産業振興対策特別委員会会議記録


産業振興対策特別委員会委員長  小野寺 研一

1 日時 
  平成17年8月3日(水曜日) 
  午後1時37分開会、午後3時15分散会
2 場所
  第三委員会室
3 出席委員
  小野寺研一委員長、新居田弘文副委員長、佐々木一榮委員、川村農夫委員、
 大宮惇幸委員、平野ユキ子委員、菊池勲委員、平澄芳委員、亀卦川富夫委員、
 小原宣良委員、阿部富雄委員
4 欠席委員
  佐藤正春委員
5 事務局職員
  小船進担当書記、大崎静果担当書記
6 説明のため出席した者
  岩手県工業技術センター所長 斎藤紘一氏
7 一般傍聴者
  なし
8 会議に付した事件
 (1) 調査
  @ 「羽ばたこう世界へ!―世界に通じる岩手のものづくり―」
 (2) その他
  @ 次回の委員会運営について
  A 委員会調査について
9 議事の内容
○小野寺研一委員長 ただいまから産業振興対策特別委員会を開会いたしたいと思います。午前の常任委員会、それから午後からの臨時会、大変御苦労さまですが、よろしくお願い申し上げます。
 本日は、佐藤委員から欠席の申し出がございます。それから、平野ユキ子委員は、若干遅れるということでございますので、御了承願います。
 それでは、これより本日の会議を開きます。本日は、お手元に配付いたしております日程により会議を開きます。
 これよりものづくり産業について調査を行います。本日は、講師といたしまして、岩手県工業技術センター所長、斎藤紘一さんをお招きしておりますので、御紹介をいたします。
○斎藤紘一参考人 斎藤でございます。よろしくお願いいたします。
○小野寺研一委員長 斎藤さんの略歴につきましては、お手元に配付いたしてございますので、御覧をいただきたいと思います。
 本日は、「羽ばたこう世界へ!―世界に通じる岩手のものづくり―」と題しまして、岩手のものづくりについて貴重なお話をいただくことになっております。
 それでは、これから講師のお話をお聞きいただくことといたしますが、後ほど講師を交えての質疑、意見交換の時間を設けておりますので、御了承願いたいと思います。それでは、よろしくお願いを申し上げます。
○斎藤紘一参考人 御紹介いただきました県工業技術センターの斎藤でございます。今日は、このような委員会という場にお呼びいただきまして、大変光栄に存じております。まさしくこの産業振興といいますと、私ども工業技術センターの毎日やっている仕事でございますので、そういう意味では話しやすいテーマをいただいていますので、我々の具体的な事例なんかを交えながらお話をさせていただこうなというふうに思っています。
 本題に入る前に、ちょっと自己紹介なのですが、私は平成14年の4月1日に県工業技術センターに参りました。その前までは富士通という会社にいまして、約36年間ものづくり一筋にやってきました。設計から始まりまして、各富士通の工場、最後は海外の工場を回っていますので、いろんな意味でものづくりについて見るチャンスが多かったのではないかなというふうに思っています。その経験をぜひ岩手県の地場産業に対して何とか出せればなということでこの3年ちょっとを過ごしております。
 本日の話すテーマでございますが、では目を通していただきまして、タイトルが「羽ばたこう世界へ!―世界に通じる岩手のものづくり―」と、こういうタイトルを用いましたのは、今年の2月なのですが、胆江工業クラブというのがありまして、その工業クラブの会長さんが関東自動車の工場長さんなのです。その会長さんから、斎藤さん、ひとつ酉年だから、酉年にちなんで新春の景気のいい話をしてくれと、こう頼まれまして、そのときにつけた名前がこれなのです。酉年ということもありまして、こういうタイトルで話をしました。今日は、テーマはそのまま持ってきたのですけれども、内容はちょっと変えてあります。つまり余り格好いい話ばかりでなくて、先生方が本当はお聞きになりたいのは、ものづくりの課題、問題点、岩手の課題、問題点はどこにあるのか、どうすればいいのだということだろうなと思いますので、その辺を私の本音ベースで、最後の方なのですけれども、つけ加えさせていただこうかなというふうに思っております。
 本日のお話をする前にこちらを御覧ください。県工業技術センターにおいでになった方はわかるのですけれども、これが正面の玄関なのです。門から入るのですけれども、ここが玄関です。ちょっと見、ものすごく立派ですよね。よく見ても確かに立派なのです。すごい立派でございまして、ちょうど冬になりますとここに岩手山がきれいに見えるのです。ちょうど1月、2月ころになって、ここから岩手山をまともに写真撮りますとすばらしい写真が撮れるのです。毎年ここで車をとめて写真を撮っているのですけれども、それぐらいやっぱり岩手山というのは盛岡の方から見てもシンボルなのだなという感じを持っています。
 今日のお話なのですけれども、最初に工業技術センター、御存じの方もいらっしゃるかとは思うのですけれども、ちょっと中身を少し説明させてもらって、どんなことをやっているのかなというお話です。それから、世界に通じる岩手のものづくりという、なぜ世界、世界とそんなに言っているのかという話をちょっとお話しさせていただきます。ここからがある意味では本題なのです。新しい何かをどう創造するかという話と、これからの岩手のものづくりの課題はどういうところに問題点があると思っているかという、こういう流れで、ビデオの時間をいただきまして、1時間15分ほど時間をいただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。
 では、最初はビデオを御覧いただきますが、手づくりビデオというのがみそなのです。これは、私どもの研究員が自分たちでつくったビデオです。
 ビデオの調整をしていただいている間に自己紹介の続きをお話します。私は富士通にいたときに、最初はコンピューターの設計をやっていたのですけれども、それから課長になってから製造現場というところにいまして、その後富士通の国内の工場に、静岡県に沼津工場がありまして、それから東京に多摩工場がある。それから、長野県に長野工場とあるのです。国内に富士通は多分関連関係会社も含めて50ぐらいの工場を持っているのですけれども、当時のものづくり工場として長野工場というのは一番大きい工場だったのです。その工場の大きさをあらわすのに従業員数というのがよくわかるのです。当時3,300人ですけれども、これは自慢できる話ではないのですけれども、中部電力さんにお支払いする電気代が月1億7,000万だったのです。1カ月の生産高はというと200億なのです。1%に上がっていないのですけれども、それでもすごい電気を食う工場だったのです。それで、そこで私は5年間工場長をやりまして、その後今度はタイに行ったのですけれども、タイという国の富士通の工場、世界で一番大きいのです。富士通の中では一番大きいのですけれども、その規模は従業員数9,000人なのです。
(ビデオ上映)
○音声 岩手県を代表する特産品の1つ冷麺。独特の食感の麺は、お土産としても全国でも人気があります。実は、このお土産用の冷麺を製造する技術にはある秘密があるのです。以前の冷麺は、余り日もちがせず、土産物としては向いていませんでした。これを何とか改良できないかと考え試行錯誤の末たどり着いたのが、麺の原料にアルコールを練り込んでつくる現在の製造でした。この結果、冷麺の賞味期限が大幅に長くなり、お土産として持ち帰りできるようになったことから、現在のように盛岡冷麺が全国的に知られるようになったのです。このときの冷麺開発プロジェクトの中心的な役割を果たしたのが岩手県工業技術センターです。工業技術といっても、電子機器や精密機械だけでなく、私たちの身近な食品などの研究も行っています。それでは、これから岩手県工業技術センターを御紹介します。
 盛岡市にある岩手県工業技術センターです。ここは県内の企業様のニーズに応える研究や技術支援するための施設です。先端技術の研究や岩手ならではの伝統技術の研究、また企業が抱える技術上の課題や人材育成の相談にも応じています。さらにはセンターの持つ最新鋭の設備を開放し、県内企業の研究施設としての役割も果たしています。
 岩手県工業技術センターは、農工試験場として明治6年、技術研修の場として開設されました。その後、工業指導所、工業試験場と改称し、平成6年、醸造食品試験場と統合して岩手県工業技術センターとして現在の場所に設置されました。県工業技術センターでは、民間企業などとの共同研究によって特許登録や製品化など、今までに多くの成果を上げております。この中から幾つか御紹介しましょう。
 最近ユニバーサルデザインという考えが重要な理念として脚光を浴びています。その理念や実践を普及させるためにデザイン開発を行い、ハンドブックにまとめました。
 センターでは、複数の研究部から成るプロジェクトチームを組織し、岩手という地域の特性を生かした製品の開発にも取り組んでいます。ストーブ開発プロジェクトでは、企業様と共同で、県内で生産されている広葉樹の樹皮を原料とした木質ペレットを使用したストーブの開発を行い、平成15年10月から企業様と販売を開始いたしました。このストーブは、化石燃料を使用しないため、二酸化炭素排出の抑制にもつながることから、地球温暖化対策としての注目を集めています。
 これは、金属の表面に汚れがつかないとても薄い膜をつくる技術の研究です。身近なところではカーブミラー等に使われています。専門的にはプラスチックの生産の現場において非常に役立っている技術です。
 岩手の木材を使ってつくった介護用品です。人に優しさとぬくもりを与えるケア用品として注目を集めています。
 象眼は、金属や陶磁器などに彫刻などで模様を刻み、金や貝殻などの装飾を施す高度な伝統技術ですが、機械を使って簡単に木工製品などを加工する技術を開発しました。特産品の開発に応用できるこの技術は、県内はもとより沖縄、新潟、鹿児島、岐阜などの県外企業様への特許が使用されています。
 これは、考案者の水原正氏と製造元の岩手木工センターがアイデアを出し合い生まれた小型の琴のような弦楽器です。当センターでは、木材加工技術や塗装等の技術支援を行いました。小型で扱いやすいことから、主に学校の教材として県内外を問わず広く取り入れられています。
 毎年秋口にお酒の試験醸造を行っています。米の品種やその年の作柄に応じた醸造方法を検討し、企業の方々へ技術提供をしています。このようなセンターでの試験醸造を経て、岩手オリジナルの酒造好適米吟ぎんが、吟おとめが誕生しました。このように様々な分野でも技術開発を進めています。
 青森、岩手県境に不法投棄された廃棄物は87万トンにも及び、廃棄物の撤去や浄化が岩手県の県政課題となっています。センターでは、廃棄物を高温で溶かして建設資材にする研究に産学官連携で取り組んでいます。県境の廃棄物を焼却した灰を1,300度以上の高温で処理すると、灰が溶けて溶融します。これを冷却すると溶融スラグと呼ばれる砂や石のような材料になります。溶融試験は、共同研究事業で実施し、センターでは溶融スラグの成分の有害性を評価しています。共同研究を行っている岩手大学工学部では、溶融スラグを土木工事に使う方法を試験しています。産学官共同研究体制で、廃棄物を土木資材として利用するための研究を進めていきます。
 また、平成14年度から、企業様のニーズに細かく対応するために、長期、短期の商品開発、技術革新、問題解決を目的とした企業様との共同研究、通称テクノブリッジ事業を実施し、好評を博しています。
 センターでは、このほか、専門の研究員が民間の工場に実際に出向いて技術開発や相談に応じる巡回支援活動を行っています。現場の製造工程を直に見ることで技術的な問題や改善の具体的なアドバイスをすることができます。こうした現場を重視した取り組みは、新しい技術開発へと繋がっていると私たちは考えます。
 県工業技術センターの備えている設備は、技術研究やデータ分析などの目的で民間企業に開放しています。そのような設備の一部を御紹介しましょう。この部屋は、電子機器が発生する電磁波ノイズの強さの測定を行ったり、強い電磁波を当てたときの電子機器の誤作動について試験するために使われる部屋です。
 これは、複雑な形を3次元のデータとして読み込み、再現できる装置です。実際の生産の前に試作品をつくり、デザインや機能などをシミュレーションするのに有効です。
 これは、溶接部をリアルタイムで評価できるシステムです。今まで溶接作業は強い光や熱などの作業環境のため、溶接部分をその場で見ることができませんでした。このシステムでは、レーザーの光とカメラを使い、溶接中の接合部分を映像で確認することが可能になりました。
 これは、食品の香り成分を測定する装置です。吟醸酒のフルーティーな香り成分である高級アルコール、エステル類を分析できます。
 レトルト食品の試作品をつくるための装置です。高温かつ短時間での処理が可能で、パソコンでコントロールされた機械は圧力容器の中の状態がモニターできるようになっています。
 ホームスパンは、羊の毛を手で糸にして手で織られたもので、独特の風合いを持ち、服地に多く使われています。岩手県は、日本で唯一のホームスパンの産地で、それを支えたのがこの仕上げ機械です。各種製品の接着不良箇所等の表面特性を認識、プラスチック表面の改質、劣化や金属素材表面の腐食状態などの物質情報収集に使われています。これは、超高圧水による金属、セラミック、樹脂、大理石、ゴム、ガラス、スポンジなど、さまざまな材料の加工が可能な設備です。超高圧の水で加工するので、素材の熱変質がありません。また、レーザーでは切断できない厚物の加工や表面改質や皮膜除去加工ができることが特徴です。
 このほか、企業等からの依頼によって試験、分析も有料で行っています。
 私たち工業技術センター職員は、企業のものづくりのコンサルタントとしてどのような相談にも対応いたします。御利用ください。
○斎藤紘一参考人 ということですけれども、全国に私どものような工業食品系の試験研究機関が130ぐらいあるのです。こういう自分たちの紹介ビデオを自分たちだけでつくったというのは私どもだけ、今のところ私どもが最初です。普通ですとこういうのを専門家に頼みますと500万円ぐらいお金がかかるのです。そんなお金かけられないよねと、自分たちでつくりました。自分たちでつくるということは、自分たちが一番お客様に対してアピールしたい内容というのが画面に出てくるのです。それから、もう一ついいのは、自分たちで直せるのです。年に1回これを直すことにしていますので、そういう意味で手づくりというのはいいのかなというふうに思っています。
 先ほどちょっと私の富士通時代の話をして途中だったのですけれども、タイの工場では、9,000人の工場の社長だったのですけれども、9,000人という従業員がどのぐらいすごいかということなのですけれども、いわゆる従業員を毎朝毎晩大型バスで送り迎えするのです。2交代の職場でしたから、約半分ですよね。4,500人を一遍に運ばなければいけない。大型バスを100台持っているのです。それがいわゆる駐車場に並びますから、これは大変壮観なのです。なおかつ、私どもの会社というのは工業団地にありましたから、それだけのバスが出たり入ったりするとほかの会社に迷惑をかけるのです。そのために普通の会社よりも私どもの会社は1時間早く始めて、1時間早く終えるようにしています。そういうことで、隣近所の会社には迷惑をかけないような、そういう運用なんかもやっております。この9,000人の従業員を、私が岩手へ来る直前には実は3,000人にしたのです。6,000人減らしたのです。これはものづくり工場としては大変なインパクトがあるのです。それこそ従業員とともに一緒に涙したのですけれども、そういう経験をしました。
 その話は私の今日の主題ではありませんから別な機会に譲るといたしまして、それでは主題に戻りまして、私どもの紹介をもう少し続けていきますが、工業技術センター、よく研究所かと言われるのですけれども、そうではないのです。研究所ではないのです。むしろ何をやっているかというと、企業さんの技術支援をやっているところなのです。研究開発もちょっとはやっているということで、あくまでも私たちのお客さんは誰かというと、企業様なのです。お客さんは企業さんです。そして、使命は産業振興と県政課題解決です。そして、地域経済を活性化すること、これが私たちの使命だというふうに思っています。あわせて県政課題に対して技術研究という切り口で工業技術センターは役に立つ必要があるのではないかというふうに私は強く思っています。これは、他県の公設試では反対の意見も出ているのですけれども、私はやるべきだと思っています。現実に先ほどのビデオでも県境産廃の不法投棄の問題に対して、あれを引き上げて商品として売るところまで来ていますし、木質バイオマスもそうです。
 それで、こういう話もあるのです。去年でしたか、冷害があったのです。私は、岩手県の人でもないし、岩手県に来て間もないものですから、それはよくわからなかったのですけれども、聞くと冷害が10年に1回だというのです。では、10年前の冷害のときに、次の10年後に冷害が起きないように何か技術研究で対策を打ったのかと聞いたら、何もやっていないというのです。それで、冷害が起こりますと対策本部ができますけれども、それは農家に対する資金援助とか、そういう対策であって、肝心の技術研究という立場では何かやっていないのかと、こういう問題意識なのです。そうすると、あと10年冷害になりませんからと安閑とした答えが返ってくるケースもあるのですけれども、一旦冷害が起きますと去年のようにいわゆる数百億円の損害を岩手県が被る。これは、やっぱり捨ておけないです。いろいろその道の専門家に聞きますと、冷害になったら田んぼの水の温度を2度上げればいいのだそうです。田んぼの温度を2度上げれば、多少日照りが少なくなったって稲は立派に育つと。だけれども、その2度上げる方法はいっぱい考えられるのですけれども、お金がかかる。それこそ工業系の出番なのですけれども、そういうことで農業系と工業系の人が手を組んで、そういう県政課題に立ち向かう必要があるのではないかということを提案しました。実は、今始まっています。農業研究センターと私どもが手を結んで、いわゆる次の冷害に対しては何とか手を打てるように少しでも技術研究という切り口でやろうではないかということをやっています。
 それから、今はアスベストの話が最近新聞紙上を賑わせていますよね。あれに関しましても、我々は技術研究という切り口でアスベストの調査とか研究とかできますから、何でも言ってください、私どもが矢面に立って困っている方と一緒になって考えますよ、そういうのも1つの県政課題解決ではないかというふうに考えている次第です。
 それでは、これは企業さんから私どもへの技術相談を受ける件数を上げているのです。平成6年から平成17年度まで書いてありますけれども、ちょうどこの辺がこういう、年間で1,500件ぐらいの相談件数を受けた。ここから急に増えています。ちょうど私が赴任したのがここです。平成14年。平成14年に何とか企業さんに対してもう少し軸足を置いた活動にセンターのかじ取りをしていこうということで始まったわけなのです。
 同じようなことに、これがございます。利用件数及び利用料金のトレンドということで、当センターで唯一お金が入ってくるのはこれなのです。いわゆる設備を企業の方に有料でお貸ししています。それから、依頼試験とか分析もお金をいただいています。そういう意味で、これを増大させることはいわゆる収入増につながりますから、力を入れていく必要があるのではないかということで、従来の件数だけでプロットしたのを金額で見るようにしたのです。青いのが金額です。御覧いただくとおわかりのように、平成14年から、その前からですけれども、ずっと上がっていて、いわゆる収入増に繋がっていっているのです。
 それから、これは先ほどビデオに出てきた電波暗室です。これは、携帯電話を開発するときには絶対必要な設備なのですけれども、岩手県には私どものところしかございません。
 それから、青森県にもありません。岩手県には1台あります。宮城県にも1台あるのですけれども。この電波暗室というのは、億単位のお金をかけて設備していただいたものですから、利用されなかったら何もならないのです。これを見ていただくとわかるのですけれども、利用料金のところを見ますと、ここから下がってきているのです。ここからまた上がり始めているのですけれども。
 私が赴任したときに、この電波暗室というのは1時間1万円いただきますから、遊ばせておくのがもったいないので、何でこんなに減ってきたのだろうと聞きます。そうすると、アルプス電気さんが撤退したからなのだそうです。ここなのです。撤退したのはしようがないのですけれども、アルプス電気さんが撤退して収入が下がったのだったらば、新しいお客さんを探したかということなのです。いわゆる営業活動をやろうと言ったのです。幸いと言ったら語弊がありますが、青森県にはこの設備はないのですから。だったら青森県のお客さんにも来てもらえばいいではないか、岩手のお客さんが使っていないとき、空いているときにそれをお貸しした方がいいのではないかということで、実は今日用意していませんけれども、こういうパンフレットをつくりまして、裏表のパンフレット、電波暗室の御利用、御案内というもの。これを青森県の工業技術センターに置いてもらったのです。
 それから宮城県はあることはあるのですけれども、あそこは東京から近いせいもあって、結構お客さんがオーバーラップをしているという実態がありました。では、ということで宮城県にも置いてもらいました。あと、このパンフレット、自分たちでつくって、そういう他県の公設試に置いてもらったのです。そうしたら、そこからどんどんお客さんが来るようになったのです。これがそれなのです。それで、今はこれを使っている全部の企業さんの数の40%ぐらいが他県の方です。ということで、やっぱり私どもも公設試ではあるのですけれども、こういうところに目をつけたら営業活動を積極的にやることも重要ではないかと、そういうことでの紹介でこれは申し上げました。
 これは、依頼試験及びそれの手数料、これもここから上がっていますから、要するにこういうところに着眼するかしないかということだと思うのです。そういうことで、この傾向を見ましても、県内の企業さんにはニーズというのか、要求はまだまだ潜在的にはあるなというのは分かります。もう少しここにリソースをつぎ込むことによって当センターの収入増にもつながるなというのがここから分かります。
 それから、来訪者数ですけれども、当初私は、当センターにおいでになる方はみんなお客様だと言って、そのお客さんが増えるということは、当センターの利用価値が高まっているということなのだから、数をちゃんと数えていこうよと言いました。そうしたら、そんな数を数えても仕方ないでしょうと随分言われたのですけれども、いや違うと、数を数えるように言いました。これを御覧ください。だあっと増えていますから。要するに私たちの公設の試験研究機関というのは、県民の皆様の税金のおかげでやらせていただいているわけですから、そこの皆さんのために役立つにはどうしたらいいかというふうに考えますと、どれだけ利用していただいているのかに掛かっている。そういうことで、こういうこともやっているという事例でございます。
 これは、先ほどのビデオに出てきましたから紹介を省きますが、電波暗室であり、これはCNC三次元測定機というのですけれども、この設備は1億円するのです。この1億円する設備は、これまた有効に使われなければ、何のためにここに1億もかけたかという話になりますから、こういうのはたくさん利用できるような働きかけも同時にしていく必要があると思います。それから、こういう電子顕微鏡とか、表面加工機とかこういう設備です。中小企業の方が1社では買えないような設備を当センターでそろえて、それをいろんな企業の方に使っていただく。こういう活動というのは中小企業支援としては非常に重要ではないかというふうに思っております。
 さて、次でございますが、世界に通じる岩手のものづくりとして、なぜ岩手から世界への挑戦かという視点で、ちょっとその背景を申し上げたいと思います。
 まず1つは、皆様は既に御存じのように、世界の量産工場である中国の追い上げが激しいということと、世界最先端の技術開発、ものづくりが急務である。いわゆる中国に負けないためには、ここに力を入れなければいけない。
 一方、岩手県内を見てみますと、岩手にはすぐれた素材、技術がある。これを世界のマーケット、世界市場へ持っていく必要があるのではないか、こういうバックグラウンドのもとに岩手県というのをもう一回直視してみますと、岩手県は日本で一番産学官連携が進んだ県であると思っています。これは実感しますね。ちょっと逸れますけれども、宮城県の工業技術センターの所長さんと結構親しいものですから、いろいろお話をすると、斎藤さんがうらやましい、岩手大学の敷居の低さというもの、逆に東北大学の敷居の高さと言うわけです。東北大学と産学官連携しようとすると、それが幾らもうかるのだと、すぐそういう話になって、なかなか取りつく島がないのだけれども、岩手県を見ていると岩手大学さんの敷居、学長さんを始めそうですよね。岩手大学という大学の教授の皆さんは非常に敷居が低いものですから、私どもが非常に話がしやすい。そういうことで、この産学官連携が進んでいるのではないかと、こういうふうに思っています。
 それから、北上川流域に集積する産業群、特に金型産業は日本一です。これも岩手県内の過去に携わった多くの先輩に感謝しなければいけないと思うのですけれども、ここにこれだけの金型産業を集積させるには多分幾多の困難があったと思います。ですから、これを生かさない手はないと思います。
 それと、最後は人なのです。産業振興といいますけれども、やっぱりやるのは人なのです。地域産業おこしに燃える豊富な人材はどれだけいるかということなのです。
 この3つ、これはすべて岩手県を見ますとプラスポイントです。では、具体的にどうして私がそれをプラスポイントだと言っているかということなのですけれども、まずこれです。地域産業おこしに燃える人ということで、これは御存じの方もいらっしゃるかもしれませんけれども、平成15年9月に総理官邸で地域産業おこしに燃える人の会というのが開催されました。国が全国から33名を選んだのです。これがそのときの写真で、これは幹事をやられた方とか、いろんな先生方などもここへ入っていて33名以上いますけれども、国が33名しか選ばなかったということは、1県から1名選ばれてもすごいのです。選ばれていない県がたくさんあるということなのです。何と岩手県からは3名選ばれたのです。1人は佐藤利雄さんといって花巻市起業化支援センター、富士電機の出身の方なのです。それから、岩手大学大学院工学研究科の岩渕先生です。それから、相澤さん、当時は岩手県首席政策監でしたけれども、今は政策推進室長です。このような地域おこしに燃える人が岩手県から3名選ばれるということは、この下にまだまだたくさんいるということなのです。そういう意味で、地域のことを考える人材は、県内にはたくさんいらっしゃるというのがこの事例からもおわかりいただけます。
 では今度は岩手に立地するシェアナンバーワン企業、岩手に立地する企業というのは本当に力があるのか、という視点でこういう本を見つけました。実は、財団法人東北産業活性化センターが平成16年3月に発行した「東北に「光り輝く」企業たち」という本があるのです。この本をずっとめくっていきますと岩手県が出てきまして、そこに生産高世界一は3社載っていました。皆さんも既にお聞き及びと思いますけれども、東京エレクトロンとか、上尾精密さんとか、ミクニさん、ここで作っているこういうものは生産高が世界一です。
 それから、生産高日本一はというと、パンチ工業株式会社北上工場さんでこういうものをつくっております。それから、岩手ハネダコンクリート株式会社さんがこういうものをつくっている。こういうのが他に12社ありますから、全部で17社が日本一、世界一として載っているのです。
 ではどのぐらいすごいかということなのです。同じ本に青森県も載っていまして、5社載っていました。秋田県5社、山形県5社、それで宮城県は、ちょっと岩手より多いですけれども、19社ですね。うちが17社です。福島県が14社でした。そういうことを見ましても、東北6県全体を見ましても、このような有力な企業群が集積しているという事実です。こういうような岩手のプラスポイントを次なる産業振興に結びつけていく必要がやっぱりあるのではないかなということです。生産高世界一、生産高日本一の企業さんの予備軍がたくさんまだこの下にありますから、そういう予備軍の企業さんを早くこういうところに格上げできるように、私ども工業技術センターも一緒になって御支援させていただく、そういう役割を持っているかなというふうに思っています。
 それでは、次なのですが、ここら辺から今日の本題に入っていきますけれども、産業振興ということなのですけれども、新しい何かをどう創造するかということなのです。ちょっとここからそれるのですけれども、商工労働観光部の酒井部長さんが、育てる、つくる、連れてくる、今年からこの3つをキーワードにしていくよと言ったのです。育てる、企業さんを育てる。それから、何か新しい物をつくる。そして、連れてくる、企業誘致。これは、僕は非常に好きな言葉です。育てる、今ある企業さんを育てて、世界へ通ずる企業さんに育て上げる、育てるための商工として、工業技術センターも含めてどうやっていくかということです。それから、やっぱり新しいものをつくっていかないと、何としても産業振興にはなりませんので、新しいものをつくっていかなければならない。それから、他県から、あるいは他国から岩手県に企業を呼んでくる、連れてくる、そういうことによって雇用創出につなげていく、こういう発想が非常に重要でないかという気がします。
 いろんな企業の社長さんはアイデアを持っているのです。そのアイデアを早く具現化してやる。企業の社長さんというのは、小さい企業の社長さんであればあるほど、アイデアはあるのだけれども、明日の飯の方が大事ですから、そのアイデアを形に変えられないのです。その形に変える仕事を我々がやってあげられないだろうか。育てるというためには、それは無理ですよとか、だめですよとは言わないです。とにかくやってみようという、そういうスタンスで育てていくというのが必要だなと思います。
 それから、つくるというのは、私も設計をやりましたからよくわかるのですけれども、これは難しいです。大事なことは、私は粘り強さだと思う。あきらめない。粘り強さ。これは、東北人特有の強みですから、つくるということには向いています。
 それから、連れてくる。連れてくるためには、もう昔のような、いわゆる土地がありますよ、そこで何とか税金を安くしますよ、では企業の方は来ないですね。新しい付加価値が、企業にとっての大きなメリットがそこに付いていないと、企業は岩手県に来ません。具体例をちょっとお話ししますと、私がここに来てすぐだったのですけれども、今花巻に日本電炉という会社があるのです。平成15年に設置された、いわゆるメッキをやる会社です。もともとは本社工場が大阪です。岩手県に地縁も血縁も何のゆかりもないです。ところが、岩手県に大きな工場をつくられたのです。当時は鈴木さんという社長さんです。今ちょっと代わったかもしれませんけれども、たまたま私は社長さんとお話をして、どうして岩手に来たのですかと尋ねましたら、ぱっと答えがきました。産学官連携だよとおっしゃいました。メッキというと3K産業のようにみんな思って、汚らしい産業のように思っているのだけれども、メッキなしではものなんかつくれないのだ、これからますますあれはハイテクの商品なのだよ。ハイテクの商品というのは、産学官連携で技術開発を次から次へとやらないとだめだ、私は日本全国を調べ、岩手は産学官連携が一番進んでいると判断した、それで来たのだと言っているのです。現在岩手大学とも私どもとも共同研究契約を結びながら、その日本電炉さんを大きく支援しています。必ずやいつの日か、先ほどのトップ17に入ってくる企業さんになっていきます。そういうような事例もあるように、産学官連携というのを1つの武器にすれば、企業誘致につながるのではないかということ。
 それから、私はものづくり産業をずっとやっていましたからよくわかるのですけれども、ものづくりをやったら必ず廃棄物が出るのです。特に特管産廃と言っていますけれども、特殊な管理産業廃棄物、特管産廃、これは法律できちんと決まっていますから、これの処理処分というのはものづくり企業の皆さんの頭の痛い課題なのです。ものをつくればつくるほど廃棄物が出てくる。だったら、企業が困っているのはそれなのだから、そこが解決できるような付加価値を岩手県の工業団地につくるなり、あるいは県北でもどこでもいいですけれども、そういうのを一緒にして処理ができる施設をつくる。関東が特に困っているのです。東京も特に困っているわけですから、東京にある企業さんは、では丸ごと全部岩手へ来てください、そうしたらそういう廃棄物の悩みは解消しますよと、なんかそういう付加価値を付けてあげないと、私は連れてくるというのはますます難しくなるかなというふうに思っています。
 そういう意味で、これからのお話なのですけれども、どう創造するかというのは、2つあるのです。この話も所詮これなのですけれども、岩手が勝つか負けるか。世界を相手にしたときに勝つか負けるかというのは、ものをつくるためには必ず材料が要るのです。その材料が岩手が日本で一番とれるもの、これなのです。あるいは岩手県が持っている特許、これを使わなければものがつくれない、そういうところに特化していくと、そうしたら岩手は世界に勝てるのです。では、その事例を御紹介したいと思います。
 これも大きく2つ分けましたけれども、今までの工業技術センターというのは、いわゆる公務員だから平等だという意識が非常に強かったのです。余り選択と集中というものはやりたがらないのです。だけれども、これから先は平等ではだめだ、選択と集中なのだと。浅く広くではなく特化しようと。リソースをどこかにどんとつぎ込む、そして大きな花を咲かせようと、小さい花をいっぱい咲かせるよりも大きい花を咲かせるということが重要ではないか。大きな花を咲かせれば、当然そこのところにまたずっとすそ野が広がっていきますから、そういうことで考えてみますと、ひとつは自動車かなと。これは、新聞にも書いてあります。私もそう思っていますけれども、いわゆる東北から北海道に向けて自動車の組み立てをやっているのは関東自動車工業の工場しかないということです。しかも、それは岩手県にある、金ケ崎にあるというのが1つの大きな強みなのです。だったら、自動車関連プロジェクトというところに我々も研究員とかお金を注ぎ込んでいったらどうかということです。
 それから、酸化亜鉛というもの、これも新聞等に載っていますのでお聞き及びかと思いますけれども、ZnOというの、これは酸化亜鉛ですけれども、岩手を酸化亜鉛ランドにしたらどうかと。ではなぜ岩手かというのは、ちょっと後ほど事例、これの詳細で御報告します。
 それから、2つ目は岩手らしさで勝負、岩手のよさを認識し合って、それを武器にするのだと、こういうことです。これも幾つかの事例で御紹介を申し上げます。
 自動車というのに関しては、私どもでは4つの研究を同時にはしらせていまして、今日はこういう研究の内容を言う場ではありませんので、事細かに紹介はしませんけれども、こんなことをやっているというさわりの御紹介という意味では、自動車の抱えている問題というのは何かというと、軽量化です。自動車というのは重たいとガソリン食いますから、全体の重さを減らしたいのです。一方では、簡単に摩耗してもらっては困る、減りにくい部品を使ってほしいし、それから自動車というのは高温から低温まで過酷な環境にさらされますから、そういう意味では熱に強くなければいけない。軽くて減りにくいというのは技術的には相矛盾しているのです。軽いものは減りやすいのです。重いものは減りにくいのです。この技術的に矛盾している内容を解決するのが技術者なのです。
 ということで、実は岩手県工業技術センターには溶射という非常に昔からのれっきとした技術があるのです。この溶射という技術と、それから岩手大学の堀江先生が開発した新素材、鋳鉄粉末というのがあるのです。岩手大学の堀江先生の特許と私どもの技術の溶射ガンという、これをやることによって、アルミの軽金属に鋳鉄の粉末を溶射するのです。そうすると、軽くて減りにくくて熱に強いものができるのです。これはまだ研究途上です。平成17年度いっぱいまでかかりますけれども、順調にいっていますから、いずれこれは商品として自動車産業にこれが応用されるのではないかと思っています。
 これも非常にわかりやすい事例なのですけれども、鋳物です。岩手県は南部鉄器から始まって、こういう鋳物については非常に強い技術を持っていますけれど、今鋳鉄というのは素材が非常にどんどん値上がりしているのです。ならばリサイクルをやった方がいいということで、リサイクルをやるにはどうするかというと、この材料からマンガンとかクロムというのは脆いものですから、これを除去しないとリサイクルできないのです。これはやっぱり技術開発なのです。こういう技術開発をすることによって、リサイクル材で鋳物の製品ができるようにする、こういうことをやっているところです。
 酸化亜鉛につきましてちょっと御紹介します。なぜ岩手なのだということなのですけれども、これは岩手らしさと、岩手の特徴ですけれども、東京電波という会社がございまして、東京電波というぐらいだから本社は東京にあるのです。ここが世界で初めて高純度大型ZnO単結晶基板の開発に成功したのです。ZnOの単結晶基板をつくれる会社は、世界中でここの会社1つなのです。つまりそういう特許を持っているということなのです。何でそれが岩手県かというと、この東京電波の社長さんが熊谷さんといいまして、岩手県の久慈市の御出身で、県内で既にもう3つの工場を持っているのです。単結晶基板の開発をしただけでは商品になりませんから、この単結晶基板を使った応用商品をつくらないとだめなのです。例えば携帯電話とか、自動車用の部品だとか、いろいろな部品をつくらないと東京電波としても宝の持ち腐れになるのです。したがって、この基板を使った応用商品をどこにつくってもらうかというのが熊谷さんの頭の中にあったわけです。そのときに、これは岩手県だなと、岩手県に3つ既に工場を持っているのだから、その工場をうまくやることによって商品ができて、それがひいては岩手県の雇用創出にもつながるのだと。熊谷さんという方は、本県御出身でもありますから、常に岩手県の産業振興、雇用創出というのは頭に置いてあるのです。そういうすばらしい社長さんなのです。これがそういう意味では岩手らしさなのです。熊谷さん、東京電波というキーワードでいいますと岩手なのです。
 そういう形で、これは出口が成功しますと、例えば次世代固体照明基板など広い応用分野が考えられるというのと、幸い岩手県には先ほど御説明した開発、事業化に当たってのパートナー企業が集積している。こういうのを利用した新しい商品をつくるというのは、自分たち1社ではできないのです。いろんな企業と連携しながらやらなければいけないのですけれども、そういう連携するパートナー企業があるかないか、これは非常に重要なアイテムです。先ほども既に御説明しましたけれども、県内には実力のある中小企業がたくさんあるということで、いわゆる材料開発から商品開発まで、入り口から出口までなのですけれども、全部が岩手県内でできるようになるのだと。それを我々はZnO産業クラスターと呼んでいます。クラスターというのはブドウの房という意味ですけれども、産業クラスターが形成されて、地域振興と雇用創出につながると。もちろんこれは岩手県が最優先ですけれども、この動きは世界との競争なのです。後ほどもう少し補足します。
 事業スキームというのが平成15年度から3年間、とりあえず平成17年度末で一区切りしますけれども、また更にここから世界的な商品開発までには3年以上かかります。これを岩手県が得意な産学官連携体制でもって推進すると。ここで特筆しなければいけないのは、この事業予算に4億円も使わせていただくということです。私ども工業技術センター、年間で20から30テーマの研究テーマを持っているのですけれども、1テーマにかかるお金というのはせいぜい数百万円です。300万円から400万円というのが多いのです。   ちょっと国庫補助なんかも入りますと、それでもマックス1,000万、これはマックス1億強です。これは、投資と効果ということを考えますと余程のことがない限りは4億円の投資効果が得られないという、余程腹をくくって頑張らなければだめだということでございます。
 では、この4億円は何にかかっているかということなのですけれども、研究費といいながらもこれはほとんど設備費なのです。今までの岩手県工業技術センターは、残念ながら半導体の成績ってほとんどないのです。そういう意味で、これからちょっとお見せしますけれども、こういうクリーンルームというのがあり、こういう設備を入れて研究開発をやっているのですけれども、ただこれは酸化亜鉛という研究が終わってもほかも半導体の研究でもちろん使えるわけです。今度は、各企業さんにいろんな半導体の応用研究にこの設備は利用されますから、単なる酸化亜鉛だけではないということです。こういうのは1台5,000万から6,000万ぐらいする設備です。
 それと、大事なことは、こういうのをいつまでも県単の予算に頼っていてはだめだと思います。やっぱり競争的資金をとりに行くべきだということから、地域コンソーシアムという、経済産業省がやっている事業に実は提案しまして、つい先日採択になったのですけれども、運よく私どもの酸化亜鉛に対して、ある中小企業さんと御了承といいますか、採れまして、2,500万ほど国庫補助がついて今年度から入るようになりましたので、少しはそういう意味ではお返しできるというか、そういう予算を使っていけるようになるかなと思っています。
 では、酸化亜鉛というのはどれだけ魅力的な商品かということでございますけれども、ここに幾つか事例があります。これはいわゆる発光ダイオード、信号機に使われています。例の日亜化学の中村修二先生が特許で200億円の何たらという問題を起こしたから多分皆さん方も御存じだと思います。今の青色発光ダイオードを買うと、中村先生の特許代も  入っていますから非常に高いのですけれども、酸化亜鉛で同じものができたら中村先生の特許を使う必要はありませんので、まず間違いなく1桁は値段が下がります。したがって、これを早く実現化したい。ただこれは非常にハードルが高いのです。
 ちょっと余談になりますけれども、昨年仙台で国際学会がありまして、たまたま中村先生がアメリカから来たのです。懇親会の場で私は中村先生と会いまして、お酒を飲みながら、中村先生、ところで私どもは酸化亜鉛を研究していますけれども、どうでしょうかねと聞いてみたのです。中村先生はもちろん酸化亜鉛を知っています。でも、あの先生の特許はガリウムナイトライドです。先生はガリウムナイトライドという自分の技術に非常に誇りを持っているから、あんなものだめだと言うかなと思ったら、ガリウムナイトライドを自分はやっているけれども、酸化亜鉛がもし実用化になったら負けると言っていたのです。なぜと聞いたら、値段だと、桁が変わる値段には太刀打ちできないと、そういう言い方をしました。ただ、信頼性というのは非常に重要だから、実用化するにはあと4年はかかるのではないでしょうかねと、こうおっしゃっていました。それぐらい中村先生をしても酸化亜鉛というのが本当にこういうので応用商品ができたら、まいったと言わしめるものなのです。
 今私どもで経済産業省のお金をもらってやろうとしているのは紫外線センサーです。これをどういうふうに商品にしようか考えているかというと、テレビなんかで今紫外線情報が流れるようになりましたでしょう。それぐらい紫外線というのは非常に直射されると人間、特に小さいお子さんの体に悪影響を及ぼす。それを何とか対策しなければいけないというのはみんなが思っていることなのです。今の対策は何かというと、クリームを塗ったりしています。朝にクリームを塗ったって、本当にそれが対策になるのでしょうか。つまり紫外線というのは、場所と時間によって刻々変わるものなのです。そういうのを瞬時にキャッチする方法がないかということで、携帯電話がありますね、ここへ酸化亜鉛を埋め込むのです。ぱっと外へ照らすと、携帯電話って今文字が出ますでしょう。今どういう対策をしなければいけないよと瞬時にわかるような、そういう携帯電話埋め込み型の紫外線センサーというのを開発しています。これは世界中でまだ開発されていませんから、早くこれを世の中に出すと。でも、これがどれだけ売れるかという、今度はマーケティングの勝負になるのです。皆さん御存じですかね、この私の携帯電話に万歩計がついているのです。万歩計つき携帯電話って多分余りないと思うのですけれども、これで私が今日何歩歩いたかというのが出ています。携帯電話というと、写真、カメラという発想はだれでも持っているのですけれども、そこに違う付加価値をつけるという発想なのです。それが万歩計。これにUVセンサーというのがついたら少し付加価値がついて、また高く売れるか、そういうところです。お子さまを乳母車に乗せてお母さん方は散歩に連れていく。乳母車にセンサーをつけて瞬時にわかる方法というものがないのか。これは、酸化亜鉛というのは非常に小さくて安くできますから、安いというのは非常に勝負なのです。おしろいの材料ですから、世の中にいっぱいあるのです。幾ら使っても朽ちることはないのですけれども、中村先生のガリウムナイトライドというのは、これはいずれなくなりますから、貴重な材料なのですけれども、酸化亜鉛がなくなることはありません。
 そういう意味で、どこの会社が何をつくるかというのは、これはそれぞれ秘密になっていますのでここで具体的に申し上げることはできませんけれども、岩手県内の企業さんに、これはA社、これはB社、これはC社、これはD社と、そういうことでつくっていただけたら商品群が広がるのではないかなというふうに思っております。
 さて、次ですけれども、今申し上げましたのはこれとこれなのです。浅く広くではなく特化するというのは、先ほどのように自動車関連プロジェクトにリソースを投入する。それから、お金も酸化亜鉛ランドに億というお金を投入して、そこで新しい商品群を開発していく、こういう方向性が1つあります。
 もう一つの方向性はこれなのです。リンドウの話というのは、御存じの方も多いと思いますけれども、私はこの話を聞いて感動しました。岩手県に来るまで、私自身は岩手県の名産が何かおぼろげにしか知らなかったのです。岩手らしさで勝負というのは、岩手が日本一は何かということなのです。ここに岩手県の要覧というものがあります。年に1回発行されるのです。総合政策室が発行しています。ここに岩手のお国自慢というのがあって、岩手が何の日本一かも載っているのです。これを見るとリンドウと載っています。そして、わかったことは、これは北緯40度でつくられる花だということがわかった。北緯40度でできる。そうしたら、あるリンドウ農家の人が1年中こういうすばらしいリンドウの花を咲かせるにはどうしたらいいか考えた。そして、南緯40度でもできるのではないかと考えた。それはどこか、ニュージーランドだというのです。確かに地球儀を見ると南緯40度という国はニュージーランドしかないのです。アフリカが引っかかるかなと思ったらそうでもないのです。ニュージーランドなのです。そこへ行ってリンドウづくりをやって成功したのです。それを日本に空輸して持ってくる。そうなると1年中リンドウの花が手に入る。夏と冬が逆ですからね。この発想です。こういう発想を常に持っていかないと、ものづくりというのはなかなか立ち行かないなと、非常に感動しました。それでも多分苦労したと思います。単なる40度というだけではないのです。土の問題ですから、農作物は土が重要ですから。それから、空輸して持ってくるといいながらも、持ってくる保存の仕方とかいろいろあると思うのです。
 次の事例です。これは私どもが直接関係しました。岩手らしさで勝負、冬の寒さでも塗れる水系塗料の開発です。建築屋さん、塗料屋さんが非常に今まで困っていたのです。従来の建築塗装業界というのは、環境対策から溶剤系塗料を使ってはいけない、水系塗料を使いなさいと言われていました。ところが、岩手県だけではないですけれども、北の方は水系塗料というのは凍ってしまう。こういう問題があったわけです。だから、低温でも施工、乾燥が可能なコンクリなど建築構造物用の水系塗料を開発した。凍らない塗料を開発しようと、これをやったのです。これは成功しました。企業さんと共同研究やって、成功して、特許を出して、そして商品として既にこれは売り出されています。タイカンシーラーといいます。
 ちょっとついでにお話しますと、今建築業界ってみんな困っているではないですか、岩手県も含めて。私は塗り物専門ではないですが、うちの研究員と話ししていたら、塗料から斎藤所長はどういうことを考えるでしょうと聞かれました。塗料の「と」って塗ると書くけれど、塗料業界が今困っていることは何かというと、剥がすことなのだというのです。新しく塗るためには前に塗ったものを剥がさなければいけない。ちょうどわかりやすいのが、道路に張ってある白線ありますでしょう、中央分離帯の。あれはしょっちゅう剥がれたりして新しく塗り替えているではないですか、あれなのです。あれは、簡単に剥がれてはだめなのです。あれを剥がして塗るというのは大変なことなのだそうです。全体の作業コストの7割は剥がす、塗るのは3割なのだそうです。剥がす技術開発をちゃんとしなければいけない。しかも、しっかりちゃんと粘ったものを簡単にはがす方法はないか、こういうのをやっていました。これから商工労働観光部のサマーレビューで提案して、来年度予算をつけてもらおうと思っているのですけれども、これがうまくいったらものすごい画期的になります。道路に線を塗って、それをいろいろ塗ったりはがしたりするのは、世界中共通です。どこでも困っているのです。これをどういう技術開発で解決できるかというのが1つのポイントなのですけれども、それは余りできる前から格好いい話をして、先生方に期待していただいたものができなかったら格好悪いので、ちょっとこの辺にしておきまして、次へいってみましょう。
 トリアジンチオールという名前を聞いたことあると思います。これは、何と岩手大学工学部工学部長、森邦夫先生がこの基本特許を持っています。ところが、先ほどの酸化亜鉛とも同じなのですけれども、基本特許を持っているだけでは先生のところに収入は入らないのです。この特許が使われてなんぼなのです。では、我々工業技術センターが、何がやってあげられるかということで、この先生が開発したトリアジンチオールというのを、従来できなかったのですけれども、金属とプラスチック、これを接着させる。この界面にトリアジンチオールを塗って、金属とプラスチックを接着しようと、これをやったのです。従来は、金属とプラスチックを接着させようと思ってもなかなか接着できないのです。仮に接着しても熱をかけるとすぐとれてしまうのです。トリアジンチオールというのは、そういう意味では魔法の薬でございまして、それをここに塗ると非常に高気密性、高信頼度の接着が見られると。これができるということが私どもで分かりましたから、これができることによってどういう商品ができるかと、そこに書いています。こういう自動車用部品がたくさんできるのです。それを現実に今、東亜電化さんとかトーノ精密さんにものをつくっていただいたと。これができることによって自動車の軽量化、高信頼性化が実現できる。この1つの流れ、まさに岩手の得意なところです。これは、学ですね、大学が何かを発明して、官である私どもが間に入って技術開発をし、その技術を産業界に移転して商品をつくる。産学官連携の1つのモデルケースです。しかも、これはトリアジンチオールという技術が岩手県にある限りは岩手の独断場、他県ではこれはできない。
 それから、木質バイオマスの話ですけれども、これはもう既に皆さんいろいろ聞いているでしょうから、余り詳しく言うのはやめますけれども、業務用のペレットストーブ、家庭用のペレットストーブ、そして今度はチップボイラーを開発して、今度は消融雪システム、次々と商品部門を開発していくことが非常に重要だということで、全部当センターが関わって開発しました。このいわて型ペレットストーブは何が特徴かということなのですけれども、あえて3つ挙げると、こういうペレットストーブは世界にもあるのです、世界のペレットストーブは燃料が樹皮というやつはないのです。皮を燃料にするペレットストーブは世界にはありませんけれども、林業の世界で今一番困っているのは皮なのです。何の役にも立たないと。木部、芯のところはほかに使えますが皮は使えないのです。だけれども、私どもが開発したものはこれが燃えるのです。
 それから、日本の家屋の事情を考えたときに、つまり日本というのは海外と違って家屋が狭いですから、世界最小の床面積のものを開発しようと、そういう設計方針でつくったのです。
 あとは、FF式、煙突がない。煙突を掃除するのは大変でございます。簡単にエアコンと同じように家庭に増設できるようにしようよと、そういう設計コンセプトで開発したものです。ただ、そのために縦長になったりしていまして、従来のストーブに比べると格好が悪いとか言う人もいますけれども、そういう開発コンセプトでやっていましたから、まあまあいいかなと思っています。現在これはもう500台ぐらい売れています。この500台がどのぐらいすごいかというと、10年ぐらい前からスウェーデンとかカナダからペレットストーブが輸入されていて、日本全体で今200台ぐらいになっています。特に軽井沢の別荘地を中心に使われています。それを岩手県の場合はあっという間に500台出しましたから、結構な勢いで売れている。だから、僕から言わせるとあと2桁ぐらいは売ることが可能なはずだというふうに思います。つまり値段がまだ高いのです。あと2桁台数が出れば値段は決して石油ストーブに負けない。ましてや今ガソリンの値段とか石油の値段はどんどん上がっていますから、それこそこういうのをPRする絶好のチャンスではないかと、こう思っています。
 それから、あと残り時間少なくなってきましたので、これからの岩手のものづくりの課題ということで、私なりにこの3年間岩手で仕事をさせていただきまして感じたところを申し上げてみたいというふうに思います。
 まず1点目は、すばらしい岩手の資源をみんなで認識し合わなければだめです。私はマスコミの人に言って、新聞にも載せられてしまったのですけれども、岩手にはおしょしい文化があるではないかと、恥ずかしがりの文化。自分のところがいいとなかなか言わないのです。だから、特許も余り出したがらない。いいじゃないの、自分で独占するのでなく、みんなで使ってもらった方がいいのではないの、こういうふうに言うのです。でも、それはちょっと違うのです。こういう工業系、特に工業、産業振興に関しては競争相手は世界ですから、それでなくても中国にどんどんなめられますので、知的財産なんかはちゃんと確保しなければいけない。
 では、岩手の持つ地域資源とは何ですかというと、まず提起されるのは資源生産量として多いもの、例えばこんなものですよね。それから、岩手でしかできないもの、例えば伝統工芸品、これは産業振興とどれだけ関係あるか知りませんけれども、チャグチャグ馬コというものも岩手特有のものだろうと思います。
 それから、国など第三者から評価されているものです。中尊寺の金色堂ですね。この辺はだれもが考える岩手が持つ地域資源なのですけれども、実は皆さんが見落としている中にこれがあるのです。現在は資源として認識されていないが、発展が予想されるもの、これを早くキャッチアップするのです。つまり先ほど県境産廃の話をしましたけれども、産業廃棄物の不法投棄現場というのは確かに負の遺産です。負の遺産ですけれども、もう今さらどう言ってもしようがないです。あれをプラスの資産に変えるにはどうしたらという、プラスの思考で考えることによって、産業廃棄物を実は商品に変えることができるわけです。既に我々U字側溝とかアスファルト材とかいろんな商品開発をメニューそろえていまして、これから県土整備部といろいろ折衝して、県内の公共事業に使っていただくと、そういう方向で今動いています。
 それから雪とか風、雪というのはもう皆さん岩手に住んでいる方は困っていることばかりなのです。屋根おろしも大変だし、だけれども、翻って考えると、九州の人は雪が欲しくたって手に入らないのですから、そういう意味では雪を何かプラスに変えられないか。雪室というのに納豆を入れると、納豆の味がおいしくなると聞いたことがありまして、だったらそれらを研究して商品をつくって、もし水戸納豆というところが買いたがればどんどん売ればいい。そういう発想なのです。
 それから、風というのも自然エネルギーですよね。風が強くて困る、確かに困ります。困るのだけれども、これをエネルギーに変えることによってプラスになるのです。先ほど言った技術資源だとか技術の集積、産廃、これもすべてプラスの資源として考えなければいけない。こういう新しい資源を次なる産業振興に生かしていくという、こういう発想をみんなで持っていく必要があるのではないかということなのです。
 そういう意味で、すばらしい岩手の資源を再認識。こういうふうに私申し上げますけれども、ずっと岩手で生まれて岩手で育った方というのは、そうはいっても毎日食べている冷麺はまあこんなものかと思うのです。私が初めて冷麺を食べてみまして、これはタイ人に食べさせたらおいしいに決まっていると思いました。辛い食べ物が非常に好きですから。それから、お酒です。これは絶対アメリカに出荷すべきだ。ワインがあんなに高い、ボジョレーヌーボーがあんなに高い値段で売れるなら、岩手の冷酒が同じ値段で売れない方がおかしいのだろうと。そこで、私が今盛んに県内で言っているのは、マーケットとしてどこを考えたらいいかというと、僕は中国だと思います。中国は、皆さん方から見ると企業が、製造業が移転していくから、憎らしい相手としか思っていないのでしょうけれども、実はあそこは13億人という人員がいる巨大マーケットなのです。そこの中の1%でもいいです、1,300万人です。金持ちなのです、絶対金持ちなのです。その金持ちの人をターゲットにして日本のいい商品を送り込む、こういう発想をすることによって岩手県が豊かになるのではないかということなのです。
 ちなみに、今日本の企業が日本と同じ値段で中国で売って成功しているものがあるのです。化粧品だそうです。日本と同じ値段だそうです。買う人は先ほどのほんのわずかの1%の人だと思うのですけれども、それでも同じ値段で売れるのです。そういう市場です。
 それから、木材ございますね、木材。中国も木はたくさんあるのだけれども、岩手の木材に比べ全然質が違う。岩手というのは山が急峻なせいもあって結構いい材木なのです。あの材木を中国の人たちはいずれ必ず欲しがる。だったらそれを中国へ輸出すると、こういうことかなと。
 言いたいことは、すばらしい岩手の資源ということの認識をしていただくためには、ほかを見ていただきたいのです。ですから、先生方もぜひ海外を含めてほかをいろいろ見ていただくことによって、岩手の資源はこんなにすばらしいのだと、それから僕は岩手に住んでいる人にそういうことをやっていただきたいと同時に、僕のように外からの人を連れてくるのです。そうすると、こんなに岩手にはいいものがあるのだと、だんだん認識されていく。
 それから、これですよね、素材がよい割にマーケティングがうまくないのです。地域で売れればいいのですよというような、そんな遠慮をする、遠慮がちな文化がありますから。そうではなく外へ出して外貨を稼ぐということです。外からお金を岩手県に持ってくることの方が大事なのではないかということが言いたかったのです。このためにはどうしたらいいかというと、これは商工労働観光部の酒井部長も非常に問題意識を持っていて、商工労働観光部では去年第1回マーケティング講習会というのを開きました。私も出ましたけれども。県庁の職員もマーケティングを勉強しなければだめだと。どこの市場に向けてどういう商品を売っていったら本当に当たるのかという、それをみんなで勉強していく必要があります。
 それから、連携拡大による新たな技術開発の事例として、実はこの新聞記事を今日突然そこに入れさせていただいたのですが、これは北東北ラーメンということで、青森、秋田、岩手のそれぞれの名物を全部合わせてラーメンをつくったという記事です。これはどれぐらい売れているかまだ私自身チェックしていないのですけれども。
 今北東北3県で私たち研究員の人事交流をやっていまして、したがって北東北3県の公設研究機関を共同で研究テーマを立案して、それはリソースの集中が、自分たち岩手県だけではなくて、他県のリソースもそこに集中できて、そしてそのかわりアウトプットは北東北3県が得られるようにしようと。そういうことで、今環境系の研究テーマと食品系の研究テーマ、2つで動かしています。
 それから、何度も言うようですが、人、これはやっぱり何といっても重要です。ものづくり人材。明日、明後日はいいです。これから5年後、10年後の岩手県を支える人たち、つまり今の学生さんたちです。それから、お子さんたち。そういうお子さんたちに岩手でのものづくりの大切さを教えていきながら学んでもらうという、この仕組みをきちんとつくる必要があります。ということで、これは岩手大学の岩渕先生も同じ発想で、実はものづくり大学院というのを今度つくりますし、それから企業が望む人材というのを、私もいろんな学校へ行って講演しましたけれども、企業が求める人材に育てるという教育ですよね。オームの法則というのは重要ですけれども、オームの法則ばかり教えているとだめなのです。企業が望む教育、例えば品質管理とか、さっき言った産業廃棄物の話とか、ああいうのをできるだけ早い段階から教えていくということが企業に入ったときに即戦力になるわけです。これだけ自動車に力を入れるなら、自動車学科という科があってもいいのです。そういうことで、企業が求める人材づくり、こういうことを今のうちからやることが重要かなというふうに思います。
 以上、稚拙な説明でちょっと時間オーバーしてしまって申しわけございませんでしたけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○小野寺研一委員長 貴重な御講義を頂戴いたしました。これから質疑、意見交換を行いたいと思います。余り時間がございません、15分ぐらい、そのくらいの時間でただいまの講義に対しての質疑、御意見等がございましたら。
○平澄芳委員 ただいま大変元気の出るお話をいただきまして、本当にありがとうございました。
 それで、私がいつも考えているのが北上川流域、あるいは金ケ崎は、関東自動車を周辺としたものづくり産業の集積が非常にすばらしいものがあって、有効求人倍率が1前後になっているような、あるいは所得も県北の地域に比べれば非常に高いものがありますが、相変わらず二戸、久慈地域は、東京電波さんの工場もあるわけですけれども、県なんかに言っても30人とか80人とか、そんな程度の企業誘致しか話がないわけです。1,000名規模の企業が来てくれないものかなといつも思うのです。日産自動車であるとか、あるいは富士通さんでもいいのですけれども、いつもそう思っておるのですけれども、分野は違うのだろうと思いますが、答えにくいかもわかりませんけれども、県北のポテンシャルをいろいろ考えたときに、そういった1,000人規模の企業なりが立地をする可能性ないのかなという、その辺元気の出るお話をついでにいただければ大変ありがたいなと思います。よろしくお願いします。
○斎藤紘一参考人 まず、岩手県全体を見たときに、岩手県って広うございますから、大きく北上川流域と、それから沿岸域と県北と3つに大きく分けられると思います。そのときに、これは商工労働観光部の酒井さんもおっしゃっていますが、北上川流域だと工業生産が中心になっています。県北は食品産業だというふうに思っています。その理由は何かというと、雑穀が日本一なのだそうです、県北では。しかし雑穀という言葉が悪いと思うのです。雑穀と言うからだめなのだ、もっと格好いい健康的な名前をつけられないかと言っているのですけれども。雑穀を利用した、材料にした、素材にした商品開発、これを今うちでも研究開発やっていますが、そういう意味で、食品産業ということになりますと、特に1,000人規模の企業さんというとなかなか難しいのです。では、今御意見があったように北上川流域のようなところの大企業のようなものを県北に誘致できないかというと、かなり僕は難しいのではないかなと思うのです。それよりは、地域に特性があるところをもっと伸ばした方がいいと思うのです。出てくる企業さんも周りにパートナー企業さんがいないと来ないのです。ですから、いきなり1,000人規模ではないです。そこには工業系の集積をさせるというビジョンがあったとしても、小さい企業さんからだんだん増やしていった1つの集積群をつくらないと難しいのではないかなと、そんな感じをしておりますけれども。私は別に県北に対して何もやっていないわけではなくて、この間も二戸地方振興局長さんとお話をして、工業技術センターが今一番力を入れているのは二戸市です。何をやっているかというと、雑穀と産廃とお酒もやっているし、酸化亜鉛と漆もやっていますと、こういうふうに申し上げたぐらい力を入れてやっていますから。ぜひそういう県北の特徴があるところで頑張らせていただきたいというふうに思っています。
○佐々木一榮委員 貴重なお話をありがとうございました。マーケティングの重要性は非常に感じております。今日は工業分野の話がありましたけれども、例えば県の組織でいいますと、農業、水産業、畜産、牛肉だとか、豚肉だとか、水産だとワカメ、あるいはメカブとか、鮭の中骨とか、そういうものを開発してうまく企業として努力している人は努力しているのですが、その担当が農林水産部の流通担当なのです。商工労働観光部は工業技術センターでいろんな御研究をやっていっても、どうも地場と、それから研究がうまく回っていないような感じをどうしても感じる部分が強いのです。岩手の水産業、ウニとかアワビが有名なのですけれども、シイタケなんかに至っては岩手県産がわざわざ1回九州まで行って、ほかの県のブランドに化けて高く売っていたり、所長さんから見て県の行政組織といいますか、もう少しこうやったらうまく民間と連携ではありませんが、うまくやれるのではないかというような御意見がありましたらお聞かせ願います。
○斎藤紘一参考人 今の御質問とちょっと離れるのですけれども、私は100を超える他県の工業技術センターの所長さんなんかとよく話をする機会があります。そのときに斎藤さんが羨ましい、岩手県が羨ましいと言われる1つの理由として、私どもで今、もちろん商工労働観光部の予算で経費をいただきます、酸化亜鉛なんかそうなのですけれども。例えば県境産廃については、他の部局ですね、環境生活部から経費をいただいているのです。木質バイオマスは農林水産部から経費をいただいています。そういう他の部局から予算をもらって研究をできる環境が岩手県にあるということに、他県の公設試さんはびっくりしています。それぐらい、僕も縦割りの弊害についてしょっちゅう言っているのですけれども、少し緩和されつつあるなということが1点言えます。
 それから、今御質問あったのですけれども、全く私も同感なのです。センターに来たときからそれを言い続けていまして、具体的には例えばホヤの研究、ホヤの肝臓が二日酔いに効くというのでやったり、それからワカメを刈り取る機械の開発というのがあるのです。あれは水産よりうちの方が得意なのですよね、機械の開発ですから。でも、所詮単発なのです。入り口側、つまり農業でいうと農家側が農林水産部で農業研究センター、それから出口、それを応用した商品が私ども工業技術センターというふうに、そういう括りで今仕事をしているのだけれども、入り口から出口までが繋がらないと本当にスムーズに商品は流れません。加工部門を分散させているのです。うちにもあるのですけれども、農研センターにも水産にもあるのです。1つのアイデアとして加工部門全部私どもにくださいと、加工のところを全部責任持ってやるような、そういう体制できませんかねと、私は既に  酒井部長に申し上げてあります。それは1つのアイデアなのですけれども、まだ実現はしていません。ただ、そういうのを検討する、こういう部長と話をする土壌には今上っているのです。したがって、県の部長さんクラスの方も問題意識をお持ちなのです。どうしたらいいかと。では、私が今できることは何かというと、せめて人事交流をやろうということで、農研センターとか環境センター、うちと人を入れ替えているのです。人を入れ替えることによって、もうちょっと入り口から出口までが繋がっていくのではないかなと思います。でも、それはあくまでも次善策ですよ。本当は抜本的には加工部門をつくるというのが私はいいのではないかなと個人的には思っています。少しずつ変わってくるかな。ただちょっと時間かかるのが私も多少しゃくなのですけれども。
○小野寺研一委員長 まだおありだろうと思いますけれども、もう時間も押してございますので、この辺で終わらせていただきたいと思います。
 本日は、斎藤所長さんにおかれましては、大変御多忙のところ対応をいただきまして本当にありがとうございました。どこに着目をするか着眼点が非常に見えてきたような、そんなすっきりした感じで受けとめました。できるだけの努力をしながら行政とともに私どもも頑張って参りたいと、そういうふうに思います。今日は本当にありがとうございました。それでは、もう一度拍手でお送りしたいと思います。
○斎藤紘一参考人 どうもありがとうございました。
○小野寺研一委員長 それでは、早速、次に10月に予定されております次回の当委員会の調査事項についてでありますが、御意見、お考えの方ございますか。
(「一任。」と呼ぶ者あり。)
○小野寺研一委員長 それでは、当職に御一任いただくということでございますので、そのようにさせていただきたいと思います。
 それから、お手元に配付いたしております委員会調査計画案を配付しているわけでございますが、この日程により調査を行うこととしたいと思いますが、御意見ございませんでしょうか。
(「なし。」と呼ぶ者あり。)
○小野寺研一委員長 では、御異議なしと認め、さよう決定をさせていただきます。
 なお、詳細について何かございますか。
○亀卦川富夫委員 日程はいいのですが、11月にやっぱり北海道というのは。
○小野寺研一委員長 そういう予定なのです。北海道に11月、雪も降って寒くなり大変だなということはございますが、見たいところがございましたので、気象の条件など調査しまして、もしだめなときには変更させていただきますが、そのように予定を立てさせていただきましたので、いましばらくお待ちをいただきたいと、このように思います。
 それでは、以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。大変御苦労さまでございました。

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