産業振興対策特別委員会会議記録

産業振興対策特別委員長 小野寺 研一
1 日時
  平成18年9月5日(火曜日)
  午前10時5分開会、午前11時45分散会
2 場所
  第3委員会室
3 出席委員
  小野寺研一委員長、新居田弘文副委員長、佐々木一榮委員、川村農夫委員
 大宮惇幸委員、平野ユキ子委員、菊池勲委員、平澄芳委員、小原宣良委員
 亀卦川富夫委員、阿部富雄委員
4 欠席委員
  佐藤正春委員
5 事務局職員
  小船担当書記、佐々木担当書記
6 説明のため出席した者
  独立行政法人労働政策研究・研修機構 総括研究員 小杉礼子氏
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
 (1) 若年者の雇用問題と対策について
 (2) 次回の委員会運営について
9 議事の内容
○小野寺研一委員長 おはようございます。ただいまから産業振興対策特別委員会を開会いたします。佐藤委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより本日の会議を開きます。本日は、お手元に配付いたしております日程により会議を行います。
 これより産業担い手育成・雇用対策に関する調査を行います。本日は、講師といたしまして独立行政法人労働政策研究・研修機構総括研究員、小杉礼子氏をお招きいたしておりますので、御紹介を申し上げます。
○小杉礼子参考人 小杉でございます。よろしくお願いします。
○小野寺研一委員長 小杉氏の御職歴につきましては、お手元に配付してございますので、お目通しを願いたいと、このように思います。
 本日は「若年者の雇用問題と対策について」と題しまして貴重なお話をいただくことになってございます。
 それでは、ただいまから講師のお話をいただくことといたしますが、後ほど講師を交えての質疑、意見交換の時間を設けておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、小杉様、よろしくお願いいたします。
(パワーポイントにより説明)
○小杉礼子参考人 よろしくお願いいたします。座ったまま失礼させていただきます。
 きょうは雇用問題ということなのですけれども、最近の経営担い手育成推進などで、卒業生についてはかなり求人倍率が高くなっておりますけれども、このまま景気がよくなっても、かなりこれは問題が残ると思いますので、そういうことをきょうはお話しさせていただきたいと思います。
 最初のこれは、いわゆるフリーターの数の推移で、厚生労働省の出している白書に必ず最近載っているものです。ずっとふえてきて、最近上昇がとまった、ちょっと減少してきたという気がします。
 きょうは、この数字もよく見られるものだと思うのです。下の方の、こんなにたくさん注がつくような言葉なのです、フリーターというものは。というのも、このフリーターという言葉自体ができたのは、87年のことなのですけれども、87年にリクルートフロムエーの編集長でありました道下裕史さんがつくった言葉です。そのときに道下裕史さんがつくられた背景というのは、この80年代をずっと通してアルバイトやパートさんというような、産業界にとっては安定的な雇用ではない短期の雇用の人たちがどんどんふえていると、それの背景にはサービス経済化とか、そういったさまざまな要素があるのですけれども。
 この87年のフリーターという言葉ができる前は、そういう短期、有期限の雇用につく人たちというのは、主婦パートか学生アルバイトしかいなかったのですね。ところが、そこでリクルートさんが目をつけましたのが、学校を終わってもアルバイトをしたいという若者たちがいるではないかと。このことをもうちょっと産業界に知ってもらって、その間にルートをつくろうと、そこでつくられた言葉がフリーターです。
 そのときのフリーターというのは、学生を終わってもまだアルバイトをしたい若者達が、その当時は非常に景気のいい時代ですけれども、演劇青年とか、バンドをやっていたい若者とか、学生時代にやっていたとか、あるいは自分だってひょっとしたらプロになれるかもしれないという、そういう夢をかけてやる。一方で何か芸術活動とか文芸活動とか、そういうことをしながら、片方で食べていくために何かアルバイトをしなければいけない、そういう若者たち。今で言う夢追い型のフリーターというのがこの当時できたフリーターなのです。
 ところが、実際にはその後急激にふえていった数というのは、そういう「夢追い型」と言われるようなタイプではなくて、就職できなかったからやむを得ずという「やむを得ず型」だったり、あるいはそういう物すごく厳しい中だと一体自分は何をしたらいいのだろうか、果たしてこんないい加減な気持ちでは就職試験は通らないだろう、もうちょっとしっかり考えたいというような選択を先に延ばしたい、そういうような「取りやめ型」、この2つが実はここではぐっとふえてきたわけです。
 そのフリーターという言葉自体は、意識問題を背景にして出てきました。最初に、労働白書の中でフリーターという言葉が使われたのは91年なのですが、実は先ほどの定義はそのときにできた定義です。ですから、この定義が長いのは、今アルバイトやパートで働いている若者というだけではなくて、今は無業だけれども、アルバイトやパートにつきたいというふうに意識が変わるのですね。ただ、現状就業経済からできた言葉ではなくて意識が絡む、アルバイトやパートで働きたいという人たちを含む。そういう発祥のゆえんから、意識を含んだ言葉としてのフリーター。したがって、最近は少し変わってきましたけれども、ずっと若い人にとってはプラスイメージになってきました。自分のやりたいことのために、夢のために安定したところを選ばないで、リスクを背負ってチャレンジする若者、そういうようなイメージさえ若者の中にはあった。
 ところが、実際にふえてきたのは、そういう若者というよりは、やむを得ずフリーターにならざるを得ない若者で、そこでそういう調査がいろいろ複雑になったのが2000年ごろ、そのころから少し世の中の認識が変わってきて、フリーターというのは本人がやりたくてやっているのではないと、産業の側から対策をしなければならないというので、政府が2003年から若者自立・挑戦プランと言われて結びついていますけれども、就業支援をしなければならない対象としての若者というふうな見方に変わってきたのです。
 若者の問題を語るときに、意識か実態かというこの2つの二分の言葉といいますか、どちらかのみかたはどちらなのだということをよく言われます。アルバイトやパートを選ぶ若者がこんなに多いのは、これは若者たちが選んでそうしているのではないか。彼らの意識の問題で、あるいはニートが彼らの大事な意識なのではないかという見方が一方である。
 一方では、事実として産業界がアルバイト、パートをたくさん使って正社員を採らないではないか。事実として、そちらの方が問題だと、よく2つの見方がありますね。この2つの見方というのは、私はどちらも正解で、対策するのはもう両方にしなければならないというふうに思います。
 これは、またちょっと違う調査で、私どもでやりました首都圏の高校3年生6,000人に卒業直前にアンケート調査をした結果なのですが、2000年度なのですけれども、そのころこの6,000人の773人が卒業したらフリーターになると言っていました。このフリーターになる人たちがなぜフリーターになるのか、本人の意識を聞きました。そうすると、一番大きな理由を1つ挙げてくださいと言うと、トップで挙がってくるのがこれとこれなのです。「ほかにやりたいことがある」、あるいは「自分に向いた仕事がわからない」、だからフリーターになる。ほかにやりたいことがあるということに、どんなことを挙げるかというと、やっぱりバンドとか、そういうものが挙がってくるのです。そういう自分に向いたことがわからない、あるいはもっと何か夢のあることをしたい、そんな気持ちが前面に出てきて、ここだけ見ると、これは若者の意識問題だなということになるのですが。
 この質問は、一番大きなものを1つというのと、理由に当たるものすべてを挙げてくださいという丸をたくさんつけるものというのを両方一緒にやったのです。幾つでも挙げてくださいというところの答えがこっちなのです。丸を幾つでもつけてくださいというと、実はこの2つがぐっと下がるのです。もっと大きくなるのは、4割を超える人たちがそうです、これです。まず第1に、「進学の費用が高い」。本当は、大学に行けたら行きたいという気持ちがあるのです。でも、入学金等々で100万円以上親が用意しない限り進学できないのです。そういう親の家計状態のことを考えると進学できない。進学できないから、じゃあということです。あるいはもっと大きなのがリアリティーがあるもの、これは就職先がないということです。就職を結局できなかったからフリーターなのですよね。ところが、本人の方はやっぱり若者ですから、どちらかというと前向きに考えたいではないですか。人に言うときに、「だめだったからしようがなくて」と言うよりは、「やりたいことがあるんだ」と言いたいですよね。 
 そういう意味では、ある意味では若者の前向きな気持ちがこちらを語らせるのですが、実はこういうやむを得ずという回答があるのです。少なくても4割の人たちが「就職できないから」と。就職できないというのは、やっぱり求人が急激に減ったという時代でもあり、それから学校での就職あっせんというのが、やはり彼らの多くは実際成績が余りよくない子が多いし、出席状態も皆勤賞とかもらえないのが多いのですけれども、そういう自分は学校の中で余りいい方ではない、できる方ではないというようなことを、そういう気持ちを持った子たちがやっぱり「どうせ就職先もないし、進学もできないし」という中で選んでいくのがフリーターなのですね。
 そのほか彼らの意識の問題として、自由だとか、とりあえず収入が欲しいから選ぶという、こういう理由もあるのですけれども、やっぱり本人の中には意識という面と現実的にそうせざるを得ないという面の両方があるのです。だから、意識あるいは実態として、産業界がそういう状態に変わったのだからとか、進学構造がこうなのだからという構造の背景と意識の背景と、これが両方あって、このどちらもが正しいという、どちらもうそではない、事実なのです。対策をするとなると、このどちらにも働きかける必要がある。
 実際例えばジョブカフェ等でお目にかかった人たちに働きかけるとすると、これはやっぱり意識の方が中心になりますよね。目の前に来ている若者たちに、パワーアップして自分で人生をつかんでほしいと思ったわけですから、若者に対しては意識啓発になったのです。相談重視の意識の働きかけになりますが、一方で政策としてやらなければならないことは、そういう意識に働きかけるのと同時に、就職できる安定的な雇用機会をどうふやすかということ、あるいは高等教育に進学するというときに、どうやって進学をしやすくするか、そういう両面の働きかけが政策としては必要なのではないか。
 事実の方の変化はどうでしょう。事実の方の変化、これは私のデータはみんな全国データですけれども、アルバイト、パート比率で実際に働いている人の中の若い層でのアルバイト、パート比率というのが急激にふえました。やっぱり90年代初めまでは、本当にフリーターは一握り。このとき、学校を卒業したらほとんどみんな正社員になるというのが当然だと思っていたし、実際にアルバイト、パートの20代前半なんていうのは5%とか6%のごく一部の人だったのです。それが現状では、アルバイト、パート、女性だと3割、男性だと2割を超えています。さらに、最近ではこの青の方を見ていただきたいのですが、アルバイト、パート以外の雇用形態ですね。派遣とか契約社員とか、そういうアルバイト、パート以外のものを入れれば、正社員ではない働き方の人というのは既に女性の4割、男性の3割に達している、こういう事態。若い人にとって正社員というのは、10人のうち6人あるいは10人のうち7人がなれるけれども、あとの人たちはなれない、そういう事態が急激に進行しました。
 それで、フリーターの数が頭打ちになったという話を最初に言いましたけれども、あれはこのアルバイト、パートに注目した数字なのです。フリーターの定義がアルバイトやパートということに固執して、アルバイトやパート以外の非典型雇用、派遣や契約社員等を入れれば、まだまだこの辺はふえている、そういう状態があります。
 そういう状況をもう少し、だれがなりやすいのかということから見たものがこれです。急激にふえたアルバイト、パート、フリーターなのですけれども、だれがアルバイトやパート、フリーターになっているかと。これは性別と年齢と学歴を見て、性別ではこの赤っぽい、茶色っぽい方が女性、女性が圧倒的にフリーターになりやすい。もともと主婦パートというような形で女性が非典型雇用されることが多かった、そういう労働市場ですから、女性の方が結局多くなる。
 そして、学歴間格差がはっきりしているのです。大卒だったら、実はほとんどフリーターになっていないのです。大学、大学院卒、1割はなっていないというほどではないけれども、非常に少ない。やっぱり多いのは高卒者あるいは中学校卒業の学歴の人です。中学校卒業の学歴というのは、中学校を卒業して高校に進学しなかった人ではないのです。こういう調査における学歴というのは、最後に卒業した学校というのでなくて、卒業しなかった学校、つまり学校を中退した人がかなり加わっている。現在のような状態ですと、高卒で就職する人、中学卒業で学校をそのまま離れるという人に比べて、一たん高校に行ってから中退する人の方がずっと多いのです。この中には、高校中退がかなり入っています。
 それから、あと年齢の問題では当然この辺の層が多いわけで、10代の問題がとても大きいです。10代で正社員として採ってくれるというところは実は余りないのです。高卒での正社員としては、高校を卒業したタイミングに正社員で雇ってもらえますけれども、それ以外のタイミングで高校生、10代の人たちを正社員で雇う企業はごくわずかになってしまう。そうすると、やっぱり当然10代はフリーターになりやすい、こういう状態になります。
 今はフリーターだけに注目しましたけれども、フリーター以外に、全体にどうなっているのかというのを見るために、これは15歳から34歳、学校に行っている人を除く全体の若者たちの就業構造がどうなっているかというのを見たものです。この調査をするのは5年置きなのですけれども、白いところ、これが正社員です。若者で正社員である人がこれだけ減って、その分ふえているのがこの非典型雇用である。それから、同じようにふえているのがこの黒いところ、失業者。この統計では求職者ということになっておりますが、いわゆる失業者、若年失業です。そして、この紫のところが後で定義を申し上げますが、いわゆるニートです。女性も同じように正社員の比率が減って、もっと極端にアルバイト、パートがふえて、それから失業者がふえ、ニート状態の人がふえている。その分減っているのが正社員と、あとそれから専業主婦です。結婚率がどんどん下がっていますので、主婦になる人も減っている。
 このうちの2002年、一番最近の統計について、これを学歴別に展開しているのがこれです。これは、学歴が非常にはっきりしているのが先ほどのフリーターのとき見たのと同じように学歴によって正社員になれる確率が大きく違います。男性も女性もそうですが、やっぱり大卒、大学院卒、高等教育を卒業した人は正社員の確率が高いのです。それに比べて、学歴の低い層ほど非典型、アルバイト、パートになっているし、あるいは失業者にもなっているし、ニートになっている。ニートもフリーターも失業者も、皆同じ構造を持っています。学歴が低いこと、若いこと、こんな特徴があるのです。この人たちが最も多く出てくる状態なのです。マスコミでは、よく大学卒のニートとか大学院卒のニートとか出てきますけれども、実に多いのはより学歴の低い人たちです。
 ニートの定義というのは、基本的には、統計上では学校に行っていなくて、就業しなくて、求職活動をしていなくて、家事をしていない人というのが今の状況になっていますが、その言葉ができた理由というのは労働市場に参加しない、そういう層ということです。先進諸国どこでもあることなのですけれども、若い人たちが労働市場が非常に悪くなると、いつまでも失業者として、仕事を探していないで、むしろ労働市場に参加すらしなくなる。何もしない状態というのが選択肢に出てきてしまうのですね。その何もしない状態というのが後々大きな問題になるから、そのことを問題にしている。
 学校に行ったりして社会に参加していればいいのですけれども、学校をやめてしまった状態で仕事もしていないとなると、社会的な関係を持たなくなってしまう。そのことが労働意欲を著しく下げてしまいますし、結果としてその人たちがイギリスの調査なんかですと、いつまでも失業者のままでいたり、場合によっては犯罪とか薬物とか、そういうものに親和的な層になってしまうという問題があります。日本でもやはり同じように、ちょっと見れば社会活動に参加しない状態の若者たちがどんどん増えているということです。
 そのニートについても、やはり学歴を見ると先ほど見たのと同じなのですけれども、やっぱり多いのは中学校卒業であるとか高校中退層だろうと思います。学校中退というのは、日本の労働市場、特に正社員になるタイミングはいつあるかといえば、学校卒業のとき新卒採用なのです。この新卒採用のタイミングに絶対乗れないのが中退者なのです。当然フリーターも多くなるし、ニートも多い。一番多いのが高卒学歴の人なのですが、高卒学歴の人の中には、実は最近高等教育中退層もかなりはいってきています。高等教育の進学率はどんどん上がっていますが、一方で同じその中でふえているのが大学に入ったものの中退する人たちなのです。中退という問題は、とても大きな問題になっています。
 こういうような形で、若者の現状というのは、かつて90年代、80年代までそうだとします。学校を出る前から就職活動をして、ほとんど学校を卒業と同時に20代前半までの人だったら、10割方が正社員になっている、こういう社会。この正社員にみんななるという社会から、今は正社員になれる人が大体同年齢の中の6割ない。最近ちょっとまた景気がよくなってちょっとふえていますが、6割から7割というふうに減ってしまっています。一方で正社員になれなかった層というのがフリーターになり、失業者になり、ニートになる、こういう構造にある。
 そして、フリーターにしろニートにしろ、特徴は学歴が低くて年齢が若い。つまりこっちに入っているのがだれかというと、この反対だということです。学歴の高い層、高等教育卒業者というのがやはり一番正社員になりやすいのです。
 そういう若者が失業しやすいという構造は、これは日本だけのことではなく、ILOの統計によると現在世界の失業者の半分は若者だと言われています。若い人というのは、そもそも労働能力がまだ身についていないわけですから、失業しやすい存在。特に先進諸国の中の失業というのは、学歴という問題が非常に大きく影響しています。そこには、先進諸国型の産業構造という問題があると思います。世界の経済がグローバル化し、その結果として出てくるのが先進諸国がどういう産業に特化するかというと、知識、基盤、社会という表現をよくされますけれども、発展途上国の人たちとは差異化しなければならない。そして、その高い生産性を国内の産業からうまく生産性の高い産業に特化して付加価値をたくさん生まなければ、豊かな消費生活はできない。
 そこで、産業構造というのは知識基盤型、知識集約型産業とか、いろんな言い方がありますけれども、そこで必要とされる人たちは非常に専門性の高い、ITをイメージされたらいいと思いますけれども、そういう専門性の高い領域の人たちがたくさんの付加価値を生んでいる。そこで、需要はどこに集まるかというと、高等教育卒業者の方にどんどん需要が集まる。低学歴の人たちがつける仕事というのは、発展途上国の人たちのできる仕事とかなり競合するところがあるのです。そうすると、産業構造の中でも先進諸国の中には基盤がなくなってくる。先進諸国の中に基盤が残るのは、やはりその場で消費者に売るサービスなんていう仕事はもちろんその国内に残るわけですけれども、そこでの賃金水準というのはなかなか伸びない。
 日本の場合には、海外から単純労働の人を入れないという仕組みを堅持していますが、そういう仕組みを入れている国では、実は海外に生活基盤があるような人たちと同じような賃金水準になってしまうので、非常に低い賃金水準になってしまうという、こういう世の中で今起こっている、これは経済の構造図が背景にあって、学歴が低くて若い人というのが失業しやすいということは、これはどこの国でも先進諸国では持っている問題です。
 こういう中で若年失業率というのは、大体ほかの国では1970年代後半から80年代にかけて急激に上がりました。日本でも、いわゆるオイルショックが昔ありましたが、あの後ですね。あの後ほかの多くの国では、若者の失業率が高まるということを経験しています。それは、やはり今言ったようなグローバル化が急激に進んだからだと思います。
 ところが、日本はほかの国よりも15年ぐらいおくれてこれがあらわれました。おくれたのはなぜかというと、日本型雇用慣行があったからです。まずは正社員で、最初に能力がなくても可能性で雇ってしまう。可能性で雇って企業が訓練して一人前にする。この雇用慣行が若者たちを失業させない、そういう特徴を持っていたのです。それがやっぱりこの90年代の不況の中で大きく変化してきたということが若年層失業の大きな要因です。
 これが新規学卒者への求人の数です。高校生の求人は、ハローワークでつかんでいますので、これは確かな数字なのですけれども、90年代の初めの景気のよかったときは167万人ものそういう求人があって、求人倍率が3倍をこえるというような、こういう時代がありました。
 これが一挙に求人倍率が下がって、ずっと下がり続けて、最近ちょっとふえていますけれども、とても昔のような状態ではありません。
 これに対して大卒求人はどうなったかというと、やっぱり同じように一回下がるのですが、これはもう景気の関数です。一時上がって、また現在急激に上がって、今バブル期並みの求人が大卒にはある。大学生と高校生でははっきり明暗があるのですね。これは、構造が大きく変わって、高等教育卒業生の需要がつまりそういう産業構造になっている。こういう中で景気の好転があったとしても、集中するのはこちらになります。そうすると、最初にあったように高等教育に進学しない層、進学できない層がどうなるかというところに大きな問題があると思います。
 先ほど日本型雇用慣行というのが80年代ずっと、ほかの国に比べて日本では他の先進諸国のように若年者が失業しないように日本の若者たちにいい状態をつくっていただきました。これが修正された結果として、新卒採用の厳選化が起こって、そして一方でアルバイト、パートを多用するという、こういう雇用形態の偏執性をつい最近までずっと進めてきたわけです。最近、新卒の大学生への拡大というものがけっこう出ていますけれども、その背景にあるのが先ほど言ったような付加価値の高い産業へのシフト化、さらに最近の短期的利益を追求するような経営の早期選抜が起こった。こういうことが、これまでの日本型雇用慣行が若者たちを失業から防いでいた80年代とは違う構造というのは、こういう構造です。こういう構造の中で、正社員になれない若者はだれかというと、低学歴で10代であって、あるいは学校中退であるため学卒のときうまくいかなかった、そして早期戦力からこぼれてしまって早く離職してしまった人たち、こういう若者たちが今非常に困難に陥っているわけです。ですから、日本型雇用慣行が変わったことによって、彼らはうまく一人前になれなくなった。
 ところが、もう一つ問題があります。日本型雇用慣行がある意味では、まだ残っているのです。残っていることが逆にマイナスになる。どういうことか。日本の雇用慣行というのは、正社員中心主義でして、日本型雇用慣行というのは、まず正社員を雇ってから中で育てる。その育て方がうまいと言われていたのですけれども、正社員で雇わなかった人はどうなるのか、ここに大きな格差があるのです。つまり正社員と正社員ではない人の間の労働条件が非常に大きく違うのが日本型雇用です。ほかの国は、この労働条件の格差というのをどんどん縮めてきた過程があるのですけれども、日本は縮めなかった。ずっと格差が大きいまま。
 それから、非正社員から正社員になるというルートがない。ないわけではないけれども、非常にハードルが高い。これが日本の雇用慣行です。これは、やっぱり日本型雇用慣行の実は負の面なのです。正の面、プラスの面というのは、人を育てるのがうまいということがプラスの面なのですが、一方でマイナスの面がある。採用されなかった人にとっては、非常に酷なのです。途中から入れない。入り口、学卒採用のときにうまくやった人たちはうまくいくけれども、そこで何か失敗があったり学校を自分で離れてしまったり、途中で何かミスを犯してしまった人は、もう途中から入れないのです。入れないだけではなくて格差が大きい、この格差がずっと引き続き残ってしまう。ということは、どういうことかというと、今になって急に大卒採用を始めましたけれども、この十数年の間、ずっと厳選採用の結果、乗れなかった人たちがたくさん出てしまった。これがフリーターになっている。
 この企業の採用にうまく乗れなかった人たちがそのまま残ってしまうという、世代問題としてフリーターなのです。悪いことにフリーター、ニートになった世代というのは、団塊ジュニア世代が今30代前半にかかろうとしている、団塊ジュニアを中心とする人数の多い集団というのがあるわけです。この人数の多い人たちが労働市場に出ようとしたのが90年代の初めから半ばにかけてなのですが、このときに非常に悪い不況に陥ってしまったタイミングなのです。団塊ジュニア世代に聞いてみると、一番多いのです。この人たちがずっと正社員になれないまま長くいて、この世代の世代問題というのはとても大きくなっています。
 次は、これは先ほどのフリーターと正社員との間の格差が非常に大きいということの根拠の表ですが、これ自体は差が大きいということを示しています。それは、また非正社員から正社員になりにくいという、そういう構造を示しています。これも白書でよく使われるのですが、この黄色いところ、80年代には非正社員から正社員というところ、いろの中の4分の1ぐらいを占めたのですが、これが徐々に減っていて、むしろ今はそのころよりも一たん非正社員になった人が正社員になりにくい時代なのです。非正社員は非正社員間での移動しかしていなくて、なかなか正社員にはなれない。
 一方正社員から非正社員に、ある意味では労働条件が転落してしまう人というのが徐々にふえていくのですけれども、正社員の壁というのはやっぱり、厚生労働省でも正社員に採用して、フリーター常用化計画なんていうのを進めているのですが、現実にはなかなかそれが進んでいなくて、非正社員になったら正社員になれないということがむしろ進化していっている。
 そして、これが先ほどの世代問題という話です。これは、ニートの数を年齢別に示したものなのですけれども、90年代初めニートの6割以上が20代前半以下の比較的若い層でした。それが、2002年の最新、一番新しいところはここまでしかないのですが、この統計ですと、実は6割がむしろ年齢の高い層でちょうど同じくらいの人数がこのまま続いています。つまり、この人たちがずっとそのままきているという、そんなイメージです。実際に今30代の人たちの就業経験を調べますと、この人たちの半分が一度も仕事をしたことがないのです。ですから、このままずっと上がってきた層です。半分は就業をしたことがある。
 それで、彼らの問題というのは、彼らが団塊ジュニア世代なものですから、親世代が団塊世代なのですよね。ということは、2007年問題にかかっている世代で、彼らの親たちは間もなく年金世代になってくる。そうすると、だれのお金で食べるのかという話になってしまいます。年金というのは、そもそも考え方として、このような20代、30代の若者たちが上の年齢層を支えるという考え方で日本の年金は成り立っていますが、それは全くある意味では本末転倒状態。親がもらった年金でこの人たちが食べていくという事態に今の状態だとならざるを得ない。
 そこで、こういう人たちをどうやって親や世帯から自立させるかというのが大きな課題になります。若い人の層というのは、それぞれに問題はありますが、そう大きくないのです。まだ可能性が高いといいますか、企業の方も雇いやすいですし。30代まで一度も仕事をしたことのない人たちというのは、社会関係のない人たちというのは年齢が高くなればなるほど、その期間が長ければ長くなるほど労働能力が落ちますので、年齢と反比例になってしまうのです。それだけ社会への吸収が難しい層になってしまう、こういう事態になりますので、この世代問題、フリーターの方はまだ就労経験があるので、可能性はかなり高いのですが、ニート状態が一番自立が難しい層ではないかと思います。
 あと問題として今後残るのは、景気がよくなって、残るのは格差問題という話です。地域格差の話は私は専門ではないので、ここでは触れませんけれども、先ほどの学歴の問題と非常に絡んでいるのは、子供の学歴というのはかなり親の家計に応じているということです。高等教育進学と、先ほどの話を考えていただければ、高等教育の2007年問題というのは、だれでも入れてしまうような2007年問題とあるのですけれども。だれでもではないですね、お金がある人だけは、だれでも入れるのですね。お金がない人は入れない。もちろん奨学金政策も一生懸命やっていますが、お金のない世帯の親の子供ほど、奨学金を借りたがらないのです。返済能力に関してすごく自信がないからというのが理由です。今、日本の奨学金は貸与ですから、必ず返さなければならないので、借金を背負うことになる。借金を背負うことの恐さは、親からもう伝えられているということもあります。そういう文化的な問題もあってなかなか、奨学金を借りて行けばいいのにと思っても行かない。
 これは、ニート状態の人たちの親の家計を調べたものです。親といいますか、世帯ですね。ニート状態の子供がいるような世帯、その世帯の家計収入の分布を見ました。茶色い方がこれはニートの子供のいる家庭です。青い方は正社員の子供がいる家庭です。大体正社員の子供がいれば800万、900万、この辺がピークになるというグラフなのですが、ニートの子供がいる家庭というのはこういうグラフ、大体300万円台がピークになるような状態です。やはり決して豊かな家庭から生まれているのがニートではないということです。
 さらに、今の学歴の話を加えて、先ほどのニートの子の家庭を含めて、子供の学歴によって分解しました。分解した結果がこれなのですが、これを分解するとこうなります。青いところが、ちょっと人数が少なくなるとグラフが汚くなってきますが、大卒のニートがいる家庭の収入です。これだと確かに豊かな800万、900万あたりの所得があったり、子供を大学院にまで入れて、それでニート状態で困ったわと、確かにそういう家計というのは豊かです。親が甘やかしているのだということをよく言われますが、そういう側面は確かにあるかもしれない。場合によっては、彼らは大学院に残って、ひょっとしたらそのうちに何かとんでもない発明をする人たちかもしれないので、わからないのですが、大卒のニートという人たちの家計水準は決して低くはありません。
 それに比べて、中学卒のニートの人たちの家計はどうなっているかというと、ピークはここなのです、200万円台です。非常に家計収入が低いと言わざるを得ません。こういう家計収入の低い家庭でニートが生まれている。ここには、こういうことを言うと不思議がる方がいます。親が貧しければ子供はしっかりするだろうと、何とかしなくてはと思って働くのが当然じゃないの、親が豊かなところで子供がぐうたらするのはわかるけれども、親が貧しくて、これは大変だということがわかって何で働かないのと。
 一番大きな理由は、働くだけの能力がないということです。彼らの中学卒業とは、多くは高校中退と話しましたけれども、高校中退はどういう経緯で中退するのかというと、引きこもりでの中退もあるのですが、一番多いのはやっぱり進級できないのです。進級できないのはなぜかというと学業不振と、それから出席日数不足です。彼らがどういう高校生活をしていたかという話を聞いてみますと、やっぱり学校は楽しくて行っていたという子が結構いるのですが、なぜ楽しかったかというと、友達と楽しく遊んでいたという話なのです。授業中は何をしていたか、後ろで勝手なことをしていて盛り上がっている。先生はさすがに注意しないのか、注意したらどうするのかというと、机を引っ繰り返すとか、そういう武勇伝をはたらくのですね。
 結局学校にちゃんと参加しないまま学校時代を過ごして、高校になると義務教育ではなくなるので進級できないという事態になる。そして中途退学する。それで、アルバイトもしないではないのです。でも、まずよく語られたのは面接に通らないから、アルバイトの面接にも通らない。あるいは通ったにしても、二、三日で行けなくなってしまうのです。まず、ちゃんとした時間に起きれなくて、生活の基本的な習慣ができていないので、数日で行けなくなってしまう。それから、アルバイト先でちょっと抑圧的なことを言われたりとか、そういう人間関係のプレッシャーといいますか、ちょっと自分がばかにされたとかそういうような感覚を持つと、やっぱり学校の中でやったように机を引っ繰り返すようなことをしてしまうのですね。自我のコントロールがうまくできない。
 そういう意味で、学校の中で毎日学校に来て鍛えられるような基本的な生活習慣とか、人の関係を何とか調整して目上の人とうまくやっていくとか、そういうようなことが全然やれないまま学校を中退している層がいるので、いろんな人がいますけれども、私が面接した何人かはそういう理由でニート状態になってしまっている。彼らは、どうやって食べているか。親の家計もありますけれども、結構友達のところを転々として、何をやっているのだかわからないけれども、今お金を持っている人のところに行って食べているという、そういうような生活をしている人がいます。
 ニートの状態の中には、いろんな人が入っています。統計上では、ただ社会活動に参加していないというだけの理由なので、そういう人たちもいれば、病気の人も4分の1ぐらいいます。当然社会に参加していないというだけで病気とか障害を持っている人たちも当然その中に入っていきますので、ニート64万人と言われていますが、この人たちがみんな労働につくということ、これは絶対あり得ません。病気や障害の人たちも含まれているのですから。それなりに社会参加という形はありますけれども、労働力、全員できるということではないと思います。
 それはともかくとして、その背景にある家計の問題もあって、これが高等教育の進学を阻んでいるし、能力形成をうまくできないということにもつながっている、こういう事態です。そういうフリーター、ニート層の背景には、貧しい親の家計というのがあって、ここのところに奨学金政策で彼らを有効的に進めるという点もあるのですが、それがうまくいかないことがある。それは、育ってきた家庭環境とのことを考えると、素直に奨学金があれば高等教育に進むというものではないということです。
 あともう一つ残るのは、やっぱり大卒にも残るのではないかという最後の問題です。大学生は、今求人が沸騰状態で、完全な売り手市場に変わっています。これまでの統計上でも、大卒はフリーター、ニートが一番少ない層です。それでも、今どんどんふえている大学生というのは、ただ放置していて、求人がよくなったから大丈夫かといえば、そうではないということです。
 もともと大卒の就職無業者というのは、大学卒業者という一時は20数%、この辺まで来ました。4人に1人が就職していないということで、結構問題にもなりましたけれども、これは求人倍率の関数です。90年代は求人が非常にたくさんあった時代、この時期の無業者というのはせいぜい5%ぐらい。これが求人がぐっと減った段階で無業率がぐっと上がる。今また求人倍率が上がってきましたから、無業率は当然下がってくるという、こういう状態になっています。
 ですから、今これから求人がよくなれば無業率は結構減ります、間違いなく。ただ、その水準はどうかというと、例えばこの水準と同じ時期というのはこの水準なのですけれども、このときの無業率というのは六、七%なのです。このぐらいの水準に下がるかというと、ここで見ていただくと、そこまで下がるような水準ではないですね、全体にシフトしてしまっているのです。ですから、一番大きな要因は求人があるかないかなのですけれども、求人があるかないかとは違うもう一つの要因があります。
 それは、やはり本人の側、大卒というのが今進路選択の先延ばしとして大学に進学している人がいます。だれでも入れる大学になりましたので、高校から進路を、選ばなければ普通に大学に行くという、そういう先延ばしで進学しています。先延ばしの結果として、そのツケを大学卒業時点に突然払わなければならなくなってくるのです。みんなが行くから大学進学してきたけれども、結局卒業時点でどうしていいかわからない。
 これは、先ほどの文科省の統計で、無業者と言われる数が大体このくらいいるという2005年で17%ぐらい。この中身がどんな人なのかというのを私たちは昨年の11月段階で、大学4年生で1万8,000人ばかり協力いただいたのですが、調査しました。この部分が、先ほどの白ではないところ、これに当たるのですけれども、この部分の人たちの内訳というのをこれで見ました。そうすると、大体半分ぐらいが進学希望なのです。大学院とか、専門学校とか、ちょうどそれと同じ、こちら側が専修学校とかの進学の希望者ですけれども。これは進学の希望、こちらの方が先ほどの黄色い方で、いわゆる統計で無業になっている人。
 この無業の人たちの中身を見てみると、大体いろんなケースがありますけれども、大きくは3つに分かれます。1つは、公務員や教員を希望して来年受けますという人たち。それから、もう一つが、就職を希望しているのだけれども、今は就職活動をやめている。その理由は何かというと、例えば地元に帰って就職したいので、東京の大学では就職活動をしないと。地元で就職活動をしようと思えばお金がかかってしようがないから、卒業してから就職活動をしますと、そういうことを言っている人たち。それから、この人たちは完全にどうしたらいいかわからなくて、迷っているという人たち。大きく3つぐらいに分かれます。
 多分一番問題なのは、どうしていいかわらない、迷っているということなので、彼らが具体的にどんなことを言っているのか、これは自由回答がたくさんありまして、そこから典型的なものをとってきましたけれども、彼らたちは就職活動をしているのですよね。一たんはしているのですが、やっているうちに自分がどんな仕事につきたいかわからなくなってしまう。高校時代の先生に向かって、あのとき工学部なんか選ぶのではなかったというこという。工学部だから、求人は、あまたにあるのですけれども、それでも自分はこんなことをしたいのではなかったのではないかと思ってしまう。
 学校に行けば、大学に行けばやりたいことが見つかると思ったのだけれども、やっぱり大学に行っても何も見つからなかった、こういう人たちです。先ほど話した高校中退型で仕事をしていないタイプとは全く違うことの迷いがあるので、何かしなければならない、何かしたい、どうしたらいいかわからないと、非常に真面目なのです。就職活動を全くしなかったのではなくて、しているのです。でも、その結果がどうしたらいいかわからない状態です。
 それで、こういう迷いというのは実は彼らだけではないのです。今の人たちがこれです。この人たちが説明会にそこそこ参加して、実は面接もちょっと受けたりしていました。それなのに何をしていいかわからなくて、今就職活動をやめてしまっている。
 先ほど2番目にありました就職希望しているけれども、例えば地方に就職したいから、地元に就職したいから今は活動しないという人たち、この人たちも実は仕事探しをそこそこしているのです。しているけれども、やっぱりもうやめたと思って、今はやめた。
 それから、公務員になりたいという人たちも、実は民間企業の面接とか受けているのです。受けているのだけれども、結果として今はもう民間はやめて公務員一本にしようというふうに決めた。
 さらに、進学を希望した人は、専門学校に行くといっても、実はもっとたくさん説明会に行って面接を受けて、内定をもらっていない。その結果として留学する、専門学校に行く、大学院に残る。今の大学生というのは、非常に皆迷っています。結果として、公務員を希望しているのだから、教員を希望しているのだからといっても、それがどの程度のものなのかと実は非常にここに疑問がわいてきます。
 中には、本当にはっきり県庁に勤めたい、県庁の星になるのだと書いている人もいますけれども、右往左往していて迷っている。これが高校から大学への進学の時点で先延ばしで進学した結果のツケだと思います。
 さらに、輪をかけて問題なのが、これはキャリアセンター、大学の就職部の職員の方に聞いた調査ですが、最近四、五年でどう変化したか、一番変化があったのはインターネットによる就職活動が一般化したということ。インターネットの情報に頼り過ぎるというのはどういうことかというと、これも一応書いたのがありますが、サイトを見て開いているだけで就職活動だと思って、その後の行動ができない学生がふえているということ。
 かつて就職活動はどうだったかというと、まず就職部の先生方に相談をしたり、あるいは大学の先生に相談したりして、それで実際に企業に行って人に会うということを何回も繰り返す。文系だったら特に何カ所も事前に会社訪問をして、説明等も受けたりたくさんして、実際に会社に足を運んで職場の先輩に会う、OB、OGに会うという活動をたくさんしたのです。実はその過程というのは、本人が自分が何をやりたいのかがわかるための大事な過程だったのです。職場に行ってみると、こういうことを私はしたかったのか、違ったのかもしれないと思うかもしれないし、実際に先輩の職業人に会うと、こういう人の生き方すごいな、こういう生き方いいなということで感銘を受けたりする。その辺で、学校しか知らない状態から大きく社会関係がふえて、そこで実はやりたいこととか、今多くの若い人たちはやりたいことというのをすごく大事にしているのですが、それって、そういう接触の中で自分が見えてくる、そういう過程があると思っているのです。
 それがネットを通してだと、なかなかそこまでいかないのですよ。ネットだけで決めて、今はリクナビさんとか、そういうところに登録すれば情報がどんどん来る。その中で、ネットの中だけで企業についてわかったつもりになる。中には、企業の資料をプリントアウトして、これをたくさん持つことで何かひとつ就職活動したという気持ちになってしまっているのですが、そういう実際に人に会うことが余りないまま自分の志望企業を決めてしまったり、そういう仕事を決めるだけの能力が十分にない学生なのに、そのための過程を経ないで、ネット情報だけで方向を決めてしまうところがある。これはかなり危機的なものではないかというふうに大学の就職部の方々は見ている。
 大学の就職部というのは、特に私立大学なんかは、とても相談を熱心にしてくれるところで、これまで結構就職活動でOBを訪問するための足がかりになってそれなりの役割を果たしていたのですが、ネット化することで大学の就職部を頼らないという人たちが多く出てきているのです。登録すれば、かつては大学に行かなければ得られなかったものが大学に全然関係なく、大学をすっ飛ばして求人情報が手に入る。中には、そういう実は仕事選びをするためにいろんなことを、必要な情報を大人の社会のいろんな人とつき合うことによって知ることができて、それをもって自分の中の選ぶ基準だとか、そういうことを考え直したりしながらいけば何とか就職できるものを、自分一人で空回りしてしまって、一人で戦って、一人で負けて、一人で落ち込んで、もう就職やめたとなってしまう、そういう子たちが出てきています。
 そういうところで大卒の問題も、就職は非常によくなっていますが、でも彼らの職業的発達というように書いてありますが、大学を自分で選んで、自分の将来を決めていく力ですね。その発達段階がどうも昔の人よりも遅くなっている。みんなが行くから大学に行くのだと。その前に、大学に行く前にいろいろ考えておくべきことがなくなっていますので、どんどん、どんどん、先延ばし、先延ばしで大学に来ている。その結果として、出口で結構つまずく若者たちが出てきているということです。
 これが大卒の場合の構造ですけれども、本人たちの問題もあって、一方で企業の方も雇用拡大だとしても、新卒ならいいけれども、途中からの採用は難しいから何としても新卒で決めなければならないというハードルがある、就職のプレッシャーが非常に強くて自分がどうしていいかわからない。プレッシャーが強くて、本当にどうしていいかわからないという状態の中で立ちすくんでしまう。あるいはさらなる先延ばしをして、ほかの学校にもう一回行こうとする。大学院が今非常にふえていますが、大学院の中には実は進学しても研究室における大学院だったりして、決して就職には有利にならないということも少なくないのですけれども、ただ先延ばしのために大学院に行くという状態にあると思います。これが大きく今後も残る問題として、世代問題、それから格差の問題、そして大卒の問題、こういう大きな問題が3つあるのではないかと思います。
 さらに、ちょっと補足的に、若干資料が前後しますが、一番最初の資料のところで私どもがことしの2月に東京都内の若者を対象にやった資料、調査があるのですが、そこでやっぱり学歴が結構大きな影響、先ほど申しました格差の話につながっているのですけれども、大きな影響を持っているなということ。高校を卒業したばかりの18歳、19歳の中で、最初から正社員でというのがもう本当にこれしかいないのに対し、大卒だったら最初から正社員になっているのがこれだけいると。この学歴の格差というのは、やっぱり就職にすごく大きいよねという話と、それから20代後半の話なのですが、大卒は20代後半でもずっと正社員が多いのですけれども、高卒の場合20代後半になると、だんだんこの赤いところ、確かに他形態と正社員以外の形から正社員に変わることはだんだんふえているのですけれども、でもそんなにふえていないのですよね、これだけなのです。なかなか正社員になれなくて、ずっとフリーターだという人が少なからずいる。どうも東京のこの今の現実、現在の若者たちを見ていると、途中から正社員に変わるということがなかなかできにくくなっているという状態がこの調査からもわかりました。
 それから、ここではそういう若者たちの意識の問題を少し聞いてみると、それは今までにない情報なので、お伝えしたいと思うのですけれども、これはずっとフリーターだったという人たちに対して今一番望むのはどんな仕事の形ですか、3年後にはどんな仕事の形をしたいですかというふうに聞いたものです。男性の今、アルバイト、パート、契約、派遣まで入れますが、幅広い面の正社員以外の働き方をしている人たちに聞くと、半分近くがアルバイトやパートや派遣や、今の働き方がこれが一番いいと思っているのです、半分ぐらいが。でも、3年後には、やっぱり1割ぐらいしかこのままでいいと思っていなくて、正社員になっているか、自営業、自由業になりたいと。ずっとアルバイトやパートでいたいと思っているわけではなくて、何かに変わりたいとは思っている。女性でも独身の人だけとると、やはりかなりアルバイト、パートでずっといいとは思っていない。でも、これは5年前にやった数字に比べると、アルバイトやパートでいいと思っている人の数は、随分ふえているのです。
 さらに、もうちょっと比較で言うと、これは2006年の数字で、ずっと正社員であった人たちが一番順調だと思っている。ずっと非正社員だった人たちも、まあまあだなと思っている、こういう状態。5年前はどうだったかというと、2001年の同じ調査の結果、5年前正社員だった人はまあまあだなと思っていますが、非正社員でいた人というのはすごくマイナスだなと思ったのです。自分の人生はすごく順調ではなくて、うまくいっていないという思いがすごく強くて、周囲の人からどう思われているかとか、周りからも自分はすごくよくないと思われているだろうなと、こういう思いがあります。この2001年と、不況のさなかの非常に景気が悪い状況の中で、非正社員であるということがすごく人生にとってはマイナスだなと思われていました。
 それがマイナス感が少なくなって、この差が小さくなったというのが現状なのですが、前向きになったというふうには見えますが、前向きになったという以上に、これは女性の場合ですが、女性の場合ですとほとんど差がないような状態。フリーターになることに対するマイナス感というのがすごく小さくなりました。それだけ、特に高卒の若者にとってみれば、フリーターは普通なのです、ごくごく普通の勤め方です。それは何か自分にとってマイナスになるとは思っていないのです。20代後半でフリーターであると聞いても、マイナス感というのはすごく小さくなって、今フリーターでもいいと思っている人たちが非常に高くなっているという、そういう状態です。これをどう思うかなのですけれども、前向きになったという意味ではプラス面もありますが、ただ現在の企業の産業構造を見ていると、決して楽観を許すような状態ではないわけです。
 ちょっとまとめてみますと、フリーターがごく普通になった、高卒以下。そして、高等教育進学者の場合には、発達のおくれといいますか、先延ばし、先延ばしで、そういう感覚があって、そしてさらに20代後半のフリーターは先ほどの最後のグラフで20代後半の人たちですが、彼らは自分の人生について、フリーターであることのマイナス感がすごく小さくなっている、そこから脱しようという気持ちがかなり弱くなってきています。かつてあった焦りというものがなくなってきている。
 ただ、構造的な問題というのはすごくあって、世代問題とか格差問題とか、産業界が20代後半のフリーターたちを本人たちがその気になればいつでも正社員になれるかというと、そういう状態ではないと。全体として今の若者たちは、選択の先延ばしのことと、青年期の長期化、こういう時代の中で、一方で産業界の構造というのは、今回の報道を見てもおわかりのとおり、新卒へはぐっと求人が集まりますけれども、新卒以外の若者たちを採用しようとしていないわけです。若者の方がかなり青年期が長期化していて、まだ大丈夫という感覚がかなり強くなっているのですが、それに対して労働市場の実態というのは、もう一度新卒採用に集中するようになって、彼らほどのんびりした感覚は持っていないこの問題です。やはり今後とも対策が必要ではないか、景気がよくなったからといって解消するものでもない。
 そこで、どんな対策が必要かというのは、既に進んでいる対策も含めてなのですけれども、大きな課題としては格差問題、特にエンプロイアビリティーが非常に低い層、この人たちをどうするのか。そのままで彼らに就業しろと言っておしりをたたいたって、企業の方が雇うだけの能力が十分についていないわけですから、そこのところから対応しなければならないし、それから団塊ジュニアの世代問題、この人たちもやっぱりエンプロイアビリティーのところ、ここに問題がかなりある。さらに、世代というところで特に団塊ジュニア、20代後半、30代にかかっているかなり重たい問題がある。大卒の場合には、一番ある問題だと思いますが、既に大学でもいろんな対処をしています。1つは、学校にいる間の人たちに対する意味では、基本的にはキャリア教育の充実ということです。これは、単にインターンシップなどで就業体験をさせればいいというよりは、エンプロイアビリティーを高めるために基本的に自分のキャリアについて考える力をつける、どんな能力をつけるべきか自分で考えられるようにする、そんなようなことを含めて大卒に対しても戦略的にかなり始まっています。これは、さらに充実していく必要があるでしょう。
 それから、社会参加型のプログラムというのは、エンプロイアビリティーの非常に低い層にとって、特に団塊ジュニアのような層では、まず社会参加ということが大事ですけれども、社会参加の目的は何かというと、お金をもらって労働力になるのはまだまだ時間がかかる。その能力を育てるために、さまざまな形の雇用にならない仕事ですね、有償ボランティアなんていう考え方もありますが、社会に対して何らかの力を発揮する場面を提供して彼らを巻き込んでいく。彼らも本当は自分の力を発揮する場が欲しいのですが、その機会に恵まれないまま長い間来てしまった。その参加する場をつくって枠組みとしてはボランティア的な枠組み、あるいは有償のつかない場合もあるかと思います。自立塾なんかでやられているような、若者の自立塾という仕組みを今厚生労働省でつくっていますけれども、自立塾の仕組みで言われているような、彼らの能力開発のためにむしろお金を払って参加させてもらうという、そういう視点ですね。
 それから、どこにでも中心になるのが相談重視の個別支援、個々の状況において課題が違うということです。これは、どの国でも若年対策というのは重視されているという項目です。やっぱりそれぞれの状況に合わせて、それぞれの個の問題に対応するような支援策をつくるというのは、まず相談がスタートです。そういう意味で、今地元でやられているような相談重視というのは、今ほかの国でやられている若者対策の中の1つの方法だというふうに思います。
 そして、能力開発のところをどうするか。日本の特徴は、企業が能力開発をずっとしてきたということです。日本型雇用慣行のところでお話ししましたが、まず採用して、採用してから企業の中で訓練して一人前にするという仕組みです。これはすごくプラスなのですが、一方で企業に入らなかった人には、その機会が全くないというこの格差です。能力開発の機会を非正社員と正社員と比べると圧倒的な差があって、非正社員の方が実は能力開発をしたいという気持ちが強かったりするのですが、ほとんどその機会がない。そういう事態になっている。それをどこでどうつくっていくか。
 そのための施策として、厚生労働省なんかで考えているのは、日本版デュアル・システムというような仕組みをことしから変えて、企業にまず有期限の短期のアルバイト雇用をしてもらって、その上で企業の需要に応じた能力形成をしようと、そんな仕組みもあるようであります。企業の負担によらないで、ある程度社会的な負担をそこにつけて、企業の能力開発経費を少し削減するような形で、能力開発の経費をつけて雇用につながるようにするという仕組みです。これもほかの国の王道の1つです。これをやって能力開発、職業訓練という形で、きちんと枠組みをつくって、それに融通性のある資格を与えて、それで外に出していくという職業訓練の仕組みというのをしっかりつくっている国が多いです。日本は、これがなかなかまだできていないので、少しずつ徐々につくって、企業と協力しながらこれを形づくろうとしている段階です。
 それは、仕組みがそもそも根本的に違うので、アメリカ、イギリスというのは、西洋型の社会というのは労働市場が職業横断的になっている。もともと職業という概念が非常に強くて、ある職業資格というのをつくれば、その職業資格を持った人が企業に途中から入るということが非常にしやすい。企業の仕組みそのものが採用してから訓練するというよりは、既に職業としてはっきり資格があって、能力が形成されたことがはっきりしている人たちを途中から採用して、それで企業運営をするという横断的な労働市場の感覚が非常に強いというのが西洋型の企業に多いので、そこではこれがもう基本になっていて、社会的な能力をつくる仕組みと、社会や企業の外で能力が形成されて、それが流通するような評価する基準がある資格社会というものができ上がっているのですが、この部分が日本では非常に弱いと思いますが、日本の仕組みはそうではない仕組みでつくられてきたので、そこが非常に弱いのです。ほかの国では、これが王道なのですが、日本ではここの部分というのはまだやりかけたばかりで、徐々に企業との接点をふやしながら、ここを拡大していこうという努力を今しているところです。
 あとあり得るのは、大卒について見れば、新卒一、二年まで、いわゆる第2新卒といって、大卒3年目ぐらいまでを新卒で採用するなんていう枠組みを一部の企業では持っているのですけれども、こうした枠組みを広げて、彼らは発達が遅いので、少し一、二年それこそアルバイトをしながら自分のことを考えて、もしこういうことをやりたいといったときには新卒で応募できるような柔軟化というものを企業に求めていく、これは十分あることだと思っています。
 そして、企業の応募には、正社員を持っている、人を使っているところでは、非正社員から正社員にする登用の制度を持っていたり慣行を持っていたりするところが少なからずありますが、そこの部分をもっと大きくするというような働きかけです。
 フリーターの人にインタビューすると、20代後半のフリーターの人で、将来正社員になりたいと言っている人たちにインタビューすると、一番考えているのはやっぱり今勤めている先で正社員登用をしてもらいたいというのです。あるいは今勤めているところと似たようなところ。自分がやってきたことにしか自信がないので、このやってきた能力を生かして何とか正社員になりたいという気持ちを持っています。そういう意味では、非正社員からの登用制度というのを、これを拡充していく働きかけも、若者の側の意識にも沿っていて有効性のある対策だと思います。
 若干時間延びましたけれども、現在の若者の状態と、それからそれに対しての対応策について説明させていただきました。どうも長い時間ありがとうございました。
○小野寺研一委員長 どうもありがとうございました。それでは、これより質疑、意見交換を行いたいと思います。ただいまの御説明に関し、質疑、御意見等がございましたら、お願いをいたします。
○阿部富雄委員 どうもありがとうございました。二、三点お尋ねさせていただきたいと思いますが、一番最後、ここの部分で若者の就業支援ということで、具体的なものを出しているわけですが、今後仮に今の日本の中でやっていって、一体どの程度その就業が改善されるのかなと。概念的にはわかるのですけれども、これをどの程度やって、どれだけの改善につながるのかなという、こういう疑問をちょっと感じたのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
 2つ目は、小杉様のお話は現状を中心に分析されているようですけれども、現状に至っている部分、ここにもやっぱりメスを入れないと、なかなか基本的な解決にならないのではないのかなというふうにお聞きしたわけです。それはどういうことかというと、景気の問題があります。それから、雇用形態の多様化という問題、産業構造の変化と、いろいろとお話しされたとおりですが、その部分について具体のものがないまま、その部分に触れないで現象の面だけをとらえて、こういう問題ということにはならない。
 やっぱりまず日本の労働といいますか、雇用形態が弾力化してきたといいますか、多様化してきたというのは、今の経団連なんかが90年代の不況を乗り越えるためにグローバル化に対応するということで、社員についてはもう基幹部分にして有期雇用に切りかえたらいいのではないかという、こういう考え方を出してきたわけですよね。それに伴って、政府も規制緩和とかというような形で、極端に言えば派遣法だとか、そういういろいろなものを労働法制を改正をしてきて産業界の期待にこたえるような、そういうふうなことはやっぱり私は基本の部分だろうなというふうに思っているのです。そういう基本部分を無視して雇用問題を論じても、なかなか解決につながらないというふうに思ったわけですが、小杉様はその辺についてはどのようにお考えでしょうか。
○小杉礼子参考人 まず、効果の問題なのですが、これはどこでも検証されていないことなので、ただほかの国でこういうことをやっている事例があって比較的評価されているのではないかとか、そういうのが出ている程度です。
 やはりこういうのは、実験的な形で、これやるだけで幾ら効果が出てくるというのは出せないものだと思います。出せるとしたら、ほかの国でやっていたことで、これが効果があるというような実証ができるのは何かということだけです。これについては、はっきりした成果が出ているものは少ないのですが、幾つかほかの国でずっと継続してやられているものとしては、個別相談というような相談を中心とするやり方とか、それからキャリア教育とか、そのキャリア教育の中でも格差世代層に対しては早期介入という形で、義務教育在学中に格差をこうむりそうな層について個別の相談体制をつくって、彼らの能力形成の道筋をつけるような早期介入の方法と、それから個別相談という方法。
 そのほかには、やっぱりこれもその辺は基本的な政策が出てきているところなのですけれども、ほかのところも皆一応、ほかの国にも例があるというようなことを挙げています。効果としては、ほかの国でもずっと継続してやっているので、多分それなりのコンセンサスが得られたものというふうにとっているところです。
 個別相談の機関について、こういうふうな相談をしている機関についての結果はどうかというのは、国によってチェックをしているところがあります。例えばイギリスではコネクションズという政策で、コネクションセンターというのをつくって相談重視の件をやっているのですが、これはだれに対してどのぐらい働きかけて、結果としてどのぐらいの、最終的にはかけたコストに対してどのぐらい効果があったかというようなことまでやっていますが、一応それはプラスの効果という前提で継続しているという状況です。今わかっているのはその範囲だけで、日本の中ではそういう調査はまだされていません。
 それから2つ目なのですが、根本的なところというのは、確かに景気という問題はすごく大きな要素なものですから、雇用、就業問題というのはやっぱりどうしても根本的には景気の方があって、産業の状態によって雇用が決まる。そういう意味で、産業によって雇用は決まってくるので、景気対策というものが根本かといえば根本の部分だと思います。雇用対策というのは、ある意味ではそれの補完的な位置づけにならざるを得ない部分があります。
 もう一つ、おっしゃられていたところで、多様化路線とか企業の雇用の多様化というところの問題はどう考えているかということなのですが、私はある程度は避けられないことだったというふうに思います。やっぱりこれも背景にあるグローバル化、これも避けられない事態ですし、情報化というのも避けられないわけだし、そういう中で産業構造が集約化する、これも避けられない事態だと思っています。
 それで、今のグローバル化した社会の中で、知識高度社会化ということで避けられないと申し上げましたが、もう一つやっぱり市場主義化というのがこのグローバル経済の中で避けられないものだと思います。市場を中心にして物を考える経営の仕方ですね。市場を中心にして物を考える経営の仕方というのは、やはり経営組織にすれば世界のほかの国と競争していくためにはどうすればいいのか。市場を中心に考えていくと、同じような水準のコストで、より優位性のあるものを提供していかなければならないわけですから、どうしても市場中心になってくる。そこで出てくるのは、やっぱり日本の人件費の高さです。それがどうしても経済がグローバル化すれば、日本の社会というのはほかの国に比べれば高い賃金水準を保っていますので、その高い賃金水準をどう保つかというときに選択したのが、高い賃金の水準を保つ人と労働生産性に応じて賃金を決定する人と分断せざるを得ない、こういう選択だと思います。
 それがどの程度までというバランスとか、そこが大きな問題だと思いますが、日本型雇用で長期に守り続ける人の数をある程度制約しなければならないと、これはある程度必然があったのではないかと思います。これをしなければやっぱりほかの国との関係も、グローバル化した社会だからこそ、ある程度それはしなければならなかった。
 ただ、日本型の雇用慣行というその長期雇用というのは、守られる一方で、先ほども言いましたけれども、正の面も負の面を持っています。負の面というのが一方であって、それに対して公正ではなかった。これが前段だと思っていますけれども、アルバイト、パートのところに大量の女性が入って、女性が低賃金で働いているという、こういう事態がある。実はそれによって日本型雇用慣行が守られてきた部分があるので、正社員中心主義の日本型雇用慣行もやはり修正をせざるを得なかったし、ある程度の小ささは必要だった。多様化の中で、むしろその多様化によってちょっと全体の雇用が、男性も非典型雇用になって、そういう中でただバランスの問題だというふうに思います。正社員と非正社員の賃金格差がやはりフェアではないような状態というのはまずいと思いますし、その間の移動ができないという状態もまずいと思いますし、これを修正していくことが重要であって、多様化路線そのものを頭から否定するというのは、これはできないのかなというふうに私は思っていますけれども。
○阿部富雄委員 わかりました。
○佐々木一榮委員 2点ほどお尋ねしたいと思いますけれども、非常に多岐にわたっておりますが、もし臨席されたことがあるのであればですが、この若年者の雇用問題、ニート、それからフリーター問題と最近の若年者の凶悪犯罪、分野は違うと思いますが、その犯罪との関係か何かで、先生がもし御存じのことがあればお知らせいただきたいと思います。
 それから、格差問題としてのフリーター、ニートの中で、この5年間で景気がいいとは言われますが、2,000万円以上の所得を持つ人が1万5,000人ぐらいふえたと言われますね。一方で300万円以下の年収の人たちが117万人ぐらい、百十数万人ふえています。これが非常に日本の格差を今、地方と中央もありますし、そういう所得の格差。先ほども年収300万円以下の話がありましたけれども、この問題は非常に僕は大きいのではないかと思っています。
 特に岩手の場合は、県民所得で言うと全国で下から5番目ぐらいになるのですけれども、いずれにしても大学に入れるというのは大変なことだと思うのです。その中で、これから大学倒産時代が来ると言われていますけれども、やっぱりお金を国策として、教育の中身はちょっとまた別問題にして、勉強したい子供が高等教育、大学教育を受けられるようなシステムをつくってあげないと、結局はお金のある家庭に生まれた子供とお金のない家庭の子供の差がつく、どんどんついてしまうということになってくるのは確かですね。さっき犯罪を冒頭で聞いたのもそこにあるのですけれども、そういう懸念を持っていまして、その辺については今まで携わってこられた中で、お考えがあればお尋ねしたいと思います。
○小杉礼子参考人 はい。ニート、フリーターと犯罪との関係は、どこからも証明されたものはないと思います。ただ、イギリスではニート状態と犯罪との関係もあるという、そういう調査があるのですけれども、日本では調査はされていないと思います。可能性はあるのかもしれませんけれども、そこまでは言えないと思います。
 それから、格差の問題は、やっぱり私も格差の問題は大きいと思いますので、重要だと思います。ただ、今、経済学者の中で言われているのは、現在の格差の拡大の一番大きな要因は高齢者の増加だろうと。年齢が高いほど、もともと収入格差が大きいのですよね。だんだんと賃金格差が開いてきますから。でも、賃金格差が非常に大きい層である高齢者がどんどんふえているということが日本全体の格差を統計上大きくしている、一番大きな要因はそっちの方にあるというふうに経済学者たちは言っています。ただ、若い人たちだけを見ると、若い人たちの中でも就業形態による賃金格差という問題が非常にはっきりしていて、今後の問題としては若い人たちのこの賃金格差が大きな問題になってくる。現在出てきている、その統計上見られる格差は、むしろそれよりは高齢者がふえてきた、そのこと自体によることが多いのでないかというふうに、これは大阪大学の大竹先生が書いているのがあるのですが、今そういうふうに経済学では分析されているのではないかと思います。
 今後の問題としては、私も途中で統計数字を出しましたけれども、大体20代ぐらいですと正社員とフリーターとの年収格差というのは半分くらいちがいます。かつ年齢が高くなればなるほど格差が大きくなって、正社員の方は上がるけれども、フリーターは上がらないということですから、どんどん大きくなるというそういう実態はあります。そこには、やっぱりやっている仕事が違うからというのもあるのですが、やっている仕事を変えられるだけの能力をつける機会がないまま放置されるというのが大きな問題だろうと。
 そのフリーターになるかならないかというのに学歴が大きな影響を持っている、これも私の主張の1つで、この学歴というのをどういうふうに、学校教育という特に高等教育には出るか出ないという大きなかなめになっているので、高等教育の進学を支えるということはやっぱり政策的に大事なことだと私は思っています。
 日本ほど高等教育に行くのに親のお金で行く社会というのはないのではないかと。アジアはちょっとわからないのですけれども、ヨーロッパですと基本的に高等教育は国のお金で無料というのが基本ですし、私立大学の多いアメリカなんかですと、むしろローンを借りて子供の方が払うという、そういう考え方が主流になります。親のお金で高等教育をうけるというのは日本独自の問題だと思います。私の意見としては、やはりより教育にもっとお金を投資していいのではないか。日本の今後のために、国のお金をもっと教育に投資するということは重要な政策ではないかと思います。今は貸与型の奨学金だけで終わっていますね。賞与タイプのものも必要だろうと。あるいはほかのヨーロッパでやられているようなことで、そのままかかるお金を、皆様の世代だと多分国立大学がずっと安い時代を御存じだと思うのですが、今のように国立大学、私立大学で差が余りないような高い国立大学ではなく、安い国立大学にするという政策もありかなと思っています。高等教育を支える、内容の問題はともかくとおっしゃったけれども、非常にそれも賛成です。今の高等教育でいいとは思いませんけれども、内容の問題はともかくとして就学を支える仕組みというのは非常に重要だと思います。
○川村農夫委員 岩手の方では、特に製造業の方の意見としまして、小学校5年生程度の学力、読み書きそろばんでしたか、それがあれば十分仕事として、社員として使っていけるのだけれども、高校を卒業してもそういう学力が身についていないので困るというようなことをよく言われるのですが、小杉様の分析の中で学歴を主とした分析で、学力というものは、あるいは労働能力という点ついての分析ではなかったように思うのです。この点にちょっと疑問が残ったわけなのですけれども、やっぱりそういう分析というのは非常に難しいか、あるいは雇用する側として学歴が重要であって、労働能力あるいは身につけている学力についての視点がどの程度重要視されているのかという部分をまず1つ疑問に思いました。
 それから、2点目ですが、都内のデータがかなり多かったわけですが、地方においてもこういう傾向があると小杉様はお考えなのか、その点地方の面としてどういうことがあるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○小杉礼子参考人 学力、能力というのは、とても重要な視点だと思います。ただ、統計でとれるのは、学力、能力は統計ではとれないので、学歴でとるしかないものと思います。学力については、もちろん学力論争がありまして、学力が下がっているかどうなのか。大学で教えている先生方とかになると、下がっているというそういう感触をお持ちの方が多いような気がします。ただ、調査のレベルでは幾つかレベルがあるのですが、それでは余り下がっていないという調査もあるので、はっきりしたところはわからないのではないかと思います。
 ただ、製造業で小学校5年生程度であればいいのに、それができていないという話ですが、そこのところには確かに現実の実感として下がっているという感覚があるのだと思うのですけれども、全体の分布の中でどの層がその業種に入っているのかという、まず全体が下がっているのではなくて、日本の中の製造業に入る層のどこの層が入っているかということで変わっていくというそういう要素が1つあると思います。
 それから、実際に下がっているとしたらということで認識されているのは、実は勉強してどうなるのということに対しての答えが今なくなったということが大きな問題だと言われていて、それに対する対策がキャリア教育だとも言われている。キャリア教育というのは、今の子供たちの場合、勉強すれば必ずいいことがあるというそういうメッセージが伝わっていないといいますか、そういうのが言えなくなってしまった。勉強していい成績をとると、その結果としていい企業に入って、いい成績をとれる、そういう単純な図式では物が考えられなくなってきて、なぜ勉強するのという答えを大人がなかなか示されない。そこに問題があるのではないかという議論があって、そこでキャリア教育というのを小学生からという理由には、やっぱり勉強する意欲を高めるためのキャリア教育というふうに言われています。
 学校に行って勉強することが結局は社会に出て人との関係をつくっていく中で大事な要素になっているとか、仕事をする上で、実はここでこんなふうに学校で勉強したことが使われているのだというようなことを理解させる。その中で、学ぶ意欲というのを高める必要があるのではないか。学ぶ意欲を高めるためのキャリア教育。学力が落ちたと言われているという部分には、むしろ勉強する意欲が落ちたのではないかという議論があって、その勉強する意欲をどう支えるか。勉強すれば必ずいいことがあるというメッセージではもう動かなくなって、そうするとやはり勉強してああいう大人になりたいとか、そういう気持ちを高めるようなそういう教育をしなければというのが小学生からのキャリア教育というものの1つの前提です。
 それから、能力感について、高等教育を出た能力というのは先ほどそこは置いておいてといった話になって、この高等教育の能力というのは、いろいろ今議論が始まっているところです。かつて日本の産業界は、大学に対しては何も期待をしていないとよく言われています。要するにどの大学を出たかだけが重要で、つまり18歳のときの入学試験でどれだけいい成績をとったかということが重要で、大学の中でやってきたことに期待しないというようなことを言われた時代があったと思うのですが、それが今かなり変わってきていて、ことしの初めですけれども、経済産業省の方でやった社会人基礎力研究会というのがあって、そこでは産業界からのメッセージとして、こういう能力を大学で身につけてほしいという能力が挙げられています。
 その能力というのは、いわゆるコミュニケーションの能力とか、そういうことをもうちょっと詳しく表現しただけのものなのですけれども、その背景には産業界の方の実は人の扱い方が随分変わってきて、この90年代に入ってからずっと起こったというのは、日本型雇用慣行の変更だけではなくて、人事、資源管理の考え方が随分変わってきている。そこで入ってきたのがコンピテンシーという考え方です。目に見える形で能力をはかって、その目に見えるところで勝負しようと。この目に見えるところでこれが足りないのだったら、それを身につけるような訓練をしましょうというそういうコンピテンシー型の管理というのが産業界でかなり広がっています。
 このコンピテンシー型の管理から出てくる発想が実は社会人基礎力なのです。企業の中で言う、既にもう持っている目に見える形で能力をとらえるという考え方が、これが社会人基礎力という点で企業から大学に対して鍛えてほしいといって提供している能力の実は単位なのです。
 そういうことを背景に出てきている能力感であって、そのことに対して幾つかの大学はこたえようとしている。それは、こういう能力を身につけましょうと、勉強をしてコミュニケーション能力を高める教育というのを学科としてやるという話ではなくて、実はそれがゼミの中でどういう訓練をすればいいかとか、実際に本人に発表させる機会をふやすとか、プレゼンしなければならない機会をつくるとか、そういう大学教育の仕組みの中で、本来の教育力を高めることが実は産業界で要請しているコンピテンシーを高めることになる、こういう連関が見えてきています。
 幾つかの大学は、それに対して誠実にこたえるといいますか、その能力を高めるためのキャリア教育ではなくて、本来の家庭教育の中でそれをするというような仕組みが動いています。その能力感というのも非常に大事なことで、これをしっかりと伝えていって、産業界からもメッセージで伝えるし、それに対して大学の中でどんな力をつけるかということをちゃんと大学も、今シラバスというのを多くの大学でつくっていて、この事業では何をやりますと出しているのですが、そのシラバスの中でこの事業を通してどういう力を身につけさせますというようなことを提供していくべきだと思うし、それが少し始まっています。
 そういう関連は、実はほかの先進諸国の大学は、かなりそういう方向に動いているのです。ほかのアメリカにしろイギリスにしろ、ヨーロッパ系の大学のシラバスというのは、かなりコンピテンシー重視のシラバスになっているのです、既に。多くの日本と競争するような先進諸国の高等教育というのは、そういう産業界からの要請との対応の中で人材養成をする機関としての色合いをはっきりさせています。
 日本の高等教育のように各科目は先生が好きなことをやるというような授業の設定ではなく、こういう能力をつけるためにはどういう課程が必要かということをちゃんと大学として計画して、その中で先生がたまたま自分はこれが専門だからこれについてやりますではなくて、これをちゃんと事業計画にのっとって授業をするというような、こういう展開がかなり始まっているのですが、それがやっと今おくればせながら日本の中にもその芽が出てきたなという状態です。
 そういう意味で、内容の部分がすごく大事で、それによってどういう能力を身につけるかというのはすごく議論していかなければならないところで、ただきょうのお話のような統計には全くそれが出てこないので、今こんな動きがありますという情報提供だけです。
 それから、地方の問題というのは、私どもの商売はやっぱり独自にやる調査というのは、これは首都圏とか東京の若者というのが中心になっています。それ以外に全国統計で分析するという形で、就業構造基本調査という総務省の全国統計を再分析するようなこともしていまして、その中でアルバイト、パートさんの比率とか、ニートの比率とかというものも推計していますが、地方と都市の関係で言うとフリーター問題というのは当初都市問題でした。都市に圧倒的に多い状態がありました。それが、でも2002年の調査で、むしろ地方が追随してきたという、5年後ごとの調査でフリーターの比率なんかを調べますと97年段階までは都市集中型のフリーターだったのですけれども、2002年の調査では地方の比率が急激に上がりまして、ある意味では同じような追随型の状態が見えます。多分これは産業界が非典型雇用をどこでも多く雇うようになった、そういう背景があると思いますけれども。
 地方の問題は、比率で言うと追随型だろうというふうには言えます。ただ、一方では地方の問題というのは、やっぱり産業問題、先ほど最初におっしゃいました景気とか、そういうことの産業政策の方が重要な問題というのは結構大きいのだろうと。ここは、私の専門である雇用の問題からちょっと外れますので何とも言えませんが、まず産業が引っ張るというところのその産業政策の部分の、あるいはたまたまその地方に産業が根差していったかということがかなり分けているところがあるので、ここは雇用政策ではどうしようもない部分を抱えているのだなというふうに思いますけれども。
○平澄芳委員 貴重なお話をありがとうございました。私は1点だけ、お伺いをしたいと思いますけれども、私も団塊世代でありまして、来年あたりから大量に退職する年代が始まってくる、いわゆる2007年問題です。いろいろな指摘がされていまして、技術力の空洞化だとか、いろいろ指摘されているわけですが、堺屋太一さんは黄金の10年が始まるみたいな話、あれはしかし我々団塊世代にとっての黄金の10年で、若者の就職について言えば技術、能力のある若者と、そうでない者が二極化するのではないかという、たしかそんな書き方をしていたと思うのですけれども、我々の世代が大量に退職した場合に若者の就労形態というのですか、どういうふうな影響というか効果というのか、どういうふうな形になるのか、どういうふうに推測されておられるのか、ちょっと教えていただければと思います。
○小杉礼子参考人 やっぱり世の中で言われているとおりのことしか言えないのですけれども、ポストがあいてくるので、就職は楽になるところがあるだろう。でも、楽になるといっても、やっぱり能力のある者とない者といいますか、産業構造が必要とする人と必要としない人で分けられるので、低学歴で学校を離れて能力が十分に身につかなかった人たちのチャンスというのはやっぱりなかなかない、そういう二極化というのは起こるのではないかと思います。それを起こらなくするという政策は、でもあり得るだろうと。もうセーフティーネット、下支えをするかの政策だと思いますが、能力を身につけない限り高い賃金にはつながらないので、そうした機会をどう用意していくかだと思います。
 団塊の世代の引退という問題は、完全に引退するのかどうかだと思うのですけれども、黄金の10年、実は能力のまだまだある人たちがたくさんいて、その人たちを最大限に生かすような、そういう仕組みをつくっていくことが大事だというふうに思います。そこの個人にとって多分選択肢の多い、非常に年金ももらえるし、就業して収入も得られるし、ここまでの高齢者たちが一番恵まれたと言われますけれども、その人たちの能力を最大限生かし続けてもらえるという仕組みをやっぱりつくっていくべきだと思うのです。
 ポストがあくことによって若者がそこに入れるというよりは両方の、実はあいたポストがそのまま若者のポストになるとは限らないので、フルに働くのではなくて少し時間の短い形で社会に能力を還元する形で働いていただいて、徐々に若者に対して能力を移転するというような仕組み、そういう仕組みをつくっていくことが大事で、特に能力が比較的低くて、すぐそのままでは就業機会がない若者たちと、才能を持った年齢の高い人たちが一緒に働く場というのを用意していって、能力の移転を上手に図っていく。こういう政策、企業がほっておいてもやる、能力の高い人たちをうまく使うということではなくて、企業がほっておいたらやらないところを政策的に支えていく。
 それが今よく言われている地域雇用というような仕組みがあるのですが、御存じかと思いますけれども、経済原則とはちょっと離れたところで、地域の継続のために地域にとって必要な仕事をやっていくような仕組みですが、そういう仕組みの中で、引退過程にあって徐々に仕事の量を減らしたい年齢の高い人と、まだ能力が十分でなくて食べていくには十分ではないグループの人たちとの共同の仕事の場をつくって、能力の移転を図っていく、そういう政策が大事ではないかなと私は思っていますけれども。
○小野寺研一委員長 時間が押してまいりました。質問あるいは意見交換をこの辺で終了したいと、そのように思います。
 先生におかれましては、大変貴重な御講演まことにありがとうございました。これをもって本日の調査は終了をいたしたいと、そのように思います。小杉様、本当にきょうはお忙しいところありがとうございました。
 (参考人退室)
○小野寺研一委員長 次に1月に予定されております次の当委員会の調査事項についてでありますが、御意見はありますか。
 (「一任。」と呼ぶ者あり。)
○小野寺研一委員長 特に御意見がなければ、当職に一任をさせていただきたいと、そのように思います。
 なお、全国調査につきましては、さきに委員会において決定をいただいておりますが、11月13日から15日までの2泊3日の日程で実施をいたしたいと思いますので、皆さん御参加をいただきますようにお願いをいたします。詳細に関しましては、当職にお任せいただいて、後に御通知をいたします。
 それでは、以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。ありがとうございました。

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