3.原状回復対策に向けた調査・解析

 不法投棄廃棄物による汚染の拡散を防止し、効果的な原状回復対策を講ずるためには、廃棄物の性状や汚染実態を的確に把握し、対策内容や優先順位を決めていく必要がある。
 岩手県では、水質調査などの周辺環境モニタリング調査を継続的に実施しながら、2000年度から汚染実態調査を実施し、2002年度には遮水壁や水処理施設など汚染拡散防止のため必要な施設設置に向けた調査を実施するなど、原状回復に向け準備を進めた。

(1)汚染状況等調査(1999~2002年度)

 不法投棄による周辺環境への影響を速やかに把握するため、1999年11月の警察の強制捜査と連携して両県合同立入検査を実施し、事業場内と下流の沢の水質検査を行った。
 また、不法投棄現場の汚染実態の把握及び対策を検討するための初期調査として、現状及び将来における事業場内の汚染や周辺環境への影響を推定することを目的に各種調査を実施した。

・2000年度:廃油等による現場内汚染状況調査
 ○逮捕者の供述から、廃油入りドラム缶が多数投棄されている実態が判明
 ○重機掘削で廃油入りドラム缶218本発見、新ドラム缶に移し替え、撤去
 ○廃油成分検査結果:トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン
 ○表層土壌ガス調査:場内7ヶ所に高濃度汚染領域判明
 ○地下水のダイオキシン汚染実態が判明
 ○不法投棄は燃え殻、廃棄食品、鶏糞、樹皮などに廃油を混合した投棄と判明
 ○事業場周辺の沢、河川の異常は認められない。

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廃油入りドラム缶の投棄状況

・2001年度:地下水流向流速調査、不法投棄物全容解明のための筋掘り調査
 地下水流向流速調査
 場内設置11ヶ所の観測井で調査
 ○現場東側の標高が高い部分を頂点に、3方向に流向。その後、さらに分岐している。
 ○流速は幅がある。帯水層が不均一であるためと推測

 筋掘り調査
 ○不法投棄の全容解明のため、重機掘削(16ヘクタールを10m間隔で掘削)
 ○不法投棄確認場所で廃棄物サンプル採取
 ○不法投棄場所は散在している。一部谷状地形を埋め立てた場所あり。
 ○不法投棄の推定量は、約15万立方メートル
 ○特別管理産業廃棄物は、約2万7千立方メートル(鉛、ジクロロメタン、ベンゼンなどが基準超過)
 ○樹皮、鶏糞などの地上堆積物は約2万8千立方メートル
 ○掘削調査による周辺環境への汚染拡散は認められなかった。
 ○場内野積み燃え殻約1,200tの撤去により、ダイオキシン類濃度の改善あり。継続監視が必要。
 ○廃油汚染領域の観測井での廃油汚染は継続
 ○敷地境界への汚染拡散はない。

 

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場内のトレンチ(筋掘り)調査状況

・2002年度:原状回復に向けた詳細調査
 1) 地表・地質踏査結果
  トレンチ調査、現地踏査の結果を加味し、廃棄物等の分布状況を把握した。
 2) 地質断面図
  地表・地質踏査、31 孔のボーリング調査、5測線(総延長2,000m)の比抵抗法二次元探査等の成果を踏まえ、地質断面図を作成した。
 3) 比抵抗二次元探査結果
  5測線で探査し、地盤を構成する地質等の一般的性状把握のほか、それぞれ廃棄物、岩盤を主眼として把握するため、比抵抗値を3段階に設定し探査を行った。
 4) 地下水流向・流速測定結果
  9箇所のボーリング孔で測定、1箇所は混濁のため観測不能であり8箇所でデータを得た。
 5) 現場透水・揚水試験結果
  12 箇所のボーリング孔で実施、地域東側の1箇所では地下水の存在が確認されなかった。
 6) 降雨時における表流水の流れ
  降雨時の表流水の流れを観測した結果、エリア北側を東流する沢を除くとエリア外へ流出している状況は確認されていない。
 7) 現場見掛け比重試験結果
  廃棄物が分布する代表地点において調査したところ、約1.1~1.4(t/m3)の結果を得た。
 8) 水温・pH・電気伝導度観測結果
  地域全般に渡って調査した結果を図に整理した。水温については、廃棄物投棄エリアで高い傾向が窺われた。pHについては、エリア全体の傾向として、北側が大きく南側が小さい結果となっている。また、電気伝導度調査結果では、廃棄物が投棄されているエリアで高い数値が認められている。
 9) 気象観測結果
  現地観測所を2箇所設置し、現地の気象データを整理した。現場近傍のアメダス観測地点との比較検討により、気温、雨量についてはアメダス観測データの利用可能性が高いが、風力、風向については、観測値をベースにデータを整理していく。

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場内各地区の不法投棄廃棄物の状況

参考
青森・岩手県境不法投棄事案に係る合同検討委員会資料