旬香秀読(しゅんかしゅうとう)

ササ濁り、ササ機嫌。熊笹の筍は姫筍(ひめたけ)と呼ぶ。

ひめたけ

竹と笹。その相違は、皮を見ればわかると知った。竹の皮がタケの成長に伴ってはがれ落ちるのがタケ、いつまでのくっついてはがれないのがササなのだという。

ということは、八幡平をはじめ東北地方のブナ帯からアオモリトドマツやダケカンバの林にかけて密生するネマガリダケは、タケではなくササということになる。確かに、ものの本によると、本名はチシマザサとある。

地上に出た茎が地をはうようにのびてから上に立つので、東北地方の人たちはネマガリダケと呼んできた。熊が出るようなところに生えるので、岩手ではクマザサと呼ぶことが多い。

ただ、このクマザサは、九州や関西地方に自生し、庭園用に植えられているクマザサとは全く異なる。あちらのクマザサは、葉に縁取りのある「隈笹」である

こちらのクマザサは、熊が出るから「熊笹」なのだ。

この熊笹の筍は、旬の味だ。

ササだから茎は太くはならず、したがって筍も親指ほどのもので、人々は姫筍(ひめたけ)と呼ぶ。この姫筍が八百屋の店先に並びはじめた。

皮をむいたひめたけ ひめたけの煮物

さっそく、茹で上げた姫筍を肴に、ササ濁りでササ機嫌になる。

緑がまぶしい初夏の訪れを実感するひとときである。

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