防災対策特別委員会会議記録

防災対策特別委員長 柳村 岩見
1 日時
  平成18年1月19日(木曜日)
  午前10時5分開会、午前11時55分散会
2 場所
  第2委員会室
3 出席委員
  柳村岩見委員長、野田武則副委員長、高橋賢輔委員、阿部敏雄委員、佐々木順一委員、
 木戸口英司委員、佐々木俊夫委員、藤原泰次郎委員、平沼健委員、高橋比奈子委員、
 田村誠委員
4 欠席委員  
  なし
5 事務局職員
  佐々木担当書記、菅原担当書記
6 説明のため出席した者
  国立大学法人東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター
  教授 今村文彦
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
 (1) 調査
   「地震・津波の被害と地域での防災」
 (2) その他
   次回の委員会運営について
9 議事の内容
○柳村岩見委員長 おはようございます。ただいまから防災対策特別委員会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。
 本日はお手元に配付いたしております日程により会議を行います。
 これより「地震・津波の被害と地域での防災」について調査を行います。
 調査の進め方でございますが、参考人の方に御講義をいただき、その後意見交換を行いたいと思います。
 それでは、本日参考人として出席いただいております講師を御紹介申し上げます。国立大学法人東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センターの今村文彦教授でございます。今村先生の御経歴につきましては、お手元にお配りをいたしておりますので、割愛をさせていただきます。
 それでは、今村先生よろしくお願いをいたします。
○今村文彦参考人 東北大学の今村でございます。本日は、1時間少しのお時間をいただきまして、ちょうど前の方にお示ししているとおりに、中央防災会議での地震、津波の評価、そのポイント、また最近地震、津波、頻発していると世界的に言えるかと思いますが、その対策、特に情報に関して説明をさせていただきたいと思います。
 恐らく今年、中央防災会議の結果が出まして、各地域で新たな対策をまた見直しを発展させる必要もあろうかと思います。そういうもののヒントになるような情報も入れさせていただきたいと思います。
 それでは、前の方で説明させていただきます。
 それでは、こちらの方から説明させていただきます。御存じのとおり、日本海溝・千島海溝ということで東北も含めて北海道の最も東から、南は千葉の房総まで、そこでの地震、津波に関する検討を現在させていただいております。
 この専門調査会は、地震の予知連絡会の会長でございます溝上先生を座長に13名のメンバーが加わっております。総勢14名になります。地震、津波の専門家のみならず、土木、耐震、また地震、津波の歴史の専門家などが含まれております。恐らく専門調査会の中でも大きな規模に属するものでございます。
 先日1月5日に第16回の評価を行いまして、その中でどういう地震、津波を対象とするのか、またそれによる揺れであるとか、津波の規模であるとか、こういう概略評価を終わったところでございます。来週の月曜日になりますが、17回を予定させていただいて、この専門調査会の中身としてはほぼ終了するということでございます。回数におきましても、メンバーにおきましても、過去の専門調査会の中でも非常に大規模で、かなり精力的な形でやっております。
 昨年でございますが、9月に特別立法が成立しまして、地域での推進地域、こういうものも指定している最中でございます。どういう地域が地震の揺れ、また津波が大きいのか、それを選びまして、特に推進地域でサポートしようというものでございます。
 しかしながら、特別に現在予算を確保しているわけではございませんので、現在の予算の中で優先順位を上げてそういう地域に対してサポートするという形でございます。
 現在これが内閣府中央防災会議のホームページでございます。16回終わったわけでございますが、それぞれのメンバーがどのような内容で議論したのか、また当日どういう資料が出たのか、それがすべて入っているものでございます。もし詳細が必要な場合には、ぜひこのホームページに入っていただきたいと思います。
 その中には、重複するのでございますが、この専門調査会の経緯とか目的などが示されております。特に重要でありますのがこちらのポイントになります。今回の日本海溝・千島海溝では、まず津波災害、これが非常に大きな課題であるということでございます。過去におきましては東海、また東南海、南海までターゲットにしましたが、比較的地震の場所から近いということで地震による揺れ、液状化、地すべり、またその後に津波が来るという複合型のものでございました。
 しかしながら、この日本海溝、千島海溝では地震が発生する場所がもう少し離れた海溝沿いにあるということで、揺れよりも津波ですね、これが怖いということでございます。しかも、この地域では大体大きな規模の地震というのは同じ場所で繰り返し起こっておりますので、ターゲットもわかりやすいということでございます。しかしながら、今回は非常に広域であり、また御存じのとおり明治の三陸津波、また十勝沖地震、いろんなタイプの地震が混在しております。
 ですので、どういうふうにターゲットを絞るのか、これが大きな課題でございました。そのために過去の歴史資料、これももちろんでございますが、それに加えて最新の、例えば津波の堆積物ということで、海の中にある砂が津波によって打ち上げられます。これが陸上に残ります。残って地中の中にある層として存在することがございます。そういう新しい知見なども入れまして津波、地震の実態を調べたものでございます。これは、我が国だけではなくて世界的にも初めての評価となるわけでございます。
 しかしながら、こういう情報を我々の歴史の中、また科学的知見の中ではわずか400年をさかのぼることしかできません。それよりも古い、例えば1600年よりも前のものというのはなかなか情報としては少ないというのが現実でございます。
 このような評価の難しさもございますが、その後、例えば地震、また津波によって予測される被害ですね、数字とか、またはグラフが出るわけなのですが、それをどういうふうに社会の中で具体的な対策、具体的な減災に役立てていただくのか、これを今検討しています。従来は報告書ということで出していたわけなのですが、報告書というのは分厚いたくさんの文書と図面はあるわけなのですが、それが地域ごとになかなか見ていただけない。難しい内容であったり、または具体的なポイントなどが少なかった歴史等あります。そういうものを今回はできるだけわかりやすい、またすぐにも使っていただくような内容に努力をしているわけでございます。
 後半のところは、例えば新しいひずみ計、また地震、津波の感知体制など新しい記述もございますので、そういうものも活用しようというものでございます。
 特に最近話題に上がっておりますのが、こちらのGPS津波計ということで、よくカーナビについておりますGPS、これを一つのセンサーとして海に入れておきます。実際に海に置くには大変でございますので、ブイを浮かべて、そのブイの位置をこのGPSで非常に正確にとらえる。そうしますと、津波の挙動も時々刻々、非常に正確なものがリアルタイムにわかるというものでございます。こういう最新鋭の観測体制を使いながら減災を考えていただきたいというものでございます。
 あと東北、また北海道の地域的な特性も評価に入れております。具体的には、ここで書いてございます、まさに今の状態である雪ですね。または道路等が凍っている状況、これに対する配慮というものも必要になります。そうしていただくと、例えば屋根の上には雪がある。これで加重が加わります。また、通常使えるだろう道路、避難路として使える道路も凍ったり、雪があったりして使えない、また幅が狭いという状況でございます。これも今回初めて評価として入れております。
 この2つ目に書いてございますが、漂流物ということでございます。これは津波によって、船、養殖いかだ、または沿岸部にある建物、これが壊れまして瓦れきとなって町の中心部に入ります。これは実際、一昨年の2004年のスマトラ沖地震でも報告されたものでございます。それに対する対策というものも入っています。さらには、観光地での対策、あと地震、津波による孤立化、またその後の風評被害。特に観光地では、実際に被害がない地域でも一緒くたに岩手県、または宮城県ということで、あそこはちょっと危ないから旅行するのはキャンセルしようというような被害も後からございます。実際、中越地震では幾つかの観光地ではスキー場、温泉地を含めて非常に多大な被害が、これによってあったと。これに対する対策も考えています。
 こういうふうに非常に大きな課題を持ちながら、非常に幅広い評価をしているというのが現在の専門調査会でございます。
 最新のデータというのはどういうものかということで見ていただきたいと思います。こちら側が東京、仙台、盛岡、下北半島。今回のターゲットの半分の地域でございますが、20年間、30年間における地震のプロットをしたものでございます。
 今、活動が活発であるのがこの宮城県沖、昨日は福島県沖、このあたりなのであります。比較的このあたりとか県境、このあたりは少し活動は低いかなと。ただし、過去地震が起きているところですので、今現在低いのであって、将来ないということではございません。こういうデータを使いまして評価をします。こういうデータは専門家の評価のためにだけではなくて一般の方にも、この東北地方は地震というのは多いね。ないところを探すのが難しいぐらい、特にまた海の方が多い。海の方というのは、よく教科書に書いてあるのですが、太平洋のプレートが我々の住んでいるユーラシアプレートの中に沈み込んでいて、上の方を引きずり込みながら沈み込んでいますから、ひずみのエネルギーというのがたまります。それがいつか地震となって放出するのだという説明でございます。それを付加するような情報としてもなります。地震の発生している場所が、まさに我々の日本列島の下にプレートが沈み込んでいるこのシート上のエリアで地震が起きていると、こういう環境を見ていただけることだと思います。これがまさに我々の調査結果を社会に伝えていただく一つの手段かなと思っております。こういうような情報を取り入れております。
 また、今見ていただいたのはマグニチュード4以上ということで、少し揺れがあるものです。しかしながら、被害を考えますとそれよりも大きな地震が対象となります。津波を伴うような地震が過去どのくらいあったかなというので400年間、1600年から現在まで集めたものでございます。北は十勝沖、また明治を含むエリアから宮城県沖、福島県沖でございます。これも見てわかるとおりに、ほぼ全域を埋め尽くすエリアで過去大きな地震、津波が発生しております。ただし、地震の規模であるとか、あとはその周期性、何年ごとに発生するかというのは若干変わります。例えば緑色の地域、これは十勝沖の一部、また明治地震津波が起こった場所なのですが、これは1600年から現在まで5回ございます。ということは、約80年前後で1回地震が起きます。その規模もマグニチュード8弱ということで7.8前後の地震が繰り返し起こっていることになります。
 すぐ隣の場所でございますが、これは昭和8年、また慶長、1611年が起こっている場所でございます。わずか2回でございます。しかも、この間隔が離れていますので、先ほどの80年と比べて非常に間隔が長い。ただし、間隔が長い分、そのひずみエネルギーというのはためやすいですので、一たん起きた地震というのは規模が大きくなるわけです。8以上、8.2または8.5という数字も指摘されております。
 さらに、下の方を見ていただきますと、この赤いエリアが宮城県沖地震、本当に数えられないぐらい起きておりまして、平均間隔は37年でございます。78年から既に27年以上今現在経過しております。ここが世界でも最も確実に地震が将来起こるだろうというところでございます。
 前回の宮城県沖地震ではマグニチュード7.5程度、推定される地震の揺れというのは5弱でございます。ただし、今の観測網で言うと6を超える可能性がございます。津波は1メートル前後のものが来襲しました。この規模でありますと、恐らくそれほど大被害にはならないということは予測されます。しかしながら、この隣にあるブルーの領域を見ますと、これが1793年、1897年、2回起きております。この2回起きたものは、実はこの赤と一緒になりました連動型地震と言われております。一緒に起きて、100年に1回程度のものでございますので、その地震の規模というのは、先ほどの7.5に比べて大分大きくなります。7.8とか、または8以上と言われております。単独型のみならず連動型も我々懸念しているところでございます。この連動型が起こりますと揺れだけではなくて、先ほど言いました津波が非常に大きくなるということでございます。
 こういうエリアで起きておりますので、我々が特に住んでいる内陸側にとっては若干離れていることになります。ですので、地震の揺れというのもある程度は大きいわけなのですが、それに加えて津波というのが、このエリアで大変重要な対応の地震、津波ということになるわけでございます。
 こういうものを今回の北海道から千葉の沖合まで全部集めたのがこちらでございます。ターゲットとするのは大きな地震でございますので、そういうものがどの地域で繰り返し起きているのか、または過去起きたのかというものをピックアップさせていただきました。これだけの数がございます。
 しかしながら、すべて対象としますと、また地域でどういう対策をしたらいいのかというのが大変となるかと思いますので、プライオリティー、特に重要なものを取り上げさせていただきました。これが北海道の積丹からずっと来て、明治の三陸沖まで含めたものでございます。特に重要だと思われているのが二重丸で書いたものでございます。これは、近い将来地震が起きる可能性の高いエリアでございます。それに加えて地震、津波の被害の大きいものはこちらにございます。明治三陸というのは、御存じのとおりに地震の揺れは小さかったのでございますが、38メートルを超える津波があったということで、ここでも取り上げられております。
 真ん中に書いてございますのが500年間隔の地震による津波でございます。これが冒頭言いました津波の堆積物という新しい科学的知見で初めてわかったものでございます。最近のものですと1600年代に大きな津波が起こったということでございます。それより前は1100年ぐらい、またはさらにさかのぼると500年ということで、大体この500年間隔で発生している大きな地震津波ということになります。500年ですから間隔としては非常に大きいのでございますが、前回が1600年です。そうしますと、もう400年ぐらいたっていることになりますので、その間隔のみならず、前回の発生した時間、時期というものを考慮して今回入れてございます。こういうものをピックアップして、改めて対象となる地震、津波をピックアップしました。
 ピックアップしたといっても、ほぼ全域の地震、または津波があります。特に南側の福島、茨城、千葉あたり、このあたりで恐らく周期性とか、あとは緊急性、また逼迫性を考えると、次のプライオリティーかなということで、今回の評価には入れておりません。ただし、いろんな形での情報は提供するということになっております。こういう選定をやった上で、地震による被害推定、また津波による被害推定をさせていただいたわけでございます。
 津波による被害推定は、何といいましても今現在、数値シミュレーション手法というものがございます。先ほどの地震の揺れた場所、またその場所でどのくらいの地盤変動があったのか、そういうものを推定しますと御覧のとおりに津波の伝播計算ができます。この沖合100キロ以上離れた場所でございますが、津波は約20分程度で第1波が来ます。沿岸部ではシンプルな波形でございますが、湾とか、あと半島に入ってきますと御覧のとおりにのこぎりの刃のような、あるところで集中する、または小さくなる。これが繰り返し、繰り返し起こるわけでございます。記録によりますと、旧三陸町で38メーターを記録しております。また、この解析におきましても20メーター以上の地域が特に岩手県沿岸では多いということになってございます。
 さらには、今回の結果には現在の、例えば防波堤、または防潮堤があります。そういうような効果もできるだけ入れようということで最新のシミュレーションを使っております。このシミュレーションは、実は元岩手県立大学の首藤先生が中心となりまして、ぜひ地域の方、また教育の場で津波というのを見ていただきたい。特に今の状態で明治が来ればどういう状態になるのか、こういうものを見ていただくために作ったものでございます。こういう記述をもとに評価をしているところでございます。
 ただし、こういうシミュレーションというのも非常に正確なのですが、逆に言うと例えばこういう構造物が、今、これはあるわけなのですが、これが少し壊れて、ここがカシャッとつぶれたりする。そうすると、津波の動きというのも違います。もしこういう地域が非常に危険ということで、ここにちょっとかさ上げとかしますとこの浸水域も変わります。また、地形等が少し変われば津波の動きも大きく変わるということも同時にわかってまいります。津波というのは、非常にシンプルな現象であるのですが、御覧のとおりに地形の影響、構造物の影響を受けまして、複雑であるということもここでわかっていただけるかと思います。
 そういう状況を沿岸部に沿って、これは下北半島から岩手県、宮城県、あとこちらの銚子の半島まで評価した一つの例がございます。赤い線で書いておりますのが明治のもの、グリーンで書いてございますのがマックスの連動型ということになります。軸がわからなくて申しわけありませんが、これが大体20メートルのラインでございます。幾つかの地点で20メートルを超えているということでございます。こういう結果は、現在国の方でまとめてございます。
 一方、地域においては、例えば岩手県も、あと宮城県も独自に地震、津波の評価をしております。そのときの評価で、地震の揺れであるとか、今見ていただいているのは津波の高さでございますが、例えば宮城県による結果、これは北側の唐桑半島、北上川、女川、それから南の山元町までに至るものでございます。県独自でやりましたものがこういう分布になっております。一方、現在の中央防災会議の結果というのはこの白いものでございまして、南側の方が大きいという結果になっております。
 これは2つの理由がございます。1つは、先ほど見ていただいたように地形データが変われば津波の動きも変わります。今回の中央防災会議は、北海道から南は千葉まで全部把握するために、ある程度粗い地形データを使って解析をしております。一方、地域でやる場合は、それよりも細かい詳細な地形データを使っておりますので、それによっても差が出ます。
 もう一つは、津波の波源、または地震の断層というもののとらえ方、またはその推定の仕方でございます。津波の記録だけを使ってやる場合、または地震の揺れ、またはほかの情報を入れてモデルというものの決め方、いろんなやり方がございまして、そのやり方によって若干位置であるとか、あとは規模が変わってございます。この場合、中央防災会議でやったものの方が、南側に断層が少し張り出しているために、南側の地域で大きな津波が記録されるということでございます。
 さまざまな手法でやりますが、どれが正しいとか、どれが次に来るものであるか、そういうものは残念ながら断定はできません。自然というものは複雑なものでございますので、我々はさまざまなやり方、さまざまなモデルを使いながらこの地域でのいろんな姿、像というものを出したいと思っております。
 最も危険であるのが固定化ということなのです。例えば宮城県沖地震ですと、例えば本吉町ですと、10メートルの津波が来るのだという前提ですべてをやってしまいますと、例えば若干規模が大きかったり、津波の位置が変わったりすると、これが大きくなったり小さくなったりするわけです。これが自然なのです。そういう幅というものも、ぜひ対策の中では考えていただきたいと思います。ただし、こういう結果が一つの目安であることは確かでございます。こういうものの目安に加えて、いろんな幅というものを考えていただくことが大切かと思っております。
 これも津波の結果でございます。参考に後で見ていただきたいと思います。
 現在の特に宮城県沖地震の状況を若干説明させていただきたいと思います。まず、この四角、真ん中に書いたこの四角が前回の1978年に起きました宮城県沖地震になります。これを基に宮城県沖地震は、これを中心に繰り返し起きているということが少しずつわかってまいりました。特に色がついているところ、ここもそうですが、こういうところ、ここは現在アスペリティーという言葉を使って、特に地震が繰り返しここで起こること、また地震のエネルギー、揺れであったり、または津波を起こすような変化ですね、これが周りの地域と比べて大きいところというところになるわけです。こういう四角で囲ったところが地震、または津波の発生したエリアでございますが、このエリアの中でも強弱がございます。強いところと弱いところ、また非常に繰り返し性が強いところとそうでないところというのがわかってまいりました。こういうことも入ってまいります。
 これが前回の78年、実はこの下が1936年の宮城県沖地震です。一言に宮城県沖地震といっても若干ずれている場合がございます。また、この横の長いもの、これが先ほど言いました連動型の地震でございます。単独型だけではなくて、こういう沖側で起きる場合もございます。
 昨年の8月16日でございますが、かなりの大きな揺れ、津波警報も出たわけでございますが、このエリアで起きました。今現在解析をしておりますが、ちょうどこことここの間、この白くなっているこのエリア、ここで地震が起き、また津波が発生したというようなことでございます。宮城県沖地震想定のエリアの中でございますが、その面積としてはわずか3分の1以下になります。ですので、ここに入っているアスペリティーのところで地震は起きておりません。ということは、エネルギーはまだまだたまっているという状況でございます。今後まだこのエリアで地震が発生する可能性があるということでございます。これまたちょっと詳しい話になりますので、割愛させていただきます。
 こういうことで、宮城県沖地震等は必ず来ます。国内外も含めて最も近い将来発生する可能性の高い地震ということになります。新聞で10年以内50%、また30年以内では99%という数字が出ておりますが、非常に高いということになります。
 これは一昨年になりますが、5月、また7月、周辺部でも起きております。また、昨年8月でも起きております。周辺でも活発化しているということでございます。
 こういうことがメディア等で報道されておりますが、地域の住民の方にとって確かに関心事、地震怖いね、津波が来ると心配だねということではございますが、しかしながら特に家庭であるとか、地域の中で具体的な防災対策、特に企業、働いているところなのですけれども、有効に実施されているとは言えないというのが現状でございます。自治体、行政等では評価とかさまざまな対策の事業というのはやっておるわけなのですが、それが地域、または個人のレベルまではいっていないというのが現状でございます。最終的に、ここのレベルまで上がらないとなかなか全体の被害を低減できないということは現実でございます。
 そういうためにも、ただ単に数字で揺れ、また津波はこうなるのですよというだけではなくて、さまざまなデータとか情報を見ていただきたいと思っております。その中の一つがこちらでございます。例えば宮城県沖地震が将来起こるとすれば、では前回どんな姿であったのか、そういうものも関心を持っていただけると思うので、そういうときに実際に見ていただくということが大切だと思います。
 これは、日本気象協会というところで作ったものでございます。当時の様子を見ていただきます。実は、冒頭に、最初にここに見えている建物でございますが、これは東北大学の理学部の建物でございます。当時、幸いに火災というのは少なかったのでございますが、恐らく5階だと思うのですが、5階から出火しております。当時、6月の中ごろで、夕方4時過ぎです。ここで火を使っていたわけではないのですが、薬品が落ちまして、そこで発火したということでございます。
 (スライド上映)
○今村文彦参考人 このようなタンクもあります。
 これは建物です。
 これは新しい造成地です。
 こういうものを見ていただいて、今の現状、これがまた繰り返されるのだと。これを契機に日本では耐震基準が変わりました。最近話題になっております疑惑というのがあるのですが、まさにこの78年以降非常にしっかりとした法律ができて、規則ができたわけなのですが、中にはそれを守っていないという状況がございます。もし、そういう基準を守っていないとすれば、一見丈夫に見える現在の建物、そういうものも壊れてしまう。一たん壊れてしまいますと、その影響は大きいということでございます。
 同じものでございますが、これが先ほどの78年、地震が起きたエリアでございます。この赤いエリアが先日の8月16日起きたものと。こういう情報も見ていただきながら、時々刻々どういうところが地震として残っているのか、また今現在、昨日も起きたのですが、こういう丸で書いてあるような地震活動も見ていただきたいと思います。
 残念ながら、我々たくさんデータを調べても、いつ、どこで、どんな規模の地震が起こるのか、これだけは残念ながら言えません。可能性が高い、また逆に低いとかというところは言えるわけなのですが、短期での地震予知というのは、現在まだまだ難しいというところも現在ございます。
 また、昨年の8月16日では意外な被害が出ました。つまり、天井が落ちたわけです。建物自体は、こういうものは大丈夫であるわけなのですが、天井、ガラス、いわゆる非構造部材と言われるものが壊れてしまったわけです。先ほどの宮城県の78年の耐震基準法では、ある程度の縛りはありますが、これに関してはまだまだ十分ではない。致命的な被害にはなりませんが、やはりガラスとか天井が壊れますと怪我をされる方が多くなる。これをどこまで考えるのか、これも我々にとって重要な課題でございます。さらには、便利な新幹線、鉄道、道路、これも一たん地震等が起きますと当然ストップしなければいけない。安全のために、ある時間サービスができなくなるわけです。それに対して我々はどうするのか。やはり、当時そこにいたとすれば情報は来ないとか、いつどうしたらいいのかということになりますと非常に不安になりますし、いら立ちもあるかと思います。それに対しては、きちんと逐次情報を出してあげることによって、少なくとも不安感であるとか、不満であるとか、そういうものはなくすることができるかと思います。いまだにリアルタイムでのそういう情報というのはJRとか、あと高速道路も含めてなかなか難しいというところでございます。それは、特に被害の実態を早く見るとか、またそれに対して応急対策、どのぐらいの時間でそれが対策が進むのかなというものが、なかなかまだまだ予測技術というものが難しいというのがあるからでございます。
 さて、そういう中でもいろんな技術というのは進化しております。特に、本日見ていただきたい最新技術でございますが、一つが地震早期警報システムということでございます。地震の揺れというのは大きく分けますとP波と言われているものとS波と言われているものがございます。Pというのは、英語で言うプライマリーでございまして、既知の波です。最初に来る波です。これは通常縦波です。上下に揺れるものです。次に来るのはS、セカンダリーの略でございます。第2の波は横揺れを主に伴って来るわけでございます。P波が速いですので、しかもP波というのは揺れの大きさとしては、幸いに余り大きくなりません。次に来るS波というのが大きく揺れることになります。こういう性質を利用しまして、地震が起きた一番近いところのP波を検知して、そこで地震の規模を推定する。そして、各地でS波が後から来るわけでして、その後から来たS波がどのぐらいの揺れになるのか、これも出してあげようというものでございます。
 宮城県沖地震の場合は、P波を検知してS波が来るまで10秒とか20秒の余地があります。これを短いというのか、長いというのか、これは大変難しいことでございますが、例えばコンピューター制御であれば数秒あればシャットダウンできます。例えば銀行の自動支払機とかいろんなシステムがございますが、わずか数秒の情報であっても早く出ればいきなり切れることはありません。いきなり切れますと、今はデータがすべてなくなります。これは大変な事故になるかと思います。そういうものを制御する。また、エレベーターの制御もそうなのですが、そういうものも出てくるかと思います。ただし家庭の中で考えますと、5秒、10秒で何ができるかというと難しいかと思います。机の下に潜ることぐらいはできるかと思いますが、こういう情報が今、実用化されつつあるということもあります。
 次に見ていただきたいのがGPSということで、これもいち早く津波計を置いてあるということでございます。
 こういうものがさまざまなセンサーを入れて気象庁とか、自治体とか、そういうものに集中しながら我々の生活の中で使われつつあると、そういう動きを知る情報とか、こういうものもなりつつあります。これも近い将来きちんとなるものでございます。
 P波とS波の様子ですが、今から少し例を見ていただきたいと思います。地震というのは断層というところで起きます。こちら側が上にはね返ったり、こちらが下に下がったりします。そのときに一気にずれるときにショックが、揺れたなと来るわけでございます。その揺れを具体的に見るのがこちらです。ここでは、こちらの十勝、釧路沖で地震が起きましたので、それを解析で再現してみました。ずっと北海道で起きた地震が、今揺れの程度で色をつけております。赤い揺れが一番大きいです。これがずっと伝わっていく様子がわかっていただけるかと思います。最初に来るのがP波です。その後、S波がゆっくり来ますので見ていただきたいと思います。
 今こちらで地震が起きました。揺れというのはこういう形であります。北海道はすぐに大きな揺れが起きます。今東北でキャッチしました。その後、P波の後このS波というのがある時間をかけて来るわけです。この場合は、もう2分、3分離れていますので、大きな揺れが来るまでに時間があります。こういう技術が今現在実施可能でございますので、さまざまな分野で活用されていくものと期待しております。
 P波は縦揺れで上下と言いましたが、こういう地形、表面での地形とか、あとは中での地殻の地形をうけまして、縦揺れであっても横に揺れたりする場合もありますので、注意していただきたいと思います。
 実際これは8月16日の記録でございます。P波が来たのはこちらです。P波は大体大きな揺れは伴いません。次にSが来て、大きな揺れが必ず来る。小さな揺れの後に大きなものが来る。この大きなものをきちんと推定してやろうというものでございます。
 次の2つ目でございますが、津波の観測というものを説明させていただきます。津波というのは海で発生するものでございまして、海の海面の変化をいち早くキャッチしてあげれば、それが一番確かな情報として、我々は沿岸部で対応できるわけでございます。今現在、気象庁の情報は地震の情報なのです。地震の揺れ、またはマグニチュードに合わせて、津波はこれぐらいの大きさになるだろうという推定値でございます。それに対してこのセンサー、これは海底津波計でございますが、実際の水面の変化をとらえるものでございます。これが実際の津波のものでございますが、この細かいのは地震です。これが津波の実態になります。釜石沖でとらえた海底での津波の実態でございます。こういうのが正確にわかれば、現在の気象庁の予測もより正しいものになります。
 また、まれでございますが、明治地震津波のように揺れは小さいのにもかかわらず巨大な津波が来る。こういうものに関しては、現在の気象庁の速報では過小評価になってしまいます。それを補うものとして非常に期待されております。
 これは海底ケーブルでございまして、光ファイバーにセンサーをつけて海面の変化を見ると、こういうものでございます。実際に釜石沖で実施しております。また、千葉の房総とか、あと十勝沖もございます。これも大変有効でございますが、問題がありまして、それは費用になります。1ラインつけるのに少なくとも20億、30億円ということでございます。非常に大きな予算です。
 それに対して今注目されておりますのがGPS津波計ということで、ブイにGPSセンサーを付けて、同じように観測できるということでございます。ただし、これも安いとは言えないわけでございまして、1機1億円前後ということでございます。これに比べては10分の1、ただしセンサーとしては決して安いものではない。ですので、設置するとしても非常に場所をうまく選定しまして、有効な場所に置いて活用する必要があると思っております。幸い、GPS津波計に関しましては岩手県、宮城県、県から、または国の国交省から、今、基礎検討もしておりますし、実際に設置できるように現在いろんな対応が進んでいるところでございます。本当に近い将来GPS津波計が三陸に実施されることもそう遠くはないと思っております。
 こういうものに加えまして、実は我々の沿岸部では、これは田老の例でございますが、例えば超音波波高計であるとか、あとは圧力式の津波計であるとか、実際に沿岸部にも持っているわけです。これは1機数百万とか1,000万程度のものでございまして、実際に稼働しております。当時、津波が来ても、気象庁の情報ではとても足りないよと、また当時、その前かと思いますが、津波注意報、また警報が出ますと警察とか、あとは消防団の方が沿岸の監視のためにわざわざこういうところに行って津波を計らなければいけません。これは、あくまで非常に危険であろうということで、この機械に変えようというもので設置が進んだのでございます。しかし、このデータも、例えばこの田老のデータを町役場で見たのでは、残念ながら時間的には遅い。もう目の前に来た津波ですので、住民の方に情報を伝達する時間というのは残念ながらない。それよりも、例えば早く来た地域の情報を共有化して、それを得ればより早く自分たちの情報に使えるということでネットワーク化、インターネットを使いながらこの共有、これも今検討している最中でございます。まず、既存のものをうまく使う、またさらにGPS津波計、または海底津波計、新しいものも入れるということが大切であるかと思います。
 こういうことで、現在の地震の対策として大きく3つの柱があるかと思います。まず、事前にできることは何といいましても耐震化であったり、または今現在自治体でやられている対策がどういうふうな評価なのか、十分であるのか、またはまだまだ足りないのか、こういう防災の評価というのも大切でございます。現在消防庁が全国レベルで、都道府県単位で評価していると。ただし、これをできればもう少し細かい自治体単位、市町村レベルで評価して、今現在の防災力、または対応力というのはこうですと、ここのところはおたくは足りない、こういうところは強いですというものを出してあげると非常にいいと思います。
 我々、健康におきましても定期検査というものがあります。人間ドックというものがあります。それによって、初めて自分の足りないところ、弱いところがあるかと思います。こういう評価も事前に対策が必要かと思います。さらには、避難体制ですね、地震、津波に対してどこに逃げたらいいのか、これは事前にきちんと決めなければ、いざというときにはうまく逃げられないというのは当然ではないかと思います。
 地震が、また津波が起きた最中、これは先ほど見ていただいたようなリアルタイムの情報システムが活用できますので、地震においても、津波計においてもこういう情報をより早く、またより正確に集中して必要な部署に配布すると、こういうものが必要かと思います。
 あと事後でございますが、大きな災害に対しては復旧、またはさらには復興というものが非常に大切になります。過去におきましては、日本もそうでございますが、復興というのが大体現況復興、過去、被害が起きる前の状況に戻すということでございますが、できれば予算が許されれば、より強い町づくりのための復興というものが大切かと思います。今現在弱点というのはあるわけでございますが、それを根本的に直すのは大変です。もし被害等が起きましたらば、その復興は事前に考えた、より強いあるべき姿の計画に併せて対応するべきであろうというものがあると思っております。
 こういうような3つの柱で防災対策というのを進めていただきたいと思いますが、最も大切だと思いますのは、実は地域での防災教育、または啓蒙であるかと思います。この防災教育というのは非常に大切でございますが、今現在どういう状況かというとまだまだだと思っております。
 今現在の先進的な取り組みを幾つか紹介させていただきたいと思います。こちらは宮城県の例でございますが、地域住民が避難体制ということで、こういうサインであるとか、矢印であるとか、自分たちが調べて地域住民のみならず、ここは旧志津川という観光地でございますが、観光客の方にもわかりやすいように工夫をしております。スマトラ沖地震ではタイのプーケット島で2,000名を超える外国人の観光客の方が被災を受けました。恐らくこの三陸でも同様かと思います。こういう取り組みも非常に重要であるかと思います。
 また、最近、防災マップ、またはハザードマップというのは作られつつありますが、どうも義務感で作っておると。この地域、町内会で作ってくださいよと、おたくこういうことをしないと、いざというときには対応できませんよという、ある強制的なもので作っていただいているかと思いますが、実はこのマップを作るということは非常に大切なことと、あとはおもしろい、非常にバラエティーがあって、例えば学校で生徒さんと一緒にやると、とても教育的な内容も含んで有意義なものであるということを認識していただきたいと思いまして、昨年の11月でございますが、コンテストを開催させていただきました。地域でオリジナルないろんなアイデアが実はマップの中にございます。ここの真ん中にあるのが実はハザードマップ、また防災マップでございまして、マップが実は主役ではないのです。このマップを見ながら自分たちで危ないところをこういう写真で示してあげるとか、こういうふうに対応しましょうとか、いざというときにはここにコンタクトしましょうねと、危険マップと危険情報と併せて安全情報というものを併せ持っております。
 これは小学校の生徒さんが考えたものです。一種これは壁新聞みたいな形でございますが、こういうような防災マップも作られつつあります。また、こちらで見られておりますのが企業の方で作ったものでして、非常に完成度が高い、イラストを入れたり、非常に見やすいものになっております。自治体のみならず、こういう企業が自ら作って、こういうものをやって、企業内の安全だけではなくて、もしかしたらこれが商売になるのかなという形で作っていただいているかと思います。
 こういう成果物を一堂に持ち寄っていただきまして、担当者に苦労とか、あとアイデアとか、おもしろいところを発表していただいて、我々はちょうど11月の時にはシンポジウムを開きまして、約300人ぐらいの方に来ていただいたのですが、その参加者に見ていただいて投票して、優秀作品を表彰させていただいたということでございます。こちら側が中学生、こちら側が小学生でございます。2つとも幸いに入賞しまして、非常に彼らにとってはうれしい評価をもらったと思います。実は、この中学生というのはマップを作るだけではなくて、自ら耐震診断の教育プログラムを受けまして、自分たちで各家庭の耐震診断をできることになっています。簡単なシートを作りまして、チェックをするものなのですが、そういう資格も得ております。特に高齢のお宅では、例えば会社の人に頼むのはちょっと、またはみんな忙しいからなかなか頼みづらいねというところもあるのですが、中学生がそういうお宅に伺って、おじいちゃん、おばあちゃんと話をしながら、ではもし必要であれば耐震診断しましょうかというような活動もしております。いわゆる中学生というのは地域で防災をある面では担える人材であるということになります。防災というのは、行政だけがやるものではありません。また、大人だけがやるものではありません。場合によっては、中学生、高校生、こういう若い力も入っていただいて、防災力を上げる必要があるかと思います。こういうことを考える非常にいい機会でございました。
 さらには、地域のリーダーということで町内会長さんとか、あとは防災マップを作りたいと思っている方にも来ていただいて、集中的に講義をさせていただき、実際にその参加者の方にマップを作っていただき、意外と簡単だねとか、意外と知らないところが、住んでいる町でありますが、あるねとか。過去、洪水とか、津波とか、地震の体験をした方はいるのですが、お互いにそれを話し合ったり紹介したことはなかった。しかしながら、こういう作るという作業、これワークショップと呼んでいますが、ワークショップを通じて、それを出し合っていただく。それもまた地図上に載せると、そういうようなことも奨励させていただいております。各班で作った結果というものをこのように披露して、自分たちはこういうところがよかった、こういうところがおもしろかった、こういうところが苦労した、これはちょっと行政の方にサポートしてもらわないと無理だねと、どうしても避難する場所がないねということが具体的にこういう地図上でわかるということも示されたものでございます。
 こういうような活動を地域、または学校でやっていただきたいと思います。現在、防災または津波マップというのはあるわけなのですが、恐らくもらったねとか、またはあるのだけれども、まだ使っていないねというようなことが現在ありますけれども、そういう考える、作る、住民自ら参加型で作ることによって、その状況を改善することができるかと思います。
 最後のお時間をいただきまして、教育の話と、あとはスマトラ沖地震のお話をさせていただきたいと思います。
 今現在、本当に安心、安全が求められている時期ではないかと思います。本当に大きなショックが若者を中心として、我々想像できなかったような状況になっております。我々大学ですので、本当に中学校、小学校の現状というのはなかなか実態としてはわからないわけなのですが、幾つかの契機を経て今の教育というのがあると、これもぜひ我々は把握しておかなければいけないことであると思います。特にこの影山先生という広島の先生が指摘している点が2つございます。1つは1980年代でございます。この時に何が起こったかというと、子供たちが、特に小学生ですね、まだまだ若い子供たちが夜眠らなくなったということがございます。なぜかというと、今までテレビというのは一家に1台、これはお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんがコントロールして、「じゃ、もう寝ようか」ということで、そんなに夜更かしはしなかったわけなのですが、この年代あたりから、実は1人に1台の時代になりました。また、子供たちが1つの部屋を持っている。つまり、好きな時に幾らでも見れる時代になったというのが80年代でございます。同時に、テレビゲームが。テレビゲームをやらないと仲間に入れてくれないというような状況もあるぐらいテレビゲームというのは普及したということがあります。
 そうしますと、眠らなくなった生徒はどうなるかというと昼間寝てしまいます。授業中、私も経験ありますが、中学とか高校とか大学になるとどうしても居眠りはしますが、小学校の時にはそんなにはなかったと思います。夜遅くまで夜更かしをしているために、実は学力が寝ているために落ちている。しかしながら、早く寝るお子さんというのはきちんと先生が説明しているときに聞きます。また、常に関心も高い状況を持っていますので、学力が高いという状況がございます。残念ながら、この時代ぐらいを契機に子供たちが眠らなくなったという状況がございます。
 もう一つの契機が1990年代です。つまり、個人を重視することによって基礎知識、基礎学力が非常に欠如してしまっているという状況がございます。これは、実際の教育指針から言えることでございますが、今まで特に小学校では先生がある意味強制的に九九であるとか、漢字であるとか、あとは算数であるとか、これをしっかり教えてございました。しかしながら、この年代から、では算数が嫌いな人は社会でもいいよ、または絵をかくことでもいいよという自由度が得られた分、実は基礎的な学力というのは非常に軽視されてしまいました。残念ながら、子供、生徒さんというのは指導するものではなくて、小さい小学生であっても、自主的にあるものはそれを尊重するというような状況になりました。そのために、残念ながら重要な科目に対する時間数も少なくなってしまった。基礎科目だけではなくて、例えば道徳であるとか、あとは地域の歴史であるとか、そういうものの時間も少なくなってしまったということも現実でございます。こういうものを契機に、こういう状況を踏まえる中で、今、2000年があるということが言えるかと思います。
 防災に関しては、この95年あたりに阪神・淡路大震災が出まして、6,000名以上の方が亡くなりました。いかに命が大切なのか、また地域で助け合うことも大切だということもわかったものでございます。これを契機に兵庫県では、教育の中に防災教育というのが非常に積極的に入った。これがいい形で教育現場も変わりつつあるということも事実でございます。こういう教育でございますが、これは実は学校だけでやるものではございません。やはり地域というものも必要であります。基本となるのは家庭でございます。こういうものをやはり連携しながらやっていくということになります。
 国際的な教育というのは、実はもうインターネット等が、またテレビ、メディア等も発達しまして、本当に海外の事例が身近になります。また、身近の事例が海外に発信されます。国際的な内容も十分地域で教育できる状況になっております。一方、学校というのは大体地域の避難所になっております。つまり、地域での安全の拠点になっております。しかしながら、今、校内での安全確保のために不審者といいますか、一般の方は簡単に校庭であるとか、建物の中に入れないという状況もつくりつつあります。自然災害、またはさまざまな事故に関しては拠点であるということも不審者の方がいるために、学校というのはクローズの形で内的な、囲ってしまうような安全対策をとりつつあるということでございます。
 こういう中で、どのように学校、特に先生方が安全の拠点というのを考えていただくのか、これも大きなテーマであるかと思っております。内側で守る安全というのは実は限界があります。幾ら警備とか、幾ら体制をやっても24時間、また1週間におきまして7日間それを守ることはできません。内側の安全ではなくて、地域の方も巻き込んだ安全というのがやはり理想的なものでございます。それを考えると、やはり自然災害に対する避難所、安全の拠点ということもやはりクローズアップして、地域と一緒に考えるということが大切であるかと思います。
 補足資料はまた後で見ていただきまして、もう一つ最後に見ていただきたいのがスマトラ沖の映像でございます。
 (スライド上映)
 たくさんの映像が当時撮られ、我々が目にすることがありますが、きょう見ていただきたいのはその中でもタイで撮られた映像でございます。カオラックという新しいリゾート地で撮られたものでございます。これは非常にきれいなビーチでございまして、砂浜もある。また、きれいな、こういうデッキのところもあるというところでございます。最近開発された世界でも有数なリゾート地でございます。今見えています。これが津波の第1波になります。実は、このレキというのは、この時間帯ではこんなに干上がることはありません。実は、引き波という津波は、既に第1波はこの沿岸部に到達しております。にもかかわらず、ここにおられる観光客の方、また住民の方だれ一人逃げようとはしておりません。これはもう既に干上がっております。この干上がっている、引き波が来ているという異常さが彼らにとっては理解、わからなかったということになります。
 一方、ここよりちょっと離れたところがございますが、イギリスの少女が、小学生でございますが、たまたまここに来る前に小学校で津波ということを勉強した。引き波が来るというのを勉強しまして、この状態をいち早く理解して、周りにおります100人の方を助けております。しかしながら、ここに、今見えている映像は、そういう方がいなかった。だれ一人タイで津波に関する知識がなくて、今目の前に来ているこの異常な波、これを理解することができなかったということでございます。
 これが、ちょっと砂浜に色が付いてございます。これは本当に数十分前までここが波際だったのです。それがぐっとあっと言う間に引いたのです。これもわからなかったということになります。
 今この船が2隻ございますが、この2隻というのは実はタイのプミポン国王のお孫さんの護衛のための船でございます。彼はジェットスキーが好きでして、このリゾート地でよく週末レジャーをされているそうです。実際このときにも早朝ジェットスキーに乗られておりまして、彼を護衛する護衛艦が2隻ついております。この護衛艦、ちょうどここに人影が見えます。これが実はお孫さんでございます。彼は残念ながら津波によって流され、命を失いました。そのために国王もこの地震、津波に対する特別プロジェクトを設けまして、防災教育を特に熱心にしております。この2隻も、護衛艦も今は津波の第1波によって飲み込まれました。この護衛艦の高さは恐らく4メートルから5メートルです。その半分以上を飲み込む津波でございますので、少なくとも3メートルぐらい前後の高波であったということです。
 しかしながら、こういう船があると3メートルとか5メートルとかわかるのですが、ただ単に砂浜に立って白波を見ても、なかなか確かに一般の方はこの高さという実感はわからないということも事実でございます。こういう貴重な映像がございます。これはぜひとも学校であったり、あとは地域で見ていただきたい。津波に対する知識がないと30万人、少なくとも23万人と言われておりますが、こういうことの大きな犠牲が出てしまうということになるわけです。
 我々、今三陸沿岸で評価しておりますが、例えば明治地震津波が来るとすれば、その被害、亡くなられる方は恐らく5,000名とか、そういう数字になります。しかしながら、津波が来る、影響するエリア、そこに住んでおられる方というのは実は5万名以上おります。5万名以上の方が、我々推定する際に気象庁の情報があって、迅速に避難するであろうという仮定のもとに出した数字が5,000人でございます。それが対応が遅れたりすると最大何万名、それに観光客の方が含まれます。そういう数字にもなってしまうということもぜひ御理解いただきたいと思います。
 新聞等では、恐らく数字だけが出ます、数千、東南海、南海に比べたら数字は少ないのですね。実は違うのです。危険性としては非常に大きい。さらに、東南海、南海よりも地域に対する影響は大きいのだというものも我々は伝えなければいけないと思っております。
 あと津波に対して、よく50センチの津波とかという数字が出ます。この数字も怖いのです。数字というのは、本当に正確ではございますが、実は現象の実態をきちんと示すものではございません。大体1メートルというのがございます。その半分でございますから、50センチというのは本当にわずかなのでございます。しかしながら、そのわずかなものであっても、わずかな津波であっても、津波というのは全く威力が違う。普通の波は本当に50センチでも穏やかな、来たり、また引いたりするものでございますが、わずかな津波50センチというのはとても違います。それを御理解いただくことも大切だと思います。そのために横須賀にある港湾技術研究所というところで実験をしてもらいました。今は普通の波なのです。50センチ程度なのですけれども、これは大丈夫なのです、立っていられます。この後に来る津波、これが同じものですが、もう全然立っていられない。来る津波の勢いが違うのです。後から、後から一気に流れてしまう。こういう状況を一般の方に見ていただく必要があるかと。
 これは普通の波です。もう一回普通の波があります。その後に津波が来ますが、本当に波というよりも物すごい流れ、こういうものが津波の実態でございます。こういうものもぜひ御活用いただいて、正しい理解のもと地域で防災対策を進めていくということが本当に必要になるかと思います。
 私の御説明、または今回ちょっと特に伝えたい防災教育の内容を含めさせていただきました。どうも御清聴ありがとうございました。
○柳村岩見委員長 今村先生、大変ありがとうございました。
 それでは、質疑、意見交換に入ります。
 ただいまのお話について質疑があればお願いをしたいと思います。
○平沼健委員 どうもありがとうございました。私は、実は宮古に住んでおりまして、津波とか、地震について、そういうような経験もございますけれども、今地震が来て、それで広域で防災無線を使って、津波注意報あるいは警報というような形ですぐ連絡してくれます。津波の被害というか、それから逃れるためには、やっぱりそういうハード的なものも当然必要ですけれども、これは別にして。逃げるのが一番だというふうに思っていますし、避難する場合に、やっぱり十勝沖で地震が発生して大きな津波が来るということを想定してみれば、時間はあると思うのです、三陸沿岸に来るまで、到達するまで。その間に避難はできると思うのですが、今の話だと宮城県沖等が近いわけですし、そこで今度はどのくらいの方が逃れるかというか、避難できるかといいますと時間との競争というかですね、そこだと思ってちょっとお尋ねしたいのですけれども、最悪というか、最短で宮城県沖、これから起きようとしている大きな地震を伴ったものが、地震が三陸沿岸、地域によっては相当違うと思うのですけれども、距離がありますので、大体最低でもどのぐらいの時間を想定しなければならないのかということがもし想定ができれば、それをもとにした各地域での避難というか、そういうこともやっぱり考慮しなければならないことなのです。これは、健常者に限らず寝たきりとか、いろんな方が町内におるわけで、その方々と一緒にどういうふうな形でということで、今そういう地域、地域でもって話し合いもされているような状況なものですから、時間が最低、長ければ長いほどいいのですけれども、どのぐらいを想定しているかということが1つ。
 それから、もう一つは、これまた別なことなのですが、先ほどシミュレーションで宮古の鍬ケ崎地区だと思うのですが、何回行っても本当に大変なことになるなと思います。それで、ああいうシミュレーションを宮古の場合に湾口防というのがないのです。各波打ち際に防潮堤をずっとやってきています。ところが、片一方の自治体では湾口防をすき間開けながら造って、それも一つの津波の防止というか、そういうのは地域にございますね。その湾口防というのはどの程度の効果というか、そういうものがあるのか、これも合せて教えてください。
○柳村岩見委員長 今村先生、お願いいたします。
○今村文彦参考人 まず、第1点でございますが、こちらの図が、ちょっとわかりづらいですね。まさに津波の到達時間というのは地震の発生した場所、津波の発生した場所と我々のいる沿岸の距離と海底の地形によって違います。水深が深いとあっと言う間に来ます。浅いとゆっくりにはなります。一番岩手県で最短で来るケースが恐らく宮城県沖連動タイプであると思います。それに対しては、恐らく南部の地域でございます。大船渡とか、陸前高田とか、ああいうところに津波の第1波が来る。
 詳細な結果を実は県の方で出しております。それをハザードマップで出しておりますので、地域においての詳しい情報はそれを見ていただきたいと思いますが、やはり結構早く津波が来て、やはり10分とか20分ぐらいで影響するような津波が来ると思っていただきたいと思います。
 通常、宮城県沖を除いて、例えば明治であるとか、昭和の場合は今度もうちょっと離れた場所で起きます。そうしますと20分であるとか、30分余裕がございます。通常そういう津波を経験した方たちは大体その数字がどうも残っているようですね、20分、30分。だから、ある程度落ちついて対応できるということがあるかと思うのですが、宮城県沖の場合はそれよりも早く来ます。それぞれ明治、昭和、宮城県、それぞれについてこちらの県の総合防災室の方で具体的な到達時間の浸水域は出しておりますので、ぜひそれを見ていただきたいと思います。
 2つ目の話でございますが、湾口防波堤がどういうふうに影響するのか。それに関してはこちらを見ていただきたいと思います。まず、こちらでございます。今、右から津波が入っています。赤とか、青とか、これから繰り返し津波が来ます。大きなこういう湾ですと、入り口が広くてこちらが狭いですので、それによっても波高ががっと大きくなりますね。さらに、こういう振動現象が起きます。この振動現象がちょうど津波が持っている周期と、あとこちらの湾が持っている周期が一致しますと、ちょうどブランコを揺すって、そのタイミングに合わせて揺すると大きくなるように、ここで非常に大きな津波が起きます。これが三陸の津波の非常に怖いところなのです。こういう入り江とか湾がたくさんございます。
 それに対して、ではこういう入り口に湾口防波堤を造ったらどうなるのか、これを見ていただきたいと思います。下が比較で先ほどの何もない状態です。色が濃くなっています。それに対して、ちょっとここは切っていないのですが、真ん中だけ切った湾口防波堤を入れてみます。同じ波を入れておりますが、まずはここで入る津波をある程度制御する。しかも、この中で、先ほども一緒に揺れる固有振動、また共振と言われる状態なのですが、それはほとんどなくなります。これによって、少なくとも半分以上の津波が低減できるということが言えるわけです。ですので、奥に関しては非常に効果がある。ただし、注意として頭に入れていただきたいのは、内部はいいのですが、ここの地域は逆に防波堤によって波がぐっと高くなります。ですから、湾口防波堤がない状態よりもどうしても津波が大きくなってしまいます。ですので、どこを守るかということです。この奥であればいいわけなのですが、ここはこういうものをつくったらそれなりに対応しなければならないということでございます。これが1点。
 もう一つは、先ほどのこういう固有振動を制御するということで、この場合はいいわけなのですが、例えばチリ津波のような、うんと長い津波が来ると、実はどんどん、どんどんこれでも入ってしまいます。周期に応じて非常に対応できる場合と、場合によってはこれがあってもなかなか対応できない場合もございます。これも技術的な限界になります。ただし、これがあることによって、ある程度はもう絞れるのですけれども、固有振動、または共振をなくすということではなかなかこの構造では難しいと思うのです。
 最後は、これは技術的な問題ではないのですが、これは予算的な問題です。非常に予算かかります。物すごくかかります。何十億ではないです、何百億でもないのです、何千億なのです。これだけの投資をできるかどうかというのが最も重要な問題になってきます。よろしいでしょうか。
○藤原泰次郎委員 実は今、先生からもちょっと話あったのですが、チリ津波地震、あの地震についてはどうも私も、いろいろ新聞等、テレビ等でも解説は出たわけですが、納得いかないというか、もちろん私は素人でございますので、地球の裏側で発生したものが被害があるからと、ハワイでも、どこでもすべてが震源地に近いところが被害が大きくて、だんだん日本に来る場合は弱まるだろうというような全く素朴な感じ方をするのですが、その理屈はどういうものかちょっと教えてください。
○今村文彦参考人 まさにそのとおりです。地震の揺れとか津波においても、やはり近いところが大きいわけです。そういうところで被害が出ます。チリ地震津波におきましても、日本でも150名以上の方が亡くなって大きな被害が出ましたが、それよりもやはりチリですね、ここではもっと大きな被害が出ました。実際の津波も20メートルを超える津波でございました。日本では大体5メートルから、大船渡とか、あのあたりは7メートルぐらいと記憶してございます。ですから、規模としては、やはり離れた分大きさは小さくなる。どのぐらい小さくなるかなというのはこちらを見ていただきたいと思います。
 (スライド上映)
 チリ沖で発生した津波というのは、大体5メートル以上のこういう海面が上がったり、下がったりしまして、チリのこの付近ではそれが3倍も4倍にもなりました。沖側にこういう沖合といいますか、太平洋岸に出ているものもございます。津波のこの周期というのが上がったり、下がったり、また上がったり、この周期が1時間となりますので、非常に長いです。この距離が何百キロとなります。長さが800キロ、横の幅でもこれが200キロ、300キロと物すごい長い波です。
 こういう長い波は1万7,000キロ離れておりますが、全然弱まることはないのです。形は確かに変えるのですけれども、弱まることはありません。しかも、7時間くらいたったと思うのですが、これがハワイです。この真ん中の部分、ここから来るちょうど真ん中の部分が津波の大きさ、波が大きいところでございます。端っこは余り大きくないのですが、ちょうど対角線のこちら、ちょうどハワイがあり、日本があり、ここでエネルギーが大きいものがちょうど集まってしまっているのです。
 今17時、11時間後にハワイに到達します。ハワイもそうなのですが、まさかチリでの津波がここまで来るとは思わなかった。これが被害を大きくさせた原因なのです。津波自体はそんなに大きくありませんでしたけれども、しかしながら全く予測しなかった不意打ちのものでございますので、ここでもヒロという場所を中心に大被害が出たわけです。
 この大被害は、当時気象庁にも情報が伝わりました。しかしながら、気象庁もまさかハワイでの津波が日本に来るとは思わなかった。しかも、地震は1日前のチリで起きているのです。それが日本に来ると思わなかった。当時5月24日でしょうか、24日の早朝、実際に北海道から沖縄までずっと波が引いたと言われていますが、引いて初めて津波だというのがわかりました。第1波が記録されてから何時間もたって警報が出て、実際100人以上の方が亡くなってしまったということでございます。規模としましては、ここは5メートルから7メートル、恐らく避難すれば全員助かったと思います。しかしながら、避難するための警報がなかった。しかも、揺れという前ぶれが残念ながら、地震は途中で減衰してしまって感知するものがなかったということでございます。
 全く同じことがスマトラでも言えまして、スマトラが起きたインドネシア、スマトラ島では揺れがわかったのですが、先ほど見ていただいたタイ、スリランカ、またインド、さらにアフリカ、各地域では全く揺れがなかった。しかも、この地域では津波警報システム、体制、設備がなかった。やはり不意打ちでございました。それで多大な犠牲を出してしまったということでございます。
○佐々木俊夫委員 今のチリ津波ですけれども、私自身も実は海岸の出身でございます。よく先輩、長老たちから聞いているのですけれども、私どもは通常地震があって来るのが津波。地震がなくても来たのだと、それはヨダと言います。使い分けています。したがって、今のチリ津波はまさにヨダです。ところが、後で津波だと言うのですけれども、歴史的にはそう言われてきた。
 そうしますと、先ほどの三陸宮城県沖地震、これ過去の例から、これは地震と津波の関連で話しているのですけれども、今のような地震がなくて来る津波、こうしたものは実績とはまた別にあるわけです。したがって、30年間隔だとか40年間隔ではなくて、その間、間には今のようなものがあるのだと。そういうことだと思うのです。
 チリ津波については、私も体験していますが、まさに引き潮から始まって、それが非常に緩やかなものですから、海岸の方々はそこに魚がぱたぱたしているから、海に入っていった。そして、それを持って逃げてきてもまだ来ないのです。また、自然に津波が来る。これは何十分間隔で来る。そういうことであったのです。そういうことも、津波ということがただいまの先生のお話の中にはなくて、したがって避難対策だとか、そうしたことには今のチリ津波のような、いわゆるヨダがあるのだよということが感じているところでございます。
 それから、避難、やっぱり最後は逃げるしか、ということで避難訓練等をいろいろやっているわけですけれども、昨今非常に参加者が少ないのです。参加しているのは消防団と役場職員だけで、一般の方々はおまえたち何しているのだと、何で参加しないのだと聞けば、本当に来たら逃げるよと、訓練だもの、参加しなくてもいいのではないかと、こういうことなのです。ところが、これは古い話になりますけれども、私ども子供のころはとにかく学校で津波の恐ろしさというものは再三聞いておって、とにかく子供はカバンを背負って逃げろと、何にもいいから、カバンさえ背負って逃げればいいものだということだから、背負って逃げたものなのです。ところが、今の子供たちは参加しません。これは、家庭教育にもあるし、ひょっとすれば学校教育にもあるなと。しかも、大抵訓練というのは土曜、日曜日にやるものですから、学校の先生いないのです。よそから通ってきていますので。朝早くから学校の先生来ている人は少ないので、そういうことも不参加の理由にあるのかなと思いながらもするのですけれども、やっぱり参加させる方法、それは先ほど先生は教育だと、まさに私もそう思うのですけれども、では現実にどういうふうにするか、そこに悩みがあるのですけれども、もし何かお考えでもあれば。
○今村文彦参考人 2点ありがとうございます。
 まず、第1点はまさにそのとおりでございまして、いわゆる遠地津波と言われている、日本近海ではない諸外国で起きた津波というのは今回の評価に入っていません。恐らく今年中に中央防災会議からいろいろ結果出るのですが、やはりその結果を見るときにつけ加えて、そういうヨダがあると。過去、チリ津波があって、実際に被害受けているのだと。それを加えて説明いただきたいと思います。
 あとちなみに、こちらの県で作っていただいている防災マップ、ハザードマップの方は過去の1960年のチリ津波の実績は書いてありますので、何かの時にそれもつけ加えて説明いただくと、そういう材料はございます。
 2点、本当に難しい問題ですね。いかに学校、地域で訓練というものを真剣にとらえていただくのか、また正しい知識を積極的にとっていただくのか、これは本当に難しいと思います。個人的にはやはりある程度の義務ということを、今まで負ってた、やはり個人とか、プライベートというものを重視していた日本での傾向がありますが、同時に今の世界では個人とか、地域でやらなければいけないこと、これはもう声を高くして言っていただいていいと思います。その義務、やらなければいけないことを明確にして、それをきちんと出す。やらなければどうなるのか、これも併せて説明してあげる必要があるかと思います。
 あともう一つは、義務ということと、あとはちょっと楽しい、楽しさですかね、それもやっぱりないと続かないかなと。例えばオリエンテーリングとか、山とか海を駆け回ることとか、あとは海岸ではボランティアの方がいて、ライフセーバーの方とかいて、おもしろい訓練とかされているのですけれども、そういうこととジョイントして、また場合によってはバーベキューとかあるものですから、その地域でちょっと楽しいことも取り入れる、また地域でやる活動があるかと思うのですが、町内会で芋煮会とか海水浴やるのだけれども、その中で30分避難訓練を入れていただくとか、そういう工夫が必要かと思います。私は万能薬というのは、これはやればいいよというのは残念ながらないわけなのですが、義務を明確に言うことと、あとは楽しい部分、楽しくて何か参加したことによって得られることですね、参加してこういうことがわかった、気づいた、役に立ったなということをわかっていただければ、今よりもいいかなと思います。
 あともう一つ大切なことは、津波は沿岸部での災害でございますが、沿岸部で対策しても根本的に被害は低減しません。やはり内陸から海水浴、また釣りですね、オールシーズンで釣りの方がいますので、本当に全県で地震、津波、雪、すべての震災に関してきちんと基本的な知識があって対応しなければ、残念ながら被害は低減しない。ちょうど3年前に十勝沖地震があったわけなのですが、2名の方が亡くなりました。先日まで行方不明だったのですけれども、遺体が上がりました。その2名の方は釣り人だったのです。そこに、沿岸に住んでいる方ではなくて、ちょっと内陸に帯広市というのがあるのですが、帯広から来られた方です、車で来た方です。こういう現状を特に見ていただきたいわけです。日本海中部でも100名亡くなったのですが、6割、7割は住民の方でありまして、小学生、釣り人、あとは工事の現場で働いている方ということでございます。よろしいでしょうか。
○高橋比奈子委員 私は盛岡なものですから、津波というのは人ごとのような、子供にはそういう教育をしていたということを防災の委員会に入ってずっと反省をしておりまして、きょうの今村先生のお話、百聞は一見にしかず、映像の凄さをきょうは本当に感じさせていただきました。
 それで、子供たちの教育に関して、ちょうどイギリスの方の学校教育で受けたので、皆さんを100人助けられたということなのですけれども、世界の中や日本の中で、学校教育の中で防災をしっかりとお伝えしているところというのはどれぐらいあるものなのかをもしおわかりでしたら、また日本の中ではどういう位置づけなのかということも簡単にでいいですので、ぜひお知らせお願いしたいと思います。
○今村文彦参考人 地震、津波に限らず自然災害という幅広い視点で世界を見ますと、非常に先進的であるというのがニュージーランドがそうです。また、イギリスとかヨーロッパもそうです。考え方はアメリカもそうなのです。アメリカはちょっと国土が広過ぎて濃淡があるので、全体的にはそういう小さな区切りになっています。そこでは、個人の義務というのは非常に強く求められます。特に国立公園等の公園があるのですが、ほとんど安全とか、または危険回避とかというのはそこに入ってくる個人になるのが多いのです。そのために入ってくる人に対してはきちんとしたパンフレットだったり、または学校教育で最低限自然災害に関する知識というのが非常に立派なイラストとか写真とかでテキストとしてあります。これがやっぱり進んでいるなと思います。個人の責任がはっきりしているところは。
 一方、スマトラ沖地震が起きまして注目されたのは日本の防災教育でして、「稲むらの火」ということです。小泉首相も、たしかシンガポールの首相と会って、アジアの会議をやったのでしょうか。そのときにシンガポールの首相から、おたくには「稲むらの火」というすばらしい防災教育があるのだよと、だからすごい進んでいるねと言われて、それ以降小泉首相はいろんなところで「稲むらの火」を出すわけなのですが、確かにあります。しかし、それは過去なのです。残念ながら過去なのです。戦前の教科書なのです。現在における我が国の、特に小、中の防災教育というのは残念ながら非常に遅れていると言っていいです。
 それはなぜかといいますと、教材がきちんとない。それも確かにあります。しかし、今、先生が努力すればいっぱいあるのです。県も、あと国も少しずつ作ってはおります。しかしながら、防災教育をやる教科が残念ながらないのです。どこでやるのでしょう。道徳とか、地域の歴史を学ぶところでしょうか。また、総合学習というのが今あるのですが、そういうものがきちんと定められているので、先生方も義務ではないのです。ですから、関心があればそこではやります。恐らく岩手の沿岸ではある先生、ある地域においては防災、津波、地震教育がされていると思いますが、全般的には非常に遅れていると言えます。世界的には日本の防災教育というのは進んでいるねと言われています。確かに「稲むらの火」がありますし、マテリアルはたくさんございますが、現場としての防災教育は大変遅れていると言えるかと思います。
○阿部敏雄委員 先生のお話を聞きまして、初めてチリ津波の現実を見まして、今までは新聞とか何かで見てびっくりしまして、実は私は何度も防災対策特別委員会では言うのですけれども、先生は昭和36年だから、チリ津波は・・・。私は昭和36年に海の前の市場の前に勤めておったので、目の前にいたのです。朝早く市場に行ったら、行く途中に津波があった。どこの津波かと行ったら、一面に海が引けておって。びっくりして。すぐ来ないのです。人が下りたりしていたのです。そのうちに逃げ場失って、走られなかったが、すぐ冷蔵庫の屋根に上がったのです。そして、目の前で何が恐ろしかったかといったら木材でした。近くに製材所が3つばかりあったのですが、その製材所の丸太が一気に来てその冷蔵庫に当たって、その勢いが・・・。50センチの力と言いましたが、何メートルですからね。あと船。船の底が冷蔵庫に当たり、それで津波の恐ろしさということがあって。ゆうべも地震がありました。やはり今言ったように教育ですよね。
 先般の津波の時ありましたですね、実は津波警報が出て。そのうちびっくりしたのが、生徒たちが五、六人でみんな学校に行っているのです。なぜ止められないのかということに疑問を持ちまして、それがまだ決まっていないのかと。
○今村文彦参考人 そうです、決まっていないです。
○阿部敏雄委員 それを何とかできないものかなと。それで議会の方でもいろいろ議論しなければならないと。統一した見解で津波警報が出たならば、発令しなくても登校は見合わせるとか。生徒だけが出てきて、消防もサイレンを鳴らしていない。消防車だけがブーンと。そのうち生徒たちが学校に進んでいるのですよね。
 そういう教育の現場のあれをどういう形で持っていったらいいのかという部分、今日は県庁の職員も来ていますので、予算的な面で防災というのを、それ相応の予算がつけられないというのはどうだかわからないけれども、問題は一般町民とか、一般市民とか、やはり行政にある程度おんぶにだっこするような・・・。予算措置がなければ、ある程度の部分しかできないということなのです。ただ、田老とかはそういうのがあるが、ないところはいっぱいあるのです。ですから、そういう予算措置とか、先生の場合は専門の分野であるでしょうから、どういう形で進めたらいいのかそれをちょっと。
○今村文彦参考人 予算に関しては、地域で皆様方、住民の方が必要だと声を上げていただかないとそれに反映されないですよね、それがまず第一だと思います。
 岩手県では非常に感心している活動がございまして、具体的には宮古市で先生方、教育で防災教育をしっかりやろうという取り組みが始まっているというふうにも伺っております。そういうところできちんとしたものを作って、教材だけではなくて人ですね、人のネットワーク、先生方のネットワーク、あと行政とのつき合い、そういうものができると思います。それをぜひ周りに引き受けていただきたいと思います。
 こういう活動に関しては、恐らく予算は余り要らないのではないかなと。本当にハード的なものと比べますと、本当に桁が幾つも変わるぐらいの、下がるぐらいの少ない予算でできます。問題はやるかどうかだけです。特に教育に関しては、教育委員会という独立した組織がありまして、これは私の個人的なもので非常に正確ではないのですが、どうしても自主的なものがあって、我々、安全教育が必要だねと言ってもなかなか入れていただけません。しかし、昨今、社会情勢として必要性は言われております。この教育委員会の中で、しっかり取り組んでいただいて、行政の総合防災対策、または土木、技術的な部分としっかりタッグを組んでいただいて、何をしなければいけないかと考えていただければ、少ない予算でもすばらしいものができると思います。
 あとは最後は継続していただく。継続するには楽しさもないといけないのかなと思っているのですけれども。
 よろしいでしょうか。
○柳村岩見委員長 国土交通省でGPSを平成18年度に何とかつけたいと、先生の実感何かございませんか。
○今村文彦参考人 状況ですか。
○柳村岩見委員長 ええ。
○今村文彦参考人 今現在GPSに関しては、まずはどういうふうに利用できるのか、それの検討委員会が始まりました。あとそれを設置するための予算措置も内々でしょうか、ちょっと聞かないとわからないですけれども、オーケーをいただいていると。どこに置くか、それを決定しなければいけないところだそうですが、一応国の方では何とか予算どりをしていただきまして、ただ、今、特に財務省が100%国の対応というのはなかなか許されないのだそうです。やはり地域に対しても、それ相当の負担をしていただきたいということで岩手県、宮城県にもちょっと予算的なサポートをしていただくことになると思います。
 最も大切なのは、今こういう形で、恐らく1機か2機か何機かできると思うのですが、それがいかに地域にとって大切で、被害を低減することができるのか、その実績をここでぜひ作っていただきたい。そこができますと、今度はそれが全国展開できますので。今懸念されております東海、東南海、南海でも欲しいのです。欲しいのですけれども、切迫性からいうとこちらの方が優先ですので、まずそこをつけてもらって、その状況を見て、特に状況を見ているのが財務省なのです。財務省の方が、あそこつけたのだけれども、どのくらい効果があるのかなと、それのいかんによって、今後つけるか、つけないか決めようというようなところでございますので、ぜひつけたから安心とかではなくて、どうやってみんなで使ったらいいのか、どうやってそれをまた増やして普及したらいいのか考えていただきたいと思います。そうしますと、まさに岩手から全国に発信、もしかしたら世界中に発信できる技術になると思います。
○野田武則委員 先ほど来、いろいろ質問がありまして、大方課題といいますか、いろいろもう明らかになっているのだろうと思いますが、最後に岩手県の、先生もお話のとおりかなり進んでいるだろうと思うのですが、改めて岩手県の防災対策に対する先生の御所見といいますか、お伺いしたいと思います。
○今村文彦参考人 まずは、岩手県は過去の非常に大きな災害を経験しておりますので、その部分では非常に意識はあると。意識がある中で、特に経験された方の意識はあるのですが、ない方にどう伝えているのか、それはちょっと不足しているのではないかと。ぜひちょうど体験された方がおられるのですが、体験談を皆さんと一緒にそれを聞いたり、また交換するような場が必要かなと思っています。
 あとは、いいところはたくさんあるのですが、ポイントとして今後課題だと思っておりますのが2つございまして、1つは観光地です。三陸というとてもすばらしい観光資源を持っているのですが、そこでの災害対応はやはりまだまだ遅れている、これが1点。
 2点目は企業です。実は社会を見ますと、まさに行政、住民、もう一つは企業です。特に大きな企業は、それなりに地域に貢献する義務があると思っています。特に安全面に関しても同じです。今現在企業内では、ある程度安全マニュアルとか対応しておりますが、企業が積極的に周りの地域のために何かしてあげる、その意識はありません。これは、岩手だけではなく全国的にそうなのです。その意識をやはり変えていただいて、地域を守ることが企業にとっても非常にメリットになるのだという何か展開が必要かなと思います。どうも企業の方にとっては防災対策というのはネガティブな対策でして、わざわざお金を払ってやるのはもったいないねということはありますが、実は一たん被害受けましたらとんでもない被害を受けます。昨年の5月の宮城県沖地震でも沖電気という半導体を扱っているところがあるのですが、そこがちょっとラインが止まってしまったのです、揺れがあって。物理的な被害というのは小さいのですけれども、半導体のラインが止まってしまって、たしか何十億円だと思いますが、すごい損害を受けています。それで、そこでははっとわかったのです。やはり事前に、何十億円もかけられませんが、少しずつでも対応してあげれば、先ほど早期警報システムを入れれば、数秒前に止めてしまえばラインは正常に復旧できるのです。そういうことがわかりつつあります。ぜひその辺も大きな課題として取り上げていただきたいと思います。
○柳村岩見委員長 ほかにありませんか。
 (「なし。」と呼ぶ者あり。)
○柳村岩見委員長 ほかにないようですので、質疑、意見交換を終わります。
 今村先生、本日は御多忙のところをおいでいただきまして大変ありがとうございました。
 本日の調査はこれをもって終了いたします。
 委員の皆様には次回の委員会運営について御相談ありますので、しばらくお残りをお願いしたいと思います。
 次回の委員会運営についてお諮りいたします。4月に予定されております委員会の調査事項についてはいかがいたしましょうか。
 (「委員長一任。」と呼ぶ者あり。)
○柳村岩見委員長 特に御意見等がなければ当職に御一任願いたいと思います。これに異議ございませんか。
 (「異議なし。」と呼ぶ者あり。)
○柳村岩見委員長 異議なしと認め、さよう決定をいたします。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。御苦労さまでした。

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