交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会会議記録

交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会委員長  高橋 博之
1 日時
  平成19年8月8日(水曜日)  
  午前10時4分開会、午前11時42分散会
2 場所
  第3委員会室
3 出席委員
  高橋博之委員長、岩渕誠副委員長、佐々木一榮委員、新居田弘文委員、五日市王委員、
  喜多正敏委員、菊池勲委員、樋下正信委員、小野寺有一委員、田村誠委員、
  小野寺好委員
4 欠席委員
  なし
5 事務局職員
  小原担当書記、船本担当書記
6 説明のために出席した者
  岩手日報社東京支社 編集部記者  神田 由紀 氏
7 一般傍聴者
  1名
8 会議に付した事件
  (1) 県内のコミュニティの現状について
  (2) 次回の委員会運営について
  (3) 委員会調査について
9 議事の経過概要
○高橋博之委員長 おはようございます。ただいまから、交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会を開催いたします。佐々木一榮委員、少々遅れますので、御了解お願いいたします。
 これより本日の会議を開きます。本日は、お手元に配付しております日程により会議を行います。
 これより県内のコミュニティの現状について調査を行います。本日は、講師として岩手日報社東京支社編集部記者、神田由紀さんをお招きをいたしておりますので、御紹介をいたします。
○神田由紀参考人 おはようございます。御紹介いただきました岩手日報の神田由紀です。ふだん取材で大変お世話になっている先生方に、このようなお話をするのは大変恐縮ではあるのですけれども、地域をよく御存じの皆さんからもいろんな御助言をいただきたいと思って参りましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○高橋博之委員長 どうもありがとうございます。神田さんの略歴につきましては、お手元に配付いたしておりますとおりでございます。
 本日は、「県内のコミュニティの現状」と題しまして、神田さんが取材を通じて実際に御覧になった県内のコミュニティについての貴重なお話をいただくことになっております。
 それでは、これから講師にお話をしていただくことといたしますが、後ほど講師を交えての質疑、意見交換の時間を設けておりますので、御了承願いたいと思います。
 それでは、神田さん、よろしくお願いいたします。
○神田由紀参考人 では、県内のコミュニティの状況についてということでお話しさせていただきます。初めに、私は去年の1月から6月まで岩手日報の夕刊1面に61回「とことん住民力」という連載をいたしました。県内のコミュニティ再生について考えようというような趣旨で連載をしました。5章立てで、まちが衰える、盛岡とか、そういう都市のコミュニティについて、あとは第2章で村、中山間地、農村地帯が今どうなっているのか、3章で地域につなぐ、いろんなそれぞれの地域でどんなコミュニティ再生、地域づくりの活動を模索しているか。あとは、連載の中でいろんな識者の方にインタビューをしたりとか、あと私どもで主催をして一般の方をお呼びしたシンポジウムを開催しました。あとは、第4章で協働のゆくえ、自治体と住民がこれからいかにして地域をつくり上げるかということで、第5章で再生に向けて、幾つかのヒントを提示させていただきました。きょうは、この連載を通して見た県内のコミュニティについてお話をさせていただきたいと思います。
○高橋博之委員長 どうぞ、お座りになって。
○神田由紀参考人 今コミュニティ再生というのが県内だけではなくて、全国的にすごく話題になっています。国なんかも今研究会設置する動きもありますし、法案が今度の秋に提出される予定もあるなど全国的に今コミュニティ再生というのが1つのブームのような形になっています。
 幾つかいろいろ理由はあると思うのですけれども、地域の課題というのが行政が今まで、こうやってあげます、ああやってあげますというのを超えていろんな多岐にわたる課題がたくさん出てきてしまって、もう行政のサービスだけではなかなかその地域を支えることができなくなってきているということ。あとは、行政の方も財政難で、はっきりと財政難だからサービスできませんとは言いにくいとは思うのですけれども、実際問題として住民サービスを今以上に維持するというのはなかなか難しくなってきて、選択、集中していかなければならない時代になってきたと。あとは、やっぱり岩手も例外ではなく人口減少が急激に進んでいて、それに伴って地域を支え合う人がいなくなっている。ひどいところは、集落の維持も難しくなってきている。今まで行政の目が届かない部分とか、地域のセーフティーネットとしていろいろ支え合ってきた部分があったのですけれども、そういうことも難しくなってきている。あとは、やっぱり市町村合併が進んで大きな市になったという半面、大きな市の端っこの方の地域というのは、本当に私たちのところまで目が届くのだろうかという危機感がものすごく強いです。これは、連載を通してもそういう声を聞きました。そういうときに、市は大きくなったけれども、やっぱり自分たちの地域は地域の独自性をどういうふうに出して、どうやって地域づくりをしていくかというのは、それぞれの末端の地域でも個々に考えていかないと、大きくなった市の中で元気にやっていくのはなかなか難しくなってきています。あとは、そうなってくると人もいなくなってくる。この地域にずっと住み続けたいなという誇りも今はなかなかなくなってきて、若い人も戻ってこなくなったというような関係、いろいろな複合的な要素があると思っています。
 地域力という言葉はよく使われているのですけれども、あえて連載の中では住民力という言葉をつけました。それは、地域というと自分たちは関係ないとか、何かちょっと遠い存在に見られるので、あなたが主役なのですよ、あなたがつくっていくのですよという意味で住民力というふうに名づけました。行政主導ではなくて、これからは住民主役で地域づくり、住民自治をしていかなければならない。やっぱりコミュニティ再生に向けて、住民一人一人の力をどう発揮して、最終的には地域地域で住民自治の仕組みをどういうふうにつくっていくかというのが一番の課題だと思っています。
 後からもちょっとお話しするのですけれども、地方分権改革が進んでいて、今第2期改革に入ったのですけれども、どういう議論をしているのかがよくわかりにくいという声が一般の人からもよく聞きます。国と都道府県、国と県の権限、財源争いというふうに、どうしても今までの分権改革というのは見られていたのですけれども、本当に分権の最終的な意味というのは、一番身近なところで住民のサービスをどうやっていけるか、あるいはどう地域をつくっていけるか、どう独自にその地域をつくっていけるかというところがやっぱり分権の目指すところだと思うのです。
 そうすると、最終的には県がどうする、市町村がどうするではなくて、住民自治の仕組みをどういうふうにつくっていくか、地域をみんなで支える仕組みを一番身近な地域で一人一人がどうやって支えていくか、その住民自治の仕組みをつくるということがやっぱりこれから一番求められているのではないかと思っておりまして、そういう意味も込めて住民力というふうに名づけました。
 皆さんも最近限界集落という言葉をよく耳にされる機会がふえてきたと思います。これは、今長野大学の教授をしていらっしゃる大野晃先生が提唱した概念なのですけれども、高齢化率が50%を超えると、なかなかその地域で共同作業、みんなで一緒に何かをやるということが成り立たなくなってくるという、そういう集落を限界集落というふうに名づけられています。そういう集落はやっぱり住民同士の支えがもう、いろんな例えば地域の道路を維持するとか、草刈りをしたりとか維持するとか、福祉サービスで支え合う、そういうのもできなくなってきますし、そこにある伝統文化とか技能、そういうものも集落がなくなれば失ってしまう。あとは、山になかなか手が入らなくなってしまう、あと耕作放棄地がふえると。大野先生は、限界集落の問題というのは、その山の集落だけの問題ではなくて、最終的には山が荒れてきて、いろんな保水機能なんかも低下してくると、それは必ず下流の災害の発生などにつながってくるというので、山と都市、上流と下流というのは一体で考えなければならないというようなことも提唱しています。
 実際に、県内にもいわゆる限界集落、高齢化率が50%を超えたコミュニティというのは幾つかあります。2000年の農林業センサスの集計ですと、県内には65あります。あと、去年の国土交通省と総務省の過疎地域における集落の状況調査という調査で、県内の17市町村が過疎地域に指定されて、17市町村の調査によると10年以内に消滅する集落は2つで、いずれ消滅する集落が80あるという調査が出ています。これ分母は1,618集落です。ちょっと先ほど農林業センサスで65と申し上げましたが、この農林業センサスの集落という意味と、国交省、総務省が集落というふうに言っている集落はちょっと概念が違うのですが、おおよその数字として見ていただければいいなと思っています。
 「とことん住民力」の連載は、ここに今写真が出ているのですけれども、川井村の横沢集落、限界集落からスタートしました。やっぱりコミュニティの最終形といいますか、コミュニティが成り立たなくなっている地域から連載をスタートしたのですけれども、この地域は20世帯36人が暮らしているのですが、このようにこのうちも横沢一郎さんのお宅なのですが、70代の御夫婦が2人で、2人で月6万円の年金暮らしをしているのですけれども、こういうひとり暮らし、あるいは2人暮らしの家庭がほとんどで、昔はみんなでいろんな行事をやったりとか、集落で公民館に集まって何かやったりということがあったみたいなのですけれども、今ではもう本当に個人的に行き来する以外は特に集落で何かするということもなく、もう若いお子さんたちも県外に出ていってしまって戻ってはこないだろうと皆さんおっしゃっているので、多分このまま、皆さん70代の方が多いので、20年とかすれば、もしかしたらなくなってしまう地域ではないかと思っています。皆さん御存じのとおり、川井村は県内の市町村の中でも一番高齢化率が高いです。その中でもこの横沢集落というところが一番高齢化率の高い地域なので、この地域をちょっと取材をさせていただきました。
 先ほど大野先生が限界集落という言葉を提唱したというふうに申し上げたのですけれども、もう一つ、限界自治体という言葉も同じように提唱していらして、高齢化率が50%を超えると自治体の財政も含めて、なかなか厳しくなってくるというような指摘があります。岩手県内にはそういう自治体は今のところはないのですけれども、あと30年後ぐらいになってくると、2030年になると川井村はもう49%ぐらいになりますので、今のままでいけば、ちょっといい言葉ではありませんが、そういう限界自治体というふうな分野にも入っていきます。
 先ほど国土交通省と総務省の過疎地域における集落の状況調査ということについて、ちょっと触れさせていただいたのですけれども、この図は65歳以上の高齢者がいる集落の戸数についてと、前回の7年前の平成11年の調査に比べて高齢化の進む限界集落の数がどのぐらいふえたかというのを折れ線グラフで示しているのですが、もともと中国、四国地方というのは、やっぱり中国山地、急峻な地域で、林業の衰退なんかも早かったですし、挙家離村という言葉があるのですけれども、一家で村を離れる、そういうケースが多かったので、集落の崩壊、集落の高齢化というのが早くから顕在化していたのです。だから、これを見ていただいても、中国地方ですと2,267集落、これは割合にして18.1%ぐらい、四国だと1,361集落、20%を超えているのですが、そういう割合で限界集落というのがあります。
 一方で、東北圏というのは大体735集落で、全体の集落の割合にすれば5.8%ぐらいしかないのです。ですけれど、この折れ線グラフが東北だけすごく顕著になっているのですけれども、これは7年前に比べて65歳以上の高齢者のいる限界集落の割合が251.4%、2.5倍にふえました。なので、そういう山間地域に高齢者が多いという現象自体は東北というのは今までは余り顕著ではなかったのです、中国、四国、ほかの地域に比べて。ただ、これを見る限り、ここ7年で急激に高齢化が一気に進んでいます。そういうのが見て取れるので、本当に中山間地の高齢化というのを東北地域、岩手で考えるタイミングというのはもうやっぱり今なのかなというのはこの調査のグラフを見て思いました。
 これは、3枚写真を出したのですけれども、左側の写真は岩泉の安家の坂本集落というところ、本当に安家の最奥地なのですけれども、アポイントをとって取材に行っているわけではなくて、いろんな家にお邪魔をして住民の人たちの話を聞いてきたのですけれども、この家ではこうやって天井からみそ玉、大豆を乾燥させたものをつるしておいて、今度これを2年間ぐらい保存してみそをつくるのですが、こういう文化が残っている地域というのがありました。皆さんは御存じかもしれませんけれども、初めて見たので、すごく印象的だったので写真を撮ってきました。ここに住んでいる人たちは、もう限界集落に近いので、どこのおうちも高齢者ばかりなのですね。役場まで、もう本当に細い道を車で40分以上かかります。だけれども、皆さんに聞いても、みんなこの地域に住み続けたいと言うのです。私は、最初やっぱりこういう取材をする前というのは、山の中に住んでいる人たちというのは不便ですし、病院も遠い、そういう意味で行政が選択肢として、まちの中に移転させるという施策も必要なのではないかと思っていたのですが、いろんな地域を歩いたのですけれども、皆さんほとんどこの地域に住みたい、仲間もいるし、環境もいいし、この地域で最後まで幸せに暮らせたらいいなというのが多くの意見だったので、本当にびっくりしました。
 右上の写真は、先ほどの川井村の横沢集落のおばあちゃんが家に「ヤダガマ」があるので、これで自分の家で食べる豆腐をつくっています。昔は、どこの家でも豆腐をつくるのは女性の仕事だったというのですけれども、今はなかなかやっていなくて、横沢集落でも大体3軒ぐらいになったかなというふうにおっしゃっていましたけれども。このお宅でも同じ質問をしましたが、やはりこの地域に最後までどんなことがあっても住みたい。もし町の中に移れと言われて家をあてがわれても、何もすることがなくて3日でぼけてしまう。それよりは、こうやって自分の小さな田畑を耕したりとか、こうやって豆腐をつくって作業をしたりとか、そういうことにすごく毎日の生きがい、やりがいを見出しているので、一律に不便だから引っ越してくださいというような施策よりも、今住んでいる人がどういうことを望んでいるかというのを行政側も今後施策を考える中で検討していかなければならないなと思っています。
 右下も同じような限界集落に近い地域、これは今の奥州市の旧衣川村の大平集落という、やはり一番末端の集落なのですけれども、中山間地で田んぼなんかもすごくちっちゃくて、それを寄せ集めて本当に今進んでいる集落営農をやって果たして効率的なのかというのをみんなすごく悩んでいました。一方で、このおじいさんのお宅は、若い息子さんは盛岡に家を建ててしまったので、今お2人で住んでいらっしゃるのですけれども、農村地帯でも今の新しい農業政策に、大規模化についてすごく悩んでいる地域というのが多かったです。
 連載の中でいろんな、むらコミュニティと題しましたけれども、中山間地を中心にしたコミュニティを歩いたのですけれども、幾つか課題として、先ほど申し上げましたとおり人口減少が進んで、一部は限界集落化、集落の維持が難しい状態になってきている。あとは、都市部であれば例えばNPOみたいな組織が、若い人たちがいて、その人たちが支えるというような仕組みもあるのですけれども、中山間地になってくると、そういう支える外部の組織というのはなかなか少ないので、自分たちで何とかしなければならないということがあります。あとは、1次産業の後継者が少なくなってきて、作業の機械化なんかでも結いも廃れてきたので、そういう意味でまとまりもなくなってきていると。先ほど申し上げましたが、そういう集落営農、新しい農政、品目横断的経営安定策などになかなかついていけない、取り残されるような地域も出てきています。
 これも先ほど申し上げましたけれども、市町村合併が進んで端っこになった集落というのはすごく今危機感を持っていて、例えば旧大東町の端っこに京津畑集落というところがあるのですけれども、旧大東町というのは結構集落自治というのを昔から一生懸命やってきたところで、集落ごとに、やる気のある集落に10年の集落プランをつくってみてくださいと言って、その住民の人たちが手づくりでプランをつくったら、その中に盛ったことに対して町の方で少しお金を出して事業をやるというような、そうやって集落ごとにやる気のあるところには自治をちょっとずつ任せていたというような町だったのです。先ほどの京津畑集落というところも、やはりもう高齢化率が40%を超えるような地域なのですけれども、45%ぐらいなのですが、このままではいけないなというので、みんなで集まっていろいろバスの待合所をつくったりとか、今もいろいろ清掃活動をやったりとか、あとは毎年食の文化祭といって、皆さん手づくりで持ち寄って文化祭をやるのですけれども、小さい集落に県内外から600人ぐらい集まるようなすごく大きな行事になったりとか、あとは今は郷土料理の仕出しをやるような、「やまあい工房」というのですけれども、そういう工房を自分たちでつくってお金を得ているとか、そういう自分たちでいろんなことをやってきた集落の行事のときにお邪魔をしたのですが、やっぱり今まではそうやって大東町がある程度自分たちを見ていてくれて、自分たちがやりたいと思うことを集落の自治としてできたのだけれども、大きな一関市になったときに、やっぱり合併するときに個々のそういう小さいコミュニティをどうするかということがほとんど議論されなかったので、これから自分たちのところがどうなっていくのか、目が届くのか、そういうのをすごく不安に思っていますというような声がありました。
 どの地域もそうだと思うのですけれども、地域の共同体の核というのは、結構そういういろんな行事とか集まりなんかも含めて学校が共同体の核になっていたのですけれども、そういう学校が今どんどん統廃合で閉校になっているので、そういう意味でもコミュニティのよりどころというのがなくなっている部分があります。例えば子供でも小学校の統廃合をして、子供たちが結局バスで遠くの学校まで通うことになると、今まで地域に聞こえていた子供の朝夕の声というのが聞こえなくなって、ある住民の人は夏場になると子供たちがランドセルにクマよけの鈴をつけていて、その音と子供たちの声がよかったのだけれども、それが聞こえなくなったと、やっぱりそれがすごく寂しいねという話なんかもありましたし、近くの学校を拠点にした行事とか、伝統芸能とか、そういうものがこれからどうなっていくのかということはすごく課題になっています。
 一方で、今度はまち、盛岡とか都市部ですね。ここはここでまた別のコミュニティの課題を抱えていて、左側の写真は、黄色いのを着ている方が町内会長さんなのですけれども、これは盛岡市の駅前の町内会なのですが、マンションがすごく多くて一軒家の方がすごく少ないのです。町内会長になったはいいけれども、どういう人がいるのかも全くわからないし、いろんな行事をやってもなかなか協力を得られないということで、本当にどうしたらいいのかな、とこの会長さんは考えて、皆さんに地域に目を向けてもらうには子供を通して活動するのがいいのではないかというので、毎朝6時に起きて町内の清掃をした後、こうやって毎日毎日歩道に立って、子供たち、あるいは通勤する人にあいさつをして、そうやって少しずつ自治会長さん、あるいは自治会の活動を認知してもらって、今ではそれを通して信頼をつかんで、いろんな行事もできるようになったし、少しずつ人も出てきてくれるようになった。本当にそれぐらいやらないと、なかなか地域の人が地域活動に目を向けてもらえない時代になってきたと。特にマンションというのは、もうプライバシーを尊重したい人が入る傾向があるので、なおさらマンションのある地域というのはとても厳しい。一方でいろんな地域の課題がふえてきたので、町内会長さんに、あれやってくれ、これやってくれという要望だけはすごく多くなってきています。ボランティアでやっているのに本当に大変で、そうすると改選期になってもなり手が全くいないというのがどの会長さんも悩みで、盛岡市の町内会連合会が会長さんに今の悩みは何ですかと聞いたら、やっぱり役員のなり手がないというのが、もう断トツで悩みだったとおっしゃっていました。
 一関のある町内会長さんは、もう30年も町内会長さんをやっていて、毎回毎回改選期になると人を探すのだけれども、だれも受けてくれなくて、仕方なくもうずっとやっているという方もいらして、一方で会長さんが大変だ大変だというような背中を見ると、ますますなり手がいなくなって、そういうのを各地で苦労している町内会がいっぱいあります。
 右側の方は、家を見回っているところ、これは釜石なのですけれども、民生児童委員というのは年間通信費みたいな経費として5万円強が出るだけで、ほとんどボランティアなのですけれども、この方も毎日毎日地域を見回って、ひとり暮らしの家とか見回っているのですが、やっぱり個人情報保護の機運が高まるにつれ、なかなか個別訪問というものもすごく難しくなってきて、訪問すると、何で来るのだとか、追い返されることもすごく多くなってきて、地域を見るということがすごく大変になってきたというふうにおっしゃっていました。一方でやっぱり大変なので、そういうボランティアを引き受けてくれる人というのも少なくなってきて、民生児童委員というのは県内で定員枠がちゃんと決まっているのですけれども、取材した時点では数十人欠員があるというような状況になっています。
 今お話ししたように、町のコミュニティというのは住民同士の関係が希薄で、だれが住んでいるかよく顔が見えない。若い人を中心に、自治会などの町内会とかの活動に余り参加しない。あとは、都市部であれば先ほど申し上げましたようにNPOみたいな組織というのがたくさんあるのですけれども、同じ地域にあって同じような活動をしていても、そういう自治会の地縁組織というのですが、自治会とか町内会とか、もともと昔からある組織とNPOというのは余り一緒に活動したりとかはなくて、もうばらばらに個々にやっているのですけれども、そういうような現状があります。
 あとは、結構ニュータウンとして同じ時期に開発されて、同じような世代が入っていった団地というのは、今都市部の中でも高齢化というのがすごく顕著になっていて、例えば盛岡で言えば松園みたいなところなのですけれども、市内の高齢化率よりも、高いところだと松園なんかですともう14%ぐらい高くなったりして、一気に高齢化が進んでいる地域というのもあります。
 あと、ではまちづくり、地域づくりをどうしていこうかと町のコミュニティで考えたときに、どうやって町を守るとか、支え合うとか、その町の価値観というのがなかなか見出しにくいということもあります。例えば中山間地なんかですと、地元学ということで外部から人を呼んで、自分たちの地域のいいところを探そう、そこから地域づくりが動き出すケースって結構あるのですけれども、町のよさ、例えば団地みたいなところですと、なかなか資源とかも少なくて、町を支える価値というのが見出しにくいというような課題もあります。
 一方で今地域のお話をしたのですが、最初に申し上げましたとおり、今自治の形というのが変わってきています。国から県、県から市町村、国と県の間では役割分担とか、お金をどうするとか、そういう議論はされていて、今県から市町村にも権限移譲が進んでいます。基礎自治体の市町村を主体にした自治をしましょうということはそのとおりだと思うのですけれども、どうしても今の議論というのは市町村でとまってしまっているところがあるのですが、私が先ほど申し上げましたとおり、最終的にはもっと地域の自治をどうしていくか、住民自治をどうしていくかというところをきちんとやっていかないと強い地域というのはつくれないと思っています。市町村からも、もうできる部分は権限、財源、人も含めて、どう地域におろしていけるか、そこをこれからもっともっと考えていかなければならないのかなと思います。ただ、そのときに今の弱い地域のまま、そのままおろしていってもなかなか難しいので、そのときにやっぱり受け皿となる地域のコミュニティ、住民自治組織をどういうふうに強化していくかというのがすごく大事なテーマですし、そのときに中心になってくれる地域のリーダーをどう発掘、育成していくかというのがすごく大きなテーマになっていると思います。
 市町村から地域にそういう権限なんかをおろすことを地域分権、花巻なんかでは都市内分権などと呼んでいるみたいなのですけれども、県内ですと、ことしから花巻市が大々的に小さな市役所構想というのをやっているので話題になっているのですけれども、もうちょっと小さい規模ですが、北上市とか旧江刺市なんかでもそういう試みというのが、北上なんかですと2000年ごろから始まっていました。私が取材したときは、ちょっとまだ花巻はそういう状況ではなかったので、この連載の中では取材はできなかったのですけれども、今そういう地域分権をどうするかというのが特に市町村ではこれからどんどん求められていくと思いますので、そういう花巻とか北上の動きというのは本当に今先駆的な事例なのではないかと、そういうふうに思っています。
 県内で地域づくり、そういうちっちゃい自治とか、地域再生、コミュニティ再生をどういうふうにやっているかという事例なのですけれども、例えば遠野市の宮代集落というところがあるのですが、51戸の中山間地なのですが、集落型ワーキングホリデーというのをやっていて、2003年ごろからやっているのですけれども、東京都内などから3年間で200人ぐらいを受け入れたのですが、集落全体で宿泊、食事を皆さんに提供するかわりに地域の農業を手伝ってもらうというもので、最初は東洋大学の学生さんたちが一番最初に来たのですけれども、毎年集落でお祭りをやっていたのですが、その祭りというのは集落の男性だけが来て、ただ酒飲みをするようなお祭りだったのですけれども、若い学生さんが来てから自分たちも一緒にやりたいというので、みんなが参加できるような祭りにその学生さんたちがいろんなアイデアを出して提案して、それが採用されていろんなお店が出たりとか、何かを披露したりとか、そういうお祭りに最近変わって、地域の行事というのにも、すごく刺激を与えていました。あとは、やっぱりここに住んでいる高齢者の人たちも、いろんな人たちが来てくれるというので、とても刺激になって、自分たちの地域のよさというのもまた再認識していったというので、すごくこの集落型ワーキングホリデーというのを宮代型ワーキングホリデーというので、もっといろんな形で高めていきたいなというふうに皆さんおっしゃっていました。
 もう一つ、田野畑村羅賀地区で、田野畑というのはやっぱり先ほどの地域分権のような仕組みというのを早くからつくっていまして、自治会で草刈りをしたりとか、あとちょっとちっちゃい公共事業なんかはもう自分たちでやってもらえるように、そうやって助成金を出してちっちゃな手づくり自治というのをやっているのですけれども、例えば羅賀地区では自分たちで津波の避難路の整備とか、広場づくりを、自分たちで自治会費を集めているので、その中でやりくりをしながら助成金を使ってやっています。村に頼むとなかなかすぐにはできないので、もう自分たちでやった方が早いということで、いろんなことをやっています。田野畑の上机村長さんは、何でこういう手づくり自治、住民自治を重視するかというと、「将来宮古広域で合併するのはもう避けられないというのは思っている。ただやっぱり合併した後に端っこになったときに、きちんと強い地域をつくっておかないと、目が届かなくなって地域がだめになってしまうので、大きくなって役場から目が届かなくなっても、自分たちである程度は支え合えるような地域づくりをしていかなければならない。」というので、そういう自治をしています。
 あと、先ほどの田野畑もそうなのですけれども、地域分権の事例。花巻についてはことしからなので、私はちょっと詳しくは取材していないので、委員長さんの方がお詳しいと思うので、後でぜひ伺いたいなと思っているのですけれども、花巻よりもちょっと形は違うのですが、先行事例で北上は総合計画をつくるときに地域計画をどこの地域でもつくると思うのですが、それにあわせて市内のいろんな自治会とか地域のいろんな団体を1つにして自治協議会という形に16に再編をして、今はそこに地区交流センターというのを置いて、地域の住民をちゃんと雇って職員にして、市の職員は入っていません。もう本当に地域に任せて運営をしてもらっている。そのほかに地域計画に沿っていろんな事業をやりたいときは最大100万円の交付金を出しますよというような仕組みをつくっていて、地域のことは地域で地域づくりはやってくださいというような形をとってきています。一方で、やっぱり地域づくりをするにも皆さん慣れていないので、すごく戸惑われる人が多いというので、ネットサポートという地元の北上市のNPOが人材育成、リーダー育成について支援をしています。
 もう一つ、地域分権の全国的なモデルケースというのは、今の花巻市と同じような形なのですけれども、福岡県宗像市というところが早くから始めていて、市内を小学校区で13のコミュニティ運営協議会というものを再編して、地域のこれは商工会とかそういう地域の商業組織も全部一緒に運営協議会という1つの組織にもう統合してしまって、そこでいろんな計画をつくってもらって、その事業に対して、いわゆる、まちづくり交付金という形で、今までは例えば自治会とか、いろいろな青年団体とか、もう縦割りで全部交付金が出ていたのを、まちづくり交付金として全部一本化して、それをどんと地域におろして、あとは自分たちで使ってくださいと。この宗像市がやっぱりすぐれていたのは、今まで合併2回したのですけれども、合併する前に先にこういう運営協議会とか地域ごとにつくって、そのコミュニティをきちんと整えてから合併するという、そういう合併時に地域のコミュニティづくりをきちんとやってから合併するというところが先進事例なのではないかなと思っています。あとは、市の職員が週に2日ぐらいずつ各事務局に行って指導しています。ただ、やっぱり先進事例なりの課題もあって、住民がいろんな行事とか話し合いに参加しなければならない機会というのがすごくふえたのです。夜の時間とか、皆さん忙しい仕事が終わってから地域でいろんな話し合いをするのだけれども、拘束される時間が長くなってくると、これを無償で、どこまでボランティアで地域でできるのかというふうなすごく悩みが出てきて、これだけ時間を拘束しているのだから、来た人にちょっとでもお金を払えないかとか、またそういう議論も今出ているということで、ボランティア、無償で支える、どこまで地域自治をやるときにできるかというのがすごく課題になっているというふうにおっしゃっていました。
 あと、施策の話なのですけれども、今他県でもいろんな取り組みをしているのですけれども、広島県は平成13年度から新しい自治組織、例えば小学校を1つのコミュニティとして、いろんな今まで地域にある組織を全部1つにした自治組織をつくったところについて、その活動計画の策定とか事業を促進するための補助を市町村と一緒に出したりとか、やっぱり地域づくりリーダーの育成というのを早くからやっています。やっぱり市町村合併が早くから進んでいたので、そういうコミュニティに対する施策というのも進んでいました。
 あとは、山口県では、これはもう平成18年度なのですけれども、中山間地に絞って中山間地域集落ネットワーク形成支援事業というので、幾つかの中山間地のモデル地域をつくって大学などと連携して地域の振興方策をつくったり、モデル地域をいろんな事業をやって育成したりとか、地域リーダーの育成をどうするか、そういうことを今始めています。
 あとは、手づくり自治区をつくろうというハンドブックを配って、こういう住民自治の仕組みなのですけれども、それをどうやって一般の人がつくっていけるかというのを詳しく書いた冊子を、県と市町村の職員が研究会をつくって問題意識を共有して、こういうものをつくって地域に配っていく。
 最初に、今全国的にちょっとコミュニティブームだよというお話をさせていただいたのですけれども、総務省では今年2月にコミュニティ研究会というものをつくって、先日中間の取りまとめをしました。
 あとは、農水省でも農村におけるソーシャルキャピタル研究会、ソーシャルキャピタルというのは、わかりやすく言えば結いとか、支え合いとか、そういうものの力なのですけれども、その研究会を立ち上げました。
 あとは、先ほど何回か触れましたけれども、コミュニティ実態調査というので、総務省と国土交通省が昨年度からことしにかけて、そういう調査をしました。
 あとは、今政府がコミュニティ基本法というのを今年の臨時国会に出そうかというような段階に来ていまして、消防団であるとか町内会であるとか、そういう地域の行事に参加しましょうということとか、そういうものに対して自治体もきちんと支援しましょうというようなものを法律で定めようという動きが出ています。
 あとは、皆さんも県の方から報告があったと思いますが、岩手でも19年度、6月の末で通ったのですけれども、草の根コミュニティ再生支援事業ということで、県内の集落全調査、コミュニティ全調査をするということで、調査をして、幾つかの地域でシンポジウムをやったり、あとは元気なコミュニティを集めてその事例を紹介する、そういった事業をやる予定になっています。
 これは、本当にことしになっていろんな動きが出てきたなという印象があって、ちょっとコミュニティブームかなというふうに思っていますが、やはりコミュニティというのは皆さん御存じのとおり一朝一夕では何ともならないので、ブームになるとすぐいろんな役所は動きますけれども、末長くきちんと長い目で見て取り組んでいかなければならない課題だと思っていますので、ただブームで終わらせないでほしいなと思っています。
 今、行政は、政策評価という1年ごとの短いスパンでいろんなものを評価していかなければならない時代なので、例えばこういうコミュニティの再生とか、教育問題とか、人づくり、そういうふうに腰を据えてやっていかなければならない問題というのになかなか1年で成果を出すのは難しいことです。そういうものというのが短期の政策評価の中で切り捨てられないように、やっぱり長い目で地域づくりというものをぜひ考えていただきたいなと思っています。
 連載の中で、コミュニティ再生に向けてどうしていったらいいかというのを幾つか挙げたのですけれども、やっぱり自治会とかNPOが今地域でばらばらに活動しているというふうに申し上げたのですが、そういう自治会にあとは地域のPTAなども含めて、地域でいろんな活動しているものをもう一回、住民自治組織を再構築するということを、それぞれの地域で考えていく必要があるのではないかなと思っています。多いのは、やっぱり小学校を核として成り立っている地域が多いので、小学校区でコミュニティをつくって再編している事例というのが結構多いのですけれども、それはやはり地域ごとにどの程度が一番暮らしやすいのかというのはあると思うので、そこら辺は余り一義的に定義することではないとは思うのですが、住民自治組織というのをもう一回再構築をして、そうすれば例えば古い地縁組織の自治会なんかにも入りづらい若い人なんかも、例えばNPOの方の入り口からも地域づくりというのに入ってこられるので、そういう意味でいろんな人が入りやすい、参加しやすいような仕組みというものを、もう一回つくる必要があるのではないかなと思っています。ただ、住民側にそれをただただ期待するというのは難しいと思うので、やっぱり行政側の方である程度アドバイスをするとか、そういうことはどうしても必要になるのではないかと思っています。
 一方で、やっぱり行政側の方でも市町村から地域へ、そういう地域分権の仕組みというのはこれから考えていかなければならないと思っています。中山間地は、地域の資源とかのよさを再認識して、小さくてもいいからいろんな複合的なビジネスを起こしていけるような仕組みというのをつくりながら誇りも取り戻すというか、そういうことが必要だと思っています。
 あと、山と里をつなぐ、最初にもお話ししましたけれども、上流と下流、山の集落と都市部というのを一体に考えて、やっぱり中山間地集落を支える人が少なくなってきましたので、そういう意味で都市部の人の手を借りながら交流をする、あるいは集落同士連携してもいいですし、外の力を借りながら中山間地を再生する仕組みをつくると。
 あとは、これからの地域の担い手として、若者とか団塊の世代をどう地域にデビューさせるか、こういうのも今後いろいろ考えていかなければならないと思います。
 あと、先ほど川井村の限界集落のところでお話ししましたが、そういう限界集落というのは、もしかして再生できないかもしれないのです。すべてのコミュニティを再生するのは難しいと私は思っています。ただ、もう再生できない集落というのは、先ほど最後までここで幸せに暮らしたいと言っているような、そういう住民の願いをかなえていきながら、村を再度治めていくというのですか、そういう方策がやっぱり望まれるのではないかと思うので、その集落の状況に合わせて見捨てないで、そこにいる人たちが、よくQOLというのですが、クオリティー・オブ・ライフ、生活の質を落とさないで最後まで暮らしていけるような支援策というのは、再生できない地域については考えていかなければならないかなと思っています。
 ちょっと時間がなくなってきたので、簡単に説明しますけれども、そういう課題について結構いろいろ取り組んでいる地域がありまして、例えば団塊の世代がどう地域デビューを果たすかというところで、花巻で農業法人「遊新」というところがあったのですけれども、今、集落営農が進むにつれて経営体などで経理を見る人がどうしても必要になってきます。地域で今まで農業をやったことのない元NTTの社員の人を雇って経理を任せて、そういうことで農村コミュニティに全く今まで関係なかった人が入り込んでいるというふうなケースもあります。
 あとは、地域で自治会とNPOが連携している例も盛岡でありますし、あとは山と町が、先ほどの山と町をつなぐというところなのですけれども、葛巻の上外川地区にある「森と風のがっこう」とか、あとは久慈の山根六郷と、あとは旧山形村のバッタリー村、そこら辺のそういうおもしろいことをした地域が集落で連携して首都圏に出ていって、「北いわてのスローツアー」というのを組んでPRしたりとか、そういうことでいろんな外の人を呼んで、1つの集落では弱くても幾つか地域を越えて連携して打って出るというような、それで地域を強くするというふうな例もあります。
 あとは、先ほどの京津畑自治会で郷土料理の仕出しをするような工房をつくりましたよというお話もしましたけれども、あとは例えば川井村でも夏屋集落というところは、地域でとれた山菜とかギョウジャニンニクなどを加工して瓶詰めするような工房をつくって、1人が潤う収入ではないですけれども、そこそこ楽しく食べていけるぐらいのそういうビジネスをしているという例も県内にはいっぱいあります。あとは、行政側の取り組みでもこれはすべてお話ししましたが、住民自治組織を強化した例とか、リーダーを育成した例とか、そういうふうな関係があります。
 そういう時期に、県の役割というのはどういうところにあるのかなと考えたのですけれども、市町村も今、権限移譲で県からいろんな仕事が来ていて、1人当たりの仕事量というのがすごくふえていて、地域に出る機会というのが少なくなっているというようなこともお話の中で聞いて、地域の隅々まで市町村職員がすべて目を凝らすということがなかなか難しくなっている面もあって、情報とか人材とか、いろんなことを知っている県の職員がその地域づくりの地域コーディネーターの役割を担って地域に入っていって、そういう地域の計画づくりとか、こうした方がいいのではないかとか、人づくりなんかもサポートするような役割になっていくのではないかなと思っています。多分これは議員の皆さんもそういう住民自治が進めば、やっぱり住民側が今までは、「先生、これやってください、あれやってください」、「やってほしい、やってほしい」というようなお願い型だったと思うのですけれども、そういうことよりは、私たちはこうやりたい、こんなことをしたいということを、そういうものを自分たちで打ち出してくると思うので、それを、ではどういうふうにうまくやっていくかというのをコーディネートするような役割も議員の皆さんは増えてくると思いますので、働き方というのも県の職員も議員の皆さんも住民自治が進むと、ちょっと変わってくる部分もあるのかなと思っています。
 ちょっと取材をしていないので恐縮なのですけれども、ヨーロッパなんかでは地域コーディネーターという職を持っている人もいて、実際にその地域をまとめるような人というのがいます。そういう役というのが日本にはそういうシステムがないので、今のところやっぱり議員の方とか県の職員の方がそういう役割というものが必要なのかなというふうに思っています。
 地域づくりも、よく土の人、風の人と言うのですが、土の人というのは地元の人、風の人というのは外から来た人。外から来た人の意見というのは、地域をよく知っている人にはわからない別の視点を必ず持ってきてくれますので、やっぱり地元の人だけではなく、そういう視点を持った人というのがお互いに必要だと思いますので、そういう意味で外の人というのですか、そういう意味でやっぱり県、行政の職員とか、そういう役割でコーディネーター役というのが増えるのかなというふうに思っています。
 住民自治組織の強化、コミュニティの強化というものは、これからも市町村合併がまだ進むと思うのですが、そのときに合併してから地域が弱くなったというふうに言うのではなくて、合併と一緒にどうやってコミュニティを強くするかというのを考えていく必要があるのではないかと思っています。
 今、県と市町村がいろんな権限移譲の話を個別にやられていると思うのですけれども、そのときに、これだけではなくて地域分権についても今度は市町村さんでもいろいろ議論をする必要があるのではないかとか、権限移譲を進める際に県もそういう認識を市町村と共有するというか、そういうことも必要なのではないかなと思っています。
 あとは、やっぱり先ほど申し上げましたとおり、短期的なブームに乗ってコミュニティ再生というのを終わらせない。長い目で地域を見て、地域って光を当ててもらうとすごくうれしくて、またそこから一歩伸びるケースも多いので、頑張る地域にうまく長い目で見ながら光を当てていくのもすごく大事な役割ではないかと思っています。
 最後に、シンポジウムを私たちでやったときに、結城登美雄さんという、いろんな集落を歩いている人がいるのですけれども、この方をお呼びして講演をしていただいたのですが、基本的に地域で暮らすということはいいことばかりではなくて、すごく煩わしいことだと。今はいろんなサービスをお金で買えて、人づき合いをしなくてもやっていけるのだけれども、地域に暮らすというのはやっぱり煩わしいというのが基本だということを、ある程度もう一回みんなで認識しなければならないのではないかなというふうなことをおっしゃっていて、私も、ああ、そうだなというふうに思ったので、ちょっと紹介させていただきました。
 最後に、本当に何回も申し上げますが、地域づくり、コミュニティ再生というのは時間がかかるのですけれども、コミュニティの、住民力の強い県にぜひ皆さんでしていただければいいなと思っています。
 以上です。ありがとうございました。
〇高橋博之委員長 御説明ありがとうございました。
 これより質疑、意見交換を行います。ただいまの御説明に関して質疑、御意見等がありましたらお願いいたします。
〇佐々木一榮委員 済みません、遅れまして。途中からでありましたけれども、大変貴重なお話をありがとうございました。
 2点ほど、ちょっと神田さんの感覚でいいのですけれども、最後の行政のかかわりの部分でありますけれども、例で1つ言いますと消防団の組織率、加入率、高齢化、非常に進みまして、やっぱり加入率が下がっています。そういった自主防災組織などを例にあげますと、消防団というのは非常に必要になってくるのですけれども、実際、県ですとか市町村の自治体の職員の方々が消防団に入ったかというと、その加入率が低いのです。例えばそういうかかわりをこのコミュニティの中で、どうもっていくかによって、意外に行政のOBですとか教育OBの方々は、OBになるとそれぞれの地域の区長さんなり民生委員なり、さまざまな分野で活躍なさっているので、それを現役で実施っていうのは、なかなか地域コミュニティとの接点というのはなかなか難しいように思っているのですけれども、その辺、取材を通してどういうお考えかお聞かせください。
 それから、コンパクトシティ構想がありますね。このコミュニティとコンパクトシティ構想を両方考えたときに、果たして岩手県でこのコンパクトシティ構想というものが実行されるかどうか、どうなのかなという将来の、その辺の考えなのですけれども、取材してみていかがかなと。例えば川井村のお話がありましたけれども、県内ほとんど過疎化が進んでいるのですけれども、さっき小学校区単位という話がありましたが、小学校さえない地域がどんどんふえていて、どんどん高齢者がふえていく、病院はない、社会福祉施設もないというときにコンパクトシティ構想というのは、結局は将来、ある程度の規模で、このコミュニティでもって教育、それから医療、そういったものをある程度やっていきましょうよ、というのが総務省の考え方だと思うのですが、その辺関連して、どういうことを考えたらいいのかお聞かせください。
〇神田由紀参考人 1点目なのですけれども、取材をしていて、これは盛岡市の町内会連合会の方がおっしゃっていたのですが、コミュニティに一番関係が薄いのが自治体職員、先生、大学の教授、そうおっしゃっていたのです。それは、現役のときも終わってからもそういう傾向があるというふうに聞きました。やっぱり特に自治体の職員というのは、自治体というのは大きく言えば地域づくりのために働いているわけです。何か日々の生活そのものが、日々の生活をしながら課題に考えたものがその仕事に結びつくわけなので、だからそういう意味で、そこには書きませんでしたけれども、もっともっと自治体の職員がみずから地域に飛び込んで、地域に入るというのは一榮先生おっしゃるとおり、もっとやるべきではないかなと思っています。
 そういう意味で、これはちょっと余談なのですけれども、例えば振興局の職員の方が行きますよね。そうすると、ほとんど盛岡から皆さん通っていらっしゃいますでしょう。それで、本当に地域がわかるのかなというのは、私はやっぱり支局の勤務経験もありますので、すごく思います。一緒に住んで、一緒に地域をつくって、生活してみないとわからない課題っていっぱいあると思うので、本気でその地域をつくろうと思ったら、やっぱりその地域に住む、そういうのは原則だと思うので、そのことはもう例外は、いろいろ特例の人はいるかもしれないけれども、そういうことをもう少し自治体は考えてもいいかなと思っています。
 後者は、なかなか難しい質問ではあると思うのですけれども、コンパクトシティという流れがあるのですが、コンパクトシティをできる地域というのは限定されると思うのです。岩手だと盛岡とか、そういうある程度、何もしなくても人口が市内にいる地域、そういう地域だと中心部に人やいろんな機能を集めても何とかやっていけますが、中山間地周辺の町村というのは、それは私は無理、難しいのではないかなというふうに思っています。一律に商店街を再生したTMOをいろんなどの市町村でもやったように、ではコンパクトシティだからどこもコンパクトシティにしようというのは、私は現実としてはちょっと難しいのではないかと考えています。
〇佐々木一榮委員 そこで、高齢化率がどんどん高まって、元気なうちはいいですよね、コミュニティも、今のお話のように。実際に年々年をとっていって、どうしても施設に入らなければと、現実問題あるわけですね。その中で市町村合併というのが行われて、県立病院の再編でわかるとおり、やっぱりどんどん、どんどん施設も少なくなっているし、そういった意味では果たしてそこに住めるのかという不安が、生まれた土地に住んで、自分の土地で最期を迎えたいという気持ちはあるかもしれないけれども、果たしてそれが可能かどうかという部分に来ていると思うのです。そこに合併問題が来てしまったから、例えば一関の例を見ると、気仙沼のところまで一関市だと、須川から海までが。それぞれの町が昭和の大合併で村が合併して町になって、平成の大合併でただただ大きくなったと。高齢化率が上がって町は崩壊する。ではどうしたらいいかとなったときに、やっぱりある程度、神田さんはコンパクトシティ、この呼び方がどうか別ですけれども、要は集約化ですよね。これは岩手県は避けて通れないのではないかと思うのです。ある程度道路網も整備されたし、昔だったら1日かけて初売りとか何かの買物に行ったのが、今は道路が一応よくなって、よくなってということは昔であれば目の前に田畑があるのが当然だったかもしれないけれども、逆に言うと多少離れていても、そこに住んで通うという形で、そういうようなこともある程度避けられないのではないかとは思うのですが、どうでしょうか。
〇神田由紀参考人 都市部であれば、例えば盛岡なんかですと、盛岡の周辺部というか、郊外の方でも不便になったときに結構町の中に住みたいという需要ってすごくある。そのときに例えば若い人と高齢者が住みかえできるような、そういうシステムをつくりながらコンパクトシティを運営していくというのはできると思うのです。
 中山間地なのですけれども、ちょっとそういう一律になかなかくくれないのですが、おっしゃったように集約化が必要な地域もあるかもしれません。先ほどちょっと申し上げたのですけれども、いろいろな地域、特に山奥、端っこの地域というのをいっぱい歩いたのです。そこで、私はやはり町の中に、便利なところに高齢後住みたいのではないかと思っていろんなおじいさん、おばあさんに聞いたのですけれども、さっき先生がおっしゃったように、できれば一生ここで暮らしたいというふうにおっしゃっている人がほとんどだったのです。だから、もしそういう人が多いのであれば、地域によって違うかもしれませんが、その人たちが生きている間、やっぱりその人たちを見捨てないで、あと20年、30年はそこの地域で暮らせるような施策、支援というのは、いわばもうコンパクトシティで集約して、みんな、はい、行きなさいではなくて、その人たちが幸せに最期を迎えられるような支援というのは、やっぱりそれはやっていかなければならないのではないかなと私は思っています。それはちょっと地域によって違うかもしれませんが、一律にコンパクトに集約化しましょうというのはなかなか難しいかなと考えています。
〇岩渕誠委員 今、話の中にも出てきましたけれども、いわゆる限界集落に対しての支援のあり方、それから都市部に対しての支援のあり方というものがそれぞれ違うということ、そのとおりだと思いますが、問題は私はその中間部にあるところをどうやるかということになるのだと思うのです。限界集落というものは、確かにこれから懸念はされてきますけれども、数字的には少ない、ただ方向に向かう。その限界集落に対する支援というのは、ある意味セーフティーネット的な部分があると思うのですが、そこの手前の部分というのはやっぱり自立できるかできないかということで、ここに対しての支援をどうしていくのかというのをトータル的に見ると、財政負担もあるいは地域の豊かさを考える上でも、物すごく大事なことである。実は、僕の地域は限界集落でもないし、都市部でもないところが物すごく多いところです。ここに対しての支援の仕方というのが物すごく難しいと思います。よく行政が失敗をしやすいのは、型にはめて支援をする。例えば住民自治組織をつくってくださいよとか、何々をつくってくださいよと、メニューはこれですよと、こういうやり方を今までのようにやっていくと、大方がこれ失敗すると思います。では、NPOとかはどうですかという言い方もするのだけれども、やっぱりそれで枠をかぶせてしまうとなかなか難しいことになるのかなと。今懸念をしているのは、行政の進め方というと、どうもそういう住民自治組織先行ありき、メニューありきで、実はそういうことによって本来の住民のフリーハンドの部分というのが生かせなくなるのではないかという気がしているのですけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
〇神田由紀参考人 やっぱりその地域をよくするには、住民がちゃんと自分たちで意識を持って動き出さなければならないので、だから先ほどの中山間地と中山間地というのは、その間の地域の話をいろいろさせていただいたのですけれども、小さな自治とか地域づくりがうまくいっている地域というのは何らかの危機感を持って、もう人がいなくなったという、そういう危機感をみんなで共有できた地域、あるいは地元学なんかを通して自分たちの地域の価値をみんなで共有できた地域、そういう地域が動き出してくるのです。だから、岩渕さんおっしゃるとおり、一律に、ではこの枠組みで、例えば小学校区単位でコミュニティをつくってくださいと、全県一律でというのは、それはやっぱり難しいと思っています。
 なので、まずそういうふうに私はそういう自治組織をつくれる地域というのは、先ほど申し上げたそういう自分たちの地域での価値を見出したり、住民がまとまっている、そこまでいっている地域はそういうふうな段階にいってもいいと思うのですけれども、やっぱりそこまでいっていないような地域については、まず地域に誇りを持つとか、その地域でまとまる、そういう何かきっかけを与えるような、ちょっと地域が動くような支援をする。あるいは、あとはよくリーダー育成というのですが、リーダーを育成するというのは、そういう行政が発掘、調べて、いろんなリーダーって多分見えてくるのも、見えないリーダーもいっぱいいると思うのです。だから、そういう人を行政が発掘しながら、そういう人を中心に少し地域を動く、自分たちがちょっと何か動き出すような仕組みをつくるとか、段階的に自治組織をつくれる地域もあるし、そういう、もうちょっと住民がやる気をまず起こす、いろいろやっぱりおっしゃるとおり段階があると思うので、地域づくりや自立支援は難しいと思います。
〇岩渕誠委員 そういう意味で、私もちょっと幾つか見てきた中では、地元学なんかをやって、うちの売りはこうですよというのがあるというところは実は少なくて、むしろ必要に迫られてというところが結構多くて、例えば沿岸の方を取材していると自主防災組織、津波に対する部分というところから住民自治が始まっているというケースが結構あるのです。例えば、避難所をどうするかとか、確かに公民館が避難所になっているけれども、備蓄品として乾パンと毛布だけでいいのかとか、あるいはお年寄りのおばあちゃんを助けるにはどうしたらいいのかとか。そうなると、自分たちで考え始めると、行政が用意したメニュー、例えば消防本部をその辺に置きましょうではなくて、毛布を置きましょうではなくて、乳飲み子を抱えたお母さんたちは、粉ミルクをそこに置いてくれとか、あるいは毛布だって、自分の家の中に引出物か何かでもらったのがあるんだから、それで対応しましょうよと。そういう余ったお金でお年寄りの家の前にリヤカーを置いて、それで寝たきりの人を連れていきましょうよとか、そういうどんどん、どんどん発想というのが高まってくると思うのですね。
 そういうような部分に対して、まさに僕はそういうことでこそ住民自治組織、名前はちょっと自主防だけれども、そういうところの扱いというのをきちんとしなければいけない。これをやったときに、実は最大の障害というのは行政なのです。とにかく30万円のポンプを全部配備するから、それを使って何かやってくれと言われると、全く住民自治と正反対の方向に行ってしまうという、行政が阻害要因になっていくということが結構あるので、その辺を進めるときには気をつけなければいけないし、1つのきっかけとして、例えば宮城県沖地震がある中で、防災対策をしながら住民自治をやっていくというのも1つの切り口としてはあるのだと。それは、それぞれのその地域によって、それが防災だったり、いろんなことがあると思うのですけれども、そういうような網かけの仕方とか、入り口をいっぱいつくっておかないと、これ地域の再生というのは、なかなか難しいのかという思いをします。
〇神田由紀参考人 おっしゃるとおりだと思います。先ほども、行政がメニューをつくってしまうとということなのですけれども、結局それというのは、やっぱり今まで国と県、国と市町村の関係とかも一緒だと思うのですよね。国のメニューどおりに要らないものまでつくらなければならなかった、そういう補助金のやり方というのは、これから、今も少しずつ見直されてはきているのですけれども、地域が一番使いやすいように使えるような、交付金であるとか、そういうことも含めて、使いやすい弾力的なお金も考えていかなければならないと思います。
〇高橋博之委員長 はい、ほかにありませんか。
○新居田弘文委員 さっき事例での御紹介がありましたが、大平地区ですが、私も近くに住んでいるものですから、関心を持って聞いていたのですよ。確かに、へんぴと言えば失礼ですが、いずれ頑張っているのだけれども、だんだん高齢化が激しくなって、そのために集落が結束して、いろいろ取り組みをやっているということもありましたし、一方では農村部からいわゆる町の中心部の方に、土地区画整理事業ができたとかということで、いろいろ帰ってくる、マンションが建つ、それからアパートに入ってくると。
 ところが、その町場の方は、人は集積するけれども、みんなあくまでも点の状態なのです。農村部の場合だと、それが線になったり、面になったりして、立派な名前がつく、つかないは別にしても、いずれにしろ実質的にはそういう流れで動いているのですが、都市部の場合は必ずしもそうはいかないで、むしろばらばらで、隣の人がどなたというふうな感じの方がむしろ多いと思うのです。それは、うちの方だけではなくて、特に盛岡とか大きいところになるとそうなのですけれども。そのため、さっきも佐々木委員からも紹介されましたように、市町村の職員がその地域をよく見て、いろんな情報の連絡役をしたり、あるいは、いろんな相談相手にもなっているのですが、それが合併したことによって、全然見知らぬほかの前の市の方がこっち側の職員になったということで、全くそこにはつながりというものがない。そういうことが始まっていくと思うのです。
 そういう意味で、非常に合併のいい面もあるけれども、その陰の部分というのは最近肌で感じています。それは、農協なんかも同じなのですけれども、おかげでしつこく来る保険の勧誘も断りやすくなったという面もありますけれども、いずれそんなこと例え話なのですけれども。そんな状態の中で、やっぱり市町村職員の役割というのは、もう一つ見直すというか、そういうものを大事にしてやらないと、その方面のプロですから。ただ、先ほども、いろいろ紹介があったように、メニューではなくて、実質的にやる気を起こさせるヒントを与えるという、その辺を求めれば、いろいろ限界集落の話もありますけれども、岩手県はまだまだ可能性はたくさんありますし、むしろ都市部からすれば非常にすばらしい資産を持っていますから。
 ちょうど近くに平泉の世界遺産登録の核になった場所があるのですけれども、最近はそのために、毎週のように日曜日の朝といえば草刈りとか、お客さんが来るので恥ずかしくないように、ごみを拾ったり草を刈ったりというようなことの取り組みも自主的にやって、それが県管理河川の清掃の草刈りまで発展なんかしている場所もあるのですけれども、それは地元の市町村職員もその事務方をやっていますが、そういう事例も実はあるのです。
 先生にお聞きしたいのは、その都市部と称される、あるいは人口集積地のそういうコミュニティづくりの何かポイント、ヒントなど、もしも取材中に、これだというものがあれば御指導いただければと思います。
〇神田由紀参考人 1つ前に、市町村の職員の役割というものが、おっしゃるとおりすごく大きいと思います。いろいろな地域で市町村の地域担当職員制というのをとっているところもあって、この地域はあなたが基本的には面倒を見なさいと。そういう職員を置いている地域も結構ふえてきています。一方で、やっぱり先ほど先生おっしゃったように、ヒントを与える存在にとおっしゃっていましたけれども、やはりその火つけ役というか、その地域づくりの火つけ役ということで、そういう役割も市町村職員、行政職員にすごく求められてきて、これからもっともっと、今までの机に座っているような仕事よりは、もっと地域に出ていって、そういう地域をまとめるという意味で、もっと存在感が増していくのではないのかなと思っています。
 都市部のコミュニティ再生、なかなか難しいのです。マンションに住んでいる人をどうするかとか、全員が入るというのは本当に難しいと思うのですけれども、例えば、子供を通じればコミュニティに入っていきやすいとかあると思いますし、例えば、先ほどちょっとお話ししましたけれども、NPO、自分の興味のある分野だったらやりたいと。おじいさん、おばあさん、年配の人ばかりいるような町内会とか自治会だと入りづらいけれども、自分の好きな分野だったら入りやすいと、そういうのはあると思うので、例えばPTAとかNPOとか、そういう若い世代も入りやすい、そういう組織も全部一緒にしたような地域の組織のつくり方というのもこれからは、今は本当に町内会、自治体単位でいろんなことをやっているのですが、もうちょっと大きく地域をとらえて、そういう人たちも含めた地域に再編していけば、どこかの入り口から何かのきっかけで地域に入って、そこから広がっていくような、そういう組織も都市だったら考えてもいいのではないかなと思いました。
○新居田弘文委員 個人情報保護法ですか、あの弊害というのが非常にあるのです。というのは、農家であれば、どこのうちでも世帯主の表札がずっとあるのですけれども、それが町場に行きますと、そういうふうな関係で、なるべくそれはつけないようにしているとか、あるいはどこかに民生委員とかいろんな区長さんに聞いても、こういうのはなかなか言える話でないからと、そういう法律を盾にして、その辺の情報を共有する妨げになっているという現実的なものもあるのではないかなと思うのですけれど、その辺はどうでしょう。
〇神田由紀参考人 おっしゃるとおりだと思います。国勢調査なんかも、なかなか今はしにくくなってきて、回収率が下がっていますよね。盛岡市内のマンションで、やっぱり危機管理として、何かあったときのために、町内で名簿をつくりたいと思ったのですけれども、やはり名前とか世帯構成とか教えてくれない人が多いというので、すごく悩んでいるという話がありました。そこは、解決策はなかなか難しいのですが、大きな課題だと思っています。
〇小野寺有一委員 僕も以前神田さんのお話を釜石で伺わせていただいたことがあったと思いますけれども、そのときにも、もしかして聞いたかもしれないのですが、先ほど町内会長さんが忙しくてなり手がないという話がありましたけれども、自分もこの前まで町内会長だったからよくわかるのですけれども、実はコミュニティというのは、もともとは共同体という意味で、別に地域だけの問題ではないですね、共同体というのは。そこで、僕がいつも疑問に思うのは、フリーライダーの問題なのです。結局みんなが一生懸命何かをやったときに、その利益というのを地域の全体が享受できるとすると、一生懸命やった人も、やらなかった人も同じように、もしも享受できるのであれば、やらない方がいいやというところとなっているのが、常に僕らの共同体の問題にはあるような気がするのです。
 それを、例えば一生懸命、先ほどだんだん拘束時間もふえてきて、その人たちには、少しでも要はそういう報酬的なものを払ったらどうかという検討が始まっているところもあるというふうに言っていましたけれども、そういうフリーライダーと一生懸命やる人の差が固定化して長期にわたっていくと、結局そういうせっかくの活動とかというものが維持できなくなるような気がするので、それを例えばうまく緩和できるというか、継続的に、持続的にできるような方法というのを考えられているようなところがあったら教えていただきたいなと思います。
〇神田由紀参考人 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、例えば町内会で町内会長さんが会費を集めに行っても全然払ってくれない若い人がいる。そうすると、「もう、あんたの家の前の電灯はつけないよ」と、そういうふうに言われて初めて、自分が、その若い人は町内に支えられているのだということがわかって会費を払い始めたとおっしゃっていた会長さんもいらっしゃいますね。
 ちょっと難しいのですけれども、やっぱり町内がそういう支え合いで成り立っているのだと。例えば今の電球もそうですし、ごみ処理所がきれいになっているのもそうですし、いろいろあると思うのですが、そういうことを、ちょっとアベニューでもないですけれども、そういうことを町内にいる特に若い人に伝えていく。多分普通にただ暮らしていても見えないと思うのですよね。そこら辺をどういうことを享受していくのかということを何らかの形で伝えていくというのが大事なのではないかなと思っています。
 今のフリーライダーの話を何とか実践しようと思っている地域というのは、なかなか私の取材の中ではちょっと見えなかったのですけれども。
 あと、ちょっとした報酬の問題なのですが、それはやっぱり、あとは地域ごとに、地域である程度自治会費を集めたりとか、交付金をもらったりとかして、これから自治をやっていく中で、そういうものも地域で話し合って、少しはやっぱり必要だねということを地域で話し合って、それで納得すれば少し報酬を出すとか、そういうことも、それは地域でオーケーなら、あるいは私はいただいた方がいいのではないかと思います。
〇高橋博之委員長 ほかにありませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
〇高橋博之委員長 ほかにないようですので、本日の調査は、これをもって終了いたしま
す。
 きょうは、神田さんにわざわざ東京の方から御指導いただいたわけですけれども、「とことん住民力」の取材、半年間、県内の隅から隅まで回ったということで、恐らく今、岩手県で、最もコミュニティについて、現場についてお詳しいということで、いろいろお話を聞かせていただいたのですけれども、取材を通じたさまざまな事例をきょうは御紹介いただきまして、本当に感謝申し上げます。
 今、岩手県議会におきましても、この間おやめなりになりました増田寛也前知事のネクスト・マニフェストの中に、最大の課題としてこの限界集落を掲げておりました。それから、新しい達増知事も、今回、草の根コミュニティの再生事業ということで、大きな問題意識を持って取り組み始めているところです。
 我々、県議会といたしましても、今回4特別委員会の中にこういう形で初めて交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会ということで設置をいたしまして、これから問題意識を持って取り組んでいこうとしているところであります。
 きょう私がお話を聞いて本当に印象的だったのは、やはり何があっても最後までこの土地で暮らして、死んでいきたいのだという方が大変多かったというお話を聞いて、やっぱりそうだろうなと感じました。私も、これは花巻市内なのですが、花巻市内にも山間地、中山間地がたくさんあるのですけれども、そういう方もいらっしゃいます。一方で、先日伺ったところが30世帯の集落だったのですけれども、もう子供たちもみんな出ていってしまって、一人になった方が地域に点在しているわけです。そこの集落に学校があったわけです。昔は、子供たちが100人ぐらいいたのだけれども、今は2人とか3人しかいない。それで、もう当然閉校になっているのです。
 だから、そういう学校を改修する形で、最後みんなが利用し合って力を合わせて生活をして、ぎりぎりまでここにいたいと。ただ、今、自分の家で一人ではもう無理だと、5年も10年もすると、というような御提案をされた方もいらっしゃいました。
 あとは、昔、沢内村で山の上に住んでいた人に来てもらって、国道沿いに行政が補助をして引っ越したという事例を出して、大迫での話だったのですけれども、ここでもそういう施策が必要なのではないかと言われるような方もいらして、いずれ住民の皆さんも、5年後、10年後、ここはどうなるかわからない。先ほど、佐々木一榮委員からもお話がありましたけれども、病院にも行けない、何かあったときどうすればいいのだというとても大きな不安を持っている方も一方でいらっしゃることは、私も地域を回っていて実感をしました。
 いずれ、とにかくまずは現状をしっかり認識をして、県としてどういった支援がしていけるのか、これからこの特別委員会を通じて精いっぱい考えていきたいと思います。
 本日は本当にお忙しいところお越しをいただきましてまことにありがとうございました。
〇神田由紀参考人 ありがとうございました。
(参考人退室)
〇高橋博之委員長 委員の皆様には、次回の委員会運営等について御相談がありますので、少々お待ち願います。
 次に、9月5日に予定されております次回の当委員会の調査事項につきましては、さきの当委員会において当職に御一任いただいたところでありますが、現在調整中ですので、内容がかたまり次第、後日連絡いたします。
 次に、9月及び来年2月に予定しております委員会調査についてお諮りいたします。
 お手元に、委員会調査計画(案)を配付いたしておりますが、この日程により調査を行うこととしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
 (「なし」と呼ぶ者あり)
〇高橋博之委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、詳細については当職に御一任願います。
 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日は、これをもって散会いたします。

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