純情の郷にはこだわりの技がある「おらほの匠」

〜豊かなふるさとの風土がこだわりのそばを生み、新しい食文化を創造する〜

日本の伝統食“そば”をつくる

【安代町】北舘孝雄さん
北舘孝雄さん

冷涼な気象条件と中山地が多く平地の少ない県北地方では、古くから畑作が盛んに行われ、お米に代わる主食として雑穀を中心とした食文化が発達してきました。

雑穀は、近年の健康食ブームにより注目を集めており、生産振興はもちろんのこと、より高い付加価値を加えた商品の開発が進められています。

“そば”は、日本の食文化において最も一般的でかつ伝統的な雑穀であり、日本人の食生活に欠くことのできない食材です。

県北の安代町で、北舘孝雄さんは“そば”の栽培から製麺、外食サービスとこだわりのそばづくりに取り組んでいます。

ふるさとの農業を絶やさない…そばを作る

「昔ここ(安代町)は、田んぼより畑が多く、たくさん“そば”が獲れたんですよ。うち((株)北舘製麺)もそれで製麺業をはじめたんですが、昔は使い切れないぐらいそばがあって、原料販売もしてました。」と、孝雄さんは当時を振り返ります。

「食糧増産を目指した産米運動や食生活の高級化志向などにより、そばの生産が減少し、次第に原料が足りなくなるようになりました。ところが、昭和54年頃から水田転作が奨められ、そばが転作奨励作物になりました。その折、転作作物の実需者(加工業者等)の契約取引の公募があり、そばの契約を申し込んだんですが県内ではうちだけでした。当時は既に、外国からの輸入が盛んに行われるようになってましたから…。」

「そばと米は収穫期がだぶるんです。一般の農家では、米の収穫・出荷を優先するので、“新そば”がうちに届くのは1月中旬から2月でした。なんとかして、12月中に新そばを出したい!と思い。たどり着いたのが「新そばは自分たちで作る」でした。昭和63年に(有)あしろ農場を設立し、そばの栽培をはじめました。さらに町内で遊休化していた土地を借用し、最大120ヘクタール程にまで拡大しました。」

農場経営は、機械等の投資が大きい割には、天候に左右されるためリスクが大きくなります。北舘製麺では、、現在、自社農場50ヘクタール程度、契約取引60ヘクタール、原料取引30ヘクタールで県内産の原料を確保しています。また、契約農家は生産部門に特化させ、乾燥・調整を自社施設で行うことで以前の課題は克服しています。

また、孝雄さんのこだわりは、県産の原料だけでなく生産方法に向けられ、平成8年には、製麺工場では全国第1号の有機認証を取得。その後、自社農場での認証を取得したほか、昨年度は有機JASの認証を取得しました。

原料にこだわり、厳選された有機栽培のそば

ふるさとの食文化を守る…そばを造る

「実は、昔は田舎でそばを造るのが嫌だったんですよ…。」と、意外な話が飛び込んできた。

「どうせそばを造るなら、消費地に近いところで造った方が良いと思っていました。今は、量販店などのバイヤーがうちの農場や工場を見て納得して取引してくれるんです。輸入物を使えば何分の一かのコストで済みますが、この田舎で原料生産から製造まで一貫してやってきたからこそ、今までうちが生き残れたと思っています…。」と、孝雄さんは謙虚に語ります。

「うちは、大手のメーカーと真っ向勝負しても話になりません。大手がやらないことをやる。他とは違う物を造っていかなければならないんです。」

(株)北舘製麺は、昭和60年に日本ではじめて「半生そば」を開発。昨年は、日本初のカップ冷麺を販売しました。

乾麺移行乾燥工程の様子
こだわりと愛情を持って造ったそばが箱詰めさてれいきます。

ふるさとと未来を育む…そばを創る

「そばは日本の食生活を語るうえで欠くことのできない伝統食品だと思います。これからは高齢化社会。食べ物に気を付けていく時代になると思います。そういう時代に“残していく食品”に更に付加価値を加えていくことがこれからの課題だと思っています。」

孝雄さんは、次なる商品開発のキーワードに「医療食、機能性食品の開発」を掲げています。
現在、腎臓病患者のための「低タンパク質麺」の開発と栄養価の極めて高い「ダッタンそば」の商品化を進めています。

加えて、自社に栄養士の有資格者を確保し成分分析等の導入。厚生省の認定食品第1号を目指しています。

また、近年は地元ホテルとのタイアップで「そば打ち体験の受入れ」をはじめたことに端を発し、県内外の学校や町内会、子供会の体験受入れを行っています。

製麺業と直営農場のほか直営の外食店を営む孝雄さんは、東京で「そば屋」を開くのがもう一つの夢。「東京で手頃な値段で、おいしいそばが食べれられる店を出したいですね。」と、微笑みながら語る孝雄さん。

安比高原の麓に広大に広がる畑では、いま夏そばの収穫が最盛期を迎えています。

直営の「北の蕎麦屋」では、手打ちそばも味わえます。県産材料にこだわった製品の数々
不動の滝

Close-up〈くろーずあっぷ〉安代町

りんどう

安代町へのアクセス

●JR東北新幹線一盛岡駅乗換JR花輪線荒屋新町駅(70分)下車

●東北自動車道安代I.C.下車

岩手県の北に位置する安代町は、水の豊かな町です。大小20もの滝があり、最も有名な「不動の滝」は「日本の滝百選」の一つに数えられているほか「岩手の名水20選」にも認定された名勝です。

なだらかな稜線を描く七時雨山と、田代山の間に広がる草原地帯の「田代平高原」は牧歌的情緒を満喫できます。また「日本一のりんどう産地」としても有名です。

安比高原スキー場は国内トップクラスのスキー場。冬のレジャー施設として全国から数多くのスキーヤーやスノーボーダーが訪れています。

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