9.責任追及

 岩手・青森県境不法投棄事案に係る原状回復には多大な公費が投入されており、県民、ひいては国も多額の負担を強いられている。
 そこで、同様の事案の再発防止を図るためにも、これら廃棄物不法投棄行為者や排出事業者に対し、徹底してその責任を追及し、県民等の負担が極力軽減できるよう費用を拠出させる必要がある。
 岩手県では、2002年9月に本事案対処のための専担組織を設置し、青森県と連携・協力しながら、不法投棄行為者及び排出事業者に対する徹底した責任追及に取組んでいる。

(1)不法投棄行為者に対する責任追及

 不法投棄行為者は、三栄化学工業株式会社(産業廃棄物処理業、本社:青森県)、三栄興業株式会社(肥料製造販売業、本社:青森県)、縣南衛生株式会社(産業廃棄物処理業、本社:埼玉県)及び東奥環境株式会社(産業廃棄物処理業、本社:青森県)並びにこれら法人の役員である。

◆不法投棄行為者に対する措置命令の状況等

1)廃棄物処理法の規定に基づく措置命令等
 岩手県は2000年6月から不法投棄行為者に対して、投棄した廃棄物の撤去等を命じる措置命令を行った。
 措置命令の確実な履行を確保するため、2001年2月に不法投棄行為者の保有財産148百万円余相当の仮差押を行った。その結果、三栄化学工業株 式会社は廃油等による現場汚染状況等の調査、並びに廃油入りドラム缶218本・燃え殻約1,200トンの撤去を行った。

2)県による代執行、並びに行政代執行法の規定に基づく納付命令及び滞納処分
 岩手・青森県境不法投棄事案の現場には、有害物質を含む産業廃棄物が大量に投棄されていたことから、地域住民の健康被害を防止し、安心感を醸成するためには、一刻も早く現場の原状回復をする必要があると判断された。
 しかしながら、上記①に示した例を除き、不法投棄行為者らには命令を履行する姿勢が見られなかったため、2012年度からこれらの者に代わっ て県が自ら廃棄物撤去等の措置を講じている。
 この代執行開始後、岩手県は不法投棄行為者らに対してその費用の納付を命じているが、これらの者はその履行に応じていないため、保有資産差押・公売等の滞納処分を行い、強制的に費用回収を進めている。
 これによる回収額実績は、2018年3月末現在で約109百万円となっている。

(2)排出事業者に対する責任追及

 岩手・青森両県が三栄化学工業株式会社及び縣南衛生株式会社の取引台帳等関係書類の調査や関係する収集運搬業者に対する報告徴収を行った結果、これら不法投棄行為者に廃棄物処理を委託した排出事業者は約12,000社に上り、その廃棄物の多くは首都圏から運ばれたものであることが分かった。
 これら排出事業者に対して、岩手・青森両県が連携・協力しながら廃棄物処理法違反の有無の調査を進めてきたが、その迅速化及び効率化の観点から、2001年3月からは両県が分担して責任追及を進めることとした。これにより岩手県は岩手県、宮城県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、長野県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、和歌山県、香川県、愛媛県又は福岡県に排出事業場を有していた約5,200社の責任追及を進めている。

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1)廃棄物処理法の規定に基づく措置命令
 2002年8月以降、排出者適正処理責任の原則に基づき、廃棄物処理の過程において違法な処理委託の事実が判明した排出事業者25社に対して、不法投棄現場の産業廃棄物約430トンを撤去するよう命じ、これに従わない一部の者に対しては捜査機関への告発も行いながら、すべて命令を履行させた。
◆排出事業者等(東京都)に対する措置命令の状況一覧
◆排出事業者等(東京都以外)に対する措置命令及び納付命令

2)原状回復に要した費用について排出事業者等に負担させることができる旨の告示
 上記(1)でも述べたとおり、岩手・青森県境不法投棄事案の現場には、有害物質を含む産業廃棄物が大量に投棄されていたことから、地域住民の健康被害防止及び安心感醸成のためには、一刻も早く現場の原状回復をする必要があると判断された。
 そのため、県が原状回復のための廃棄物撤去等を行うこととし、この後で違法な処理委託等の事実が判明した排出事業者等にその費用を負担させることができるよう、廃棄物処理法の規定に基づいて2003年11月に岩手県告示を行っている。
◆原状回復に要した費用について排出事業者等に負担させることができる旨の告示

3)行政代執行法の規定に基づく納付命令と滞納処分
 2002年10月の代執行開始後、岩手県は不法投棄行為者に廃棄物処理を委託した排出事業者1社に対してその費用約2百万円の納付を命じ、履行さ せている。
◆排出事業者等(東京都)に対する措置命令の状況一覧
◆排出事業者等(東京都以外)に対する措置命令及び納付命令

(3)排出事業者による自主的措置の受入

 岩手・青森県境不法投棄事案の責任追及調査の過程において、不法投棄行為者に廃棄物処理の委託を行っていた排出事業者が自らの責任を重く受け止め、社会的責務を果たすためとして、不法投棄現場から自主的に廃棄物を撤去・処分する旨の申出が、2004年8月以降20件あった。
 また、現場の撤去作業進展状況等に鑑み、2007年4月以降は廃棄物撤去・処分に代えてその費用相当額を拠出(寄附)する旨の申出が29件あった。
 岩手県は、これら申出による自主的措置を不法投棄現場の早期原状回復と県民負担の軽減に寄与するものとして受け入れており、2017年3月末における自主的措置全体の実績は撤去量に換算すると15,000トン余り、拠出金額に換算すると572百万円余りになっている。
◆排出事業者等による自主的措置