防災対策特別委員会会議記録

防災対策特別委員会委員長 柳村 岩見
1 日時
  平成18年8月2日(水曜日)
  午前10時15分開会、午前11時48分散会
2 場所
  第2委員会室
3 出席委員
  柳村岩見委員長、野田武則副委員長、高橋賢輔委員、佐々木順一委員、
 木戸口英司委員、五日市王委員、佐々木俊夫委員、藤原泰次郎委員、平沼健委員、
 高橋比奈子委員、田村誠委員
4 欠席委員
  阿部敏雄委員
5 事務局職員
  佐々木担当書記、泉担当書記
6 説明のために出席した者
  岩手大学 工学部 建築環境工学科 教授 堺 茂樹氏
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
  住民との協働による津波対策と防災意識の向上について
9 議事の内容
○柳村岩見委員長 ただいまから、防災対策特別委員会を開会いたします。
 なお、阿部敏雄委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより、本日の会議を開きます。
 本日は、お手元に配付いたしております日程により会議を行います。
 これより住民との協働による津波対策と防災意識の向上について、調査を行います。
 調査の進め方でございますが、参考人の方に御講義をいただき、その後、意見交換を行いたいと思います。
 それでは、本日参考人として御出席をいただいております講師を御紹介申し上げます。
 岩手大学工学部建築環境工学科の堺茂樹教授でございます。
 堺先生の御経歴につきましては、お手元にお配りいたしておりますので、割愛させていただきます。
 それでは、堺先生、よろしくお願いいたします。
○堺茂樹参考人 ただいま御紹介していただきました岩手大学の堺でございます。よろしくお願いいたします。資料を結構たくさん持ってきましたので、順次スクリーンの上で少しずつお話をさせていただくことになりますけれども、私、実は津波そのものが専門ではなくて、海岸工学というのですけれども、波とかそういうところの専門でして、皆様御存じの首藤先生がずっと今まで岩手県の津波対策をやられていたのですけれども、めでたくといいますか退官されまして、地元の方というか出身の方に戻られましたので、その後少し引き継いで私がやらせていただいています。私もそれほどたくさんのことはしていないのですが、この二、三年、特にスマトラの地震の後、やはり岩手県でも津波対策に力を入れなければならないということで、我々の大学としての取り組みとか、あるいは県と一緒の事業等をやっておりますので、その紹介をさせていただこうと思います。
 きょう主にお話しさせていただこうと思っておりますのは、宮古市の鍬ケ崎地区で、特にあそこは津波対策が非常に弱い土地なものですから、住民がみずからどういうふうに考えてみずからの命を守っていくかということに関するワークショップを昨年行いましたので、それについてまずお話しさせていただこうと思います。その後2番目は、特に問題になります防災教育ですけれども、大人も教育しているのですが、若いうちからしっかりと教えた方が身につきますので、特に小中学校での津波防災教育についてどう考えていくか。昨年度教材を開発しましたので、その辺の話を2番目にしたいと思います。3つ目に、これもまた一番重要な自主防災組織です。その自助がいかに大切かということを住民の方に知っていただいて、その組織率をどんどん上げていくというのが行政としても必要なのかと思いますので、この辺のお話をさせていただこうと思います。
 順にお話ししますが、宮古の鍬ケ崎地区ですけれども、実は数年前に、平成11年から13年にかけて、閉伊川の治水高潮対策検討委員会というのを県の方で組織しまして種々検討しました。その委員会の目的でございますけれども、2番目に書いてありますように閉伊川河口部の治水高潮対策の具体的な検討、つまりどういう対策をするかということを決めたわけですけれども、その閉伊川河口部に水門を建設するということがこの委員会で決まりました。実はこの間いろいろな案が出ました。例えば湾口防波堤はどうだろうかとか、あるいは防潮堤をぐるっと巻いたらどうかというような案が出たのですけれども、一つには余り海の環境に影響を与えたくないというのが一番大きな理由ですけれども、そのほかに費用の問題もありますし、法律の問題もあります。結局一番短期間に施工できて、なおかつ非常に大きな有効な効果が出ると考えられるのが閉伊川の河口部に水門を置くということで、一応検討会としてはこれを結論といたしました。ところが、これは確かに閉伊川の河口部に水門ができますと宮古市の市街地は十分守られます。計算をしても全く守られるのですけれども、しかし、閉伊川の河口部よりも前にある鍬ケ崎ですね、これをどうするかということになります。これですと、本来であれば鍬ケ崎の地区の方は怒って当然なのですけれども、実はこの検討委員会の中での結論というのは鍬ケ崎が対象に入っておりません。これでは住民の合意は得られませんので、委員会としては鍬ケ崎地区については別途検討しますということで一応閉伊川の検討は終わりました。
 その別途検討というのは、実は一昨年から始まっておりますけれども、それが上に書いてありますように、ちょっと長いんですが、鍬ケ崎地区津波対策基本構想検討委員会というので平成16年から始まっております。御存じのように鍬ケ崎というのは非常に狭い土地ですので、一体ハード整備というのが本当にこの地区に適しているのだろうかということから始めております。具体的には防潮堤あるいは港口の水門とか湾口の防波堤、いろいろ考えられるのですけれども、果たしてこの地区にこういうハード整備というのが適当なのかどうかというあたりからスタートして、2番目のところにありますように、では、もしハードが十分整備できないような場合にはどういった対策が可能か。普通ソフト対策と言われていますけれども、そういうものとしてはどんなことがあるか。3番目、これが一番重要なのですけれども、先ほども言いましたように非常に狭い土地ですので、大がかりな防災施設をつくってしまうと逆に生活や生産ができないという矛盾したことになります。つまり防災施設をつくれば、その守るべきものがなくなってしまうということになります。ですから、そこで安全で、なおかつ活力のある地域づくりはどうしたらいいか、この3点についてまさに今検討している最中でございます。
 この委員会は私もメンバーになっているのですけれども、ある委員の発言がありまして、実は現在指定されている避難場所、避難路というのは、高齢者あるいはちょっと病気で体が弱っている方にとっては事実上無理です。つまり、とても歩いていけるようなところではありませんという発言がございました。もちろんこれは市の方でじっくり考えて避難路、避難場所というのは設定しているのですけれども、かといって本当にどのくらい時間がかかるかというところまではなかなかできないところがありますので、それでは、住民みずからが自分たちの避難計画を考えるということを、そういう場をつくってはどうかということがこの委員会の中でありました。ところがそういうことをする団体がございませんでしたので、私の大学の方にINSという、岩手ネットワークシステムといいますけれども、産、官、学、民、とにかくいろいろな人たちが連携して何かするという母体になるのですが、そこにたまたま津波防災研究会というのを立ち上げましたので、その研究会でこの鍬ケ崎の地区でワークショップをやってみようということになったわけです。
 リスクコミュニケーションという言葉がありますけれども、これはちょっと別のスライドで、皆さん当然御存じだとは思うのですけれども、最近いわゆるリスクコミュニケーションという言葉が大はやりでして、この場合津波を対象にしておりますので、津波災害に強い地域コミュニティーの形成というのが大きな目標のリスクコミュニケーションです。
 津波による人的被害を防ぐにはどうしたらいいのだろうかと考えると、これは非常に単純です。実はそんなに難しくなくて、津波がやってくるまでに多少時間がありますから、その多少の時間の中で避難さえすれば人的被害は防ぐことができるわけです。では、住民の方に何を考えてほしいかというと、結局は自主的な避難というものをいつも心がけてほしい。では、そういう心がけができるにはどうしたらいいかというと、まず津波に関する正しい知識がなければそういう気持ちにもならない。さらに間違った認識があります。例えばうちのまちは極めて安全だとか、あるいは極めて危険だとか、本当の姿をよく知っていないということがありますので、まず津波に関して正しい認識をするということと、地域の防災力の現状をきちんと認識する、この2つがあればおのずと自主的な避難という気持ちも出てくるのではないか。では、この2つに対して何が必要かというと、実は今までのように行政が住民に一方的に危険ですよという情報を流すのではなくて、行政、住民、我々大学との間、いろいろな人の間のリスクコミュニケーションを図ることによってこの2つが達成できるのではないかというのがこのリスクコミュニケーションの目的です。
 岩手県の場合を考えますと、とにかく岩手県の既往の津波では多くの被害を受けていまして、余りいい話ではありませんけれども、津波大国と言っても過言ではありません。さらに国の研究機関であります推進本部というところで津波あるいは地震が発生する確率をこの間発表しましたけれども、これは今後30年以内にマグニチュード7.5程度の地震が起きる可能性は99%だと。99%というのは、100と言えないのは、科学ですからあり得ないということはないので1%だけ引いて99%で、ほぼ間違いないということですね。ということで、30年以内というのは、実はきょうかもしれませんし、31年目かもしれませんが、ともかく確率としては30年ぐらいの間に起きるだろうと言われております。ということで、県の行政としては何をやっていらっしゃるかというと、基本的には、当然ですけれども、物的被害というのはなかなか皆無にはできませんが、少なくとも人的被害を極力少なくするということを県の方では前提に置きまして、住民みずからが避難する、いわゆる自助、これを第一の政策目標としておるわけです。実際には、下にア、イ、ウと書いてありますように、住民に危険性を知らせる、そのための予測図をつくる。あるいは自分たちで考えるように仕向けるといいますかね、そういう情報を提供するための防災マップをつくるとか、あるいはいろいろな情報をきめ細やかに提供しようというようなことをやっています。これはすべては何にかかってくるかというと、住民がみずから避難するという気持ちを持っていただくための施策です。ところが住民はどうかというと、これは2003年の十勝沖地震ですけれども、これは、地域を特定しないで言いますとある場所です。ある場所の沿岸のある場所でこの2003年のときにどうしましたかというふうなアンケート調査をしますと、自主避難しましたという人はわずか8.8%、ほとんどいないのですね。約80%の方が避難なんかしなかったというのが実情です。なおかつ、では避難した人はどうかというと、この8.8%の人がどういうときに避難したかというと、実はほとんどの方はテレビとか防災無線とかで要するに津波情報が流れてから、自分から判断したのではなくて、やっぱり人に言われて、つまり警報を聞いて避難したというのが半分以上で、ここにありますように、地震の強さがわかったらすぐ避難したというのは、まさにこの方は自分の判断で避難したわけですけれども、そういう方は逃げた方の中の4分の1しかおりません。ですから、やはり逃げた方が少ないですけれども、やはり情報を早く流さなければいけない。待っている人がほとんどだということです。その辺を考えながら、我々も災害情報というのを迅速に的確に流さなければいけないということが言えます。
 先ほど言いましたように、行政側としては住民の自主的な判断を求めています。ところが住民の方はどうかというと、やっぱり行政とはかなりずれがあります。これも県が実施したアンケートからわかることなのですけれども、これは全員とは言いませんが、住民の求めるもののほとんどはハード整備です。何か物をつくってくれ。ところが行政の現在の施策は、逆にハード整備よりも、よりもといいますか、それと並行してソフト面の整備を重視しております。ここがまず、ずれております。それから、これは住民の方に、非常に残念なことなのですが、津波に関する間違った認識がいまだに多く残っております。
 これは例ですけれども、例えば津波警報で30センチとか40センチとかという非常に小さく思われるような数字が出ます。この地区の津波の高さは30センチです、あるいは40センチですと言いますけれども、何となく30、40というのはこんなものですから大したことはないなというふうに思うかもしれませんが、これは日本海中部のときの十三湖のところの写真ですけれども、ちょうどここは人が逃げているところなのですが、実はここに来た津波は70センチで、それでここでは9名の方が亡くなっておりますので、70センチというのは実は相当大きな力を持っています。ですから、数十センチの津波というのは実は人間にとっては非常に大きな力だということがまだまだわかってもらえていません。
 それから次の例ですね。大体沿岸の方に、津波は押しから始まりますか、引きから始まりますかというと、ほとんどの方は引くと言いますね。これもほとんどの津波が引いてから始まるというのですけれども、実はそんなことはございませんでして、これも日本海中部地震ですけれども、静穏な港の様子を見ると船の影が映っていますから、これもほとんど港の中は動いていません。ところが突然外側から、港外から潮が来ていますから、実は引くこともなく津波が来ることもあり得ます。むしろ半々だと考えた方がいいです。ところが、私もこのときに津軽半島等に調査に行ったのですけれども、大体皆さん何をしたかというと、地震が起きた後すぐ海岸に貝を拾いに行ったというんですね。確かに潮が引きますので、今まで見えないような海底が見えてきていろいろな貝、魚がとれるということがあるのですけれども、それは実は非常に危険なことで、引かずに突然来るということもあります。まだよくわかってもらっていない。
 我々としては、この行政と住民の意識のずれをなるべく少なくしたい。それと、こういう誤った認識というものも少しずつ是正していきたいというようなことを手がけたいのですけれども、それに対してはリスク、つまりこの場合ですと津波の被害に対してお互いに理解が必要だということになります。
 これは概念図なのですけれども、左側が従来型のソフト対策なのですが、行政とか専門家が例えばハザードマップをつくったり、あるいは緊急時の心構えみたいなものを書いて、それを地域住民の方に配布している。いわば情報が一方通行ですので、住民の方は受け取ることは受け取るのですけれども、余り自分のこととして受け入れられないといいますか、ある意味、人ごとのようになっていて、実際に津波が発生しても住民は動かないというのが通常です。ところが右側の方は、なるべくそういうことがなくなるように、今までは住民に配っていたこのもの、これは何かわかりませんけれども、そのもの自体を行政がつくるのではなくて住民と一緒につくりましょうというのがこのリスクコミュニケーションの一番の大きな点です。ですから、行政も専門家ももちろん入りますけれども、地域の住民とか、あるいは地域のボランティア、それから自主防災組織、あるいは場合によってはその地域の企業とか町内会とか、ともかくだれでもこのまちに関与する人間はすべて集まってもらって、立場が変わりますと見方も当然変わりますので、その立場の違い、あるいは見方の違いも全部お互いにさらけ出して、それで、では、この地区の現在はどうしたらいいか、未来はどうしたらいいかという話を一つずつ決めていくというのが今の考えられているリスクコミュニケーションです。そうしますと、こういう自主的な防災組織の、あるいはボランティア活動のこういうお互いの情報の交換を通して、さらに自発的に動く可能性が出てきます。必ずしも動くわけではないのですけれども、そういう可能性が出てくるということで、できれば、実は左側の方が非常に行政としては、やりやすいわけです。自分たちがつくってそれを配るというのが一番楽なのですけれども、そうではなくて、一つここで住民と一緒に考えていくという、ワンクッションを置くことによってぐんと変わってくるのではないかというふうに思われております。
 さっきも言いましたけれども、津波は避難さえすれば防げます。地震から逃れることはできないのですけれども、津波からは避難すれば大丈夫です。そういうことで、自主避難というものをなるべくわかってもらう。そのためには何が必要かというと、まず防災教育だと。それから、これは子供ですけれども、今度は大人に対しては避難意識を啓発していく。今度は少し皆さんの意識が高まったら自主防災組織づくりを積極的に行政としても推進するという、この3つの柱が必要ではないか。この3つがお互いに関連し合って地域防災力というものが向上する。そういうことがうまくいけば津波災害に強いまちづくりができるだろうというのがリスクコミュニケーションの概略です。
 先ほどもお話ししましたように、鍬ケ崎で実際に津波避難計画を住民の皆さんが考えるというワークショップを開催したわけです。これは現地ですけれども、先ほど言いましたように、海と背後の急傾斜地に囲まれておりますので、なかなか防災施設をつくるというのは難しいのが現状です。ただ、かといって何もしないというのは非常に危険です。この地区は正直申し上げて岩手県の中でも最も危険な地区の一つと言っていいと思います。ただ、皆さんそこを我慢してけなげに生活しているのですけれども、何とか早くここには対策が必要だと思います。
 先ほど言いましたように結局は住居を移転せざるを得ないところが出てきますので、果たしてそれが本当にこの地区にとっていいのかどうかということがあります。それから長い防潮堤をつくってしまいますと、結局住宅と生産の場というのが完全に隔離されてしまいますので、果たしてそういうところが日常としてはどうなのだろうか。もちろん災害というのは非日常ですから、そのときに守るというのはわかるのですけれども、それが何百年に一回ぐらいの話なのに毎日の生活を本当にそこまで犠牲にした方がいいのかどうか、ここは我々が考えるというより住民の方が判断することだと思いますので、そこも重要な問題だと思います。
 今までは、さっきも言いましたように情報が一方的ですから、津波の怖さを認識してもらったとしてもなかなかみずから行動しようという意識にまでは至らないのですね。知識は入るのですけれども、まだ手足が動かない。その手足を動かしてもらうためには、実際にワークショップの中で自分たちの手足を動かしてもらうと、その延長上で突発のときにも動いてくれるのではないかということでワークショップをやるわけですけれども、どういうことがあったかというのを少しずつ見てきたわけです。実際にやったのは、ワークショップの概要ですけれども、平成17年5月、8月、9月、今まで一応3回やりまして、その後も少し、今度はワークショップではなくて動くワークショップをやりました。対象は、あそこに町内会がたくさんあるのですけれども、一応日立浜町内会と角力浜町内会の大体25名から30名ぐらいの方を対象にしてワークショップを行う。これはこの地区の消防団の控室みたいなところですけれども、まず1回目は何をやったかというと、実際に避難するときに本当に逃げられるような避難路なのかどうかということで、避難路の現状理解と実際に今ある避難路の問題を把握しようということが1回目です。2回目は、では、そういうものの現状を踏まえた上で自分たちがどうやったら一番安全にかつ迅速に避難できるかという避難対策案を検討しましょう。最後に、実際に、ではどうします。例えばお年寄りはこういうふうに運びます、私は何をしますというような行動計画をつくりましょうというのが大きな流れです。
 1回目は、まず津波に関する講演を先ほど言いました首藤先生にお願いしましてお話ししていただきました。約1時間ぐらいお話ししていただきまして、いろいろなことをお話ししていただいたのですけれども、結局はこの地区で一番大きかった津波というのが明治の三陸津波ですので、そのときに生死を分けたのは何なのかというようなお話とか、それからほかの地域ではどんなことをやっているという事例紹介をしていただきました。その後に、後でこれはお見せしたいと思いますけれども、我々の大学の方でつくっている津波アニメーションを見ていただきまして、あなたたちの住んでいるこの家はこうなりますよというのを少し、ちょっと細か過ぎて余り実は、後でお話ししますけれども、問題あるのですけれども、非常にリアルなアニメーションができましたので、それを見ていただきました。その後浸水予測図の把握ということで、これは県の方でどの範囲まで浸水しますという地図がありますので、それを自分たちの白い何も書いていない地図の上に書いていただきますと自分の家が見えますので、どこからどこまでが浸水するのだということを実際にやってもらいます。例えばこの部分が浸水するという範囲なのですけれども、これ実は写真とか赤い線は後で出てきますので、とりあえず今水色のところは浸水予測図ですので、川とかも全部、これは都市計画図ですので、本当にリアルにここまで来るのだということがわかります。
 次に、そこまで浸水するのであればどこが避難場所として適当か、あるいは避難路はどこがいいかということをやっていく。これはさっき言いましたように赤いのが一時避難所で、要するにどこに避難するかというのは、この赤い線が避難のルートです。今までは全部地図の上ですから、例えば地図の上でここまで水が来る。だからここを通ってこういうふうに行けばいいというのを頭の中で考えたわけです。ところが、それで本当に行けるかどうかというのを各地域に分かれて実際に歩いてみましょうというので歩いてもらいました。これが一番重要で、実は地図の上では幾らでも楽そうに行けるのですけれども、例えば、左側にありますけれども、山道があって避難路になっているのですけれども、そこに斜めに電線の支線が張っていて実際に人が通れないとか、道はあるのですけれども電線によって通行どめになっている。私有地なものですから現在は使ってはいけないのですけれども、ここに非常にいい適地があるのに、それが私有地のために避難所となっていないとか、いろいろな問題が出てきます。あるいは草がぼうぼうで避難路としては使えないとか、実際には夜だと何も見えないとか、いろいろなことが見えてきます。そういうような問題点を最後に全部まとめて地図の上に書きます。
 これはさっき言いましたアニメーションなんですけれども、これは後で違う話のときに出てきますけれども、これは絵は動きませんけれども、ここにルートが幾つかあるのですけれども、例えばアニメーションをやりますと、どこの道路が一番最初に水がつかるかとか見えてきますので、そういうことにもこのアニメーションを利用してやっています。これは後でお見せします。
 最後に、さっきも言いましたように、まず地図上でルートを確認して実際に歩いてみて、それで歩いてみてわかった問題点をまとめて最後にこのような絵にしてあります。そうすると、これは各地区に分かれますので、各班ごとに私たちが歩いてみて問題がどうありますということを発表してもらいます。発表してもらうと、意外とお互いに気がつかなかったことに気がつきますので、発表するというのは非常にいいことだと思います。自分たちだけでやっていると気がつかないことがお互いにグループで話し合っているうちになるほどという部分が出てきますので、その効果もあります。例えば左側のように勾配が急でとてもお年寄りには無理だとか、あるいはこれがルートなのですけれども、とても草が生えてどこを通ったらいいかわからない。これは夏ですけれども、今度雪が降った場合にはこんながけのところを行けるだろうかとか、いろいろな問題が出てきます。そういうのを一つずつまとめていって、例えばこのあたりは非常に急傾斜地なものですから後ろの方に家の擁壁があって、あれがなければ逃げられるのですけれども、壁があるために逆に逃げられないということで、いろいろな問題があります。これもそうですね。これは避難路なのですけれども、どこが避難路なのかわからない。ですから、整備といいますかね、避難路自体はあるのですけれども、それが本当にいざというときに使えるというのがなかなかないというのが住民の方みずからがだんだんわかってきてくれるわけです。
 2回目のワークショップでは、今度はでは実際にどうしたらいいか対策を考えましょうということで、先ほどのような整理をしたものを、もう一回何をどうしようかという順位をつけます。例えば、あれもこれもというと何も進みませんので、まず何をしようということで優先順位をつける。例えば、具体的には緊急にやらなければいけないか、緊急というのは今すぐという意味です。短期的というのは数年の間にやった方がいい。もうちょっと時間がかかるだろうから、中、長期的にやる。この3つに分けまして、今すぐ、それからなるべく早く、ちょっと時間をかける、この3つに優先順位を決めます。さらにだれがやるかを決めます。これは後で出てきますけれども、非常におもしろいです。緊急に、短期的に、中、長期的にとあって、この横が時間です。縦がだれがなのです。そうすると、一番上はみずから、その次が協働で、その次が行政になるのですけれども、ワークショップをやった直後はほとんど全部下にあります。何でもかんでも行政にお願いです。草刈りの果てまで行政なのですね。ここでは一応草刈りは自らと書いていますけれども、自分でやるのは草刈りぐらいなのですね。あとは協働でもほとんどは町内会がやるとか、スピーカーを増設してほしいとか行政にお願いをする。下の方は全部行政にお願いなのですね。こういうことを住民の方は初めは何か知らないけれども行政に頼むのですね。だけど草刈りは自分でできるのではないですかという話になってくると、ようやっと、これは3回目になってようやっと意識が変わります。とりあえず2回目で好き放題と言ったらあれですけれども、ともかく今考えているのはだれがやるかというのをさっきの表に出してもらいます。そうすると皆さん、さっきも言いましたようにグループごとに入ります。そうすると、いかに自分というのがなくてみんなを頼っているかというのがよくわかります。人のところを見ると、ああ、あそこそうだなとわかりますので、そうすると自分のところも振り返ると、ああ、自分たちもそうだということがわかって、今度は3回目のときには本当に行政に頼むのかということを具体的に検討します。そうしますと、変わります。例えばこれは、さっきまでここのところは行政と書いていたのですけれども、例えば危険の周知というのは実は行政に頼むではなくて自分たちで、自分たちの防災マップをつくって配った方がよっぽど早い、それによっぽど詳しい情報が流せるということで、変わります。もちろん草刈りはそうなのですけれども、今度は行政に対する要求というのが、2回目までは非常に漠然としていました。何となくお願い。今度は3回目になると、ようやっと具体的になります。スピーカーを1基つけてくれとか、要するに具体的な要求に変わります。そうすると予算要求も小さくなります。ですから、ようやっと3回目ぐらいになると、自分たちでできることは自分でやるけれどもできないことは具体的に要求するというふうになります。これが多分一番いいことだと思います。なるべくそういうふうになるように我々もワークショップに言っているのですけれども、そういうことで、住民との話し合い、これは住民と私たちの話し合いではなくて、住民とその他全部、行政も入ってですけれども、要するにみんな入って話をしていくうちにだんだんと住民の方もやれることはやる。だけど、やれないことはあるのだからやれないことは行政に頼む。それも具体的に要求が出てくるというふうになってきます。
 こういうふうになると自分たちでやろうという気になるのではないかなと思って期待しておりましたら、幸いにもここの町内会では3回のワークショップを終わって、それで自分たちが何をやると決めたら実は本当にやってしまったのです。まずこの道、ちょっとわかりづらいのですけれども、これは本当は何もないところだったのですが、そこを草を刈って少し平らにして、なおかつ、お年寄りが多いので手すりが必要だろうということで、木を打ってずっとロープを張って、自分たちで自分たちの避難路をつくったのですね。ただし、そこで問題というか大事なことなのですけれども、これは実はお金がかかります。幾ら労力は自分たちでやったとしても、実はうちの学生もいっぱい行ったのですけれども、労力はだれかが提供したとしてもやっぱりこういうのはお金がかかるのですね。お金がやっぱりなかなか出にくい。そこで、これは非常に私としてもいいことだと思っているのですけれども、下に書いてありますように、地域活性化調整費を宮古振興局の方につけていただきました。金額は、実はそんなものかと思うぐらい少ないのですけれども、ただ、少なくともあるかないかでえらい違います。ここの地域の人たちは、約100万円なのですけれども、100万円とにかく何に使うか考えてくださいと。それが地域活性化につながると思ったら使えますよということで随分こちらから提案したら、地域の人たちもいろいろ考えて、とりあえずまず念のために避難路をつくろうということで動いてくれました。ここで動いていただいて、ここもまた非常にアイデアがあって、大体さっきのように草ぼうぼうになってしまいます、避難路は。そこで、今のできた避難路沿いに花壇をつくれば花壇の手入れには必ず行くわけですから、そうすると常に人が通って雑草は生えないということで、今コスモスとかいろいろ植えて、見た目もきれいだし、そこを人が歩くから自然にいつも雑草が生えない道路になっているというようなことで、非常に成功した事例だと思います。
 さらに、今度はとりあえずやってみようということで避難訓練をやったのですね。これはいつだったですか、6月10日、寒かったのですけれども、たしか6時ぐらいにサイレンが鳴って、それで津波ですということで皆さん出てきてやったのですけれども、お一人のために実はこれ5人必要でした。結構あそこは急ですので、この方がリヤカーを引っ張って、両わきをロープで2人が引っ張って、それで後ろで2人、ですから1人のお年寄りのために5人必要です。物すごく大変です。ですから、これは実は普通の市場で使うこういうリヤカーなのですけれども、これではとても無理です。こういうのは実はアルミの軽いのがあるのですね。そういうものを、さっきちらっと出てきましたけれども、ああいう経費で、ちょっとしたお金で行政としてもできれば大分楽になると思うのですね。こういうところは高齢化が進みますからお年寄りが1人のわけはないので、最低でもやっぱり人数分ぐらいあればもう一回やってみようかということで気持ちもどんどん上がっていくと思います。
 これは、さっきも言いましたけれども、まとめてみますと、行政に対する要望ばかりだったのですけれども、だんだんと自分たちでできることは自分たちでという意見がふえてきて、ただし行政に対する要望ははっきりする。実際に避難路の整備、訓練までやった。
 これは、下の方が大事なのですけれども、鍬ケ崎が何でワークショップが成功したかと考えると、まず一番大きいのは、しつこく勉強会とかやりました。それが一つ、さっきも言いましたけれども、津波に関して正しい認識を持ってもらうというのが大きいことです。ですから、まず知識がないとだめだ。2番目は、これは幸いだったのですけれども、県の宮古振興局の方も非常に積極的に参加していただきましたし、宮古市さんからも何人か来ていただいた。行政がともかく積極的にかかわってくれた。ただし、こういうリスクコミュニケーションの場合は、県の職員のだれだれですという立場ではなくて、県には勤めていますけれども単なる一般市民といいますか、一般住民として参加します。ただし普通の住民と違うのは何かというと、行政の知識を持っているということですね。ですから、そういうのが大事。それからボランティア、これは幾つかのボランティアがあったのですけれども、あるボランティアも非常に積極的に参加してくれました。我々も初めてだったので、結構一生懸命やりました。これが大きいことです。つまりたくさんのいろいろな種類の人間が参加したということも大きいことです。ただし一番大きかったのは3番目です。地域にリーダーがいるかいないかなのですね。この場合は町内会長さんお二人が非常に熱心でした。ですから、そういう地域のリーダーがいればこういうワークショップもさっき言いましたように勉強会から始まって実際に避難訓練までいけるのですけれども、やっぱりリーダーがいないとなかなかこういうふうにうまくはいかないと思います。ですから、逆に言うと自主防災組織を育てるのであればリーダーを育てるということを考えておいた方がいいと思います。
 ただし悲しいことも結構ありました。悲しいというのは、何回も講演とかするのですけれども、実は余り覚えていてくれないというか認識が変わらないこともあります。ですから何回もやらなければいけないということなのですけれども、津波に関する講演をやって、津波に対しての意識が高まりましたかと聞くとほとんどの人は高まりましたと言います。ワークショップに参加した人については、ワークショップに参加すると意識が高まるとみんな言います。ところが残念なのは、どんなものが意識を高めるために必要だったかということで、やったことは大体みんな4分の1ぐらいずつよかったというだけなのですけれども、これが例えば地震の揺れが大きいと津波も大きくなると思いますか、つまり震度と津波が比例するかと聞いているのですけれども、正解は、比例する場合も多いがそうでない場合もある、これが正しいのですけれども、こういうふうにやっぱりまだ比例すると思っていらっしゃるのですね。つまり揺れが弱いと津波なんか来ないというふうに思ってしまう人がまだまだいらっしゃる。これは一般的にそうなのですけれども、ワークショップに参加した人たちにも相変わらずいるのですよね。ですから、一生懸命そういう話をするのですけれども、かといって全部が全部覚えていてはくれないということもあります。引きから始まりますか、押しから始まりますかと聞くと、必ず引きから始まると言う人がこんなにいるのですけれども、これは全体です。ところが、ワークショップに参加してそうではないよと一生懸命言っているのですけれども、やっぱり終わった後聞くと同じぐらいの比率なのですね。ですから、これはしようがないことだと思うのです。何回も何回も繰り返してそういうことを啓蒙していかないとなかなか身につかないということですから、1回ぐらいのワークショップではだめだということなのでしょうけれども、要するに継続的な教育が必要だということが言えると思います。
 先ほどまでは大人の教育と言ったら変ですが、大人を対象にしていたのですが、今度は子供、小中学校での津波防災教育を手がけようということで、学校と言っていますが結局は小中学校が重要だと思いますので、津波防災教育の必要性ということを考えると、これは余りうれしくない話ですが、日本海中部地震での悲劇を思い出さないといけない。何かというと、皆さん御存じだと思いますけれども、合川南小学校という秋田県の内陸の小学校がたまたまこの日バスで遠足に行っていたわけです。皆さん経験あると思いますけれども、大きなバスに乗っていると地震って余り感じないのですね。ですから、引率の先生もこの漁港に着いたとき、途中で確かに地震があったのは気がついておられたとは思うんですが、そんな大したものだとは思っていない。そこでちょうどお昼ごろだったので、おりてお弁当を開こうかと思ったら突然津波がやってきて13人の子供が亡くなってしまったという本当に悲しい事件で、もっと悲しいのは、実はこれは訴訟になってしまいました。この後遺族と先生が訴訟で裁判で戦わなければならないということになってしまって、これもそもそも悲劇なのです。何で訴訟になってしまったかというと、実は校長先生が、これはちょっと不注意だったとは思うのですけれども、記者会見等で記者の方が何でこんな危険なことになったのだろうと言ったときに、山合いの小学校なので津波のことについては余りよくわからなかったということをぽろっと言ってしまったのですね。本音だったとは思うのですけれども、しかし教育者として知らなかったでは許されないだろうということで非常に問題になりました。というのは、やはりこういうことを考えれば、山合いの先生だろうが海沿いの先生だろうが、やはり引率するには責任を持たなければいけないということになると、津波ということも一応先生方に知ってもらわなければいけない。これがやはり小中学校での防災教育の必要な理由。つまり先生にもわかってもらわなければいけない、もちろん子供にもわかってもらわなければならない。この両者に津波についてしっかりと勉強してもらわなければならないということになるのです。
 実は県の方も何もしていないわけではなくて、岩手県の教育委員会で何をやっているかというと、ここに書いていますように防災教育、災害時の心の健康に関する研修会というのを年に1回やっております。実は私も昨年からこれの講師をさせていただいているのですけれども、実はその都度その場をかりて参加者にアンケートをとっています。何を聞いているかというと、学校教育の一環として津波防災教育をどんなことをやっていますかと聞くと、残念ながら学校行事としての避難訓練という以外は何もほとんどやっていないのが実情です。これは内陸の学校も入っていますので当然といえば当然なのですけれども、沿岸のところの学校も必ずしも100%何かやっているというわけではありません。例えば特に総合学習なんかでやるのかなと思っていましたら、残念ながら総合学習でやっているというところはほとんどなくて、むしろ何かしらの時間を見つけてやっているという感じなそうです。
 小、中、高なのですけれども、先生にお聞きすると、津波に関する防災教育は十分でしょうかと聞くと、ほとんど不十分だと。不十分なのですけれども、では、何で不十分なのでしょうかと聞くと、一番多いのが先生自体が知識がそんなにない、わからない、教えるほどわからないというのが一番多いです。それからカリキュラム、時間割がぎゅうぎゅう詰めでそれを教える時間がありませんというのが2番目です。3つ目が、実は教えようと思っても教材がありませんというのが出てきます。あとはちょっとずつあります。ですからここで言えることは、先生方が勉強して、なおかつ先生が使えるような教材があって、なおかつ校長先生がそういう時間をとってくれればできるというふうに答えているのと同じことですので、では、その3つを我々としてはお手伝いしましょうというふうに考えたわけです。
 なおかつ、どういう形態で津波防災教育をやったらいいでしょうかというと、やはり学校独自でやった方がいいと思う先生はいらっしゃらなくて、地域と一緒にやっていかなければだめだという認識でした。例えばPTAとか、あるいは消防団、消防署あるいは市町村の自治体。学校独自でというよりは、やはり学校と行政とか、そういうふうに何かの組み合わせでやっていった方がいいだろうと思っているのがほとんどの先生です。最後に、では我々大学としてはどんなお手伝いができますかと聞いたら、さっき3つ言いましたけれども、まさにそのとおりでして、講演あるいは出前講義をやってほしい、それと教材を提供してほしい、この2つです。時間をつくってくれとはだれも言いませんが、いずれ大学に求めるのはこの2つだということがわかりましたので、我々としては、まとめますと、学校での十分でない理由というのは、教師の知識が余りない、教材がない、時間がとれない。大学では勉強会を開催したり、あるいは教材を提供すればいいということですので、それではこの2つについてやろうかなというふうに思っておりましたら、総合防災室の方で教材をつくったらどうかというお話がありました。初めはびっくりしました。普通総合防災室というのはそういうことをするところではないですよね。なかなか総合防災室の方で学校の教材は、むしろ教育委員会から話が来るならわかりますけれども、防災室でつくるのですかといったら、防災室というのは総合的に防災するのであって、子供のうちから教育することがそもそも始まりだろうという話で、確かにそうだと思いまして、おもしろそうだと言ったらちょっと言葉は変ですけれども、そういう観点から、つまり我々はハード屋ですので、ハード屋の観点から教科書といいますか、そういう教材をつくるというのはおもしろいかなと思いまして引き受けて、去年1年かけてつくりました。
 実際には教材を開発するということと、それをいかに先生方に普及するかというのを約1年かけてやったのですけれども、どんなものができたかは後でお見せしますが、ここで一番大事なことは、要するにこれを使う現場は小中学校ですので、小中学校の現場の先生と連携しないと何の意味もないので、まず先生方と連携する必要があります。そこでいろいろな可能性はあったのですけれども、先ほども言いましたように宮古の鍬ケ崎は非常に大変な地区ですので、この際だから教材づくりも宮古と一緒になってやろうかということで、宮古市の教育委員会にお願いしました。中屋さんが非常に熱心な方でしたので、ぜひ一緒にやりましょうということで検討委員会を設置しました。これはちょっと広い意味で津波防災教育はどうあるべきかという検討です。ですから実際こういうものをつくった方がいいとかそういうのではなくて、例えばさっきの中で言いますと、津波防災の教育を学校教育の中の全体のどこに位置づけるか、そういうようなある意味ではシステムの話ですけれども、それについての委員会をつくって、ただしここではどちらかというと校長先生とか偉い先生ですので、実際に動いてもらうためにはもっと若いワーキンググループの先生をお願いしまして、実際には10名ぐらいの先生と一緒に教材をつくりました。ワーキンググループに参加していただいた先生は当然一緒にやっていますのでだんだんわかっていただけるのですけれども、それでない方、つまり参加していない先生が突然この資料を見てもわからないので、何か講習会が必要だろうということで講習会をしました。その後に何人かのワーキンググループの先生の学校にお願いしまして、その教材をつかったモデル授業をやっていただきました。実際にやってみますと、ああ、ここはちょっと直した方がいいとかいろいろ出てきますので、モデル授業をして、最後にそういう反省点を含めて教材を完成させたというのがこの1年間の流れです。
 この教材の特徴ですけれども、実はDVDが2枚入っていますが、資料集みたいなものです。ストーリーが余りありません。普通副読本というと1ページ目から最後までずっといくのですけれども、資料集みたいなものですからストーリーがない。何でストーリーをつくらなかったかというと、場所によって教えていることが違うはずなのですね。ですから、ちょっと海から離れたところと海に面しているところの学校では話が違うので、それは先生が自分の学校の特徴に合わせてつくってくださいと。さらに1年生から中学校3年生までというと学力がこんなに違いますので、それを一つのものにつくってもしようがないので、子供の理解力に合わせた内容を選べるようにしよう。そうすると、地域、それから子供の理解、これに合わせて先生がストーリーをつくって子供に教える、これが一番よかろうということで、そういうのを特徴として持たせました。もう一つ、先生からはよくわからないというのが必ず意見としてありますので、資料にはすべて解説をつけました。例えばこのアニメーションはこういうことを映していて、こういうことを述べています、こういうことを示していますよというようなことを資料に解説をつけました。そうしますと、子供に教える前にその解説を読んでいただくと、先生も自分で勉強できるだろうと思います。3番目には、できるだけ動画とかビデオ画像をたくさん使って、子供が見て、ああ、おもしろいなと思うようにつくりました。この3つが大きな特徴です。
 実際にこの教材を既に使っていただいたのは、宮古市高浜小学校とそれから鍬ケ崎小学校ですけれども、これはモデル授業として実施してもらいました。それから今花輪小学校で既に今年度に入ってから実施していただいていますし、その他の学校でも新たに実施していただく予定なのですけれども、なるべくこれを使っていただいて、我々の方にこういう問題があるよとか、もうちょっとここに工夫をするともっといいよというようなことを言っていただければバージョンアップができるのではないかというふうに思っています。
 ただ、できたと言って喜んでばかりもいられなくて、やっぱりいろいろ問題があります。というのは、特に大きいのは2つですけれども、宮古市教育委員会と連携しましたので、当然の話ですけれども、正直なところやっぱり宮古市に関連する資料が多いです。だけれども、例えばもうちょっと北の久慈の方とか、あるいは釜石の方でそれを使おうと思ったら、もうちょっとその地域に密接した資料が欲しいなと多分先生は思われると思います。そういう意味では、地域特有な資料というのを追加していった方がいいのではないかなというふうに考えております。それから、これは2番目に大きいのですけれども、DVDが学校の先生の方に回っても使い方がなかなかわからない。であれば、やはりそういう先生方が実際に使えるようになるための講習会というのも必要ではないかということも考えております。もし要望があれば我々も行こうと思っております。
 でき上がった教材はちょっと後にすることにしまして、もう時間も時間ですので、自主防災組織の強化についてですけれども、自主防災組織がなぜ必要かというのは言うまでもないのですけれども、これはよく使われる例ですが、阪神・淡路大震災のときの教訓として、これはよく御覧になると思いますが、要するに救出された実績表です。上の長いのが住民によって救出された方です。約1万5,000人ぐらいですね。この色分けなのですが、黒い方が残念ながら救出されたのですけれども亡くなった方、点々の方が生存です。ですから、住民によって救出された方のほとんどが生きていらっしゃる。もちろん亡くなった方もいますけれども、ほとんどが生きていらっしゃる。次が消防レスキュー隊です。これは別に消防隊がサボっていたと言いたいのではなくて、消防隊が来れないわけですね。道路も寸断されていますし、すべてがめちゃくちゃですから、そこに助けに行こうと思ってもなかなか行けない。ようやっと行ったとしてもせいぜい2,000人ぐらいの方しか救出できなかったし、さらに残念なことにほとんどが手おくれ、半分が手おくれだった。次の、自衛隊の方は知事からの要請がないと出られませんのでかなり遅くだったのですけれども、それでも自衛隊の方も参加された。しかし、これももっと後だったものですから、残念ながら救出されたのはほとんど死亡した方だったと。何が大事かというと、やっぱりお互いに助け合わなかったらこの人たちは助からなかったということですから、いかに自助、つまり自主防災組織が大事かというのがこれで悲しいですけれどもある意味では実証されたようなものです。そういう意味で、阪神・淡路大震災以降、行政も住民もやっぱり自助、共助、これが大事だと。もちろん公助、行政の力は大切なのですけれども、いざというときには実は当てにならないことが多い。当てにならないというのは決して非難しているわけではないのです。やろうと思ってもできないという意味で当てにならないということです。
 これもよく言われますけれども、17日というのは地震の1月17日のことですが、白い丸が生存して助かった人、黒い方が救出されたのですけれども亡くなった方と考えますと、17日、つまり24時間以内であれば生存者が500人でやっぱり5倍ぐらい生存者の方が多い。24時間から3日たちました72時間以内だとまだ生存者がいらっしゃる。ところが72時間以降、つまり4日目に入ってしまうと急激に生存される方が少なくて、どんどん救出される方が少なくなって、ほとんど生存者がいなくなる。つまり72時間以内というのが生死を分ける。特に24時間以内では生存者が多いのですけれども、72時間までは間に合うということを考えれば、要するに一刻を争うわけですね。そういうことを考えるとなるべく自主防災組織が必要だと。特に淡路島のあたりですとかなりの救出率があって、なおかつ生存で救出されているのですけれども、それはやっぱり、いいことかどうかわかりませんけれども、お互いに家の中身まで知っているという部分がありますね。例えばひとり暮らしのおばあちゃんがいて、このおばあちゃんはこの部屋で寝ている。この部屋で寝ているはずだからここを捜そうというと確かにいたとか、そういうことではかなり詳しい情報を持っている人が助けてあげています。ただ、現在そこまで干渉していいかどうかというとプライバシーの問題がありますのでそこは難しいのですけれども、生き死にの話でいうとそこまで知っていた方が助かる率は高いということ。だから田舎に行けばそういうことはあり得るのかなという気がします。
 ということで、自主防災組織を強化するのは大事だということはわかるのですけれども、ここで問題なのは、現在の自主防災組織率というのは何を反映しているかというとよくわかりません。例えば今県の施策としては確かに自主防災組織率を上げようとしているのですけれども、組織率というのは実は町内会単位で計算するのですけれども、町内会の規約に「防災に努める」と書いていればもうそれで組織されたという認識なのですね。ですから、それが80%あるとか70%あっても何の効果があるのかよくわからない。むしろ自主防災組織の真の実力は幾らなのかということを我々は考える必要があるだろうということで、これも実は総合防災室からの委託なのですけれども、今年度この2つのことをやろうとしています。というのは、まず市町村に対してそういう自主防災組織が育成されるためにどんな役割を担うことができるか。つまり市町村がどういうふうに手助けをできるかということをアンケート調査をしました。その上で、次に町内会単位--これは物すごい何千、何万になってしまうのですけれども--に対して、まずここにありますように自主防災組織としての実力はどんなものがあるかということを、どのくらいのものかということを把握しようと思っています。どういう項目になるかというのは今検討しているのですけれども、とりあえず岩手県の自主防災組織というものの現状を把握して、もし足りないのであれば、実は私は余り足りないような気がしないのですが、いろいろなところに行くと、消防団、水防団とかか随分活躍しているので、岩手県の自主防災組織は100%と言ってもいいのではないかと思うぐらいに皆さんやっていらっしゃるので、今の組織率というものではなくて、岩手県が考える自主防災組織の実力分布というのをここで考えようと。それがもし足りないところがあるとすれば、地域によって足りない、あるいはある災害に対して弱いということになれば、それをどうやって強化するかということを具体的に考えていこうというような仕事をことし1年していこうかなと思っております。
 そういうことをやろうとしていますけれども、実は岩手大学も今は法人になりましたので多少宣伝しないと大学の方からしかられてしまいますので一言だけ宣伝させていただきますと、先ほど言いましたように、岩手ネットワークシステムというところに約30ぐらいの研究部がありまして、これはいろいろな分野で産、学、官、民といろいろな方が集まって本当にいろいろなことをやっています。宇宙開発とかもやっていますので、本当にいろいろな研究があります。我々は津波防災研究会というので発足しましてから何をやったかというと鍬ケ崎でのワークショップ、それから教材。2つ目に地域防災研究センターというものをつくってはどうかというのを今大学の中で考えております。これは何かといいますと、これは役割なのですけれども、一番大きいのは3番目にありますように防災関連情報の集約化とありますが、実はいろいろな情報、災害に限らないです、いろいろな情報を国、県、市町村みんなばらばらにとっているのですね。みんなばらばらにとってお互いの情報交換って意外と少ないのです。ですから、ある意味では宝の持ち腐れ状態というところもあります、正直なところ。ですから、そこを一元化して、すべてのデータはここに来る。それを逆にすべてに発信するというような情報の集約化という機能が必要なのだと思います。そうしますといろいろな意味での予報、予防になると思います。そういうことをやれるのがセンターかなと。ただ、それだけやっていると大学としてのあれがありますので、まず自然災害となり得るような現象を解明しよう。つまり普通の研究ですね。今度は、それに岩手県独自の自然災害というのがありますから、それに対するハード、ソフトの対策を少しずつ考えていこう。さっき言いましたように、これの情報の一元管理をしようと。さらに、その情報を得られて何かわかったことは、例えば防災意識の啓発になるように我々が地域へ発信しよう。それから、これは非常に大事なのですけれども、津波に関しては岩手県は先進国です。つまり被害も大きいのですけれども、対策も岩手県以上に進んでいるところはありません。世界で一番対策が進んでいます。という意味では、防災後進国、特に東南アジアの方々がしょっちゅう岩手県に来られて調査していきます。そういう意味では、これから視察に来るだけではなくて留学生とか技術者も岩手の方に呼んで、それで自分たちの国の防災を考えていくための教育施設というか教育システムというものをつくっていったらどうか。岩手県が世界に発信する一つの分野だと思います。そういうことで地震とか地盤災害あるいは水災害とか、あるいは防災システムの、つまりさっき言いましたように情報を発信するとか集中するとか、そういうものでつくったらどうかなというふうに考えております。これは大学の中で考えているとどうしても偏ってしまいますので、もし後で時間があればもうちょっとこういうふうにした方が県にとっては役に立つというお話があればぜひお願いしたいと思います。
 一応お話のポイントなのですけれども、先ほどの教材を一応見ていただこうかなと思いますが、ただ教材は全部見ていくと非常に長いので、先ほど言いましたように教材は資料集的な色合いが強いのですけれども、かといって資料集だけだと先生方は何をやっていいかわからないと思いますので、そのモデルケースをつくってあります。例えば小学校1年生用だったらこんなのがありますよ、2年生用だとこうなりますよと例示しています。そういうものの例示をして、それに倣って使っていただいてもいいし自分たちで独自につくってもいいのですけれども、これらはこの教材を使って消防学校でお話をさせていただいたときのものなので、大人用にも大丈夫使えます。
 ちょっと飛ばしますけれども、これは恐らく皆さん御覧になったことがないと思いますので御紹介しますけれども、大学のメリットは、どういうところでどういう実験をやっているかという情報がよく入ってくるのと、お互いに税金で飯を食っている関係上、くださいと言うと余り断られないのですね。そういう意味で、これも国の港湾研究所の方でやった実験なのですが、先ほど十三湖のところで70センチで亡くなったという話がありましたけれども、これは実際に本当にそれで人間どうなのかという人体実験をしたものです。済みません、どうもパソコンと中身の相性が悪いようで、大変申しわけありません、人が流れている姿があるのですけれども、残念ながらお見せできないのですが、いずれ先ほども言いましたように我々のところだけで用意できるというのは限りがありますので、日本じゅうの仲間からいろいろ情報があって、そこにありますように、さっきの人が流れる、流れると言うと変ですけれども、どのくらい耐えられるかとか、いろいろな実験のビデオとか、あるいは新たに作ったアニメーションとかを取り入れて教材に使用する。子供には割とわかりやすいようにできていると思います。
 済みません、多分どれをやっても同じように見えないと思いますのでアニメーション等はここではちょっとお見せできません。大変申しわけないのですけれども、それでは一応用意してきた内容と、ちょうど時間にもなったようですので、一応これでお話を終わらせていただきます。どうも長時間ありがとうございました。
○柳村岩見委員長 堺先生、大変ありがとうございました。
 それでは、質疑、意見交換に入ります。
 ただいまのお話について、質疑などがあれば、お願いします。
○高橋比奈子委員 大変参考になりました。ありがとうございます。1点なのですが、先ほどリヤカーで1人を5人というお話がありましたけれども、今国の方でも要介護者とか弱者対策ということで、こういう方々をどうしていくかを市町村レベルで考えるようにということでしたけれども、例えばそういうことへの御提案などもINSとかいろいろなところでは考えられているのか。やろうと思ってもなかなか市町村レベルでは難しいと思うのですね。今のような情報というのはとても貴重だと思うので、その辺を今後どういう形で県が進めていったらいいかなとか市町村が進めたらいいかなというアドバイスを今後していただければうれしいと思うのですが、もし参考になるお話があればほんの少しでもお聞かせいただければと思いまして、よろしくお願いします。
○堺茂樹参考人 私も鍬ケ崎のワークショップ以外はまだ経験がないのですけれども、そもそもリヤカーを引いて実際に登ってみないと大変かどうかはわからないですよね。さっきも言いましたけれども、ここでよかったのは本当にやってみたということなのですね。ですから、実はワークショップをするとき、今の場合でいってもやっぱり10人ぐらいはいないとできないのですよ。そのワークショップ自体を運営できないのですね。ですから、我々のグループはそんなものなので、我々のグループが岩手県の沿岸のすべての町内会に行ってワークショップを開くというのは事実上不可能です。ですから、これからやろうと思っているのは、地域のボランティア等でそういうことを企画できる人たちを育てていくというか、つまり人材育成でもワークショップを開ける人材を育成する必要があると思うのです。でないと、とても我々も息切れしてしまいますので、ですから、できればこれからは若い人たち、特にボランティアなんかで活動している人たちにあなたたちがワークショップを開くために必要なものを我々が提供するという形で広げていこうかなと考えています。我々が実際に行くというのはもうちょっとなかなか時間的に難しいので、むしろそういうリーダーを育成する事業を進めようかなと思っています。答えになっていますでしょうか。
○高橋比奈子委員 わかりました。
○藤原泰次郎委員 先ほど先生のお話の中にもあったわけですが、やっぱり我々日常の生活にもあり得ることなのですが、最近はプライバシーの問題が非常に大きくなっているわけでございます。特にも災害の場合は結いの心が大事だと、お互いに助け合う、そのことはいいのですが、さっきのお話にもございましたように、例えば民生委員とか何かの場合はある程度の訪問とか状況はわかるわけです。一般の方が隣の方もわからないというような場合もあるわけでございますが、その辺のプライバシーと災害の関係、どのような方法で、これは難しいので一口では言えないことなのですが、一番私は何の場合も、地震災害のみならず個人の火災の場合もそうなのですが、その辺の関係をどう持っていったらいいのかというのが常に頭にあるわけですが、その辺ひとつお考えを教えていただきたいと思います。
○堺茂樹参考人 ベストの方法がどれがいいかというのはちょっと私もわからないのですけれども、とりあえずといいますか、鍬ケ崎ではどうしたかといいますと、民生委員の方がやはり実は御存じです、どこの家がどういう状況になっているか。ただしそれを公にしていいかどうかというのは御本人によります。それでどうしたかといいますと、御本人に聞きました。要するに、災害弱者であるというふうにリストに載せるか、言わないでくれと言うか、それを自由に選んでいただきました。むしろ載せてくださいと言う人だけリストに載せて町内会の方がお持ちになった。ただし例えばリストに10人いたとしても本当は20人かもしれませんけれども、その方々は災害弱者として扱ってくれるなと言いますから、それはその人の意見を尊重して2つに分けました。ですから、必要になる人と、必要かもしれないけれども我々が手を出してはいけない人と分けて今一応やっております。それがいいかどうかはわかりませんよ。いいかどうかわかりませんけれども、プライバシーの問題を考えるとそれくらいしかできないかなというのが私の現在の考え方です。
○藤原泰次郎委員 例えば災害が出た後の対処の結果でございますけれども、その辺はもう少し情報を早くとか、あるいはまた行政の手だてが遅いとか、批判とかいろいろな結果について、まずいことについては行政がとかく問われるものですが、こういったようなことは非常に難しい問題だと。このような災害においてもそうした対応のまずさとか、あるいは例えば警察であれ消防であれいろいろな組織があるわけでございますが、そういう防災対策の対応の仕方に違いがあるものですから、これの中にはこういったようなプライバシーの問題も絡んでいるのだと思います。将来はやっぱりこういったようなものを理論づけていくのは難しいわけでございますけれども、やはりその辺の整備の仕方、考え方というものをしっかりしていかなければならないのではないかという思いがするわけです。そういうことでお聞きしたものです。
○佐々木俊夫委員 鍬ケ崎でのワークショップ、大変成功されたようで大変私も感心をしました。いずれ鍬ケ崎地区は防潮堤が全然ないということで、非常に地域の方々は関心を持ってきている。ところが、よその地域はだんだん今防潮堤が整備されつつあるものですから、整備されることと関心、意識が反比例してしまって、もう防潮堤があるからいいのではないかと、そういう意識が非常に強いですね。さて、それでいいのだろうかということが問題点だと私は思うので、その場合の津波対策は、いろいろな教材の話が出ましたけれども、スマトラ沖の地震の映像ですね、最大の反面教師というのでしょうか、あれを私は、ここにマスコミの方々がいますけれども、できるだけテレビであれを時々流してもらえれば、いや、ひどいな、すごいなという意識が本当に身にしみてくるのではないかなという意味で、あれをフルに利用することが大事ではないかな、こういうことを一つ思いました。
 それからもう一つですけれども、阪神・淡路で被災者の救助をしたと。その場合、非常に多くの救助をしたのは地域住民。何分の一かがレスキュー隊あるいは自衛隊。そこで私疑問に思ったのですけれども、地元住民の中の分類の仕方ですけれども、私どもは地元消防団が働いたと、そう思っているのだけれども、あの分類でいきますと消防団はどっちへ行ってしまったのだろうと疑問を持ちましたことと、それから実態論からいきますと、この自主防災組織ありますね。これは大事なのです。大事だけれども、地域では消防団が活発なところは自主防災組織はないのです。少ないのです。その極端な例が田老町です。日本で一番モデル的な防災対策をしている地域に自主防災組織はありません。消防団だけなのです。なぜそうしたかというと、消防団に一切任せようということから消防団の方々は責任を持ってやりましょうと、こうなったのですね。私はそれも一つのあり方と思うのですね。それから、そうではない地域はやっぱりそういう組織があるので、それと関連した防災組織化をしなければ本当の意味の二重構造になってしまって逆に責任体制がなくなるという可能性もあるので、その辺の組織のあり方というのをやっぱり検討の必要があるのかなと、こう思うのですけれども、御意見を。
○堺茂樹参考人 後半の方からいきますけれども全くそのとおりでして、私も、それからさっきも言いましたけれども、今現在の自主防災組織率なんていうのは何の意味があるかということなのですけれども、一番いいのはまさに田老町の例ですね。あれだけいろいろやっていらっしゃるのですけれども、防災組織率はゼロなのですね。ですから、率というのは一体何を意味するかいうことを考えなければいけない。むしろ町内会で何かするというより、水防団、消防団ですね、こういう方がやっていらっしゃるということがむしろ自主防災組織なので、そういうものをきちんと仕分けしながら考えてやらないと一律町内会に何かやらせるというのではだめだと思うのですね。その辺まずことし1年かけて少し調べたいというのが一つです。
 それから、阪神・淡路のグラフの住民はすべて消防団、水防団が入っている。ここの住民の中には入っています。消防は本当に消防署、自衛隊は自衛隊ですので、普通の住民の方よりはほとんどの場合は消防団の方がやっていると思うのですよね。ですから、そのくくりとしては住民ということになっているはずです。
 それから、スマトラの映像はこれには入っているのですけれども、ただしこれは著作権の問題がありまして、ビデオの中に入れられないのです。それでしようがないので、ダウンロードの仕方が書いてあります。こうやるとパソコン上で見られますと書いてあるのですけれども、残念ながら版権が非常に高額でとても権利を買えるような金額ではないので買えませんでした。以上です。
○野田武則委員 きょうは大変いろいろと各般にわたりまして御説明いただきましてありがとうございます。私は釜石の方なもので、そういう意味では大変興味のあるところなのですけれども、先ほどお話がありましたけれども、高齢者とか障害者とか国の情報の関係なのですが、私の住んでいるところの近くには唐丹という地域がありまして、そこも一生懸命自主防災の組織をつくっておりまして、先だって防災マップを見せられたのですが、それは確かに高齢者がいるよとか弱者、障害者とかちゃんと図の中にありまして、今の鍬ケ崎のそういう影響といいますか、かなり各地域に浸透していくのかなと思って拝見していました。ただ、先ほどのお話の中でアンケートの調査で、例えば津波は引き潮があって次来るとか、あるいは大きい地震が来たから津波が来るとか、そういう御返答をされた状況が我々もあるのですけれども、それが例えばワークショップをしても余り理解が浸透しないといいますか、その辺がどういうところに原因があるのかなというのが一つ気になりましたので、ちょっとその点お伺いしたいなと思いました。
 それと、津波教育、防災教育という場面に対して大変期待をしているわけですし、今回教材ができるということで本当によかったなと思うのですが、ただ、やっぱり学校現場でもほとんど中央志向といいますか、今地元学というのが出てやっと地域のいろいろなこと等を勉強するようになってきたのですが、やっぱりそういうことのお話を聞いていると何か教材のほとんどが宮古の鍬ケ崎がメインといいますか、ちょっとあれですが、できれば例えば釜石は釜石、大船渡は大船渡とそれぞれの地域があると思うので、子供たちにとって身近なもの、写真とかいろいろなものが出て自分たちの知っている知恵とかいろいろなものが出て、実際足で教育できたりというような、そんなふうな教材ができればかなりいいのかなと期待しておりましたので、ちょっとその辺をお伺いしたいと思います。
○堺茂樹参考人 また後ろの方からお答えしますけれども、別に宮古市のためだけではなくて、例えばアニメーションなんかをつくるときには宮古市を例にしていますので、ちょっと残念ですけれども見えないのですけれども、非常にリアルなものですから、そういうものを子供に見せると非常にインパクトが強い。それを例えば釜石だったら釜石バージョンでつくりたいのですが、それがないので、かわりに宮古の方のものを見ていただくということになるわけですね。ですから、そういう意味でできれば各地域オリジナルなものをつくりたいのですけれども、今のところ例として宮古市のものが多いというだけで、ただ、全部入っています。一応記念碑とか、それから被災の写真とかは全県のものが入っています。ただもうちょっといろいろな地域、こういうものも入れていきたいなというのが一つですね。
 アンケートですが、私たちもこれだけ口を酸っぱくしても、どうしてかわからないのですけれども、お話しさせていただいているときには、なるほどなという顔をして聞いていただいているのですけれども、終わった後アンケートをとると、やっぱりずっとそう思っているのですよね。幾ら話を聞いたときにそうかと思っても、では、地震が大きいと津波が大きいかと聞かれるとそうだと答えてしまうのですね。ですから、これは本当に子供のときからの教育でそうなっているわけなので、それで子供に対する教育が大事だなということになって、なるべく正しい知識を小さいうちから与えようということで、要するに教材をつくろうということになったわけです。ですから私たちの気持ちとは裏腹に大人というのはなかなか、わかってはくれるのですけれども記憶してくれないというところがあるのでしょうね。多分私たちもきっとそうだと思いますね。
○佐々木順一委員 先生、1点だけお伺いしますが、先ほど佐々木俊夫委員の方から田老の自主防災組織の御披瀝がありました。それから、先ほどは先生の方で町内会の自治会の規約に防災活動に努めるものとすると、これをもって自主防災組織という認定もあり得るという御紹介がありました。いわば両極端なわけですよね。物すごく充実しているところとしていないところがある。それで、数だけ先行すると防災組織を幾らつくったと、そういう結果になると思うのですが、やっぱり問題は中身だろうと思います。したがいまして、先生の目から見て、ある程度最低限度必要な中身、例えば一番いいのは消防団の人がいるとか、それから看護師さんの経験がある人がいるとか、まあ現職でもいいのですが、それから若い方が何人以上いればいいとか、そういったある程度の考え方で構いませんが、もし御紹介していただけるのであれば参考になりますのでひとつお願いしたいと思います。
○堺茂樹参考人 大変申しわけないのですけれども、実は今それを調べている最中でして、総合防災室と一応こういうことをやりましょうというのが決まったのがついこの間でして、とにかくこれからその辺をいくのですけれども、まさに今おっしゃったとおり、何が必要なのかということを調べていかないと意味がないだろうというので、今まさに指摘されたとおりのことを作業している最中です。残念ながらまだ整理がついておりませんけれども、例えば岩手県のすべての地区が同じレベルで組織がなければならない理由はないのですよね。例えば山にいる人には津波は関係ありませんし、洪水も関係ないわけですね。むしろそういうところに必要なのは土砂崩れとかなのです。そうすると、自然災害によっては必要なものが変わるはずなのですね。ですから、今我々7つの自然災害を対象にしようかと思っているのですけれども、その7つの自然災害に対して何が必要でどうなっているかというのをQ&Aで少しずつ情報を得ようと思っています。今の段階ではお答えできないのですけれども、もし次回、機会があればですけれども、その辺の話もさせていただければと思います。申しわけありません。
○佐々木順一委員 ありがとうございました。先ほどのワークショップの、住民がみずからできることをやっていくという姿でありますが、その中でもやはり行政に対する要望というものが出てきているわけでありまして、あえてそこを聞かせていただくのですが、行政側としてできることからやっていくということがあるのだと思うのですね。実際何が行政側としてその辺動いてきて実現して、また今どういうことが検討されているかということ、また、ワークショップが進められる中で行政側もさまざま変化してくることということがあると思うのですが、先生から見てその点どういう点があるかどうかということ。また、これから先生が進められているこういった住民のこういう運動の中で、これから行政に期待すること、また、どういう変化を行政がしていかなければならないかということ、御提言があればその点お聞きしたいと思います。
○堺茂樹参考人 ワークショップをやっていて一番歯がゆかったのは、住民の方は先ほど言いましたように、どんどん意識が変わってきて、自分たちでやれることはやる。ただし、できない具体的な項目を要求するのですけれども、それがその項目によっては県が対応すべきものと市町村が対応すべきものがあって、そこがまさに縦割りなのですね。自分たちのテリトリーではないと思うと、それはできない。それは市町村に言ってくれ。逆に言うと、市町村はそれはできない、県に言ってくれ。その辺がまだ全然キャッチボールができていない。そこは市町村がやるとか県がやるとかではなくて行政がやるというスタンスで、ではどこがやろうかというような意識を持たないと本当はいけないと思うのです。そこが行政の人には悪いですけれども欠けています。それが一つです。
 もう一つは、予算のつけ方というのは厳選されているのはわかるのですけれども、ある意味融通もなければいけないと思うのですが、それを出す費目がないと一言で終わってしまうのですね。たかが10万、20万の話なのに、ちょっとお金がついてプッシュさえすればどうということのないものでもお金がない、それを出す費目がないということで出ない。たとえばリヤカー一つにしたって、あんなもの10万も20万もするわけではないのですよね。そういうものを幾つか置いて、では避難訓練をやってもらう。おじいさん、おばあさんを一回上げてごらんということになると皆さん意識がぐっと上に向いてくるはずなのに買うことはできない。ちょっと今これも問題になっているのですけれども、自主防災組織の強化と言っていますけれども、県でできるのは、現状把握して強化するための方策を出すことはできるのですけれども、実際に強化する手だては持っていないのですね。これは消防署とか、要するに県の力では何もできない。そうすると、現状把握して強化の方法を考える、普通なら強化するための施策となるはずですけれども、施策は県はできない。これもおかしな話だと思うのですね。ですから、その辺はむしろ議員の先生方が、岩手県としては我々がこういうことを目指すのだから参加するぞとかということをむしろやっていただければ幾らでも動く要素があると思うのです。そういう意味では、今までのこれに関しては、さっきも地域活性化費でしたっけ、あれで少し活性化したし、こちらの件ではそういうのができたのですけれども、これはむしろこれから自主防災組織が強化されるのはこれはいいに決まっているわけですから、それを支援するようなシステムをむしろ県議会の方でつくっていただいて行政をバックアップしていくというのが必要なのではないかなという気がしました。先ほど県も市も動かないと言ってちょっと批判しましたけれども、彼らは一生懸命やろうとするのですけれども、行政としてはそれができない枠になっているという意味で、決して御本人たちを責めているわけではありません。
○五日市王委員 阪神大震災のときにそれをずっと取材してきた記者さんが書いた本を読んで一番僕が印象に残ったのは、結局は何だかんだ言っても助けてくれるのは隣に住んでいる人たちなのだと、いわゆるそういう話を書いていたので互助、共助というのも物すごく大事だと思うのですけれども、先ほど弱者ということではなくて、例えば町内会にしても何にしても、新しくそこに入ってきた人、例えばアパートなんかに住んでいる人なんかそうなのですけれども、そういう人たちというのはなかなか出てこないのですよね。そういう場にも出てこないし、極端な話、例えば町内会費も払わない、消防にも興味がない。そういうふうな人たちというのは、どうやって出させるといいますか、何かそういう方策みたいなものというのはあるものでしょうか。
○堺茂樹参考人 難しいですね。どちらかというと盛岡のような都会ではないところで聞きますと、やっぱり新しく来る人よりも、そこにもともと住んでいる方が多いので、自然に同化するといいますか、なっていくようなのですけれども、私も盛岡ですけれども、やっぱり盛岡に団地ができてそこで何か始まるかというと、なかなか始まらないですね。私、北松園なのですけれども、北松園もやっぱりできてから十七、八年たちますので、最近ようやっと老人がふえたらコミュニティーができるのですね。若いうちは仕事に行って忙しいですから余り家のことを構っていられないのですけれども、結構高齢化が進んでくると老人会ができて老人会で何か草取りをやるとか、そういうことで、逆に言うと高齢者がコミュニティーをつくるのかもしれませんね。だから、若い層だけいる地区というのは一番そういう意味では連携が少ないのかもしれません。ですから、老人パワーを我々活用しなければいけないのかもしれませんね。
 あと、私もどうしたら普通はコミュニティーが形成されないところがコミュニティーとして形成されるかという話を学生と一緒になって調べたことがあるのですけれども、学生の経験談でいうと、今まであいさつをしたことがなかった人があいさつをするようになったのは大雨があってからだというのですね。つまりちょっと危険なことがあるとそれに非常に親近感を持つというのでしょうか、ですから、ちょっと変な言い方ですけれども、人命にかかわらないぐらいのちょっとした災害というのは実はコミュニティー形成には一番いいのかもしれないですね。それは口が裂けても言えない話ですけれどもね。
○柳村岩見委員長 ほかにありませんか。
 〔「なし。」と呼ぶ者あり。〕
○柳村岩見委員長 ほかにないようですので、質疑、意見交換を終わります。
 堺先生、本日は御多忙のところおいでいただき大変ありがとうございました。大学の研究は多種多様であります。優劣をつけるつもりは全くありませんが、先生の研究は人命あるいはまた財産にかかわるものでございますので、今後一層の研究の深まりを御期待申し上げながら今後の御活躍をお祈り申し上げたい、このように思います。
 本日の調査はこれをもって、終了いたします。
 委員の皆様には、次回の委員会運営等について連絡事項がありますので、しばしお残り願います。
 次に、9月に予定されております閉会中の委員会の調査事項についてでありますが、市の立場からの地震・津波対策の現状と課題について調査を行うこととしておりますので、よろしくお願いします。
 また、当委員会の県外調査につきましては、11月7日から9日までの2泊3日の日程で実施いたしますので、御参加願います。
 調査先等、詳細は当職に一任をいただいておりますので、調整後追ってお知らせいたします。
 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。本日は、これをもって、散会いたします。

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