医師確保・少子高齢化対策特別委員会会議記録

  医師確保・少子高齢化対策特別委員長  三浦 陽子

1 日時
  平成19年8月8日(水曜日)
  午前10時4分開会、午後12時10分散会
2 場所
  第2委員会室
3 出席委員
  三浦陽子委員長、高橋比奈子副委員長、伊藤勢至委員、佐々木順一委員、
 千葉康一郎委員、郷右近浩委員、千葉伝委員、平沼健委員、工藤勝子委員、
 吉田洋治委員、小西和子委員、斉藤信委員
4 欠席委員
  なし
5 事務局職員
  大坊担当書記、高杉担当書記
6 説明のために出席した者
  保健福祉部柳原医療国保課総括課長、尾形医師確保対策室長
  岩手県医科大学医学部教務委員長・共通センター長 佐藤洋一氏
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
 (1) 本県における医療確保対策について
 (2) 岩手医科大学における地域医療人材育成の現状と展望
 (3) その他
  ア 次回の委員会運営について
  イ 委員会調査について
9 議事の内容
○三浦陽子委員長 皆様おはようございます。ただいまから医師確保・少子高齢化対策特別委員会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。調査の進め方でありますが、本県における医師確保対策について執行部から説明を受けた後、岩手医科大学における地域医療人育成の現状と展望について調査を行います。
 それでは、本県における医師確保対策について、執行部から説明を受けたいと思います。では、まず柳原医療国保課総括課長、よろしくお願いいたします。
○柳原医療国保課総括課長 それでは、お手元に配付をさせていただいております資料に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
 私からは、岩手県医師確保対策アクションプランの概要についてという表題のついた資料によりまして説明をさせていただきたいと思います。
 岩手県の医師確保対策アクションプランでございますけれども、次の2ページ以降からその概要について御説明いたしますが、その前に1ページ目の下の図でございます。参考でございますが、医師のキャリアパスのイメージを御覧いただきたいと思います。これは、臨床医を中心といたしまして大学卒業後、医師がどんなルートをたどって地域に定着していくかのおおよそを概観したものでございます。現行の制度でございますと、卒後2年間、初期臨床研修がございます。その後、後期研修、各学会の認定医、専門医、指導医といった資格を取って、その後10年から20年をかけて開業するのか、病院勤務をするのか、大学勤務になって教官になるのかといったような道をたどっていくと一般的に言われております。私どもの医師確保対策アクションプランにおきましては、このうち、現在において力を入れておりますのは初期臨床研修から後期研修へのところ、これに加えまして、ここにはございませんが、高校生が医学部に進学していただくための取り組み、それと実際臨床の現場に出られた先生方が地域に定着していただくような支援について取り組みをさせていただいているところでございます。以降、資料に基づきまして、その概要について御説明申し上げたいと思います。
 ページをおめくりいただきたいと思います。2ページの上の図でございます。岩手県医師確保対策アクションプランの構成でございます。アクションプランにおきましては、大きく5つのアクションに区分けをさせていただいてございます。それぞれActionTの育てるからActionXの働きかけることとさせていただいております。それぞれその対象は、高校生、医学生、研修医、一般に働いておられる先生方というふうに、一応そのターゲットを念頭に置いて取り組みをさせていただいているところでございます。以降、順次御説明申し上げたいと思います。
 2ページの下の図、ActionT「育てる」の@でございます。ここでは、既存の医師養成事業、奨学金による医師の養成と義務履行による公立医療機関勤務について、簡単に表にさせていただいてございます。現行の医師養成事業につきましては、大きく3つの事業がございます。市町村医師養成の修学生制度、岩手県医療局の修学生制度、医療局の職員奨学資金貸付事業の3つでございます。それぞれ事業開始年度、貸与額、義務履行となってございますけれども、現行はこの3つで年25名ほどの貸付枠がございます。その貸付枠の中で、ここ4年の状況を貸し付けの開始数ということで記載をさせていただいております。
 平成16年から平成19年までの状況でございます。市町村医師養成事業については、4年間で合計31名、医療局の修学生制度については17名、医療局の職員奨学資金貸付事業につきましては37名と、これらの方々に奨学金をお貸しして、卒業後、この義務履行に基づいて地域の医療機関で勤務医となることを我々としてはお願いするところでございます。この奨学金制度につきましては、来年度からの岩手医大の定員増に向けまして、現行の25人の奨学金枠から45名までに拡大するということで、現在詳細を詰めさせていただいているところでございます。
 なお、参考までに自治医科大学の医師養成数ということで、過去、近年、4年ほどの状況を参考までに付け加えさせていただきたいと思います。
 ページをめくっていただきまして3ページ上のActionT「育てる」Aでございます。奨学金制度は御用意させていただいておりますが、高校生の方々が医学部に進学していただかなければいけませんので、医学部進学の動機づけをするという観点から、医学部進学セミナーといったものの取り組みをさせていただいております。これは平成16年から取り組みをさせていただいておりますけれども、平成19年もいつの時点でどういう形でするかを調整中でございます。その他、県としては、高校生を対象として、こういった医学部進学セミナーを実施させていただいておりますけれども、下の点線囲みにございますとおり、県の教育委員会でも岩手医科大学など県内の5大学との高大連携事業といったもので、オープンキャンパス等の取り組みも積極的にしていただいているところでございます。
 続きまして、ActionU「知ってもらう」の@でございます。このように奨学生制度等の制度がありましても、まずは制度自体を皆さんに知ってもらわなければいけないということで、奨学金制度等の医師養成事業のPR、医学部進学セミナー等、または高等学校の進路指導者の方々への周知といったことにまず取り組みをさせていただいております。
 (2)といたしまして、いわてサマーセミナーといったものを実施してございます。これは、医学生を対象といたしまして県内臨床研修の指導医との交流によって、卒業後の県内での臨床研修を促進するといった意味合いのものでございます。毎年学生の夏休みの期間、今年も今週の金曜日から土曜日にかけて予定をしてございます。現行、今のところ20数名の参加者数が見込まれてございますが、こういった中で岩手の地域医療の現状でございますとか、臨床研修についての内容等について現場の臨床研修指導医の方々と交流をさせていただいて、県内に定着していただく1つのきっかけ作りをさせていただいているところでございます。
 続きまして、4ページの上の図、ActionU「知ってもらう」Aでございます。今申し上げましたいわてサマーセミナーは医学生を対象としているものでございますけれども、どちらかといいますと低学年、4年生程度までを対象にしたものでございます。このActionUの「知ってもらう」Aの(3)、(4)でございますけれども、これは高学年向けのものです。
 (3)の県内臨床研修病院合同説明会でございますけれども、県内にある14の臨床研修病院での初期臨床研修を医学生に働きかけるということで取り組みをさせていただいているものでございます。これまで東京でございますとか、あと岩手の会場で取り組みをさせていただいておりまして、本県としては全国の医学生の方々に岩手県内の臨床研修病院の取り組みを説明する機会でございます。    
 また、岩手県出身者の医学生に対しましても、この県内の臨床研修の状況を説明して、県内の臨床研修病院で研修いただく機会としてとらえて続けているものでございます。これが(3)でございます。
 (4)の県内臨床研修病院の合同面接会でございます。これは、説明会とは別に、実際の初期臨床研修医としての採用面接でございます。これは、県内の14の臨床研修病院合同でしているわけでございまして、(3)と(4)、それぞれ合同ですることによって、医学生にとっては一度この会場に来ればすべての病院の情報も得られる、または、色々な採用についての情報も得られるということで、情報を得やすい会場として好評を博しているところでございます。
 次にActionVでございます。「残ってもらう」ということでございます。臨床研修で県内の臨床研修病院に採用された方々が引き続き初期臨床研修の後、後期研修の方に移行していただくことを想定しているものでございます。ActionVの「残ってもらう」@では(1)といたしまして、臨床研修指導医の講習会ということで、指導医の方々を養成する取り組みをさせていただいております。県内の臨床研修病院は14ございますけれども、臨床研修医の方々が病院を選ぶ1つの要素といたしましては、よい指導医がいることというふうに我々は理解をしてございます。そのために必要な指導医の方々の資質の向上といった観点から、この講習会の取り組みをさせていただいているところでございます。これは、岩手県独自の取り組みでございまして、全国ではまだ岩手県の取り組みほど独自のものは余りないのではないかと考えてございます。このほかにも国等の主催する指導医講習会がございますが、本県独自で平成16年から実施している我々の方がはしりと考えてございます。
 この(1)の臨床研修指導医講習会については、平成16年から実施をさせていただいておりますけれども、(2)の臨床研修指導医の講習会は、スキルアップセミナーということで今年度から新たな取り組みとしてやらせていただいてございます。実際指導医として養成した方々、臨床研修医の方々を指導し、日々、色々と指導上お悩みになっていることがあるとお聞きしておりますし、また、技術上の問題点等、どうすれば向上するかといったことについても取り組みが必要だという御意見が出ております。それを受けまして、本年度から、これまで指導医として活躍していただいた方々にさらなるスキルアップをしていただくための取り組みということで、ことしから取り組みをさせていただいたのが(2)の臨床研修指導医の講習会でございます。こうして、まず臨床研修医の方々を指導する方々の受け皿としての体制に、我々として取り組みをさせていただいているところでございます。
 ページをめくっていただきまして、5ページになります。ActionV「残ってもらう」Aでございます。(3)、臨床研修医の合同オリエンテーションということでございます。これは、ことしから取り組みをさせていただきました。昨年度までは、医療局、岩手医大、日赤さん、済生会さん、それぞれが別々に各臨床研修医にオリエンテーションをしておりましたけれども、本年度から本県で統一して実施をさせていただいたものでございます。臨床研修医同士の交流を臨床研修の初めの段階で図るということもございますし、その後の色々な臨床研修医の交流を進めるというきっかけとして非常に重要だと考えております。
 次の(4)でございますけれども、客観的臨床能力試験、いわゆるオスキーと言われているものでございますけれども、これは2年目の臨床研修医の方々の診療能力の評価等を行うものでございます。この取り組みについても本県が独自に取り組みをさせていただいておりまして、この臨床研修の中での臨床研修医の方にとっても、自分たちの技能がどういった程度までいっているのかを知るという意味で非常に良い取り組みだというふうに評価を受けているところでございます。
 続きまして、(5)、後期研修の受け入れ体制の整備でございます。初期臨床研修が終わった後は、3年目、4年目以降、いわゆる一般的に後期研修と言われてございます。その受け入れの体制といたしまして、県内の14の臨床研修病院で後期研修のプログラムを作成いただきまして、後期研修医を募集し、実際採用いただいているという状況でございます。これまでのActionU、ActionVを中心といたしまして、県内に初期臨床研修医の方々を受け入れ、後期研修で残っていただくといった取り組みをさせていただいているわけでございます。
 その結果といたしまして、下のActionV「残ってもらう」B、(6)の臨床研修医の動向を御覧いただきたいと思います。平成16年、平成17年に研修を開始された方々は、それぞれ、初期研修が終わった平成18年の3月、平成19年の3月で研修を終了した方の8割を超える方々が県内の臨床研修病院等で研修なり勤務をしています。こうしたことから見ますと、いかに臨床研修医の方を県内に受け入れて残っていただくかがこの後の医師確保、また地域への定着に、今のところ一番大事ではないかと我々は考えております。こうした取り組みに引き続き力を入れていきたいと考えてございます。
 続きまして、6ページになります。ActionW、ActionXでございます。ActionW「住んでもらう」ということでございます。大きく2つございます。住んでもらうというのは、定着をしていただくことだと思いますけれども、(1)といたしましてドクターバンク制度ということで、昨年の12月から募集してきたものでございます。地域医療に興味をお持ちになって、県内の自治体医療機関に勤務を希望する方々を県職員として採用しまして、地域の要請に対応して、その地域に派遣する制度でございます。点線囲みで、若干詳しい説明をさせていただいておりますけれども、現在のところ何件かの問い合わせはございますが、まだバンクとしての登録には至っていないという状況でございます。引き続きこういった制度の周知と、あとは実際に個別に医師の面談等をした場合に、制度について理解いただくように努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、(2)の女性医師の就業支援事業でございます。これは、平成19年1月から事業開始をさせていただいてございます。大きく2つございます。一つがアの育児支援事業、もう一つがイの職場復帰支援事業でございます。育児支援につきましては、宿直や急患対応、または研修会出席等臨時緊急的に保育等が必要な場合に、その保育を行うベビーシッター等の派遣等を調整する事業でございます。現在のところ、今年は10名の方々がサービスを利用をしたいということで登録をしておられる状況でございます。イの職場復帰支援事業でございますけれども、これにつきましては、一旦離職した女性医師の方々の職場復帰を支援するということで、岩手医科大学の方で研修を受け入れる制度でございます。1カ月から1年の間で幾らかのコースがございます。現在、ことしは、6人の方々が研修を受講されている状況でございます。
 最後になりますけれども、ActionのX「働きかける」ということで、これは国へ対する提案、制度要望等でございます。そういった働きかけを受けて、今回、平成20年度からの岩手医科大学定員増等も実現したいと考えてございますので、こういった点についても、引き続き国に対しては積極的に要望してまいりたいと考えております。
 以上、簡単でございますが、医師確保アクションプランの説明について終わります。
○三浦陽子委員長 ありがとうございました。
 では、次に尾形医師確保対策室長、お願いいたします。
○尾形医師確保対策室長 それでは、私の方から即戦力医師招聘活動について、A4判1枚のペーパーで御説明をさせていただきたいと思います。
 昨年の9月19日に医師確保対策室を立ち上げまして、医師招聘活動を行ってきたわけでございますが、これまでの取り組みの経過報告と、今後の取り組みについて、資料によって説明させていただきたいと思います。
 私どもの活動は、大きく分けて1の(1)、(2)、(3)、の3つの活動をしております。1つ目は訪問活動、それから2つ目が医師データベースの整備、3つ目が広報宣伝でございます。
 まず、訪問活動につきましては、岩手医科大学の同窓会である圭陵会の医師の方、県出身の医師、それから全国医学部の教授とか病院長さん方を個別訪問いたしまして、これまで約300名の医師と面談を行っております。それから、全国各地の県人会、産業人会、いわて銀河大使懇談会に出席いたしまして、約1,200名の県人の方々に医師情報の提供をお願いしております。これまで北海道、東京、大阪、京都等々に行きまして情報の提供をお願いし、何名かの紹介をいただいているところでございます。
 それから、2つ目の医師のデータベースにつきましては、岩手医科大学同窓会である圭陵会所属の県外の医師を中心に、現在その他の者も含めて約500名のデータベースを整備し、このデータベースを基に色々と折衝をさせていただいております。それから、岩手医科大学の全面的な協力の基に、上記のデータベースの中から365名に対しまして意向調査をやらせていただいておりまして、これまで20名の方から御回答いただき、そのうち条件が合えばいいとか、あるいは将来考えてもいいという御回答もいただいておりまして、その方々と現在面談を続けているところでございます。
 それから、広報宣伝といたしましては、昨年の12月にホームページを開設いたしまして、全国に情報発信しておりますが、1日のアクセス件数は250件前後来ています。それから、医学雑誌への医師募集広告を2月、3月を中心に行っておりますし、今年度も、今後募集広告を行う予定としております。それから、PRパンフレット及びチラシの作成ですが、パンフレットにつきましては本日お手元にイーハトーブ岩手ということでお配りさせていただいております。このパンフレットは、県内医師をお訪ねした際に、先ほど柳原課長が説明いたしました県の取り組み等について説明したものでございまして、これに基づいてPR活動をさせていただいております。現在若干県立病院等の中身が変わってきておりますので、改訂版を作成中でございます。
 それから、2つ目の医師確保の状況等でございますが、これまでの医師招聘活動の結果、現在9名の医師を確保し、本人の希望とか、あるいは専門診療科目等におきまして県立病院に勤務しております。ただ、全体として医師数の増加には至っておらず、県立病院においては内科系の診療科、産婦人科、小児科など、なお医師確保が困難な状況が続いております。今後につきましては、これまでの活動を検証しながら、より招聘の可能性の高い医師の情報収集、特に県職員あるいは市町村職員にも呼びかけまして情報の提供をお願いしておりますし、県教委と連携の上、本県高校卒業生で県外にいらっしゃる方々等の情報収集に努めて、今、色々と折衝に当たっているところでございます。
 以上でございます。
○三浦陽子委員長 ありがとうございました。
 それでは、きょうはお二方には同席していただいておりますので、後ほどまた質疑などにお答えいただけるかもしれません。
 では次に、岩手医科大学における地域医療人育成の現状と展望につきまして調査を行います。本日は、お忙しいところ、講師として岩手医科大学共通教育センター長、佐藤洋一氏をお招きしておりますので、御紹介申し上げます。
 では、佐藤先生、よろしくお願いします。
○佐藤洋一講師 共通教育センターは、4月1日から薬学部増設に伴いまして新設されまして、そこのセンター長をやっておりますが、同時に医学部の教務委員長という形で医学部の教育環境を担当しております。専門は解剖学ということで、死んだ人とネズミしか当たっておりませんけれども、一時、釜石にいて臨床もやっておりました。そういった関係で、教育全体を統括する立場におります。きょうはよろしくお願いします。
○三浦陽子委員長 佐藤先生の御経歴につきましては、お手元に配付いたしておりますので、どうぞお目を通してください。
 本日は、岩手医科大学における地域医療人育成の現状と展望と題しまして、佐藤先生より御講演をいただくことにしておりますが、先生には御多忙のところ、御講演をお引き受けいただきまして、改めて感謝申し上げております。これから御講演をいただくわけでありますが、後ほど佐藤先生を交えての質疑、意見交換の時間を設けておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、佐藤先生、よろしくお願いいたします。
○佐藤洋一講師 きょうは、パワーポイントでお話ししたいと思います。お手元のハンズアウトでございますけれども、岩手医大の新しいロゴマークがありますが、それがこれから出すパワーポイントのもので、それがついているものがお手元の資料にあります。ちょっと煩雑になりますので、全部資料にはいたしませんでした。
 私は、岩手医科大学の教務委員長ということで、きょうこのお話をする機会を与えていただきまして非常にありがたく思っております。何といっても、岩手県に医師を残すというか、岩手県に医師として入ってもらうときには、岩手医科大学が魅力あるものでなければいけないということを重々に承知しておりまして、そのためにどういった施策を取ったかということを先生方におわかりいただければと思います。
 岩手医科大学は、御存じのように三田俊次郎がつくった大学でございますけれども、元々は岩手県の医療が酷いということで三田俊次郎がつくったわけです。これは、医専時代に後藤新平が本学に来て講演したときに「誠実な田舎医者たれ」と訓辞されたと言われております。したがいまして、岩手医科大学はその設立理念、その経緯をとりましても、地域医療に貢献する医療人を育てるということが校是となっております。
 きょうお話しすることですけれども、幾つかございます。1つは、これは事前にファクスでこういったことを話していただきたいということで考えたことでございますけれども、医療人育成のためにどんなことをやっているか、またその現状はどうかということで、3つぐらいに分け、さらにその細目に分けさせていただきました。
 まず、岩手医科大学と岩手県医療との関係ということで、県内出身学生の現況についてお話ししたいと思います。これが過去十数年のものでございますけれども、大体がこういった形で推薦入学、一般入試という形で岩手県出身者が来ております。ただし、こうして見ていただくとわかりますけれども、80人の定員のうち20人に至っておりません。グラフにしておりますけれども、こういった具合になっておりまして、結局20人になっておりませんし、それから推薦入試が20人おりますけれども、そのうち半分を超えていることもほとんどありません。半分超えたのは、赤で示している医療局修学生制度が始まった年だけでございます。あとは、一般の推薦入試で入ってくる学生さんが減って、医療局の修学生がそれを埋めているという形です。医療局の修学生制度が始まって一過性に増えたのですけれども、それが頭打ちになっているという現状がおわかりかと思います。
 卒業後の動向、臨床研修の状況でございます。これもちょっと数字ですとわかりにくいのでグラフにしてみました。赤が県内出身者で県内に残った人、赤の薄い色が県内出身者だけれども県外に行った人でございます。青が県外から来た人で、濃いのが県内に残った人、薄いのが県外に行った人でございますけれども、こうして見ていただくとわかりますが、県内出身者は結構県内に残るのですけれども、ちょっと県外に出ていく人が多い。折れ線グラフにするとわかるのですが、県外出身者で県内に残る人が激減しております。率から見てみますと、平成19年度は県内出身者でも県外に行く人が一過性にちょっと増えております。これは、将来はずっと岩手県に残るつもりなので、研修だけは外でやりたいという学生が増えてきているということでございます。いずれにしろ、その初期研修の必修化というのが始まってから、とにかく県内に残る人が少なくなった、。特に県外出身者で県内に残る人が少なくなっているというのがおわかりいただけるかと思います。以前は半々だったのですけれども。
 医師になる道のりについては、先ほど柳原先生の方からもお話していただきましたけれども、以前は、医学部に入り国家試験を通ればそのまま開業とか勤務医という形でとられておったわけですけれども、今はそうではなくて、初期研修というのが始まりました。さらに、一般医、専門医という形になりますけれども、そのところに大学院、博士課程、それから大学の診療部門、こういったところで専門医となるのが一般的でございます。さらに、そういったところから開業したり勤務医になったりということでございまして、それ以外にも一回ほかの大学を出て、そして学士入学という形で大学に入ってくる、医学部に入ってくるという、そういった経路もございます。
 結果として、ここで見ていただきたいのは、大学が単なる医学部だけではなくて、卒後でも結構色々なところでコミットしてくるということをおわかりいただければと思います。すなわち地域医療の充実には、地元の大学にどれだけ初期研修医が入るか、もしくは戻ってくるか、ということが重要案件になってまいります。これを帰学率と言います。帰学者の状況でございますが、北海道、東北と見ておりますけれども、平成14年の残留率に地域差はほとんどありませんが、それが平成18年、平成19年となりますと初期研修の終了後、大学に入ってくる人が東北、北海道は激減しております。一方、関東は増えております。
 これは、東北地方の平成19年度の大学の帰学者でございます。帰学率の順に並べております。一番高いところは福島県でございます。実は、岩手県は2番目に位置しております。この秋田大学、山形大学の帰学率のひどさ、17%、12%、これは非常に憂うべきものがあります。
 岩手県の地域医療に対する岩手医科大学の貢献状況は一体どういったことかでございます。これも皆さん、よく御存じかと思いますけれども、医師数は本当に足りているか。実は、OECDの調査によりますけれども、人口1,000人当たりの平均が3.1人でございますが、日本は2.0人でございます。ドイツは3.4人でございますので、OECDの平均に持っていこうとすると医師の絶対数が14万人足りないという状況です。この状況は、吉村さんという方が1983年に医療費亡国論を出されましたけれども、実はそのあたりからどんどん格差が広がっております。その前に、田中角栄が一県一大学構想という形で大学を建てて、そして1回、OECD並みになったわけですけれども、1997年に閣議決定で定員を減らそうとなりそれからどんどん格差が開いています。しかも、働き過ぎでございます。縦軸を見ていただければわかりますけれども、イギリスに比べて日本の医者は非常に働き過ぎでございます。したがいまして、日本においては絶対的な勤務医不足であると私どもは思っております。
 医師偏在というのもありますけれども、これは絶対数不足の上に生じております。勤務医の過重労働は医療ミスが当然増えてくる。それから立ち去り型サボタージュという言葉がつくられましたけれども、積極的にサボタージュするのではなくて、勤務医をやめてしまうという、あるいは女性医師が途中で脱落していくという、さらなる勤務医の不足が起きております。偏在ということでありますけれども、日本全体の人口当たりの医師数に比べて、岩手県は低い状態にある。一方、北海道は実は高いように見えますが、これは札幌に集中しているだけでございまして、地域に関しては医師数が少ない状態におります。
 岩手県の医師供給ですけれども、岩手医大は大体3分の2の医師数を供給している。これは、開業医も含めてでございますけれども、では勤務医として基幹病院に派遣した医師数は一体何名かということでございます。いわゆる医師派遣とよく言われますけれども、岩手医大はどのくらい基幹病院に派遣しているかと。何名でしょうか。先ほど医師確保ということで9名と出ておりますけれども、実は岩手医大は常勤として513名から482名、500名ぐらい出しております。非常勤で大体80名ぐらい出しております。これは、鹿角組合、能代総合、八戸日赤の県外機関も含めておりますけれども、こういった形で各地に人を派遣しております。こういった状況を踏まえますと、この人員を確保するためには、年間40人から50人ぐらいの新人医師が岩手県の地域医療に参入しなければ、これを回すことはできません。
 実は、地域医療というのは地方大学が担ってきておりました。若手医師が入ってくることによって中堅医師を地方の基幹病院に出すという、そういったことが行われておりました。
 ここに若手医師が入ることによって中堅医師がこちらに来ております。ところが、今、若手医師が今入らない状態になっております。いわゆる臨床研修医という形ですから、ここに入ってこない。仮に入ってきたとしても、帰学率が半分ぐらいという状態です。秋田、山形ですと20%いかないわけですから、当然この中堅医師を外に出すことができないという状況です。これは、先ほど申しましたように、非常に憂うべき状態でして、この大都市、中大都市、これがピンク色でございますけれども、それ以外のところというふうに分けます。特に北海道は、札幌近辺とそれ以外は全く状況が違います。そうしますと、例えば旭川医大とか、そういったところにどれだけ戻ってくるかというと非常に少ないわけです。岩手県も非常に少ない状態にあります。以前はこれだけ大学に残ったわけですけれども、それがガクッと減っております。したがいまして、派遣常勤医師の増減というのを見てみますと、わずかながら減っております。診療科別の派遣状況というのも見てみますと、これは決して全部にあるわけではございませんで、内科、外科、整形、こういったところは年々減っております。すなわち内科、外科、整形に行く若手医師はどんどん減っております。一方、比較的楽と言われている皮膚科、こういったところは増えております。
 では、そういったことについて岩手医大の教育では手をこまねいているのではないかと言われますと、そうではございませんで、それなりにやっているということを御紹介したいと思います。医師になる道のりというのは、こういった形になりますけれども、まず人材の確保、いかに地元に残すか。それから学生の意欲の発掘、維持、基本的な技術の徹底、救急診断の修得という、この4点ですけれども、それについて岩手医大は努力しているということでございます。
 まず、人材の確保でございます。地元枠を設定しなければいけない。それから医療人教育支援プログラムという形で文科省からお金をいただきましたけれども、それで手当てしているのがこの領域でございます。まず、地元に残すということでございますけれども、これは80名中20名の推薦入試を設定しておりますけれども、岩手県内の高校からは1校2名、ほかのところは1校1名。それから、岩手県の医療局修学生というのがございます。これは平成19年度で終了でございますけれども、平成20年度以降は共通教育センターのほかに入試センターも開設いたしました。地域基幹高校との連携をとって、優秀な生徒を取り込もうとしております。そのために、現在その入試形態をどうするかを急いで、もう一度考え直している最中でございます。これは、定員10名に対しての手当てでもございます。ここでぜひ言っておきたいのは、その医療局修学生が、今どういった形でいるかということでございます。ほかのところから来た学生に比べて成績が非常に良く、100点満点で大体3点から5点ぐらい平均点が良い学生が入ってきておりました。しかし、最近はちょっとそれが低迷している学生が多いと思われます。いわゆるこういった医療局修学生がどういった成績かということは、実は岩手県からは何もフォローがございません。私どもとすれば、もし照会があったら、お知らせすることもできるのですけれども、。そういったふうに学則も変えておりますが、医療局の方からは何も言ってきておりません。ですから、私どももこういった形ですよというフィードバックをかけることが今のところできておりません。
 それから、学生の意欲の発掘、維持ということでございます。これは、岩手医大全体として、いわゆる学部横断的な試みと大学間交流の希望というのがございます。それから、岩手医科大学の医学部独自の取り組みというのがあります。チーム医療、いわゆる職制を超えて地域医療人としての意識を担うということがございます。医学部、歯学部、薬学部が合わさった地域の担い手というのを創るように私ども考えており、現在は各学部の学生が混じってユニットを構成しております。すなわち歯学部、それから薬学部の学生も入って、そして学生寮に一緒に寝泊まりする。1年生ですけれども。そして、3学部共通のカリキュラムを行うという形で、医師、歯科医師、薬剤師という、そういった職業人になる学生が同じところで同じ釜の飯を食ってその段階でチームを組むということをまず実感してもらうということから始めております。それから、各界の著名な先生を招聘して共通講義をしておりますけれども、この間は、この先生の講義を県立大学の方にもインターネットで配信いたしました。今後は、こういった大学間を超えた交流というのも必要ではないかと思っております。
 それ以外にも医学部独自ということで、1学年、3学年、6学年に地域医療というものを体験してもらう、そういったことを考えております。1年生ですけれども、これは昨年度から始めました。これは県や市町村の医療施設、医療行政、それから医師会、こういったところを訪問させてもらいまして、あらかじめ問題点を学生が討議して、インタビューして、そしてワークショップをする。学生が自主的に問題点を抽出いたします。グループ、大学等で体験するわけですけれども、ここで単なる見学ではなくて、行政までいっているというところを着目していただきたいと思います。まず最初は、どこに行くかというのを自分たちで決定して、そして訪問先に行ってインタビューいたします。このときには、保健所や、町役場、村役場、そういったところに行っております。そして、発表準備をして、この町ではこういったことをやっていたという、そういった発表をいたします。ここに出ているのは、田野畑村に行った学生が発表しておりますけれども、田野畑村の診療所の先生、川崎先生は非常に地域医療に熱心な先生でして、ここに行った学生は非常に元気の良い発表をいたします。しかし、地域医療に余り熱心でない市町村に行った学生の発表は非常に低調でございます。これは、昨年、ことしと同じところでございます。どことは申しませんけれども、この市町村が本当にいいのだろうかと思ってしまいます。
 (「しゃべってくださいよ。」と呼ぶ者あり。)
○佐藤洋一講師 後で。
 この結果、一体、学生がどうなったかということですけれども、これは1年生の発表でございます。1年生が、まずこういった地域医療に触れる場所というのを岩手医科大学だけではなくて、ほかの大学でもした方がいい。それから、都市部出身の学生ですけれども、卒業後すぐさまその出身地の都会に戻るような学生は入学させない方がいいのではないかというふうに言います。それから、一方では未熟な医師よりも熟練した医師の派遣が望ましいのではないか。また、性急な若手医師による数的医師確保というのは稚拙であるということを1年生が言っております。それから、医療行政と病院関係者の意思疎通が良くない、ここも指摘しておりました。ある市ですけれども、市の方は県立病院と話すことは何もないと言うのです。県立病院とすれば、そこも市の医療を担っているわけですから市と話したいと言うわけですけれども、話すつもりはないと、そういったことを言い切る市もあったのです。それを1年生は報告いたします。もう一方では、田舎で医療に従事することの楽しさをちゃんと行政がアピールすべきではないかということを学生が言っております。私は、非常にこれが印象的でございました。それ以外にも施設体験学習をやっております。こういった病院に行ったり施設に行って体験をすることで、単なる学生から医療人への目覚めというのが起きているわけです。
 3年生のときには、実際に1週間ほど泊まり込んで地域医療の現場を知るということを体験します。このときには、まだ十分な医学知識はございませんが、それでも、まず医療の現場は24時間フル稼働であるということを救急センターに行って当直したり、それから救急車に同乗したりして体験します。
 6年生になりますと、オスキー、CBTという文科省で行っている全国共通の試験がございますけれども、それを通っておりますので、ある程度患者さんに触れてもいいということで、スチューデントドクターと言いますけれども、そういった形で地域医療に参画しております。これは2週間でございます。1年生、3年生、6年生、ここまで段階的に地域医療に触れさせる場所をつくっているという大学というのは恐らく他にはないと思います。6年生のアンケート結果ですけれども、結果として、地域医療に従事しようとする者が実は半分ぐらいしかおりません。しかし、その理由が自らの技能に対する不安というのが結構ございます。ですから、地域医療に行くのは躊躇すると。大学における地域医療人の育成の公約として次にありますのは、地域医療に必要な知識、技術の修得でございます。基本的な技術の徹底と救急診断学の修得、これをすることによって地域医療に対する不安を少しでも解消しようというのが目的でございます。4年生には、実際にどのように診断すればいいかという、そういったマニュアルを配付します。それから、5年生では豚を使った手術のトレーニングをいたします。これは、全国に先駆けて各科ばらばらだった診療のやり方をマニュアル化しまして、そしてそれをビデオで撮って、学内LANを通じて配信しております。これは、豚を使った実習でございますけれども、縫合とか、それからある程度初めにこうしますよと豚を寝せて、そして手術する。ここにあるのは、すべて人間に使うものと同じものでございます。それを使って、こういった形で実習しております。どうしても学生さんの中には手が動かない人もいます。そういった人には、ここで自分は外科に向いていないのではないかなというのをある程度認識してもらった方がいいかと思います。
 さらに、卒後教育でございます。卒後もこういった形で初期研修、救急医学、それから若手医師、それから中堅医師、そういった3段階に分けて研修を行っています。、これは初期研修医の救急医学の徹底でございます。今そこにいるのは患者さんでございませんで、シミュレーターでございますが、それで初期研修を徹底しております。
 さらに、大学院というのがございまして、これは高度医療人というものを育てるために大学を改革しろと文科省から言われております。それに先駆けて、うちの大学では臨床医を育てるための大学院、そういったものも考えております。つい先ほどですが、がんプロフェッショナル養成プランというのが採択されました。これは、秋田大学が代表者になっておりますけれども、秋田、岩手、それから弘前、この3大学でやっております。したがいまして、がん専門医の養成拠点に生まれ変わる、そういった素地もできております。
 ディプローマコースというのは、中堅医師を対象としております。救急の基礎、それから最新の知識、そういったものを修練させる。しかし、実際の受講者はそんなに多くおりません。なぜかというと、研修したくても代わりの医師がいないということで、今度はネット配信しようということを考えております。したがいまして、大学だけではなくて、大学卒業後もありとあらゆるところで地域医療に貢献する医師を育てるという、そういった企てというかプロジェクトをしております。
 卒前、卒後、地域医療人育成の学校理念に基づいたものを行っているというふうにある程度自負しております。結局、こういったことをやることによって、学生はある程度母校に帰属意識を持ちます。帰学者の維持、向上というのは、こういった手間をかけるということが大事ではないかと思っております。後ほど申しますけれども、秋田や、弘前、山形、は医師の教員数が少ないということもございまして、学生に手をかけることができません。したがいましてやはり帰属意識がちょっと希薄なのかもしれません。
 女性医師でございますけれども、実は岩手医科大学を受験する学生さんの大体3割ぐらいが女性です。それに応じて合格者数はちょっと多目でございますけれども、3割ぐらい。これは、ここ10年は30%、以前は10から20%ぐらいでございました。現在教員数に占める女性の数は12.1%で、これだけ見ますと岩手医科大学から女性が逃げている、岩手医科大学がセクハラ大学だと思われるかもしれませんけれども、実はそういうわけではございませんで、助教以上に専門研修医を入れると女性の数はちょっと上がります。研究員まで入れるとさらに上がりまして、助教のみと専門研修医だと17.1%で、35歳以下と若手にしますと、25.6%ということですので、そんなに逃げているわけではございません。若手医師では女性の比率が上がっております。しかし、今後家庭を持ちつつ、また激務に応じることができないため、病院から去る女性医師というのは増加するということが考えられます。引きとめる努力が必要である。先ほど御紹介ありましたけれども、岩手医科大学が職場復帰研修実施機関となっております。そういった形でお手伝いできるのではないかと思います。
 それから、中国医科大学との交流についてもちょっと知りたいということでございました。これについては、現在、産婦人科のお医者さんの高先生が入ってきております。この方は、日本の医師免許を持っておりませんので、指導医の下で研修という形で診療活動に従事しております。続けて小児科に受け入れ予定でございましたけれども、語学力の関係でまだ実現しておらず、結局現在は1人だけです。したがいまして、友好関係を結ぶという意義はありますけれども、中堅医師が1名増えたという形でございますので、地域医療振興策としては余り機能していない。
 医師不足、それから医師偏在の解消に向けた施策として自治体等と一緒に考えなければいけないことがあります。まず、知っていただきたいのは医学部学生の経費の現状でございます。コストは高いけれども、手間をかけた医療教育というのが結局帰学者の維持、向上であると申しましたけれども、実は卒前、卒後の地域医療人育成プログラムに係わる出費、それから女性医師支援に係る出費など、さらにもともと医学部は教育経費が非常に高くなっております。これは、患者がいなければ医学、医療教育は成り立ちません。これは、大学附属病院の病床数ですけれども、岩手医大は東北大学よりも多いのでございます。弘前、秋田、山形、福島県立医大は少ない。すなわち岩手医大の学生は、ほかの大学に比べて、特に弘前に比べて2倍ぐらいの患者さんを診るということになります。病床数は、こうなっております。当然病床数が多くなってございますので、教員数も多くなっている。ですから、学生1人当たりの教員数は大体2倍違います。そうすると、学生は教師に対して非常に親近感を持ちます。一方、これが少ない大学で、例えば三重大学とか岐阜大学は、先進的な医学教育をやっているということで、問題解決型学習というものをしているわけですけれども、ここで、大学に残る人は非常に少ない。なぜかといいますと、先進的な医学教育というのは教師の顔が見えないところが結構ございます。そうすると、大学の教授がどんな人かもわからないまま卒業してしまうと言われております。そういった人が果たしてどれだけ大学に残るか。
 運営経費でございます。国立大学が学生1人を育てるのに大体8,000万円かかっております。私立医科大学29校平均が1億円、それから自治医科大学も1億円でございます。国立大学は、単科医科大学が現在3校しかございませんので、その平均でございますが、そのほかに基本施設整備費が公表されておりませんので、大体やはり1億円くらいだろうと思われます。それから、岩手医科大学はこの私立医科大学の赤で書いてある借入金が幸いにしてゼロでございますので、今のところ大体8,000万円ぐらいで済んでいるだろう。しかし、これも自治医大と比べてみますと、全体で支出が大体こういったぐあい具合になっております。定員が岩手医大は80名、自治医大100名ですので、収入と支出を学生1人当たりに直してみますとこうなっております。自治医大の方には、岩手県等、いわゆる自治体からも補助がありますし、国からも補助があるわけですけれども、岩手医大は学生1人当たり、この差額の2,400万円かかっております。自治医大の方は、岩手県が運営経費として1人当たり4,005万円を出しております。定員10人増というのは、自治医科大学と恐理念的には恐らく同じものだと思います。自治医科大学には、4,005万円補助していらっしゃるわけですけれども、岩手医科大学は、平成30年以降、もし岩手県にお医者さんが増えなければ定員減となります。そのリスクを背負いつつ、年間1人当たり2,400万の財政差額を生じなければいけない。ぜひここを見ていただきたいのですけれども、本当に理不尽なのでしょうか。
 (「そう思いません。」と呼ぶ者あり。)
○佐藤洋一講師 しかも、大学運営経費というのは維持管理にすぎません。何かしら医師を増やそうと思ったら発展的なプロジェクトが必要になります。特に岩手県外から来て、そして岩手県に残る人が激減している。これをどうにかして引き止めなければいけない。一方では、先ほどのアクションプランでも残ってもらうと言いましたけれども、ことし盛岡一高からほかの県立大、国立大学に現役、浪人合わせて大体49名ほど、たしか入学しているはずです。そういった人に戻ってきてもらう、引き込むということもやはり考えなければいけません。その際には、基幹のいわゆる教育機関である岩手医科大学が相当魅力あるものにならなければいけない、そういったつもりでおります。ですから、定着させるというだけではなくて、呼び込むということも考えなければいけない。ですから、そこでコラボレーションにする医師定着、もしくは呼び込むという、そういった施設も必要になってくると思います。
 まず、地域医療に貢献する意識の啓発と維持、それから職制を超えて医療、医学に入ってくれる人、を増やすということで、大学間の交流、これは具体的には県立大学ですが、県立大学で育てていらっしゃる看護師さんも非常に大事な人でございます。そういった人に岩手医科大学としてのコラボレーションというのを、キャッチボールではないのですけれども、ずっと一方的に投げかけてきたのですが、なかなか受け手がなかった。しかし、ことしあたりから受けていただけるようになりました。例えば、専用テレビ会議システムを使いまして、岩手医科大学の講義を県立大学の学生さんに聞いてもらうようなことをしましたが、それは岩手医科大学の物を貸し出して行っております。ですから、県立大学にもこういった物を揃えていただければ、今後逆に県立大学でやった講義を私どもも聞けるということもできると思います。さらに、共通体験実習というのもお金が掛かりますけれどもやればいいだろうと思います。
 それから、医師のキャリアアップのためには、こういったプライマリーケア、それから知識、技能に専門性を持つこと地域医療に根差した生涯教育、こういったものも必要になってくるかと思います。例えば岩手県の御尽力によって造られた高度救命救急センターは全国で実は21施設しかありません。こういったものを使って、さらに研修施設もできればいいだろうと。もう一つは、地方基幹病院。これは県立病院が中心ですけれども、そこの教育設備が余り十分ではございません。あとは、医師、看護師の再履修施設というのもあればいいと思います。あとは、北東北特有疾患、これはがんとか脳卒中ですけれども、そういったものを治療する、もしくは発症前診断、そういった研究施設もあればいいだろうと。こういったものを造ろうにも現在内丸には何も土地がございませんでしたけれども、矢巾にこういったものが造れればいいだろうと思います。そうすれば、魅力あるものがあれば当然医師は残りますし、それから入ってくるだろうと。
 一方、地域基幹病院に出張したときにそこで勉強できないという状況が実はあります。例えばメディカルオンラインというのがございまして、これは医学関係の図書をオンラインで見るという、そういったシステムでございます。岩手医大が音頭をとっているのですけれども、これを導入している施設は、県立病院では今のところありません。病院長先生がいくらそう思っても、それをサポートする財政的なものがなければできませんし、それから、ほかの病院でも利用状況というのは施設によりまちまちです。これは、お金は出すのだけれども、そこを利用するというのは、そこにどういった先生がいるか、いわゆる常に生涯教育を考えていらっしゃる先生がいる病院は非常に利用率が高いということになります。ですから、院長先生がどういった方によるかで随分とその状況が変わってくるのではなかろうかと思っております。これからは、図書館というのは紙媒体ではなくて、恐らく電子媒体が主体になってくると思います。e―journal、e―book、色々なのがでてきておりますので、こういったものを私どもが整備いたします。しかし、それを県内の研修病院においてもこれを利用するという、そういった手だてというのは、やはりある程度お金はかかりますけれども、必要になってくるだろう。大学院もしくは大学院を終わった人が県立病院に行ったときに、ID、パスワードを入力することによって岩手医科大学の図書館資産を利用することが可能なわけです。それを受けてくれるかどうかは、岩手医科大学ではなくて岩手県立病院なり、あとは県立病院の院長先生ということになります。
 また、生活保障というのが大事になってくると、これはおわかりかと思いますけれども、もう一つ、1年生が言ってわかったのは、市町村レベルの行政は実は結構大事ではないかと。まちの魅力を上げるというのが非常に大事になってくると思います。それから、交通手段の連携強化です。県立病院と地方行政機関というのは、もっと緊密に情報交換をすべきではなかろうかというのを1年生に指摘されて私は非常に愕然といたしました。していなかったのだなと。それから、義務感ではなくて、やりがいを覚えてもらうような職場づくりにしなければいけない。あとは住民教育ですけれども、西和賀に行った学生はやはりそれなりに元気よく発表してくれました。ああいったところは、健康管理を住民がするのだという意識教育をしているということで、彼らはそれに非常に感銘を受けて帰ってまいりました。一方では、医者はただ来て俺達を治せばいいのだという住民がいるところも結構ございます。そうすると、やっぱりそういったところに医師は行きたくないだろうと。すなわち地域コミュニティーが医師を育てるという住民意識が非常に大事になってくる。この間、岩手医科大学主催の医学教育学会があったわけですけれども、千葉県のNPOの方が発表してくださったのは、地域住民の方が初期研修医にいわゆる色々なだめ出しをするという、あなたにはこういったところがだめだよ、こういったところを頑張ってちょうだいという形で地域住民が研修医を育てるという試みをしているコミュニティーもございました。こういったことをしていただければ、やはり意気に感じる学生は結構いると思います。
 先ほど岩手医科大学に占める県内出身入学者の割合がそんなに多くないと言いました。実は、一般入試で入ってくる最終合格者は、大体15名いるかいないかなのですけれども、実は1次入試、いわゆる正規合格者はもっと少ないのでございます。これは何を意味するかといいますと、岩手県の学生、生徒さんの出来が悪いということです。もしくは、出来の良い学生さんは岩手医大を受けてこない。地元の優秀な学生が岩手医大を受験しないというのは、これはちょっとゆゆしき問題です。これは、岩手医科大学が私学ゆえに魅力がないと思われている、また一方で都会志向がある。全国的に見て遜色ないレベルの医療と医学教育を提供しているということが、どうも知られていないということで、これは私どもも努力してパブリシティーを上げなければいけないので、オープンキャンパスも始めました。その辺は、少しずつ解っていただいているわけですけれども、実際には学生当たりの医師数が非常に多いということ、病床数が多いということ、そのところも案外知られていない、それは強調しなければいけないと思います。
 もう一つは、収入格差でございます。やはり岩手県は収入が低い。ですから、受験指導が国公立にならざるを得ない。それから、予備校、塾へ通わせることができないので入試の点数が低くなる、そういった収入格差というのは確かにあると思います。したがいまして、岩手県の学生への財政的支援と正しい情報がやはり大事になってくるかと思います。その正しい情報ですけれども、県医療局の修学生の応募状況ですが、実は平成14年に始めたのですが、平成15年の応募者数が減っております。なぜこんなに減るのでしょうか。これはわからないのです。こういったものがありますよという、広報活動が十分なされていたかどうか、また、それに公募の方が対応していたかどうか。定員増に対する奨学金制度、今回どうなっているかちょっとわからないです。それによって、実は入試方法と受験指導というのは異なってまいります。現時点では、きのう決まったばかりですけれども、まず推薦入試に地域枠を10名設けようという形で岩手医大は動いております。それから、推薦入試のうちでも地域枠というのを設定し、一般推薦枠で入ることができるようにしたいと思っております。すなわち岩手県の人をできるだけ入れたい。一方、岩手県全域の高校から募集すると。例えば地区枠という形で、県北から何人、県南から何人、沿岸から何人、それから盛岡、花巻地区、北上も合わせて何人という、そういった形にすれば久慈高校、大船渡高校、そういったところから来た人たちも地区枠という形で入る。もしくはそういったところの生徒さんも岩手医大に入れるだろうと頑張るかもしれませんが、この地区枠設定云々に関しては岩手医科大学で決めることではなくて、岩手県で考えていただかなければいけません。ましてや、そこに私立を入れるとなったら部局を超えた検討を岩手県の方でしていただかなければなりません。それから、修学能力を担保する学力チェックをするかしないかというのは検討中でございます。
 奨学金制度がどういった形になるか。例えば岩手医大の納付金は6年間で3,600万円です。もし、そのうちの一部ということで2,200万円程度の補助金ということでしたら、実は1,400万円を6年間で払わなければいけません。国立大学は、大体56万円の6年間ですから360万円です。ですから、差額1,400万を自腹で払いなさいという、そういった奨学金制度でしたら、一体どういった人を想定しているのかわからないわけです。それに応じて、私どもも地区枠を設定するかしないかを考えなければいけません。学生はお盆前にほとんど受験校決めます。したがいまして、奨学金制度をどうするか、それから地区枠設定の可否、この辺について私どもはボールを投げますけれども、少なくとも岩手医科大学の入試センターからきょう、あすに恐らく連絡が関係部署にいくと思います。こんなことを考えているのだけれども、どうかといったときに一早く対応していただかなければどうしようもありません。一応岩手医大は、こういった形で考えております。それについての先生方の御意見をいただければと思います。
 しかし、何だかんだ言ってこの10名が一線の医師になるには8年はかかります。実は、地域医療を壊した初期臨床研修制度の必修化というのはアメリカの制度を真似たのですけれども、表面的に真似ただけです。結局、医師不足の後押しをしただけではなくて、医学部教育を破壊しております。大学に帰属する医師が不足している、それから教育負担増、しかも卒前、卒後の研修内容の整合性がとられていない。それから、私は基礎医学という形で研究しているのですけれども、そういった学生もほとんどいない状態です。西和賀の病院に地域医療研修に出そうと思ったら、病院長がいなくなったので受けることができないと言われました。すなわち地域医療を見学させようと思っても、肝心の地域医療が崩壊しているので教育すらできないという状態になっております。したがいまして、一日も早くこの初期研修制度を見直していただかなければいけません。これを始めた人達がいるわけですけれども、そういった方たちは財務省に目が向いているのではないか。この方たちは大蔵省出身です。したがいまして、これは党派を超えて、この研修制度の見直しというのを今、全国医学部長、病院長会議でやっておりますので、それに御支援いただきたいと思います。
 それから、もう一つですけれども、今、過酷な条件下で今勤務医が仕事をしております。そういった人に、お前が悪いのだと言ってしまうと非常にまずい。医療システムが内在しているまずさを個人の医療ミスという形で断罪されております。したがいまして、この無過失責任制度というものを導入していただきたいわけですけれども、これも国政へ働きかけていただきたいと思います。この無過失責任制度を導入した方がいいというのは、この間の参議院選挙のときのマニフェストには、どの党も書かれていなかったような気がいたします。医師確保という形で言っておりますけれども、確保というのは何かクマとか犯罪者を確保するというふうに私なんかとらえてしまうので、そういった形ではなくて、育てるというつもりの施策をぜひしていただきたいし、それを国政に働きかけていただきたいと思っております。
 ちょっと駆け足になりましたけれども、岩手医科大学と岩手県の関係、それから地域医療人の育成プログラム、それから自治体等に望むこと、ざっくばらんにお話ししました。つまるところ岩手医科大学というのは岩手県があっての岩手医科大学です。したがいまして、岩手医科大学として努力することは十分耳を傾けて努力いたしますし、岩手県の方ともこれからコラボレーションしていきたいと思います。
 きょうは、こういった機会を与えていただきまして本当にありがとうございました。
○三浦陽子委員長 先生、どうもありがとうございました。
 ただいま佐藤洋一先生に医師の教育を通しまして、今の医師不足、医師確保、確保と言うのはちょっと適切ではない部分もあるかもしれませんけれども、いかに岩手県に医師を適材適所に配置して、そして本当に皆さんに安心して生活していただけるかというようなことまでお話しいただきましたけれども、ここで質疑、意見交換を行いたいと思います。
 では、ただいま御講演をいただきましたことに関しまして、質疑、御意見などがございましたらお願いいたしたいと思います。また、先ほど前段でお話しいただきました当局、保健福祉部のお二方に対しましても御質問がございましたら、どうぞおっしゃっていただければと思います。
○斉藤信委員 佐藤先生、どうも大変貴重な講演ありがとうございました。岩手医科大学が大変重要で貴重な役割を果たしているということを私は再認識いたしました。
 それで、現実的な課題について、ちょっと県にもお聞きしたいのですけれども、いわゆる奨学生45名ですか、来年度からですよね。今言われたように、もう今月中にも受験の要綱が決まらないと間に合わないという話で、この45名というのはすべて岩手医科大学だけではなくて、恐らく岩手県出身者も対象になるという形で緩和されたと思いますけれども、ではそのうち岩手医科大学はどのぐらい奨学生を受け持つのか。これは、募集にもかかわるのだと思うのです。まず、どういう条件でこの奨学制度というのが募集されるのか。私は今の先生の話を聞いて大変危機感を持ったのですけれども、そこらあたり、これは全国的な基準というのはないのか。県がかなりイニシアチブを発揮して、それぞれの県の努力が反映される制度なのか、そういうことも含めてひとつ示していただきたい。そして、その結果、受験生といいますか、入学生の負担というのがどのぐらいのレベルになるのか。例えば医療局の研修の場合は、国立大学のいわば納付金程度は負担すると、それ以外は補助すると、こういう制度ですよね。3つの奨学制度があって、それぞれ違うのですよね。今回恐らく一本化するのだと思うのです。45人という形で一本化する奨学制度になるのではないかと私は思うのですが、そこらあたり、今の段階でどこまで整理されているのか、これ1点お示しをいただきたい。
 あと、先生にお聞きしたいのですけれども、最初医療局の研修生は優秀だったと、しかし最近落ち込んでいると、理由がよくわからないと。これはフォローがないので聞いてもわからないかもしれませんが、これどうなのでしょう。先生として、どう分析されているといいますか、受けとめているのかお聞きしたい。
 あと臨床研修医なのですけれども、県立病院はかなり頑張って後期研修も含めて臨床研修医の確保をしているのですけれども、私、率直に言って岩手医大の場合は研修の客観的条件があるのでしょうけれども、恐らく待遇の面が追いつかないのではないのかと。そういう点でいけば、岩手医大に残らないというのは、客観的に臨床研修の条件はあるのに、そういう待遇の面で残れないのではないかという大変残念な感じがするのですが、そこらあたりはどうなのでしょう。全国の国立や私学の医学部も含めて、大学の場合の条件というのはどうなのかということ。
 あと最後ですけれども、大変努力をされていますけれども、岩手、特に県立病院の場合、恐らく3分の2が岩手医大、3分の2以上でしょうか、東北大学が3分の1までいかないのではないか。最近、本当に宮古病院を含めて東北大からすぱっと引き揚げられるといいますか、開業医含めてですね。宮古の病院については、先生も指摘しておりましたし、最近では胆沢病院の産婦人科2人がいなくなって大変になっているということもありましたが、そういう意味でいけば岩手医大が全体として大きな役割を果たしているのですけれども、東北大との連携とか弘前大も含めて岩手医大が軸になるのか、そこらが私よくわかりませんけれども、そういう医大、医局同士の連携、そこに県も下方管理しておられると思うのですけれども、そういう独自の医師を確保、配置するような体制といいますか、そういうのが必要なのではないかと私は思うのですが、その点いかがでしょうか。
○柳原医療国保課総括課長 何点か奨学制度のことについてお尋ねをいただきました。
 1つ目の現行の奨学制度における岩手医科大学入学者の方々の利用の状況ということなのですが、私が説明をさせていただきました資料の2ページ目の下の図、ActionのTの「育てる」というところを御覧いただきたいと思います。現行3つの奨学金制度がございます。正確な数字がちょっと今手元にないわけでございますけれども、大枠で言いますと市町村医師養成事業の場合については、国立大系の方と私立大系の方で半々程度、そのうち一部が岩手医科大学の方が利用されているという状況になろうかと思います。岩手県の医療局の修学生制度についても、国立大と私立大の比率といったものは1対1か、もうちょっと国立大系の方が比率が多かったと思います。具体的に何人かといいますと、ちょっと今手元にございませんので、大変恐縮でございます。実際として、岩手県の方々でも15人、定員80名のうち2割の方、平均して10名入られている。そうすると、15名程度、15名から20名だと思いますが、そのうち私の大ざっぱな記憶で大変恐縮でございますけれども、岩手医大生の方で奨学金を借りている方は、この市町村医師養成事業と岩手県医療局修学生の場合と岩手県医療局職員の奨学資金貸し付けで、1つ目と3つ目のものですけれども、これ合わせてたしか10名前後ではないかなと思います。あとは、この真ん中の岩手県の医療局の修学生制度もありますので、この人数はそのまま岩手医大の方が利用ということになります。
 それと、奨学金制度の全国的な基準というお尋ねだったと思いますが、これについては全く都道府県独自の考えで設定をされているものでございます。したがって、現行においても我が県は他県に比べれば充実している中身であると私どもは考えております。他県によっては10万円程度でおしまいのものもございますし、本県のように月額20万円、または入学一時金まで交付させていただく制度はそれほどないと理解してございます。
 それと、医大定員増に関連して制度の見直しを一本化するのかどうかということでございます。45名の奨学金の枠を設定すること自体は、当然取り組まなければならないことでございまして、この3つの事業をどう見直すかについては市町村との関係もございますものですから、詳細について今最終段階の詰めをさせていただいております。一本化になるのか、このうち例えば3本でいくのか2本でいくのか、若干制度も違いますので、その調整も図りつつ、医学部に進学した方々が利用しやすい、選択しやすいメニューにできればと考えてございます。以上でございます。
○佐藤洋一講師 3点ほど御質問があったと思います。
 修学生の成績が余りよくなくなってきたというのは、私なりに一応解析いたしますけれども、まず入ってくる生徒は、いわゆる納税者に対する義務があるという、そういったことを余り認識していない。そういったことをきちんと認識させなければいけないのではないかなと思っております。それがちょっと希薄なところがございます。それから、実は能力が低いわけではございません。入ってきた学生さんは、入ってきたときには他の県の人に比べて成績が低くてもぐんぐん伸びてくる学生さんもおりますので、能力的なものではなくて、学力的に最初ちょっとつまずいてしまうという、そういったことが引きずっているかもしれません。それから、女性。今のところ2名ほど脱落しているのですけれども、完全に脱落した人と、それからちょっと登校しなくなってきた学生さんがいますけれども、これは全国的な問題でして、どうも女子学生で問題を起こす人が国公立、私立問わず増えてきている。これは個人的に色々な先生と話していると、特に私のやっている解剖実習を契機にそういった形になるという人が多くいまして、そんなに解剖というのはストレスなのかなと思ってしまうのです。それくらいのストレスはある程度克服してもらわなければ困るのですが。これはもしかしたら構造、もっとも社会現象的なものかもしれません。ただ、修学生が最初よかったのには、やはり初年度あたりはいい高校生が入ってきたということもあるかと思います。それがだんだん、この程度でいいやと推薦する方がだんだんランクを落としていったのかもしれません。したがいまして、どういった奨学金制度になるかというのは、非常に私どもが気になるのは、つまり推薦入試のときに評点評価を4.0にするか、4.5にするか、4.8にするかというのは非常に効いてまいります。すなわち4.8というのは、黙っていても国立大学に入ってしまうかもしれない。そうすると、受験指導する際に国立大学がいいか岩手医大に行くかといったときに、高校の先生は、国立大学並みの支出で済むのであれば岩手医大がいいよという形で勧めることができるわけです。しかし、お金はかかるが、どっちにしますかと言われたら、国立に行きますと言いますよね。ですから、4.8にするか、4.5にするか、4.0のままにするかというのは、一体岩手県は何を考えているのだというふうに、結局そこでついつい私どもは受験の案件を決めるときにそういったところにいきます。ですから、できれば私どもも国立大学に行くよりはうちの方がいいよという、そういったエビデンスもありますから、言いたいのですけれども、やはり先立つものをちゃんと手当てしてもらうという、そういった制度が必要かと思います。
 それから、研修医の低下ですけれども、確かに岩手医大はお金がないということもあって、研修医にお金を余り払わないというのはあります。ですから、当然大学に残らない。昨年度はたった2名という非常にお寒い状況だったのですけれども、一方では大学院、社会人大学院には30名から40名ぐらい入学しているわけです。ですから、初期研修は岩手医大ではしないけれども、ほかでしますよという、人が多くございます。でも、岩手医科大学はもう少し魅力ある研修プログラムを提供しなければいけないだろう。これは、ほかの大学もそうです。嘘か本当か、岩手医科大学からことし研修医になっていこうとする人が15名ほど、これはどこかというと順天堂大学なのです。実は、順天堂大学を卒業した人は自分の大学にはほとんど残らないのです。そういった、自分が臨床研修やったところに余り残らないという傾向は確かにあります。でも、それでも岩手医大がいいよという、そういった形に、魅力あるプログラムに変えようと思ってことしは大幅に変えました。それに対してどの程度応えてくれるかどうか、この辺は考えなければいけません。金銭面、それからあとは宿泊面、そういった維持費に関してですけれども、これは悪いままです。悪いままだけれどもればたらではないですが、矢巾に病院が行けば、やはり汚い病院だからここで研修受けてもしようがないというのもありますので、新しい病院にしたいというのはやはり切実な願いでございます。願うだけではだめで、努力しないといけないと思います。現時点で努力しているのはプログラムを変えております。
 それから、地域医療において、ほかの大学との連携があるかどうかということですけれども、東北大学は医師を引き揚げます。昨年度、医師不足に対してのフォーラムが東北大学主催でありました。私はそこに行ったのですが、東北大学の先生は医師を引き揚げた例はないと言うのです。派遣できなくなっただけだと。それを引き揚げと言うのですけれども、そういったことを平気で言うのです。それに対して、ほかの大学から出てきた方は何も文句言いません。どういうわけか、みんな東北大学出身の方なのです。岩手医大出身で岩手医大の代表者は私だけだったので、それを引き揚げと言うのだと私は噛みついたのですけれども。岩手医科大学は、岩手県の地域医療に関しては東北大学の方にボールを投げているのですけれども、なかなかそれを受けてくれません。岩手医科大学は、これまで各医局が医師を派遣しておりましたけれども、窓口をすべて医学部というふうに一本化して、岩手医科大学として医師をどこに配置するかという、そういった形にしております。いかんせん、東北大学がまだそういったところまでいっておりません。いち早く弘前大学が大学一本化ということを始めたわけですけれども、それでもやはり、結構大変な状況になっております。なぜ岩手医大は県外の八戸日赤、それから鹿角組合、それから能代の山本組合病院、こういったところに派遣するかというと、そこがやはり足りないということを踏まえてなわけです。こういったところは、やはりこれまでの経緯もありますから当該大学と協議しておりますけれども、東北大学との協議が不調なのはやはり東北大学が偉いからだと思います。
○三浦陽子委員長 よろしいでしょうか。ほかにございませんか。
○工藤勝子委員 ありがとうございました。先ほどの考えの中で、手術をしているときに何か手が動かないので外科は不向きではないかというふうな話がありましたね。そこで、岩手県は産婦人科の先生が非常に足りなくて、今度も医大の方の指導のもとに基幹病院等に集約しようとする説明があるわけですけれども、どの時点で自分の将来を決める専攻をお決めになるところなのでしょうか。その辺のところで、全国的にも産婦人科の先生が足りないわけですので、どこかに切り口を求めないと、いい条件をそろえてそういう先生を多くしていく必要がある。全国、岩手県においてもこのぐらい少子化が進んでいるわけですけれども、若いお母さんたちに聞くと、結局子供を産み育てられる環境が整っていないという声が多く聞こえるわけです。私は遠野ですけれども、しばらく産婦人科の先生がいません。今度釜石病院の医師も大船渡病院の方に引き揚げて常駐させますが、釜石病院の医師が1人だけというふうな形になると、いま遠野と遠隔妊婦検診を結んでの診断をやっている、そういうことも多分不可能になってくるのではないかという、非常に危機的な状況にあるのだろうと思って、学生さんたちに将来お医者さんを目指す中で産婦人科を目指すとするなら、どういうところに説得していったらいいのか、またどういう時点で自分の専攻を決めるのかというふうなことをお聞きしたいと思います。
 それから、地域のコミュニティーが医師を育てるという住民意識が必要だという話がございましたけれども、この住民意識を高揚させるには地域のコミュニティーが一番大事なのでしょうけれども、どういうところを求めて住民意識を高めていったらいいのかというところをお聞きしたいと思います。
○三浦陽子委員長 では、お願いします。
○佐藤洋一講師 専攻ですけれども、これはいつ専攻を変えてもいいわけです。実際私は出身中学校が久慈でございまして、岩手医大に入ったときには地域医療に根差すつもりで、ある意味で燃えて入ったのですけれども、途中で心変わりしまして基礎医学の方に入っていった。私が変えたのは、結局、決定的だったのは6年生のときかなと思います。ですから、いつの時点で自分の進路を変えるかというのは人それぞれでございます。ただし、岩手医科大学は頭で考えるのではなくて、実際に手を動かすことで勝負する、そういった医者を育てるというつもりでおりますので、ああいった形でミニ豚を使って実習とかなんとかをしてもらうわけですけれども、どうしても手が震える学生さんがいるのです。手が震える学生さんが、外科の医局に入ってから自分がそういった資質だというのを分かっても、かえってかわいそうだなと思いますので、あらかじめそういった色々なオプションを用意しておいて、自分がどれに合っているか考えてくださいという形では持っていきたいと思っております。ですから、いつ、おまえどこに行けという、そういった指導は積極的にはしておりませんが、岩手医科大学においては比較的、小児科と産婦人科に入る学生は多いのです。ただし、それが今は多いのですけれども、実際に遠野なり、それから釜石に行くという、そういったところまではまだ数年というか、10年ぐらいかかるわけです。ですから、これはやはり教授が魅力的であればそこに行くのだろうなと。実際に千田先生とか杉山先生、教育に熱心でございますので、そうするとそれこそ意気に感じて入ってくる学生さんはおります。ただそういった人が即戦力になるかというとそうではない。ただし、そういった形で教育に熱心な先生を教員に選ぶという、そういったことを大学としてしばらく前からしているのではないでしょうか。これもまたほかの大学の悪口を言うことになるのですけれども、秋田大学とかその辺は論文数で教授を決めております。うちは、やはりそうではなくてきちんと臨床できる人、それから学生にとって魅力のある人を教授として選ぼうという形で、授業も模擬的にしてもらったり、あと外科の方では手術を見に行ったりという、そういった形で教授を選んでおります。やはり教授が魅力的でないとそこに入っていかないだろうと思います。一応学生の誘導は、そういった意味ではいいのではなかろうかと。外科もうちは比較的増えております。肝心の内科が減っているので、これが困るのですけれども、ある意味で奪い合いですけれども、できるだけ魅力のある人を教員にするというのは大事かなと思っております。即戦力になる人ではないが、誘導はそういった形でしております。
 それから、住民意識に関してですけれども、これをどうすればいいかというのは私が考えることではなくて先生方に考えていただきたいことなのですが、例えば地域の保健所の、いわゆる保健所長なりが地域住民に対する講習会や何かを積極的にしていただく。そのときに、岩手医大の学生が行くような病院のいわゆる訪問看護とか、そういったところに付いて行かせるとか、そういった形でこれから考えなければいけませんけれども、地域住民と触れる場所を岩手医大はつくりたいと思います。そういったオプションを出していただいたときに、それを受けていただく、それをうちは忙しいからというふうに言われてしまうともうそれまでなのですが、そういったつもりでしていただければ、学生が来ると地域住民もやはりそれなりの緊張感が出ると思うのです。来て、それなりに接しようと思うと思うのです。その辺がやはり第一歩かなと思います。
○工藤勝子委員 産婦人科の先生というのは、24時間対応という非常に大きな過重労働になる傾向と、それから先ほど言った無過失責任制度、多分訴訟になってしまうリスクが多いというようなことがありますけれども、もう少しこの無過失責任制度について、御説明いただければと思います。
○佐藤洋一講師 医療というのはもともとリスクがあるのです。それによって、何かしら患者さんが不利益をこうむった場合には、国がまず金銭的な補償をする。日本はそれがありませんので、病院なり医師を訴えて賠償金をもらうという形になります。その最たるところがアメリカになってしまうわけです。アメリカの場合には、そういった形ですので医療訴訟が怖くてなおのこと産婦人科になる人が少ないという状態になっておりますので、これがいいかどうかわかりませんが、私は学生に、問題解決型学習で「ジョンQ」という映画を見せております。これは、アメリカの医療制度の矛盾点をついたものでございます。それから、学生に推薦しているのは「ノーフォールト」で、これは昭和大学の産婦人科の先生が書いた小説でございます。これを読まれるとよくわかりますけれども、実際に患者さんなりなんなりは医師個人を訴えたいわけではないのです。実際には、自分がもう色々な意味で立ち行かない状態になったときに、何かしらに思いを訴えたいわけです。そのときに、日本は今、直接手を下した医者を訴えるしか手がないわけです。それではやはり、いがみ合った関係しか生まれないわけです。福島県の大野病院がショックだったのは、なぜあれで訴えられなければいけないのだと。この間あったのは、奈良県の妊婦さんが脳出血で亡くなったと。あれだって、私からすれば医者は家に帰らずに頑張っているわけです。おかしいと思ったから、家に帰らずに仮眠をとっていて、そしておかしいといったら起きてきたわけです。でも、それをマスコミではこんなときに寝ていやがってと、みのもんたなんか言いましたよね。あれを聞いて非常に腹が立ちました。そこまで頑張っている人を何でマスコミは糾弾しなければいけないのだろうと。医師一人の個人の問題ではなくて、たらい回しにしたのは、あれは奈良県の医療の問題です。医療システムが問題ではなくて、医師個人の問題としてマスコミは糾弾してしまう。こんなことされたらもうやる気がなくなります。結局あそこの病院は産科をやめてしまいましたよね。それで、医師を非難して結局住民は一番被害をこうむっているわけです。やはりこういったものはシステムが悪いのであればシステムを構築した国なり自治体がそれを補償するという形にしてもらえれば、例えば無過失責任制度というのは国がやることですけれども、それに相当するものを自治体は用意しますよと言ったら、医師は産婦人科へ来ます。ここに行けば、私はリスクの高い医療をやれると思えば来ますよ。医療というのはリスクがあるのです。リスクと、それからベネフィットというか利益、これを、どちらが重いかということで私どもはやっているのです。当然危害を加えようと思っているわけではありませんけれども、医療というのはある程度危害を加えないとできません。そういったものだということを住民の方にわかっていただきたいし、その結果、何かしらの不利益が患者さんに生じた場合に、そういったものをコミュニティーとしてバックアップしますよというふうに言われれば、そうすると医師は安心する。別に自分のミスを見逃してくれと言っているわけではないのです。ただ、理不尽な訴えをやめさせてくれという、そういったことであります。
○三浦陽子委員長 ありがとうございます。
○高橋比奈子委員 時間も時間なので、ちょっと簡単にお聞きします。
 大変勉強になりましたし、私たちはやっぱり岩手医大が頼みの綱だと思うので、県の医療局の方々も一生懸命なのですけれども、先ほどのような学生さんが行って経験して、ここは良い、ここは悪いというのをここでは話していただく必要はないが、医療局の現場の方と内々にそういうことをお話をして情報交換をしたりしながら、色々なところで生かしていただいた方がいいなというのが私の率直なお願いです。どうしてかというと、医療局の方が行くと市町村の方の対応って違うと思うのです。ある意味で良いか悪いかは別として、学生が行ったときと違うのではないかと思うので、学生が様々な点で地域医療として出ていった場合に思われた感想をぜひいろんな方にお知らせをしていただいて、岩手の医師不足、いろんな地域の行政、市町村の医療行政の方との連携のお手伝いをしていただきたい。それから先ほど借金が岩手医大はないということをおっしゃっていましたけれども、矢巾に病院をつくるとできるのではないかなと思ったりしたのですけれども、今の教養部とか、それから病院とか、そういうものの構想というのはいつごろできるのでしょうか。何かいつ伺ってもあいまいな感じがしているのですが、もしわかる範囲でよろしければいつごろ構想ができるのか。こんな形で準備をしていくとかというのがわかると参考になるのでお知らせいただきたいと思います。
○佐藤洋一講師 実は、1年生の研修の前に柳原課長さんにも来ていただいて講演していただいております。あとは、その発表会では相馬医師対策監さんにも来ていただいて聞いていただいておりますので、そういった意味では昨年度から岩手県の関係部署の人にも岩手医大の教育に積極的に参入していただいております。柳原先生には、忙しいところ来ていただいて、本当にこの場を借りてですけれども、お礼を申し上げたいと思います。    
 その成果ですけれども、報告書という形で何も色をつけていないものを差し上げますので、1年生が見たものはそのまま出てくると思います。感想文もそのまして、ここではちょっと失望したとかというのも書いてあり、そのまま文書としてお出ししますので、先生もそれを御覧になればよろしいかと思います。あの発表を聞いていた相馬さんは、やっぱりそうなのだとかと言っているので、わかっていらっしゃるかと思います。
 それから、岩手医大の構想ですけれども、それは私ではなくて理事長なり学長に聞いていただければと思います。ただ、今まで貯めていたお金で矢巾の建物を建てた時点で積み立てたものは何もなくなりますので、おっしゃるとおり病院を建てるときには借入金がぶわっと増えると思います。それは、以前のようないわゆる医療費抑制政策がとられる前でしたらどうにかなったかもしれませんけれども、現在医療費抑制政策がとられております。これがいいか悪いかということに関しては、先生方の方がよく御存じかと思います。OECDに比べてどうのこうのとか、GDP当たりの数に比べれば非常にひどいものだとかというのは十分おわかりかと思いますけれども、そういった状況で今、病院経営で借入金を返すことが果たして可能かどうかということは頭が痛いので、希望とすれば新しい病院をつくって、そしてそこに医師を入れて、あと研修センターもつくって医師を引き込んでというつもりでいるのですけれども、構想と、それから先立つものという、そのせめぎ合いでなかなか表には出せないと思います。偉い先生方はそれなりに考えていらっしゃるみたいですけれども、そこでのビジョンの違いが色々あるかもしれませんので、なかなか出せないところがあります。教育する立場とすれば、できれば3年以内には矢巾に教育部門だけでも移したいなとは思っております。これは、私の個人の希望でございます。
○三浦陽子委員長 ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。
○伊藤勢至委員 大変いい講演をいただいたと思っておりますが、県当局から来たお二人が今の講演を聞いて、県としてすぐできるいろんな部門があったかと思うのですが、どういうふうにお考えになりましたか。ほかの委員会で聞くよりこの場で聞いた方がいいので、お聞きをします。どうぞひとつお答えください。
○柳原医療国保課総括課長 まず、私どもは今、来年度に向けて力を入れてやらなければいけないものについて、1番目は医大定員増に向けての関係する諸制度、事業の制度と拡充でございます。それについては、今ここで具体的にお話しできるものを持ち合わせがておらず大変申しわけなく思っておりますが、平成20年4月の定員増に向けて着実に進めさせていただきたいというふうに考えております。
○伊藤勢至委員 先ほど先生の御講演の中で、大学側が門戸を開く、あるいはレベルを下げるということはないのでしょうけれども、地域枠、地元枠を広げたとしても、それをクリアしてくる子供たちが少ないということはまさに勉強不足なのか、学力不足なわけでありまして、県が打ち出した即戦力といいますか、このアクションプランは、あくまでも高校生ぐらいしか見ていないのではないか。短期的な戦略にしかなっていないのではないかというふうに思います。高校に来てぐんと学力がアップをして私立大学に入れるくらいの成績を上げられる者もあるかとは思いますけれども、そういった部分が形成をされるのは義務教育の後半3年間の中学、あるいは小学校時代にあるのではないか。そうすると、そのころの子供たちの部分に熱いものを打ち込んでいく長期的な戦略があっていいのではないかというふうにも思うのです。そうなると、教育の問題になってきまして、私はとてもしゃべれる部分ではありませんで、大体身体検査と面接だけでここまでやってきた人間で、学力というのについては問題があると自分で思っていますから言えませんが、ただやはりそういう熱いものという面、それから大学に入る以前の高校、中学の学力を上げていく、こういったことが大きな戦略になっていくのではないかというふうに思うのですが、その辺についてはいかがお考えでしょう。
 それに関連をいたしまして、岩手県は県内の私立高校には私学助成という面で毎年色々な投資と言っていいのでしょうか、しているわけですが、そこにはその報いを求めるということではなくて、教育の機会均等ということが大前提にあるわけですけれども、やはりそういう補助助成にこたえてもらいたいという本心があってもいいと思うのです。したがって、公立と私立を問わず、そういうまさにこれからを背負って立つ連中に、ぜひ岩手のために役に立ってくれということを教育委員会と連携をしてやっていくことが、せっかく大学側が門戸を広げてくれてもそこをクリアしないと物にならないという点において長期的な戦略があってもいいかと思うのですが、それについてはいかがですか。
○柳原医療国保課総括課長 教育委員会との連携という関係でございます。教育委員会の方においては、今、先生の方からお話があったのが中学校レベルの取り組みというお話でございました。ただ、我々が言っていいかどうかという点はありますけれども、教育委員会の取り組みといたしましては県政課題人材育成事業といったものを取り組んでいただいております。その結果、我々はその成果の1つではないかと思っておりますが、今年度の本県出身者の医学部の進学者数は50名を超えたというふうに聞いてございます。例年40名といったものが50名を超えたということで、教育委員会のそういった取り組みは成果が出つつあるのではないかというふうに私どもは考えております。さらに、高校生から中学校まですそ野を広げて学力向上をしていただくといったことは、我々としてもそういった環境がつくられていくことが望ましいことではないのかなというふうに考えております。今後どういった形で、中学校レベルの学力水準の向上については今後どういった形で教育委員会に取り組んでいただくにいたしましても、私どもが医療についての情報といったものを、そういった若い、小さな若年の子供さんたちにどういった形で適切に伝えていくかについては、今よりも更によく考えて参りたいというふうに考えています。
○三浦陽子委員長 ほかにありませんでしょうか。
○千葉伝委員 岩手医大の取り組みの状況等について、今ちょっと先生からいろいろお聞きしました。私も改めて認識した部分がたくさんあります。そういった取り組みに対しては敬意を表するところであります。岩手県の医師確保の大きなネックは先ほど来から話が出ているとおり、いかに学校へ入っていただく、医師を多く育てるかということで、そういった面では大学側の環境整備が1つあると思います。もう一つは、先ほど来あるとおり、お医者さんになるにはどうしても頭とお金が必要だと、こういうふうなわけです。頭の方は勉強次第という話はあろうかと思いますが、もう一つお金の話で、今回話が出た分では、1つはお医者さんのリスクを少なくする意味での無過失責任の制度、こういったものに対しての考え方、これも当然国であろうが県であろうが補償するためのお金がある程度は必要になろうかと思います。もう一つは、医師確保という意味で先ほど来から話があるとおり、修学資金、あるいは奨学資金といった部分でのお金と、もう一つは国立と私立のどちらを選ぶといったときにはお金のかからない方を選ぶということから、できるだけ国立との差をなくすといった部分で、先ほど先生の方から1人当たりの差額2,400万円ぐらいでしたでしょうか、10名であれば2億4,000万円と、こういう金額になろうと思います。そういったあたりのお金の部分がある程度確保されれば、もう少し岩手医大に入っていただく方が増えるのではないかというふうなことなのかなと思ったわけであります。そこで、先生の方から10名ではまだまだ不足だと思うみたいな話を聞きましたが、では、どの程度あれば将来的なものも含めていいのかお聞きしたいと思います。
 それから、奨学資金の関係で、大変いろいろと市町村あるいは県の方でやっていただいておることは、それはそのとおりであります。私は、人の医者ではなくて動物の医者、獣医師という職業を持っておりますが、実は昔、県の方で獣医師もやはり足りないという状況があって、6年制になったのを契機に県の方で修学資金制度を立てました。もちろんお医者さんの方が先に先行してあったのを参考にした。6年間に対してお金を出して、卒業してから9年間県内のどこかに勤務していけば貸した金は返さなくてもいいと、そこまでですね。それから、修学と入学金の分も入れたというふうなことで、そういったあたりの部分でもお医者さんと動物の医者との差は当然あるのですが、基本的な考えはそんなに変わらないのではないかなと思います。後で問題になったのは、6年やって9年、9年いて、すぐいなくなるというふうな可能性も1つあった。それから、ほかの県に行って勤めると返さなければならないといった場合に、どこかの勤務するところの大きな病院とか動物病院が、借りた分を俺が払ってやるから俺のところに来いやと、こういう話です。せっかくの引きとめ策が、要するに逆にお金で引き抜かれたみたいなこともないわけではないというふうなことも昔はあったのですが、お医者さんの場合は今そんな状況というのはないのでしょうか。修学資金を受けた方々は、県内に100%居ていただく格好になっているのでしょうか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
○佐藤洋一講師 何人ぐらいということを私が言う立場にはないのですが、先ほどOECDに比べて14万人といったら、これはもう10人、20人の単位ではないわけです。実は、医師数を制限している国はそんなに多いわけではないです。イギリスとか、あとは日本とかごくわずかな国でして、他の国は医師数というか、医学生を制限しておりません。サッチャー政権のときにイギリスは医師数を制限して、そしてイギリスの医療は今崩壊しております。ブレアになってから、これではまずいということで実は入学定員を50%ふやしました。これが生きるかどうかというのはまだ未知数です。ですから、年間大体8,000人ぐらいの医学生がいるわけですけれども、それを50%増やすといったら定員10人どころではございません。ですから、イギリスの例を考えれば50%ぐらい増やさなければいけないとは思いますが、医師養成にかかるお金がそのままリニアにいくわけではないにしても、やはり相当の財政的な負担がありますので、それは現実に即して考えなければいけないとしたら、医師削減構想というのがありましたときには全国の国公立大学の医師数も減らされましたけれども、少なくともそれを元に戻すぐらいはやはり必要なのではないかなと思っております。その時点で回っていた医療が今回らなくなるわけですから。ただ、高齢社会になってどんどん死んでいく人が多いので、そうすると人口当たりの医師数は増えてくると思いますが、一方で医師も高齢化しておりますので、使えない医者も増えてくる。先ほどの医師数のトリックがありまして、日本の厚労省が出す数字は、私のように医師免許を持っているけれども働いていない医者まで全部カウントしておりますので、その辺がアメリカと大きく違うところです。ですから、ベッド当たりという形で見ていくとアメリカとの格差はさらに広がってまいります。
 それから、キャリアパスを考えたときに受けた奨学金を返してしまうということが、実は岩手医科大学ではないにしてもほかの県ではあるそうです。東京あたりの大病院が奨学金を肩代わりするから来いという、そういったところもございます。青森のように、弘前大学ですけれども、地域枠を設定していますが、そういったところはお金で縛っておりませんので、外に行ってもしようがないというのはあります。愛媛大学の例ですけれども、愛媛大学に入ってくる地域枠の学生さんは結構開業医の子弟が多くて、そして残らずにみんな京都、大阪に行ってしまう。ですから、単に地域枠を設定すればいいというものではなくて、ちょっと嫌な言い方ですけれども、お金である程度縛った方が残りやすいだろうと。しかし、義務履行年限が終わったらすぐさまいなくなってしまうというのもまずいということで、岩手県に定着してもらうためにはやはり岩手医科大学というのは魅力ある研修病院にならなければいけないし、あとは地域コミュニティがしっかり医師を育てるという、そういったつもりでいればいいと思います。先ほどちょっと辛口なことを言いましたけれども、何だかんだといっても岩手県に半分は残ったわけです。これだけ県外の人が残るというのはある意味で岩手県を好きになってくれたせいだと思います。そういった意味では、岩手県民は私も含めて県外の人を引きとめるという、そういったことをやってきた実績があるというふうにもう少し自信を持って思っていいかと思います。
○柳原医療国保課総括課長 県内の奨学生の方々の義務履行の状況ということだと思いますけれども、きょう御説明した制度自体、3つの制度ございますけれども、市町村医師養成事業と医療局の修学生制度についてはまだ卒業生が出ておりませんので、今後その動向については把握してまいる必要があろうかと思います。
 医療局の職員の奨学資金貸付事業については、これは歴史のある事業でございますが、医療局の詳しい説明は手元にございませんが、一定程度の割合、たしか1割、2割でしょうか、もしかしてもう少し多いかもしれませんけれども、そういう一定程度の割合の方々は奨学金を返上されるというふうにお聞きしております。ちなみに自治医大の先生方は、基本的には今まで、制度できて以来47年、1名の方だけが義務期間中に奨学金を返上したけれども、その他の方々はすべて義務年限を果たして、その後も9割近い方々が県内に定着しているという状況でございます。
 なお、きょうの佐藤先生のお話の中にも若干似たようなことがあったと思いますが、やはり現代の最近の学生の方々の気質といったものもあろうかと思います。それに、18歳で大学に入学する際、地域医療を担う僻地に行くといった決意も当然その時点ではあろうかと思いますが、その後大学教育の中でいろいろと影響を受けて、その18歳の決意が揺らぐといったものも当然出てくると思います。そういったことも踏まえますと、佐藤先生がきょうおっしゃったように岩手の医療環境を魅力あるものにしていくことが非常に大事だというふうに考えておりますので、今後とも先生方に御指導いただければというふうに考えております。
○三浦陽子委員長 ありがとうございます。
 ほかにありませんでしょうか。
 (「なし。」と呼ぶ者あり。)
○三浦陽子委員長 では、時間も時間ですので、佐藤先生、大変お忙しいところ本当にありがとうございました。私の同窓ということもありまして、特に医学部長の小川先生の御配慮もいただきまして本日のような機会をいただくことができました。佐藤先生、本当にありがとうございました。それでは、これで先生と、それから執行部の皆さんには退席いただきますが、執行部の皆様もお忙しいところありがとうございました。
 時間が過ぎましたけれども、このまま引き続きよろしいでしょうか。委員の皆様には次回の委員会の運営などにつきまして連絡事項がございます。
 では、次に9月に予定されております次回の当委員会の調査事項についてですが、参考人に岩手県医師会長、石川育成氏をお招きし、医師不足とその対策、特に医療現場の現状ということにつきまして調査を行うこととしておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、委員会調査についてお諮りいたします。当委員会の県内調査及び県外調査についてでありますが、お手元に配付いたしております案のとおり実施することに御異議ございませんでしょうか。
 (「異議なし。」と呼ぶ者あり。)
○三浦陽子委員長 では、御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、詳細につきましては当職に御一任願います。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。どうもお疲れさまでございました。

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