産業振興対策特別委員会会議記録

産業振興対策特別委員長 小野寺 研一
1 日時 
  平成17年10月27日(木曜日) 
  午前10時5分開会、午前11時30分散会
2 場所
  第3委員会室
3 出席委員
  小野寺研一委員長、新居田弘文副委員長、佐々木一榮委員、川村農夫委員、
 大宮惇幸委員、平野ユキ子委員、菊池勲委員、平澄芳委員、小原宣良委員、
 亀卦川富夫委員、阿部富雄委員
4 欠席委員
  佐藤正春委員
5 事務局職員
  小船担当書記、大崎担当書記
6 説明のために出席した者
 有限会社K・C・S 代表取締役 鈴木高繁氏
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
 (1) ものづくり産業の集積促進及び産業担い手育成について
 (2) 次回の委員会運営について
9 議事の内容
○小野寺研一委員長 おはようございます。ただいまから産業振興対策特別委員会を開会いたします。
 本日、佐藤正春委員から欠席の届けがございましたので、御了承願います。
 これより本日の会議を開きます。本日は、お手元に配付いたしております日程により会議を行います。
 これよりものづくり産業の集積促進及び産業担い手育成について調査を行います。
 本日は、講師として有限会社K・C・S代表取締役、鈴木高繁さんを講師としてお招きをいたしておりますので、御紹介をいたします。
 鈴木さんの略歴につきましては、お手元に配付いたしてございますので、お目通しをいただきたいと思います。
 本日は、「ものづくり産業の集積及び産業担い手育成」と題しまして貴重なお話をいただくことになっております。
 なお、後ほど講師を交えての質疑、意見交換の時間を設けておりますので、御了承願います。
 それでは、よろしくお願いします。
○鈴木高繁参考人 ただいま御紹介いただきました鈴木と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
 まず初めに、資料なのですが、この3枚の資料は何にも面白くありません。ただ、これを使いながら少し思っていることを含めてお話を申し上げて、次の段階で私が何をどうしようとしているかということについて、具体的なお話をさせていただきます。そのときには、資料は用意してありますが、大学の先生とか皆さんは資料で結論を全部出して、プロジェクターで映してとうとうと説明されて、それでわかっていただくというやり方だと思いますが、私は技術屋としてああいうやり方は賛成ではないのです。資料を見られて結論が出ていますと、もうそれでわかったということで、実は余り残らないのです。ですから、私の話の進め方としましては、今日は最初に投げかけをさせていただいて、次に一緒に答えを考えていただきながら、鈴木の考えを聞いていただいて、お願いも最後にやりますが、ぜひ聞いていただきたいと、こんなふうに進めて参ります。小一時間、もしかしたら5分か10分オーバーになるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、昭和49年に岩手に来て、岩手県人31歳になりました。岩手が大好きです。北上はもっと好きです。私は今、ある会社を退職しまして、北上川コーディネートサービス、それを省略してK・C・Sという会社を興しました。北上川は縦断していますけれども、支流河川を合わせると岩手県全部関わっているのではないかと思うのですが、北上川地域の中小企業の皆さん同士を結び付ける、あるいは大学と結び付ける、あるいは中央の大会社と事業で結び付ける、人と人を結び付ける、こういうコーディネートの会社を興してやっておりますが、残念ながら会社の業績は思わしくありません。まだ岩手県には情報にお金を払うという、そういう文化といいますか、仕組みがありませんから、大体が経済産業省のお手伝い、岩手県のお手伝い、岩手大学のお手伝い、北上市のお手伝いで、大体人生の7割ぐらいはそこで、あとの3割ぐらいは自分の会社を運営していますから、自分の会社の運営というのはもうほとんど放っておいているような状態です。ただ、定年になったら、28年間岩手県でお世話になってきましたお礼ということで、私は岩手に学ぶ場、学びたい場、学べる場、働く場、働ける場、働きたい場、これを一民間人としてみんなと力を合わせて、そういうものを次の世代に残してあげようと考えています。そんな人生です。
 そういう前提で、ものづくりに今大変力をかけて皆さんとわいわいやってきている理由は、今の日本は、国債、地方債全部合わせるともう1,020兆円です。1秒当たり226万円の借金が増えている国です。岩手県も1兆3,000億か1兆4,000億ぐらいの県債を抱えています。私の住んでいる北上も460億、隣の花巻で390億、こういう債務を抱えています。
 そうしますと、議員の皆さんのなされること、国会でなされることとは別に、我々ものづくりの企業というのは、付加価値を上げて、利益を出して、税金を納めます。ですから、次の世代に学ぶ場、働く場を残すということは、そういうところで私たちも生きなければいけないという、これで自分の人生は今何をするかということを決めて生きています。そういう前提で私のお話を聞いていただきたいと思います。
 まず、3枚の資料に従って若干、この資料から何を思ったかということをお話しして、ではそれに対してどういうことをするのだという話に話を進めていきたいと思います。
 3枚目の1ページのものづくり産業の集積促進、集積ということについては従来岩手県が生きようとしてきた精密で力を付けた。それから電子、情報、電気、一般機械に力を付けてきた。その過程の中で、大括りで言えば、手のひらサイズの大きさの物のものづくりというのが集積してきて、その一番先に書いてあります電気、電子、機械、精密、従来型産業については、皆さんが言われているものづくり産業の集積促進ということについて何で括るかによっては、集積促進は進んでいる、かなりの力を持っていて、もう十分いろんな備えがされていますよ、というふうに理解してよろしいのではないかと思います。
 ただし、2番目に書いてあります自動車に対しては自動車の歴史はありませんから未整備です。関東自動車工業さんが平成5年から事業を始めて、今までの間にどれだけ自動車の産業に入っていこうかというふうに考えたかというと、それは頭の中では何かしていかなければいけないと思っても、現実には誘致企業さんの指導によって二十数社の会社がわずかな仕事をいただいてやっているということ、それに気がついて今経済産業局も、岩手県も、北上市もいろんな施策を講じてきているわけですが、言い方を変えれば、今まで何で生きるかということについては、その集積がされてきたわけですから、それはそれでよしと。自動車をやるにはどうしたらいいのかということについては、後ほどの答えの中でしていきたいと思います。ただ、理解としては、産業集積は結構なものがそろっていますよというふうに理解してよろしいのではないかと思います。
 そこの1に最近の傾向とそこから何をつかむかということで、これは最近県から出されたデータを簡単にこういうふうに括ってみました。産業中分類別年次出荷額順位というところで、順位は変わっても、情報、電子、食品が大体名前がいつもそろっています。平成12年から15年まで第1位が、情報、情報、食品、食品となっています。食品というのは食料品ですが、簡単に2文字にするように食品としています。平成14年から関東自動車工業さん、それから誘致企業の皆さんの力が相まって、輸送が第3位、これは単位100億ですから2,400億、平成16年ではついに4,000億になって、ほかを抜いてトップの出荷額になったと。これは、端的にこういうことで、輸送というものが1番になったという大きな変化。
 それから、広域生活圏では、目立つのは胆江地区です。胆江地区がついに岩手中部地区を抜いて1番になったという、これは大きな変化です。ただし、ここで、3つ目の表で見ていただきますと、盛岡の製造出荷額が4,587億円で、粗付加価値率32.5%、岩手中部が41.3%なのですが、胆江の19.5%、これが課題です。売り上げは増えても、実際には付加価値が増えていないということ、ここに自動車産業の集積が果たしていないということが如実に物語っております。それから、地場企業がほとんど参加していない状況、幾らも貢献していない状況、そういうことがここでよくわかります。岩手県の大きな問題は、情報という分野でやはり付加価値率が平成16年度の結果では16.6%という、それから輸送が7.9%という、この付加価値、先ほど19.5は胆江地区としての付加価値率ですから、輸送だけをとらえれば3,995億円の出荷額に対して付加価値は313億。付加価値が313億ということで眺めてみますと、電子が1,377億、食料品が1,036億、一般が1,026億、岩手県では1,000億円以上の付加価値を上げている産業が3つです。輸送の方は、ずっと下です。売上高は多いのですが、現実に付加価値が低い、ではここをどうしたら付加価値率を上げられるのかということについて後ほど入っていきたいと思います。
 この3つの表からは、岩手県の産業のバランスは情報、電子、食料品、輸送という、これらが大体3,000億から4,000億ぐらいで、そういう意味ではバランスがとれている。ただし、際立った柱がない。それから、皆さんが大きく期待をしている自動車とか電子の産業というのは、思った以上に付加価値率が低いということです。もっと子細に読み取れるのですが、時間の関係で岩手のデータから読み取れるのは、このくらいのところです。どんな産業の位置づけなのか、位置づけというよりも、今のところ、どんな価値を持っているのか、その辺についてここで頭の中を整理して次に進めさせていただきたいと思います。
 自動車産業に向かうとすれば、岩手県が持っていますものづくりの技術、技能、製造力、そういうものが今まで電気、電子、精密、そういうところで培ったものが今自動車メーカーさんにとってどれだけ価値があるか、中部地区の部品をつくっている会社から見たときにどれくらいの価値があるかといいますと、端的に申し上げればほとんど価値がありません。なぜかといいますと、彼らの生産体制というのは、質的にも量的にもさらに優れたものを持っていますから、小さいもの、向こうで大量生産するものを分割して、岩手県に仕事を出すということについては、彼らはメリットを余り持ちませんから、仕事は来ません。その中で、もしあるとすれば、際立った、どこにもないもの、あるいは業界の中で1位になれるような力、そういうものを持つか、あるいは自分の経営資源のありったけのもので、自動車に対して、例えば軽量化に対して、あるいは燃費改善に対して、安全に対して、あるいはコストに対して提案ができる力を持っていれば、そこのところが相手にその願いが聞き届けられれば仕事があります。そうすると、ここで自動車ということについて向かうとすれば、何が欲しいかといいますと、大きなものができる、アイデアを運んでくるのですから、空気を運ぶようなことをこちらが自分でできるとすれば、岩手県内から関東自動車さんに運べばいいわけですから、輸送費は端的に言えば安くなる、その分だけコスト競争力が増す。反対に岩手県が中部地区に、あるいは九州にものを売ろうとすれば、途方もないコストがかかりますから、そこのところはその輸送コスト分だけ製造コストを下げなければいけないという悩み、苦しみがあります。自動車産業に向かおうとすればということでは、本当に優れたものを用意する、あるいは大きなものができるようにする、いろんな提案ができるようにする、後ほど具体的なことに触れさせていただきたいと思います。1ページ目はそんなところであります。
 説明を次に移ります。ものづくり産業の担い手育成。これは単に頭の中にあるものをぱっと拾い出したものですから、これも余り意味がないかもしれません。ただ、どんな人が必要かということについては、技術がわかる経営者及び後継者。大変失礼ですけれども、私はものづくりで付加価値を上げていこうと考えていますから、ものづくりの経営者は技術がわかる経営者で、今MOT、マネジメントオブテクノロジーという、いわゆる技術経営です。MOTのことをいろいろ勉強なさる方にとっては、私の論理というのは他愛のない論理かもしれませんが、今の技術を今の事業にそのまま生かして、今の事業が発展していけるのか、今の技術を新しい事業に何か振り向けて、新しい事業を伸ばしていけるのか、今度事業から見たときに、今の技術ではだめだから、新しい技術を取り入れなければいけないのか、技術を2つに分けて、事業を2つに分けて、それを平行軸で、エックス軸で交差させて考えて、では自分の会社の経営資源をどうしなければいけないかということが展開できるためには、やはり技術がないと、実際にはこれからのものづくりの経営というのはなかなか伸ばしていけないというふうに思います。それから、事業プランナーですから、事業の計画、立案ができる実行者、事業の変革立案ができる実行者、事業を変えたいというときに何に変えるか、それでは何の経営資源をどうしていかなければいけないのか、そして考えて実行できるような、そういう実力を持った人、言えばもう経営者になるのですけれども、こういう人をどう育てるか。マネジメント技術者、生産管理、工程の改良、新製品開発、いろんなことができるマネージャーをどう育てるか、技術者を、技能者を、これはここに書いてありますから、1つ1つ申し上げなくてもよろしいかと思います。今何を目標に話をしているか、何を目標に皆様が考えられているかを考えれば、こういうところで実力を持った人を各社に、あるいは県としてそのことについて支援ができるパワーも持たなければいけないということを私としては言いたいわけです。
 どこで育てるか。ものづくりからいいますと、今度岩手大学大学院に金型・鋳造工学専攻が平成18年度からスタートするわけですが、これは大変いいことだと思います。岩手県はこれからものづくりの何で生きていくかというときに、私は日本という国もそうだと思うのですが、金型なのだと思うのです。金型のいろんな金型、プレスの金型、プラスチックの金型、ゴムの金型、鍛造の金型、キャストの金型、とにかくありとあらゆる金型が縦横無尽に力があって、縦横無尽な展開が図られるとしたら、そこでできた金型で物がつくられて、物と物とが一緒になってメリットになる、モジュールになって、最終組み立て品として自動車メーカーさんだけではなくて電子、電機メーカーさんにも納められるようになるわけでしょうし、金型というのは、私の思いは産業のコメ、これがどれだけ力を持つか。それで鋳造と一緒になって相乗効果を発揮する。岩手県の産物が機械だって何だって鋳造について少しおろそかになっていますけれども、これからますます重要な位置を占めます。特に大型金型は、鋳造と金型を一緒にして進めるということをしないといけないことがありまして、これも後ほど具体的なところでお話を進めたいと思います。
 大学では、岩手大学でも県立大学でも基礎研究が十分行われ、そこに応用力をつけると。ものづくりから考えていますから、そういう見方で見ています。だから、岩手大学地域連携推進センターが大学の授業として地域との連携、そこに学生を入れて、学生が大学を卒業して社会に出る前に、地域社会あるいは企業と触れ合うことによって、自分の研究課題を生かすと、あるいは即戦力に近い人材を育てるという意味でも、岩手大学地域連携推進センターが学生をそこに入れて体験をさせるというのは、大変結構なこと。それは一関高専も平成16年度から地域連携活動をしています。勉強の上で地域との連携が図られれば、それは大変生徒、学生にとっての力がつくわけですから。
 それで、一番の問題は工業高校です。資料2ページのものづくりの多くを担っているが、のところにクエスチョンがついています。今岩手県の工業高校の卒業生を企業が、北上の場合に黒工を採りたいよ、水沢の場合に水工を採りたいよ、盛岡の場合に盛工の卒業生をじゃんじゃん採りたいよという中小企業の経営者がどれだけいるかということを見たときに、余りいません。誘致企業が大分誘致されて、誘致企業の皆さんの感想を聞きますと、やはり岩手県の人材はいいねというふうに言ってくれます。どこの学校も大体トップの人たちをみんな連れていってしまいます。あと残った人たちが中小企業に行きます。後ほどまた話が出てくるのですけれども、工業高校に入学するのに数学がゼロ点、各試験が行われたときにゼロ点、卒業までゼロ点で卒業していく子がどのくらいいるかということをお調べいただきたいと思います。そういう子では企業は使えません。使いたくても使えません。これも後ほど触れさせていただきます。
 問題は何かというのは、工業高校のレベルが低い。だから、工業高校のレベルを上げるのに最低レベル、目標レベル、理想レベルということについて言えば、入学資格の最低レベルはどこなのでしょうか、目標レベルはどこなのでしょうか、理想的なレベルはどこなのでしょうか、1つ1つについて最低レベルというものを考えざるを得ない。それをやり抜かなかったら、高校卒業して社会に出る子のレベルは上がっていかない。一部の人たちのレベルはいいです。でも、いい人たちは、いわゆる名の知れた会社が持っていってしまって、岩手の中小企業に力をつけてもらいたいのだけれども、なかなかいい人材がいない。勉強ができなければだめかという議論はあると思います。勉強、クラスで最低だったけれども、社会で事業をして立派に大成功している例はたくさんあります。でも、すべての人にそれが適用されるわけではありません。多くの人はやはり社会に出れば競争ですから、競争の下積みになっていってしまう。入学資格、卒業資格、基礎学力、基礎学力の何をどこまで備えていなければいけないのでしょうか。専門学力、実技力、ドイツのようにマイスター制度、そこまでいかなくても、例えば暴論かもしれませんけれども、ゼロ点の人は入学できない、ゼロ点の人は進学できない、それから実力度を何らかの尺度で測って、例えばこの人は工業高校のランクAです、ランクBです、それによって社会に出たときの入社に当たっての初任給の違い、例えば暴論かもしれませんけれども、差別をするということはよくないかもしれませんが、社会に出たら差別ですから、そこのそういうところをわきまえて学校生活を送ってもらう。その下にありますように、学校は学ぶところ、努力するところ、社会は働くことが当たり前、社会人としてもマナーを備えて社会に出る、こういうことが教育で行われなければ、あるいは家庭を含めたしつけで行われなければならないと思います。
 もうひとつ、雇用対策で、雇用側から雇用枠の増大を図るという、これは従来事業をどうやって拡大するかということです。要は新産業の創出か、既存企業の新事業、今までそういうことやっていたけれど新しい分野に入ることについて自分の会社で開発してそういうものをやるのか、受注開拓によるのか。受注開拓も個々の会社が個々にやるのか、集団で、協同組合みたいなものをつくって受注開拓をするのか、最近流行りは、いわゆる集団で、共同で受注体制をとってやるというようなことですが、でも世の中で言われるほど華やかな実績を上げている例はまだ少ないです。
 bはベンチャーの立ち上げです。cは企業の誘致。雇用対策では、雇用側の増大を図るには、企業が自分で努力することと周りと一緒に努力すること、それから国とか県の施策としては企業の誘致、市レベルでも大変盛んに行われています。この企業側の力をつけたり、企業を誘致したりするときに、社会が持っていなければいけない資源というのが3つ上げるとすれば何があるかというと、これは鈴木の思いですけれども、そのところに知的資源がなければなりません。知的資源です。人数が多ければいいというものではなくて、知的資源、ノウハウをたくさん持った、科学技術も研究も相当のレベルで学んで身につけた人、ノウハウを持っている集団、知的資源がなければ、誘致企業が来られたときに人を使うだけ、それではやっぱりだめです。自分が強くなる場合でも人を呼ぶ場合でも、知的資源が勝負、次が人的資源です。自分の会社にどういうレベルの人が、どんなふうに採用できるか。知的資源、人的資源、その次がいわゆるこのテーマであります基盤技術の集積、産業集積がどのようにされてどのくらい協力してもらえるかということがありますが、自動車関連の誘致企業が持っている経営力というものは、物づくりから見たときに技術も技能も管理もすごく進んでいる企業が来ますから、中途半端な力を持っているだけでは企業は使ってくれません。そこで、知的レベル、人的レベル、産業集積レベルをどうするかということが問われます。ここのところが1つ大きなポイントになってきます。
 でも、雇用される側も2番目に考えなければいけないのは、求人されやすい、エンプロイアビリティーというのですが、求人されるにふさわしい、そういう人を用意すること。それから、地域社会も国際的に見たときに、どこの地域に、外国の企業が進出したいかといったら、その地域全体の基礎レベルです。これは当たり前ですが、海外展開をするときに、そういう分野が高いところほど、その地域の基礎レベルが高ければいい人材がたくさん採れるわけです。雇用する側に力をつけることと雇用される側に力をつけることの両方しなければいけないということがあります。その辺で、この概要説明を終わりたいと思います。
 岩手県では、昭和38年に第3次産業が第1次産業と第2次産業を、純生産で超えました。昭和41年には第2次産業、第1次産業を追い越して、昭和49年に純生産が1兆円を超えて、でも第3次産業は単独で昭和53年に1兆円を超えて、平成元年に第2次産業が1兆円を超えました。第1次産業は、そういう意味では1990年ですから平成2年ごろからがピークですか、3,000億くらいで、それであとはずっと下回って、岩手県もそういう意味では4兆7,000億ぐらいの純生産を上げたときからどんどん下がって、今年あたりはどうなのでしょうか、4兆をちょっと超えるぐらいになるのでしょうか。そういう環境にある。では、さっき言いました、学ぶ場、働く場をどうして残すか、やっぱり産業を振興させなければいけないということで用意したことがあります。
 これは、今やっていることと、やろうとしていることを含めてですが、産業の方についてはやっていること、あるいはやろうとしていること、あと高校の問題と基礎学力についてはぜひお願いしたいことがあります。1番目に、金型及び製品の大型化にどう対応するか、これは基盤技術集積の意味合いです。実は、2番目の方を先に説明をさせていただきたいと思うのですが、北上地区にプラスチック関係の会社が3つもあります。3社で共同企業体を構成しました。ライバルです。みんな金型を設計して、金型をつくって、射出成形して、製品化して売っている会社、この同業の3社が共同企業体をつくりました。この意味合いはおわかりですか。ちょっと外れたことかもしれませんが、自民党と社民党と共産党と一緒になったようなものではないですか。ライバルが1つになって、今まで何十年培った設計のノウハウ、金型加工のノウハウ、成形のノウハウ、そういうものを、相手が知りたいものを提供して、それで3社が急速に力をつける。だから、出発点は、1社では受注できないけれども、A社の金型設計、B社の金型製作、C社の成形、これをつなげ組み合わせると、そんじょそこらにない大きな力になります。では、一緒になればいいではないか。お互いに経営者、社長がいて長年自分の会社のノウハウを培ってきたわけですから、そんな簡単にいきません。大分悩みました。そのコーディネートをしたわけですが、1年かかりましたが、この3社は今では非常に協力し合って力をどんどんつけています。
 それで、この間刈谷市で自動車技術展を開催しました。その3社共同で、プラン21というグループで出店をしました。おかげさまで、名古屋地区の会社から、これらについてぜひ挑戦してみてくださいと新たなテーマがここでいただけました。今検討に入っています。そして、これが大事なのですが、イエスという答えを出しなさいと。その3社にはイエスという答えを出しなさいと。どんな手を打ってもいいからイエスという答えを出す。ということは、これがないからできない、あれがないからできないではなくて、3社の中でどうしてもできなければ相談してくれ、あるいは4社目にお願いしてもそのことにイエスという答えを出そうと。この集積を図るということについては、とにかくいろんなところからの注文に対してどうしたらイエスが出せるかということです。事によったら岩手県工業技術センターにお願いして技術を提供していただく、あるいは岩手大学に技術提供をしていただく、そういう組み合わせですから、産と産を組み合わせて何とかならないか、産と官、学をつなげたときにできないか。岩手で今一番必要なことは、この間も釜石で講演を頼まれたので、そのときに社長さん方にお話ししたのですが、社長さん方は部下にできない理由を先に言うなということをよく言われますけれども、私からすると社長さん方ができないということを先に言うのです。どうしたらできるかということを岩手の中に広めることが、実は企業力を高めること、産業力を高めること、集積を高めるということなのです。できないことは何とかして持ってこようしますから、そこで新しい挑戦が始まるわけです。この3社にはぜひ成功してもらいたい。苦労をおかけしますけれども、成功していただいて、こういう組み合わせ、異業種交流というのは全国的に盛んですけれども、同業種ということが岩手県で進み始めているということについては、経済産業省の方々も嘘だろうとこの間言われました。来てみてくださいと。本当だねと。日本がこれからとらなければいけない道の1つには、ライバルであってもお互いに本当に社長同士が腹を割って話し合った、その会社があたかも1つになったら、3社にいい仕事が来るのです。ですから、私のコーディネートの1つの挑戦として、タブーでありました同業者が力を出し合って新しい事業をする、これが実は岩手には必要です。個々が育つまで待っていたのでは、新しい産業の芽が芽吹くのは遠いのです。
 次に、この1番目の話に行く前に、もうひとつ話があるのですが、これも私がしかけたのですが、これは県の方でもこのことについて考えていただけるようになりましたが、機械加工ができる会社の社長さんを関東自動車工業の本社の金型部門に連れていきまして、御社ならばこの金型について加工はできますよと言われたのですが、いや、そんな人材いないし、そういうこと無理だよ。KIKさんに連れていって、この金型ならあなたの会社で加工ができますよ。いや、無理ですね。でも、自動車に入りたい。では、人を出しなさい。関東自動車工業さんに人を出して、いわゆるものづくりの技術屋で、その会社のトップの人に出てもらいました。関東自動車工業さんの技術の方々が、えっ、あの企業にこんなレベルの人がいたの。それでは、金型ではなくてこっちの仕事をしないかということで、大変な支援をいただきまして、新しい自動車の製造ラインの、ボディーの製造ラインにはいろんな部品が入ってきますから、ドアですけれども、ドアに大きな部品を溶接して、その自動車の組み立てラインに乗せていくわけですが、全長25メーターぐらいのラインですか、それを見事に完成して、今年の5月に関東自動車工業さんに納入しました。何にもできない、できないと言いながら、実はナンバーワンの人を派遣することによって相手の会社がいたく感激してくれて、ではということで大変な支援をいただいて、見る間にラインをつくった。そのときに関東自動車工業さんのいろんな人たちが来て、技術も技能も管理も教えてくれて、だからその会社にとってはそのラインができただけではなく、技術、機能、管理、いろんな勉強になりましたから、随分得したのではないでしょうか。お金の点ではもしかしたらそんなにプラスはなかったかもしれませんが、経営資源として得たものは大変大きいのではないか。今度県から企業が自動車関係に人を派遣する場合に補助をしていただくということになりました。大変いいことだと思います。中小企業にとって人を派遣して稼いでもらうのにどれだけ我慢できるかということを考えれば、あの制度は新たな産業を生む大きな原動力になってくれていると、そんなそういう成功事例もありました。
 それで、この1番目のことなのですが、金型及び製品の大型化にどう対応するか。これに書いてあります。鋳造と機械加工と表面処理と情報処理を足して大型化を掛け合わせますと、自動車の金型ができて、大型部品の供給ができます。岩手県では、今まで自動車が要求する規模、大きさに応える企業がありませんでした。でも、6月、7月、岩手県内40社ほど歩いてつぶさに会社を見せていただいた結果、この4社を合わせると、今まで考えられなかった大型、岩手県の大体企業の金型1個の大きさが200キロ、300キロ、500キロで、1トンの大きさの金型はなかなかないと思うのですが、一番大きな金型としては30トンぐらいの金型までできるということが自分の目で確認してわかりました。この情報処理、会社として参加されても企業内の情報処理部門が参加されても結構なのですが、この3社のうちの2社は、鈴木さんやりましょうよと、岩手県の大型の金型をやりましょうよと、もう既に代表者は表明してくれました。鋳造の方はまだ答えが得られません。きのう水沢の鋳造メーカーさんを2社ほど見せていただきましたが、1トンクラス、合計2トンぐらいの金型でしたら水沢地区の鋳物屋さんと機械加工屋さんと表面処理屋さんを、あと岩手製鉄さんが参加していただければ、10トンぐらいの金型は十分できるわけです。あと20トン、30トンのものがもう岩手製鉄さんの方でできないとすれば、秋田の鋳物屋さんにお願いして、鋳物を吹いていただいて、それをこちらに持ってきてやればできるわけです。これができますと、すごい産業になってくるのです。小さな部品が岩手県は得意ですから、それらを合わせていろんな部品が合成されたユニットとして納められるのです。それが実は技術を集積する大きな原動力、先ほどのやり方もそうです、人を出すのもそうです、同業者がまとまるのもそうです、こういうふうに異業種がまとまって1つのものをつくり上げていくのもそうです。これらが進めば進むほど、自動車に関する産業集積はどんどん進みます。実際にしかけて始めています。
 ただ、そこでやはり問題になるのは、2番目のところですが、今までにない大きさの射出成形機を入れなければいけません。射出成形機を入れれば仕事がもう見えるのです。でも、小さな企業は、1台何千万する機械はそうおいそれと入れられません。だから、例えば県も国もそういうところにこそ投資をして、そして利益を出して税金を回収する、そういうふうな図式に持っていっていただけないものかということです。大型をやる場合も、今考えているのは、搬送するためのものはなければいけないが、機械についてはごく一部のもので、あとほかは今持っているものを組み合わせてやりたいというふうに考えている。投資は極力抑えて大型化の仕掛けを今し始めたところです。岩手にとってこの合計で5トン、10トン、15トン、20トンと順次大型化が進めば、トヨタさんではなくて、自動車産業だけではなくてほかの産業まで、今岩手で鋳造するメーカーさんなんかは、大型をやっているメーカーさんは、KIKさんでも鋳物屋さんでも、金型というのはみんな関東方面だとか新潟の方に頼んでいるのです。修理も頼んでいて、お金はみんな外に出ているのです。これを持ってくるためには、岩手に産業基盤として持ちたいのです。持てば持つほどほかの産業も振興できるのです。ですから自動車産業集積については大型化、1つには人を派遣してどんどんつながりを深めて産業集積を持ってくる。それから、異業種交流もいいですけれども、同業種交流もますます図って新たな産業を連れてくる、そのためには新たな技術を培わなければいけないのです。そういうことで、この人を派遣する事業については、県がもうやってくれましたから、それでどんどん進めてもらえばいいです。同業者の仕掛けということについては、この会社群が新たな事業でもうスタートできたという段階になったら、鈴木としては今度は別の会社、同業者を3つぐらいひとまとめにして、また新たな挑戦を行う、そういうふうに持っていきたい。それから、大型の金型ができれば、必然として小型部品をやっている会社は潤ってきますから、これはむしろ県を挙げてこのことについて協力を仰いでやっていきたいと、そんなふうに思っているところです。
 あと工業高校の問題は、これはジョブカフェという言葉を実は借りてしまったのですが、前々から思っていたのですが、生徒と先生イコール学校と家庭と企業とを結びつける。それで子供たちにいろんなことを教える相談相手、専門家も配置すると同時に岩手で生きてきた人、OBになった、OGになった方々、あるいは現役の人たちが学校の中に、1校に1つ場所をつくって、いつでも生徒も先生も家庭も企業もそこに来て交流できる、そういうところをつくって子供たちにいろんなことを教えてやる、わかってもらう、子供たちもいろんな相談に来られるように。この間ものづくり産業振興の一環で、黒沢尻工業高校に行って講演しろと言われて、830人、先生方も全部入れると900人ぐらいの方々にお話ししました。最初から最後まで話を聞いてくれた人は4分の1か5分の1でしょうか。最初から最後まで寝ている子がやっぱり5分の1ぐらいですか。あとは時々顔を上げて。ただし、ゼロ点はだめだぞと叫んだときに全員が顔を上げてくれました。ゼロ点はだめだぞと。最初ゼロ点でも、それはそういうこともあるだろう。でも、次は1点でも3点でも取りなさいと。
 あるオルガン会社に行ったときの話ですが、5時になりますと、子供たちがベルが鳴ると同時に先を争って更衣室に駆け込んで着がえて自転車に、あるいはオートバイの人も、だあっと工場から一斉に出ていきました。私は会社をやっていたときに中国の工場を見に行きましたが、ベルが鳴るとだあっと、とにかくもう1秒でも会社にいたくないような子供たちがタイムカードを押して出ていくわけですが、それと同じ風景を見たので、同じように感じてしまったのですが、工場長さんに、「あの子たちは何で1秒を争って今会社から出ていくか、鈴木さんは誤解しましたよ」と。あの子たちは、町の学校に勉強に行くのですよと。ある人は日本語の勉強、ある人は英語の勉強、ある人はパソコンの勉強。先生の話を聞くのに一番いいところに一番先に座りたいから、先を争って行くのです。その話を含めて高校生に話ししたら、その間じゅうは顔を上げて聞いてくれました。まだ講演の感想文を読ませていただいていないですけれども。
 この高校の問題について、どうしたらレベルが上げられるか、とにかく常駐者がいてどんどん交流を図って、いつでも子供たちが相談できる、あるいは先生の悩みもすごいのではないですか。この間、大変失礼ですけれども、新聞にラグビーで黒と書いてあったから、おっ、黒沢尻工業高校はラグビーの代表になれたかと思ったら、黒沢尻北高校でした。あるとき、どうして黒沢尻工業高校のラグビーがだめになったのですかと、そのときの教頭先生にお聞きしましたら、鈴木さん、ラグビーの練習をしてちょっと怪我したりすると、その場に親御さんが怒鳴り込んでくるのです、先生は指導なんかできないのですよ、とおっしゃいました。ああ、工業高校もこうなったのかと。うちの息子もラグビーやっていましたけれども、工業高校ではないにしても、怪我なんかしょっちゅうでしたから、そんなけがでへこたれるぐらいならやめてしまえということで、また翌日学校へ押し出しましたけれども、何とか3年間やったようです。それは思想、信条いろんなことがあってでしょうけれども、学校というものの親御さんの、あるいは社会の見方、考え方も、やっぱりこういう交流の中から何が大事なのかということをもう一度みんなで考え直しをしないと、本当の意味の強い子供たちは社会に出て来られないです。だから、そこで今度県の方でいろいろまとめて交流を図るような案が出ていますが、そこに常駐者がいて、学校の中に1校ずつ工業高校、実業高校にそういうものを設けるぐらいにして、社会に出る子供たち、それから社会の家庭のお父さん、お母さん方にも社会認識というものもやっぱりしてもらわなければいけないと思うのです。企業も言いたいことも沢山あります。でも、なかなか言えません。だから、交流の輪をどんどん広げられるように、やはり皆さんに力を貸していただきたいと思います。
 それから、基礎学力なのですが、どこを基礎学力の基準とするか、小学校5年生の国語、算数が履修できていること。これはおわかりですか。平成16年1月の新聞記事で、全県一斉テストの結果が出ていました。それを見て実は愕然としました。国語に至っては中学3年生で85点以上とれる子が、そのときのデータでは100人のうち2人です。算数はもうちょっといいのですが、算数はあのとき見たときに小学校の3年生ぐらいまでは85点以上とれる子6割もいるのです。ところが、4年生になるとそれが途端に3割に減り、あとは2割に減っていくのです。3割に減って2割に減っていって、中学卒業までそれが続いているということは、小学校4年生でどれだけ理解できたかが中学3年生までつながっているわけです。そうすると、小学校4年生を卒業させられれば、本当に小学校4年生の国語、算数が理解できていれば、もっとまともな子供たちができるのです。私は、中小企業の工場長をやってきて、入社試験の問題を自分でつくって、このくらいは一般常識でわかるだろう、このくらいの読み書き、計算はできるだろうと出したら、大変、黒沢尻工業高校の先輩がいらっしゃったらごめんなさい、黒沢尻工業高校のクラスのナンバースリーだという生徒もほとんどできませんでした、当時、25年前の話です。工業高校の校長先生の会が2年に1遍私のところに訪ねてきてくれて、どうですかと聞かれ、そのたびに申し上げてきたのは、先生方が実際工業高校の子供たちに教えられていないでしょうと、理解できていないでしょうと。中学校の先生、小学校の先生ともっと語らって、小学校のレベルを上げていかなければ、工業高校のレベルは上がりませんよということを一番先生方は承知しているのではないですかと、それに手をこまねいているのは一番卑怯ですよと申し上げました。それで、小学校の3、4、5、6年生の算数と国語と社会の教科書を、ほとんど毎年読んで、そこから入社試験の問題を出してやっていました。
 それで、今小学校5年生と書いているのは、私変わった趣味がありまして、小学校の教科書をよく見るのですが、例えばこれは5年生の算数です。いずれ今4、5、6と読んでいるのですけれども、5年生が履修、要するによくわかってくれますと、新聞は半分読めます、人の話は理解できます、自分の考えをまとめて発表できます。人の話が聞けない子、自分の考えがまとめられない子、話せない子、それは小学校5年生ぐらいが履修できていないということです。その子が社会に出て何ができますか。
 おととしの1月8日に北上の小中学校の先生方、校長先生合わせて383人の出席者をいただいて、江釣子の公民館で話を2時間ばかりさせていただきました。先生方はハウツーで学校をあける時間が多いということですが、そんなものを学んだって意味がないと。もっと子供と接する時間を持って、子供の悩み、苦しみを抱きとめてやりなさいと、抱きしめてやりなさいと盛んに言ったのです。何を言いたかったかというと、とにかく小学校4年生を卒業させてくださいと。でも、今教科書を見て、25年前と比べると学校で学ぶ内容が1年ぐらい緩くなっています。25年前の小学校4年生の教科書にあることと今の5年生の教科書でやることが大体似てきていますから、1年ぐらい遅れてきているかもしれません。10年ぐらい前から、定年になったら、学校を退任した先生方、あるいは役所を終わった方々、定年になった方々と語らって、北上に寺子屋でも開きたいなと考えており、高校の数学の先生にそういう話をしたら、そういうことを鈴木が始めるなら協力したいから、声をかけてくれ、そういう声はやっぱり強いです。
 何としても小学校5年生を履修、要するによくわからせて、人材を育成するのなら、私は英語教育をあのころからやることよりも、とにかく小学校5年生のその時間を算数と国語の時間に充てて、本当の意味で人の話がわかる子、自分の考えが求められる子、よしあしの判断がつく子を育てること。
 それで私は関心を持って新聞を読んでいて、一昨年ですか、宮城県の旧豊里町は特別区を申請して通ったのですが、学校で、教え方として1年から3年生まで、4年から中学1年生までで括り方を変えて、カリキュラムを組んで、国家検定、数学検定、算数検定、国語検定、みんな検定を一斉に受ける。そのことによって、日本の中の位置を町民、先生、子供、みんなで認識し合って、ではどうしていかなければいけないかという手を打ちながら、こんな寂しい町で子供の力が付かなかったら、地域の振興なんかありませんよという基本的な考え方で、何よりも子供の将来にとって何をしてやらなければいけないか、力を付けてやるのが一番子供の将来の幸せにつながるという背景のもとにそういう教育に力を入れています。今あそこはホームページがありますから、どんなふうに変化しているか、ゆうべも最近の広報を見て、まだ大きなその成果は出ていないですけれども、町を挙げてそう取り組んでいる。岩手県でも石鳥谷、特にこの間、花北青雲高校の馬上校長先生とお話ししましたが、多少の摩擦があっても、もうどんどん進めていただきたいと。先生方は自分の教育というものが否定されるおそれがあるから嫌がる方もあるかもしれないですが。でも、本当に子供の将来のことを願うなら、よく思うのですけれども、先生というのは先に生まれると書く。先生は先に生まれましたよね。先というのは子供たちの将来の先でしょう、生まれるというのは可能性でしょう、子供たちの将来の可能性を生み出すのが先生でしょう。その可能性を生み出す原動力は基礎学力です。基礎がない子は、やはり応用問題を解けません。そのレベルの学力がちゃんと備わった子供たちが中学に行き高校に行き大学に行き、そういうふうにしていったときに、この岩手県の産業を振興させる大きな原動力になり、岩手の産業力と人材力、人的資源はうんと変わります。それから、極端なこと言わせていただければ、算数力日本一を狙う県だというくらいの考え方でみんなが一体になって進めたら、いい子供たちが育つのではないかなというふうに思うのです。
 私の役目は、いずれにしても学ぶ、働く、それから税金を納める、そういうところで産業界の仕掛けをいろいろして参ります。でも、工業高校を含めた実業高校のジョブカフェ、本当に名前はどうでもいいですけれども、そういう輪を広げるということ、もう一つの和を築くこと、それから基礎学力としてはそんな高等数学がわからなくてもいいです。そこのところで社会生活がちゃんとしていける子供たちを育てることについて、やはり大いに力を発揮していただきたい、こういうふうに思います。
 最後に、輸送費の件は、これは岩手県というのは最初から持っている課題ですから、全県を挙げて輸送費がいかにただに近いものになるかということについては、従来の考え方を全部取っ払って、陸、海、空、鉄道、そういうこともひっくるめて、新しい次元の物流というものを考えていかなければいけないことについて、鈴木もない知恵を今いろいろ絞っています。ただ、輸送費については、岩手県全体の課題ですよ、ものづくりの、あるいは輸送業者だけの問題ではないですよ。本当に産業を振興させるとしたら、岩手県は全国から見たときに、輸送に関して物すごい力のある県だという、輸送のコストを感じさせないような県になることが次の飛躍の原動力になるのではないかなというふうに、これは関係者といろいろなことで討議しながら進めていきたいというふうに思っています。私の役割はそういうことで、1、2が主な役割で、これからもそういう技術集積、産業振興、それから人が一人でも多く雇えるような企業をつくっていく、そんなふうに思っています。大学の先生でありませんし、評論家でありませんから、理路整然としたお話はできませんが、そんな思いで来ておりますということだけを報告させていただいて、お話を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○小野寺研一委員長 今日は本当に大変貴重な御講義賜りまして、誠にありがとうございました。
 先日花巻のアイオー精密、そして今話題になりました関東自動車工業製造ライン、新しいラインは見せていただけませんでしたが、全部詳しく見せていただきました。しかし、なかなか頭の中にうまく入ってこないのが、ようやく今日先生の講義を聞いて魂が入ったような感じを強くしたところであります。人づくり、ものづくりといいますか、そういうふうなことに岩手がこれからどのような形で関わっていけばいいのか、非常にためになったというふうな感じがします。皆さんにも多くの質問、御意見あるだろうと思いますので、これから質問なり御意見なりしていただければと考えております。
 はい、どうぞ。
○菊池勲委員 先般、黒沢尻北高校がラグビー岩手県代表になって花園へ行くことになって、私どもの時代からずっとあの学校は進学校といわれていて、黒沢尻工業高校は県内でもラグビーの有名な学校だったのだけれども、今の先生のお話を聞く限り、いずれ逆になってしまったと。進学校そのものも様変わりしたのかなという感じと、黒沢尻工業高校が、ああ、そういう感じに変わったのかなというふうに感じました。特に進学校が低下したのか、逆に言うと工業高校の実力なのか、どうも複雑な感じで、喜んでいいのか悪いのかという感じも持っていたのですけれど。今先生の話を聞いて、ああ、なるほど、そういう流れの中で様変わりしたのかなと。生徒の学力は、先生の教えもあるだろうけれども、それを支えている父兄の方にも責任があるのかなとそんなようなとり方でよろしいですか。進学校そのものがすべてではないと思うのだけれども、その中で工業高校の成績を見れば、先生の話だと零点が多過ぎるというような感じもあるので、やっぱり広い県土を均衡ある発展を含めて産業誘致をするとなれば、それ相応な基礎となるものもある程度変えていかなければだめだということになるのですか。今岩手県では高校再編の問題で議論しているのだけれども、それは生徒の数が少なくなるからの議論が先になって教育そのものの議論ではないと思いますが。
 また、岩手県そのものも先生から考えれば、先生は東京都の生まれですけれども、環境とすれば東京と違って産業の集積は多少遅れたけれども、今の先生のような視点を変えれば、可能な地域だと、そういうことですね。
○鈴木高繁参考人 はい、全く問題ないと思います。特に岩手大学、岩手県立大学はいい人材をつくられています。ただ、いい人材が出ても、いい人材を受け入れる方がちょっとまだ弱いです。企業として力のある企業、光り輝く企業、子供たち、学生が入りたい企業をつくっていかなければいけないです。
 もうひとつは、誘致企業の皆さんで、岩手で大学生を採用できるその権限を持っている会社がどれだけあるかというと、少ないです。ですから、県を挙げて、やっぱり会社等に取り組むべきだと思うのです。例えば富士通さんのような大手さんが岩手の大学生を地場で採って、さらに本社で採っても地方で採っても、待遇、その他については公平に扱ってくれるような、そういうことをやってくれると、岩手の人が岩手で卒業して入ってくる。岩手工場で採られたときに不利に扱われるとすれば、岩手工場には入りませんものね。やっぱり本社の方に行きますから。いい人材を片方で育てながら、それをちゃんと岩手の中に根づいていただくためには、誘致企業といろいろな話し合いをすることも1つ大事なことではないかと思うのですけれども。
 それから、これからいい人材を採っていくために、中小企業といえども光り輝く会社でなければいけません。これからの子供たちというか学生は、大きい、小さいではなくて、やりがいというのを考えて就職してきますから。
 それから、スポーツというものは、頭がよくなくてはだめです。大変皮肉を言っているかもしれませんが、黒沢尻工業高校さんのラグビーがだめになったのは、それはあると思います。スポーツはすごく頭脳が必要ですから、相手と戦うわけですから。
○佐々木一榮委員 私は平成7年初当選なのですが、県会議員になる前に深?の上尾精密さんの工場を見学しました。
○鈴木高繁参考人 何年ですか。
○佐々木一榮委員 平成2年ごろだと思いますが、岩手銀行が香港事務所を開いたときです。
○鈴木高繁参考人 私そのとき社長をしていたのです。
○佐々木一榮委員 そのときに説明をいただきまして、今お顔を拝見していて、十数年ぶりだなという思いをしておりました。ですから、さっきの5時に帰る話、何となく思い出しました。今日は本当にいろんな幅広いお話をありがとうございました。その中で特に自動車産業を中心にお話しになられて、実はいろいろ考えておりました。多分昭和62年ごろだと思いますが、竹下内閣時代に内需拡大策と称して景気浮揚対策を行ったそのとき岩手県に一番誘致企業が中央から来た時代、北上も含め一関に工業団地を造成しました。一関ですと当時東北日本電気という企業が、北上、花巻もそうでありますが、そういう企業に対して大田区ですとか、江東区ですとか品川区ですとか、ああいうところの資本金1,000万、2,000万の中小企業と言ったら失礼ですけれども、東京の人件費が高くなってどんどん岩手や東北に誘致され、先ほどのお話のように地場の高校生も地場で就職できるようになりました。そういういい時代が一時続いて、今度は中国ですとかマレーシアに企業が出るようになって、その下請工場さんも中には儲けさせたというような中で、徐々に景気回復、また大手メーカーさんも国内にもう一回シフトしようではないかというようなうねりも今出てきている中で、関東自動車が幸い平成5年ですか、誘致決定になったと。そういう中での今自動車産業の中心の話だと思うのですけれども、大事なのは人材のこともありますが、やはり情報インフラの整備が一番岩手では遅れている。三、四年前に、会派でインドのバンガロールというところに行ってきたのですが、あそこはITがとにかく進んでいるというところで、いずれそういった意味で日本のIT分野が今遅れている中で、岩手県が、製造業もそうでしょうけれども、例えば24時間、世界でやっていくためには、国内、名古屋相手でもいいのですけれども、やっぱり常にそういった情報インフラの整備からつくらなくてはいけないなと考えています。それともう一つ、当時は誘致企業に対しての優遇策というのは結構ありました。固定資産税を減免するとかがありましたが、当時もそれなりの、さっき食品の話もありましたけれども、岩手県に根づいた地場産業はあったのですけれども、その人たちに対する優遇策というのほとんどなかったのです。本来であれば岩手というのは第1次産業県でもあるし、そういう食品分野でも本来であればもっと優遇策をやってくれば、そういう製造業だけではなくてものづくりという面から本当に伸ばしてこられたのではないかという思いがあるのですが、それをちょっとやってこなかったというのは、私は今議員になって10年ですけれども、非常に残念な思いをしております。
 その中で、お知恵を拝借したいと思いますのは、森のトレーという事件といいますか、今裁判をやっているのですが、ご存知かどうかあれですけれども。
○鈴木高繁参考人 ほんのちょっとだけ新聞で。
○佐々木一榮委員 実はこれは第1次産業である林業の間伐材を使った事業で、久慈にあるのですけれども、国の補助が入っておりまして、今国から返還命令が出され、裁判中です。実はトリニティー工業という、それこそトヨタ自動車の関連会社さんがつくったラインなのですけれども、今これがもうほとんど破産状態というか、倒産状態になっていまして、これを自動車産業の中で何とかできないものかと。今自動車の内装に、例えば天童木工さんとか、さまざまそういった木を利用したものというものは結構価格も抑えて、ゴージャスな感じで出しているのです。ですから、さっきドアの話がありましたので、できることであればそういったある施設を、そういう知識がある先生方が一度見られて、ラインを使えないものか。それと、さっきのドアとか何かを組み込んで事業化できないものか。私は個人的にはこの裁判は負けると思っていますので、林野庁に対する、今までもらった補助を国に対し県が返還しなくてはならない。そういうことになってきますので、それも考えると、こういう県財政の状況ですから、何とかそういった資産を有効利用できないかなと。今お話を聞きながら、できるものであればそういったものを組み込めないかなという思いがあってお尋ねするわけなのですけれども。
○鈴木高繁参考人 さっきも言ったように、ではどうしたらイエスという答えが出せるかというのはいつも思っていますから、例えば繋げることはできますよね。そういうことをやっている会社にこういう力があるのですと、繋げることはできます。ただ、もし木工製品を自動車に使うとしたら高級車です。低価格車はもうそういう人手がかかる材料は使いませんから、高級車の場合に物すごい品質要求がされる。その辺も交流を図れば、要求されているものがどういうものかというのおわかりになりますから、もしお邪魔でなければ一度行って見せていただいて、それで県は自動車に関しては基盤技術支援センターというのがあって私もそこでアドバイザーをしていますから、そういうところと協議しながら、どこと繋げたら可能性が出てくるかというのはいろいろ調べた上で、一度行って見させていただきたいです。
○佐々木一榮委員 今裁判中で、現地も閉鎖状態で、いずれ組合自体もどうなるかわからないので、結論が出た段階で私としては、原材料は岩手にありますから、さっきコストのお話もあったのですけれども、岩手県の間伐材を使うということであれば、なおかつ名古屋に持っていかなくてもいい、ここでやれるのであればコストも安くなるし、何とかそういったことができないのかと思ったものですから。
○鈴木高繁参考人 自動車もそうですけれども、例えば船なんかも今大変いい船がどんどん出てきて、それでやっぱり木のものというのは相当船の場合は使われていますから、自動車だけではなくそういうところも1つの攻め方としてあるのではないですか。
○佐々木一榮委員 ぜひ記憶の中に留めていただきましてよろしくお願いします。
○小野寺研一委員長 ほかにございませんでしょうか。
○鈴木高繁参考人 先生方はPPMという言葉を御存じでしょうか。パーツ・パー・ミリオン、パーツで1個、パーですから当たり、ミリオンですから100万個当たりの1個、100万分の1をPPMと言います。これは非常に大事なことで、何かというと品質保証なのです。この間トヨタが、127万台のリコールを出しましたけれども、あんなこと本当はあってはいけないのです。自動車部品をやるときに、重要保安部品といいます、命にかかわる一番重要な部品については、100万分の1という考え方なのです。100万個に1個です。ということは、限りなくゼロです。よく岩手県の企業の方に話しをしてどのくらいの割合で不良が出るか尋ねたところ、うちは0.1%だからすごいだろうと言われるのですが、もちろん業種によっては結構なのですが、0.1%というのは1,000分の1です。これ100万個にすると1,000個なのです。この考え方ではもう全く話にならないのです。銀行預金が、普通預金が0.001%です。0.001%ということは10万分の1、0.001%です。10万分の1というのはPPMであらわすと10PPMなのです。そうすると、100万円を1年間積んで10円の利息、税金払うと8PPM。よくナノと言いますけれども、あれもナノを10億分の1というと計算しづらいので、あれも100万分の1と思っていただければ、1ミリの1,000分の1が1万マイクロメーター、それの1,000分の1が1ナノです。だから、100万分の1という単位をいつも頭に置いていただいて、産業界においてはそういう部分に挑戦していただきたい。100万個つくっても1個、あるいは100万個に1個許してくれるなんていったら、不良はないということです。自動車産業に入るということは、そういうレベルの品質保証をしていかなければならないのです。0.01%で、ああすごいね、1万分の1ですかと。でも、片方で100万個で数えれば100個になってしまいます。100人の命に支障が出るような車は売れません。だから、品質ということについて、概念としてPPM、100万分の1という概念はぜひいつも心の中にとめていただきたいと思います。
 ちょっと余計なことを申し上げました。
○小野寺研一委員長 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、本当にありがとうございました。今県南の自動車産業といいますか、そこが中心と、こういうふうな形で1つのお話があったわけでございますけれども、これも全県下にわたって、食料品もそうでございましょうし、いろんなものづくりがそういう1つの基礎といいますか、そういうふうなことに当てはまるのだろうと思いますので、その地域、地域の特性を生かすような形で、今御講演をいただいたことに思いをしながら一生懸命頑張ってまいります。今日は本当にありがとうございました。
 それでは、次に1月に予定をされております次回の当委員会の調査事項についてでございますが、意見等ございますでしょうか。
 (「委員長一任。」と呼ぶ者あり。)
○小野寺研一委員長 それでは、当職に御一任願いたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
 (「異議なし。」と呼ぶ者あり。)
○小野寺研一委員長 では、そのように決定させていただきます。
 なお、当委員会の県外調査につきましては、さきに御通知のとおり、11月14日から16日までの2泊3日の予定で実施をいたしたいと思いますので、ぜひ御参加をいただきたい。11月の半ばですので、北海道は非常に寒いだろうし、余り荒れなければいいなという心配はございますが、非常にいいところを見せてもらえることになっていますので、ぜひ御参加をいただきたいと思います。
 それでは、本日は散会をいたします。ありがとうございました。

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