農村の活性化に関する条例
平成17年10月11日条例第62号

目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 主要な施策(第7条―第16条)
第3章 施策の推進(第17条―第20条)
附則


岩手の県土は、四季折々の美しく豊かな自然を有するとともに、広大な面積で南北に長く、奥羽山脈や北上高地が形成する標高差や変化に富んだ地勢、さらには内陸性や海洋性の気候、積雪、やませなどの多様かつ厳しい気象条件などによって特色づけられている。
このような多彩な環境の中で、岩手の農村は、相互扶助の関係である結いの精神の下で、本県経済の基幹である農業の生産活動を通じて県勢の発展に大きく貢献してきたことはもとより、豊かな自然環境の保全、良好な農村景観の形成、多彩な伝統芸能、農村の行事などを通じて、地域に根ざし歴史に育まれた農村の文化を受け継いできた。
しかしながら、岩手の農村は、高度経済成長を契機として、農業従事者の他産業への流出、農作業の機械化、農家の兼業化などが進行し、営農形態及び農村生活に大きな変容を余儀なくされるとともに、近年の過疎化や少子高齢化の進行、都市的生活様式の浸透や情報通信技術の発達による情報伝達手段の多様化などにより、相互扶助の関係や意識の共有の場である地域活動が停滞しつつある。
一方、岩手の農村に対しては、食料の安定した供給、新規就農者等の就業の場の創出、都市住民との交流の場の提供、自然環境の保全、水源のかん養、伝統文化の保持、心の豊かさを育む教育的役割や憩いの場の提供など多種多様な役割や機能がこれまで以上に期待されている。
いま、岩手の農村は、これら農業の持つ役割や機能を持続的に発展させる社会的基盤として活性化が求められており、共同体としての農村の住民の連帯感の醸成が急務となっている。
このため、これまで培われてきた結いの精神の持つ意義を再評価するとともに、交通網の充実や情報通信技術の発達、交流の多様化などの今日的な状況も踏まえ、21世紀に適応した新たな相互扶助の関係や意識として再構築していくことが必要である。
ここに私たちは、県民の参加と協力の下、岩手の農村が守り育ててきた数多くの特色ある地域資源を最大限に活用し、結いの精神に支えられた、心豊かで住みよい活力ある農村を構築することを決意し、この条例を制定する。


第1章 総則


(目的)
第1条 この条例は、農村の活性化について、基本方針を定め、並びに県、市町村、農村の住民及びその他の県民等の役割を明らかにするとともに、農村の活性化に関する施策の基本となる事項を定めることにより、結いの精神に支えられた心豊かで住みよい活力ある農村の構築に寄与することを目的とする。


(農村の活性化に関する基本方針)
第2条 県は、農村に受け継がれてきた結いの精神を理念とし、農村の住民の自発的かつ主体的な取組を促進し、心豊かで住みよい活力ある農村を構築するため、次に掲げる基本方針に基づき、農村の活性化に関する施策を推進するものとする。
(1) 交流及び定住人口の拡大により農村の活性化を図るため、農村の内外の地域間及び世代間の交流を促進すること。
(2) 農村における次代に引き継ぐべき生活慣習の維持及び継承を図るため、次代を担う子どもの農村生活の体験の機会を拡充すること。
(3) 農村における行事及び伝統文化の維持及び継承を図るため、人材の育成に努めるとともに、農村と農業に関する団体その他の各種の関係団体(以下「関係団体」という。)との連携等を促進すること。


(県の責務)
第3条 県は、国、市町村、農村の住民その他の県民及び関係団体の連携の下に、農村の活性化に関する施策を推進するものとする。
2 県は、国に対して農村の活性化に関する施策の提言を行うよう努めるものとする。


(市町村の役割)
第4条 市町村は、当該市町村の地域の特性に応じて、農村の活性化に関する施策を推進するよう努めるものとする。


(農村の住民の役割)
第5条 農村の住民は、心豊かで住みよい活力ある農村の構築に向け、自発的かつ主体的に取り組むよう努めるものとする。


(県民等の役割)
第6条 県民及び関係団体は、県土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、伝統文化の継承その他の農村における多面にわたる機能(以下「多面的機能」という。)に関する理解を深め、農村の活性化に協力するよう努めるものとする。


第2章 主要な施策


(地域間及び世代間の交流の促進等)
第7条 県は、農村の内外の交流及び定住人口の拡大並びに農村の文化等の維持及び継承を図るため、農村の内外の地域間及び世代間の交流の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。


(子どもの農村生活の体験の機会の拡充等)
第8条 県は、子どもの農村に関する関心を高めるため、子どもの農村生活の体験の機会の拡充その他の必要な施策を講ずるものとする。


(農地の利用機会の拡大等)
第9条 県は、都市から農村に転入した者等の農村への定住を促進するため、農地の利用機会の拡大の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。


(農村行事に関する活動の促進等)
第10条 県は、農村の住民の連帯感の醸成を図るため、農村の行事に関する活動の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、伝統芸能その他の農村の文化の継承及び発展を図るため、これらの伝承活動の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。


(県民の取組の表彰等)
第11条 県は、活力ある農村の構築の取組を促進するため、農村の活性化に取り組む農村の住民及び県民等の表彰その他の必要な施策を講ずるものとする。


(関連産業との連携等)
第12条 県は、農村の産業の振興を図るため、観光その他の関連する産業との連携の促進、農産物を地域で消費する活動の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、必要に応じて、産業間の連絡調整、情報提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。


(人材等の育成)
第13条 県は、自発的かつ主体的に農村の活性化に取り組む人材及び団体を育成するため、研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。


(結いの精神に関する情報の発信等)
第14条 県は、結いの精神を農村の内外に広く普及啓発するため、結いに関する情報の発信その他の必要な施策を講ずるものとする。


(多面的機能に関する県民の理解の促進)
第15条 県は、農村の持つ多面的機能に関する県民の理解を促進するため、農村に関する情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。


(その他農村の活性化に関する施策)
第16条 県は、必要に応じ、その他農村の活性化を図るために必要な施策を講ずるものとする。


第3章 施策の推進


(住民の計画策定等の支援)
第17条 県は、農村の住民が、農村の活性化に関する地域の計画等の策定又は変更をする場合には、この条例の趣旨が反映されるよう情報提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。


(県の計画への反映)
第18条 県は、農村に関する計画の策定又は変更をする場合には、この条例の趣旨を反映させるものとする。


(農村活性化施策の概要の公表)
第19条 県は、毎年度、農村の活性化に関して講じた施策の概要を公表するものとする。


(財政上の措置)
第20条 県は、農村の活性化に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。


附 則
この条例は、公布の日から施行する。ただし、第19条の規定は、平成18年度に実施する施策から適用する。

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