちょっと違う職種です。
○小田島峰雄委員 それであれば、どこの病院でも、第一線を退かれた経験豊富な方を、そのネットワークナースにお願いすることは可能でございましょうし、それは例えば県立病院の話をいたしますと、精神科のお医者さんを確保するといってもなかなか難しい話でございます。そういう中で、コスト的にもそういった方をお願いして、その配置をしていただくというのは、全く難しい話でもないのではないかと思いますが、そういう点についてはどう考えですか。
○酒井明夫参考人 おっしゃるとおりです。精神科医は、非常に今少ない状態がありまして、ですから先生おっしゃったように、そこの住民の方々と精神医療の間を埋めるということでは、退職された看護師さんにその経験を生かしていただいて、それをつなぐ役割をしていただくということは、岩手の精神医療を非常に強化することにつながるのではないかと思っています。退職されて、まだまだ本当に力を持っていらっしゃる看護師さんというのはたくさんいらっしゃると思うのです。そういう方々のお力をかりるということは非常に重要だと思います。
○小田島峰雄委員 大変いいお話をお伺いいたしました。医師不足が叫ばれている中で、すぐれた人材を大いに活用しながら、手を差し伸べてくれる人たちの力になってあげるというふうにこれからされていけばいいなというふうに思います。ありがとうございました。
○酒井明夫参考人 ありがとうございます。
○小野寺有一委員 きょうはどうもありがとうございました。きょうは、介入活動で先生方が直接自殺企図者だとか、それから残された方にどういう接し方をしているというお話を聞かせてもらって、非常に勉強になりましたけれども、我々の立場としては、多分先生が治療で今後の課題として挙げていただいたところに、我々がどういうふうに解決していくかという話なのだと思うのですが、例えば啓発活動の継続が必要だということをおっしゃっているし、例えばスクリーニングとか二次予防活動を組み合わせる必要があるとか、そういう課題の中身というか、やるべきことというのは明らかになっていると思うし、それから客体、要は例えばそういう啓発活動が必要な人たちがいるとか、それからリエゾンナースを例えばつくるとかという、だれかにそういうことをやるということも明らかになっていると思うのですが、問題はその主体のほうで、ではその啓発活動をだれが行うかとか、それから例えばリエゾンナースの養成はだれが行うかという、その部分というのは先ほどのお話で、先生方の仕事としてはもう現場で手いっぱいだということがあるわけですから、先生方がもしもその主体となることがなかなか難しいということになった場合には、次善の手段としてそれを推進していくとか、実行していく立場としては、どういう人が考えられるのか教えていただければと思います。
○酒井明夫講師 ありがとうございます。先生おっしゃったことは非常に重要なことでして、少ない精神医療資源というのはどういうふうに有効に活用していくかということにつながるかと思いますが、ここでやっぱり大事なのは、先ほど申し上げましたネットワークです。一つ久慈の例を挙げさせていただきますけれども、3年間、厚生労働省の研究班で、行政の方々とか、あるいは保健師さんとか、看護師さんとか、そういう方々に集まっていただいて、月2回岩手医大から精神科医が行きまして、県立久慈病院の精神科医を交えて、そこで先生がおっしゃったように普及啓発活動というのはどういうふうにやっていったらいいのか。リエゾンナースというのはどういう方面に展開をしたらいいのかというのをディスカッションして、そこでどんどん活動方針を決めていったというような感じなのです。
 紙芝居なんかも小グループでつくって、アイディアを出して行いますし、そこで例えば先生おっしゃっていただいた二次予防のスクリーニングというのをどうやってやっていったらいいのかということを相談しました。それで、保健師さんに集まっていただいて、ロールプレーを、1人が患者さん役、1人がスクリーニングをやる側の役ということで、研修をどんどんやっていって、その保健師さんが自分の地域に帰っていって、ハイリスクな人たちを事業につなげていくという、そういうふうなことをやっていきたいと思います。
 これがうちだけではなくて、いろんなところでやられていることなのですが、問題は、久慈の保健師さんたちというのはすごくやる気のある方々です。もう保健所も非常に多機能でやる気のある方々がいらっしゃって、そういうことで看護師さん、保健師さんが力を合わせてやってきたというのがあるのですけれども、1人がスキルを身につけると、研修でほかの人にそのスキルを伝えていく、そういう形で医療従事者と行政の窓口が協力してやっていくということがありました。ですから、そういうふうに久慈のモデルというのを今度はいろんな南のほうや沿岸のほうにも広げていくと、どんどんスキルフルな人がふえていくということがあるのではないかと思っています。
○橋元委員 先ほどの2枚目のスライドのところで、中部地区でもかなり自殺が多いというふうな画面が出ましたけれども、確かに去年の暮れから今時点で、私の近くでも3人ぐらい自殺されているのです。私の同級生と、それから一つ上の方と。最近は御近所で、高校2年生の方が自殺したと。自分の地区も高いなと、こう思ったのですけれども、先生の研究のところでは県北に多くて、それは医療資源が少ないとか、一次産業とか、あるいは余り会話もない地域とか、そういう特徴があったようなのですけれども、この中部地区の特色として何かとらえているものがあるのか。
 それから、北上にも花北病院という精神科の病院があるのですけれども、あそこは昔からちょっと異常行動を伴ったような、そういう精神的な障がいの方が多く入院されて治療を受けていると。窓にも鉄格子があったりとか、そういうところもありまして、なかなか精神科の病院としてあるのだけれども、やはり先ほど言ったように敷居が高いとか、そんな思いもして、中部地区の精神科の治療してもらえるような病院というのが、ちょっとイメージ的には少ないような気がしてならないのですけれども、中部地区の精神医療というのは充実しているのかどうか、その実態も少しお伺いしたいなと思います。
○酒井明夫参考人 わかりました。ありがとうございます。中部地区の特質というのは、自分は余りほかの地域と差があるとは思わないのですけれども、岩手県の場合は一部を除いて、先ほども申し上げました県北の特質というのが多かれ少なかれあるのではないかなというふうに考えています。先ほど申し上げましたように、そういうわけで久慈のモデルというのは恐らく岩手県内のほとんどの地域に応用可能だと思っています。
 花北病院は、あの地域の精神医療を担っているところで、院長先生が非常に前向きな方で、ストレス外来や開放病棟もありますし、軽いうつの方も安心して入院できるような病棟になっています。そういう意味では、精神医療的には機能は高いと思います。先生おっしゃったような重症の方の入る病棟というのは、また別にありますし、そういう意味ではいろんな患者さんを受け入れることは可能かなと思います。
 あとは、やっぱり精神科病院というのはどうしても少ないです。うつの患者さんとか、あるいは死にたいという気持ちを持っていらっしゃる患者さんがまず頼りにできるのはかかりつけの先生だと思います。精神科に紹介するだけではなくて、かかりつけの先生が、軽いうつだったら自分でも治療できると、そういう精神科的なわざを皆さん身につけていただくと、中部地区に限らず、いろんな意味で患者さんと家族の方が自殺までいかないうちに、悩みも楽になると思います。厚生労働省からマニュアルが今出ておりますので、その内容を講習していただくとか、そういう方策がこれから大事になるかなと思います。
○橋元委員 そうしますと、先ほど先生のスライドの中でも、医療関係者でもこのうつの関係のところが余り、知識が少し足りないとか、認識不足だとか、そういうお話がありましたが、今度岩手県の自殺対策の協議会の中で、今先生がおっしゃったようなかかりつけ医のレベルアップも含めて、そういう対策なんかも今後検討されていらっしゃるのでしょうか。
○酒井明夫参考人 それはもう、おっしゃったように、検討しております。それで、いろんな職種の方の研修会とか、講演会とか、市町村で企画していただいて、そこで進めていっていただきたいと思います。あとは、小冊子をつくってそれを配布していただくとか、DVDをつくって、それをなるべく多くの方に見ていただくと、そういうこともやりたいと思います。
○関根敏伸委員 どうもありがとうございました。私も2点、お聞かせいただきたいのですが、自殺された遺族の方々へのモデル事業でございますが、これは大きく、いわゆる後追い自殺の防止という観点と、総合的な自殺の対策ということを調査すると、こういった目的のもとでやられているというふうにお聞きをしたわけなのですが、そんな中でさまざまな事例が積み上げられて、さらに総合的な対策が明確になってくることとは思うのですが、そういった中でも年々自殺者はそんなに減ってはいないという中で、早急に総合的な方向性を見出していかなければならないというふうに思っております。当然岩手だけではなくて、全国的にこういった事業を各都道府県でもやられているとは思うのですが、全国的にも相当数こういった事例が積み上げられて、具体の方向性が見えてきているのではないかと思うのですが、どういった時点で総合的な岩手ならではの自殺の防止対策というふうなものを具体化して表明できると見ておられるのか、まずそれを1点お聞かせいただきたいと思います。
 それからもう一つは、いわゆる三次救急に精神科医の方が2名常駐されているとか、正直びっくりしてお聞きをしました。岩手ならではということだと思うのですが、意外な感じもして、ちょっと聞いたわけなのですけれども、こういった岩手ならではの三次救急に精神科のお医者様を2名常駐させるという、いわゆるメリットと申しますか、やはり独特のお考えのもとで具体の成果が出ていらっしゃると思うのですが、いろいろスライドではお聞きしたのですが、わかりやすくどういった部分、こういった常駐ということを考えられているのか。常駐されることによる精神保健という部分に関しての、どういった岩手ならではの方向性が見出されているのか、これちょっと聞かせていただきたいと思うのですが。
 あと、片側ではこの常駐されるということに関しまして、大きくは評価をしたいと思うのですが、同時に貴重な精神科医の方々、こういった岩手のさまざま広い地域の中で、逆にいろんな地域に出ていただいて、自殺対策とか、啓発活動とか、こういった形で動いていかれるのも一つの方向性なのかなと、そんなふうな考えもちらっとお聞きしながら思ったのですが、そういった部分に関してはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○酒井明夫参考人 まず、先生おっしゃった第1点目、岩手県の自殺対策ということでは、先生おっしゃったように、恐らく対策としては全国でもかなり進んでいるほうではないかと思っています。久慈の自殺対策ということに関しては、いろんな全国から見学に来られる方が相次いでいますし、久慈の自殺対策チームは今、国の研究をやっていまして、そういう意味ではいろんなモデルを先進的に取り上げていると思います。さっき先生に御覧いただきました平成14年から16年の3年間の研究を久慈でやってみたのですが、御覧いただいたように、住民の意識はかなり変化したと思うのですが、自殺率は減りませんでした。ですから、そのとき我々が思ったのは、3年とか、あるいは5年とかというのではなくて、10年以上地道に一生懸命に、先生がおっしゃったように総合的な自殺対策を、方法論をちゃんとつくってやっていかないといけないのではないかなということです。せめて全国平均にまで持っていくというのは相当大変な仕事なのだということを実感いたしました。そういうことからすると、もう岩手県にはアクションプランというのが御存じのようにありますので、それにのっとって、あとは全県に展開していくその推進力というのがあれば、それが岩手県の自殺を減らしていくきっかけになるかなとは思います。久慈は、そういうわけでじりじりと減ってきていたのですが、残念ながら去年ちょっと元ぐらいに戻ってしまいました。そのときもやっぱりこれは、ここでくじけず今後もずっとやっていかなければいけないということを思いました。ですから、できましたら、対策推進協議会を中心に、先生方のお力をおかりして、ということがもしお願いできればと思います。
 あと、もう一つですけれども、三次救急に精神科医が2人常駐しているという、そのメリットなのですけれども、実は県の高度救命救急センターというのは全国でも非常に優秀なセンターなのです。その点に関しては救急科の遠藤教授の教えが大きく影響していると思うのです。そこに精神科医が2人いるということは、最初から治療にかかわれるということがありますので、一番の目的は、自殺未遂で運ばれた方を救った後は、もう二度と自殺企図をしないようにするというのが一番の目標であります。そのために、いろんな方策を試みているのですけれども、先生におっしゃっていただいたメリットというものがもしあるとすれば、そういうことへの力を入れられるという点かもしれません。ただ、先生おっしゃったように、地域の精神医療を充実させるということも大事だということは十分承知しておりますので、交代で診療応援もしております。
○熊谷泉委員 1点だけあれですが、プライマリーケアへのうつ病教育ということで、この現状はどういうふうな課題といいますか、プライマリーケア、かかりつけ医さん、お医者さんへの教育ということですが、その辺の現状はどうなっているか。
○酒井明夫参考人 今のところ、実は大学の精神科が取り組んでおりますのは、うつ病に関する治療法とか診断方法とか、そういう講演会とか研修会に、先生おっしゃったプライマリーケアの先生方にもおいでいただいたり、あるいはシンポジウムに参加していただいて、御自分の経験と、それからこれからやるべきことというのを検討するということです。
 それで、一般のかかりつけ医の先生方の中でも、うつ病に関する知識が豊富で、経験も随分されているという先生方に来ていただいて、それでそのほかの先生方に対していろんなことを指導していただく機会をできるだけ多く持つようにはしています。その機会をなるべくふやして厚生労働省のマニュアルの普及度を高めたいというのが今のところの目標なのですが、まだまだ先生おっしゃったことからすれば、これからという部分が多いかと思います。
○熊谷泉委員 感覚的に、今岩手県全体見て、先生、今まで大体何%ぐらいが達成されているというか、また何%がまだ満たされる部分が、その辺簡単でいいのですが。
○酒井明夫参考人 自殺対策全体ですか。
○熊谷泉委員 いやいや、さっきのプライマリーケアのお医者さんたち、いわゆるうつの教育というか、それがどの程度達成されているか。感覚的なものでいいです。
○酒井明夫参考人 自分の感覚では、30%ぐらいです。
○木村幸弘委員 きょうは大変貴重なお話をいただきましてありがとうございます。私からは、いわゆる自殺をそもそも予防するための対策といいますか、うつにかかる部分とか含めて、そういった対策を取り組む上で、きょうのお話の中で心理学的剖検法ですか、この取り組みがやっぱり、何か自殺というと、我々自身もはれ物にさわるような感覚で、いろんな自殺に至った方の事情と枝葉がついて、個人の責任ではなかったのかとか、いろんなことをせんさくされるような理由が飛び交うわけです。そうした中で、やっぱり一体どういう背景、要因があって、そういう自殺に至ったのかというふうなところをきちんと考えていくことが予防対策に最も大切なのだろうと思います。
 先ほどのスライドのお話をいただくと、この剖検法云々についてのいわゆる調査の同意については、なかなかまだこれからというふうな状況がお話しあったわけですけれども、そういった意味で言うと、背景、要因との関係もあるのですけれども、いわゆるうつ、あるいは自殺に至る前の段階のさまざまなケアというか、そうした予防の取り組みとして、例えば今の経済的な問題、経済環境との影響などから考えれば、地域もそうですし、家庭、それから職場と、この三つの要因のところでいろんな状況を考えていく必要があるのではないかと思います。無論家族の生活面での問題も当然あるでしょう。それから、地域性、地域環境も含め、あるでしょう。私はやっぱりそういう社会全体の中での職場における環境というものも、実は意外と今個人の責任、自己責任に対して最初から最後まで随分追い込まれていくような、そういった風潮が強まっておりますし、そういった中での対応、対策といいますか、そうした産業界との連携といいますか、いろんなところで、労働安全衛生法では、例えばそういった面でのメンタルヘルスケアも含めた対策なども、職場あるいは会社の中での取り組みなども推し進められているところもあるのでしょうけれども、そういったところを含めた総体的ないろんな対策について、今回のこうした貴重な取り組み、成果あるいは実態、そういったものからどんどん情報を発信して、そういった予防対策に向けていくといいますか、そういった考え方について教えていただければと思います。
○酒井明夫講師 ありがとうございます。先生おっしゃったことが、やっぱりこれからの方針の中核になると思います。それで、先ほど御覧いただきました久慈の北リアス健康塾、公民館単位の集会をやったのですけれども、あそこで出てこられる方々というのは、女性の方が多いのです。中高年の女性の方が中心で、働き盛りの男性の方というのは時間がなかなかないということで出てきていただけないということがあって、そのとき我々思いましたのは、やっぱり先生が後半の部分でおっしゃっていただいたように職域の自殺対策、あるいは職域のうつ対策という、それはやっぱりちゃんとやらないとだめだということは感じました。
 御存じのように、今の長期休職という方は、うつの方がとても多いということがあります。そういう点からすると、いわゆる産業精神保健という考え方が今大事なのかなと思います。と言いますのは、職場の中でうつの発生を防止する、そのためには、一体その職場環境をどうしたらいいのかということです。不幸にして休職に入ってしまったならば、復帰をどうやって促進していけばいいのか、三次予防の観点でもそれを考えていかないといけないと思います。そこで必要なのは、やはり産業医と精神科医の連携ということだと思います。そうすると、職場復帰にしても、自殺、うつの防止ということに関しても、職域を巻き込んだ対策が可能だと思います。ですから、かかりつけ医の先生方だけではなくて、産業医の先生方も精神科医と一緒に一次予防、二次予防、三次予防をやっていただいて、うつが発生するのを職場で防ぐ、発生したら職場復帰を推進していくというふうなことがうつ、自殺予防ということで大事かなと思っています。
 もう一つは、やっぱり先生がこれもおっしゃったように、今は過重労働が非常に問題になっていますけれども、職場のストレスとうつの関連が深いということですので、職場環境を何とかしていくということも大事だと思います。
○斉藤信委員 1ページ目と4ページ目に県北地域が自殺率が高いという問題で、失業率の関連出ていましたし、あと4ページ目の先行事例のところでも完全失業率との関係、あとは過疎化、医療資源の乏しさ、こういう問題が出ているのですけれども、ことしはもう1万7,000人ですか、全国で。3万人を超えているということ自身が恐らく世界でも異常なことだと思うのですが、ことしはさらにふえそうだと。やっぱり経済情勢というのは、経済的貧困といいましょうか、私は本当に大きな背景にあるのではないかと。だとすれば、自殺対策というのはそういう医療的、医学的対応、社会的な対応とあわせて、そういう問題とも結びつけてやる必要があるのではないかというふうに思いますが、そういう県警の資料なんかでも、今経済的理由というのが多いのですよね。あと40代、50代の自殺がふえているという。そこいらの問題、先生どういうふうに、対策として、先生の立場から見ればどうなのかなと。
 あと、私きょう聞いて新たに知ったというのは、医療資源の乏しさということ、これ自殺と具体的にどういうふうに関連するものなのか。
 あと、県北の場合は意外と同居家族がいるのが多くて、ある意味では結いの精神があるのではないかと思われるところが自殺率高いのはなぜなのかという、ちょっと素朴な疑問なのですが、ちょっとその点、教えていただきたい。
○酒井明夫参考人 ありがとうございます。最初の経済的な問題についてなのですが、日本の自殺者が3万人を超えたのは1998年からで、御存じのようにそこで急増したわけですけれども、それ以来今に至るまで3万人を切っていないという、こういう状況は、先生おっしゃったように世界でも珍しいのです。これは、いろいろ言われていますが、完全失業率は少なくとも男性の場合は自殺率と関連があるだろうと言われています。あと日照時間とか過疎の問題とか、いろいろ言われてはいるのですけれども、一番大事なエビデンスが今確立しつつあるのが、先生がおっしゃった経済的な問題だろうと思います。
 2点目の医療資源のことなのですけれども、自殺の大きな要因となっているのはやはり病気です。病気になっても気軽に医者にかかれないというぐらいに医療資源が乏しいということになると、いろんな面で実際に身体的な負荷もかかりますし、不安も増していくという、そういうこともあるかと思います。
 3点目なのですけれども、同居されていて、しかも例えば家族の方、三世代一緒に住んでいらっしゃる方、それにもかかわらず自殺が多いというのはどうしてかというのは、いろいろ言われるのですが、これはやっぱり心理的な孤立というのがあるのではないかというふうに考えています。ですから、同居していて、物理的には一緒に住んでいらっしゃいますけれども、その中で特に男性は孤独感が非常に強いと、そういうデータもありまして、一番は自分が年とって何にもできなくなって子供に迷惑をかけている、これでは生きていてもしようがないという思いを抱いていらっしゃる方が多いです。そうすると、これはまだ余りはっきり言えないことなのですけれども、かえって同居しているほうが自分の孤立感が高まって、以前できたことができなくなっている、あるいは迷惑をかけているという実感が毎日毎日集積されることがあるかなと思うのです。これはもしかすると人間の一生ということに与えられた課題なのかもしれません。
○三浦陽子委員長 ありがとうございました。時間になりました。
 本日は大変お忙しいところ、酒井様に貴重なお話を伺うことができまして、本当にありがとうございました。
 実は、昨年医療保健福祉政策研究会のほうで何度かお願いした経緯がございまして、全部流れてしまって、いつかはこういう機会をと思っていたところ、本日大変今の現状に合ったお話を伺うことができましてありがとうございます。
 実は、先生は私の1年先輩で、管弦楽に在籍していたときに、大変もうそのころからこういう穏やかなお人柄でございましたので、精神科の医療にこんなに貢献されて、私も先輩をここにお呼びできて大変うれしく思っております。本日は大変貴重な時間をいただきましてありがとうございました。
 委員の皆様には、ちょっとお残りいただきたいと思います。
 次に、9月に予定されております次回の当委員会の調査事項についてでありますが、地域包括支援センターの現状と課題について調査を行うこととしておりますので、よろしくお願いいたします。
○及川幸子委員 お呼びするのですか。
○三浦陽子委員長 お呼びしてお伺いいたしますので。
○及川幸子委員 包括支援。
○三浦陽子委員長 はい。
○及川幸子委員 9月2日ですか。
○三浦陽子委員長 9月の2日です。
 前にいただいた御意見は、ちゃんと承っておりますので。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。


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