交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会会議記録

交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会委員長 高橋 博之


1 日時
  平成19年9月5日(水曜日)  
  午前10時3分開会、午前11時54分散会
2 場所
  第3委員会室
3 出席委員
  高橋博之委員長、岩渕誠副委員長、佐々木一榮委員、新居田弘文委員、五日市王委員、
  喜多正敏委員、菊池勲委員、樋下正信委員、小野寺有一委員、田村誠委員、
  小野寺好委員
4 欠席委員
  なし
5 事務局職員
  小原担当書記、船本担当書記
6 説明のために出席した者
  江戸川大学社会学部 教授  鈴木 輝隆 氏
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
  (1) 「地方生活圏域・過疎対策 コミュニティ再生」について
  (2) 次回の委員会運営について
9 議事の経過概要
○高橋博之委員長 おはようございます。ただいまから、交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。本日は、お手元に配付しております日程により会議を行います。
 これより「地方生活圏域・過疎対策コミュニティ再生」について調査を行います。本日は、講師として江戸川大学社会学部鈴木教授をお招きいたしておりますので、御紹介いたします。
○鈴木輝隆参考人 おはようございます。
○高橋博之委員長 鈴木先生の略歴につきましては、お手元に配付いたしておりますとおりでございます。
 本日は、「地方生活圏域・過疎対策コミュニティ再生」と題しまして、地方都市圏の課題や、今後の過疎地域の振興方策などについての貴重なお話をいただくことになっております。
 それでは、これから先生のお話をいただくことといたしますが、後ほど質疑、意見交換の時間を設けておりますので、御了承願いたいと思います。
 それでは、鈴木先生、よろしくお願いいたします。
○鈴木輝隆参考人 先ほど御紹介ありました江戸川大学の鈴木です。私は今国土審議会の専門委員とか、それから過疎法が3年後に失効しますが、それがどういうふうになっていくかという研究会とかに所属しておりまして、地方の生活圏域、地方都市圏がどうなっていくかということを議論しています。
まだ国会の方が落ちついておりませんのであれですが、今日は、地方の生活圏域や地方都市圏域が縮減という形で縮小していくことをどうやって進めていくかというような話をしたいと思います。それから、地域の格差、いろんな格差論議がありますが、そういうようなこともお話したい。
どちらにしても地域の解決をするというのは自治体役人の公的なセクター、それから市場のセクター、それからもう一つはコミュニティのセクター、その三つしか地域の問題や経済の問題を解決していくということはできませんので、そのあたりのお話を少しできたらと思います。それでは、座って話をさせていただきます。
 皆さんは国土審議会については御存じだと思いますが、どういうようなことが議論されているかということを少しお話しして、それから入っていきたいと思います。
 国土形成計画法というのが平成17年に公布されました。今まで国土総合開発計画と言っていたのを国土形成計画という形で開発という言葉が消えてしまった。これは後ほどお話ししますが、過疎についても開発よりも保全の、保全経済ということを言っていますが、保全に対して国民は了解をしていくことになっているではないかということを踏まえて、今までいろんなものをつくってきた。それを成熟化の時代の中でどう生かしていくかということで、質的な向上とか、その資源を有効にどう扱っていったらいいのだろうか。フローからストックへということが議論されています。
 それから、海洋資源ということで、今まで海には目を向けなかったのですが、世界中が海に資源を求めている。それから、地球環境とか、今の格差の問題もあったりして、いろんな災害も起きたり、社会が非常に不安になっている。そういうところで安心、安定、安全というようなことをどうやって確保していくかということ。それから過疎法のときの今までの評価、それが自立的な発展につながっているだろうかということで議論されてきたわけですが、方向性を一つは出していこう。それから、全国計画に対して地域が、これは道州制もにらんでの広域計画をどうしていくかという議論がされております。広域計画については、これから国際行動を持ったところを中心にとか、高速道路についても港や、そして飛行場、そういうものへどれぐらいで行けるかということで考え方がちょっと変わってきているという話ですね。そんなようなことが議論されております。
 そのほか、法的にいろんな状況が説明されるわけですが、翌日宅急便がアジアに広がっていくとか、日帰り圏で、もうその日のうちにビジネスができるような形ということで、アジアの中で日帰り、国内と同じように行ける。そういうフリーゲートウエーとか、そういうようなことも話がされています。
 そういう話をしていると長くなりますので、国内に目を向けていくと、皆さん御存じのように人口が減少してくるということで、2005年ぐらいをピークにして下がってきています。これから高齢者が3人に1人だとか、それは御存じだと思います。その中で問題は、質的な問題ということですね。今も男性の場合15%ぐらいが生涯未婚なのですが、75歳以上の男性が、これから20年もたたない間に4倍ぐらいになるということが議論、推定されているということですね。女性のほうも増えるわけですが、2.8倍ということで絶対数は女性が多いのですが、比率では、男性の独居老人が4倍ぐらいあるという、これは未婚者が多いということと熟年離婚とか、そういうこともあるわけですが、どちらにしても非常に大きな問題がある。そういうようなことも議論されています。
 それから、75歳以上で運転免許を持っている人が今20数%ぐらいなのですが、それが今後、多分岩手も同じだと思いますが、70歳以上の人はもちろんですけれども、80歳以上の人も免許を持って運転しているということが頻繁になってくると。岩手県は高齢化率が25.5%ぐらいですかね。今後、男性の独居老人が多くなってくる。それから、こういう形で高齢者が運転するのですが、過疎の地域というのはやっぱり交通事故が非常に多かったり高齢者の事故が多いわけですが、このようなことが地域の中で問題になっている。実際に車のほうもホンダがやっていて、この間も開発を見させてもらったのですが、車の車体を布でつくる、布でつくっていくというような車体の開発も考えている。いかに早く走れるかということより、いかに安全に走れるかも自動車会社が考えている。それは今言いましたように、90%ぐらいの人が免許を持っている。ただ、実際に免許を持っていても運転できるかといったときに、地域の中で限界集落とかそういうところへ行きますと、公民館に行くときに歩いても行けないし車でも行けないというようなことで、道路も過疎につくっても道路を使う人がいなくなっているというところは現実にあります。今過疎対策室で地方の過疎地域に議員が行きますと、昔は道路をつくってくれと言われたのですが、今多いのは地上デジタル放送に対する対応ができるかとか、ブロードバンドができるかというようなことで、道路の要望を聞くよりもむしろそういう要望が多くなっています。そのあたりもお話しします。
 それから、人口が減っていくということで、確実にこれは減っていくということなのですが、そのときに四つの人口ということで国のほうは議論しています。
 それは、定住人口、静止人口とあるわけですが、静止人口自体が日本は減っていくということです。情報発信ができるということで情報交流人口というのが注目されている。これはふるさと納税とかそういうものもそうなのですが、その地域を知ってもらうと、市町村合併もしたりして名前が知られていなかったり、それから住民の中から税金も上がってくるというのは非常に少なくて、経済的には最大の産業が年金だというところもあるわけですが、その地域に対して貢献したいという人が結構出てきているというようなアンケートはあります。そういった地域を知ってもらう、応援をしてもらうと。お金や、それから知恵やそのものも変わっていくというのが情報交流人口で、こういうのも人口としてカウントしていこうと。これには、例えば大学に通っているとか、その町に通っているということは半日ぐらいその町にいるわけですから、そういう人たちもその町を好きになっていくというようなことがあるわけですね。
 交流人口は、これは観光とかそういうような形で消費が増えるということで、前から言われていることですが、新しく、二地域居住ということが出ているわけです。これは1年のうち1カ月ぐらい、30日ぐらいはその地域で住むということで、その地域に2つ目の家を持つというようなことが出てくるということです。今全国の世帯数が4,700万世帯あります。そのうち空き家が660万世帯、約14%ぐらい空き家ということですね。これからは空き家が20%ぐらい、もちろん過疎とかそういうところへ行きますとわかりますように、もう限界集落とかそういうところなんか2軒に1軒が空き家になっているとか、そういうようなことで空き家も増えてくる。そして、長男長女が結婚したりすれば、それぞれの親が都会と田舎にいると行ったり来たりする。それから、もう一つは、週末になったらインターネットでビジネスもするよとか、そういうような形で二地域居住というものが出てくる。
 山梨県では、二地域居住をする人に対して高速道路の割引のお金を、プリペイドカードなんかを配るというようなこともやったりする。要するに二地域居住を増やしていこうと。二地域居住を増やしていくときの問題は幾つかあります。住民税を払わないと。これはクラインガルテンと呼ばれる市民農園ですね。例えば、市民農園で2LDKなんかで年間39万円で貸しているというようなことを、長野県の大町の美麻村というところでやっています。人口は800人ぐらいのところですね。そこは新住民が半分以上います。そこのクラインガルテンは86世帯あるわけですが、そこは平均もう100日ぐらい、私らでもそこに調査に行って新聞を買いに行くと全国紙はそこにある。毎日そこに住んでいて、その人たちがクラフト店とか地域のお手伝いもしているということで、NHKなんかでも放映されましたが、二地域居住というのが注目されたのは、一つは人口減少の時代に新人類が来る。そのときにロングステイで長く住むということがあったり、それから1カ月ぐらい、北海道の伊達市なんかは人口が増えていますが、あそこに行きますと、インターネットで見てもらってもわかりますが、ホテルとかそういうところは1カ月で5万円とか、それから10万円とかで家を貸す。不動産のところも、入ったらそこには冷蔵庫も全部入っている。そこに1カ月。その人たちを定住に持っていこうというようなことも考えているところがあるのです。そういう形で人口を増やしていく。人口を増やすと、それは私の資料のほうにも書きましたが、1世帯来ると大体2億から3億ぐらいの消費が行われる。土地を買って家を建てて、それから生活費をかけると。それから、もう一つは介護の問題とかそういうものもあったりするわけですが、移住してしまえば住民税も払う。でも、介護とか保健の問題、医療の問題どうなるのですかということなのですが、これも後ほどお話ししますが、平均寿命は余り延びないのですが健康寿命が延びてきているということで、医療費とかそういうものを引いても1けた違うぐらいの収入が入るということで注目されている。
 もう一つは、今全国へ行って一番の問題は、昨日も介護の問題を、NHK解説員の後藤さんが言っていましたが、やっぱり人材なのですね。東京や大都市のほうへどんどん若い人が行ってしまうと。都会のほうに行ったいろんな専門の力を持った人をどうやって引きつけるかということを地域で考えているというようなことがあります。先ほど言いましたようにこの三つの問題は、住民税を国の方でも7対3にするとか、そういうような割合で二つの地域に分けるとかいうことも考えられるではないかと検討もされています。
 それから、交通費についても、こっちのほうも第三セクターで問題出ていますが、公共交通を団塊の世代がリタイアする、人口が減ってくるときってどうやって維持するかということで、使う人を増やしていかなければいけない。だから、通勤定期など二つの地域で住民票を出していって、そういう定期の割引が出るような形もやるべきではないかというような話も出ています。それから、情報通信のネットワークは、これは北海道のほうの移住とかそういうものを見ても、一番先に来て言うのは、若い人が来ると、ブロードバンドになっているか、これはニセコなんかは人口がやや増えているぐらいなのですが、山の上にもインターネットカフェがあります。企業のトップが来たり企業が来ていますが、NTTなんかも来てそこのところをやっているというのは、インターネットの加入率が多いわけですね。インターネットを利用する人が多い。それから、オフトークとかそういうものを、85%ぐらいはオフトーク通信をやったり、情報を共有するということで、情報については山間地の中でも非常に注目されているということです。
 二地域居住するときにも情報の問題がかなり問題になっている。まだまだ情報に関しては人口の少ないところでの整備がされていないということで問題になっているということです。
 それから、もう一つは、今多業と近居ということですが、そのあたりも少し話していきたいと思いますが、今地方の方で企業誘致よりも個人起業者が増えたほうがいいという議論をされております。それは個人事業者がいるとその個人事業者の経営のノウハウとか、それから個人事業者が持っているネットワークとか、そういうものが活力になる。だけど大企業の工場ができてもそこで働く人が経営力があるわけではない。一時はいいかもしれないけれども、そこに住むという覚悟を持っている人がそこにいろんな協力をしてくれる。それから、地方で調べて見ますと、今の段階でも1,240万人の人が一つ以上の仕事をやっているという感じ。だから、大企業なんかでもアサヒビールとかそういうところの研究室で二つ以上の仕事を持っている、研究をしている人のほうがネットワークがあってノウハウがあるということ。地方を歩いてみると地方で頑張っている実業家の人は2つ以上の仕事を持っている人が多いです。それから、もう一つは、公務員とかそういう人たちもNPOとかボランティア活動をしているというような人が多いわけですが、今後これから約20年ぐらい先にはそれが倍ぐらいになってくる。要するに、二つ以上の仕事を持つということが当たり前になってくるし、そういう形で生きていくだろうと、そういうことで二地域居住とかそういうものが2つの地域を生かしていけるというようなことがあると思います。
 それから、団塊の世代が今680万から690万と言われているわけですが、今年から大量に定年退職を迎える。半分ぐらいの人は再雇用という形でされているわけですが、それにしても今の690万の人の約3分の2は地方で生まれたのですが、その後大都市を中心にして大都市に50%以上が住んでいるということで、東京圏だけでも200万人住んでいます。岩手は5万人以上10万人未満ということで、団塊の世代が多いのは都会なのです。その都会の団塊の世代をどうやって連れてくるか。年金を持っている、退職金は持っている、恵まれている。そういう人たちの移住をどうしていくか。大体大都市圏で調査をすると6割の人が地方で住みたいという希望がある。そういう人たちをどうつかまえるか。その人たちのお金と、それからその人たちの持っている能力やネットワークを活用していこうということでやったりしています。こういうようなことは全国の都道府県でも東京の県人会なんかも利用したりして、そこに宣伝をして自分の町に力を、県に力を貸してくれとか、そういうようなことで活用し始めている。暇になってくるから何か役割を持ってくれ。そんなようなことが出てきているということです。
 先ほど団塊の世代が移動したいと考えていると言いましたが、自分のふるさとに帰るというのは20%ぐらいです。かつて住んでいたところ、レジャーで行ったところ、遊びに行った、そういう好きなところに行きたいというのが50%以上いる。ですから、ふるさとに帰るということは必ずしもないということ。それはふるさとに帰っても、団塊の世代は出生率も4.6ぐらいなのです。ですから、誰かが継いでいたりするということもあるし、それから自由にどこか自分の住みたいところへ住むという、ある種のそういうわがままと言えばそうですが、そういうようなところがあるわけですね。
 それから、今の国土審議会で議論している背景として今重要なのは、今日の話の中でもお話ししたいと思いますが、地域の中の活性化とか、地域の核になっているのは何かといったら文化資本なのですね。地域の文化資本がないところというのはなかなか活性化しないのです。地域の再生やるときの核になるのは実は文化資本なのです。それから、もう一つは、人間関係がうまくいっていないとやっぱりだめなのですね。社会関係資本と言うわけですが、そのときに今、日本の国民が誇りに思うことというのは、経済とか高い教育よりも自然とか歴史とか伝統とか文化、こういうものに対して非常に高いということを内閣府の調査は示している。要するにそういうものを大事にし始めているのです。これを今までは壊してきたり、それから市町村合併で消えてきたり、そんな問題も出てきているということなのですね。
 それから、町並みや景観への高まりということで、今「美しい日本」と言われたりしていますが、世界的に見てもやはりそういう美しい景観をどうやって保っていくかという方向に意識はいっているということなのです。そういう国民の町並みや景観への意識が高くなっている。まだ地方の中小都市については低いというところもあるのですが。大分県では観光協会をツーリズム協会という形で、観光産業というよりも交流ビジネスという位置づけをしてオープンに発表したのです。交流ビジネスのほうがこれから伸びていくだろう。観光地が俗化したり汚れたり、資源が劣化してきたときに、交流こそがビジネスになるということで交流ビジネスということを言っているのです。それは美しい町並みやそういう景観をそのまま背景にしながら交流を行っていくということでやっています。これは後ほどちょっと事例でもお話ししたいと思います。ですから、電柱とかそういうものも野外広告の規制をしたり美しい環境をつくっていくということが社会資本の中の目標になってくる。
 これは外国なんか見ても無電柱化というのはロンドン、パリ、ボンとかそういうところは100%いっていると。だけど日本の場合、東京にしても地方にしても1けた台というようなことで、この景観に対して非常に意識が高くなってきているということですね。
 それから、交流ということなのですが、先ほども言いました交流をどうやって起こしていくかということなのですが、なかなか「来てくれ、来てくれ」と言っても起きない。それをプラットフォームをつくって社交の場をつくっているところが多くなっています。それは行政自体も財源の節約とか、市町村合併で交流の場が地域になくなってくる。異質な文化と交流しているところが元気がいいというところあるわけですね。ニセコなんかは、倶知安ですが、オーストラリアの人たちが随分来ています。実際、平日そのスキー場へ行くとほとんどオーストラリア人か台湾、香港、中国から来た人です。そういう所は実際には日本の観光客は増えなくてそういう人がいる。そういうオーストラリアの人たちが200人ぐらい定住していて、その人たちが夏のアウトドアといって、2003年から夏と冬が逆転して夏に来ている。交流から文化が生まれているということで、50人以上雇うようなアウトドアの会社も起こしてしまう、ここ5年ぐらい出ているというのもそういう異質文化の交流から生まれてきている。そういうプラットフォームといいますか、両方が交流する場を二地域居住に来た人や外部の人たちとの関係でつくっていく。
 内閣府の地域再生のほうの座長もやっていたりするのですが、そのときに交流のないところというのはなかなか活性化していません。交流のあるところというのはやっぱり新しい人が来ると交流の仕方を知っているし、都会の人の感性でやっている。そういう価値観を知っている人が上手にやっているというところがあるのですね。
 ところが、ヨーロッパとかそういうところのグリーンツーリズムを見に行きますと、地元の人が成功するより都会の人が移り住んで事業をやって、それを見て地元の人が上手にやっているというところもあって、そういう異質なものがぶつかる中で刺激を受ける。これは京都なんかも異質な文化との交流の研究会をつくったりして、京都のブランドを高めるためには異質のほうでやってそれで磨いていくしかないということで報告書が出ていますが、今度のイオンマガジンの巻頭インタビューで、異質の文化がぶつかり合っていくというところでブランドがつくられていくとお話ししましたが、自分の町だけで閉鎖的に、自分の計画でやろうとするのではなくて交流する中で認める。フランスの農村景観を守って、そこの伝統と人と技と職を残していくという事業があります。フランスの国土で117カ所あります。ソルボンヌ大学の学長のピットさんという人がいますが、その人とも組んで、フランスの認定の中に日本が入ってブランド形成を行い、世界にそれを買ってもらうことによって日本の農村景観も残そうという動きも出ているわけです。ある意味でそういう知識のグローバル化の中でどうやって情報を得ていけるかというようなことも実は行われているということです。
 それから、地域の担い手づくりということですが、今まではどちらかといえば行政官が90%ぐらい。今まではいろんなことをやっていくときに、岩手県も同じだと思うのですが、住民の人の活動の盛んなところは色々な物事をやっていくには成功しやすいわけですね。長野県の観光振興をやったときの会議も見ましたが、NPOの人が半分以上でした。要するに観光業者でなくて地域の中で案内したり、地域の中で新しい動きをしている人を呼んで観光政策を立てるというようなことも出ている。それから、住民の活動にお金を出すということでやっている「ぶらっと!」という日刊ブログ新聞というものがあります。それは筑紫哲也さんとか島村菜津さんとかと一緒に審査員をやっているのですが、企業がお金を出しています。企業は人材で成り立っている。人材で成り立っているということは、地域から人材を奪ってしまったからであり、地域が人材を得られなくなったのは当然だということを企業のトップが言って、それでは地域づくりにお金を出し、そして人も返すということをやるということをパナソニックとかそういうところも少し応援しているのですね。その審査員をやっているのですが、その1位になったのが阿寒湖の観光をやっているNPOなのです。それは駐車場の舗装をはがして、耕運機を買って木を植えて、そこを自然に戻していくということをやるためのお金が欲しいということなのですね。そういう活動をやっている。「ぶらっと!」というブログで見てもらうとわかるのですが、そこがトップをとっています。要するに資源を保全して経済をつくり、そして今までの観光の悪かったところを住民活動からそういう環境をつくっていく。それに賛同を受けるというようなことが出ています。
 それから、先ほども言いましたように行政だけで話をしても物事が進まない、地に足がつかないといいますか、それで今は新たな公ということで企業も、それからNPOも、そして住民や団体、そういうものがみんなフラットにやってくれるという形で、そうならないとなかなか地域が発展しない。
 政策研究・情報誌「地域政策」というものにこれから載せる文章を皆さんの手元にもお配りしていますが、「文化資本の発見から地域創造へ」というプランです。文化資本をつくっていくということは、地域の社会関係資本とあわせて実はコミュニティが地域の課題や地域の経済を解決していくというところがあるということですね。
 今、道路なんかもシーニックバイウェイとか、それから多摩ニュータウンも3,000ヘクタールに20万人が住んでいるのですが、緑地が物すごく多いです。それは行政が管理できないのでアダプト制度という形で、住民の人が里親制度で木の管理をしたり花の管理をしていると。要するに今までいい環境をつくればつくるほど行政のコストにかかってくる。それを住民の人が管理するというような形で起こってきているというのが全国の地域づくりの傾向です。ですから、地域の課題を解決していくのに住民が欠かせなくなってきているというのは、これは国の資料にもある。
 それから、先ほど言いました、道路をつくってもそれを動かしていくソフトがないということで、今、国土交通省はコンビニバスを走らせるということを言っています。今ローカルで2次交通がどんどん減っています。それはもう大型のバスを走らせても乗る人がいない。それをコンビニバスという形で縮減をかけながら拠点と拠点を結んで、病院に行くとかそういうようなことをやっていくということがある。
 それから、もう一つは、その地域をつくるお金というものがない。地元の岩手銀行を始めとして、地方の銀行には大体45%ぐらい日本の資産があるのですが、その銀行の貸し付けは地元に貸さずに東京や大都市に貸したり世界に貸しているわけですが、地元に落ちる金を地元のために、地元が事業を起こしたり地元を魅力的にするためのそういうまちづくりのファンドをつくるというのが非常に増えています。これを国のほうも推奨しているわけです。
 これの問題は幾つかあって、サラ金とかそういうものの問題のときに配当をしないということで今これは進められることができるわけですが、資本金が少なくてもできる。例えば、未来バンクというのは江戸川区の区役所の田中優さんという人がやっていますが、5億5,000万ぐらい貸しています。地域の中で無担保でほとんど利子もつかないぐらい、手数料ぐらいの金で貸して、地域の事業を起こしたり地域の町をよくするというファンドをつくっていかなければ、地域にお金がなければできないということも国のほうも知っていてこういうことを応援していこうということをやっております。これは最近の新聞にも出ていると思いますが、そういう仕組みです。
 それから、もう一つは、今コミュニティのところと生活のゾーン、都市圏と生活圏域というのがあるのですが、これをどういうふうに再編していくかという議論をしています。先ほど言いましたように、住宅については昨年の6月に法律が変わって、住宅を戦後増やしてきたわけですが、もう量を増やすよりも質を良くするという方向です。質を良くするということで良好な住宅環境を提供する。だから、このあたりが先ほどの人口を増やしたり人材を増やしていくことが生活環境をよくしていく。コミュニティ自体を良くしていく。コミュニティが良くなるということは、コミュニティがしっかりしているところは教育もしっかりしてくる。それから、長生きもしたり病気もする人を少なかったり、自宅で療養ができたり、それはコミュニティの力があるところは世界中ではっきりしているのですね。住民自治やまちづくりのそういうところはコミュニティがしっかりしたところは結構うまくいくと。
 それから、もう一つは都市圏域とコミュニティをどう結ぶかという議論。これまた後ほどお話ししますが、農村部にいても医療とか教育とか、そういうものについては都市的なものを受けられやすいような形をどうとっていくかというのが縮減の時代の課題になってくる。人口が減って限界集落も出てきている。そういう中でどうやって保っていくかということの議論を後ほどしたいと思います。
 少しわかりやすく模式的に言うと、都市部と農村部がある。今までは、ここに道路をつくると道路沿いに店ができて、町で物を買わなくなって道路で買う。それから、農村部のほうも道路。都市部と農村部を結ぶその道路沿いに店ができてしまうから、町で物を買わずに道路で買う。ここから60キロで1時間で行けるとしても実際にはこれが1時間半かかってしまう、2時間かかってしまうということですから、縮減をかけて拠点と拠点を結んで居心地いいような形、効率のいい形をとっていくということは議論されているわけです。そのときに公共交通としての1次交通と2次交通のバランスをどうとっていくかということで、拠点によってそれを維持していくというようなことを考えている。ですから、無秩序に今まで進めていた拡散型から集約型になってくるということで、このあたりの議論がいろいろされたわけですが、後ほどまたちょっとお話ししたい。
 地方都市圏の現状ということで少しお話しするのは、生活圏が広域的になってきたということです。先ほど言いましたように都市的な生活、商業、医療とか福祉、教育、そういうのが沿線沿いにできた。その資料は、これは新たな地方都市圏整備の制度イメージということですが、全国40カ所に助成金も出してそういうコンパクトな町になっていくということを挙げています。岩手県では奥州市のあたりがモデル地区に入っていると思います。まだ発表されていませんが、そういう移住地域を拠点に集約していく。そういうようなことで中心の発展と、周辺をコンパクトに結んでいくというような議論が出ています。40カ所程度をモデル地区として、そこに移住をするときに助成金を出して、そこからバスで中心部に来るとかそういうような形を進めていくことによって、コストを安くしながら住民サービスもしていくというような方向でいったらどうだろうと、地方都市圏の整備のあり方研究会というところで議論されて、それが今予算化されて行っているわけです。
 今言いましたように人口減少から高齢者へのサービスができなくなってくる。分散していってしまうためにアクセスの確保ができなくなってくる。それから、負担が多くなってくる。だから、人口が減少して高齢化が進展しても、それができるようなシステムをつくっていかなければならない。岩手県も限界集落とか非常に厳しいところがあるわけですが、どういうふうに将来を考えていくかということでこれからの制度方針が決まってくるということですね。
 ハブとなる都市、生活機能の集約的な拠点の形成とか、先ほど言いました効率的なアクセス、それから高齢者の移転とか、こういうものに対しても助成金を出していこう。地域の内外の人、物の集積と発信の結節点としてのにぎわいを出す。そのときに、これも過疎法の研究会でも言われているのですが、行政に金を出してもなかなか効率が良くない。直接やっている住民の活動のところに助成金を出していくというようなことをやっています。観光支援広報のほうでお手伝いしていて、それは直接住民の人に300万円とか50万円になってきている。そのほうが効果があったと出ています。だから、過疎についても行政がやっても、これも後ほどお話ししますが、過疎で合併してしまう。すると周辺のところに対して行政がどうしても手が届かなくなる。だから、地域で頑張っている人に直接金を出していくということを国がもうやっています。その選考委員を私やっているのですが、その結果の発表会とか評価は、行政以上の効果があるのではないかということを言われているということなのですね。それで、NPOとか新たな公というものは効果があると。だから、もう直接そのほうがいいではないかという議論さえされているということですね。
 それから、中心市街地の今の制度の対象は1町村1地区ということを原則にして、1つの地区で、おおむね10万人ぐらいをまとまりとしてやっています。それから、今言いましたそういう都市と生活の配置とネットワークをどういうふうに築いていくか。だから、ネットワークを使って一つのところにすべてフルセットそろえるのではなくて、ネットワークによってそれを使っていこうという考え方です。先ほど言いましたように、NPOとかそういうところの支援をする新しい制度の仕組みをつくる。今の直接金を出すと言ったのは、国が今地方自治体以外に金を出しているのは、一旦外に委託をして委託先からお金を出すという形をとっている。それが制度をつくれば今後は直接行政でなくて住民の活動に金ができる仕組みができるということなのですね。
 生活圏の圏域というのは日常生活のそういう高次なものを受容、要するに病院でも地域の診療所と、それから大きな総合病院がなければ、もう田舎にいてもそういう年寄りの人が安心して暮らせないということなのですね。教育に関しても。そういうようなことと、それから今までもそうなのですが、過疎とかその地方にお金を入れて、そこの資産価値を上げるというよりも、自分たちのお金を東京やそういうところに送ってしまう。今14万6,000人ぐらいが東京圏に1年間に動くわけですが、岩手県では1万人ぐらい行っていますよね。自然減とか社会減で。東京の、浦安とかそういうところなんかへ行きますと急速に人口が増えていて、高齢化率も8%です。そのマンションを買っている人を調査すると、30代で5,000万円ぐらいのマンションです。地方で頑張った人は親もお金を送ったりしています。自分の家は投資しないし商店にも投資しない。資産価値は上がらないけれども東京の資産価値が上がっているというのはそういうところにもあるわけです。
 そういうことで先ほどの居住の促進、そういうものを認定して支援していこうということをやっています。ポイントは、選択と集中ということでばらまきではないよということ、縮小しながら選択をして優先順位を決めて、そこのところに集中して投資をしないと効果が上がらないということを言っているわけですね。少子高齢化に対応した社会システムや産業育成をしているというのは、縮減の時代の中でどうしていくかということを考えていかなければならないからです。今までのフルセット主義から脱却する。それから、今の複数の所にまたがって生活をしたり都市圏を楽しんでいく。経済社会圏の単位を変えていく。だから、今部分的快適性を総合的な快適性にしていくということをやっていく。そういうような方向で地方都市圏を整備していくという方法。ですから、もうこれからはどこに力を入れるかというのをはっきりしていこうと。そういうプランがなければそこのところはばらまきになってしまうではないかということが議論されたわけです。
 それから、過疎の話に続けていきますが、全国の過疎市町村というのは739あります。全国の4割です。面積は55%ですが人口は8.4%、人口増加したのはたった2.2%です。あとはもう人口減少。過疎法は3年後に失効するわけですが、過疎ということに対して国民の了解が得られるかという議論をしています。それは日本中が過疎になってしまうから、過疎だからといって金を出すということは国民が了解するだろうかという議論がされています。だから、条件が不利なところに対して努力しているところに金を出していくということはあり得ても、過疎だという理由だけでは過疎債とかそういうものが、次回3年後はあったとしてもその次はない可能性はある。というのは、もうほとんど大都市圏以外は過疎になってしまうということですね。
 それから、過疎のところで非常におもしろいのは、10歳から24歳が転出超過なのですが、高齢者になってくると転入超過なのです。ただ、自然減はあります。でも、社会増としては転入が超過しているというのは子連れと、それから高齢者は実は過疎地域に戻ってきているというのがデータで出ているのですね。過疎地域に戻ってきているという、人口増加地区というのは先ほどの中で17カ所あるのです。それはどうした理由で人口が増加しているかといったら、宅地造成により住居の確保、今これ住宅は先ほど言ったようにつくれなくなってきて公営住宅は減ってきているわけですが、これもちょっとお話ししますが、島根県の海士町というのがあります。隠岐島ですね。人口が2,400人です。そこは平成17年から145人Iターンしています。それの一番の理由は、行政が親切だということと、住居を確保してくれる。それから、仕事を見つけてくれる。仕事の中でも観光産業しか今のところあまりないのです。基幹産業の農林業はだめになってきている。漁業ですね。それから、もう一つは、公共事業もだめになってきている。今のところ増えているところを見ますとこの二つ。それから、重視して取り組んできた事業というのは生活環境整備と交通整備、それから各種産業の振興ということで、交流定住は7番目なのですが、成果が見られなかった事業というのは産業の振興、交流の促進、情報通信の整備、この3つが進まなかったというのが過疎の地域のアンケートをとったときに、98%の回収率でしたがこういうことが出てまいります。とにかく過疎を取り巻く背景というのは、全国規模で高齢化の進行がしている。
 それから、市町村合併をしてきたということで、この市町村合併は実は過疎地域の再編でなかったかということを言われています。それは合併したところの7割が1万人未満で合併しているのです。だから、市町村合併の評価は、条件不利地域の自治体の再編であったという、結果としてこういう評価が一つは出てくる。それから、過疎地域は新市の中で埋没、内政化、過疎問題の認識が希薄化している。だから、内閣府の「わがまち元気」とかそういうほうの座長もやっていて全国の調査をやりますと、合併後元気になったという意見が増えたのです。それは中心部だけで答えているから周辺部の意見が入らなくなってしまっている。だから、周辺のことは内政化したり過疎化への認識が減っていってしまったというのが実は問題になっているわけですね。
 それから、先ほど言いましたように地域の産業、農林水産業と建設業の疲弊、どうしてもやっぱり、今工場を農村が誘致する法律ももうなくなったわけですが、もう内発的な方向に行かざるを得ないということは事実なのですね。だから、三位一体改革によって自由度は増したように思いますけれども、要するに財源は厳しくなってスリム化が必要になってくる。そのときに、今は都市と交流していく中から問題を解決していくしかないだろうという話。要するにその地域だけで解決していくということは不可能だろうということを言っています。これはいろんなところの結果を挙げると、先ほど言いましたように交流がないところはなかなか発展をしていかないというか、現状維持さえ難しい。
 それから、自然志向とかライフスタイルとか、地域貢献への高まり、これがこれからの新しいステージとしての人口流動化のキーワードになっていくということですね。団塊世代もそうですが、本屋へ行くと田舎暮らしという本が随分出ています。交流居住というのは二地域居住と同じ、これは総務省がつくった言葉で、二地域居住は国土交通省がつくった言葉でほとんどこれは同じです。条件不利地域の是正と地域の個性ある発展というのはどういうことかというと、今までは全国均一、どこに住んでいても同じように暮らせるということを言っていたのが条件不利地域の是正、だけどそれは地域の個性だという議論と並列していくということですね。だから、均衡ある発展という言葉を下げるということではなくて、それもやっぱり半分は生かしていかなければだめではないか。でも、それだけではどこでも均衡あるということはもう言えないということで、今の段階ではこのバランスをとっていく議論がされている。それから、もう一つは、先ほど言いました地域の手づくり自主組織というものを見直していく。今までは行政中心で自主組織をつくってきたけれども、手づくりで自主組織つくっているというところが、これは過疎の委員会の報告書の中にもはっきりうたっています。要するに手づくりの自主組織をつくる以外にないと。今までの行政主導型ではなかなか機能していないということがわかっておりますね。それから、UターンとかIターンの参画促進というのが地域の願いとして結構それが有効に生きている。要するに転入者の持っている経験やノウハウ、経験の力とか、そのことは都市との共生をやっていくことによって理解を得ているということで、こういうハードルが高いところは田舎と言われている閉鎖的なところではなかなかできないよねということがアンケート上も出ているということですね。先ほど言いましたように人口減少よりは交流の活性化、交流の活発化とか、それから多様なネットワークをつくった。これも内閣府のほうで地域の中のキーマンを調査して、キーマンがいないところは地域は活性化しないのですが、キーマンの今の特質は全国規模のネットワークだと。内にネットワークを持つ人と外にネットワーク持っている人がその地域を活性化していくキーマンになっているという、アンケート上も、調査に行ったデータも出ています。それは内閣府の報告書にも出ていますので読んでいただければと思います。
 それから、地域の経済の再構成と複合的な地域経営システムをやらなければいけない。先ほど言いましたように、地域の自主力が地域の問題を解決していく。そのときには新住民の参画というのは結構役に立つ。それから、より一層農業だけでなくて6次産業化しなければいけない。それから、交流産業と、先ほど言いましたような同じ観光でも交流ビジネス。それから資源保全型経済ということをはっきりうたっています。要するに資源を保全していく経済のほうが持続性があり、今共感が得られてきている。だから、自然を活用してそれを劣化させるのでなくてそれを保全しながらいくという方向でいかないと、もう都会の人の支持やそういうことにお金を使うというのは共感が得られない。
 それから、もう一つは、日本の経済がグローバル化してきて大企業中心で、日本の経済を支えている3分の2は輸出産業です。だけど地域を支えていく、暮らしを支えていくというのは、小さい経済をどう誕生させるか。これがないとだめなのですね。トヨタのある刈谷とかそういうところなんかへ行きますと財政力指数が2.6ぐらいあります。でも、駅前の商店街はもう本当に壊滅状態です。地域の小さい経済を無視してきているというのがあるのです。だから、地域の暮らしをよくするには地域の小さい経済を誕生させるということです。これは長野とかそういうところが高齢者が長生きするというのは小さい経済を持っている。年寄りの人でも直売のところへ行って売ったりしている。そのことが生きがいになって医療費も下がっている。要するに生涯現役でやっているところは元気だというデータが出ているのですね。それは小さい経済を誕生させるということは、地域のコミュニティを活性化させたり、そして地域のいろいろの問題を解決していくということで、これもうたっている。
 それから、都市との連携、核となるその都市との連携をしていくために、過疎地域の生活環境を高次的に支えるそういう仕組みをつくらなければならない。だから、岩手でも村がたしか六つぐらいありますね。そういうところと町村と都市部とをどういうふうに連携していくかということを、合併してもしなくてもそれは考えていかなくてはいけない。そういうような行政サービス、今の支出を削減して、その後に見直して消費税を増税するということ、支出を減らすということは行政サービスが悪くなる。行政サービスが悪くなって、なおかつそこに増税をするということですから、本当はおかしな話なのですね。だけどそういうようなことをこれからどうしていくか、サービスをどうしていくかといったときに、先ほど言ったように市場サービスと行政サービスの間のサービスをどうつくっていくかというのが、実はコミュニティの力にあるということですね。そういう行政のサービスが基本的なところは必要だけれども、補完的に必要だ。
 それから、市町村職員というのはやっぱり地域のアドバイザーになって地域のコミュニティをつくっていくということを応援しなければいけない。先ほど言いましたように、行政のサービスと市場サービスの間のサービスがポイント。それから、コミュニティの自発力とつながりということが非常に重要です。さっき言ったようにコミュニティの力というものは地域のこれからの大きな力です。ですから、いわゆる住民パワーを地域づくりに生かしていくシステム、それから組織として責任ある組織をつくる。それから、知的財産の時代ということで、地域で必要な人は情報力とマネジメント能力がなければならない。だから、専門性とマネジメント能力がないと知的財産の時代遅れ。だから、インターネットとかそういうものも上手に使っていくということも重要ですし、専門性をマネジメントする力がないともう知的財産の時代についていけない。それから、行政は寛容なコーディネーターです。異質な文化を入れるという寛容性を行政も持って、地域の中に開いていかないとハードルが高くなかなか難しい。だから、社交の場では価値観が違う人と出会うことがなくなる。何で都市の人とそういうことが必要かと言ったら、自分が理解できないかもしれない、違った価値観の、人と違うということが実は創造都市をつくっていくということにつながっているということです。
 今まではそういう観念的な話でしたが、事例を一つ出してお話をしていきたいと思います。これは長野県の松代というところです。今から41年前に長野市に編入合併して、そこは元の市部だけは栄えて辺境は寂れた。そこを町の歴史からよみがえらせて、プラス発想によって自分の町を活性化してきたわけです。真田10万石の城下町のところで、今の大河ドラマの山本勘助ということで、ここら辺もお客さんは随分行っていますが、山本勘助が築城した城があります。これはお社しかないわけですけれども、そこには文武学校というのがあって、生涯学習とか、それから子供たちの総合学習なんかでも使ってきた。そういうようなものが、藩校があると。長野市は県都として人口を増やしていくということをやった昭和の合併のときに合併して、疲弊して、高齢化が進み人口が減っているわけです。今都市計画道路を一部変更したりしてほぼ近前になっている。商工会議所が長野市には三つあって、これもいずれ合併するわけですが、そこは50ぐらいの町並み景観賞をつくって、今空き店舗はほとんどありません。これは住民自治でやっています。歴史の道、これは学校のフェンスを土塀にして、そしてこれはフェンスをPTAとかそういう人たちが一緒になって、こういう落ちついた佇まいこそ人が来るというところをつくっています。だから、商売やっているわけではないけれども、落ちついた佇まいをつくっていくことによって松代の教育は良くなり、それから高齢者も元気です。高齢者が100人ぐらいでこういうボランティアで案内してくれます。これ行きますと、ここに梅の木があってのろしつけてくれたり、そういう人たちがその地域に行くと地域の人が遊んでくれる仕組みをつくっています。こういうことが高齢者の健康や、実はコミュニティの力が備わっているわけですね。それから、「ホイサッサ松代」とか、女性のグループがNPOをつくって空き店舗で福祉とかそういうものを住民自治でやっています。ボランティアセンターもつくったり、非常に温かい地域をつくっているわけです。
 住民参加で自分の町を知らなければという、自分の町を知らなかったということを認識して認識を深めていくということをやったわけです。自分の町をどんどん知ろうという運動が起こって、松井須磨子の生まれたところで、それを見直したり、童謡の「おさるのかごやだ、ほいさっさ」とか、さっきの「ホイサッサ松代」というのは、作詞作曲した人がここで生まれたとかそういうことも調査した。フィーバーしたのがお庭拝見ということをやったのですが、300人以上から電話がかかってきて、自分の町のところにエコロジーな水を引き込んでそれで畑をつくったり庭をつくっている。そういうものを調査して、それを見たいという人、300人以上から電話がかかってきて、今も町家、町並み再発見とかそういうものをやっております。住民の人が自分の町を知ってそこを美しくしていく。そして、福祉もやる、教育もやる、そして産業も興していくということをやっています。
 そこではこういう情報の、これがNPOでつくった本なのですが、これ1冊1,000円で出しているのですが、それが4,500冊出ています。そのほか「町家のんびり」、これはNPOでつくっています。これらの編集も全部自分のところ。町外の人が半分手伝っています。例えば、東芝をやめた人が写真を撮ったり、全部ボランティアの人が撮っています。それをパンフレットとして出しているわけです。こういう城下町とかそういうところもつくり、それから子供たちもまちづくりに参加させるということで、お寺が32あって、そこの判こを高校生と一緒になってつくって、その寺の本もつくって「古寺巡礼ゆったり」というのもつくっている。それが大型の観光業者のバスツアーも回ってくるというようなことまで出てきている。このような歩くコースも18つくり、こういう写真やこういう本も全部NPOでつくっています。ですから、町のみんなが案内人となって自分の町をよく知っている。そこに誇りを持って文化にして、その文化資本を核にしながらまちづくりをしている。情報というものを非常に大切にします。
 ですから、今まで人が来なかったところが今80万人年間来ています。「エコール・ド・まつしろ」というのを行政がつくって、2年間だけ行政がやりました。だけど住民自身に今は任しています。佐久間象山のエコールドというこの筆跡を使っている。これが松代倶楽部として、遊んで学ぶ大人の学校ということで60歳からのお茶とか華とか、そういうもので人が来たりする。だから、大人の交流をしているのです。だから、大人の誇りを持てる交流ビジネスを起こしている、新しい動きを起こしているわけです。自分たちがやっている華のレベルを上げる、俳句のレベルを上げる。それから、おひな様、そういうものを飾っていくということもやって、それが松代から始まって、須坂、小布施、小布施のまちづくりも有名ですが、中野、山、これに民間の第三セクターの電車とタクシーとかを結んで、これも住民自治で全部相談してつくっています。こういうコースのパンフレットも住民の人がやっている。商店街で買い物をしてもらってスタンプラリーというのも、これも住民の人がやった。それを今JR東日本とか、そういうところのツアーがもう定着化している。
 要するに自分たちの趣味、文化というものを核にしている。
 それから先ほどもちょっとお話しした、海士町というところは145人がIターンをしている。そこではさざえカレーという、島じゃ常識「さざえカレー」という商品開発もしたり、海士御塩司所というのもつくったり、隠岐牛というのも5Aランクで有名になりましたが、キロ5万円とか。この2,300人の島は島根県の陸から60キロあります。私行ったときに本当に遠いと感じました。でも、そこでもやる気があれば産業を興し、そういう住民自治をやっている。それには、住宅情報を出して、公営住宅、民間を借り上げて直したもの、空き家バンク、死蔵している空き家をどうやってアクティブにしていくかということをやって、人が来ているということをやっています。
 これから皆さんの手元にあります、少し私の持論的なものをお話ししたいと思いますが、今までやってきた都市再生とか地域再生というのは緊急経済対策であって、これは官から民への市場原理を導入してきて急速な変換をしたのですが、秩序は形成されていないのですね。だから、ルールはないのです。それから、先ほど言いましたように、地域のことや社会のことや経済のことを解決するのは国や行政だけではなくて、そして市場だけでもないのですが、コミュニティというものがあまり入っていない。地域を安定的に長らえられる解というのは実はコミュニティにあるということなのですね。もう一つは、そのコミュニティのやっていることは小さいように見えるわけですが、小さな経済、今までは箱物をつくって、1が2になり、2が3になり、文化ホールをつくり、だけどそうではなくて、実は住民自身のところには小数点以下の世界は無限大の可能性があるということなのです。それは地域を知らないと、地域を知ったと思った時点からでないと認識は深まっていかないのですね。だから、地域を未知化しているのですね。小さい成功事例を積み重ねて、その経験の重みから自覚や自信が出てくる。それから、新しい仲間を入れて、違った価値観を入れて、その相互作用、そこで摩擦が起きたり、そこが創造的になっていく。だから、創造的になるというのは違った価値観とぶつかっていくということです。
 それから、自律というのは、この自律というのは自分の将来を自分で立てること、意思決定する。自立というのは、これは自分の力で身を立てる。こういう自立というのはこっちの自立から始まるわけですね。自分の将来をつくると。それから、もう一つは、今まで、どんどん物をつくってきたけれども、人工の限界というのは、化粧というのは、ひげをそるとか髪をとるというのも実は化粧ということで、人工の新鮮さというものが実は資源保全型の経済を生み出したりする。
 それから、もう一つは、時間というものがキーワードになってきているわけです。これも「ガバナンス」に書いたのを書きましたが、団塊世代と地域活性化ということなのですが、何を大切にしたいかといったら、今までの都会における時間を節約した時間通過から、いい時間を過ごすということで、時間がゆっくり流れる。時間がゆっくり流れるということは劣化が進まないということなのですね。自分の劣化も進まないし地域の資源の劣化も進まないということ。
 それから、現代のキーパーソンということで、これも内閣府の地域再生の委員会の座長のときにやったことなのですが、キーパーソンが必要です。カリスマとかスーパーマンみたいなのでなくても、今は内と外のコミュニケーションの境界がなくなってきているからネットワークを持っている。ネットワークを持っていろんな才能や才覚を生かす。そういうネットワークを持っている人が実はリーダーになっているということがわかったわけです。だから、そういう本をつくるときも写真がうまい人、編集ができる人、そういう人はみんな外の人です。NPOがネットワークしてつくっていくわけです。だから、地域の中でそういう力はないけれども、いろんな人の力を使っていくということをやっているわけです。
 ネットワークに必要というのは、やっぱり志とか目的の明確化と共有、それから異文化を受け入れる許容量、それから多様な価値観で出会える社交の場というのが必要。それから、コミュニケーション、情報ですね。そういう品質のいい情報を創造するデザイン力、それから思いやり、親切、面倒見とか、面倒見が良くないといけない。こんなようなことが実はわかったわけです。
 最後になってきましたが、地域の原理ということなのですが、地域には賞味期限がある。だから、いろんなことをやっても賞味期限があるというのは、時代が変わってしまった。それから、内部要因としても資源が劣化している。使えば劣化してしまうということなのですね。
 それから、パワフルな地域力というのは経済資本、先ほど言いました。だから、人的資本、それから重要なのは社会関係資本、人間関係ですね。それから、文化資本ですね。この二つが大切なわけですが、環境資本とあわせたこの五つの資本から地域は成り立っているわけです。これをどうつくっていくかということなのですね。
 だから、先ほど言いましたように社会や経済の課題というのは、国や行政による解決や市場による解決はやってきた。だけどコミュニティによる解決というものは意外とやってこなかったという反省に国も立っているということなのですね。このことは実は国が進められないのです。内閣府の地域再生の職員の人と私が、例えば南魚沼市のところの塩沢とかスキー場など、いろんな問題のあるところのお手伝いに行くときにも、県にも行きません。だから、魚沼市のところに電撃のように直に行って話をしたりするのです。今県の方もこういうインターネット時代だと市町村に直に行ったり、それからNPOと直にやったりすることができる時代になってきている。そういうことでコミュニティによる解決というものに対して非常に興味を持っている。
 最高の創造性ということは、やっぱり創造的な地域、今行政も縮小されたり非常に閉塞感があるものを打ち破るときには創造性というものが必要なわけですが、自分自身が変わるということが重要だということなのですね。それから、住民の人も社会参加をするだけでなくて、一人ひとりが社会貢献をする時代です。それから年とってくると経験はあってパワーはあるように見えるのですが、意欲がなくなってくるのですね。年とっても経験があって意欲がある。それから、自分だけにおごらずにネットワークを持っていくと、こういう人が実は想像力を持ったり地域のキーパーソンだということが調査によってわかっています。
 それから、文化資本というのは、もう一度見てみますと目に見えない地域の伝統や歴史、生活や営み、地域の風土や土壌というのが知的財産です。そこから生まれてくる。そこに新しい産業や人が来る。
 それから、社会関係資本というのが、先ほど言いましたように子供の教育、治安の向上、それから地域の経済の発展、住民の健康の向上、こういうものに効果があるということがもう実証されています。それはコミュニティの共有財産、共同資産であるということを言われています。今までの考え方というのは、ハードウェアだけ持ってくればいい。今はそれではだめだ、ソフトウェア。でも本当はこのマインドウェアというものの根っこというものが実はなかったのではないかということを思います。
 今重要な、お金がなくてもできるというのは、地域を褒めるということですね。地域で頑張っている人を褒めるということをやると非常に地域の人が頑張ります。地域の人を意外と褒めていないのですね。だから、皆さん議員の方が地域の人を褒めることによって、それを積み重ねることによって、もう少ししっかり評価してあげないと地域再生はできないと思う。褒めるプロジェクトが重要でしょう。美しい風景があったら、そういう志を持ってそれをやっている、そういう人たちのネットワークや、才能系の人のネットワークをつくって、いい写真家を連れてきたり、いい文章を書いて、それで情報の建築をしている、そういうものを褒める。そういうことをやろうとする小さい自治にも少額の援助をしていく。だから、これからは岩手県が褒め上手になってバイリンガルの本をつくってもいいし、世界じゅうにいい写真といい文章で、岩手県で頑張っている人やいい産物やそういうものを褒めていく。いい情報を流したところ、情報の建築をつくったところが伸びてくるというふうに思います。
 それから、創造的というのは人材と技術と寛容性です。人材が地域に、これは「ろーかるでざいんのおと」という本を私書いたのですが、そうしたらローカルデザインというものが成り立つのですかってきた。デザインの本は9割以上が大都市圏でしか売れない。地方ではデザインの本なんか売れない。デザインが経済をドライブしたり、デザインのコミュニケーションのもとになっている。そういう人たちが実は都会のほうにしかいない、東京のほうにしかいない。だから、テクノロジーというものが少ない。テクノロジーもある程度一定のところへ行くとあとはデザイン力、それからもう一つはそういういろんな人たちを入れていく寛容性がないところってだめなのですね。創造的な階層が好んで居住する地域こそ経済的なパフォーマンスが優れているということは、今の日経新聞なんかも皆さん見たところわかると思いますが、創造的都市ということを言っています。部分的に陥りがちな組織に全体的な最適性を実現するというマネジメントを入れていかないと部分的なもので終わってしまっている。そういうようなことです。
 地方自治法を目指していく方向というのは、一時的な繁栄ではなくて本当に安定的に長らえる「解」というのは、実は先ほどの三つの行政による公の解決、それから市場の解決とコミュニティの解決、この三つがうまくいくことです。特にコミュニティによる解決というのは重要で、そのことによって残さなければいけない風景とか、残さなければいけないものは残す。日本人が帰る場所もちゃんと残していかないと、これからは文化資本を継承するということはコミュニティにしかない。要するに文化というのは地域で生まれて、地域で育って、世界で認知されると文化になるわけですね。そういうようなことが必要です。
 私の話は、皆さん御存知の話で、本当に私から教えられるようなことはないのですが、私が今、国の委員会などで調べたことはこういうようなことです。
○高橋博之委員長 鈴木先生、御説明ありがとうございました。
 これより質疑、意見交換を行います。ただいまの御説明に関し質疑、御意見等がありましたらお願いいたします。
○新居田弘文委員 貴重な御講演であり大変ありがとうございました。いろいろお話ありましたが、ちょっとお聞きしてみたいと思います。先ほど国勢調査の紹介の中で55歳から74歳、いわゆる農村部、過疎地に転入が増えてきたというようなことを伺いまして、確かに現役をリタイアしますともっと静かな、あるいはいろんな老後を楽しみながらということで田舎に来る方々、何回かお目にかかるわけですけれども、そういう傾向の紹介もございました。
 ただ、一方で人口調査、過疎地の少産傾向の中でいわゆる農村部の疲弊というか、言い方、表現が正しくないと思いますが、単に経済的に言われているというようなことで、その辺の兼ね合いについて御紹介いただきました。やっぱり聞いてみますと、都市部で一生懸命働いた方、満員電車で何十年と振り回され、あるいは小さな住宅に住んでということで、老後は自分の生活をまた再チャレンジしたいということで農村部にお見えになる方に何回か会うわけですけれども、そうすると岩手らしさとか、あるいはその地域のらしさに非常に親しみを持った老後生活に再度入っているというような状況の中で農村部の活性化、後半の部分でその地域の部分についていろいろ御紹介ありましたが、その一例といいますか、松代の関係も御紹介されましたが、あれは地域の観光とか、そのコミュニティ等についてなのですが、もう少し農村部で取り組むようなポイント等について御紹介なりあるいはお考えをお聞きしてみたいなと思います。結構住んでいる我々も、いいところあるぞと思うのですが、まだ一方では経済的な今の傾向の中、国の農業政策の影響もあってかその辺が弱いところなのです。その辺についてお話をお聞かせいただければと思います。
○鈴木輝隆参考人 都市住民の人が、農村にすぐ移住するかというと農山村に移住していないのです。自分の資産は処分していないのです。自分の資産は持ちながらもう一つ欲しいと言っているのです。だから、完全に移ってくる人もいるけれども数は少ないと思うのですね。だから、二地域居住とか、ロングステイとかそういうものが盛んに言われているというのは、いったんそこで練習をしてみて、農村に住むのに向く人と、都会の価値観だけでは住めない方、住めない人もいるわけですが、そういうものを提供するということは1つあるのですね。
 そうであっても2つ持つということのときに、ではもう一つの家を持てるかといったときに、要するにリタイアした人はローンが組めないのです。もう私も組めないし先生方も組めないと思うのですね。ローンを組むのでなくて自己資金でそれを全部やるならいいです。ローンを組む際に、その土地が担保にならないのです。ローカルな家と土地はほとんど担保にならないのです。そうすると、生命保険に入っても生命保険ももうきかなくなってくるのですね。それなら稼いでいる金が担保なのです。だから、自分の家の人、稼いでいる金が実は担保になって金を貸してくれる。それが貸してくれないから、そういうのをどういうふうにしていくかというのが議論されているのです。日本の中古住宅市場というものが地方の方へ、ローカルへ来るとないのです。
 要するに都会であればマンションは不動産屋へ行けば買えるのです。田舎の空き家というのは買えないです。私もお手伝いしていてちょっとそこの文章の中にもある。山梨県の北杜市の津金というところがあるのです。130戸あって空き家が41軒、独居老人38あるのです。でも、これは全然中古市場に出てこないのです、この空き家が。先ほど言った326万戸という空き家出てこないのです。立派な家があるけれどもほとんど活用されていないのです。今そこのところへ学生たちが来て、ひとり暮らしのところへ泊まってそこの掃除をしたり、あぜ道の草を刈ったりしている。そういうことで信用を得てきた4年間があって、血がつながっていなくてもいいな、若い人が来ると心強いなというふうに思って少し近づいてきたのです。それまでは、この町は若い人に占領されてしまうかとか言ったのです。そんなことはあり得ないのです。でも、田舎社会は割とそういう自分の家を活用していくということを考えていないのです。
 老人クラブの人との研究会があったのですが、例えばその家を70歳になってから3,000万円で直す。自分の子供に譲らずにほかの人に譲る。毎月20万とか10万の金をもらって。死んだら自分のものにならなくてほかの人に譲るという形で、いい家に住んで小遣いもらって死んでいこうという運動なんかもやったりしていることは事実なのです。年とってから家を直すというのは自分の子供が帰ってこないとなかなか直さないわけですね。だけどそれは卵が先か鶏が先かみたいなもので、やっぱりいい環境をつくって、いいコミュニティをつくって、血がつながっていなくても帰ってくるということを前提にしないと、土地にしがみついている以上は縮小せざるを得ないというふうに私は思うのですね。だから、みんなに、よその人に住んでもらいたいということをさきの海士町もそうですが、住んで欲しいと思っています。住んでもらうにはその家を実験的に提供して住んでロングステイなり、やっぱり住んでもらってその暮らしになれてもらう。
 問題点は、まず空き家を持っている地主が了解する。それから、その家を直してくれる信用ある大工を紹介してほしいというのです。それから、地域でみずから農業をやると、時間があいてしまうからコミュニティに入れてほしいというわけですね。そういうことをやれる、それがプラットフォームというか社交の場なのです。そういうものがない地域にはやっぱり人は入ってこないです。人が入らない仕組みをつくってしまったわけですね。人が入る仕組みを一緒につくっていくということを美麻なんかはつくったわけです。そういうことをやっていかない限りは、情報がないから都会の人は来ないです。だから、交流から初めて、いろんな理解をし合って、自分たちも理解し合って、自分の子供も帰ってきてなかなかいいところでないかというふうに認識していくというのがある。
 農家がつくって飲んでいたリンゴジュースに「うらやましいつがねりんごジュース」というのをつくったり、いろんな商品開発も生まれたり、貨幣もできてきたり、それから学生がスケッチしたのですが、地域の人は歩かないのです、車で。歩いてマップをつくったとか、もういろんなことが起こってくる。竹やぶがあったら竹を切って竹林にして、それで立体的なそうめん流しもつくったり、そういうのも学生がつくったりしている。そんなようなことが動いてきたりするのですが、そういう仕組みを交流からつくっていくということをもう一度やっています。
○新居田弘文委員 もう一点、今県内ではグリーンツーリズムというようなことで、都市の高校生ぐらいを対象にしていろいろ受け入れて、何百人なんて言っている。つまり拡大しつつあるところですけれども、それを将来につなげるような、あるいはもっともっと発展させるためのアイデアといいますか、その辺についてのお話、もし聞かせていただけば、よろしくお願いします。
○鈴木輝隆参考人 これは今度出る雑誌で、地域のブランドづくりというのを書いているイオンマガジンです。英語と中国版になって10月号として出るのですが、先ほどちょっとお話しした日仏景観会議というのを私やっています。フランスの農村というのは世界の宝石と言われるぐらい美しいのです。農村部の中でも結構楽しく、三ツ星のレストランとかそういうのも農村部にあったりするのです。どうしているのですかと言ったら、フランスの農産物を買ってもらうことによって、そこにその風景が残り、味が残り、そして人とか伝統が残り、そして経済もできると。だから、どういうものを残したいかという風景をきちっと情報発信して、これを買ってくれるとこのブドウ畑が残り、世界の人がワインを飲んでくれるとブルゴーニュのその技が残り、伝統が残り、人が残り、景観が残り、経済が残り、そういうものを残していこうというのがフランスの戦略です。
 11月に私も行くのですが、やっぱり自分たちが残していこうと思うものをはっきり日本人は持っていません。それをSRGという手法などを使ってフランスのものを世界の人に残してもらうという戦略なのですね。美しい農村を残していく。だから、我々はやっぱり日本の文化資本、何を残していくかというのをきちっとうたって、そういう風景や写真やその残している人を褒めてあげてそれを残していかないと何も残らないというふうに思います。そういう戦略をフランスは立てているということです。
○高橋博之委員長 ほかにありませんか。
○佐々木一榮委員 関連いたしましてお尋ねします。今日のお話は非常に根幹の部分でした。まず地域のあり方ですとか、冒頭には商業、医療、福祉のお話もありましたけれども、今フランスの話もありました。全国、北海道から沖縄までそれぞれの個性を持った地域があって、その中でさまざまな今まちおこしなり今のグリーンツーリズム、全国でもさまざまなことをやろうとはしているのですけれども、それをトータルで考えた場合にそれこそ岩手のあり方なり、東北のあり方なり、例えば今先生がおっしゃった国のあり方といいますか、国づくりというか、先生も国土交通省のそういった委員もなさっているということでありますから、我々も地元に帰って何かそういった褒めるとかお手伝いということはできるかといえばできると思うのですけれども、それを全体でとらえる必要がないのかどうなのかなという感じがしているのですけれども。
○鈴木輝隆参考人 全体でとらえようという努力と、それから個々でやるというのは両方並行してやっていくしかないと思うのです。とにかく私は地域の町の編集をしていくということが重要で、その町を知っていると思ったときからでないと認識が深まらないから、知らないということから調査をやっていくということで、私どもの学生もそうなのですが、例えば今四万十のほうに自然の中で暮らしたいという学生がいます。今若い人の25%は1都3県で生まれているのです。その東京の1都3県集まっているのは35%なのです。3分の1は若者で地方に若い人いないのです。その若いのが田舎に何で先生住めないのと言うわけです。会社はもう3つぐらい受かっているのですね。彼の卒論のテーマが理想と経済をどうやって合わせられるかということを言ったのです。結局若い人たちが帰ってこようと思っても理想と経済が合わない。それから地域のことも知らない。だから彼は四万十に行って魚を釣りながら自分で食っていくという。自立していくと言いながら食っている人のインタビューもやっていこうということです。地域の中でもっと地域を知らなければということで認識を深めて、どうやったら食っていけるのだろうという、こつこつやるところをやっていないのです。もう高校出たら東京なり大学へ行ってしまって、地域のことなんか知っているようで知らないのですね。子供のころ遊んだねというのを思い出してくるということあるのです。
 だけど今言っているのはやっぱり地域のことを知らないから、そこに立脚してその文化資源を盾にして自分が生きていくという方法を見つけてくるのは創造的なそういうものなのです。そのことを少し書いたのが先ほどの、今度地域政策というのに出る文化資本の発見から地域創造へと、こういうこと意外とやっていないのです。
 これもそうですけれども、空き家が41軒あると発見したのは郵便局の局員なのです。行政のほうで全然その空き家の調査していないのです。空き家になると市町村は調査しないのです。そういうようなことをいっぺん調査やって、インタビューをして、その不在地主にアンケートもとった。どうしたら売りますか、どうしたら貸しますか、そこまでやっぱり地域のことを知って、その地域の問題を解決して、そこの中でこの地域をどう生かせるかというところの積み重ねを意外と行政はしていないのです。
 それから、これは高知県でやっている「土佐の風」という、私の「ろーかるでざいんのおと」の本をデザインした人がやっているのですが、こういったような見えない文化が見える本というのを出しているのですね。こういうのを僕はバイリンガルや何かで地域の文化を残していくというか、地域の勝手連文化財とかああいうこともやったりしているのですが、見えない文化というものをどうやって表現するか。私はコミュニケーションデザインというか、鶴の湯のポスターとかそういうのもデザイン、デザイナーの人とか、それからこの本にも推薦してもらっている無印良品のデザイナーとか、デザインの力みたいなものを借りて、自分たちの見えない文化をどうやってみんながわかりやすく住民の人も理解できるかということをやらないとだめなのです。
 この本をつくったら空き家の人が、うちの空き家も使ってくれって、これを自慢したのです。ここに出ている清水さんという人の家を借りたら同窓会で横浜のところへ行ってこれを24冊地域に配ったのです。おれはこんなことやっているのだよ、そうしたらうちの家も使ってくれと。だから、いい情報をさっき言ったようにつくってあげて、そこから醸成していって、空いている家を上手に使う岩手県とか、何かそういうような興味みたいなのが出ればよいのですね。空き家を上手に使って、それが未来をつくるのだということで「うらやましいつがね」では、そこには未来が詰まっているよって、そういうようなことを見つけていくというようなことを学生がやっているのです。
 今富山県の利賀のところにも30日間学生が行っています。地域の人も役場の人も知っていると思って全然調査しないのです。見えないものをいかに大切にするか。見えないところに、これもそうですが、見えない文化という、そういうことを意外とやってこないから、見えるハードなものばかりつくっていて、それが批判を浴びているのではないか。見えるところも必要だろうし見えないところもちゃんとやっておくということを岩手県がやっていけば岩手県の大きなコピーになると思います。
 そこを知るにはやっぱり、藤原三代もそうだけれども、生活の中の見えないものをどうやってそれを表現していくかということが結構重要な時代になってくる。
○佐々木一榮委員 最後に、ヒントをいただければと思いますが、先月末に、来年、今の藤原文化ではありませんが、来年の平泉の世界遺産登録の関係でイコモスの方がいらして3日間現地調査をしました。文化庁、それから県、地元市町村で、聞いてみますとそれなりに評価はいただいたのではないかということですけれども、言われたのが今先生おっしゃった地域の、平泉を含むその地域の住民を含めた世界文化遺産に対して持っている価値観だとか、住んでいる方々がどういう思いがあるのかという部分がちょっと低調だというような指摘があったのです。何か先生のほうでアドバイスというか、さっきその地域を意外に知らなかったというお話もあったものですから、ちょっと質問の意図がずれているかもしれませんけれども、ヒントがありましたらお伺いします。
○鈴木輝隆参考人 石見銀山も世界遺産になりましたが、石見銀山の世界遺産に反対している人が結構地元にいるのです。松葉登美さんとか、義足をつくっている「中村ブレイス」という、有名な人がいるのです。世界遺産になって、観光地になって、そこのところが俗化してだめになってしまうのを防ぎたいという気持ちが結構強いのです。世界遺産になるとさっき言ったように資源を劣化させる可能性があるということを言っているのです。要するに観光地になってしまうわけですね。大型のバスが来て、駐車場があってみんなどこも同じになってしまうと、同じになってしまうから自分たちの本当に大切なものを残しておく。
 フランスの人に聞いたら、自分が世界遺産のところに住んでいるということさえ意識していない人が結構多いのです。だから、世界遺産イコール観光地だという意識ではなくて、それは誇りを持って生きているということが重要なわけですね。だから、文化資本発見から地域創造へと言ったのは、ここで修士論文をやった学生がいてそれが非常におもしろかった。文化的な景観というのが、今文科省のほうでそういう景観が文化庁のほうが認めているわけですね。文化的な景観。それは、その地域の人が自分が本当に大切にしているいい風景というものを書いてくださいと言ったらみんなアンケートに答えて、そこへ行ってみると10メーター違うとその山の見え方とかそういうのが違ってくる。いい風景はみんな知っているのです。それをポイントに落としたのです。そこを歩いてみたらすごくいい風景なのです。自分の住んでいる500メーター以内、そこへ行ってみると、昔からやっているリンゴ畑の営みがあって美しいということをちゃんと知っているのです。みんなそういうものを調査する方法を知らなかったのですね。だから、例えば藤原三代もここへ行ったらいいよという、その見える建物だけを見に行って、ああ、金色のこれがということでなくて、地域の人が大切にしている風景とかそういうものも全部やっていく。地域の環境の中で、地域の人が一番価値を知っているものをどうやって引き出していくかというのを、風景だけでなく、いろんなことをやる。実は無意識にあるものが重要なのです。無意識にそこの風景がやっぱりいいということは知っている、何かの機会に出てくると。だから、見えないものをちゃんともう一度認識するということは重要です。
 昔、村祭りをやっていたときのことを知っているから、祭りをやっていかなければいけないと認識しているのです。子供が大人になっても覚えているのはその祭りをやっていた風景を覚えているからです。その祭りをやらないとこの地域を忘れてしまうということを地域の人が言い出したのです。意外とそういう溶け込んでいる普通の感覚をどうやって引っ張り出すかという、観光だけでなくてそういうところが結構重要だというふうに思うのですね。
 ただ、そういう面倒くさいことを行政もやらないのですよ。学生とかそういう人と組んで面倒なことをやってこなかった。ある程度見えるところばかりやってきたという弊害が障害的になってきた。松代なんか見に行くと、地元の人が食べているおやきのてんぷらとかそういうところも案内してくれたり、結構いいところを案内してくれるのです。だから、観光へ行くよりもそこの地域のボランティアの人が見えないようなところでおもてなししてくれるから、なかなかいい地域だなと思うから、外の人も協力してくれて、NPOの人がそれだけの本もつくったりそういう地域をつくっている。だから、意外と私の言っていること、何か難しいことを言っているようですけれども、本当に心にあるものをどうやって引き出すかということ、見えないものをやるということを意外とやってこなかった、それをどういうふうにやっていくかということをやる時代が来ているのではないか。
 簡単に岩手県のコピーはなんて見えるところだけつくっても実際にはやっぱり心に訴えてこないし、みんながやっても、伊達市のところでやっているヘルシー伊達というのが、どこまで住民に落ちているか、そこが落ちていないのです。住民の中にある普通の常識を、それをもう一度再認識すると住民の人はわかるのです。新たに外に頼って外のことばかりつくる必要はないのですね。普通にあるものをもう一度意識化してその言葉を発見するということが重要だというのは、先ほどの高知もそうですが、当たり前のことを当たり前にやっていくということを意外とやらずに、外に頼ることばかりやってきたというところが問題ではないかなと思うのですね。
 回答になったかどうかわかりませんけれども、みんなが知っていることで、ああ、そうなのだということを見つけたら、一番重要なことだと思います。新たに外から持っていって地域の人にこうだぞ、この地域はキャッチフレーズがこうだぞということをちょっとやり過ぎてしまったのではないか。世界遺産のときもそのようなことをやるのではなくて、地域の人たちが知っている見えないそういうものを藤原三代の平泉で聞いていって、きめ細かくやっていって出てきたことを、それを地域の人が案内したりするともっと深い感動があるということです。さっきのこの遊学城下都市の遊学の勧めというのは遊んで学ぶということ。これは町がつくったパンフレットですが、全く住民の人を利用しているのです。住民の人の写真や何か、住民の人から生まれてきたものを行政が上手にそれを使っていくという、それぐらいのやり方で世界遺産をやっていくということが本当は長続きする。
○佐々木一榮委員 ありがとうございました。
○鈴木輝隆参考人 何か回りくどくて申しわけありません。
○高橋博之委員長 ほかにありませんか。
○岩渕誠委員 貴重なお話ありがとうございました。先生のお話を伺っておりまして、四、五年前、あるいはもうちょっと前から取り組んでいる言葉としては地元学というのありますね。地域学という言葉もちょっと連想したのですけれども、確かに岩手県でもいろいろな、陸前高田でも、いろんな地域で地元学ということでやって地域再発見、とにかくこの地域のナンバーワンは何だという活動をしているところはあることはあるのですが。
○鈴木輝隆参考人 有名ですね。結城登美雄さんとか。
○岩渕誠委員 結城さんとか、いろいろやっていますが、ただなかなか2次展開といいますか、いろんな地域で地元学をやって自分の地域のいいところはこれだよと、例えば今言った無形のものでも、このおばあちゃんのつくるこの味というのはなかなか出せないよと、そういう形でのいろんな掘り起しは進んでいる地域もあるのですが、なかなか今先生に御紹介をいただいた全国と比べるとやっぱり2次展開といいますか、これができていないだろうなと思うのです。それはそのアプローチの仕方に問題があるのか、あるいはその発信力に問題があるのか、あるいは、いや、そんな2次展開なんかしなくてそれでもいいのだというような形なのか、先生はどのようにお考えになっているのかということを1点お伺いしたいと思います。
 それから、今の世界遺産のことに関連してなのですけれども、何を残すかということについても、やっぱりビオトープ的な考え方から言うと、風景というのはそこに人がいるから維持をされているということが大前提だと思うのです。ただ、そういう意味ではそこでの営み自体が文化遺産だよということに位置づけないと、やっぱり先生おっしゃるようにあまり世界遺産になっても、なかなかその真髄というものは伝わらないのかなという思いは個人的には持っているのですが、その辺の意識づけをどういった活動の中に生み出していったらいいのか、ヒントがありましたらお願いします。
○鈴木輝隆参考人 コミュニケーションデザインというのは、人に伝えていくときに、これでもか、これでもかという目を見開かせるようなデザインでなくて、個々浸透していくようなデザインというものが必要なわけですね。地域のことを知らせる努力というのをあまりしていないから地元学というのをこつこつやっても、それをどうやってみんなにコミュニケーションしていくかという、そのデザインのところに一つは、受け取った側にとってみれば、ああ、そうなのだという感動があるデザインをしていかなければならないわけですね。
 そこの部分がやっぱり欠けていて、コミュニケーションをそういうふうに調べればいいという。いろんな国の委員会で報告書をつくっても、やっぱりみんなが読みたくなるような報告書、薄くてもいいからそういうコミュニケーションのデザインをつくっていかないとだめだということなのですね。これ、あさって行こうと思っているのですが、日比野こずえさんという人で、歌舞伎の衣装なんかやったり、日比野克彦さんの奥さんなのですが、仲良くて、日比野こずえさんがつくった水戸芸術館のパンフレット、こんなのだったりするのですね。これだったら学生もみんな持っていたいとかと言って、見に行きたいわとかと言うわけです。コミュニケーションデザインの方法というものは紙を使ってこれは感触がいいとか、さわり心地がいいというのも一つのデザインなのです。岩手のデザインってやっぱり心にしみるよねとか、岩手らしいデザインをしているよねというようなものをやったり、どうやってコミュニケーションするかというところのデザイン力は意外とないのです。無印良品のところのお手伝いをしていて、この間もスウェーデンのスコットランドとかそういうところへ行って、向こうの人と話していると、簡素なものは豪華なものに勝てるということを言ったのですね。デザインが、要するに化粧し過ぎないから、自由度が高いからどうやって使うかというのは自分の側のほうにある。そういうデザインをやっている。スウェーデンに行って、フィンランドに行ったら、無印はいいですね、日本のあれはいいですね、日本のものは簡素なものが豪華に勝てて、あのデザインというものはいいですねと言う。
 岩手こそ僕は本当に、世界遺産できんきらきんしたイメージあるけれども、本当はそうではなくて、日本の文化というのは非常に簡素なものの中に美しさがあるというようなデザインが重要です。
 世界に売るようなワインのラベルのデザインもちょっとお手伝いしてそれをパンフレットにすると、日本のその地域から、地からわき出たようなデザインをどうやってつくっていくかということをやっています。この世界遺産の情報として出したり地元学もやっていくという、そういうデザインのほうもコミュニケーションデザインをしっかりやるということが重要だと思うのですね。この本にちょっと書いてあるのは、地域に咲いている花を見つけて、その花がいいということを見つけることが重要なわけです。それが地域の地元学なのです。それを上手に、美しい写真1枚で褒めてあげるということをやらないと、その部分のコミュニケーションをやらないと、やっぱりみんなは難しいとか、理解できないと言うのです。だから、どうやって人にその情報を伝えるかという部分、皆さんがやっていることのいろんなことを、この委員会の情報の伝え方もどうするかというところまで実はやらないわけです。みんなこういうことをやっていたのだという共感を得るほうになっていかないところにやっぱり行政の問題があるというふうに私は思いますね。「オリザ」という前いい雑誌なんかも出していましたけれども、やっぱりあれはどちらかというと岩手を褒めているというより全国のいろんなものを集めてきているから、やっぱり岩手をもっと褒める雑誌にしたらいいなというのは思いましたね。
○高橋博之委員長 ほかにありませんか。
○小野寺有一委員 先生、今日はどうもありがとうございました。先生のお話の中で何度か出てきたキーワードだと思うのですが、フルセット主義からの脱却というお話と、それを要はネットワークがいろいろな形で補っていくというか、それによってもっといいものになっていくというような趣旨のお話があったのではないかと理解をしているのですけれども、私は岩手県の釜石市というところが地元なのですが、実際にコミュニティというか、それぞれの集落というのは地理的に隔てられているわけですね。例えば、半島とか、それから山岳とかというもので地理的に隔てられてコミュニティが散在しているというか、離れて存在しているわけですけれども、例えばフルセット主義からの脱却ということで言えば、釜石市が今の地図の形になったのは昭和30年のあの昭和の大合併のときになっているわけです。その昭和の大合併のときから実はもう既にそれぞれの辺境に当たるところというのはフルセット主義から脱却せざるを得ないというか、とっくに要はそのフルセットをあきらめている地域なわけですね。それをこれから先、フルセット主義からの脱却というのは、さらにあきらめろということを我々は言わなくてはならない。それで、フルセット主義を例えばネットワークが補っていくものだと考えたときに、交通体系のアクセスという意味でのネットワークは、実は細っているわけですね。私の住んでいる地域には昔公民館みたいなものがあって、それがなくなってもっといい市民文化会館ができているのだけれども、例えばそこでコンサートとか何とかというのを見に行こうと思ったら、本当に辺境にいる人は実は1泊しないとそのコンサート見に行けないという事態になっているわけですね。ですから、そういったとっくにフルセットをあきらめている地域の人に、これから先そういう交通面だけではないいろんな人的なネートワークとか何とかということで、もっといい社会が来る、もっと幸せなところが来るということを、僕も一応政治家の端くれなのでその地域の人たちに元気を出してもらいたいし、褒めていきたいわけですけれども、先生だったら何と言ってその方たちを勇気づけたり元気づけたりされるか、そういう一つのヒントとキーワードを頂戴できればなと思います。
○鈴木輝隆参考人 なかなか難しいのですが、少なくともこういう資料なんかも学生たちに配って死蔵するなということをよく言うのですよ。要するに活用しないでつづってしまって、行政の人もファイルにしてきれいにつづるとそれで満足してもう見ないのですね。そうするとごみが増えてくるだけなのです。だから、どうやってアクティブにしていくか。建物にしても公民館にしてもどうやってアクティブにしていくかというところが実はあると思うのですね。
 一つの例としておもしろかったのは、そば打ちをやっていると、そば打ちのめん棒とか延べ板というのは結構大きいのです。年とってきたらそれができないから、それを小さくしてもういっぺん削りなおして小さくやったらみんな使えるわけです。だから、それは1泊して行かなければならないなら1泊民泊できるようにしてあげるとかいう仕組みをつくればいい。その人のその時代、その時代の背景に合わせていくことを、そこの中でやる、やれないというふうに思っているだけで、やる方法は、延べ板、延べ棒もこの長さでなくて、その年のその人に合ったサイズに加工してやればもういっぺんそれはよみがえると、そういう発想が意外とない。みんないつまでも若いと思っていたり、そうではなくてやっぱりそういうサイズに上手に合わせていくということを地域のほうが工夫すれば死蔵せずにいけるわけです。
 空き家だったらそれを生かそう。いろんな地域に合うものをどうやってアクティブにするかということを考える。空いている家を公民館がわりにその日は使おうとかいうふうにしてもできるだろうし、延べ板、延べ棒を小さくするように、そういう方法によってアクティブになるならばアクティブにする方法を考えていったほうがいいのではないか。学生も資料なんかもどうやったらアクティブにするかということを考えていかないと、死蔵、死蔵の連続で人生いってしまって、ごみの山の中で生きている。どうやったら役所なんかにある資料にしてもアクティブにするかとか、その地域の中で少ないものでもアクティブにするかというところをもう一度そのサイズをはかり直してみる。民泊も北海道B&B協会などでは、自分の家というのは子供が育ってしまうと空いている部屋が結構あるわけです。その1部屋を交流業というもので貸せば、旅館業法でなくて交流業の交流代というので払えばそれは直さなくても使えるわけです。だから、1泊しながら交流して楽しむという仕組みをやればできるというふうに考える。そういうアクティブにする方法を考えるということが僕は重要だと思います。結構学生なんかによるといろんなことを発見してきて非常におもしろいことを言うのです。我々は常識にとらわれてしまっているから、できないとか思うけれども、こうしたらいいですよと、ちょっとのことで変わるというところはありますよ。ぜひ何かそういうところに学生3人ぐらい入ってどうしたらいいのだとか言うと、こうしたらいいと、意外とうまくいく。
 物事を計画して計画どおりやると失敗するのです。10年かかると時代背景が変わって、役に立たなくなってしまう。そのときにどうするか、計画以上のことを絶えず考えていくようなことをしないと、計画どおりやって、みんな褒められると思ったらみんなうまくいかない。多摩ニュータウンだってバリアフリーなんて考えていないから階段だらけだったり、20年前は考えなかったのです。ところが、今は考えなければならぬからどうしたらいいかというので、そのときに学生たちに、これどうしたらいいのかを考えろということを言ったわけです。そういう調査などもやったりしたのですね。回答になったか本当にわかりませんけれども、具体的にはそういうことを、延べ板、延べ棒みたいなものをやっている地域があります。その地域の食文化の復活がなぜできないか、そうしたら延べ板がへこんでいた、延べ棒が長過ぎた、では小さくすれば良いということで、またそれが復活してきたという、そういう例はあるのですね。
○高橋博之委員長 ほかにありませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
○高橋博之委員長 ほかにないようですので、本日の調査はこれをもって終了といたします。
 先生、本日は大変熱意あふれる御講演いただきましてありがとうございました。さまざま国のほうで審議会やあるいは研究会などで、大局的な見地からこれからの地域づくりのあり方について議論されている御様子ですとか、あるいは一方で全国の元気なる地域に直接足を運ばれてさまざまお手伝いをされているということで、両方のほうからのお話を聞けてとても参考になりました。今後の本県の交流人口の拡大、それからコミュニティの再生に生かしてまいりたいと思います。本日は本当にありがとうございました。
○鈴木輝隆参考人 どうも失礼しました。ありがとうございました。
(参考人退室)
○高橋博之委員長 次に、1月に予定されております次回の当委員会の調査事項についてでありますが、御意見等はありませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
○高橋博之委員長 特に御意見等がなければ、当職に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○高橋博之委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、先に通知しておりますとおり、9月13日には県内調査を実施いたしますので、御参加願います。
 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日は、これをもって散会といたします。

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