平泉世界文化遺産推進調査特別委員会会議記録

平泉世界文化遺産推進調査特別委員長 佐々木 一栄

1 日時
  平成20年6月13日(金曜日)
  午後3時13分開会、午後4時01分散会
2 場所
  特別委員会室
3 出席委員
  佐々木一栄委員長、伊藤勢至委員、及川幸子委員、
 佐々木 博委員、佐々木順一委員、工藤大輔委員、新居田弘文委員、千葉康一郎委員、
 大宮惇幸委員、小田島峰雄委員、三浦陽子委員、関根敏伸委員、五日市 王委員、
 中平 均委員、菅原一敏委員、高橋昌造委員、喜多正敏委員、高橋 元委員、
 郷右近 浩委員、岩渕 誠委員、佐々木大和委員、小野寺研一委員、柳村岩見委員、
 平沼 健委員、高橋比奈子委員、嵯峨壱朗委員、熊谷 泉委員、小野寺有一委員、
 吉田洋治委員、田村 誠委員、飯澤 匡委員、亀卦川富夫委員、高橋博之委員、
 工藤勝博委員、小西和子委員、久保孝喜委員、木村幸弘委員、斉藤 信委員、
 阿部富雄委員、及川あつし委員
4 欠席委員
  工藤勝子副委員長、菊池 勲委員、千葉 伝委員、樋下正信委員、高橋雪文委員、
  小野寺 好委員
5 事務局職員
  佐藤主幹兼政務調査担当課長、蛇口主任主査、菅原主査、小原主査
6 一般傍聴者
  なし
7 会議に付した事件
  (1) 調査
    イコモスの勧告について
  (2) その他
    次回及び次々回の委員会開催について
8 議事の経過概要
○佐々木一栄委員長 ただいまから平泉世界文化遺産推進調査特別委員会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。本日はお手元に配付いたしております日程のとおり、イコモスの勧告についての調査を行いたいと思います。調査の進め方でありますが、執行部から説明を受けた後、質疑、意見交換を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、当局から説明を求めます。
○大月生涯学習文化課総括課長 それでは、5月23日にイコモスから通知のあった勧告の概要などについてお手元に配付しております資料、イコモスの勧告についてに沿って御説明申し上げます。
 資料の1ページを御覧ください。御承知のとおり、平泉についてはイコモスから記載延期との勧告がなされました。
 この記載延期とは、資料3ページの(1)、Bにあるとおり、より綿密な調査や推薦書の本質的な改定の必要があるというものです。
 資料4ページ、5ページのイコモスからの主な指摘の概要を御覧ください。これはイコモスからの主な指摘を文化庁がまとめたものです。主な指摘事項として、@からFまで七つありますが、そのうち@からCの四つは世界遺産にふさわしい顕著な普遍的な価値の証明についての指摘となっております。
 世界遺産委員会は、ある文化遺産が、六つある基準の一つ以上を満たすとき、当該資産が顕著な普遍的な価値を有するものとみなすと定めており、日本国としては平泉の文化遺産は四つの基準に該当するとして推薦書を提出しておりますが、それぞれについて十分に説明しきれていないと指摘されております。
 それでは、主な指摘事項@からFについて一つずつ簡潔に御説明申し上げます。
 資料4ページの@を御覧ください。世界遺産にふさわしい顕著な普遍的な価値の証明の関係について、イコモスの評価結果においては、平泉の全体の配置と庭園群との間における浄土思想との関連性が価値基準の一つとなっている失われた文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として稀有の存在であることを十分に証明しきれていないと指摘しております。
 平泉の文化遺産については、浄土思想を基調とする独特の文化遺産のみならず、12世紀における日本の北方領域に完成した政治、行政上の拠点で、構成要素が不足なく残っている希少例であることから、顕著な普遍的価値を有すると以前から説明しており、委員国に今後そのように説明することでよいか検討を重ねているところでございます。
 続きまして、Aを御覧ください。世界遺産にふさわしい顕著な普遍的価値の証明の関係について、イコモスの評価結果においては、平泉の景観が価値基準の一つとなっている人類の歴史上の重要な段階を物語る見本であることについて、重要な段階をどのようにあらわしているか示されておらず、十分に証明しきれていないと指摘しております。今後中尊寺を初めとする推薦書に記載している資産がその歴史的な文脈の中ですぐれた見本であることについて委員国に説明することでよいか、検討を重ねているところでございます。
 続きまして、Bを御覧ください。世界遺産にふさわしい顕著な普遍的な価値の証明の関係について、イコモスの評価結果においては、荘園が、価値基準となっている人間とその環境の相互作用の例外的な事例であることを十分に証明しきれていないなどと指摘しております。骨寺村荘園遺跡と農村景観については、14世紀の絵図に加えて吾妻鏡により地名、空間構造との照合が可能であることから、当時の土地利用形態をあらわす世界的にも稀有な見本であるとともに、人間と自然との伝統的な相互作用をあらわす良好な文化的景観であることを浄土思想との関係も含め委員国に今後説明することでよいか検討を重ねているところでございます。
 続きまして、5ページのCを御覧ください。世界遺産にふさわしい顕著な普遍的価値の証明の関係について、イコモスの評価結果においては、史料等により、平泉と浄土思想との関連性が国家的な重要性を越えるものであることを十分に証明しきれていないと指摘しております。
 平泉と浄土思想との関連性については、中尊寺供養願文に示された中尊寺造園の理念などにより、今後委員国に説明することでよいか、検討を重ねているところでございます。
 続きまして、Dを御覧ください。ここからは普遍的な価値証明とは関係ない話でございます。日本国が提出した推薦書では、既登録の同種の世界遺産の中に平泉と類似する資産がないことを詳細な比較研究を行った上で、結論として平泉の顕著な普遍的な価値は、日本のみならず、アジア太平洋地域における同種遺産との比較検討を通じて明白であるとしたところでございます。
 それに対してイコモスの評価結果においては、日本が行った比較研究について一定の評価をしつつも、推薦資産の世界遺産一覧表への記載を検討するのに十分でないと指摘しているところでございます。今後平泉の顕著な普遍的な価値については、推薦書で言及しなかった事例等の比較も含め委員国に説明することでよいか検討を重ねているところでございます。
 続きまして、Eを御覧ください。日本国が提出した推薦書では、平泉の九つの構成資産はすべて12世紀の北方領域において浄土思想を基調として完成した政治・行政上の拠点諸要素として不可欠であるとしました。それに対して、イコモスの評価結果においては、推薦資産の中には浄土思想との関係が希薄なものがあることから、浄土思想の観点からの推薦資産の範囲について再検討が必要と指摘しております。今後平泉の文化遺産について、浄土思想が深くかかわっていたこと、及び12世紀における日本の北方領域に完成した政治、行政上の拠点としての価値を委員国に説明することでよいか検討を重ねているところでございます。
 Fを御覧ください。イコモスの評価結果においては、平泉は文化的景観として推薦されているにもかかわらず、推薦資産は、個々の構成資産間の空間的繋がりを含む文化的景観の総体というよりも、個々の構成資産に限定されており、推薦資産の主題と推薦資産・緩衝地帯の区分の在り方との関係について整理が不十分と指摘しております。平泉における資産の範囲と緩衝地帯との関係については、日本国としてしっかりとした整理を行っているものであり、また過去に世界遺産委員会において是認された文化的景観のとらえ方に基づき、推薦したものであることを委員国に今後説明することでよいか検討を重ねているところでございます。
 資料の最初に戻っていただき、今後の対応について御説明申し上げます。
 今後の対応は、大きく分けて(1)世界遺産委員会の委員国21カ国に対する説明と、(2)勧告の指摘内容における事実誤認の訂正の2点があります。
 (1)の関係では、国、関係市町との連携を図り、勧告内容を分析し、事前説明資料を作成しているところでございます。その上で、今週ユネスコ日本政府代表部の近藤大使と事前説明の内容、方法等について協議を行ったところでございます。なお、先ほど勧告の概要を説明する中で、イコモスからの主な指摘に対する現時点での考え方も御説明したところでございますが、その点については今後近藤大使との協議結果を受けて調整しなければならず、固まったものでないことを申し添えておきます。今後資料を固めて近藤大使が中心となって行う委員国への事前説明に対する協力支援を行うこととしております。
 (2)の関係ですが、イコモスの勧告の中で、明らかに事実関係の誤りがある部分については、世界遺産委員会が開催される2日前までに議長国であるカナダに提出することとしております。
 続きまして、勧告後の知事、関係市町の長の動きなどについてですが、(1)のとおり、5月23日にイコモスの勧告が出て、急遽知事と3市町の長との緊急協議を行いました。
 (2)のとおり、6月に入り、知事または知事の代理として副知事が関係大使館を訪問して現状と地元熱意などについて説明しているところでございます。
 (3)のとおり、知事は6月5日には大使館訪問の機会を利用して外務省、文化庁を訪問しました。また、その前日には3市町の長が外務省、文化庁を訪問されております。
 (5)のとおりに、6月20日ころをめどに関係省庁への要望書を提出する方向で現在調整しているところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。
○佐々木一栄委員長 それでは、続きまして総合政策部から説明を求めます。
○渡邊政策調査監 平泉の世界遺産登録関連事業の総称であります、いわて平泉年プロジェクトにつきまして、その推進体制を中心に、取り組み状況を御説明いたします。お手元の資料を御覧いただきたいと思います。
 趣旨につきましては記載のとおりでございます。登録後1年間を、いわて平泉年としておりますが、関連事業はその前後の期間を含めて取り組むこととしております。
 推進体制についてでありますが、本年1月に県南広域振興局を事務局に世界遺産関連事業推進プロジェクトチームを設置して関係部局の連携を図ってまいりました。本年4月には世界遺産登録の決定時期を間近に控え、関連事業がこれまでの世界遺産エリアを中心とした保存管理や観光振興だけでなく、県内外に向けた多様な取り組みへと広がってまいりましたことから、プロジェクトの推進体制を見直して総合政策部に事務局を置いた新しい体制となっております。
 別添の設置要綱を御覧ください。新しい推進体制プロジェクトチームについてですが、名称を、いわて平泉年推進プロジェクトチームといたしておりまして、下の表にありますように総合政策部の首席政策監を座長に東京事務所などを新たにチーム員に加えるなどいたしましてチーム体制の見直しも行っております。また、表に戻っていただきまして、中ほどに推進体制の図がございますが、庁議を頂点に置きまして政策調査監を事務局に、チームの役割を明確にして円滑な連携を図っていくこととしております。
 次に、プロジェクトチームの取り組み状況についてであります。4月に新しい体制となってからこれまで3回の会議を開催しております。5月28日の第3回会議は、イコモス勧告を受けて急遽開催したもので、関連事業の今後の進め方などについて協議を行っております。資料の裏面には関連事業の一覧を載せておりますので、参考までに御覧いただきたいと思います。
 以上、簡単ではございますが、いわて平泉年プロジェクトのこれまでの取り組み概要について御説明させていただきました。
○佐々木一栄委員長 それでは、ただいまの説明に対し質疑、意見はありませんか。
○及川あつし委員 今回の登録延期は私も大変残念に思っておりますし、7月のケベックでの本番に向かってぜひ逆転登録を目指していただきたいという大前提で尋ねしたいと思います。
 まず、逆転登録に向けてこれまでの取り組みの概略をお示しいただいたわけですが、イコモスから指摘されたさまざまな点、今すべて何々でよいか検討を重ねているという御説明であったと思います。今後大使との協議があるのでという説明だったと思うわけですが、推薦書を出すまでに専門家の皆さんと十分に協議を重ねてきたというふうには聞いておりますが、イコモスの決定があった後、今日までその推薦書を作成するに当たって協力を仰いできた専門家の皆さんと十分協議されていますか、その内容についてお示しをいただきたいと思います。
 二つ目は、私も登録を心から願っているものでありますが、報道等によれば大変に厳しいということも伺っているところであります。そこで、危機管理上お尋ねしたいのですが、まず残念ながら例えば再び登録延期とか、ワンランクアップで情報照会になった場合に、県としてどうやるのかということももう既に検討するべきだと私は思っております。でないと知事が常日ごろ、危機を希望に変えるという表現使っていますが、今の現状は希望が危機に変わりつつある。県民全体が希望を持っていたものが、何か怪しいぞということで希望が危機に変わりつつあるのだと思います。これが危機にならないためには、今の段階から、右手では登録に向かっていろんな準備は進めるものの、左手では着々と延期になった場合とか、情報照会になった場合にどういう戦略を打つのだということが必要だと思います。
 その観点で2点伺いますが、まず今の段階でお話しなかなか難しいと思うのですが、登録にならなかった場合、どのような形をやるか十分これまで検討してきているのか、今後どうするのか、その基本方針まずお聞かせいただきたいということと、あと2月の議会で、きょうも資料出てまいりましたが、22事業の8億7,000万円余りの関連事業があると思います。これが7月に仮に望みどおりにならなかった場合は一体どうなるのかということであります。
 大いなる希望を持って進めていたにもかかわらず、残念だったね、じゃ、全部やめますということになるとせっかくの盛り上げが、つながっていかないというふうに思っておりますので、例えばこの、いわて・平泉観光キャンペーン、7月から9月、一部報道によれば中止だなんていうふうにも出ていましたけれども、単に中止すれば傷口が大きくなると思います。
 ここは例えば登録延期とか、情報照会になった場合はまた違うメッセージで、次に向かってこうなのだということを即対応するのが県行政の最低の責任だなというふうに思っておりますが、どのようにお考えか、現時点でお答えにくい部分もあると思いますので、その分は勘案いたしますが、基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
○佐々木一栄委員長 それでは、前段の部分につきまして大月生涯学習文化課総括課長。
○大月生涯学習文化課総括課長 及川委員からイコモスの勧告が出た後に推薦書作成委員会委員などの専門家と個別に十分協議をしているのかという御質問がありましたけれども、その点につきましては個別に協議はしております。また、必ずしも全員と話していたわけではございませんが、文化庁では、またこちらが行っていない方とも協議を行っているのではないかと考えているところでございます。
○渡邊政策調査監 まず1点目、登録延期となった場合、どのようにするつもりかという御質問だったと思いますが、先般開催した第3回のプロジェクトチームの中におきまして、まず7月の世界遺産登録を目指すということに向けて最大限努力するということを確認し合いました。2点目として、平泉の文化遺産の価値は、世界遺産登録の可否に左右されるものではなく、普及啓発、保存、活用などの活動は持続していくということを確認したところであります。
 次に関連事業をそれではどうするのかという御質問がございました。関連事業につきましては、あくまで4月までは登録に向けた取り組みということになりますが、もし仮に登録にならなかったと、4月には登録にならなかったという場合には記念イベントとか記念誌のような、そういったものについては内容の変更なり、取りやめということも考えられるところでありますが、お話のありました観光キャンペーンなどにつきましては、登録の有無にかかわらず、とり進めるべきものだというふうに考えておりまして、これは予定どおり引き続き取り組んでいくということにしております。
○佐々木一栄委員長 答弁漏れありましたので、大月生涯学習文化課総括課長。
○大月生涯学習文化課総括課長 委員から登録にならなかった場合を含めて検討すべきではないかという御質問があった点につきましては、教育委員会事務局としまして、世界委員会に向けては近藤大使を初め外務省、文化庁等と十分連携を図りながら登録を目指して活動を展開しているところでございます。
○及川あつし委員 この時期ですから、多くをお話しはできないというふうに思いますが、私の質問の趣旨は、ぜひ受け取っていただきたいなというふうに思いますし、私も県当局の動きについてはしっかり見てまいりたいと思いますので、7月に向けて頑張っていただきたいと思います。終わります。
○三浦陽子委員 県の取り組みというのはどっちかというと県南、平泉町、そして一関、奥州市、この3市町が県と一緒になってとても頑張っていただいているように思いますけれども、岩手県全体がもっと応援すべきことだったのではないかなと思っております。各市町村の教育委員会なり、平泉を通して岩手県の歴史的なすばらしい背景をもっともっと掘り起こしていくべきだったのではないかと思っております。
 登録に向けて一生懸命やっていらっしゃる姿を拝見していて、私ども本当に応援したいのですけれども、どのように応援していいかわからないでいるところもきっとあると思うのです。ですから、県からも各地域にもっと声を発信していただきたかったなと思いますし、これからもまだそういう時間があるのではないかと思うのですけれども、その辺についてどのようにお考えか教えていただきたいと思います。
○法貴教育長 今の状態を述べさせていただきますけれども、推薦書を国が作成して文化庁、外務省あるいは地方公共団体と一体となってやっているわけで、今やっていけることは近藤大使を中心にしてどの程度のスポットでぎりぎりとやっていけるかという状況ですので、今確かに県民の皆様の御意見、厚い支援も受けていますけれども、今我々ができるということはユネスコの近藤大使を中心にして、いかに世界遺産委員国の理解を得るべきかということ1点に絞って協議中でございますので、ぜひそういうところを御理解賜りたいなと思っています。
○喜多正敏委員 まさにおっしゃるとおりで、近藤大使を中心としてなさっておられると思いますけれども、石見銀山のお話をお伺いしますと、その中でも特に各委員の関心を持っているところにスポットを当てて説明をして、追加資料等を出していったということでありました。そこで、近藤大使を中心とされながらも外務省あるいは大使館にこういう接触されているわけでありますけれども、そうした各委員が実際に発言をし、判断をする、そうした委員の関心を持っているところに、この平泉の価値を、特に平和とか環境の保全といったようなことについてわかりやすく説明をしていくことが大事だと思っておりますので、そうしたところをもう少し委員さんのほうと近藤大使を通じながらやっていただきたいと思いました。
○佐々木一栄委員長 要望、御意見ということで承りたいと思います。
○高橋元委員 1点ちょっとお尋ねしたいのですが、これからの重要なポイントとして世界遺産委員会の委員国21カ国にどのように説明していくかということだと思うのですが、この委員がそれぞれに平泉を訪れて現地を見ていただくのが一番いいわけでありますが、そういう機会が多分ないのではないかと思うのです。そのときにどうやって説明するかということだと思うのですけれども、私は例えば21カ国に同じ12世紀のころにどのような文化遺産があるのか、そういったことを調査して、12世紀のそこと平泉との対比あるいは周辺国と平泉の対比、そのあたりの事例を出しながら、平泉はこれだけいい遺産なのだよというPRをする資料をそろえたほうがいいと思うのですが、その辺の説明の仕方等どのように研究されているのかお伺いいたします。
○法貴教育長 重ねて申し上げますけれども、ただいま近藤大使を中心に協議内容、どういうふうにして理解を得られるものだとかということで、さまざまな観点からパリの本部の中で検討を進めて、その資料の作成の仕方も文化庁、外務省あるいは近藤大使、地元の市町村あるいは我々ということで緊密な連携をとり合って資料作成をしてまだ協議中でありますので、そういうことも参考にしながら進めてまいりたいと思っています。
○高橋比奈子委員 2点あるのですが、今回推薦書の基本概念である浄土思想を批判のターゲットにとらえられているわけです。しっかりとしたこれに対する対応策が必要だと思うのです。
 平泉を世界遺産にする会、これ東京の東北出身の方々を中心にたくさんの方を巻き込んだ会があるのですが、そこがイコモス登録延期勧告への緊急対応策ということで、県にも対応策案届いていると思うのですが、その中で日本が委員会国をおりてしまっているので、非常に厳しいので、その説得工作に関してはそれぞれの国のエリア、例えば浄土思想であれば中国とか韓国とかは同じ仏教国なのでわかりやすいとか、それからこの浄土思想はギリシャ神話などにも出ているということが東海大学の教授などからも出ているので、そういうことを欧米にも働きかけるべきだとか、それからあとさまざまなところの国に対して、例えばこういう国にはここをきちんとお話しをすればわかるのではないかとか、浄土思想に対して平和の理念をしっかりと、特にこれは石見銀山は環境というキーワードで行っているわけです。この浄土思想というわかりにくいものに平和の理念をしっかりととらえるべきだという提言があるのです。
 これは今ユネスコは平和ということに非常に、これはみんなで視察に行かせていただいたときにも平和のことをお話ししていましたけれども、こういうところのきちんとした反論の骨子をある程度平泉のことを詳しい方々、それから岩手県内だけではないたくさんの方の知恵をおかりしながら、7月2日までの間にそれぞれの国にきちんと説得できるような、ただお願いしますではない、そういう資料なども出ておりますので、こういうものをぜひ活用されながらお願いをしていただきたいと思います。その点はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
○法貴教育長 いずれパリの近藤大使が接触中、そしてまたそういう接触した結果として、どういうやり方がいいかということをなお調整中であるというふうに聞いております。そういう調整中の中で、ただいま委員から御意見のありましたようなものも含めてさまざまな調整をしてまいりたいと考えております。
○高橋比奈子委員 ぜひお願いします。あわせて平泉が京都の次の都市だったということ、それから独自の中国との交易ルートや北方異民族との交易も行っていたとか、こういう本当にすばらしい点を浄土思想だけではないプラスアルファというところもぜひ近藤大使さんと一緒にお話をしながら、しっかりとした反論できるもので必ずお願いをできますよう力を込めて皆さんの御努力や、それからさまざまな団体と一緒に頑張っていきたいということをお願いいたしまして、終わります。
○佐々木一栄委員長 要望ということでお受けいたします。
○岩渕誠委員 今いろいろなお話が出たわけでありますけれども、大切なことは平泉の価値を変質させることなくきちんと伝える、理解をしていただくという努力、これは近藤大使を中心に岩手県にゆかりのある方々、それぞれやられているというふうに承知をしておりますので、ぜひそれは頑張っていただきたい。
 他方でですが、ちょっとお尋ねをしたいのですが、関係市町との動きについては、これは行政レベルでは大変広くやっているように感じております。ただ、平泉の価値をきちんとお伝えをし、サポートしていくと、こういうことからいいますと、例えばこの対象になっております中尊寺、毛越寺等の関係のところと登録延期後どのようなお話しをされているのか、当然その対象になっております中尊寺、毛越寺を含めてもう少しこういうことが大切なのだよとか、あるいはこういったところの切り口であってほしいとか、あるいは物によっては私が行って説明したいという、こういう方もいらっしゃるようでありますけれども、そういう肝心の大もととどのようなお話し合いをしているのか、その辺ちょっとお尋ねをしたいと思います。
○大月生涯学習文化課総括課長 委員の御質問の件でございますが、中尊寺、毛越寺の執事長とはお話しをさせていただいております。その内容についてはコメントを差し控えさせてください。
○岩渕誠委員 わかりました。それは逆転登録に向けてのことと思いますので、あえてこれをつまびらかにしてほしいということは申しません。
 一方で、勧告後の地元の動き、これ毛越寺とか中尊寺以外でも、例えば骨寺村荘園での田植えというものがありました。それから、曲水の宴がありました。さらには、先日は平泉ウオークといいまして、県内外から600人ぐらいの参加者が史跡をめぐる、それから各種の講演会がございました。ある程度のところには私も顔を出したつもりでありますけれども、大変心配をしつつも、改めて平泉の文化遺産を学ぶ機会になっている。そして、参加者に聞けば、やっぱり平泉というのは世界遺産に値をするということを改めて再認識をしたという機運のほうが盛り上がっているというのが実態だと思います。
 こうした行政ベースによらないところでの一人一人の県民の思いというものを今本当に危機ですから、もう一度平泉文化に触れるような機会なりチャンネルなりをつくってやっていかないと、本当に足腰の弱いものになってしまいますから、ぜひそういった工夫、時間がありませんけれども、岩手県においてできることというのはまだまだあると思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。
○斉藤信委員 私も登録を願う者ですけれども、しかしイコモスの勧告というのは、私は専門家の勧告として大変重いものだというふうに思っています。昨年石見銀山が2階級特進で登録したということはあるけれども、それだけにことしは逆に厳しいという感じがします。そして、平泉の後に鎌倉だとかなんとか残っているでしょう。同じことをやっていたら、本当にこれ世界遺産の意味というのはどうなるのかなと。私は、世界遺産のそのものの意義ということを大変感じております。だから、岩手県は当事者として最後まで頑張ってほしいのだけれども、ことし登録になるのは望ましいが、それはあと1年、2年かけても登録を目指すという、こういう県民運動、大きな構えで取り組んでいかないと附随するさまざまな観光にしても何にしても、まちづくりにしても、短期的なものになってしまうのではないかと、私はそういうふうに思います。
 だから、7月の世界遺産委員会に向けて最大限の努力してほしいというのと、しかし結果がどうあれ、平泉の世界遺産を本当に私たちが大事にしたまちづくりや県土づくりや観光に取り組むという、そういう太い柱というか、構えで取り組んでいくことが必要ではないかと。
 もう一つ教育長にお聞きしたいのですけれども、イコモスと世界遺産委員会というのはどういう関係にあるのか、そこらの仕組みの関係をちょっと教えていただければ。例えばもし今回引き続き登録延期だとか、1階級上がって情報照会になった場合に、今後どういう運動が必要になってくるのかと、そういうことも含めてイコモスと世界遺産委員会の仕組み、関係、これを教えてください。
○佐々木一栄委員長 斉藤委員にお尋ねしますが、前段のほうは御意見ということでよろしいですか。
○斉藤信委員 いいです。
○法貴教育長 世界遺産委員会はイコモスの勧告を受けて、それを諮問されたということですので、その諮問をもとに協議されるものだと思っています。ですから、かなりイコモスの勧告というものも重く受けとめていますが、委員御指摘のとおり石見銀山の例もありますので、石見銀山だけではなくて、例えば情報照会から上がったもの、あるいは登録延期から情報照会になったもの、さまざまなケースがありますので、そういうケースも参考にしながら7月の世界遺産委員会に向けて最大限の努力をしているところでございます。
○斉藤信委員 情報照会とか登録延期に委員会としてなった場合には、今後どういう見通しというか、運動になるのかというところももう一つ。
○法貴教育長 情報照会の場合は、情報照会の中に例えばこういうものを補足しなさいというものが出てきますので、そういうのは来年の2月ころまでにやってもう一度審査を受ける。情報照会になったから必ずしも登録になるものではないです。それから、登録延期になったらもう一度推薦書を書き直すような作業も出てくると聞いております。
○阿部富雄委員 記載延期の勧告が出されて3週間になるわけです。先ほどは課長から、イコモスからの指摘の概略ということで7項目についての考え方を示されたわけですが、その中身を聞いていますと、委員国への説明については、項目的にこれとこれは検討しているのだという、この程度なのです。3週間も時間経過しているのに、もう少しなぜ具体的なものを出せないのでしょうか。
 もちろんこれは国との協議だとか、あるいは関係する市、町との協議もあるというふうに思いますけれども、ここですら明確に出せないものをほかに行って委員国に説明するといったって、これは難しい話ではないですか。しかも、知事は何とかしなければならないということで委員国の大使館21カ国をもう既に何カ国も回っているわけですよね。同じ中身で回っていてもイコモスからはこういうふうな指摘されていますよと言われたらどうするのですか。指摘されたことに対して、私どもはこういう考え方、こういうふうなことですよということをきちっと説明できるようなものをつくって大使館回りをするというのが普通のあり方ではないですか。なぜこのように対応が後手後手になっているのでしょうか。
 しかも、きょうはもう6月13日でしょう。ケベックで開かれる委員会はあと何日もないでしょう。やっぱりこの辺の対応は、私は非常におくれているのではないか思うのです。
 イコモスの勧告の中身についてはこう反論していきます、こういうふうに補足説明していきますということをきちっと出せないところに今回の難しさがあったのではないですか。その辺どのように受けとめているのですか。
 それから、近藤大使に全権委任ということになるかもしれませんけれども、大変申しわけない言い方しますけれども、近藤大使が世界遺産候補地を見て回ったのはつい最近ですよね、新聞報道でもなされていましたけれども。大使は確かにすばらしい遺産だということで褒めていきましたけれども、わずか1日か2日間見てすばらしいと。果たして、それで説得力を持つものになるのかどうなのかということを私自身は非常に心配をしているわけであります。ですから、そういう意味では近藤大使にはもっともっと内容的なものをきちっと説明して委員国の21カ国に十分説明できるようにきちっと取り組んでいくということが必要だと思います。
 それから、もう一つは、昨年の石見銀山の例を見ますと、ありとあらゆる手段を講じたというふうに聞いています。それは金銭的な面も含めて大変な努力をしたというふうに聞いているわけでありますが、県、それから今度は国とか市町もそういう考えられるすべての方策を取り組むという、そのことが大事だと、それは石見銀山の例、同じことを繰り返すことになるかどうかわかりませんけれども、もう少しそこをきちっと押さえどころを押さえてやっていくということが私は今度の可否の問題につながるというふうに思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○法貴教育長 大変失礼な言い方かもしれませんけれども、決して後手には回っていません。協議結果もお話ししたいことはやまやまありますけれども、言えないこともあることを御理解賜りたいと思っています。
 あらかじめ謝りましたけれども、いずれただいま情報が統制されており、かなりのところ、さまざまなことをやっているということだけは御理解賜りたいと思います。
 いずれ外務省、文化庁も必死で情報をやり取りしながら国全体を挙げて全力を尽くしている状況ですので、ぜひ御理解を賜りたいなと思います。
○佐々木一栄委員長 阿部富雄委員、よろしいですか。
○阿部富雄委員 はい。
○佐々木一栄委員長 御了承をお願いしたいというように思います。
ほかにどなたかございますか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
○佐々木一栄委員長 なければ、これをもちましてイコモスの勧告についての調査を終了いたします。
 総合政策部及び教育委員会の皆さんは退席されて結構でございます。どうも御苦労さまでした。
 それでは、この際当職から委員の皆様に御提案申し上げたい事項がございますので、暫時お時間をちょうだいしたいと思います。
 平泉の文化遺産の世界遺産登録に向けては、今御説明ありましたとおり5月23日にイコモスから登録延期の勧告があり、大変厳しい状況下にございます。このため7月のユネスコの世界遺産委員会に向け、国、県及び関係市町は登録を目指して現在も鋭意努力をされているところは御案内のとおりであります。県議会でも世界遺産登録に係る各種施策を推進するため、当特別委員会を設置したところでありますが、今回の勧告を受けまして、県議会といたしましても改めて何らかの行動を起こす必要があるのではないかというように考えるところであります。
 つきましては、当職といたしましては平泉を人類共通の文化遺産として守り伝えていく県民の熱意を国に届けるため、平泉の文化遺産の世界遺産登録を求める意見書を来る6月定例会に委員会発議してはいかがかと考えるものでありますが、いかがでしょうか。これについて皆様方にお諮りをしたいと思います。
 国に対する意見書を6月定例会に委員会発議することに御異議ございませんでしょうか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○佐々木一栄委員長 ありがとうございます。それでは、御異議なしと認め、そのように決定をさせていただきます。
 それでは、次に意見書の文案を検討いたしたいと思いますが、事前に当職において原案を用意しておりますけれども、事務局において配付させてよろしいでしょうか。
 (「はい」と呼ぶ者あり)
○佐々木一栄委員長 それでは、意見書案の配付をお願いいたします。
 (資料配付)
○佐々木一栄委員長 それでは、お手元に配付いたしました意見書案を御覧いただきたいと思います。何か御意見ございますか。ありませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
○佐々木一栄委員長 それでは、意見交換を終結したいと思います。それでは、意見書案はお手元の原案のとおりとすることに御異議ございませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○佐々木一栄委員長 ありがとうございました。それでは、御異議なしと認め、意見書案は原案のとおり決定することにいたします。
 なお、文言の整理等につきましては当職に御一任をいただきたいと思います。
 次に、その他についてでありますが、次回及び次々回の委員会の開催についてでありますが、次回及び次々回の委員会開催については、世話人会で別途協議いたし、決定したいと存じますけれども、これに御異議ございませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○佐々木一栄委員長 それでは、御異議なしと認め、さよう決定いたします。なお、詳細につきましては当職に御一任をいただきたいと思います。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。どうも御苦労さまでした。

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