みんなで取り組む防災活動促進条例

平成22年10月15日岩手県条例第49号

 本県は、これまで台風や地震、津波をはじめ、甚大な被害をもたらす災害に幾度となく見舞われてきたが、将来においても、巨大地震や大津波による広域的な被害が懸念される。
 本県における防災の体制は、災害対策基本法及び同法に基づく地域防災計画により確立し、行政が主体となって対策を推進してきたが、他方で、住民のなかには「防災は行政の役割」という意識が醸成され、災害に対する備えや行動等に課題がある。また、急速な高齢化の進展により、災害時に周囲からの支援を必要とする高齢者等が増加しつつある。
 このような現状を踏まえ、将来の災害に適切に対処するためには、行政による対策はもとより、自らを災害から守る自助の意識を高めつつ、災害時の高齢者等への支援など地域を守る共助の気運を醸成しながら、自助、共助に基づく防災活動を公助が支援していくことが不可欠である。過去の教訓を次代に継承し、「自分の命を守りたい」、「家族を守りたい」、「地域を守りたい」という主体的な自助や共助が発揮される社会の実現に向け、県を挙げて防災に取り組んでいくことが、私たちに課せられている課題である。
 ここに私たちは、県民相互の協力の下、防災活動に取り組み、将来に向かって、安心して生活することができる災害に強い地域社会を築いていくことを決意し、この条例を制定する。

 (目的)
第1条 この条例は、災害から県民の生命及び財産を守るための防災の対策について、基本理念を定め、県民、自主防災組織等、事業者及び県の責務並びに市町村の役割を明らかにするとともに、県民、自主防災組織等及び事業者による防災活動並びに県の支援等の基本となる事項を定めることにより、県民、自主防災組織等及び事業者の自発的な防災活動の促進を図り、もって災害に強い地域社会づくりに寄与することを目的とする。

 (定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (1) 災害 暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他異常な自然現象又は大規模な火事により生ずる被害をいう。
 (2) 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。
 (3) 自主防災組織等 自主防災組織(災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第5条第2項に規定する自主防災組織をいう。)その他地域において防災を目的として活動を行う組織をいう。
 (4) 災害時要援護者 高齢者、障害者、乳幼児、妊婦その他災害が発生し、又は発生するおそれがある場合の情報の伝達、避難等において援護を要する者をいう。

 (基本理念)
第3条 防災の対策は、県民が自らを災害から守る自助、地域において県民、自主防災組織等及び事業者(以下「県民等」という。)が助け合う共助並びに県及び市町村が行う公助を基本としなければならない。
2 防災の対策は、自助の意識を高揚しつつ、共助を尊重する社会的気運を醸成しながら、県民等、市町村及び県が相互に連携し、及び協力して実施されなければならない。

 (県民の責務)
第4条 県民は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、自助の主体として災害の発生に備える意識を高め、自ら防災活動を行うよう努めるものとする。

 (自主防災組織等及び事業者の責務)
第5条 自主防災組織等は、基本理念にのっとり、地域における共助の担い手として防災活動を行うよう努めるものとする。
2 事業者は、基本理念にのっとり、地域における共助の担い手として自ら災害の発生に備えるための手段を講ずるとともに、地域における防災活動に参加するよう努めるものとする。

 (県の責務)
第6条 県は、基本理念にのっとり、公助の担い手として防災に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するとともに、県民等が行う防災活動の支援を行うものとする。

 (市町村の役割)
第7条 市町村は、基本理念にのっとり、公助の担い手として防災に関する施策を推進するよう努めるものとする。

 (災害への備え)
第8条 県民は、防災に関する知識の習得のため、防災に関する講演会、研修会等に積極的に参加するよう努めるものとする。
2 県民は、地域における防災訓練及び自主防災組織等の活動に積極的に参加するよう努めるものとする。
3 県民は、災害が発生した場合において必要とする生活物資並びに災害及び防災に関する必要な情報を収集するための機器を備えておくよう努めるものとする。
4 県民は、所有し、又は居住する建築物の倒壊を防止するため、必要に応じて耐震診断を行い、耐震改修その他の適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
5 県民は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における避難の経路、方法及び場所並びに家族との連絡の方法を確認しておくよう努めるものとする。
第9条 自主防災組織等は、災害時要援護者の避難の支援を円滑に行うため、市町村と連携しながら、あらかじめ地域における災害時要援護者に関する情報を把握するとともに、支援体制の整備に努めるものとする。
第10条 事業者は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における事業の継続又は早期の復旧のための計画(以下「事業継続計画」という。)を作成しておくよう努めるものとする。

 (災害時の行動)
第11条 県民は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、自主的な避難、市町村長の避難の勧告又は指示に従った行動その他適切な行動をとるよう努めるものとする。
第12条 自主防災組織等及び事業者は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、互いに連携しながら、地域における情報の収集及び伝達、避難の誘導、消火、人命救助、救護その他災害の拡大の防止に努めるものとする。

 (県民等の防災活動への支援)
第13条 県は、基本理念に関する県民等の理解を深め、かつ、県民等が行う防災活動を支援するため、次に掲げる施策を講ずるものとする。
 (1) 防災に関する正しい知識の習得のための教育を行うこと。
 (2) 防災活動に携わるボランティアの育成を図ること。
 (3) 地域における防災活動のリーダーの育成を図ること。
 (4) 事業者の事業継続計画の作成に関する助言を行うこと。
 (5) 県民等の防災活動に関する普及啓発及び表彰を行うこと。
 (6) 前各号に掲げるもののほか、県民等の自発的な防災活動に資する援助を行うこと。

 (災害時要援護者の支援体制の整備に係る支援)
第14条 県は、第9条に規定する支援体制の整備が円滑に行われるよう、市町村が作成する災害時要援護者の避難の支援に関する計画についての助言その他必要な支援を行うものとする。

 (実施状況の公表)
第15条 知事は、毎年度、前2条に規定する施策の実施状況について、県民が利用しやすい方法により公表するものとする。

 (財政上の措置)
第16条 県は、県民等の防災活動への支援に係る施策を推進するために、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
   附 則
 この条例は、平成23年4月1日から施行する。ただし、第15条の規定は、平成23年度に実施する施策から適用する。