白身のお刺身には吟醸酒、
肉料理には純米酒と、
これまで日本酒は料理に寄り添う
脇役的な存在でした。
でも、千葉麻里絵さんが考案する
酒ペアリング・・・・・・は、
単なる日本酒と料理の組み合わせを
示しているわけではありません。

にごり酒×珈琲氷

例えば、ブルーチーズを挟んだハムカツ。 調味料としてソースをかけるのが一般的ですが、千葉さんはソースの代わりにどぶろくを合わせます。ハムカツを一口頬張り、すかさずどぶろくを飲む。「口の中で料理を完成させる」イメージで合わせることにより、料理とお酒が互いの良さを引き出し合い、新たな味覚を発見することができるのです。

片口とおつまみ

また、料理の素材とお酒を
くっつける接着剤・・・として、
ハーブやチーズ、フルーツ、
スパイスなどを使うのも、
千葉さんが編み出した
ペアリングの面白さ。

香辛料など
山椒と日本酒

例えば、濁り酒に粉山椒をちょい足しすることで、柑橘系の爽やかなフレーバーに変わり、合わせる料理の幅がぐんと広がります。あまり日本酒とは合わせないサラダでもチーズを加えれば、チーズのアミノ酸と塩分が日本酒の旨みを増強し、ベストフィットの組み合わせが生まれます。

こうしたペアリングは、感覚という曖昧なものではなく、料理とお酒に対する科学的な根拠に基づいて考案されます。
千葉さんは口の中で起こる変化を、成分分析からとらえ直すことで明確にし、多くの理論や法則を導き出しました。
日本酒をそのまま楽しむだけでなく、料理に合わせることで味わいを完成させる。
時には温度を変えたり、水やソーダで割ったり、甘みや酸味を強く感じるための工夫をすることで、
料理との相性を広げ、日本酒の可能性を広げていく。これが千葉さんの提案する最新の「酒ペアリング」です。

酒器と日本酒