医師確保・少子高齢化対策対策特別委員会会議記録

医師確保・少子高齢化対策特別委員長 三浦 陽子
1 日時     
  平成19年9月5日(水曜日)     
  午前10時5分開会、午後0時5分散会
2 場所     
  第2委員会室
3 出席委員   
  三浦陽子委員長、高橋比奈子副委員長、伊藤勢至委員、佐々木順一委員、
 千葉康一郎委員、郷右近浩委員、千葉伝委員、平沼健委員、工藤勝子委員、
 吉田洋治委員、斉藤信委員
4 欠席委員   
  小西和子委員
5 事務局職員  
  大坊担当書記、高杉担当書記
6 説明のため出席した者
  社団法人岩手県医師会長 石川 育成 氏
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
 (1) 医師不足とその対策−特に医療現場の現状−
 (2) 次回の委員会運営について
9 議事の内容
○三浦陽子委員長 おはようございます。ただいまから医師確保・少子高齢化対策特別委員会を開会いたします。
 なお、小西委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより本日の会議を開きます。本日は、お手元に配付いたしております日程により会議を行います。
 これより「医師不足とその対策−特に医療現場の現状」について調査を行います。本日は、講師として社団法人岩手県医師会長、石川育成氏をお招きしておりますので、御紹介申し上げます。
○石川育成講師 おはようございます。三浦先生の方から何か話をと依頼がございましたが、先生方に役に立つ話ができるかどうかわかりませんけれども、日ごろから考えておること、またあちらこちらでしゃべっていることをまとめてみましたので、それをお話させていただきます。よろしくお願いします。
○三浦陽子委員長 ありがとうございます。石川先生の御経歴につきましては、お手元に配付いたしておりますとおりでございます。
 なお、本日は、医師会事務局からも2名の方においでいただいておりますので、御紹介申し上げます。
 本日は、「医師不足とその対策−特に医療現場の現状」と題しまして、石川先生より御講演をいただくこととしておりますが、石川先生には御多忙のところ御講演をお引き受けいただきまして、改めて感謝申し上げます。
 皆様御承知のように、この医師不足は岩手県のみならず全国的な問題になっておりますけれども、本日は、このプロフィールにもございますけれども、昨年の4月から日本医師会の代議員会の議長をお務めいただいていらっしゃいます石川先生に、特にも岩手県のこの現状、そして全国の現状などもお話ししていただけるものと思います。これからの私たちの県政課題として大変重要な問題でございますので、先生のお話をじっくり伺いたいと思います。
 これから御講演をいただくわけでありますが、後ほど石川先生を交えての質疑、意見交換の時間を設けておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは先生、よろしくお願いいたします。
○石川育成講師 先ほどごあいさつを申し上げましたが、現在の医師不足というものは深刻でございますが、国の方ではそれほど深刻に思っていなかったという状況がございまして、私の立場で少しずつ医師不足の深刻さを発信してまいりましたので、その経緯、あるいはその裏側に何があるのか、問題点を抽出してみたいと思います。
 まず、スライドに従って話を進めますが、ところどころで資料も見ていただくようなことになります。また、スライドはみな、先生方のお手元に配付しているとおりでございます。
 「医師不足のかたち」としてみました。どういうことが背景にあるのかといいますと、やはり、どう考えても絶対数が不足しているということが第一に挙げられると思います。
 そして、今は内科でも外科でもいろいろな専門科ができてまいりましたので、診療科がどんどんふえてまいります。それによる医師の偏在も当然指摘されるところであります。
 それから地域別の偏在、これはもちろん首都圏への偏在、岩手県でも盛岡に偏在しているというのは事実でございます。
 それから、勤務医が不足している。勤務医の苛酷な勤務状況から嫌気が差して勤務医が辞めていく。開業医は楽だと。それはとんでもない誤解であって、開業医の方は全部を仕切っていかなければなりませんから、勤務医の先生方の開業医が楽だという考え方は捨ててもらわなければならないと、あちらこちらで申しておるところでございます。
 この4つが大きなところでございますが、あとはこの4つが複雑に絡み合った医師不足というものも存在いたします。
 医師不足はいつから始まったか。ここに大昔と書きましたが、日本では医師が過剰だといったことはいまだにありません。過剰であれば医師の失業も出てくるわけですが、大体失業がありませんから、医師は過剰ではないということが言えると思います。
 戦後に限ってみれば、日本の皆保険制度の整備、これは世界に冠たるものでございますが、これとともに医師不足という認識がだんだん生まれてまいったという経緯があります。
 昭和45年、各県1医学部という整備が始まりました。これは、田中角栄さんの各県に1つずつ医科大学をつくるという発想から始まったわけですが、これはとりもなおさず、それは私が申すことではございませんが背景にはいろいろな問題もあるとしても、国もやはり医師不足だということを判断したからであると、そのように認識しております。
 これはもう先生方も御案内のとおりで、5年ほど前になりますが、一関で子供があちらこちらたらい回しに遭って最後は亡くなったという記事が社会問題化してまいったものでございます。これは小児科専門医がなかなか見つからなかったということであります。
 奈良県で2回続けて産科を受診する患者さんの問題が新聞でも取り上げられましたが、これは奈良県の婦人科医療の体制の不備ということが言われるでしょうし、一関の問題は小児科、奈良県の問題は産婦人科ということでも、今、医師不足の中でも特に産婦人科、小児科の医者が少ないということの時代背景がそこにあらわれているような気がいたします。
 日本の医者の数はどのくらいあるかといいますと、これは医師免許証を持っている者であります。臨床に入っているもの、また役所に勤めている方、いわゆる臨床に携わっていない方も含めての医師免許証を持っている人間は、男女合わせて27万人いると言われます。そのうち、男性が21万4,600人、女性が4万2,000人、合わせて25万6,600人という方々がそれぞれ臨床にタッチしているということでございます。女性の先生がちょっと少ないのではないのかなと考える方もいるかもしれませんけれども、近年では入学者の3分の1は女性でございます。
 私は変形M型と申しておりますが、医学部に入って医者になる、それで勤務をしておって結婚して子供を産んだ、離職して病院を離れます。それから、子供も大きくなった、子育てが終わった、さて復帰しようかと思うときに、このMがここまでくれば正しいのですが、なかなか復帰しない。こういうMになります。これを私は変形M型と申しておりますが、このMの返りを上げるために、岩手県も、また岩手医科大学も、我々岩手県医師会も、それぞれ女医さんの復帰支援ということに力を注いでいることも御理解いただければと思います。
 日本の医者の数ですが、A1会員と我々呼んでいますが、これはいわゆる開業医、あるいは個人病院の開設者、それがこのぐらいあります、8万4,562人。
 それからA2(B)会員という区分けに入っている先生方は、勤務医であって医師賠償責任保険に加入してるというのがA2(B)というふうに呼ばれており、3万6,756人です。
 それから、A2(C)、これは給料をもらっていないお医者さん、わかりやすく言えば大学の副手とか大学院の学生とかで、これが949人。
 それから、B会員というのは、医師賠償責任保険は各所属する病院で入っているから日本医師会のものには入らなくてもいいという、純粋なB会員で、4万321人です。
 C会員は、給料をもらっていない先生方。これがいわゆる日本医師会に加入している会員で、1,522人います。
 さらに、医師会に入ってもおもしろくないと、何かの理由で入らない方が約10万6,000人いる。このように大ざっぱに理解をしていただければと思います。例えば、この間じゅう、わいせつ行為とかなんかで逮捕され判決の下った先生方は、我々ではどうにも手のつけようがないのですが、これは会員ではありませんから私どもが直接先頭に立ってどうこうする立場ではないのですが、しかし、国民から見れば、また県民から見れば、医者である以上皆医師会員だという認識が強いわけですので、我々も見て見ぬ振りをしないで、そういう不正行為をした医者に対してそれなりの対応をしておるということであります。
 日本の医者を開業医と勤務医に分ければ、大体拮抗しております。このように御理解ください。
 これは岩手県の医者の数ですが、人口10万人当たりの医師の数は167.9人おります。全国は200人ですが。これは小児科と産科の医者ですね。黒いのが小児科、だんだん減ってきておりまして、平成10年と16年の差を見ても歴然としております。これが産婦人科、全体数も減ってきているという傾向であります。
 岩手県の医師数は、こっちがいわゆる開業医であります。それに個人病院の開設者も含めます。勤務医が断然多いですね。これはなぜかというと、県立病院が非常に多い、こういう背景があるのだろう。よそではこんなに差はないのですが、岩手県は県立病院が多いということで勤務医の方が多いというふうに理解をしてもらえばいいと思います。
 今度は、人口1,000人当たりの医者の数ですが、OECD加盟国の平均は3人なんですが、スウェーデンが平均より上、フランスも上、ドイツも上、アメリカも上、イギリスも上、日本は2人で最低。OECDの平均からいっても1人足りないというデータがこれであります。これで日本は医師不足だ、OECD加盟国の中でも最低だというのがこのスライドであります。
 そこで、医師不足に対する国の認識でございますが、国は、医師の総数は充足しているという基本的な考え方はいまだに変えておりません。
 また、地域別、診療科別に見ると偏在していると。これは事実を言っているだけであります。岩手県を中心とした東北などはこれの最たるものでありまして、不足しているのはこういうところだと。
 それから、実際は医者が不足しているのではない。ただ勤務医が不足しているのだと、こういう状況でありますが、その後、総数が不足していることを渋々認めているような傾向がございます。
 この資料1のほうをちょっと御覧になってください。これは日本医師会の理事会で議長発言として初めて正式に項を起こして、医師不足問題の件として発言したものであります。ここのところですね、アンダーラインを引いているところ、私は岩手県出身でございますから特にここを強調したのですが、「奥州藤原時代の馬産地である遠野市では、病院勤務希望者に乗用馬を一頭贈呈するとか、開業希望者に2,000万円補助するという独自の誘致策を示すなど切羽詰まった状態である」と、ここを話したらみんな笑いましたので、笑い事じゃないと、私はその場でしかり飛ばしました。
 日本の医師の絶対数は、世界の平均からすれば120万人不足しているというデータもございます。そして、10大学医学部の定員、ここには岩手医大も入っていますが、臨時的な定員増の効果は8年後になる。なぜかというと、6年間の学習年限、終わって2年間の研修医期間、これで8年になります。ですから効果が出てくるのは8年後ということになりますし、また一方、毎年現役の先生方4,000人がリタイアしていくと、こういう調査もあります。
 厚生労働省の佐藤指導課長、この方は先月もこの場で講演をされたそうでありますが、厚生労働省から出向している最後の岩手県の保健福祉部長でありました。医師不足の要因の1つは、研修医制度が引き金を引いたと、このようなことを言っております。これは私の意見と全く同じでありまして、医師の偏在、また診療科偏在という点でどうだったのかという疑問を呈しております。
 そこで、このアンダーラインの中ほどですが、2年間の研修期間で約1万5,000人の新しい医者がその制度に組み込まれます。このような現象は制度導入前に既に心配されておったことで、佐藤指導課長も心配していたことだし、柳原総括課長も同じ考えを持っておったし、私もそうでしたけれども、そういうことから、日本医師会の理事会でもこの現状について私の私見を述べた経緯がございます。
 従来であるならば、医者になって大学の医局に入るわけですが、それが今、大学の医局に入るのが、研修医として大学を選ぶのが2、3人なんですね、岩手県の場合。あとは全部、各県立病院に行きます。七十数名中、岩手医科大学に残るのは2、3人。そうしますと、岩手県のように過疎地、医者のいないところが多い地域では、これまでは大学が医師を供給しておったのですが、それができなくなりました。こういうことが新しく出てきたものであります。
 また、県立病院を選ぶにしても、中央病院に十数人という医者がどんと入りますから、そのほかの県立病院は2人、多くて3人、そういうような配分になります。これもまた国では、定員を改めよう、研修医を受け入れる病院の定員を見直そうという動きがあるようでございます。
 次のページになりますが、川崎前厚生労働大臣は、医師不足ではなく勤務医が不足しているのだ、開業医との給与格差が論点だと発言しておりますが、こんなばかなことはないのでありまして、長い間、厚生労働大臣をやっていて何を勉強してきたかと腹が立ちますが、今度の医療制度の見直しは病床削減の方向に行くとはっきり言っております。これは、厚生労働省の中にはこれを絶対にやり遂げるという変な不文律みたいなものがあって、これはこのとおりだと思います。
 そうすると、病床数の削減で医師の不足の帳じりを合わせる発想かと、そう考えざるを得ません。また、前厚生労働大臣は、これを私が話したのは柳沢厚生労働大臣の時代でしたが、医師の総数を抑制する政府方針を変更する考えはないと言っておりますし、現状では医学部の抜本的定員増は必要ない、1997年の医学部定員削減を決めた閣議決定の見直しも必要ないと、このようなことを言っている。こういう影響力のある方々の発言は、我々末端の会員の疑心暗鬼を呼ぶものであって、放置しておくわけにはいかないというのが私の発言の趣旨でございます。
 本来、医師数はふえ続けるべきものなのかどうか。高齢者はどうしても病気をたくさん持っています。高血圧、糖尿病、心臓疾患、目も悪くなるでしょうし、さまざまな病気が出てまいります。有病率といいますが、これは高齢によって増加する。
 医療がどんどん高度化または細分化してまいりますから、それぞれに医者が張りつかなければならない。そこで医者が必要になってくる。それから、世の中が進歩してきましたし、テレビドラマでもなんでもそうですが医療に対する期待度が非常に高くなってきた。こういう時代の背景もありますから、このような理由で医師数がふえ続けることは必然だというふうに私は結論づけているわけであります。
 医者がなぜ減ったのか。これは第1番には、国が医師過剰と判断して全国の医学部の定員を削減したからであります。
 そしてその理由は、国家財政の逼迫という背景もあるでしょうが、医者をふやすと医療費がふえるという単純発想。極めて貧しい発想だと言わざるを得ません。医者がふえるから医療費が上がると、これはあくまでも本当に短絡的、そこだけ見ているものであります。これは言いたくないのですが、それに日本医師会もその考え方に乗っかったという経緯があります。そういう意味で、日本医師会に、先ほど申し上げたことを詳しく、厳しくただしたわけであります。
 まず、30兆円の医療費は高過ぎる、もっともっと下げるべきだと国は言っております。今は32兆円になっていますが、これに国は8兆円しか支出しておりません。30兆円の医療費は高すぎるという反面、パチンコ業界の働く金が30兆円、葬祭関連15兆円。こういうものから比べて医療費の30兆円、あるいは32兆円が高いのかと、国民はだれもそう思っていないので、いわゆる国と政治家がそう思っている、そのように言わざるを得ないわけであります。
 そこで、国内総生産(GDP)に対する医療費、これはアメリカが15.3%でトップであります。これは2004年のものでデータを発表したのが2006年です。スイス、ドイツ、フランスとずっといきますが、日本はなんと21番目です。この後にも医療費削減がありますから、もっと下がっているはずです。これの詳しいデータも資料についておりますので、それを御覧ください。
 平均が大体8.8%ぐらいなんですが、日本は8%。では、OECD加盟国30カ国中の平均まで持っていこうとすれば、日本は8.0%足す0.8%ですから、数字は約10兆円に当たる。それであってもおかしくないのではないかというのが私の考え方であります。
 そこにもう1つ資料がありましたね、医療費の資料。円グラフの資料をちょっと御覧ください。32兆円という医療費は医者ばかりもうけ過ぎではないか、そういう反論もあろうかと思って急遽これをつくらせました。これを見ますと、右側の青いところが人件費です。左側の赤いところが薬剤費あるいは医療機器、医療に対する消耗品等です。真ん中の上の方に黄色いところがありますね、2%で6,400億円、これは税金を払った残りで、各医療機関の医療再生産に取り組む費用を出しています。
 32兆円の使われ方はこういう使われ方だということをわかってもらわないと、医者がもうけ過ぎだとかなんとかいう批判がそのまま修正もされずに通ってしまいますから、私は、会員に対してはベンツなんかに乗るなと言っておるのです。これはおそらくびっくりされたと思いますが、32兆円のうち半分の16兆円は人件費だ。ほとんど32兆円のうちの98%がこのように使われておって、残るのが6,400億円、それも税金を払った残りのお金で各医療機関の再生産の費用に充てている、こういうばかげた数字でありますが、これは本当のことでありますので、あえて持ってきたわけであります。これのもっと詳しいのは資料に入っていますから、後で御覧ください。
 ここで、諸悪の根源は低医療費政策だと私は断じました。サッチャー政権での1979年から1990年の低医療費政策でイギリスの医療制度は崩壊しました。現在に至るも全く回復していない。
 日本でも、1980年代後半から医療費の抑制策がとられている。その後もどんどん削減され続けております。これは小泉さんのせいであります。郵政の次は医療、医療の次は農協と、でかい声を出してつぶす順番を言っておりまして、それを今、本当に最終的なところまでやろうとしておりますから、小泉さんのせいだと私はあえて申し上げておきます。
 そして、日本はなぜイギリスと同じ轍を踏んだのか。イギリスの低医療費政策、これでイギリスの医療は崩壊した。現在に至るも回復をしていない。なぜこのような失敗をした政策を、同じような轍を日本は踏もうとしているのか。こういうことであります。
 対応策としてどうするか。まず、諸悪の根源である低医療費政策をやめて、必要な医療費財源を確保すべきだと。こう言うとまた、医者がそれ以上もうけてどうするのだという反論が出るでしょうから、さっきの円グラフを出したわけであります。それでも日本は世界一の健康寿命を達成しております。これはWHO、世界保健機関の発表であります。それで、総合的に評価をすると世界一の医療制度だと。これは皆保険制度を指しております。
 次は医師の養成の大幅増、10大学でとりあえず10名ずつ10年間、定員増をしましょうと、最近になって全医学部5名ずつふやしてもいいというような意見も出ております。次から次と小出しにするのが政府のやり方であります。
 次に、医者になりたいと思わせるモチベーションとインセンティブ、このようにまとめてみました。この間、一高の1年生の生徒が5人ばかり私に取材に来ましたので、詳しく話をしましたが、その中に2人ほど医者になりたいという生徒がおりました。いろいろな私の持論を話しましたが、なかなか難しいですねということで帰っていきました。
 次に、歪んだ形の訴訟社会の改善と訴訟に対する対応。これを書くといろいろと反論があると思いますが。これは、経済的側面も、法律的側面についても、日本医師会と厚生労働省が一緒になって免責制度なども今検討しておりますし、もうすぐでき上がります。これは、医師法に書いてあるのですが、23条だと思いましたけれども、異常死、当たり前でない死は警察に届けるべきだというところがあるのです。ところが異常死の判断にはいろいろ難しい面がありまして、それがそのまま法律的に、手術中でもなんでも、治療を受けた後に死んだら警察に届けろというから不当な警察介入というものがあちらこちらで出てきております。
 東北で言うと福島大学医学部ですが、患者の命を助けようと思って一生懸命やっても、医療はリスクを伴うものですから、結果的にうまくいかなかった。ただちにその医師は逮捕されました。一回帰ったのですが、また再逮捕もされております。
 こうなりますと、婦人科の医者だけにはなりたくないと先生方は必ずそう思います。そこで婦人科を希望する若い新しい医者が極めて少なくなっているというのがありまして、こういうのは、婦人科ばかりではなく萎縮診療につながっていきますから、危ないことはしないというような医者ばかりになってしまいます。そうしますと、一番困るのは患者さんだということになります。
 最後に、岩手においては定着率を高める工夫が必要だと。田舎には行きたくない、しかしあそこは田舎でもなかなか地域住民が非常にいい人間ばかりだ、住んでみたいな、勤めてみたいなと思わせる施策が必要。これは非常に手品みたいな話ですが、例えば沿岸の方の県立病院に先生が勤務した。奥さんが一緒に行って向こうで生活しておった。時間がたつと、ここの住民は非常にいい、ここで開業するのが一番だなと思うのだそうですが、それにブレーキをかけるのが奥さん。ブレーキの第一は何かというと子供の教育。子供をちゃんとした地域で教育を受けさせたいという奥さんの発言がブレーキになって、それで過密な盛岡に開業するというケースが非常にふえている。これは、その気持ちもわからないわけではないのですが、働くのは御主人だし、この地域はいい人ばかりだし、私を信頼する患者さんもふえてきたので、ここで開業したいという先生の気持ちを第一に考えるべきだと思いますが、そこにブレーキがかかってくるという現実もある。これは私の考えですから、私の考えを余り表へ出すと、あのやろうまた始まったか、乱暴だなと言われますので、これはどうぞ忘れていただいて結構であります。
 これまで岩手県医師会は何をしてきたか。老人医療費負担増反対署名運動、一生懸命寒いところをカワトクの前で並んでやってきました。県議会に対する請願も、乳幼児医療費助成事業の対象年齢拡大、これは就学前まで拡大をしてもらいました。患者負担増に反対、混合診療全面解禁反対、国民医療を守るための請願、これは後でお見せします。
 混合診療全面解禁反対というのは、まだちょっと時間があるようですから申し上げますが、内閣府の経済財政諮問会議の民間人という方々がおりますね。あの方々が、今の日本の世界に冠たる皆保険制度を、風邪ひきとか単なる打撲とかそういう病気は保険診療から外しましょうという動きを始めたわけです。風邪をひいたり簡単な打撲なんかの場合はどこへ行ったらいいのか。我々の民間保険に入りなさいという我田引水も甚だしい方々が経済財政諮問会議を仕切ってきたわけであります。政治家の顔は全然見えませんでした。そこに私は大不満を持っております。これは混合診療全面解禁反対の理由であります。
 これは見づらいので資料をつけておりますが、これがうちの医師会の広報担当の常任理事でありますが、「社会的共通資本といえども、その裏打ちとなる財源に限界がある以上、何らかの社会的基準によって分配せざるを得ない。しかし、その基準は官僚に支配されるものでも、市場原理に左右されるものでもない」と、このように書いております。そのとおりだと思います。
 そこで、日本医師会の総合政策研究機構というのがありまして、これを日医総研といいますが、これができ上がってからもう10周年でございます。その記念シンポジウムがあり、私も立場上、行ってまいりました。経済学的概念、これを打ち立てたとして文化勲章を受章した方がおります。社会的共同資本、共通資本、これをひとつの概念にしてあるわけでございます。ここに書いてあるのが「市民が豊かな経済生活を営み、優れた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的・安定的に維持する社会的装置を意味しております」、こういうことであります。
 そして、自然環境、これがまず第1。社会的インフラストラクチャー、これが2番。3番目に制度資本、この3つに分かれるというのですね。そして医療は教育、司法、金融制度などとともに制度資本に入り、政府は保健・医療にかかわる基本的サービスを確保する責務を負うと。
 いろいろ表現が面倒ですが、わかりやすく言うと、教育と医療は社会共通資本だと。そこで、この経済学的概念を打ち出して文化勲章を受章した東大名誉教授の宇沢弘文さんという方のお話でございましたが、経済的共通資本として医療を考える基本的視点は医療を経済に合わせるのではなく、経済を医療に合わせることであると主張しております。
 そしてさらに、このとき私もこの宇沢先生のそばにおりましたが、官邸筋と書いてあるのは経済財政諮問会議のことで、経済学者であるこの民間人の委員は宇沢さんの弟子だったので彼らを教え子と言いましたが、教え子に対して、彼らは市場原理の毒をのんだ者だというふうに断じておりました。非常にわかりやすい解説でありました。
 ですから、もう一度言いますと、彼は、医療と教育は社会的共通資本であって、これを経済に合わせるのではなく、経済を医療に合わせることだというふうに言っておるわけであります。昭和天皇にも何度も、数回進講して、その後お酒を御馳走になったという話もしておりましたけれども、非常にわかりやすい話をする方でありました。この方の考え方は、私は大賛成だと思っております。
 まだちょっと時間がありますね。これは、5年前に日本医師会の会長であった坪井会長が私に言った言葉でありまして、私がちょうど副議長のころでしたが、医療は平時の安全保障だと言って差し支えないかと私に聞きましたので、結構です、そのとおりだと思うというふうにお話ししました。
 それ以後、会長を辞められた後も「医療は平時の安全保障である」という冊子を出しております。私どもは、医療は平時の安全保障である。国の根幹にかかわるものであるというような観点から、この考え方を今後も岩手県医師会の基本的考えであるというふうに会員に言っておりますので、これを前面に出して、ぶれることなく貫きたいと思っておりますことを申し上げて、私の本日の講演といたします。御清聴ありがとうございました。
○三浦陽子委員長 石川先生、大変ありがとうございました。示唆に富んだいろいろなお話をいただきました。
 これより質疑、意見交換を行います。ただいま御講演いただきましたことに関しまして、質疑、御意見がございましたらお願いいたします。
○千葉康一郎委員 大変ありがとうございました。改めて認識をしたところでございますけれども、先ほど講演の中で、諸悪の根源は低医療費政策だと、その対応策ということでお話がありました。その中で、医師の確保の問題で、これまで各大学病院で10名の定員増が今度は15名になるということで、岩手医大の方も5名増になると。
○石川育成講師 そう思います。
○千葉康一郎委員 この場合、修学資金貸付の基金事業を市町村がやっているわけですけれども、このままいきますと、いわゆる5名の増分まで市町村が基金を出捐しなければならないというふうな形になると思うのですが、医師確保は当然やらなければならないのですけれども、市町村では財源難ということで、これもかなり大変な負担になるのではないかということで危惧をしておるわけなのですけれども、そういう点で、先生はこれを解決すべき妙案といいますか、いわゆる対応策といいますか、お持ちなのでございましょうか。それが1つ。
 それから、もう1点ですが、実はまだお話はございませんけれども、国民医療を守る請願ということで、これは岩手県でも、今度地域ケア体制整備構想を策定するわけでございますけれども、さっきのお話の中にもございました、療養病床を減らして介護保険施設等への転換を図るというか、そちらをふやすということになるようでございますけれども、平成20年度末を構想しているわけですけれども、これは大変なことになるなと思っておりましたが、その辺は、これはいわゆる高齢者のための入院施設の削減過程ということになるのか、その辺も含めてちょっとお話しいただければと思います。
○石川育成講師 最初の話の中で、資料3の上に(案)と書いていますから、これを話の中に入れるのはちょっと失礼かなと思って、後で質疑のときにお願いをしようと思っておりましたが、今せっかくのお話がございましたので、私の考えを述べさせてもらいます。
 まず1つは、医師確保に伴っての岩手医科大学の医学部定員15人というのはやはり地域枠と考えなければならないと思います。しかしこれは、市町村、県、あるいは岩手医科大学もいろいろ痛みを伴って、医師不足解消のためにお医者さんになってもらうのだと。そこで岩手県に定着をしてもらいたいという気持ちが底辺には絶対100パーセントあるわけですが、これを余り表に出すと、戦争中でもあるまいしというような意見も出てくるでしょうし、非常に悩ましい部分がございますが、地域枠であるならば、地域の子供たちを入学させるのが一番わかりやすい。あるいは市町村で補助すると言っても、将来は生まれ育ったところに帰ってきて村民の健康保持、増進に努めると、そのような高邁な気持ちを持った子供でないと、なかなかこれについていけないかなと、私は思います。
 今、国の方では義務づけをしようという、これもちょっと乱暴かなと私は思っておりますから、そういうことではなく、言い諭して高邁な精神を植えつけて、地域に根ざした地域医療を守っていく医者になる、そういう心を持った子供たちであればいいのかなというふうに思っております。
 試験問題ができるからといって関西から入れたり東京から入れたりするのではなく、あくまでも岩手県内から15人を選ぶべきだと、私は個人的にはそう思っております。今の学費の問題、あるいは奨学金の問題、さまざま問題があるでしょうが、これはお金の問題ですから、政治家あるいは大人が知恵を出し合えば解決できることではないかなと、そのように考えております。
 それから、介護病床廃止、これはもう決まりました。それから療養病床削減、そこに必ず出てくるのは介護難民、療養難民なわけです。国は療養病床を15万床まで減らすと言っておるのですが、日本医師会の試算だと、最低でも療養病床は25万床必要だというデータを出しております。その話し合いの中で、厚生労働省は20万床までは容認するという発言もしておりますから、決まるのはもうちょっと先だと思いますが、20万床でも減らされるわけですから、減らされた人たちをどの医療機関に移したらいいかというのがこれからの問題であります。
 先週の土曜日、東北医師会の連合会の総会で、保健医療についてのディスカッションがありまして、私も出てまいりましたときに今の話を申し上げました。ここのところはわかりづらいかもしれませんが、例えば、今までの有床診療所、いわゆるベッドを持った町医者ですね、18床のベッドを持った町医者が、政策医療のために療養型病床に転換したり介護療養型病床に転換したり、それは全部国の政策医療に協力してきたわけです。そうなりますと、今度の介護病床廃止の問題1つ、それから療養病床削減1つと、この2つを取り上げてみても、これをどうするんだと。それであるならば、介護病床は廃止、療養病床は削減するという段階において、どのくらい削減されるかはわからないけれども、18床というもともとのベッドは既得権として確保できるかどうかという問題を提起して議論してきましたが、これは当然確保できるということでございますから、療養病床ではなくても、一般の有床診療所のベッドに患者さんを移すことは可能であります。
 また、老健施設に転換してもいいよと、こういうようなこともありますが、これは国でもちゃんと言っております。しかし法人でなければだめだという縛りを持っておったのですが、それが最近になって非法人でもいいですよというところまで国はハードルを下げてきましたが、これとて厚生労働省はいつはしごを外すかわからないという、我々現場の医者の疑心暗鬼がありますから、もう少し様子を見ないとわかりません。
 非法人の療養型を老健に移すことができますよ、ではないのですね、答えは。できる可能性がありますという言い方ですから。これでは信用できないと申しましたので、同席した日本医師会の担当常任理事が、これをすぐ本省に行ってかけ合いますと約束しましたから、その点は後で御報告できると思います。
 それから、一番冒頭に言われたのは、諸悪の根源は低医療費政策、このことでしたか、先生。
○千葉康一郎委員 これがあってこの対策が出てきたと、こういうことでしたが、対策についてお聞きしたかったのですが。
○石川育成講師 これは国が低医療費政策をやめなければ一歩も進めません。それで、今言っているのが、開業医は夜も稼げと、そうすれば点数を高くするよとか、金でばかり我々を誘導するような汚い手を使いますから、これも信用しておりませんが、先ほどの宇沢先生のお話でもないけれども、医療と教育は市場原理から外すべきだという考え方を貫くべきだと思います。日本医師会もそういう考え方を持っておりますので、まず低医療費政策を撤回して、最低限必要な医療財源を確保する方向に持っていってもらわないと困るなと、まずそれが第一であります。
 それからもう1つは、サッチャーさんが鉄の心でやってきた医療費抑制策、失敗したわけですから、イギリスでは。この轍を何でまた踏もうとしているのか、このあたりも経済財政諮問会議の民間人の考え方をきちっと話してもらわないと、我々は納得できない。経済財政諮問会議の意見は政治家の顔が全く見えていない政策だというふうに思います。
 日本の政治は政治家が政策を決めることであって、民間人が政策を決めるものではありませんので、その辺のところの説明が非常に欠落していると思います。なぜイギリスと同じ轍を踏んだのか、踏もうとしているのかというようなことであります。
 それと、医療費の国際比較にしても、世界で第2位の経済大国になった日本がOECD加盟30カ国中21番目、もっと下がっていると思いますが、21番目にランクしていること自体がおかしくないか。国民をばかにしているのではないかという考えが私の底辺にあります。
 そこで、少なくとも30カ国の平均の8.8%ぐらいまでは、国内総生産(GDP)に対する総医療費の割合を上げるべきだと。そうすると、低医療費政策というものは個別の点数を上げるのではなく、トータルで上がっていくだろう。そうすると、先ほどの資料ではございませんが、もうちょっと人件費にも余裕ができてくるでしょうし、勤務医の先生方もやめないで済むようなことになるでしょうし、勤務医不足解消の一里塚になるのではないかというふうに考えます。
 私は政治家ではありませんが、低医療費政策で末端の医療機関は疲弊していますから、それをまず第1番に取り除くことが根本的な治療の1つになるのだろうと思っております。
 大体こんなところでよろしゅうございますか。
○三浦陽子委員長 ありがとうございました。ほかに。
○平沼健委員 2点ほどお尋ねいたします。医師不足ということで、先生の今のお話で、政府も10大学10人、枠を拡大ということで、あとは各医大でプラス5名というお話も出てきましたし、そういうことでこれから進んでいくと思うのですが、おっしゃるとおり8年ないし10年後でないと、その効果と言ったら失礼ですが、形が出てこないというのが実態だと思うのです。この10人あるいは15人を毎年ふやしていくということ、それはそれで進む。あと日本国内の高齢化がだんだん進んでいく。すると医療にお世話になる方々が当然ふえてくる。そういうことを考えて、この10人とか15人ということでこれを継続すれば、日本のこの医師の数というか、先生のおっしゃる世界的な形でいって平均を維持できるとか、あるいは上に行くのだとか、しばらくは安心だよということなのか、まだまだこれでは少ないのだということなのか、それをひとつお尋ねしたいと思います。
 それともう1つは、本当にこれは切羽詰まった問題で、私どもの県北・沿岸に限らず内陸でも、きょう、あすの問題なのですよね。偏在ということも言われておりましたし、今、県立病院なんかでも広域の基幹病院にある程度集約して、そこに来なさいよというか、そこで処置しましょうというような、そういう考え方があるようです。そうはいったって、基幹病院にもなかなかそれだけの医師を配置できるということでもないわけですので、医師をどこかから連れてくるというかお願いするということは、同じパイの中でしてしまうと、今度はこっちがいなくなるとか、そういうようなことだと思うのですが、今やっている広域の基幹病院に集約するという方法も1つかとは思うのですが、それ以外に何か考えられる、当面のここ5年から10年の間、特に地方がうまく機能していくための安心できるような形というものは何かございましたらば教えていただきたいと思います。
○石川育成講師 この資料1号に岩手県のことも書いておりますが、上から5行目で、「昨年、県庁内に対策室を設置して、つてを頼って全国を走りまわり、ようやく関東から2名、関西から1名、東北から3名、計6名の希望者があった。しかし、先の見通しは立っていない。これでは焼け石に水ではないか。」というようなことをこのときに述べております。
 それと、今、例えばお産の集約化というお話も出ましたし、15人の定員で効果が出るのは8年ないし9年、10年という年月を要しますが、その一方で、毎年4,000人の現役の先生方がリタイアするのです。そのところも考えておかないとどうにもならない。新しい医者が出るのが8,000人と言われますが、試験で失敗する子供たちもいますから、まず7,500人と見ましても、7,500人のうち新しい医者が生まれても4,000人がリタイアすると残りが3,500人しかない。リタイアというのは死ぬ人も含めてですが、あとは全然役に立たなくなった先生方がリタイアするわけですから、そこのところも、リタイアする現役の4,000人という数も組み入れていかないと計算が合わなくなる。恐らくこれを考えると、今後10年間、定員15人、全大学ふやしても、医者は大丈夫だということにはならないような気がいたします。
 それとお産の集約化ですが、先生がおっしゃったようにパイが同じですから、それをこちらに持ってくる、あるいは1人でやるのは大変だから2人にしてこっちへ持ってくるということをすることになると一番困るのが搬送なのですよ。搬送の場合、そこまではうちの縄張りではないから、ここからはまた別の消防組合の車にまた乗り移すなどということではなく、そういうときはフリーパスで搬送するということを、まずきちっと条件整備をつくることも大事だと思います。
 それから助産師外来、今できておりますね。これが非常にいいのですね。なぜかというと、先生方は忙しいですから、患者さんの話を聞くのは大体5、6分、長くて7分とか8分という間しか聞かれません。助産師さんだと、1人最低30分の話を聞けるので、女同士だということで助産師外来の推進をやっていくべきだと、それを岩手県医師会も提言をしながら進めております。
 釜石は、今言ったとおり、助産師外来が非常にうまくいっているのですよね。ところが、ドクターが今度は気仙に行くわけでしょう。そうすると、釜石から気仙まで行く。道路も大分よくなったから1時間足らずで行くとしても、なかなかこれが大変。そこで、例えば中国のドクターを招聘しましたよね。ところが中国のドクターは日本の医師国家試験を通っていませんから、患者さんの目の前で1対1で治療ができないのですよ。あくまでもアシスタントですから、中国のドクターも今はたった1人ですが、大学において大学の先生方のお手伝いをするというところに置いておかないと。そして、その中国のドクターの分、余裕ができた方が地域医療の方に出ていくという、これしかないのですよ、やり方とすれば。
 ですから、集約化といっても、安全第一に考えなければなりませんから、搬送の問題、それから集約されたためにドクターがいなくなった病院の助産師外来をどうしていくかという組み合わせの問題があると思うのです。
 遠野には全くないわけですから、婦人科の先生もやめましたしね。なかなか大変だと思います。
○工藤勝子委員 先生、大変どうもありがとうございました。私はその遠野選挙区なのですけれども、冒頭に遠野のお話をされて、あんまりだというようなお話もありまして、どうしてそういう笑いごとになるのか私もちょっとわからなかったのですけれども、その真意を問うわけではありませんが、それくらい遠野というのはお医者さんが不足して悩んでいる地域でもあります。
 その中で、岩手県でお医者さんの定着率を高めていく、例えばそこに住みたい、勤めたいと思われる施策が必要だというお話でしたが、どんな施策を県議会として打ち出していったらよろしいのかといったことをお聞きしたいと思っております。
 それから、非常にリスクの高い産婦人科医とか小児科医は全国的に医師数が極端に減ってきているわけですね。今後それであっては、女性として安心して子供を産み育てることができないわけでありますので、何とかお医者さんをふやしたいと思うわけですけれども、できるかできないかわからないのですけれども、国なり県ではどのように持っていったらそういう婦人科医になりたいとか小児科医になりたいと思うお医者さんが出てくるのか、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。
○石川育成講師 先生の御質問、なかなか難しくて答えきれない部分もありますが、私が日本医師会の見解をただした中に、藤原奥州時代の話を出して、これを本田市長にも送りましたら、本田市長は、一杯御馳走するといって、御馳走されながら宣伝してもらってありがとうと言われましたが、このとき笑ったというのは私も腹が立ったのですけれど、ユニークだったと、それで笑ったのではないかと思うのですよ。
 馬1頭。ところが、本田さんには言ったのですが、例えば馬1頭をくれても飼い葉代が8万円もかかるのではどうするんだと。飼い葉代も負担してこその贈呈じゃないかと笑い話をしたのですが、ただ、おっ、珍しいことをやるんだなというふうにしてみんな思ったからウフフと笑ったんだと思うのですが、ただ笑うということ自体は不謹慎だから、笑い事ではないとしかり飛ばした、そういう事情がございます。せっぱ詰まっているのだと、首長は。そういうことです。
 それから、ここは住民が非常に優しいし住みたいなと思う施策というのは、我々にはなかなかわからないのですが、例えば、守口さんが今度遠野で開業したのですよね。あの人はおそらく2,000万円補助を受けたのだと思います。私のところにあいさつに来ましたが、2,000万円もらったのかとかそういうことも聞けないから聞かないでしまいましたが、彼は脳外科の医者なのですが、遠野は脳外科ばっかりではだめだよというふうにちゃんと言っておきました。勉強しながら何でも屋をやりなさいということも言っておきました。
 それから、今のお話の中で、婦人科の医者がリスクが多いからなり手がないというのは、1つには訴訟があるのですよ。こんな話、ここでしていいか、しない方がいいのだと思いますが、今はどんなささいなものでもクレームの時代です。岩手県医師会が相談窓口になっていますが電話が来ます。私のほうでは、その事例はどこの事例かを確かめて、釜石なら釜石、花巻なら花巻の会長にじきじき戻すようにしております。そうすると各会長は責任をもってその先生に対して、こういうクレームが行ったようだということを話して対応をしてくれております。
 中には説明では納得しない患者さんもおりますし、患者さんの家族もおりますし、亡くなれば遺族もおりますから、そこが非常に難しいのですよ。歪んだ形の訴訟社会、これでもかなり遠慮して書いたのですが、この訴訟というのが先生方にとっては非常にきつい。特に婦人科の訴訟は警察介入、逮捕までいきますから、とってもやってられないと思うのは、これは当たり前のことだと思うので、そこのところを私は強調したわけです。一生懸命やっても、お産で脳性マヒの患者さんが生まれる可能性は十分にあるのですよ。それが全部、医者の責任というふうに決めつけられたのでは、とてもやっていかれないと思うのは、私は無理もないことだと思います。そこで、それが裁判にならないで、裁判外で解決するような免責制度というものができつつあります。85%ぐらいまではもう進んだなと私は思っていますから、もうちょっとでそれが解決すれば、一生懸命やってこういう結果だとなれば、警察介入あるいは裁判ではなく、裁判外で患者さんのために保険金も出るような制度になります。もうちょっとたつとそういう方向にいくと思います。
○工藤勝子委員 岩手県出身者で、例えば両親がお医者さんをしている場合も含めて、岩手県から県外に出て働いているお医者さんの数というのはどれぐらいいらっしゃいますでしょうか。
○石川育成講師 それは私より県の方から聞いたら一番わかる。そういうつてを頼って歩いているのですよ、医師確保対策室は。ところが、なかなか思うように集まらないというのが事実でしょうね。それは、さっき言ったように、市民挙げて、あるいは町民挙げてその先生を守っていくというか、もう離れられないようにがんじがらめにするというか、暴力的ではなく非常に優しい気持ちでここから逃げられないようにしていくという施策は、地域地域の考え方で違うと思いますから、そこで少し研究なさった方がいいのかなと思いますね。
 こういう人もいたのですよ。研修医として関西から来た人ですが、女房が宮古だったので、宮古の県立病院を選んだと。くにへは帰りません、宮古に骨を埋めますという研修医もいるのです、中には。私はそのとき拍手して偉いぞと叫んでやったのですが、そういうものもあります。
 あとは、岩手医科大学はちょっと考え方を変えて、少しぐらいできなくても、少なくともここの卒業生の直系ならば入学させるような柔軟な対応をしていかなければ。すぐ地元に帰られますから。今のような奥さんが宮古の人だからというケースは別としましても、関西から岩手医科大学に入っても、卒業すればやっぱり帰るのですよ、どうしても。そういうところを大学当局がどのくらい柔軟性をもって対応できるかというところだと思います。
 しかし、それみろやっぱりできなかったじゃないか、物にならなかったじゃないかと言われれば、それは自己責任だと言わざるを得ないので、親が一生懸命地元にいてくれと、バックアップするからといっても、子供自体が一人前になれなかったから、それでぽしゃるわけですから、これは自己責任だということもきちっと約束した上での卒業生の直系を入れるという方法も私はやっぱりある程度あってもいいのかなというような考え方を持っております。
○高橋比奈子委員 大変勉強になりました。ありがとうございます。3点あるのですが、1つ目は、研修医制度が医師不足を招くというようなことを思っていらしたということでしたけれども、今後この研修医制度はどういうふうに、例えば転換とかかじ取りをこうすればいいと思いますというような御見解をお持ちでしたら、それをお知らせいただきたいのと、それから今の、特に産科での訴訟問題の免責制度のような、保険金とかを出すような制度が85%ぐらいできつつあるというのは、例えば医師会とか国とかがやるのか、その辺をいろいろ進めていらっしゃると思うのですけれども、これが本当に必要だと最近言われているので、いつごろまでにどうなるのかということがわかれば、もうちょっと突っ込んでぜひ教えていただきたいですし、私たちができることがあれば、それを含めてお知らせいただきたいです。
 それからもう1つ、私の息子の事例も含めてで恐縮なのですけれども、5年前に骨を折ってすごいブラブラになったときに、救急車を呼んだら、どこの病院が受け入れるかというのを、病状を見てからあちこちに電話するのですね。たまたまその日は整形外科の方のクリスマス会みたいなものをやっていて、どこにも先生がいないということで、高松病院に行って、高松病院も、これはひどくてうちでは受けられないといって、また救急センターに回されたりということがあったのですね。
 きょうもお話を聞いていて思ったのですが、例えば救急車を呼ぶ前に、きょうはどこにこういう先生がいて受け入れをするよというのはわかってないものなのでしょうか。
○石川育成講師 それはわかっていますよ。消防署で全部わかっています。
○高橋比奈子委員 そうですよね。ですが、どうしてそういうたらい回しになる問題が出るのかというのが、そこが私は非常に疑問で、たまたま自分もそういう実体験があったものですから、その辺をもうちょっと構築をしっかりしていけば、たらい回しで死ぬという方は減るのではないかなという率直な疑問を持っているので、もしここをもうちょっとこうするとそういうことはないですよということがあったら。
 3つもあるので、時間もあまりないですから、簡単にでいいのでお知らせいただければと思います。
○石川育成講師 では最後の方から。たらい回しというのは、ぐるぐる回るのをたらい回しと言って、1カ所ぐらいだったらたらい回しとは言わない。ですから、この場合は、骨が折れてぐらぐらしていますという一言で消防署ではどこが空いているかということはわかります。高度救命救急センターですから、そこは絶対います。何ぼ飲み会があったって、必ず留守番がいるわけですから、それは心配ないと思います。1カ所か2カ所はたらい回しとは言わない。5カ所も6カ所も7カ所も8カ所もというのがたらい回しであって、比奈子先生からたらい回しという言葉は余り使わないようにしてもらわないと。
○高橋比奈子委員 はい。ただ、どこが受け入れするかというのをその場で何件も電話をかけて聞いていたのですよ。だから、最初から知らないのかなというのがちょっと疑問です。
○石川育成講師 わかっていますよ、それは。あるいは、オンコール、電話で呼ばれることもあるし、そういうシステムはちゃんとできていますから。
○高橋比奈子委員 そうですよね。
○石川育成講師 救急センターに行ったら絶対に医者はいますよ。医者はいませんということは絶対ないですから。それから、もう1つ何でしたっけ。
○高橋比奈子委員 研修医制度の検討をどうしたらいいか。
○石川育成講師 研修医制度は、昔は全部大学に入ったのですよ。大学院ももちろんありますから。今は大学院に入るのには大学院の試験を受けて合格となって、そのうちの2年間は、私は中央病院に行きますよ、釜石に行きますよというのは自由なのですよ。2年終わったら帰ってきて大学院に入らなければならない。それから大学院3年、4年、それで大学院を終わるわけでしょう。だから、そういう子供たちは三十二、三には大学に戻ってきているのですよ。
 大学では、今年からようやくちょっと余裕ができたということでしょう。ただ、そこで余裕ができたと思っていたらまたおかしなことになるから、そこで私の思うには、中央病院に十何人も必要ないと思うのですよ。国はばらつかせようと思っているようです。私もばらつかせた方がいいと思いますね。1カ所にばっと固まってしまうと、今度中央病院からほかに移すようなことになるわけでしょう、応援として。そういうようなこともあり得ますからね。
 ただ、診療科もそろっているし、設備もいいとなれば、やはり研修医は行きたくなる。選ぶ権利がありますからね。そこのところがミスマッチもあるのですよ。例えば、花巻から手を挙げていらっしゃいと言っていて、その子供が来ても、話をしている間にうまく話が折り合わないという場合もあるし、人ですからね。馬だってうまくいかないこともあるし、犬だってうまくいかないことがある。人間だからそう簡単にはいきません。そこら辺は、あとは誠意と熱意ではないかなと思うのです。
 私が心配していたのは、必ずこうなるよと。大学院に入ると、大学院生は学生ですから給料はゼロですけれど、研修病院に行くとお金をもらうでしょう。大学でもお金がもらえるようになったのだけれど、大学の医局改革も必要ですよ。私も医局長を5年もやったからよくわかるのですが、昔から侍浜から大川目から、随分医者を出しましたもの。上有住、下有住、下有住なんていうところはひどいところでしたよ。水道なんかないですから、沢水がちょろちょろ流れてくるのをためているのですもの。雨が降ればすぐに濁りますから、ちょろちょろためて、なおかつ上澄みを飲まないと飲めないのですもの。そういうところにも医者を出しました。
 そのときは無休ですから、1カ月も2カ月も行ってお金をためてきて医局でまた勉強しながら飯を食うという、食いつなぎのために行っていたわけです。それが当たり前だったのですよ。ところが、それが当たり前ではなくなってきたから。今の若い先生方は、やっぱり楽をしたいし、いい時代に生まれてきたわけでしょうから、いろいろ問題山積です。
○高橋比奈子委員 免責については。
○石川育成講師 免責は、こういうことなのですよ。日本医師会は、医師賠償責任保険という制度を持っています。これもことしで40年ぐらいになりますか、歴史は。私もその委員会の委員に入ったり委員長を務めたりしていましたから詳しく知っているのですが、訴訟が多くなってきて赤字になってきたのです。それで、保険料をどんどん上げてきたのですよ。5,000円から始まって今7万円ですから。そうでないともたなくなってきた。それで、勤務の先生方でも日本医師会の保険にも入っておこうとする方がA2なのですよ。それは勤務の先生方も入れないというのではなく、勤務の先生方もどんどん入ってくださいということを言っているわけです。
 それで、まず訴訟が起きますよね。岩手県医師会なら岩手県医師会でこれを事情聴取します。岩手県医師会としては、医師に過失ありと認めた場合、それを日本医師会に付託するのですよ。日本医師会の委員会で、これは医師に過失ありとなればお金を払うのです。表へ出ないのです。新聞紙上をにぎわすということがないのです。保険の原点はそうですから、裏で弁護士が入ることもありますけれども、お金を払ってそこで解決ということになるのです。
 医師に過失がないという判断が日本医師会で下された場合には、受けて立つしかないのですよ。一方通行です。裁判は嫌だなと思ったら、自分でポケットマネーで払うしかない。保険制度というのはそういうものですから。その保険は、最後の最後まで日本医師会の医師賠償責任保険が面倒を見るということです。
 そこで、例えばお産に限って言いましょうか。いつ帝王切開すれば適切だったか、いつ設備の整った病院に送るのが適切だったかというようなところが問題になるのが一番多いです。ところが、最初から帝王切開しましょうと言っても、必ず成功するというものでもないのです。帝王切開は必ず安全だということではないのですよ。経膣分娩ができない状態のときに帝王切開をやるわけですから、それで成功する場合もあるし、早いか遅いかの問題はまたこれ難しくて、いつ帝王切開すればよかったのかというのは非常に難しい。そういうケース、医者に責任を問うのは酷だと、医者に責任はないとなったような事例については、今の免責制度を導入するとお金がどこから出るかということになりますね。これは国からも出るのです。保険会社からも出るのですよ。あとは婦人科の先生方からも納めるように、ちゃんとそういう制度になりそうですから。
 だから、必ずしも裁判になるというのではないのです、裁判外で解決しようと。裁判になると大変なんだから、先生方は。周囲の条件がきちっと整えば、婦人科も大丈夫だなというふうな時代になってくると思うのです。あす、あさって、そうなるとは限りませんけれども、その程度のリスクは背負わなくてもいいのだなということになれば安心感が出てくるのではないですか。今は逮捕ですから。そういうようなことで進んでおります。
 それから、さっき工藤先生にお答えしましたが、遠野が一番困るのですよ、お産できなくて。どこへ行けばいいか。今なら気仙に行くしかないでしょう。花巻に行くか一関に行くか。
○工藤勝子委員 ええ、今遠野の人たちは結構日赤の方に来ているようですけれど。あとは花巻ですね。最近、釜石道が開通して、釜石に30分で着くようになりましたし、急げば20分で行きますので、釜石を頼りにしていたのですよ。そして今、モバイルネットで結んでの助産院の診療もやっています。ところが今度、大船渡の方に集約されまして、さらに条件が悪くなってしまいました。
○石川育成講師 先生おっしゃるように、医者の数は決まっていますし、どんどん少なくなっていくから、これをどのように配分するかとなると、医療局も県立病院の中で頭が痛い問題だろうし。盛岡の婦人科の開業医でも、助産師を5、6人雇っているところもあるのですよ。ところが定着してくれないというのが悩みの種。あるいは県立病院に助産師の資格を持った人がいっぱいいるのです。ところが助産師の仕事はしていない、嫌だと言っている。そういうようなケースもあるし、さまざまなケースがあります。
○千葉伝委員 現在の医師不足の現状というか、そういったことで、先生のお話、今の質疑も含めて大変勉強になりました。そういった中で、医師確保というのは、これは当然お金がかかる。大学に入ればお金がかかる。あるいは卒業してから自分で開業する等々、そういった場面でもお金がかかる。県民の医療を守る、あるいは地域の医療を守る、こういったことからすれば、医師を確保していかなければ地域は守れない。三段論法からすれば、そこにお金がかかるとすれば、どうしてもそこにお金を投資する、そこに税金をかける、これは私はぜひ必要なやり方ではないかなと。岩手県でもしかり、あるいは国においてもしかり、私はそういうふうに感じました。
 そういった中で、今の医師不足は絶対的不足と相対的というのか、診療科目とかあるいは地域とか、いろいろそういったところも不足がある。お聞きしたいのは、先ほどちょっと大学の話が出ましたが、大学の中の医学生に対する教育のあり方といいますか、そういったものが、今の傾向は、いわゆる金のもうかるのも含めて、自分がどういうことをやりたいかということの中でいけば、かなり偏向的な時代の流れというものがあるのかなと思います。
 ちょっと自身の話をすれば、私は人のではなくて動物の医者なのですが、小動物と大動物があって、今は小動物指向が強い。それから、男女の話をすれば、女性の方が勤勉で頭がいいということで、どんどん女性の数が多くなっている格好です。そういった中で、教育のやり方が専門化している今の時代に合わせてどんどん専門家の医者を養成、あるいは確保していくべきなのか、もっと一般的な、内科といえばいいのか、家庭医的な、そういったものを今後ふやした方がいいのではないかというお医者さんの話を聞いたことがあるのですが、実際上これからの地域、あるいは岩手の医療を考えた場合、大学側がどのような教育をして医師を養成していったらいいのか、先生のお考え、あるいは医師会でそのようなことに対して例えば国に提言とか何かしているようなことがあれば、ちょっと教えていただきたいと思います。
○石川育成講師 岩手医科大学へも、ことしから医学部の学生に関してですが、医師会長が来て講義をしてくれと言われて、第1回目でしたが、行ってまいりました。だんだんそのように変わってきているのですよ。それから、医療事故の話も何年も私、学生に言っていますし、医者になったばかりの子供にも言っているし、保険診療も全部それオリエンテーションをやっているのですよ。やっていますが、大学ではそこまで教えないのですよ。医療保険というものを。
 ですから、教育のあり方も様変わりしてきていることは事実ですが、それをもうちょっと先取りするような大学教育というのも必要でしょう。今はどちらかというと専門医を育てるような方向に偏っていますから。そうなってくると、今度は厚生労働省が打ち出している総合医というのですか、日赤などにも総合内科というのがありますが、あれは私は個人的には結構だと思いますよ。そこで大体、あなたはあちらの方に行った方がいいからというふうな役目も果たしてくれますから、私は総合医というのはあっていいと思うのです。昔はほとんど総合医だったのですよ、内科というのは。医学の進歩その他でどんどん分化してきて、今度はまたぐるっと回って総合医、やはり歴史は繰り返されるのですね。
 医学をトータルで教える、全人医療というのですが、そのような教育も必要だろうし、おれは専門分野に進みたいというのはそちらの方に行けばいいし、そういう幅の広い、懐の深い教育をしていかないといけないなと思っております。
○千葉伝委員 ありがとうございました。先ほど、小児科あるいは産婦人科の先生方が少なくなる、あるいはなり手がないといった中での対策、それから、今の石川先生のお話の中で差別化といいましたか、診療報酬をいわゆるやっていける状況まで上げるべきとか、そんな話とかも、ただそれだけで解決するものではないとは思いますけれども、そういったあたりも、これからも国の制度そのものをもっともっと改正していく部分があろうかなと思います。
 そういった意味で、先ほど請願の中身をちらっと見させていただいていますが、やっぱりこういったことを私どもも国の方にしっかりと要請することが必要かなというふうに思います。ありがとうございました。
○石川育成講師 私ども、基本的には診療報酬という言葉が悪い、誤解を招くと言っているのですよ。私は特に大きな声で言っているのですが、必要医療費と。病床だって必要病床数、基準病床数という言葉に変わってきているわけですから、やはり最低限必要な医療費で、診療報酬という言葉は使わないようにしようと言っているのです。診療報酬というと、必ず医者の懐の話につながっていきますから、そういう誤解を招くような表現はやめようと言っています。日本医師会もこれからは必要な医療財源を確保しようという言い方に変わってきておりますので、そのように御理解ください。
○斉藤信委員 私も県立病院、地域医療というのは、今本当に崩壊の危機に直面しているのではないかという危機感を持っております。それでちょっと聞きたいのですけれども、石川会長さんが資料の1のところで日本医師会の見解を質すということで、私は半分安心したのですが、実はその日本医師会が医師抑制には賛成してきたという経過があって、今どうなっているのかなと思ってちょっとホームページを見させてもらったら、今年の3月に医師確保に関する喫緊の対応というので中間報告が出されていまして、その結論を見ますと、地域医療対策委員会の提言はこう言っているのですよ。現在、起こっている医師確保の問題は、主として医師の偏在ととらえると。これでは、それこそ石川会長が危惧することをまだ打開していないのではないかという感じをちょっと持ったのですが、この資料ペーパーでも、3月中旬までに医師会の見解をまとめるというのはこれではないかなと思うのですけれども、医師会としては、やはり絶対的不足にもっと正面から対応していかなければならないのではないか。厚労省でさえ、週48時間働くためには6万人不足だと言っているわけですよね。私は6万人というのは今すぐ確保しないと、本当にやめてしまう状況を打開できないのではないかと思います。
 あと、12万人というのがOECDの平均で、ここを当面目指すというのが、会長の言うように理想なのではないかと思うのですが、ひとつ医師会としてそこらあたりをまだ出していないのではないかというのが1つです。
 あと2つ目ですけれども、県立病院は、このきょうの資料を見ても、医師の絶対数も減少、小児科、産婦人科に至っては、これはもう30人以上減少しているという大変深刻な状況で、当面の緊急対応策として県立病院は集約化をやって、あれはあくまでも緊急避難だということですけれども、では緊急避難がいつまで続くかというと、見通しがないのですよね。
 産婦人科の場合は、先生が言われるように助産師外来とか院外助産所とか、私、これはかなり真剣にやられる必要があるのではないかと思います。例えば高田病院なんかは、昔産婦人科がありまして、あそこにまだ助産師が3人いるのですよ。こういうところで現場からも助産師外来ができないかという声が出ている状況で、幸い大船渡に集約されて、そこの連携がうまくいけば、私はできるのではないかと思います。
 胆沢病院も最終的には1人産婦人科医が常駐することになったようですから、そこらあたりも含めて、やはり今ある助産師さんの力量を全面的に発揮させることが必要ではないか。
 あと小児科の場合、水沢医師会が、小児科だけではなくて、医師の皆さんが協力して一次救急の対応をする夜間救急ですね。県立病院の救急を見ますと、軽症の患者が圧倒的に多いのですよね。これが勤務医の苛酷さの原因になっているので、私は、一次救急のような軽症の場合は、地元医師会なんかが夜間救急、交替制でもそういう対応をとれば、県立病院の今の集中化というのは一定程度でも解消されるのではないかと。そういう点の解消策も地元医師会との協力というのがすごく大事ではないかと思いますがいかがでしょうか。
 3つ目なのですけれども、来年度から後期高齢者医療制度が始まって、75歳以上、一番病気をする年代が別建ての医療制度になると。保険料は取られる、しかし恐らく包括医療になって、これは現場で診療するお医者さんなども大変になるのではないかと思いますが、この後期高齢者医療制度についてどういう見解といいますか、医師会としてはどんな対応をされているのか。この3点です。
○石川育成講師 最初の日本医師会のホームページについて、これは先生、日本医師会の見解ではなく地域医療対策委員会の見解です。委員会の見解は誤解を招くから出すなと私はいつも言っているのですが。これはあくまでも委員会の見解です。ただ、委員会の見解をボツにしてしまうと、何のための委員会だというようなことも言われるので、恐らくホームページはそういう意味で委員会の見解として出しておるのであって、日本医師会は地域偏在だけではないと思っていますから、そのように御理解ください。
 それから、助産師に関しては、特に経産婦だと正常分娩が簡単にというか、案外スムーズにいっているのですよね。それで、助産師外来を推進しようという気持ちは今でも変わっておりません。あとは医療局の考え方もあるでしょうし、あるいは各病院の考え方もあるでしょう。余り強引に進めると院長さんがつるし上げられるようなことも聞いていますので、その辺のところはいろいろ意見を聞きながら進めていこうと思っております。
 それから、助産師に対する縛りがちょっと軽くなってきましたので、開業したいという意欲のある助産師もいますので、そういうところにも光明が見えるなというような感じがします。
 それと、後期高齢者医療制度の件は、ことしの初めでしたかね、岩手県後期高齢者医療広域連合の発会式をやるから祝辞を言ってくれというから、私は祝辞を言うなら行きませんと断ったのですよ。いや、あいさつでもいいからというので、あいさつでもいいなら行きますと。あのときは国保中央会の意見そのままの考え方を持っていましたからね。また考え方も少し変わってくるのでしょうが。私はなぜ祝辞を言うなら行かないと言ったかというと、あのときは国保中央会の考え方がはっきり言って高齢者つぶしの考え方でしたから、そこに私は反発したわけです。
 そこで私は、戦中戦後を通じて日本の復興のために苦労してきた後期高齢者に対して情のある組織でないと困るということを釘を刺してあいさつにかえてきたのですが、そういう意味で、様子を見ないと私は祝辞を言うつもりはないというふうに申し上げたわけです。先生方の考え方と私は余り違わないと思っています。情のあることをやらないと、何でも丸めではどうにもならないと思っております。
○斉藤信委員 水沢のような地域医師会の救急対応については。
○石川育成講師 あれは、前もって水沢の会長からお話がございまして、それでやってください、応援しますということを申し上げました。ところが、やっぱりやってみると、軽症の患者が多いのだそうです。これはやはり患者さん側も考えてもらわないと。夜行った方が待たされなくて済むよという考え方が底辺にあって、それで軽症の患者さんが多いということです。どこのデータでもそうなのですよ。8割は軽症だというのですから。そういうところを今度は水沢でもいろいろ考えておられるでしょうが。来た患者さんに一々、この程度のことならばわざわざ来なくてもいいよというようなことを言っているようだし、そこで対応できなければすぐ病院の方に移すという、中継ぎみたいなことをやって、それから、小児科の医者ばかりではなく内科の医者も手伝っているということで、私は当然だと思います。医者であれば、重症か軽症かというのは見ればわかりますから、その辺のところをやっていると、これもまた少しずつ進歩していくのではないかなと思います。
 今度は、今盛岡の夜間急患診療所も、内科の患者が少ないから小児科を2人にするかなんていう話をしているのですよ。小児科が2人になると、今度はそれでなくても小児科の医者が少ないところにそれは無理だろうと、内科の医者が手伝えと私は言っているのですよ。それで十分所期の目的は達成すると思います。今一番評判がいいのが看護師による電話相談。これが非常に評判がいい。九州からも、四国からも電話が来るのですよ。なぜそうかというと、米マークを押すとただで通じるようなのですよ。それと親戚が盛岡にいたりすると、ではすぐに電話してみてというようなことで、それで電話をかけてくるようです。あちらこちらから、5、6カ所から現地の見学にも来ていますし、うまくいっているだろうと思います。
○伊藤勢至委員 先ほど先生のお話を伺いまして、大変精神的な、あるいはスピリット的に、同じ浜っこということでありましょうか、非常に感じ入った次第でありまして、改めて同胞を持ったかなという気がいたしております。
 そういう中で、岩手県も今、医師不足あるいは偏在ということについてそれぞれ対策をとっていると思っておりますが、これはこれで継続していかなければならないわけでありますけれども、この医師不足、偏在というのは、国の政治の責任にあるというふうに思っております。これは、中越地震が先般あったわけでありますが、そういった場合には医師団を派遣する制度がありますね。こういったような観点からいきますと、我々北東北あるいは山陰、中国、四国、九州等は、やっぱりそういう問題を抱えていると思っております。
 私、おかげさまで3期目の後半、議長に選出いただきまして、全国議長会等に出席する機会をいただきました。その中で、充て職の会長を1つ、岩手県議会議長としていただきました。それは財政基盤強化対策県議会議長協議会会長という大変長い名前でありまして、事務局に一体何のこっちゃと聞きましたら、わかりやすく言えば貧乏県の集まりですということでありました。全国に17県、東北は青森、秋田、岩手、山形、そして山陰の鳥取、島根、近畿の和歌山、そして福岡を除く九州、愛媛を除く四国であります。その17県でつくっている会の会長、大変名誉な会長を仰せつかったわけでありますが、ここはいずれも同じ問題を抱えているのだと思っております。
 その中で、やはり政府がまさにこの非常事態、緊急事態という認識を持つかどうか。そういうことに始まるのであって、我々地方議会ではどうしても及ばないところがある、このように私は思うのです。したがいまして、これは完全に為政者の責任である、そのように思いますときに、我々今まで同じ税金を払いながら、言ってみればゴルフにハンディキャップ制度があるように、我々がいかにつらい立場に置かれているかということを全体として声を出し合いながら、このゴルフのハンディキャップ制度並みの、弱いところに厚く、強いところは少し削っても、そういうことを一緒にやっていくべきではないか、私はそのように思っております。
 政府といいますとすぐに自民党と続きますが、今回はそこを外して、政府に対して党派を超えて取り組むべきは取り組むべきだというふうに思っておりまして、そういう声を上げていかない限り、中央で生まれて中央で育った命令のトップ系統は、いらいらは改まっていかないと、そのように思うのです。
 したがって、先生方の組織ももちろんだと思うのですけれども、特に17県というところ、我々が意見を同じくして中央に語りかけ、政治を動かさなければ、この部分が変わっていかないと思いまして、これは党派を超えての、人間としての、日本人としての尊厳、誇りの問題であろうかと思っておりますので、先生の御所見をちょうだいしながら、我々もそういうスピリットの面で御支援申し上げたいと、私思うところでありますので御所見をお願いします。
○石川育成講師 今、地震の救急派遣のお話も出ましたが、私も阪神・淡路のときに医者と看護婦を引き連れて団長で行ってまいりましたが、聞くと見るとでは全然違うのであって、もうそろそろ派遣団は要らないよという声も確かにあるのですね。私も一番ひどいところに行きましたから、そうすると大体、開業医はそろそろ立ち直ってきたと、そういう状況の中で、応援団がいつまでもいられても困るというような意見もあるし、非常に悩みました。ですから、こんなのはやはり行政、あるいは政治に携わる方々のリーダーシップが一番大事だろうと、いつもそう思っております。
 それから、今、前の議長さんがお話しになった、県を並べられましたが、みんな同じなのですよ。我々会長も、そういう場ではすぐなんでも気が合うというか、そういうことでありますから、私、今月号の巻頭言の一番最後に、政治は国民のためにあるものだ、為政者よ、しっかりしてくれと書きましたから、今のお話と相通ずるものがあると思っております。
○伊藤勢至委員 先生、その中で北東北の中で青森、秋田、岩手が残念ながら全国一を争っているのが1つあるのです。自殺者の数です。したがって、国の組織の中には、北海道・沖縄開発庁がありますけれども、今、北東北、中国、あるいは九州、四国、そういうところの開発庁を持つくらいの考え方を国が持ってもらわなくてはならないと思うのですよ。
 そういう中で、やはり我々が何を発信をして問いかけをしていくかという部分が問われると思っておりますので、少なくてもここにいる同志の議員諸公は、先生方がおやりになる行動については全面的に御支援を申し上げるものだと思っておりますし、このような面で連携をさせていただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○石川育成講師 どうもありがとうございました。それでは、ごあいさつ申し上げますが、この第3号の案というものをお読みいただいて、我々の方としては改めて各会派にお願いに参上するつもりでおりますので、どうぞよろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。これは岩手県の各郡市医師会も同じく足並みをそろえて関係市町村の議会にもお願いすることになっておりますので、なんとかこれを全国でも早目に手を打ちたいなと思っております。よろしくお願いします。きょうはありがとうございました。
○三浦陽子委員長 どうも先生、お忙しいところを大変ありがとうございました。私たちも先生のリーダーシップのもと、医師会の皆様の御活躍を念じておりますし、県議会といたしましても応援させていただきたいと思います。本日は大変ありがとうございました。事務局の方も、大変ありがとうございました。
 皆様にはしばしお残りいただきたいと思います。
 それでは、次回の委員会運営などについて御相談があります。1月に予定されております次回の当委員会の調査事項についてでありますが、それにつきまして御意見ございませんでしょうか。
 (「一任。」と呼ぶ者あり。)
○三浦陽子委員長 では、御意見がなければ当職に御一任願いたいと思います。よろしいですね。
 (「はい。」と呼ぶ者あり。)
○三浦陽子委員長 では、異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、さきに通知しておりますとおり、9月11日には県内調査を実施いたしますので、御参加をお願いいたします。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。どうもお疲れさまでございました。


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